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JR西日本グループがなぜ「下水道の管理業務」?異業種参入の“勝算”とは
枝久保達也:鉄道ジャーナリスト
ビジネス
News&Analysis
2023.5.8 4:00
後藤総合車両所(筆者撮影)
JR西日本は3月9日、グループ会社の後藤工業とクボタ環境エンジニアリング、東芝インフラシステムズからなる共同企業体(JV)が、鳥取県米子市と鳥取県下水道終末処理施設等包括的運転維持管理業務委託契約を締結したと発表した。なぜ下水道の管理業務に乗り出すのか、狙いを探った。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
下水道の管理業務に乗り出す
グループ会社の後藤工業とは
JR西日本は中期経営計画の中で新たな市場への進出、新たな事業領域への展開、地域共生を掲げており、当連載でも取り上げてきたようにサバの養殖や和牛販売事業など新規事業に挑戦している。
しかし下水道の運転維持管理業務は、これまでの取り組みと位相が異なるように感じる。なぜ米子市なのか。なぜ下水道なのか。そして後藤工業とはどのような企業なのか。詳しい話を聞くべく、筆者は米子に降り立った。
後藤工業は前回の記事で取り上げたJR西日本のグループ会社、JR西日本テクノスの子会社で、JR西日本後藤総合車両所を拠点に、電車、気動車、ディーゼル機関車、事業用車など多様な車種のメンテナンスや工場設備の検査業務を担当している。JR西日本では車両関係の業務は主にJR西日本テクノスに委託しているが、山陰のみ後藤工業が担っているのが特徴だ。
元々は1967年、国鉄OBによって国鉄後藤工場の部品運搬などを行う後藤興業として設立され、順次、鉄道車両や部品の修繕、機械などの検査など業務を拡充していった。1995年に後藤工業に改称。現在は車両を分解する整備のほとんどや、観光列車の改造に加え、島根県を走る一畑電車の車両新造まで手広く手掛けている。
JR西日本は今後、業務の委託範囲を増やしていく方針だが、一方で保有車両数の削減や、省メンテナンス性を高めた新造車両の導入で、長期的には後藤工業の業務量は減少していくことから、鉄道以外の分野を開拓しており、そのひとつが今回の下水道だ。
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