2017年01月18日

リチウム電池の改良と次世代電池の開発

電池にはアルカリ電池の様な使い切りの電池(1次電池)とリチウムイオン電池の様な充電して繰り返し使える電池(2次電池)がある。

現在最も幅広く使われている2次電池はリチウムイオン電池で1980年代に日本人によって開発され1990年年代に製品化された。

リチウムイオン電池は現代生活の中で欠かせないスマホやノートパソコンからハイブリッド自動車、ジェット機用などの電源としてその重要性がますます高まっている。

電池の構成は正極、電解質、セパレーター、負極で構成されているが、リチウムイオン電池は電解質に有機溶媒を使用しているため、液漏れしたり、過熱すると発火する危険性がある。
これまでにスマホでは何度も発火の事故があり、ボーイング787の事故や、最近でも韓国メーカーのスマホが発火した。

液漏れは電解質を半固体(ゲル化)することにより防げるが発火は防げない。


この問題を根本的に解消するために個体の電解質を使う「全固体電池」の実用化に向けた研究が行われている。

固体なので構造が単純になり小型軽量化が期待出来る。また1ユニットを多層積み重ねて電圧を高めることも出来る。

ただ、液体電解質に比べ固体電解質はイオンが流れにくいのが難点ではあったが、東工大と自動車メーカーとの共同研究で通常のリチウムイオン電池のイオンの2倍の流れやすさの新素材セラミクス電解質が開発された。


一方繰り返し使用(充電)により陰極表面にリチウムが不規則に析出し電極表面が劣化し、蓄電容量が低下していたが、素材をポリイミドに変えリチウムイオンの通る穴を細かくし均一にした新規セパレーターの開発で性能劣化を抑える方法が開発された。


ところで、
改良され現在広範に使われているリチウム電池にも欠点があり、新たな研究・開発がすすめられている。

1つはリチウムがレアメタルで産出国がチリ他に限られていること。これに対しては自然界に豊富にあるナトリウムを使うナトリウムイオン電池の開発が進められている。

2つ目は電気容量が小さいということ。
これについては、NEDOを中心として正極にシリコン(又は錫)、陰極に硫黄(S)を使うシリコンー硫黄電池が
当面の第一候補として研究が進められている。
リチウムイオンの次の電池.GIF
尚、今後の2次電池の今後の長期開発計画(ロードマップ)がNEDOによって策定されている。
東洋経済のサイトに分かり易い図があるのでご参照。

NEDOのロードマップ原文(2013年の改定)はここをご参照)

その他科学技術振興機構(JST)の次世代蓄電池のページもご参照。

<ご参考>
尚電池一般については一般社団法人電池工業会のホームページが電気教科書様であり、歴史から各電池の各論、使用法等まで網羅されている。

歴史のページでは、私は初めて知ったのだが、1885年に長岡市出身の屋井先蔵(やいさきぞう)という日本人が世界初の 乾電池を発明し、生産していたのですね。

追記
ポストリチウムイオン電池として2価金属イオン電池があるが、中でも最も期待されているのが
マグネシウムイオン2次電池。これについては、ここからご参照。
posted by taiga at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 蓄電池
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taiga
大手化学系メーカーで各種の研究、製造現場、技術営業等種々経験。 特に各種素材に携わった事が財産。退職後現在某大手不動産系列で勤務の傍ら、朝日、読売新聞、日経産業新聞、その他季刊誌、雑誌、折り込み等からの情報収集、及び面白そうなイベントには極力顔を出し、自分自身体験しながら、面白情報、お役立ち情報を仕入れています。 これまで取り溜めた膨大な情報は残念ながら殆ど発信しなかったので今後は新規入手情報は逐一小出しに発信して行こうと思っています。乞うご期待。
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