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2017年09月21日

お菓子事始め

初めて私がチョコレートを食べたのは、まだ物心がつくかどうかという小さな頃だったそうです。母によると、初めてチョコレートを口にした時「なんだこれは?」という表情をし、その瞬間からチョコレートの虜になったということでした。以来、言うことを聞かなかった時など「チョコレートをあげるから」と言うと、チョコレート欲しさにすぐに素直になる現金な子どもになりました。

そもそも私の母も生来のお菓子好きだったということでした。母は子どもの頃あまりにご飯を食べないので、祖父母が悩んだ挙句食卓にお菓子が置き「ご飯とおかずを全部食べ終えたらこのお菓子を食べてよし」と、まるで目前にニンジンをぶら下げられた馬のような状態で育てられたそうです。

そんな母が、チョコレートをチラつかせて私を育てたのもある意味当然のことかもしれません。

また母をそのように育てた祖父母からは、数ヶ月に一度くらいチョコレートやキャラメルやビスケットなどがギッシリと詰まった小包が送られて来ました。祖父母は日々の暮らしの中で、孫が喜びそうなお菓子を見つける度にこまめに買い貯めて、ある程度まとまると小包にして送ってくれていたのです。当時は宅配便などない時代でしたから、祖父母は面倒にも毎回小包に紐をかけ荷札を結わえ重い小包を郵便局まで運び送ってくれました。

甘いお菓子と祖父母の愛情は渾然一体となって私を幸せで包み込んでくれました。平仮名が書けるようになった頃には、一所懸命祖父母にお礼の葉書を書いたものでした。今でも小包を開けた時に色とりどりのお菓子がギッシリ並んだ様子が目に浮かびます。

私の育った家では、幼い頃から食事のあとには必ずお菓子タイムがありました。祖父母からのお菓子小包だけでなく、父も「おみや」という名のお土産をよく買って来てくれました。それは当時10円くらいで買えたミルキーやポップキャンディや和菓子のすあまなど安価な子ども用のお菓子でした。それでも私はとても楽しみにしていました。とにかく家には十分すぎる程お菓子がありました。

味覚がどのように決まるのか詳しいことはわかりませんが、生まれながらの好き嫌いというのはきっとあるだろうと思います。私の場合には、生まれつきのお菓子好きに加え、生育環境も益々私をお菓子好きに育てていきました。
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