本屋さんに行くと、お腹が痛くなる。
そんな少女でした。
わくわくするから?いいえ、なんだか得体の知れないプレッシャーに見舞われる感覚なんです。
この限られた時間の中で、この本屋さんの中から運命の1冊に出会いたい。
出会わなければ、ここに来た意味が無い。
そんな風に感じていたのです。
でも最近、そんな風に想う本屋さんにも出会わなくなっていました。
私が歳をとってしまって、そういう感情を無くしてしまったのか?とも思いましたが
どうやらそういう訳ではなかったようです。
先日訪れた、京都・一乗寺の
“恵文社”さんは
忘れかけていたあの何ともいえない感覚を思い出させてくれました。
恵文社さんは、以前から私の「行ってみたいお店」リストの上位にランクインされていました。
この外観を見て、なんとなくわかってもらえないでしょうか?
私の少女時代を・・・・。
ちょっと近づいて撮ってみました。
右側の赤い看板の下のドアから入ると、心躍るような雑貨が。
そして、真ん中の青い看板の下から奥までお店は繋がっていて
本、CD,文房具、ペーパー類などが売られていました。
失業中の私は、今回は覗くだけだよ。と思いつつお店に足を踏み入れたのですが
「ヤバイ!ヤバイ!ヤバイよ〜!」
とまるで出川哲郎のように焦ってしまいました(笑)
のっけから文庫本を1冊手にとってしまいました。これは“買い”です。
品揃えされている本が、私を誘惑するのです。
古い本ばかりではなく、最近出た本ですら、よくある大型ブックストアとは一線を隔しています。
高校時代、図書室に新しく入れる本を買い付けに行く司書の先生のお供をしたことがありました。
その出版社で、私は渋澤龍彦の『黒魔術の手帖』の初版本を買いました。
結局それは、大人になって、恥ずかしながらお金に困り古本屋に売り払ってしまったのだけれど
そこそこ良いお値段が付いた記憶があります。
そんな懐かしいことを、思い出しながら店内を物色していると
文具のコーナーに入りました。
ペーパー類や筆記用具が大好きな私にとっては、パラダイス♪なはずなのですが
金欠中の私には、ツライ場所となりました。
もう少しで、小さめのスケッチブックを買いそうになりながらも我慢しました。
そこで、美しい柄の包装紙を見つけました。
そういえば、高校時代、なんとも耽美的な図柄の包装紙で教科書のカバーを作っていたなぁ。
あんな包装紙、田舎のくせにどこで売ってたのだろう?
そんなことも、想い出しました。
気に入った本屋さんになら、一日中いられる。
そんな私ですから、ここでもあっと言う間に1時間が過ぎていました。
あまり長居をすると、家に帰るバスが無くなってしまうので、
後ろ髪を引かれつつも、文庫本を1冊だけ買い、店を後にしました。
この本を買いました。
森茉莉さんは、憧れでした。
『贅沢貧乏』を読んだときは、こんな風に生きてみたいなと想ったものです。
念願叶って、ようやく訪れることのできた恵文社さんは、
私を学生時代にタイムトリップさせてくれる素敵な本屋さんでした。