始めは疑問だらけでも、年数を重ねるほど当たり前になっていくのが【 業界用語 】。
友人との会話でうっかり使ってしまって聞き返されたり、ほかの業種の人の
会話が理解できないことはありませんか?
読者のみなさんの会社ではどんな用語が使われているのか、アンケートを実施し、まとめてみました。
調査期間:2011/7/8〜2011/7/16
アンケート対象:COBS ONLINE会員
有効回答数 1,000件(ウェブログイン式)
■あれ? これって業界用語?
まずは業界別に、それぞれの用語を見てみましょう。
アパレル業界:プロパー……定価商品のこと(28歳/女性)
小売業:一本……100万円のこと(25歳/男性)
鉄道会社:M、C……M:運転士、C:車掌(27歳/男性)
ホテル業:ドンデン……短時間で部屋を次のお客さまを迎えられるようにすること(31歳以上/男性)
金融業:赤残、死口座……マイナスになっている口座を赤残、使えない口座を死口座(23歳/女性)
医療関連:HP、DM、レセ、やくたい……病院:HP、糖尿病:DM、処方せん:レセ、薬袋:やくたい
(28歳/女性)
また、ちょっと特殊(?)ですが、
医薬品メーカー:一人焼き肉……蒸気や炎で熱せられた配管に触れてしまって
やけどをすることを言う(31歳/男性)
という意見もありました。
こんな業界用語も、慣れてしまうと友人や家族との会話でも使ってしまいがちです。
一般語だと思っていたけれど、実は業界用語だったという例を挙げてもらうと、
「銀行員は勤め先の銀行に天引き貯金を強制的にさせられるが、めったに解約ができない。
それでもあえて貯金を下ろすことを『タメ出し』と呼ぶ。すなわち、上司に、
『あいつはダメなやつだ』と見下されるというニュアンスを含んでいる」(31歳/女性・銀行勤務)、
「てを貸して=クリップ貸して」(24歳/女性・精密機器メーカー勤務)、
「チャクブ=ビュッフェ形式の食事を取って、座って食べる着席ビュッフェの略」
(31歳以上/男性・ホテル勤務)など、「こんな言葉を普段使われても分かるはずがない」という
言い回しがずらり。
慣れてしまえば業界用語だと気がつかなくなってしまうものなのですね。
■トイレは何番?
次に、「隠語」として使われている言葉を聞いてみると、
「A、B、D、Uなど取引先の頭文字」(25歳/男性・外資系金融機関勤務)というように、
知られては困る取引先やライバル会社などを、頭文字や、アルファベットを
使って表す会社が目立ちます。
また、「スミレはお手洗いのこと」(30歳/女性・アパレル業界)、
「ピンクはトイレに行くこと」(28歳/女性・アパレル業界)のように、
トイレや休憩に関する隠語は業界内に多数存在する模様。
その中でも一番多かったのが、数字に置き換えること。
ただ、
「2番はトイレのこと」(24歳/女性・小売業)、「トイレは5番」(26歳/女性・アパレル業界)、
「トイレのことを4番という」(26歳/女性・販売業)、
「3番行ってきます。これはお昼休憩」(23歳/男性・小売業)、
「1番は休憩」(24歳/女性・小売業)、「休憩は9番」(26歳/女性・アパレル業界)と
数字の意味は会社によってまちまちでした。
ほかの隠語としては、
「『ホット客』は、次商談時に契約を取れるくらい車を買いそうなお客さまを指す」
(26歳/男性・自動車ディーラー)、「#をつけたら、要注意なお客さまという意味。
#の数が増えるほど、注意度が増す」(29歳/女性・サービス業)など、
お客に関する秘密ごとや、「『お兄ちゃん』。賞味期限が早い商品と遅い商品を
区別するための言葉」(28歳/女性・食品販売)、
「兄と弟。どちらが賞味期限が近いかを言う」(25歳/女性・飲食業)など、
商品の価値にかかわることについては隠語が使われていることが多く、中には
「『担当のヒキタさん(店内放送)』というのは万引のこと」(28歳/女性・アパレル業界)というのもありました。
■リミッター解除! 仲間うちだけのオモシロ用語
最後に、仲間内だけで使われている用語をたずねてみると、次々とおもしろい言葉が出てきました。
「フローチャートを言い損ねて、フリョーチャート」(25歳/女性・IT関連)、
「食事前に合掌の掛け声をかけているが、あるとき当番の人が間違えて、
『黙想』と言ったのがきっかけで、たまに『黙想』と言うようになった」(23歳/男性・飲食業)
など、言い間違えから派生したものもあれば、
「仕事がとても暇だったとき。Kill the timeをKTTと言って、『KTT活動してる?』と使ってた」
(30歳/女性・金融業勤務)、「街中でかわいい子がいた時、友達に知らせる方法として、
女の子がいる位置を時計で表す。前方だと12オクロック、真後ろだと6オクロックなど」
(31歳/男性・航空会社勤務)、「古典でよくないことを『わろし』と言うので、悪いことが
起きた日には、わろしと言っている」(26歳/男性・倉庫勤務)、
「『アマリカン・ドリーム』。兵庫県尼崎市出身で、出世や成功すること」(31歳/女性・銀行勤務)、
「『ベルサッサ』。昼休み、外食するときなど、ベルが鳴ったらさっさと行こう、と
いう意味」(22歳/女性・医薬品メーカー勤務)、
「友人がバイキングで、ベルトを外しながら『リミッター解除!』と言ったことから、
食べるためにベルトを緩めることを『リミッター解除』と言うようになった」(24歳/女性・小売業)
と、仲間内で工夫を凝らした言い回しも見られます。
また、業務で使う言葉を当てはめたのか、
「週末デート=頻回投与」(25歳/女性・製薬会社勤務) というものがありましたが、
どんなデートになるのでしょうか……。
業務とは直接関係ありませんが、
「ダメだというのを岡山弁で『おえん』といい、厳しい状況の時に『おえん、おえん』と言っている」
(37歳/男性・通信業)
という、なんだか悲しそうなものや、
「『否認してください』(×『避妊してください』)と大声で上司に言って、大笑いされたことがあるので、
小声で言うようにしています」(30歳/女性・銀行勤務)なんて人もいました。
会社で毎日、なにげなく使われている業界用語。こうして集めてみると、
周囲ではやらせたくなるような、ユーモアたっぷりの言葉の宝庫でした。