彼の名前は洋樹
私たちは一日に往復40通ものメールを
やりとりしていた
彼は病気で
彼には好きな人がいた
病気だから ぶつかっていけない
っていつも恋愛に消極的
彼女にもふられたというから
お気の毒になって
「じゃあ私が仮の恋人の役をやってあげる」
そう言ったのがきっかけで
私たちの恋人ごっこは始まった
それからしばらくして彼はこの世を去った
彼が亡くなったあと
彼の運営するHP掲示板に姿をみせた彼の想い人
名前は桜
私は彼女に近付いた
彼女は泣いて泣いて
毎日自分を責めていた
「嫌いでふったわけじゃない」
彼女は彼が病気だし
短い命の彼と現実的に付き合えないと判断したようで…
またもやお気の毒になった私は
「私、実は交霊できるんです」
と、とんでもないことを言った
そんなの嘘に決まってる
でも そうでも言わなければ 彼女は彼に言えなかったこと
ずっと胸にとどめておかなくちゃならないから
洋樹の書きそうな文面なら
私は熟知してる
なにしろ一日40通もメールしてたから
桜は 半信半疑ながら
それでも私と しばらく恋人のようなやりとりのメールをするようになった
しばらくして…
このまま いつまで嘘をつき続けるのか…
そんな罪悪感が私の頭を悩ませるようになり
とあるカケをすることにした
「桜さんの地方、明日雪が降るから」
そうメールに書いて送った
実は私彼女の住んでいる場所すら知らない
雪がもし降ったら
このまま彼女とメールを続ける
もし降らなかったら
嘘はすべてばれてしまう
雪は降らなかった
桜さんは私に言った
「今までありがとう
ちゃんとわかっていました
メールのやりとりをしていたのは あなただってこと
だってね
彼、私にはそんな口調のメール送ってくれなかったもの
いつも、敬語よ
お姫様みたいに扱ってくれた
でもあなたには そういう書き方でメールを送っていたのね
あなたとのメールで
本当の彼の姿が見えました
本当に彼が戻ってきたみたいだった
ありがとう」
私の肩の力は抜けた
すべて わかっていたのか…
彼女は私に礼を言って去った
それからは 軽いメル友
最近メールしてないな
また 送ってみよう
いとしの桜へ…

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