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魂にメスはいらない 感想




本書は精神分析から、いろいろ書いている。
私は本書の著者についてもユングについても
まったくといって知らないのですが本書は面白いと思った。

本書では、精神分析のために「夢」や「催眠」を使っているのが
出ていたが科学にそのようなものが使えるのかと結構驚いた。
ちなみに本書は1979年に発刊されて、文庫になったのは
1993年なのでかなり古い本なのだが古さを感じさせない
内容だと思った。




p227、228
天皇は母親的でもあるんです。
そこが、日本の天皇制を理解するとき、ものすごくむずかしいところなんです。
天皇制を論理的に批判しようとする人は、西洋のモデルを使うでしょう。
ああいう絶対的な権力を持ったやつがいるから、みんなその命令に服してばかなこと
になったと。つまり、父と息子のモデルをそこに使おうとするわけです。
しかし、父−息子のモデルに近かったのは明治天皇ぐらいで、
ローレンス・ヴァン・デル・ポストという人が、日本の天皇のことを
「雄の女王蜂」と書いていますが、非常にうまい表現ですね。
天皇というのはグレートマザー的な投影を持っているでしょう。
日本人の非常に深い心性とつながっているわけですから、
天皇制はなくならないんですよ。
そういうことも全部含めて考えていかないと、
天皇制を批判できないとぼくは思っているんです。

 そうすると「天皇陛下万歳」も「お母さん」も似たようなものなんですね。

ぼくはそう思います。それから「天皇の赤子」とか
「天皇は民を全部平等に見る」とかいう言葉があったでしょう。
グレートマザーにとって子供は全部一緒ですね。
つまり、天皇は日本人全体のお母さんなんです。



個人的にこの表現は面白かった。
戦争をテーマにした番組を見ると
「戦争で死ぬ人は『天皇陛下万歳』とはいわなかった。その代わり、『お母さん』と言っていた」
というのを聞いた事があるが、この文章を見て無意識にだと思うが
どっちを言っていたにしろ同じような意味になっていたんだと思う。

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