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2020年02月12日
映画「エクリプス」− 降霊術が呼び起こした超常現象, スペインでの事実を基に映画化
「エクリプス」(Verónica) 2017年 スペイン
監督パコ・プラサ
脚本パコ・プラサ
フェルナンド・ナバーロ
撮影パブロ・ロッソ
音楽チュッキー・ナマネラ
〈キャスト〉
サンドラ・エスカセナ アナ・トレント
1991年にスペイン・マドリードで実際に起きた事件を基に作られたとされる作品。
父親を早くに亡くした15歳の少女が父親の声を聞きたいばかりに、日食の日に学校の地下で同級生3人と文字盤を使って降霊術を行います。
でもそれは悪霊を招き寄せる結果となってしまい、その日を境に少女の身辺には異変が起き始めます。
日本では“コックリさん”として知られる降霊術で、科学的にはいろいろな説があるようですが、それだけでは片付けられない事態も起きていますから、危険な遊びには違いなく、悪霊が入り込む場所を提供している側面もありそうです。
映画「エクリプス」が面白いと思ったのは、ありがちなホラー映画ではなく、超常現象を正面から受け止めて、安易に怖がらせようとするのではなく、エンターテイメントの要素を加えながら霊現象の異様さを丁寧に描いたところ。
原題は「ヴェロニカ」で、これは主人公の少女の名前。
邦題の「エクリプス」は事件の背景になる“日食”のことですが、映画の内容からすると原題そのままに“ヴェロニカ”のほうが適切だったんじゃないかな、と思います。
少女ヴェロニカは、働きづめでいつも家にいない母親の代わりに妹二人と小さな弟の世話をしているお姉さんで、亡くなった父親に対する強い気持ちから事件を引き起こすのですが、そんな異常現象のさなかでも妹たちを必死に守ろうとする母性の持ち主として強い印象を残し、オカルト的要素の中に少女ヴェロニカの人間性を描くことに成功していると思います。
1991年6月15日、必死に助けを求める少女の声で警察に電話が入ります。
刑事が現場に急ぎ、部屋のドアを開けて中へ入ると、懐中電灯に照らし出された光景に刑事の表情は凍り付きます。
その三日前。
ヴェロニカ(サンドラ・エスカセナ)は、いつものようにベッドで目覚め、気持ちのいい朝を迎えます。
妹たちに食事の催促をされながら、小さな弟のおねしょを着換えさせ、慌ただしく学校へと向かいます。
その日は日食があるというので、学校では観察のための準備が始まっています。
でもヴェロニカは観察には向かわず、親友のロサとその友達のディアナと共に学校の地下室へ忍び込み、文字盤を使って霊を呼び出そうとしていました。
(日食が霊を呼ぶのに都合がいいためのようです)
ヴェロニカが求めていたのは、亡くなった父の声を聞くことでした。
好奇心と遊び半分で始まった降霊術は、悪霊の侵入を招き寄せる結果となり、ヴェロニカは気を失って倒れ、学校で診察を受けて事なきを得ますが、その日を境にヴェロニカと妹たちの身辺では異常な出来事が次々と起こり始めます。
恐怖にかられたヴェロニカは、母のアナ(アナ・トレント)にも相談しますが、忙しいアナはヴェロニカの話をまともに取り合おうとはしません。
超常現象と向き合わざるを得なくなったヴェロニカたちは再び文字盤を使い、死者との交信によって悪霊との別れを告げようと試みるのですが…。
監督は「REC レック」(2008年)でパニックホラーの第一人者に躍り出たパコ・プラサ。
ヒロインのヴェロニカにスペインの新星サンドラ・エスカセナ。
15歳にして初潮がなく、歯列矯正器具をつけながらも同年齢の女子生徒より背が高く、大人びた雰囲気を持ちながら清潔感の漂う、少女と女性が同居しているようなヴェロニカの存在がこの映画の魅力を高めています。
「エクリプス」を見ていてアレッ? と思ったのは、ヴェロニカたちのお母さんのアナで、どうもどこかで見たことのある気がしていたのですが、なんと、あのスペイン映画の秀作「ミツバチのささやき」(1973年)でフランケンシュタインの存在を信じるいたいけな少女アナでした。
6歳の少女もいつの間にか50歳を過ぎてしまいましたが、子どものころの面影はどこかに残っているものです。
なにしろアナは可愛かった。
「画像は“ミツバチのささやき”より」
事実を基に作られた映画ということで、怖がらせ感見え見えのホラー映画というのではなく(それはそれで面白いですが)、次々と襲い掛かる霊現象には不気味な現実感があります。
“自己犠牲”が主題と思えるような「エクリプス」、ラストはなんだか切なかった。
監督パコ・プラサ
脚本パコ・プラサ
フェルナンド・ナバーロ
撮影パブロ・ロッソ
音楽チュッキー・ナマネラ
〈キャスト〉
サンドラ・エスカセナ アナ・トレント
1991年にスペイン・マドリードで実際に起きた事件を基に作られたとされる作品。
父親を早くに亡くした15歳の少女が父親の声を聞きたいばかりに、日食の日に学校の地下で同級生3人と文字盤を使って降霊術を行います。
でもそれは悪霊を招き寄せる結果となってしまい、その日を境に少女の身辺には異変が起き始めます。
日本では“コックリさん”として知られる降霊術で、科学的にはいろいろな説があるようですが、それだけでは片付けられない事態も起きていますから、危険な遊びには違いなく、悪霊が入り込む場所を提供している側面もありそうです。
映画「エクリプス」が面白いと思ったのは、ありがちなホラー映画ではなく、超常現象を正面から受け止めて、安易に怖がらせようとするのではなく、エンターテイメントの要素を加えながら霊現象の異様さを丁寧に描いたところ。
原題は「ヴェロニカ」で、これは主人公の少女の名前。
邦題の「エクリプス」は事件の背景になる“日食”のことですが、映画の内容からすると原題そのままに“ヴェロニカ”のほうが適切だったんじゃないかな、と思います。
少女ヴェロニカは、働きづめでいつも家にいない母親の代わりに妹二人と小さな弟の世話をしているお姉さんで、亡くなった父親に対する強い気持ちから事件を引き起こすのですが、そんな異常現象のさなかでも妹たちを必死に守ろうとする母性の持ち主として強い印象を残し、オカルト的要素の中に少女ヴェロニカの人間性を描くことに成功していると思います。
1991年6月15日、必死に助けを求める少女の声で警察に電話が入ります。
刑事が現場に急ぎ、部屋のドアを開けて中へ入ると、懐中電灯に照らし出された光景に刑事の表情は凍り付きます。
その三日前。
ヴェロニカ(サンドラ・エスカセナ)は、いつものようにベッドで目覚め、気持ちのいい朝を迎えます。
妹たちに食事の催促をされながら、小さな弟のおねしょを着換えさせ、慌ただしく学校へと向かいます。
その日は日食があるというので、学校では観察のための準備が始まっています。
でもヴェロニカは観察には向かわず、親友のロサとその友達のディアナと共に学校の地下室へ忍び込み、文字盤を使って霊を呼び出そうとしていました。
(日食が霊を呼ぶのに都合がいいためのようです)
ヴェロニカが求めていたのは、亡くなった父の声を聞くことでした。
好奇心と遊び半分で始まった降霊術は、悪霊の侵入を招き寄せる結果となり、ヴェロニカは気を失って倒れ、学校で診察を受けて事なきを得ますが、その日を境にヴェロニカと妹たちの身辺では異常な出来事が次々と起こり始めます。
恐怖にかられたヴェロニカは、母のアナ(アナ・トレント)にも相談しますが、忙しいアナはヴェロニカの話をまともに取り合おうとはしません。
超常現象と向き合わざるを得なくなったヴェロニカたちは再び文字盤を使い、死者との交信によって悪霊との別れを告げようと試みるのですが…。
監督は「REC レック」(2008年)でパニックホラーの第一人者に躍り出たパコ・プラサ。
ヒロインのヴェロニカにスペインの新星サンドラ・エスカセナ。
15歳にして初潮がなく、歯列矯正器具をつけながらも同年齢の女子生徒より背が高く、大人びた雰囲気を持ちながら清潔感の漂う、少女と女性が同居しているようなヴェロニカの存在がこの映画の魅力を高めています。
「エクリプス」を見ていてアレッ? と思ったのは、ヴェロニカたちのお母さんのアナで、どうもどこかで見たことのある気がしていたのですが、なんと、あのスペイン映画の秀作「ミツバチのささやき」(1973年)でフランケンシュタインの存在を信じるいたいけな少女アナでした。
6歳の少女もいつの間にか50歳を過ぎてしまいましたが、子どものころの面影はどこかに残っているものです。
なにしろアナは可愛かった。
「画像は“ミツバチのささやき”より」
事実を基に作られた映画ということで、怖がらせ感見え見えのホラー映画というのではなく(それはそれで面白いですが)、次々と襲い掛かる霊現象には不気味な現実感があります。
“自己犠牲”が主題と思えるような「エクリプス」、ラストはなんだか切なかった。