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2020年02月27日

政府の感染拡大対策に最も欠けて居るもの 当事者意識共有出来ぬ安倍政権




 政府の感染拡大対策に 最も欠けて居るもの 

 当事者意識共有出来ぬ安倍政権 衆院予算委集中審議


       〜47NEWS ジャーナリスト 尾中香尚里 2/27(木) 16:22配信〜


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           衆院予算委で質問する立憲民主党の枝野代表 26日

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡って安倍政権への厳しい視線が日に日に強まる中、26日の衆院予算委員会集中審議で、立憲民主党の枝野幸男代表が質問に立った。
 東日本大震災(2011年)当時、官房長官として対応に追われた枝野氏。新型コロナウイルス問題の広がりを震災と重ねる声が出始めて居り、枝野氏の質疑は注目を集めた。

 足り無いのは政府全体の危機意識

 「種類は違うが私も9年前、同様の事態に対応する経験をした。その経験も踏まえ野党としても、政府に協力する立場で、我々の処に入る情報を共有し政策提言して来た」

 枝野氏は質問の冒頭をこう切り出した。政権側との対立を煽る事は抑え目にしながら、前半はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客への対応の不手際や不十分な情報公開、PCR検査の実施体制の不備等を一つ一つ質して行った。
 一般のニュースではこの辺りの質疑が注目された様に思う。だが、個人的に聞き入ったのは、寧ろ後半に入ってからだった。

 「政府全体の危機意識が足り無いんじゃないか」

 中盤以降に枝野氏が焦点を当てたのは、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の運営だった。安倍晋三首相を本部長に全閣僚で構成される対策本部は、1月30日の閣議で設置され、これ迄に14回の会合を重ねている。

 枝野氏は「記録を(首相官邸の)ホームページ等から把握出来た6回目以降、厚生労働省以外で、対策本部に資料提供した省庁は有りますか」と質問。菅義偉官房長官が「国家安全保障局2回・出入国在留管理庁1回・内閣官房の健康・医療戦略室1回」と答弁した。

 厚労省以外は人ゴト
 
 成程、国家安全保障局や出入国在留管理庁が或る意味「突出」して居るのは、政府がコノ問題を水際対策としてしか捉えて居無かった事の証左であり、だから水際対策が破綻した今、対応が後手後手に為って居るのだな。そんな事を考えながら質疑を聞いて居ると、枝野氏はヤヤ違う方向を攻めて来た。

 「厚生労働省だけナンです。他の役所は人ゴト」厚生労働省を除く省庁の当事者意識の欠如に対する苦言だった。「交通機関の問題が有る・・・これは国土交通省」「学校に対する影響は文部科学省。入試の時期でもある。どうして行くのか」「経済に対する影響は経済産業省。農業に対する影響も有る」

 枝野氏はこれ等を立て板に水の勢いで列挙すると「東日本大震災では、夫々の所管官庁で対応し無ければ為ら無い事に付いて、我が省はこう云う事を遣ると云う(報告が)幾つも出て居た。今回の新型コロナウイルス問題ではそう云うのが一切無い。厚労省に押し着けて、政府を挙げて遣って居る感覚が足り無いのではないか」と質した。
 「各省庁でドンな事(対応)を遣って居るのか、時間が無いなら資料配布だけでも共有して、感染拡大防止と、それによる社会的影響を如何に最小化するかに付いて大きな役割を持って居るんだと云う当事者意識を、各閣僚が持って貰わ無いといけ無い。その問題意識を持つ為の対策本部でもある。そうした事を遣って居ないから、私用で3人もの大臣が大事な対策会議を欠席する様な事に為るんじゃないですか」

 東日本大震災の経験 考えられた質疑

 「政策課題の共有」と同時に枝野氏がもう一つ指摘したのは「省庁を横断した人手の確保」だ。

 「厚労省は人手不足だと思う。感染防止に直接関わる事は厚労省にしか出来無いかも知れ無いが、地方(自治体)から情報を集めて資料にして、何件検査が出来て居るか把握すると云った事は、他の役所から人を出して貰って出来る筈だ。そう云う事をこの対策本部で遣ったんですか」

 更にこう付け加えた。

 「昨日(25日)政府の基本方針が出されたが、記者会見したのは加藤勝信厚労相。基本方針の中身は厚労省の所管だけでは無いのに、何で厚労相が発表するのか。政府全体の危機意識の欠如だと言わざるを得無い。国民に『安心してください、此処まで遣って居ますよ』と言う責任が有るのは、総理や官房長官ではないんですか。違いますか」
 
 与野党の政権交代が起こり得る政治の意義は、野党側も政権運営の経験を持ち、相手を分かった上での質疑が出来る事なのだと実感した。
 枝野氏は東日本大震災での自身の経験があってコソ、現在の安倍政権の対応の不足が分かる。厳しい追及の中にもそれ為りに節度の有る質疑を展開しながら、一方で野党側に一定の政権担当能力がある事をアピールする、ナカナカ好く考えられた質疑だと思えた。
 菅氏が答弁で「震災の時は大変な思いの中で陣頭指揮に当たられたと思う」と語る等、この政権には珍しく、枝野氏に一定の敬意を払う様な場面も見られた。

 「何を遣って居るか」語らぬ首相

 問題は矢張り首相である。答弁は概ねコンな感じだ。

 「感染症対策に付いては連日関係省庁から報告を受けると共に、私を本部長とする対策本部において、関係閣僚に対して必要な指示を行う等、政府一丸と為って全力で取り組んで居る。対策本部の際は、報道陣の目の前で私から直接指示を出して居る。官房長官も毎日2回会見を行い、我々がどう云う対策をして居るのか説明して居る」

 「私は一生懸命遣って居る!」と云う事は繰り返されるが、肝心の「何を遣って居るか」が全く無い。枝野氏は「首相が記者会見で直接国民に訴える事」を求めて居たが、正直、こう云う言葉のママ記者会見に臨んでも、国民は返って不安に為るだけだろう。
 恐らくそれが分かって居るから、首相は対策本部の短い冒頭挨拶、所謂「頭撮り」を報道陣に見せて「遣ってる感」を演出して居るのだ。こう云う「何も語って居ない」場面はニュースには流れ難い。どうしても報道は、その時々でニュースに為って居るトピックを追い掛け、その中で首相の「見出しに為る」答弁を選び出して記事にし勝ちだからだ。

 それが悪いとは言わ無いが、時間が有ればテレビやネットの国会中継で、切り貼りされて居ない質疑を見る事をお勧めしたい。「整えた」言葉では伝わら無いものがライブの世界には有る。政治家が何を語って居るかも大切だが「何を語れて居ないか」に注目する事も、同じ位重要だと考える。


              ジャーナリスト 尾中香尚里

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                   以上









 秋葉首相補佐官が資金パーティー 

 イベント自粛の要請当日 新型肺炎

                
              〜時事通信 2/27(木) 18:10配信〜

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            秋葉賢也 衆院議員 (自民・衆院宮城2区)

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑える為安倍晋三首相が大規模イベントの自粛を呼び掛けた26日、秋葉賢也首相補佐官(自民・衆院宮城2区)が地元で政治資金パーティーを開いて居た事が分かった。秋葉氏の事務所関係者は27日、規模を縮小して開催したと説明したが、首相補佐官として国民に協力を求める立場だけに、自民党内からも疑問視する声が上がった。

 事務所等によると、パーティーは出版記念の名目で26日午後6時から約1時間半、仙台市内で行われた。政府の専門家会議が自粛例に挙げる立食形式を取り、支援者ら200〜300人が参加。秋葉氏本人も出席し、河野太郎防衛相からのビデオメッセージが紹介された。ウイルス感染を考慮し、出席者にはアルコール消毒を要請したと云う。
 首相は26日昼に首相官邸で開いた政府対策本部の会合で、大規模イベントは2週間、中止や延期・規模縮小とする様国民に要請。これを受け、コンサート中止等が相次いだ。秋葉氏は対策本部のメンバーでは無いが、本部会合から半日程度でパーティーが開かれた事に為る。


                   以上








 新型肺炎 自粛要請当日にパーティー開催
 
 の秋葉補佐官「無頓着に開いたのでは無い」


               〜産経新聞 2/27(木) 20:50配信〜


 自民党の秋葉賢也首相補佐官は27日、政府が各種イベントの自粛を求めた26日当日に仙台市で政治資金パーティーを開いた事に付いて「東北地方は患者の発生が無く、検査態勢に余裕がある事を確認した」と延べ、問題が無かったとの認識を示した。首相官邸で記者団の取材に答えた。
 秋葉氏は「無頓着に開いたのでは無く、来場者数を減らし時間も短くした。患者が出て居る東京で開いた議員も居り、批判されるのは心外だ」と反論。政府の専門家会議が集団感染が起き易い例として挙げた立食形式だったが「当日の事で変更が難しかった」と釈明した。


                    以上









 新型コロナで失態 突如揺らぎ出した安倍政権の足下

              〜JBpress 2/28(金) 18:20配信〜


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 新型コロナ対応を批判され、苦しい立場に追い込まれつつある安倍晋三首相(写真:つのだよしお アフロ)

 危機管理に強いと云われて来た安倍晋三政権が、新型コロナウイルスの対応に失敗した。横浜港のクルーズ船への措置で国際社会から厳しく批判され、国内対策では場当たり的対応を繰り返し、国民を困惑させたのは明白だ。
 世論次第では安倍内閣の総辞職も有り得るが、その気配を敏感に察知したのだろう。安倍首相は2月28日、全国休校に伴う経費を政府が負担する考えを示した。当面の政局はどう展開するのか。29日に予定される安倍首相の記者会見を前にポイントを整理して置く。


 「経費負担」で狙う批判封じ込め

 2月27日夕、安倍首相は3月2日から全国全ての小中高に付いて、春休みに迄休校とする様要請する考えを示した。正に寝耳に水のニュースで教育現場や自治体、子供を持つ親たち衝撃が走った。
 爆発的な拡散を食い止める為の対策として冷静に評価すべきとは言え、今や共働き家庭が主流である日本社会に於いては唐突過ぎる決定と受け止められた。案の定「会社を休ま無いと小学生の子供の面倒を看られない」と云った親達の悲鳴がインターネット上に氾濫した。

 一夜明けた2月28日午前、国民の批判や不安を感じ取ったのか。安倍首相が異例の経費負担に言及した。

 「小学校低学年のお子さんが自宅待機と為れば、お父さん・お母さんが会社を休ま無ければ為ら無い」「経済界にも有給休暇を取り易い様対応をお願いして居るが、中小企業・小規模事業者に取っては経営上の困難が発生する場合があり、対応も当然考え無ければ為ら無い」(安倍首相)

 麻生太郎財務相も「政府の要請に依って掛かる経費が有る場合は、政府が払う事に為る」と断言した。厳しい世論や政権への怨嗟を感じ取った挽回策と云えるだろう。

 2カ月は持つ
 
 全国休校に伴う企業等への経費負担で当面を乗り切ったとしても、東京五輪が不開催と為れば状況は一変する。自民党の鈴木俊一総務会長は2月26日、早くも「感染拡大に歯止めが掛からず、万が一、予定通り五輪を行う事が出来なければ、直ぐ政治責任が持ち上がる」と述べた。この見方は、永田町関係者の衆目の一致する処だ。

 IOC・国際オリンピック委員会の動きはポイントと為る。IOCでは、欧州の王侯貴族や一部のアスリート出身者等が絶大な力を持って居りアジア諸国のパワーは弱い。日本はクルーズ船対応でネガティブイメージが定着、しかも隣国は新型コロナ震源地の中国である。繰り返しに為るが、東京五輪の中止又は延期のシナリオは想定して置か無ければ為ら無い。
 新年度予算の成立は確実であり、内閣支持率は未だ40%前後ある。安倍政権は党内でも強固な支持基盤を有して居る為、ソモソモ簡単には崩れ無い。支持率に限って云えば「1カ月で10%前後の下落」が最悪の部類であり、逆算すれば2カ月は持つ計算に為る。

 只、5月の大型連休以降は危うい。支持率の貯金を使い果たすかも知れないからだ。と為れば、安倍首相は衆院解散を打つタイミングが見当たら無い。解散を打て無い内閣は総辞職と云う悪夢が近付いて来る。只でさえ増税で落ち込んだ経済が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた株価の下落で更に落ち込めば、アベノミクスは崩壊する。何れにしても自民党内政局は確実だ。

 なお「桜を見る会」の問題ばかりを追及して新型コロナウイルスの質問をサボって来た野党に出る幕は無い。だが、野党の空気を読ま無い質問に助けられ、緊張感を失って居たのが安倍政権なのだから、野党もそれ為りに反省し無ければ為るまい。

 「菅ワンポイント内閣」? 

 「ポスト安倍」の最右翼は岸田文雄政調会長である。内閣の一員では無いので、後継に収まり易い。自民党の党則によると「総裁が任期中に欠けた場合」「特に緊急を要する時」に限り、党大会に代わる両院議員総会で後任の総裁を選ぶ事が出来る。国会議員による投票で総裁選を行えば、議員票で有利な岸田氏に安倍首相からバトンを渡す事は十分現実的だ。大型連休明けに総裁選を行い、五輪の無い今夏、乃至年内にも岸田氏が衆院解散を断行すれば、自公連立政権は安泰だろう。

 不気味なのは菅義偉官房長官だ。一連の新型コロナウイルスに関する対応では、加藤勝信厚労相に任せ限で事務的な対応に終始した。別に可笑しくも何とも無いが、何事も主導権を取って来た菅氏としては珍しい。官邸内では「安倍首相側近が、新型コロナ対応を菅氏に遣らせ無かった」(全国紙記者)との憶測もある。
 年が明けてからは記者会見での無難な答弁も戻って居り、力を温存して居る様に見えるのは気の所為だろうか。二階俊博幹事長に近い筋からは「二階・菅はセット売りだ。二階氏が居る限り、菅政権は有り得る」との見方が出て居る。これ又不思議な事に、新型コロナに関し二階氏の発信は現時点では控えめだ。

 犬猿の仲とされる麻生氏と菅氏は、2月14日夜に都内の日本料理店で会食して居る。岸田氏との連携に傾いて居たとされる麻生氏と菅氏の接近は興味深い。「ワンポイントで菅政権、その後、岸田本格政権」との見立てが政局記者達を刺激する。
 そこ迄行かなくても、麻生・菅・二階・岸田の4氏を中心に水面下での駆け引きは続いて居ると見て好い。嫌、この4人が「新4人組」として政局を動かして行く可能性もある。

 機能不全の4日間

 安倍政権の「危機管理能力」は元々高かった。例えば2013年1月、アルジェリアで発生した人質事件の際には、菅義偉官房長官を中心とした情報管理・公開を徹底し、救出の為に政府専用機を活用した。邦人10人が犠牲に為ったが、政権の緊張感が漲った動きをみせた。
 未知のウイルスとの戦いと人質事件を勿論同列視する事は出来ないが、新型コロナウイルスへの一貫性の無い対応はこれ迄の安倍政権とは思え無い。

 纏めると、僅か4日間だけでも、これだけチグハグな動きをして居る。

 ⊡ 2月24日 政府の専門家会議が「集会や行事の開催方法の変更・移動方法の分散、リモートワーク、オンライン会議等の出来得る限りの工夫」を強調する見解をまとめる
 ⊡ 2月25日 政府は一律のイベント自粛では無く、開催の必要性の再検討を要請するに留めた専門家会議の見解を踏襲して居るだけ
 ⊡ 2月26日 安倍首相が一転して全国的なスポーツ・文化イベント等に付いて2週間の自粛要請を表明 突然の自粛要請で経済的ダメージ拡大
 ⊡ 2月27日 全国の小中高の休校要請を表明自治体や教育現場・親達の反発や不信感を増幅させた


 トテも「状況が変化するに合わせて柔軟に機動的に対応して居る」等とは言え無い様な、一貫性の無さだ。窮地の安倍首相が、29日の記者会見でドンな発言をするのか。全国民が注目する、大舞台と為るのは間違い無い。


                紀尾井 啓孟     以上
























新型コロナ「封じ込め」失敗 日本は間も無く大不況に襲われる




 新型コロナ「封じ込め」失敗 日本は間も無く大不況に襲われる

      〜現代ビジネス 磯山 友幸 経済ジャーナリスト2/27(木) 7:01配信〜


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 武漢封鎖から1週間遅れで

 新型コロナウイルスへの感染が日本国内でも広がって居る。渡航歴が無く、1次感染者との濃厚接触も確認出来ない人の感染が各地で報告されて居る。又クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から陰性だと判断されて下船した乗客の中から、帰宅後に感染が確認されるケースも相次いで居り、人から人への感染が明らかに為って居る。事実上「封じ込め」は失敗に終わったとみて好いだろう。

 安倍晋三首相が、中国・武漢市を含む湖北省に滞在歴のある外国人に対して入国拒否を表明したのは1月31日の夕方。2月1日午前零時から実施された。武漢市当局が公共交通の遮断に乗り出し、1000万人都市の封鎖に踏み切った1月23日から1週間が経過して居た。
 この間、中国からは日本に大量の訪日旅行客が遣って来た。JNTO・日本政府観光局が2月19日に発表した推計によると1月の中国からの訪日客は92万4800人。前年1月に比べて22.6%も増えた。中国の新年に当たる春節(旧正月)の休みが、昨年は2月だったものが今年は1月に為った事もあり大きく増加した。

 湖北省からの入国拒否を日本政府が決めたのが1月31日なのは、明らかにこの春節休みが終わるのを待って居たとみられる。春節前に入国禁止等の措置を取れば、飛行機や宿泊ホテルのキャンセルが相次ぎ、経済的な損失が生じる。
 決定は出来るだけ先送りし混乱を小さくすると云う、何時もの官僚の姿勢が、今回はハッキリと裏目に出たと言えるだろう。クルーズ船の乗客は隔離する一方で、武漢を含む中国からの入国は通常通りに受け入れると云う、チグハグな対応を続けた事に為る。

 2月1日に湖北省滞在外国人の入国拒否に踏み切った段階では、米国やシンガポール、オーストラリア等が中国全土からの入国を拒否して居た。日本政府は1月13日に為って、要約浙江省に滞在歴の有る外国人も入国拒否の対象に加えたが、2月25日現在、それ以上、対象地域を拡大して居らず、後手後手に回って居る感は否め無い。その間にも、日本での感染者は増え続けて来たのである。

 高リスク国・日本に誰が行くものか

 そんな日本を「高リスク国」と見做して、日本人の入国制限を始めた国も多い。2月に入って早々、太平洋の島国ミクロネシア連邦やツバル、サモア、キリバス等が日本人を含む外国人の入国を拒否した。小さな島国と云う隔離されたエリアにコロナウイルスが持ち込まれれば、国の壊滅に結び着きかね無いと云う危機感がある。
 こうした動きは更に広がり、インドネシアが日本人の入国を拒否した他、イスラエルも日本や韓国に滞在した自国民以外の外国人の入国を禁止する措置を発表した。香港も、感染者が急増して居る韓国人の香港入境を禁止、日本人に付いては禁止にはし無いものの、14日間隔離する方針を打ち出した。
 日本が手をこまねいて居る間に、日本人や韓国人も、中国人と同様のリスクと見做され、遮断され始めて居るのだ。

 政府は2月25日に為って対策の「基本方針」を発表したが、症状の軽い人に自宅療養を求めるとした程度で、大型イベントの開催可否等に付いては自治体の判断に委ねる等、此処でも後手に回って居る印象で、強い批判を浴びた。
 一方で民間ではJリーグが試合の延期を決めた他、感染者が出た電通は本社の全社員を自宅勤務に切り替える等独自の対応が広がり、経済への影響が現実のものに為り始めて居る。

 1月の訪日客は全体では1.1%減と為ったが、これは日本との関係が冷え込んで居る各国からの訪日客が59.4%減と大きく落ち込んだ事が主因。中国の22.6%増の他、香港も42.2%増、台湾19.0%増、シンガポール33.2%増等、春節休暇での訪日客が大きく増えた。
 最も2月は、昨年は春節だった反動もある為、訪日客数は激減すると見られる。コロナウイルスへの警戒から旅行を取り辞める動きも相次いで居り、落ち込みは相当大きく為るだろう。

 最早消費は絶望的に

 これによってインバウンド消費も激減、それで無くても弱い日本の消費を直撃する事に為りそうだ。日本百貨店協会が発表した1月の全国百貨店売上高は前年同月比3.1%減と大きく落ち込んだ。
 消費増税した昨年10月以降、4カ月連続のマイナスだが、春節が在った為、訪日客による免税手続きをした売上高は20.9%像と大きく増えた。1月はインバウンド消費は寧ろ大きくプラスだった訳で、いかに国内消費が弱いかを示している。

 2月は春節効果が無く為る事に加え、新型コロナウイルス蔓延による旅行自粛が鮮明に為る事での訪日客消費の激減も予想される。2019年10−12月期のGDP(国内総生産)は年率換算で6.3%減と云う大幅な悪化を記録、エコノミスト等専門家の間に衝撃が走った。
 前の3カ月と比較する為、2020年1-3月期は持ち直すと云う見方が支配的だが、国内消費が回復に向かう処か、更に縮小する気配で、2四半期連続のマイナスに為る可能性もある。

 政府は補正予算に加え、2020年度本予算でも景気対策費を大きく積み増して居り、何とか景気の減速を食い止め様と必死だが、新型コロナ問題が早期に終息しそうに無いだけに、本格的な景気減退局面入りは避けられそうに無い。


           磯山 友幸 経済ジャーナリスト    以上








 新型肺炎から国民も守れず 不穏な空気が漂う五輪目前のニッポン

            〜まぐまぐニュース! 山岡鉄秀 2/27(木) 4:30配信〜


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 後手に回るばかりか小出し対策ばかりで、新型肺炎感染防止に大胆な策を取れ無い日本政府。クルーズ船内の実態告発等も重なり、海外からは「中国の隣で感染者が増加し続けて居る危険な国」と云う評価が下されて居る様です。
 今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんが、リンピックホスト国としての危機管理意識が決定的に欠けて居る日本の現状を厳しく批判して居ます。


 新型コロナウィルス 日本人の発想に欠落して居る事

 全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。新型コロナウィルス、滔々日本も国内流行期に突入した様ですね。これから何処まで感染が広がり重篤者や死者が出るか予断を許しません。この状況に至っても、日本政府は中国の湖北省と浙江省からの入国制限しかして居ません。何故諸外国と同じ様に全中国からの入国を禁止しないのかと云う声が様々な方面から挙げられて居ます。一方、入国制限はしなくて好いと主張する専門家の方々もいらっしゃいます。

 「入国制限と云う方法自体が大した効果を持たない」
 「既にウィルスの侵入を許してしまって居るから、今から遣っても無駄」


 専門家の方々は勿論専門的見地からそうおっしゃって居るのでしょう。では、仮にその様な主張が正しかったと仮定しましょう。日本は今現在でも、前述の様に限定的な制限しかして居ません。そして、感染者の数は日々増えて居ます。世界は既に日本を疑いの目で見て居ます。

 「日本はナンで対応がこんなに遅いんだろう」
 「日本はナンで限定的な(無駄な)入国制限しかし無いんだろう」
 「日本に行くの危ないよね」


 アメリカ在住の友人によると、テレビでこの様に話して居たそうです。

 「日本人は目先の利益しか見え無い。中国人を入れて、中国以外からの渡航者とオリンピックを失っても構わ無い様だ」

 又悪い事に、ダイヤモンド・プリンセスと云う豪華客船内で感染者が激増してしまい、それが日本の感染者総数に加算されてしまいました。更に、神戸大学の教授が2時間程乗船して「日本政府のハンドリングは中国やアフリカよりも酷くて恐怖を感じた。自分は追い返された」とYoutubeで日本語と英語で発信してしまいました。世界中で大拡散され、これで日本政府への信頼は地に落ちました。サア、今コソ日本政府の挽回のチャンスです。官房長官か総理大臣が宣言してみましょう!

 「モウ無駄なので、効果の無い入国規制は一切辞めて、通常のインフルエンザとして対処します」

 だって、専門家の意見は合理的根拠が有るんですよね?「うわああああああああああ」世界中から悲鳴の様な叫びが聞こえます。

 「日本への渡航全面禁止!」
 「虎の子の代表選手を日本に送れるかー!」
 「オリンピックはロンドンかシドニーで!」
 「日本人の入国全面禁止!」


 日本の国威は失墜し、経済的打撃は甚大でしょう。三流先進国に転落です。グチャグチャに為った状態で、習近平国家主席の国賓来日だけは予定通り実現します。いかがでしょうか?

 「入国制限は効果が無い」

 それは或る前提において、或る部分において本当なのかも知れません。しかし、総合的判断が必要なのです。専門の論文を読んで日本に旅行するかどうか決める人は居ません。残念な事に、日本政府はオリンピックのホスト国である事をスッカリ忘れてしまった様です。
 オリンピックホスト国であれば、殊更厳重に危機管理が出来る事を全世界に向けてアピールしなくては為らなかったのです。間違って、管理が緩くて感染者が多い国として突出してはいけません。

 その意味で、この様な有事に際しては、専門家の意見は参考にしながらも、先ず出来る事は全部遣って、走りながら考え、効果は後で検証する、と云う切り替えが必要なのです。(だったのです)何時も思うのですが、日本人の発想には往々にして、世界にどう受け取られるか世界にどう見られて居るか、世界がどう反応するか?と云う視点がスッポリ欠落して居ます。それ故にこれ迄どれだけ国益を失って来たか判りませんが、今回は命取りに為ってしまうかも知れません。

 この原稿を書き終わった正にその瞬間、在米の友人からメッセージが来ました。Facebookにログインした途端、アメリカ疾病予防センターCDCから「中国と日本には行か無い様に」と云うメッセージが入ったそうです。恐れて居た事が現実と為りました。


 山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110 image by: glen photo / Shutterstock.com

            MAG2 NEWS
      以上







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新型肺炎「日本は五輪の為 感染者を少なく見せ様として居る」PCR検査を巡る陰謀論に与するな





 新型肺炎「日本は五輪の為 感染者を少なく見せ様として居る」
 
 PCR検査を巡る陰謀論に与するな


          〜木村正人 在英国際ジャーナリスト 2/27(木) 11:30〜


        2-27-13.jpg 美容院

       新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査機器(写真 ロイター アフロ)

           2-27-11.jpg

 [ロンドン発]現状では新型コロナウイルスを検出出来る唯一の検査法であるPCR検査を巡り、激しい論争が起きて居ます。日本の検査件数は1日平均約900件に留まり、中国メディアから「東京五輪を開催する為感染者を少なく見せ様として居る」と批判されて居ます。

  「全ての人への検査は有効では無い」

 PCR検査は偽陽性・偽陰性が出る可能性があるものの、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は「唯一の検査法であり、必要とされる場合に適切に実施する必要がある。国内で感染が進行して居る現在、全ての人にPCR検査をする事は対策として有効では無い」と指摘して居ます。
 「既に産官学が懸命に努力して居るが、設備や人員の制約の為、全ての人にPCR検査をする事は出来ない。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化の恐れが有る方の検査の為に集中させる必要があると考える」と重症化の早期発見に全力を注ぐ考えです。

 加藤勝信厚生労働相は26日、国立感染症研究所や地方衛生研究所、民間への委託を合わせて最大で1日約3800件が可能と説明して居たPCR検査に付いて18〜24日の実施件数は1日平均約900件と想定を大幅に下回って居る事を明らかにしました。
 乗員乗客705人、厚労省の職員や検疫官ら7人の集団感染と云う「疫学的大災害」(米紙ニューヨーク・タイムズ)を引き起こした英国船籍のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の検疫でも検査能力の限界から感染拡大の実態把握が遅れてしまいました。

 「五輪開催の判断期限は5月下旬」IOC委員

 国際オリンピック委員会・IOCのディック・パウンド委員はAP通信に「自信を持って東京五輪を開催出来るか問わ無ければ為らない。今の処問題は無いが、5月下旬が判断の最終期限だ。IOCがパンデミックの状況に選手を送り込む様な事は無い」と発言しました。
 中国の独立系メディア、財新は「民間に委託すれば日本は1日に9万件を超える検査を実施する潜在的な能力が有るのに、政府は検査の数を減らそうとして居る。感染者の数を少なく見せる事が出来るからだ」と疑問を唱えて居ます。

 記事中、民間を検査から排除する事で国立感染症研究所は検査の予算を増やす事が出来、政府は東京五輪を予定通り開催出来ると云う陰謀論迄匂わせて居ます。安倍政権が余りにもPCR検査に後ろ向きだった為疑問視する専門家も少なくありません。
 米食品医薬品局・FDAの元長官スコット・ゴットリーブ氏は24日に「韓国では新たに感染者161人と死者1人が報告された。(略)日本は韓国程検査を実施して居らず、感染経路が追え無い事例の割合が多い。日本は大きなホットスポットに為る恐れがある」とツイート。

 26日時点で韓国の感染者は1261人・死者12人。(日本は感染者189人・死者2人)韓国の検査能力は1日7500件でしたが、24日には1万3000件迄アップしました。 韓国の文在寅大統領は集団感染を引き起越したとみられる新興宗教団体の信者20万人以上を検査して感染者を隔離して感染拡大を防ぐ方針です。

 「このママでは、東京五輪はダメでしょうね」

 日本の茶の間でもお馴染みの医療ガバナンス研究所の上昌広(かみ・まさひろ)理事長も只ならぬツイートを連発して居ます。厚労省は2月17日、公費負担で行われる行政検査の対象に付いて各自治体に以下の事務連絡を送っています。

 (1)37.5度以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、入院を要する肺炎が疑われる者(特に高齢者又は基礎疾患が有る者に付いては、積極的に考慮する)
 (2) 症状や新型コロナウイルス感染症患者の接触歴の有無等医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者
 (3) 新型コロナウイルス感染症以外の一般的な呼吸器感染症の病原体検査で陽性と為った者で在って、その治療への反応が乏しく症状が増悪した場合に、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者
 (4)季節性インフルエンザに掛かる検査やその他一般的な呼吸器感染症の病原体の検査で陰性であった場合

 
 限りがある医療資源

 上氏の懸念はそれでは手遅れに為ると云う事なのでしょう。 しかし医療資源には限りがあります。検査能力の拡大を図る必要があるものの、韓国の様に全数把握を目指すより、高齢者や持病の有る人が重症化する前に早期発見して治療に専念した方が賢明だと筆者は思います。
 専門家会議もパレートの法則80:20に従って80より20に優先的に取り組む方針を明確に示して居ます。新型コロナウイルスの研究論文によると重症化すると呼吸不全から多臓器不全を引き起こす恐れがあります。8割は軽症で自宅療養して居れば自然と治ります。

 感染症指定病院の病床数は非常に限られて居ます。水際作戦の最前線が突破されてしまった今、流行のピークを遅らせる一方で最終防衛ラインを犠牲者の最小化に置くのは決して間違った考え方ではありません。健康な人は睡眠や栄養を十分に取って適度な運動で抵抗力を高める。風邪を引いたかなと思ったら自宅で療養するのが公衆衛生のルールです。
 パニックを起こして病院や診療所に殺到して、医療従事者を感染させたり逆に自分が感染したりするマネは厳に慎まなければいけません。 1日約3800件(日本の人口は約1億2680万人)の検査目標はイギリスの約1500件(人口6644万人)に比べてもそれ程見劣りして居る訳ではありません。

 病院や診療所・薬局には行くなと釘を刺すイギリス

 アフリカからの渡航者が多いイギリスでは感染症対策は確立されて居ます。この2週間内に中国の湖北省に、2月19日以降イラン、封鎖されて居るイタリア北部、韓国の特別警戒地域に滞在して居た人は直ぐに111番に電話する様呼び掛けて居ます。
 この2週間に中国や韓国、タイ、日本、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、マカオに滞在して居た人に付いても咳や高熱、息切れの症状が有れば111番。2月19日以降イタリア北部のその他地域、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーに滞在して居た人も同様です。

 新型コロナウイルスの感染が確認された人に接触した人にも111番を呼び掛けて居ます。疑い例の恐れのあるグループは自宅待機させ111番で対応するので、間違っても病院や診療所、薬局には行か無い様釘を刺して居ます。パニックが起きるとそれで無くても人手不足の医療現場が麻痺してしまったり、逆に感染を広げてしまったりする恐れがあるからです。

 陰謀論の源泉

 筆者は安倍政権と専門家会議がグルに為ってPCR検査を怠って居ると云う陰謀論には与しません。それコソパニックを引き起こすインフォデミックに他なりません。 しかし陰謀論の根っコには森友・加計・桜を見る会問題等安倍政権の隠蔽・忖度(そんたく)体質があります。
 安倍政権は科学者主導の体制を構築して、モットモット透明性を高めて行かなければ新型コロナウイルスと闘う事は出来ないでしょう。

 日本医師会は26日、PCR検査を巡り医師が必要と判断したのに検査出来ない不適切事例が無いか全国調査する方針を示しました。新型コロナウイルスの重症患者を死なせ無い様検査のスケールアップとスピードアップが急務なのは言うまでもありません。
 相談窓口の電話番号も分かり易い「567・コロナ」等で統一し、音声認識やチャットボックスを利用して必要な人に必要な情報やサポートを迅速に提供出来るシステムを構築してはどうでしょうか。人工知能(AI)による自動診断や、遠隔診療も検討課題だと思います。


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 木村正人 在英国際ジャーナリスト 在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002〜03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

                   以上







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これは何かの冗談ですか?日本人が知ら無い「大日本帝国の終戦構想」 司馬遼太郎の重要な指摘をご存知か







 これは何かの冗談ですか?日本人が知ら無い「大日本帝国の終戦構想」
 
 司馬遼太郎の重要な指摘をご存知か


             〜毎日新聞 栗原 俊雄〜


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 戦争をどう終わらせる積りだったのか

 今から79年前の1941年12月、大日本帝国はアメリカやイギリスと勝ち目の無い戦争を始めた。「勝ち目が無いって、今だからそんな事を言えるんだろ」と、云う人が居るかも知れない。しかし当時も、軍人を含む少なからぬ為政者達が、アメリカを屈服させる事が不可能である事は分かって居た。では、為政者達は何故戦争を始めたのか。そしてどう遣って戦争を終わらせる積りだったのか。
 今回は開戦迄の経緯と、戦争終結構想を見て行こう。戦争を終わらせるのは戦争を始めるより遥かに難しい事、国は、と云うより為政者達は時に飛んでも無い間違いをすると云う事が分かる筈だ。

 1930年代から40年代初頭に掛けて、中国や南方への進出を進める日本に対し、アメリカは態度を硬化させて行った。決定的だったのが1941年7月の南部仏印進駐だ。アメリカは在米日本資産を凍結し、極めて重要な戦略物資である石油の対日輸出を全面禁止した。
 当時、石油の殆どはアメリカから輸入して居た為、日本としては大きな痛手だった。石油が無ければ多くの兵器が役立たずに為る。兵士を戦地に送る事も難しく為るのだ。

 当時の首相、近衛文麿は対米戦に慎重な海軍を支えとして陸軍の好戦派を押さえ様として居た。処が燃料である石油を止められた海軍は、石油確保の為に更なる南方進出を見据える。近衛文麿首相は対米戦を回避すべく乾坤一擲の策を講じる。ルーズベルト米大統領と頂上対談をし中国撤兵を約束する。そして直ぐに昭和天皇の許可を得ると云うものだ。処が肝心のアメリカが乗って来なかった。

 「戦争は出来ません」と言え無かった事情

 9月6日、昭和天皇が臨席する御前会議で「帝国国策遂行要領」が決定された。外交交渉が纏まら無い場合「10月上旬頃に至っても要求が貫徹出来ない場合は、直ちに対米英蘭開戦を決意する」ものだ。

 戦中派世代の作家、五味川純平が「軍部に追従する事だけに終わった近衛の政治歴の中で、最も決定的な失敗」(「御前会議」)と断じた決定であった。
 只、海軍にも慎重論は根強かった。日本と米英、殊にアメリカとは国力が大きな差が在った。そのアメリカとの戦争と為れば主戦場は太平洋であり、と為れば海軍力が勝敗を大きく左右する。当時は軍艦の保有量等で見ると米英が世界1位と2位で我が日本帝国は3位だった。イギリスはドイツとの戦争で相応の戦力を割か無ければ為らないがアメリカは左程でも無い。帝国海軍の物量的劣位は明らかだった。

 陸軍はどうか。1937年に始まった中国との戦争が泥沼化し大きな戦力を割いて居た。米英との戦争と為れば東南アジア・太平洋諸島が戦場と為る。と為れば典型的な二正面戦争と為る。米英より遥かに軍事力で劣る中国さえ屈服させられ無い日本が米英を屈服させる事は不可能だった。
 その事は陸海軍とも分かって居た。為らば戦争が出来る筈が無い。しかし両方とも、そうは言え無い事情があった。

 アメリカとの交渉を纏める為には、中国からの撤兵は避けられ無い。営々と中国侵略を進め傀儡国家満州国を造る等、多くの「成果」を得て来た陸軍としてはそれは避けたい。一方で、代々の仮想敵国はソ連でありアメリカとの戦争は必ずしも望むものでは無い。出来れば海軍から「戦争は出来ない」と言って欲しい・・・それが陸軍の思惑だった。
 海軍もアメリカとの戦争とは避けたい。しかしそのアメリカを仮想敵国として莫大な国費を費やして来た手前「アメリカと戦争は出来ません」とは到底言え無かった。

 或る組織、例えば陸軍や海軍の人間が自分の組織の利益を最優先するのは自然だ。夫々の利益が矛盾した場合、当事者同士の交渉では解決しない。第三者が調整力・指導力を発揮し無ければ為ら無い。しかし大日本帝国ではそうは為ら無かった。

 歴史に「もしも」は禁物とされるが・・・

 日米交渉は進ま無いママ10月上旬を迎え戦雲が立ち込めて来た。同月14日、陸軍の中で対米戦回避を模索して居た武藤章軍務局長が富田健治の元を訪れた。富田は第2次・第3次近衛内閣で内閣書記官長を務めた人物。内閣の要であり陸海軍と内閣の連絡・調整も行う役目だった。
 富田は1962年、近衛内閣の内幕をつづった「敗戦日本の内側 近衛公の思い出」を著して居る。現在は入手困難だが、2019年秋に刊行された『近衛文麿と日米開戦 内閣書記官長が残した『敗戦日本の内側』』(川田稔編・祥伝社新書)で内容を確認出来る。富田によれば武藤は以下の事を言った。

 「海軍が本当に戦争を欲し無いなら、陸軍も考えねば為らぬ。処が海軍は、陸軍に向かって表面はそう云う事は口にしないで、只総理一任だと言う。総理の裁断と云う事だけでは陸軍内部を抑える事は到底出来ない。しかし海軍が、この際は戦争を欲し無いと公式に陸軍に言って来れば、若い連中も抑え易い。海軍がそう云う風に言って呉れる様に仕向けて貰えないか」

 富田は武藤の依頼を海軍の岡敬純軍務局長に伝える。岡は「海軍としては、戦争を欲し無い等と正式には言え無い。首相の裁断に一任と言うのが精一杯」と述べた。ゲタを預けられそうに為った近衛は10月16日、内閣総辞職を選んだ。天皇が次の組閣を命じたのが東条英機陸軍大将である。
 内大臣の木戸幸一が好戦的だった東条を首相に推挙した処、昭和天皇が「虎穴に入らずんば虎児を得ずと云う事だね」と言った事は好く知られて居る。(木戸日記)東条に、陸軍の主戦派を押さえて戦争を回避させたい・・・そう云う狙いだった。しかしその東条も対米戦に前ノメリト為る陸軍を抑える事は出来なかった。

 陸軍から開戦の是非を事実上委ねられた海軍が「アメリカとの戦争はすべきでは無いと考える」と言って居たら。近衛が「海軍に判断を任されたから自分が裁断する・・・明治憲法の制度上極めて異例だが。アメリカとの戦争は避ける。それを前提に今後の国策を決める」と決めて居たら。日本の現代史は大きく変わって居ただろう。

 歴史に「もしも」は禁物とされるが、筆者はケースバイケースだと思う。「もしも」は為政者達の判断ミスや不作為を炙り出す有益な思考実験にも為り得るからだ。只海軍だけの責任では無い。中国からの撤兵を頑として拒んだ陸軍にも巨大な責任があるし、軍部を制御出来無かった政治家にも有る。適切なシビリアンコントロールが出来無く為る様な、明治憲法体制の構造的問題でもあった。(天皇の統帥権独立の問題)

 講和に向けた筋書き

 為政者達は米英等との戦争を決めた。目指して居たのは講和である。勝て無い以上は妥当な目標ではある。ではどう遣って講和するのか。

 筋書きが決まったのは1941年11月15日の大本営政府連絡会議であった。同会議は首相や外相等の主要閣僚と、陸軍の参謀総長と海軍の軍令部総長等が構成し国策決定・戦争指導に関わるものだ。同日「対米英蘭蒋戦争終末促進ニ関スル腹案」を纏めた(『戦史叢書 大本営陸軍部 大東亜戦争開戦経緯5』防衛庁防衛研修所戦史室)

 先ず「方針」が示された。

 一 速ニ極東ニ於ケル米英蘭ノ根拠ヲ覆滅シテ自存自衛ヲ確立スルト共ニ更ニ積極的措置ニ依リ蒋政権ノ屈服ヲ促進シ独伊ト連携シテ先ツ英ノ屈服ヲ図リ米ノ継戦意志ヲ喪失セシムルニ勉ム
 二 極力戦争相手ノ拡大ヲ防止シ第三国ノ利導ニ勉ム


 更に「要領」

 一 帝国ハ迅速ナル武力戦ヲ遂行シ、東亜及西南太平洋ニ於ケル米英蘭ノ根拠ヲ覆滅シ、戦略上優位ノ態勢ヲ確立スルト共ニ、重要資源地域並ビニ主要交通線ヲ確保シテ長期自給自足ノ態勢ヲ整フ(後略)
 凡有手段ヲ尽シテ適時米海軍ノ主力ヲ誘致シテ之ヲ撃滅スルニ勉ム
 二 日独伊三国協力シテ先ヅ英ノ屈服ヲ図ル。(以下略)


 要するに・・・

 (1)東アジアや西南太平洋におけるアメリカ、イギリス、オランダの勢力を排除する。重要資源を確保、長期自給自足体制を整備する
 (2)中国の蒋介石政権への圧力を強め、屈服させる
 (3)三国同盟を結んでいたドイツ、イタリアと連携し、まずイギリスを屈服させる
 (4)それによってアメリカの戦意を失わせる。それで講和に持ち込むと云うものだった。


 最も現実味があったのは(1)である。実際、開戦後はフィリピンからアメリカ、シンガポールからはイギリス、インドネシアからはオランダを追い払った。石油等重要資源の供給地も押さえた。只それを運ぶ為の制空権・制海権を長く保持出来なかった為、長期自給自足態勢は出来なかった。そして(2)中国との戦争は泥沼化して居て決着する見通しは無かった。
 決定的に問題なのは(3)(4)である。ドイツはフランスを占領する等、開戦後破竹の勢いを見せて居た。しかし海軍力が弱く、イギリスに上陸し「屈服」させる事は難しかった。更に1941年6月にはソ連との戦争を始め、典型的な二正面作戦をして居た。

 そんな状況で、仮にドイツがイギリスが降伏させたとしても、それでアメリカが戦意を失い日本との講和に乗り出す保障は全く無い。詰まり大日本帝国は、希望的観測・・・ドイツがイギリスを遣っ付ける、の上に空想・・・イギリスが離脱すればアメリカは戦意を失うかも知れない・・・を重ねた様な構想で戦争を始めたのだ。

 「昭和天皇実録」に書かれて居ない事

 サテ2014年に公表された「昭和天皇実録」(実録)は宮内庁が四半世紀の時間と2億円の国費(人件費を除く)を費やして編纂した昭和天皇の一代記であり国家の正史だ。全61巻、1万2000ページと云う膨大な量でありながら「驚くべき事に」と言うべきか「やはり」と言うべきか「実録」には昭和史における極めて重要な事項で書かれて居ない事がある。

 大日本帝国の「終戦構想」もその一つだ。それが纏まった日、1941年11月15日の(実録)を見ると、昭和天皇は皇后と共に朝、葉山御用邸を出て皇居に戻った。午後1時過ぎから、陸海軍の首脳が陪席する中「戦争初頭を想定したマレー・香港・ビルマ・蘭印・フィリピンを中心とする南方作戦の指導とその推移に関する兵棋演習を御覧になる」陸軍の杉山元参謀総長に「支那軍の北部仏印への動き」や、海軍の永野修身軍令部総長に「陸軍輸送船団の護衛問題」等に付いて夫々聞いた。夕方には杉山から「外交が成立すれば戦闘行為を止め、大命に従って軍隊を退ける事」等の説明を受けた。

 この部分の記述の典拠の一つに「実録」は「戦史叢書」を挙げて居る。しかしその「戦史叢書」が挙げて居る終戦構想に付いては、全く触れて居ないママ記述が進む。「御夕餐後、皇后と共に映画『君と僕』文化映画『塩都運城』を御覧になる」昭和天皇がドンな映画を見たのか。それは昭和天皇研究の上で重要なのだろうが、筆者としてはモッと知りたいのは、国民の運命を左右する戦争をどう終わらせるかと云う構想を、天皇が聞いて居たのかどうか、聞いたとしたらどう感じたのか、と云う事だ。しかし筆者のみた限り「実録」からはそれが分から無い。

 司馬遼太郎の指摘

 以下「実録」を巡る余談である。これが公表された2014年、新聞やメディア各社が大きく報じた。筆者は勤務する毎日新聞で分析チームの一員と為った。
 マスコミへの発表から報道迄、短時間で読み込ま無ければ為らない。一人で読み通す事は到底出来ず、同僚と手分けした。筆者は自分の担当箇所を読みつつ、昭和史の中でも極めて重要と判断した幾つかの事項に絞り「実録」にソレがどう書かれて居るか、或は書かれて居ないのかを見て行った。記事掲載迄の限られた時間の中で「実録」の本質をうかがう為にそれが有効だと判断したからだ。すると「当然書いて有るだろう」と思って居た事が幾つも抜け落ちて居た。終戦構想の顛末はその一つである。

 国家の正史と言えども、全ての事項・資料を網羅出来る筈が無い。どの資料を選ぶのか、或はその資料のどの部分を抜き出し文脈に嵌め込むのか。何れも編纂者の編纂意図によって左右される。国家が描く歴史物語は、その事を念頭に置いて読み進めるべきだろう。何故勝ち目の無い戦争を始めたのか。「実録」を幾ら読み込んでも明確な答えは出て来ない。

 その点で興味深いのは、幕末や戦国時代を中心とした時代小説で多数のベストセラーを書いた作家、司馬遼太郎の指摘だ。本名は福田定一。大阪外国語学校を学徒出陣で繰り上げ卒業と為り陸軍に召集された。戦車部隊の小隊長として満州に渡った。
 司馬は、エッセー「大正生まれの『古老』」(新潮文庫『歴史と視点』に収録)で書いて居る。陸軍が1937年、ノモンハンでソ連軍に「完敗」したにも関わらず「僅か二年後に米国と英国に宣戦布告をして居るのである。こう云う愚行が出来るのは集団的政治発狂者以外に有り得るだろうか」とした。

 更に司馬は「兵力の分散を避けると云うのは軍事の初歩だが、彼等は足腰の立つ国民を総浚いにして地球そのものにバラ撒いてしまった。バラ撒いた後、どう始末する積りも無かった。いかなる軍事的天才でもコレを始末出来る様な戦略を考えられる筈が無い」とし、それでも開戦に踏み切った東条英機を「集団的政治発狂組合の事務局長の様な人」と断じた。

 司馬の指摘には説得力がある。しかし「軍人達が狂って居たから」と開戦の理由を片付けるだけでは「何故戦争を防げ無かったのか」と云う分析がソコで止まってしまう。筆者もその「なぜ?」に確たる解答を持って居る訳では無い。
 只言えるのは、為政者は時として国民全体の利益より自分が属して居るより組織のメンツ或は利益を優先すると云う事であり、又その結果取り返しの付か無い間違いを起こすと云う事だ。そしてそのツケは、国策決定に関わら無い市民に広く長く押し着けられる。蜃気楼の様な終戦構想で310万人もの同胞を失い、今に至る迄戦争・敗戦の後遺症を抱えて居る私達国民が学ぶべきは、そう云う事だと思う。


                  以上


 【管理人のひとこと】

 このレポートは以前にも取り上げたかも知れ無い。しかし、余りにも重要な文章である為、此処で再度取り上げた。それは、今回の安倍政権の「新型コロナ肺炎ウィルス対策」の決定的ミス・・・その初動からの組織的失策の原因を知る上にも参考と為るものだから。
 確固たる見通しも無く・・・言わば止むに止まれぬ風に開戦に踏み切った当時の我が国と、初動から安易に判断しミスを続けた今の安倍政権とが、同じく結果としては敗北してしまった。余りにも似て居ると感じて居るからだ。安倍氏の限り無いミスを指摘する文章は多過ぎる程存在するので此処では割愛するが、複数以上の原因が有る。恐らく安倍氏本人は「これだけ遣って居るのにどうして批判されるのだろうか」と心から訝(いぶか)って居るかも知れない。

 例えば「訪日を控える中国から、殊を荒立てないで・・・」とのメッセージを受けての初期からの消極的対策・・・詰まり中国に遠慮したこと。更には「余りにも積み上がった安倍氏への批判・不信」の為に官僚が自由に動くに動け無かった心理的抑圧・・・これは大きいと思う。
 ウィルス抑圧・防御策の厚労省への一任・甘く見過ぎた責任・・・と限が無い。そして最後に、政権と厚労省の組織の対面と防衛にのみ心血を注いだ挙句にウィルス制御に失敗した。安部氏は、国民の犠牲よりソレ等を選択してしまったからで、言わば「許され無い飛んでも無い失策」を犯してしまった訳だ。
 恐らく、今まで国民に与え続け積み上がった数々の不信感・不快感により、この挽回は到底不可能だろう。後は、自民党のワンポイントリリーフの誰かや、健全な野党と官僚に任せ「国内経済対策・オリンピックへの対策等・・・」を困難だろうが果たして貰いたい。安倍政権の閣僚には一人と云って信頼に値する存在が無いのだ。

 それと、これは既に考慮されてると確信するが、東京オリンピックへの対策である。恐らく優秀な官僚がプランAからB・C・D・・・Zと、IOCに指摘される迄も無くアラユル不測の事態に対しての取り組みを想定して居る筈だが、それを果敢に現実化して対処して頂きたい。行政は、オリンピックへのペンディングを取り除いたウィルス対策と経済問題に集中した施策に絞って行動して頂きたい。















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731部隊の闇 日本社会がどうしても隠したい「残酷すぎる過去」




 731部隊の闇 日本社会がどうしても隠したい「残酷すぎる過去」

             〜現代ビジネス 2/27(木) 7:01配信〜


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          破壊された731部隊の施設跡とされる廃墟

 新型肺炎を巡る報道が連日、洪水の様に流されて居る。殆ど否定されて居る様だが、一部には武漢に在る武漢ウイルス研究所で生物兵器として開発されて居たものが流出したのではないかと云う噂も流れて居る。
 奇しくもこうしたタイミングで、日本国内でも、先の大戦中に生物兵器の実験をして居た「731部隊」に関する報道が相次いで居る。

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 ひとつは人気コミック『僕のヒーローアカデミア』に登場する「志賀丸太」と云う登場人物の名前が無神経だと海外、特に韓国からの批判を受け、著者の堀越耕平氏が謝罪と名前の変更を余儀無くされたニュース。そしてもう一つは、京都新聞に「サルが頭痛」と云う見出しで報じられた731部隊に関するニュースである。

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                 石井四郎陸軍中将

 731部隊とは 結局何だったのか

 731部隊の正式名称は「関東軍防疫給水部」「関東軍」とは好く聞く名前だと思うが、正式には、日露戦争の勝利により獲得した遼東半島南部・関東州と旅順・長春間の鉄道沿線防衛の為創設された部隊を前身とした軍の事。その後、日本による満洲の植民地化において中心的役割を担う事と為った。

 731部隊は満洲北部の平房・・・現在の黒龍江省哈爾濱(ハルビン)市平房区と云う寒村に、一大細菌・生物戦施設を設け、捕虜とした中国人やロシア人約3000人を「マルタ」と称し、文字通り「丸太」のごとく非人道的な扱いをしながら、ペスト菌やコレラ菌等細菌の感染実験・生体解剖を重ねて居た。
 「僕のヒーローアカデミア」の件は、この「マルタ」を連想させると云う批判なのだ。なお、著者はそうした意図を否定して居る。

 731部隊の責任者は石井四郎と云う軍医で、最終的には陸軍中将に迄昇進した人物だ。その部隊は、彼が東郷一と云う偽名を好く使用した事から東郷部隊、出身地である千葉県の加茂から多くの職員を募った事から加茂部隊とも称されたが、戦争末期には石井部隊か、敵国に内情を知られ無い為の秘匿名の「関東軍七三一部隊」の名で呼ばれるのが普通と為った。

 731部隊は実験を重ねるだけで無く、日中戦争が本格化してからは、参謀本部の要請に応じ、中国戦線に限って化学兵器と細菌兵器を実戦投入しても居たから、日本の軍事史上においても大きな汚点と言わざるを得ない。
 化学・細菌兵器の使用は1928年に国際連盟で採択された国際紛争平和的処理一般議定書・ジュネーブ一般議定書で、捕虜に虐待に付いては1929年に締結された「捕虜ノ待遇ニ関スル条約」で禁止され、日本は批准を見送るが尊重する立場を表明して居た。

 731部隊の存在と活動は明らかな国際法違反であったが、大戦終結後の極東国際軍事裁判・東京裁判において、責任者が罰せられる処か被告人席に立たされる事さえ無かった。何故なら、訴追が見送られただけで無く存在さえも隠蔽されたからである。
 731部隊の免責は、石井四郎ら同部隊幹部の取り調べに当たった連合国軍最高司令官総司令部・GHQの参謀第2部・G2が、生体実験の研究成果は他に例の無い貴重な資料との判断から、研究資料全ての提供する事と引き換えに石井らの免責を上申。最高司令官ダグラス・マッカーサーもそれを認め、アメリカ本国の統合参謀本部・JCSからもそうする様指示が下された事から速やかに遂行された。

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 かくして731部隊の存在と行状は、ソ連が実施した情報公開と一部関係者の証言を除いては、闇に葬られてしまった。731部隊の幹部達は何れも沈黙を貫いた。戦時中は「石井の番頭」を公言して憚らず、階級が最終的に中佐迄進んだ内藤良一博士も同様であった。
 この内藤博士は戦後、後に大手医薬品メーカーに成長するミドリ十字を創業し、その会社が薬害エイズ事件を引き起こしたのは何かの因縁であろうか。

 明かされ始めた当時の記録

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 欧米では、余程の国家機密でも無い限り一定期間が過ぎれば、アラユル公文書が公開される。731部隊関連のそれとて例外では無く、これにより731部隊の実態と免責に至る経緯に付いて多くの事が明らかと為った。
 この分野に付いては神奈川大学名誉教授にして科学史と科学論を専門とする常石敬一が多くの著作を世に送り出して居るが、ジャーナリストの青木冨貴子が著わした『731 石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』(新潮文庫)も有益な作品である。石井四郎本人の日記や先述した内藤博士に関する新たな資料も見付け出したのだから。

           2-27-4.jpg 話題に為った啓発本

 中でも内藤博士に関する話は群を抜いて興味深い。それはメリーランド州カレッジパークに在る国立公文書館で公開されて居たもので、青木が目にした資料によれば、内藤がワシントンの日本大使館付陸軍武官の紹介状を手にロックフェラー研究所の国際衛生研究室を訪れ、黄熱病の病原株を分けて欲しいと申し入れたのだが、それがナンと1939年2月23日の事だった。
 既に国際会議の決議で、アジア諸国にウイルスを持ち込む事が禁止されて居た後である。当然同研究所では所長のセイヤー博士が直接内藤に会って、キッパリと断りを入れたが、内藤はそれに懲りず再び訪問し黄熱病ワクチンの扱いに付いて質問を浴びせ、更に同月26日には、同研究所の技師が内藤と同一と思しき人物から、黄熱病ウイルスを渡す様脅迫されと云う記述まであった。

 否定を繰り返す日本政府

 この様にアメリカが占領期に収集した資料が次々と日の目を見る中、日本政府は国会で追究される度に731部隊に関する資料の存在を否定して来た。2012年に国立国会図書館関西館で、731部隊によるペスト菌散布を裏付ける金子順一軍医少佐論文(1943年付)が発見された際も「政府内部に資料が見当たら無いのが実態」と答弁して居たのである。詰まり「政府内部には」無いと云う訳だ。

 しかし、どれだけ政府が無いと言っても、有るものは隠せ無い。2011年の公文書管理法施行を受け、厚生労働省が国立公文書館に順次移管して居る戦没者等援護関係資料の中から、731部隊に関する新たな公文書が発見されたのである。これが冒頭に触れた、京都新聞の「サルが頭痛」の見出しで報じられた記事である。
 その資料は1950年9月に厚生省(現・厚生労働省)復員局留守業務第三課が作成した「資料通報(B)第50号 関東軍防疫給水部」と題された文書で、戦後、中ソに取り残された元731部隊の軍医や軍人等の状況を把握する為に作成されたと目される。

       2-27-8.jpg 滋賀医科大名誉教授の西山勝夫氏

 計4ページある文書の内の一枚は「関東軍防疫給水部行動経過概況図」と題され、ソ連軍との開戦に伴う撤収方法に付いて詳しく、本部第一部が細菌研究、第四部が細菌生産等と部隊構成迄記載されて居た。
 しかも、新資料の発見は、未だ埋もれ居る資料が沢山有るのでは無いかとの疑念を募らせると同時に、既に発見されて居る資料を真摯に受け止めねば為ら無いとの機運を盛り上げる事にも繋がった。その具体的な動きが、同記事で取り上げられて居る、滋賀医科大名誉教授の西山勝夫を事務局長とする「満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」(以下「求める会」)である。

 終戦時、731部隊の人員は約3900人を数え、軍医52、技師49人、雇員1275人、衛生兵1117人と云う部隊構成だったと具体的に示されて居る。京都大学医学部講師の身から731部隊に派遣されて凍傷研究を行ない、戦後は京都府立医科大学長に為った吉村寿人の回想によると「京大の助教授・講師級の若い者が8名(病理学3、微生物学2、生理学2、医動物学1)が派遣される事に為った」 
 同じく戦後、吉村以外の京大出身の元731部隊員達が医学界に戻り、金沢大医学部長・京大医学部長等を務めた。学者以外にも京大出身者は居て、石井四郎の片腕と言われたM元軍医大佐や先程から何度も取り上げている内藤良一も又京大医学部の卒業生だった。

 京都大学の出身者や過つてソコに籍を置いて居た者が戦争犯罪に手を染めて居たと云う訳だ。真っ当な人生を送る卒業生に取って許し難い事で、実験成果を元に博士論文を認め、博士号を授与されたと為れば猶更であった。

 「サルの頭痛」

 京都新聞の記事で問題として取り上げられたのは、1945年に戦死した将校の論文「イヌノミのペスト媒介能力に就いて」で、ペスト菌を、イヌノミを介してサルに感染させ死亡させた特殊実験中に、サルが「頭痛を訴え」と記述されて居た点である。
 「求める会」は、サルが頭痛を訴える事は在り得ず、このサルは捕虜を指す隠語の一つで、実際に人体実験が行われたのではと疑い、博士号の取り消しも視野とした再調査を申し入れたのだった。

 2019年2月、大学当局は予備調査から得られた結論として「どの様にサルの『頭痛』を判断したか記載されて居ないが、何等かの行動指標によって頭痛が起きて居ると判断して居たと推察出来る」等と説明。その上で「ねつ造の疑いの根拠には科学的合理的理由が無く、実験ノートや生データが無い為調査を継続する事は不可能」と回答して居る。
 大学側が更なる調査を行わ無い方針とも伝えて来た事で「求める会」の大学当局への不信感は更に膨らみ「使用された動物がサルであるか、ヒトである可能性を明確に否定出来ると証明し無ければ為らない」と声明を出した。

 会の共同代表を務める立命館大教授の松宮孝明も記者からの質問に「疑わしい時にどう推定するべきかと云う問題。学位を授与する大学として、可能な限り調査をして、疑わしいなら学位は取り消すべき」とコメントして居た。
 今後この問題がどう展開するかは予断を許さ無い状況だが、今回の新資料でも明らかな様に埋もれた資料はマダマダ存在する可能性がある。誰かが意図的に隠したとしても、歴史の闇は何れ明るみに出る時が来るだろう。


               2-27-9.jpg

              島崎 晋 歴史作家     以上











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2020年02月26日

 「オリンピック中止を考え無い」と云う最大のリスク





   「オリンピック中止を考え無い」と云う最大のリスク

             〜河合薫 健康社会学者  2/26(水) 10:52〜


           2-26-21.jpg

 新型コロナウィルスの感染拡大が止まら無い中、海外のメディアからは「東京オリンピックは本当に開催出来るのか?」と云う疑念が出て来て居ます。
 と云っても、正確には「感染拡大が既に日本で広がって居る」と云う前提で物事を考え無い日本の姿勢に対しての批判であり「夏迄には終息して居る」と云った根拠無き楽観に縋り「問題無い、開催出来る。嫌、開催する」と、日本政府(組織委員会含む)がオリンピック開催中止の可能性を除外して居る事が原因です。

 詰まり、思考停止に陥って居るのです。ソモソモこう云った異常事態では「リスクコミュニケーション」を徹底する事が最大のリスク管理に為ります。しかしながら、日本ではリスクコミュニケーションがゼロ。 政府側は「リスクコミュニケーション」を蔑ろにし続けて居ます。
 「リスクコミュニケーション」は個人、集団、組織等に属する関係者達が情報や意見を交換し、その問題に付いて理解を深め、互いにより良い決定を下す為のコミュニケーションです。詰まり、一方通行では無く双方向。言い換えれば、リスクコミュニケーションとは、一般の人達の「知る権利」であり、リスクに対する彼等の不安や被害を出来る限り減らす為の唯一の手段なのです。
 そう云ったコミュニケーションの積み重ねが、リスクそのものを無くしたり、想定外の出来事が起きた時のパニックを防ぎ、冷静な判断とリーダーシップに繋がります。

 しかしながら、日本は「お上が決めた事に従う」と云う文化が古くからある為「リスクコミュニケーション=双方向」と云う考え方が希薄でした。その一方で、日本は世界中のどの国より「リスクコミュニケーション」の大切さを経験した国でもある。
 原発の事故。そうです。原発の時の、更にはその後の再稼働等でも、リスクコミュニケーションの重要性が専門家から指摘され続けて来たのに、今回も政府は性懲り無く「リスクコミュニケーション」を軽んじて居るのです。

 リスクコミュニケーションと云う用語が広く使われる様に為ったのは、1万人以上の死者を出して史上最悪と言われたインド・ボパール事故が切っ掛けでした。 1984年にボパール北端に在る有限会社インド・ユニオン・カーバイドの工場で、操業中にメチルイソシアネートと云う化学物質の貯蔵タンクに水が異常に流入。その結果生じた化学反応によって、タンク内の圧力が急激に上昇しました。
 処が安全装置が作動せず、メチルイソシアネートが大気中に大量に放出され、有毒ガスが工場周辺の市街地に流出する事態に発展したのです。

 ボパール市民健康病院の発表によると8000人以上が瞬時に死亡し、50万人以上の人が被害を受けたとされて居ます。工場には、アメリカ合衆国ウェストバージニア州インスチチュートの工場と同じ安全基準が適用されて居ると発表され、事故後もそう主張され続けました。
 この様な事態を受け、1986年に米議会は「緊急時行動計画と市民の知る権利法」Emergency Planning and Community Right- To-Know Act =EPCRAを制定。地域住民が化学物質のリスク情報を知る事が出来る様に為り、環境に影響を及ぼす可能性の有る施設を設置する場合、一般市民との対話プロセスが必須と為りました。

 今の日本は原発の時と同じです。情報が透明化される事も無く、相互作用のプロセスも徹底され無いママ、「今は踏ん張り時!」「一致団結しよう!」等と精神論に終始して居る。世界から批判されて当然です。
 ヒョットするとお偉い人達は「オリンピックの開催中止の可能性」を議論の俎上に乗せると「そんな事に為ったら借金ばっかり残って経済が大変な事に為るぞ!」 「そんな事に為ったら益々景気が冷え込んで、どうしようも無く為るぞ!」 と、パニックを恐れて居るのかも知れません。

 しかしながら、人間はそう簡単にはパニックに為ら無い。 リスクを正直に言う事で、好意的かつ冷静に対処すると云う人間の行動特性が引き出される事が判って居るのです。危機管理の専門家である米国の社会学者ミレッティ等は「情報提供者が陥る誤解」を次の様に説明して居ます。

 •誤解その1:人々はパニックを起こす パニックは映画のプロデューサーが作り出した幻想。
 •誤解その2:警告は短くすべし 緊急時程詳しい具体的なメッセージが必要。
 •誤解その3:誤報に為らない様に慎重に 例え結果的に誤報と為ったとしても、その情報が問題と為る事は無い。誤報を恐れず、全ての情報を即座に開示せよ。
 •誤解その4:情報源は1つにすべし 危機に面した人は様々な情報源を求める。多様な情報源からの一貫した情報を得ることで、緊急事態の意味と、その内容を信じる様に為る。
 •誤解その5:人々は即座に防衛行動に出る 情報が持つ正確な意味が分かる迄、人は具体的な行動は起こさ無い。

 ・・・と此処迄書いて居たら「IOCが5月迄に東京オリンピックの開催の有無を決めると発表した」と云うニュースが飛び込んで来ました。 何時終息するかは誰にも判ら無いのだから、双方向のリスクコミュニケーションを実施すべきです。それが出来ないなら・・・最早日本にはオリンピックを開催するレベルには及んで居ないと云う事です。


             2-26-22.jpg

 河合薫 健康社会学者 健康社会学者(Ph.D.)東京大学大学院医学系研究科修了。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究、執筆メディア活動。ベストセラー「他人をバカにしたがる男たち」https://www.amazon.co.jp/dp/4532263484 働く人々のインタビューをフィールドワークとして、その数は600人超。最新刊は「他人の足を引っぱる男たち」(日経プレミア)

                   以上









 新型肺炎対応で 世界各国が日本に不信感 

 東京五輪は「中止せざるを得ない」か

             
           〜夕刊フジ 長谷川幸洋 2/26(水) 16:56配信〜


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 【ニュースの核心】 内閣府が発表した2019年10−12月期の国内総生産・GDP速報値は、物価変動を除く実質で前期比1・6%減、年率換算で6・3%の大幅減に為った。昨年10月の消費増税や、台風19号で多くの店舗が休業を余儀無くされた負の効果が大きかったと云う。
 これには、中国発の新型コロナウイルスによる肺炎・COVID19の影響は含まれて居ない。相次いだ中国人観光客の宿泊キャンセルや、対中輸出の減少、国内製造業の操業停止等を加えると、どれ程の悪影響が及ぶのか想像も出来ない程だ。20年1−3月期は、又マイナス成長に為るのは確実だろう。

 そう為ったら「2四半期連続の前期比マイナス」と云う定義により景気後退である。しかも、本当の試練はこれから遣って来る。国内でも、未確認のママ無数の感染者が街に出て居ると見て間違い無いが、関連ニュースが報じられる度に消費者心理は冷え込む。各種イベントも中止に為るだろう。最大の焦点は、東京五輪・パラリンピックである。
 私は結局「中止せざるを得無い」と見る。それは、横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の米国人乗客達を帰国させる為に、米国がチャーター機を派遣した件で実感した。カナダや香港、イタリア、オーストラリア等も後に続いた。

 各国は「自国民の保護を日本に任せて置け無い」と判断したのだ。ズバリ言えば、日本に対する「不信の表明」に他なら無い。それも無理は無い。
 クルーズ船では、検疫官や厚生労働省の職員、救急搬送した隊員、和歌山県の病院では、医師迄が感染した。感染力の強さを物語るが、本来なら「在っては為ら無い事態」である。他国には「日本の防疫、医療体制はそれ程甘かったのか」と映ったに違い無い。私も唖然とした。「これジャ、中国並みじゃないか」と思われても仕方が無い。

 一連の事態は、米マスコミから批判的に報じられた。この先「日本に東京五輪を開かせて大丈夫か?」と為るのは当然の成り行きである。クルーズ船対応で四苦八苦して居る位だから、強引に開催して、もしも感染者が大量に出たら収容先も十分に確保出来ないだろう。
 一言で言えば、日本は危機感と対応が甘過ぎるのだ。それは、最初に入国制限の対象を湖北省由来に絞った点や、感染症指定の発動が遅れた点に示されて居た。

 新型肺炎の感染拡大に加えて、東京五輪も中止と為ったら日本経済への打撃は計り知れ無い。1970年代の石油ショックを上回る悲惨な状況に陥る可能性も有るだろう。危機的状況は日を追う毎に深刻化して居るのに、国会は何をして居るのか。野党や左派マスコミは首相主催の「桜を見る会」に続いて、先週は東京高検検事長の定年延長問題も取り上げ始めた。
 彼等が何を追及しようと勝手だが、今国民が抱いて居る最大の心配事は新型肺炎問題である。それコソ与野党は集中審議し、政府の対応を質すべきではないのか。


 長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)ジャーナリスト 1953年千葉県生まれ 慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了 政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員等の公職も務める 著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア−本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞 最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある

                    以上









 東京五輪 「1年延期」に言及 

 新型コロナでIOCの最古参委員


               〜共同通信 2/27(木) 11:43配信〜


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 モントリオールにある自身のオフィスでロイター通信のインタビューに応えるIOCのディック・パウンド委員 26日(ロイター=共同)

 【ニューヨーク共同】新型コロナウイルス感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)で1978年から委員を務める最古参のディック・パウンド氏(カナダ)が7月24日開幕の東京五輪の影響に付いて「1年延期」の可能性に言及したとロイター通信が26日、報じた。

 弁護士でもある同氏は「もし日程の再検討が必要と為れば、理論上は同じ開催時期で2021年に延期される可能性がある」と指摘。年内の延期に付いては欧米のスポーツと開催時期が重なる事から「非常に拙い」と否定的な見解を示した。その上で「看過出来ない事態で無ければ、7月24日から開催する」と現状を説明した。




 5月判断のIOC委員 今度は「分散開催」に言及

          〜FNN.jpプライムオンライン 2/27(木) 11:27配信〜

 FNN PRIME  東京オリンピックの開催判断の期限に付いて5月下旬との見方を示したIOC国際オリンピック委員会の委員が、延期や分散開催に付いて検討されて居るかも知れないとの見方を示した。
 IOCのディック・パウンド委員はイギリスの公共放送・BBCラジオに対し東京オリンピックへの選手等の渡航を念頭に、IOCの判断はWHO・世界保健機関や各国政府の判断に沿ったものに為ると述べた。

 又、パウンド委員は開催中止は最悪のシナリオで、延期や世界各地での分散開催等中止以外の選択肢は既に検討されて居るかも知れないとして「例えば一部の競技はカナダやイギリスで出来るかも知れない」と述べました。
 パウンド委員は、AP通信の取材に対し、東京オリンピックが開催出来るかどうかの判断の期限は5月下旬までとの考えを示して居た。
                   

            以上









 【管理人のひとこと】

 政府の無能な対策により、我が国は未然に防ぎ切れたであろう危機に直面して居る。そして、更に恥の上塗りの如く、この無能な策を国民に無理強いして居る。殆どの国民は、我が身を守る為に藁をも縋りたい気分で居る。無能力・無思考の遣り方を続け、とうとう東京オリンピックの開幕さえ怪しく為った。
 なのに、一向にその危機を解決しようとする方向へは向かわず「計画通りオリンピックは開催出来る」との気楽な考えで、万が一の思考さえしない・・・

 嘘から始まった2020TOKYO・・・「アンダーコントロール」と安倍氏が着いた嘘から始まった東京オリンピック招致。未だに何の解決策も無く将来の展望も見出せない福島第一の事故処理。今は敷地内に溜った汚染水の処理で地元との話し合いをして居る状況であり、今後の事故処理にも問題が起きて居る。更に安倍内閣の政治的信用力の喪失と続き多くの国民は「オリンピック処で無い」状況なのである。
















「検査が遅いのは厚労省側のウラが?」新型コロナ対策で「NEWS23」上昌広さんの辛口解説を聞け!





  「検査が遅いのは厚労省側のウラが?」

  新型コロナ対策で 「NEWS23」上昌広さんの辛口解説を聞け!


  〜水島宏明 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 2/26(水) 15:36〜

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                水島宏明 上智大学教授

 新型コロナウィルスの感染拡大をニュースを見て居て「モヤモヤ」して居る人が多い事と思う。 「ヒョットして日本の政府(政治家や行政も含めて)はダメなのではないのか?」クルーズ船での対策を見ても、陰性とされて下船した乗客の感染や発症するケースが次々に発覚して、そんな疑念も膨らんでしまう。
 こう云う緊急時にコソ、人々が頼るべきなのは報道機関だ。緊急対応に追われる政府にも間違って居る点が有るのではないかと批判的に見る視点だ。ともすれば、こう云う緊急時に為って来ると政府が発表する方針等を盲従して解説するニュースが多く為って行く。
 他方で、そうした政府方針そのものを批判的に捉える報道は姿を消し勝ちだ。新型コロナウィルス感染を巡る報道ではどの報道機関が一番信頼出来るのか?テレビ局で有ればどの局のどの番組が信頼出来るのか?

 そう云う時に「番組を評価する尺度」に為るのが「誰を専門家として呼んで居るのか」だ。過つて、テレビ局は2011年の東日本大震災に伴って起きた原発事故で、局の中に専門記者が余り居ない現状や信頼出来る専門家を普段からどの様に確保するかの大切さを痛感した筈だ。
 今、テレビや新聞等の報道機関の記者や番組制作者に取っては新型コロナウィルス感染拡大の報道に当たって「信頼出来る専門家」をどう遣って確保するかが痛切な課題に為って居る筈だ。普段報道機関の記者達自身は「基本的に何でも屋」である一方で、余り専門知識が有る集団では無いからだ。

 日本政府が新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ為の「基本方針」を公表した2月25日(火)の夜。各テレビ局の看板ニュース番組がスタジオの解説の専門家として誰を呼んで、どの様に解説させたのかを見て行こう。予めお伝えして置くとTBSの「NEWS23」の報道が他局に比べると抜群に好かったのである。それと比べると「NEWS23」以外の番組は何処も同じ様な内容だった。

 ・NHK「ニュースウォッチ9」押谷仁・東北大学大学院教授(WHOでSARS等の感染症封じ込めを指揮。政府の基本方針に付いて助言する専門家会議のメンバー)番組では基本的に政府の基本方針を解説した。政府の危機感を追認して視聴者向けに解説する様な内容だった。
 ・日本テレビ「news.zero」松本哲哉・国際医療福祉大学主任教授(感染学が専門)番組では政府の基本方針に付いて解説し、どう云う場所が感染リスクが高いか等を基本方針に沿った解説をした。
 ・テレビ朝日「報道ステーション」仁木芳人・昭和大学医学部特任教授(感染症診療部門の科長も務める日本感染症学会感染症専門医)番組では基本的に政府の基本方針を解説した。政府の危機感を視聴者向けに解説する様な内容だった。

 ちなみにフジテレビの夜ニュースは、感染症の専門家をスタジオに呼ぶ事もしていないので割愛する。又テレビ東京の夜のニュースは経済への影響と云う観点での報道だったのでこれも割愛する。

 ・TBS「NEWS23」上昌弘・医療ガバナンス研究所理事長(都立駒込病院、虎の門病院等で勤務。元東京大学医科学研究所特任教授)「NEWS23」は「何故検査出来ない?」と云う切り口で、新型コロナウィルスの現状を深掘りして居た。

(クリニック医師)「軽症の方は風邪と見分けが着かないのが実際の処」
(別のクリニック医師)「今は疑いが有るケースでも検査が十分に出来ない。『一回入院して様子を見てください。酸素を着けなくては為ら無い重症肺炎での検査が出来ない』と云う話でした」

 
 「NEWS23」では、こうした現場の医師達の声を踏まえた上で、日本政府が先週の国会答弁で「民間の検査会社や大学などに依頼し、1日辺り3830件の検査が可能だ」と発表した事を伝えた。処が番組が厚生労働省のホームページの数字をグラフ化してみると「1日辺りの検査PCR検査実施数(チャーター便・クルーズ船を除いて)を1日辺り9件から96件の検査が実施された」と云う。25日の予算委員会でも、野党側からも検査件数の少なさが指摘されて居た。

 質問した山井和則衆議院議員が「驚きの数字ですよ。テッキリ1日3000件位PCR検査がされると思って居た」と追及すると、加藤厚労相は「全体の検査件数は把握しく切れて居ない」と答弁した。TBSが東京都の担当者に取材すると「東京都が行ったPCR検査の実施件数はこれ迄に375件。全て国に伝えて居る」和歌山県も23日迄に670人を対象に検査を実施。国に全て報告して居ると回答した。

 一方、韓国では屋外検査場を全国に492カ所設置して電話相談での聞き取りで感染が疑われる場合には検査を受ける事が出来るのだと云う。 韓国では2月18日の1054人から日に日に増加し、2月25日だけでも1日で7548件の検査が実施されたと云う。
 韓国では25日の時点で民間を含めて79機関で検査を行って居て、3月には100機関で1日1万件の検査に拡大すると云う。

               2-26-19.jpg

           医療ガバナンス研究所の上昌広(かみ・まさひろ)理事長

 こうしたVTRを受けて、スタジオでは医療ガバナンス研究所の上昌広(かみ・まさひろ)理事長が解説した。小川彩佳キャスターは検査の数を巡る日韓の差に付いて「1日当たり100件が最大の日本のグラフと1万人が最大の韓国のグラフは桁違い」 と表現して、韓国の累計検査数が(25日16時時点で)40304件なのに対して、日本の累計検査数が913件(厚労省は一部、地方の数字が反映されて居ないと説明)と云うのをどう考えるべきか上理事長の見解を聞いた。

 上昌広・医療ガバナンス研究所理事長「異様な少なさ」

 「PCR検査と云うのは古い検査で実は非常に簡単。ウィルス感染を診断するのに必須の検査でもある。韓国と比べて此処迄少無いと云うのは何かウラが有ると云うのか・・・厚生労働省が余程検査を遣りたく無いのだナアと。そう云うニュアンスを感じます」

 上理事長によると、PCR検査は古くて簡単な検査で「1件遣るのもの100件遣るのも一緒」「日本だと民間会社が普通に遣って居る」とも説明する。

 「民間の検査会社は国内に約100社在って、全体で900位ラボを持って居る。その1つで100個検査をすると、1日で9万件検査が出来る。本当にプロの人達なので精度の管理も確りして居る。そう云う処に頼めば本当に簡単に検査が出来る。それが何故しないのか。矢張り特殊な事情が有るのだと思います」

 小川彩佳キャスター「特殊な事情と云うのは例えばどう云う事が考えられるのでしょう?」

 「ヤッパリ厚生労働省は、内部機関の国立感染症研究所と云うのと一緒に遣るんです。この感染研がヤッパリ『自分達で遣りたい』『自前で遣りたい』と云う意識が強いと思うんです。自分達で検査を開発する・・・その予算も着いてました。こう云うのを聞くと、海外で有る様な検査、これ直ぐに開発したんですよ。外資の企業が・・・」

 上理事長のコメントは静かな怒りを伴って居た。 医療従事者として、国民の命を救うと云う観点に立った場合、当然とも云える怒りだった。上氏は言葉を続けた。「直ぐ導入して、直ぐ始めたら出来るのを、敢えて遣らなかった。そう云う可能性すら有ると思います」
 厚生労働省と云う1つの官庁の省益が背景に有るのでは無いかと云う見立てだ。責任ある医療関係者として、こうした発言するテレビで行うのは非常に勇気の有る、覚悟の上の発言だったに違い無い。 この後での小川キャスターと上氏との遣り取りは数あるニュース番組の中でも特筆に値するものだった。
 少なくともNHKや民放含めて他のニュース番組も、或は新聞社でサエもこの問題を深彫りした報道は未だ見て居ない。

 小川彩佳キャスター「それでナカナカ試薬が足り無いと云う事を言って居た?」

 「中国の場合は、スイスの製薬企業が即座に検査に入って居て無償で(試薬を)提供したんですね。それを使って遣って居ます。だから大量に検査が出来た。これを導入せずに自前主義に力を入れたと。此処に問題があると思います」

 小川彩佳キャスター「自前主義と云うのはどうしてそう云う事に為るのですか?」

 「どうしてナンでしょうね? 私は一つは予算の問題と、もう一つは感染者を多く見せたく無いんじゃないかと云うウラが有る様な気がします」

 小川彩佳キャスター「患者さんにチャンと向き合おうとする事には為ら無い訳ですよね?」

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 「そうです。兎に角ウィルスの診断はPCRしか出来無い訳です。で、早く検査して早く診断して早く治療しないと手遅れに為るんですよ。何人かもう亡く為って居られる。その為にも検査は必須ですから。兎に角手軽に誰にでも検査が出来る様な体制にする事が大切です」

 この後で「NEWS23」ではこの日に発表された「政府の基本方針」に着いて、ボードで説明しながら進行した。 特にキャスターの小川が「PCR検査に付いて現在は『医師が認めるPCR検査を実施する』だったのが、今後は『入院を要する肺炎患者の確定診断の為のPCR検査に移行』する」と説明してから「これはどう云う事でしょう?」上理事長にコメントを求めた。 その際の上理事長の言葉が衝撃的だった。

 「これはもうメチャクチャですね・・・何故かと言いますと、高齢の持病を持った方で亡く為って居ますよね?弱い患者さんが判って居る。そう云う人には早く診断して早く治療しないといけ無い。最近に為って、効く薬が判って来て居ますよね。どうしてこんなに入院を要する肺炎迄待た無きゃいけ無いのか。これはもう医療倫理に関わる問題だと思います。一寸私は常識では在り得ないと思います」

 小川彩佳キャスター「それから(健康)保険が適用され無いのかどうかと云う問題もありますね?」

 「そうです。保険が適用されると実は何処のクリニックでも(検査が)出来る様に為るんです。検査か医者に出せば、我々臨床医も非常に楽です。一方、軽い症状の患者さんも判るんですね。軽い症状の若い人が普段通り働いて周囲に(ウィルスを)撒き散らす訳ですから、そう云う方々に正確に診断する事は本当にとても大切なんですね」

 上氏はこう言った後でスタジオの「政府の基本方針」今後は入院を要する肺炎患者の確定診断の為のPCR検査に移行・・・と云うボードを手で示して断言した。 「ソレがこのルールだと出来ないです」
 
 一人の医師が自分の問題意識をテレビと云うメディアで表明した報道だった。過つて起きた戦争でも経済政策でも環境政策でも原発政策でも、私達が日々メディアを通して得て居る情報は、それが専門的な見地から見た場合に正しいものなのかどうか、その時点では好く分から無い事は多い。
 だからコソ、政府が出した「基本方針」に対しても異を唱える専門家が居るのなら、それを丁寧に報道して行く必要がある。政府が緊迫感を以て発表する政策にも疑いを持つ事は緊急時のニュースのウラを考えると云う意味では大事な事だ。

 空気を読ま無い。忖度し無い。大勢に流され無い。それにはそれ為りの覚悟も求められる。 そんな覚悟の有る専門家が登場した、覚悟を感じさせる秀逸な報道だった。

 
 水島宏明 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名付け親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。2016年から上智大学文学部新聞学科教授(報道論)放送批評誌「GALAC」編集長。近著に「内側から見たテレビーやらせ・捏造・情報操作の構造ー」(朝日新書)「想像力欠如社会」(弘文堂)

                   以上







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新型コロナ封じ込めに失敗したのに 何故、安倍首相は謝罪しないのか




 新型コロナ 封じ込めに失敗したのに 

 何故、安倍首相は謝罪しないのか


    〜プレジデントオンライン 元木 昌彦 ジャーナリスト 2/26(水) 11:15配信〜


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                 元木 昌彦 ジャーナリスト

 「ブロークン・ジャパン・壊れた日本」は更に加速して居る

 2015年頃、イギリスのBBC放送がこの言葉を使って居たと、在英の保育士でノンフィクション・ライターのブレイディみかこが『THIS IS JAPAN』(新潮文庫)の中で書いて居る。
 主旨は「アベノミクスが明らかに機能して無い日本は未だ『終わって居る』訳では無いが、少子高齢化で人口が減少して居る国が成長するのは困難だ」と云うもので、解決法の一つは女性の力を活用する事だと言って居たそうである。だが、それから4年以上が過ぎた今、更に事態は悪化して居ると言わざるを得無いだろう。

       2-26-12.jpg ブレイディみかこ氏

 壊したのは安倍政権である。安倍首相の「国家の私物化」が呆れ果てる処迄進み、この国のモラルを決壊させてしまって居るのだ。2月19日、森友学園前理事長・籠池泰典被告(67)と妻諄子(じゅんこ)被告(63)が、国等の補助金を騙し取った罪に問われた裁判の判決が大阪地裁で在った。
 籠池泰典に懲役5年、諄子に懲役3年執行猶予5年。森友事件の核心は、国有地が何故8億円余りも値引きされ、籠池に売却されたのかに有る。それに安倍夫人の昭恵が介在して居た事は間違い無いと思われるが、それに付いて判決文は全く触れて居ない。
 籠池夫妻は、判決が出る前にマスコミ各社の取材を受けて居た。週刊文春(2/27号)によれば、こう云って居たと云う。

            2-26-13.jpg 籠池ご夫婦

 「自身の刑事事件に付いては裁きを受け容れる積りだ。(中略)森友事件の真相解明に付いても、微力ながら尽くして行きたい。その為にも、もう一度、ボクを国会の証人喚問に呼んで頂けないだろうか。佐川元理財局長も一緒の証言台に立てば好い。勿論昭恵夫人にも来て貰いたい」
 
 獣医学部新設に絡む加計学園疑惑も、未だ有耶無耶のママである。

 政治介入が許され無い検察庁人事に異例の事態

 安倍首相の私物化の例を挙げれば限が無い。憲法9条を骨抜きにする為内閣法制局長官の首を挿(す)げ替えた。アベノミクスの為意のママに動く人物を日銀総裁に据えた。NHK会長に安倍の傀儡(かいらい)をゴリ押し等、枚挙に暇が無い。
 安倍にベッタリだった元TBSワシントン支局長・山口敬之の「伊藤詩織準強姦事件」をストップさせた中村格刑事部長(当時)は、トントン拍子に出世し次期警察庁長官有力だと云われて居る。安倍は聖域とされて来た検察庁に迄手を突っ込んだ。1月31日、政府は2月7日に63歳の定年を迎える黒川弘務東京高検検事長を、8月7日迄勤務延長とする閣議決定を行ったのである。

 検察庁法では、トップの検事総長の定年を65歳、ナンバー2の東京高検検事長以下の定年を63歳とハッキリ定めて居る。検察庁と云うのは、政官界の不正にメスを入れる為に、政治介入を許さ無いとされて来た。だが、それを無視して政府は人事権を行使したのである。こんな事が許されて好い筈が無い。権力の暴走である。
 この裏には、検察が現職議員を収賄容疑で逮捕したIR疑獄事件があると云われて居る。この捜査が進むと、安倍官邸が推し進めて来たカジノ構想が破綻する恐れがあるから、それを潰そうと云うのである。

 「桜を見る会」前夜祭の接待は、間違い無く脱法行為だ

 安倍が任命した閣僚達が次々に辞任した政治資金規正法違反等の捜査も続いて居るが、それにも圧力を掛け様として居るのではないかとも云われて居る。疑惑が囁(ささや)かれて居る河井案里参院議員の選挙中に、安倍の指示で、自民党から1億5000万円もの多額な選挙資金が案里側に提供されて居た事も明らかに為った。
 昨年秋から噴出した安倍自身の「桜を見る会」疑惑は「一国の政治指導者の言葉の信が問われる、深刻な事態」(朝日新聞2月23日付 社説)に立ち至った。

 税金を使っての地元有権者接待等許される筈は無いが、国会で野党から追及された安倍は、口から出まかせと云っても好い程、ウソを着き続けたのである。
 前夜祭の支払いは、参加者個人個人がホテルニューオータニ側に支払ったと云う、有り得無い答弁は、長年、安倍のパーティーを受けて来たANAインターコンチネンタルホテルが「代金は主催者から纏めて受け取る」と野党議員に答えた為破綻してしまった。

 毎日新聞「桜を見る会」取材班による『汚れた桜「桜を見る会」疑惑に迫った49日』(毎日新聞出版)はこう書いて居る。

 「マルで『脱法内閣』じゃないか。(中略)安倍晋三首相は政府の公的行事である桜を見る会を私物化し、多くの後援会関係者を接待して居た。同じ事を首相がポケットマネーで遣れば、公職選挙法に抵触する可能性が高い。しかし、内閣府や内閣官房を通し、私達の税金で接待した場合はどう為るのか。
 今の処捜査当局が動く気配は無い。公選法も、まさか時の首相が税金を使って数百人に上る自身の後援会関係者を持て成す、等と云う事は想定して居なかったのだろう。これは『脱法行為』に近いのではないか」


 近いのでは無く、間違い無く脱法行為であり国家の私物化である。

 「幅広く募ったが、募集では無い」とは・・・
 
 縷々(るる)書いて来た事は、安倍政権の遣って来た私物化の極一部である。だが、これだけ並べただけでも、この政権が日本をブッ壊し続けて来たかが判るだろう。安倍の出身校である成蹊大学の教授は「安倍は2つのムチで表現出来る」と云って居た。「無知と無恥」国家を私して恥じ無い事例を幾つか紹介した。では、「安倍語」と云われる無知の方を見てみよう。ネットには「安倍語録」と云うサイトが山程在る。読み間違いは「改善(改ざん)」「云々(でんでん)」これはご愛敬だろう。

 「私は立法府の長」「税金は国民から吸い上げたもの」「私が国家だ」は単なる言い間違いでは無く、ホンネがポロッと出たのだろう。対談集で語って居た「現憲法の前文は何回読んでも、敗戦国としての連合国に対する詫び証文でしか無い」と云うのは、戦後の総決算と同様、戦前回帰志向からの発想だろう。

 「共謀罪」を巡って野党から質問された時、安倍首相は「『そもそも』って『基本的』って意味でしょ。念の為辞書で調べました」と答弁したが、辞書にソンな意味は無いと新聞で報じられると、呆(あき)れた事に、安倍は「辞書で調べた何て云って居ない」とキレて、政府は「そもそも」に「基本的に」と云う意味が有るとする答弁書を閣議決定迄したのである。
「桜を見る会」疑惑で、安倍の地元事務所名で観光ツアーへの参加を募る文書が後援者に送られて居たと質問されると「幅広く募って居ると云う認識だった。募集して居ると云う認識では無かった」と説明したのである。

 募ったが募集では無い・・・何か悪いものでも食べたのでは無いかと疑いたく為る、国会史に残る迷言である。

 首相秘書が「咥えタバコで立ション」し警察官に連行

 評論家の武田砂鉄は安倍政権の遣り方を「議題を提示するメディアの反対を受けるクリアする忘れて貰う」の反復だと規定して居るが、私は「問題が起こる野党やメディアから追及されるウソを付くバレそうに為ると海外へ逃亡するか解散する」のが安倍方程式だと考えて居る。

 現在、中国で発生した新型コロナウイルスは、政府の甚だしい対応の拙さもあって、日本でも感染者は増え続けて居る。
 このウイルスと同程度かそれ以上の感染力を持って居るのが「アベノウイルス」である。魚は頭から腐ると云われるが、安倍の周囲にはコレの感染者が多発して居る。このウイルスに罹(かか)った時の症状は、平気でウソを着く・事実を捻(ね)じ曲げる・証拠は隠滅してしまう・質問には答え無いと云う特徴を持つ。

 一昨年には、財務省事務次官が女性記者へのセクハラで辞任したが、最近はそれ処では無い。週刊文春(2/20号)が、毎日新聞出身で、安倍の秘書をして居る西山猛が、官邸近くの路上で立ションベンをして、麹町署員に連行されたと報じた。路上喫煙を禁じられて居るのに、咥(くわ)えタバコだったと云う。
 私もオシッコが近いので、ノコギリヤシと頻尿のクスリを欠かさず飲んで居るが、幾ら我慢出来なくても、首相官邸近くで立ションはしない。立派な軽犯罪法違反で、1日以上30日未満の拘留か1000円以上1万円未満の罰金が課せられる。

 補佐官と厚労省官僚の「出張不倫」も処分して居ない

         2-26-14.jpg 内閣府のバカップル

 その前には、矢張り週刊文春が、安倍の信任が厚い和泉洋人補佐官(66)が、大坪寛子厚労省大臣官房審議官(52)と「老いらく不倫」して居ると報じた。
 京大のiPS細胞研究所の山中伸弥所長を2人で訪ねた後、貴船神社(京都市)等で仲良く手を繋いでデートして居たと云うものだった。続けて文春は、18年9月16日から18日に掛けて和泉がインドへ出張した際の疑惑を報じた。大坪を同行させ、しかも和泉は行く前にホテルの大坪の部屋を、自分の部屋と自由に行き来出来るコネクティングルームにして呉れと、現地の大使館に頼んで居たと云うのである。

 首相でも無いのに、主治医を同行させる等言語道断だし大坪は「主治医」等では無い。文春が過去4年間の大坪の海外出張記録を見ると、18年に4回あるが、その何れにも和泉が同行して居たのである。最早公私混同等と云うレベルでは無い。税金の不正使用である。だが、この原稿を書いて居る時点では、身内に甘い安倍官邸は、2人の処分を発表して居ない。
 これ程悪性のウイルスをバラ撒く安倍政権が、何故、歴代最長の首相在任記録を塗り替える事が出来たのか?答えは、メディアをアメとムチで飼い慣らしたからである。

 権力監視を忘れてしまったテレビ朝日の番組たち

         2-26-15.jpg TV朝日 早河洋氏

 自分にスリ寄るメディアは可愛(かわい)がり酒食を共にするが、敵愾(てきがい)するメディアは「フェイクだ」と決め着け、それに同調するネトウヨが図に乗って当該のメディアを攻撃する。好い例がテレビ朝日である。過つては、見せ掛けだけだったとしても報道のテレ朝として勇名を馳せた。だが「ザ・スクープ」を終了させた早河洋がトップに為ると、次々、報道番組を潰し「報道ステーション」をニュースバラエティに変えてしまった。

 早河会長は、出版界・芸能界の安倍ベッタリ人間の伝手で安倍に食い込み、ジャーナリズムの重要な役割である・・・権力監視等忘れたかの様である。早河会長の意を汲(く)んで居るのが、朝の「モーニングショー」だと私は思って居る。
 韓国の文在寅大統領が゙国(チョ・グク)を法相に就任させた時は、毎日の様に、文政権ど国バッシングを飽きもせず続けた。結果、国内の嫌韓派を増大させる事に寄与したのである。そして今回は、中国発の新型コロナウイルスの感染に付いて、毎日、長時間放送して居る。

 私は朝飯を食いながら、画面は見無いで聞いて居るのだが、徒(いたずら)に恐怖を煽(あお)って居るとしか思え無い。確かに感染力は強いが、死亡者の多くは高齢者で、死亡率も2%程度だと云うのに、コノ番組だけを見ている視聴者は、何やらペストでも蔓延して居るかの様な錯覚に落ち入るのではあるまいか。産経系列のフジ『とくダネ! 』は論外。

 国内初の死者が出た日も「右派連中」と会食へ

 マスクと云うのは、本来、風邪を曳いた人間がツバ等を撒き散らさ無い様にする為のものである筈だ。私の様に、高齢でマスクをしない人間が満員電車で咳でもし様ものなら、周囲の人間から「死神」の様な目で見られる。
 メディアはこう云う時、視聴者に正確な情報を伝えて、正しく恐がらせるのが役割である筈だ。徒に、恐怖心を煽りたて視聴率を稼ごうとするのは下品である。当初の頃は、゙国バッシングの時と同じ様に、中国叩きが目に付いた。

 だが、安倍政権の対応は、更に酷かった。中でも、横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号の乗客や乗組員を、ウイルスの蔓延する船の中に閉じ込め、殆ど手を打たず長期間放置して多くの人間を感染させてしまったのは、人道上も大きな問題である。
 アメリカ国立衛生研究所はこのクルーズの船内を「感染・ホットスポット」と云って居たのに、安倍首相は、早急に手を打つとばかり云うだけで、何等手を打たず感染が広がるのを只見て居る事しか出来なかった。

              2-26-16.jpg 金美齢氏

 しかも、2月20日、船で感染した日本人男女2人が死亡したと発表された時、安倍は「政府一丸と為って国民の健康を守る責任がある」と記者に語った後、六本木の料理店で、安倍応援団の金美齢等右派連中と共に会食して居たと云うのである。(LITERA2月22日より)
 国民に不自由な生活を強いて置きながら、自分は嫌韓・嫌中派達と美食三昧と云うのでは、怒ると云うよりも呆れ果てるしか無い。

 服従、沈黙、傍観、無関心が一番いけ無い

 この危機感と真剣さの欠如した対応に呆れたのだろう「選手を命の危険に晒す事は出来ない」と、南アフリカ・サッカー協会が、3月27日に予定されて居た23歳以下・U23日本代表との親善試合に南ア代表を派遣し無いと表明した。
 このママでは、東京五輪開催も危ういと、ロンドンの市長選に立候補して居る2人が、ロンドンで開催しても好いと言い出した。

 ウソで固めて無理やり招致した為「汚れたオリンピック」と云う不名誉な称号マデ着いた東京五輪。IOC委員への賄賂疑惑・原発汚染水はコントロールされて居る・8月の日本は気候温暖等・・・口から出任せのウソ八百は、海外から見れば信用為ら無い国と見えるのは当然である。
 今我々に必要なのは、安倍政権がコレ迄遣って来た、国民を軽視し憲法を蔑ろにし国を私物化する遣り口を、絶対に忘れ無い事である。安倍が去っても、第2・第3の安倍は出て来る。安倍的な遣り方は絶対許さ無い。

 高々、3割強しか居ない安倍支持者等、4割の有権者が「ノー」と云えば、簡単にヒックリ返る。服従、沈黙、傍観、無関心が一番いけ無い。
 辺見庸も『永遠の不服従のために』(鉄筆)の中で取り上げて居るが、チャールズ・ブコウスキーは『町でいちばんの美女』(新潮文庫)の「政治程下らない事は無い」で「我々は突然、自分達の命が愚かな連中の手中に有る事に気付くのである」と云って居る。
 そう、我々は今コソ気付くべきである。過ちては改むるに憚(はばか)る事勿(なか)れ。これ以上「アベノウイルス」感染を放置して置く事は、国が崩壊する事であると。
 (文中敬称略)

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 元木 昌彦(もとき・まさひこ)ジャーナリスト 1945年生まれ 講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する 上智大学・明治学院大学等でマスコミ論を講義 主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)等がある。

            ジャーナリスト 元木 昌彦    以上









  マスクをして居ない姿が 大坪寛子審議官が

 「ダイヤモンド・プリンセス号」で問題行動


               〜文春オンライン 2/26(水) 16:00配信〜


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    大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(兼内閣官房健康・医療戦略室次長) コピーライトマーク共同通信社

 和泉洋人首相補佐官(66)との公費を使った不倫出張が国会等で問題視されて居る大坪寛子厚労省大臣官房審議官(52)が、新型コロナウイルスの集団感染の舞台と為った大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で問題行動を取って居た事が「週刊文春」の取材で判明した。

 乗船した医師によれば、大坪氏は背中に〈厚生労働省〉と記された紺色のジャージに身を包み、関係者の作業場と為って居る「サボイ・ダイニング」に詰めて居ると云うのだが、

 「正直、大坪さんが船内で何の仕事をして居るのか全く分かりません。船内の医療対策本部の事務方トップは、厚労省から環境省に出向中の正林督章大臣官房審議官が務めて居り、同じ審議官の大坪さんが指示系統の上位に居ても可笑しく無い。でも実際は、彼女からの指示や問い合わせは全く無く、朝夕の全体ミーティングでも一切発言はありませんでした」

 そしてこの医師は、大坪氏が船内で起こした2つの問題行動に付いてこう証言する。

 「作業場であるサボイ・ダイニングは左右に分けられて居り、右側は食事可能エリア。一方、左側の作業エリアでは、感染対策で飲食が出来ないルールに為って居ました。しかし大坪さんは、作業エリアにもスイーツやコーヒーを持ち込み『美味しい』と言いながら堂々と飲み食いして居たのです。或る時その様子を見咎められ、全体ミーティングで『作業エリアで喫食し無い様に』と改めて注意喚起がありました」
 
 更に、こんな緊張感に欠けた様子も見られたと云う。

  「基本的に船内では常にマスクをして居なければ為りません。外しても良いのは、着席して食事を摂る時位です。しかし大坪さんは、マスクをして居ない姿がしょっちゅう目撃されて居ます。その為、コチラも全体ミーティングで看護師から『マスクをして居ない人が居る。着用を徹底する様に』と注意がありました」(同前)
 
 一連の問題行動に付いて事実確認を厚労省に求めると、大坪氏から以下の書面回答があった。自身の問題行動の有無に付いては、詳細には回答しなかった。

 「ご指摘の食事スペースに関する取り決めは当初から設けられて居らず、職員等が事務スペースで水分補給や休憩等を行って居る状況を踏まえて、一部の医療関係者からそうした提案があった事は事実です。現在も食事スペースに関して明確なルール化はされて居ませんが、各自、衛生管理に細心の注意を払って居ります。
 船内において、食事時以外でマスクを着用して居ない職員等は居りません。その為、改めてマスク着用に関する注意喚起が在った事実は承知して居りません」

 
 2月27日発売の「週刊文春」では、今日の事態を招いたのは誰なのか「ダイヤモンド・プリンセス号」内の様子の詳細や、加藤勝信厚労大臣、橋本岳同副大臣等の言動、地元後援会の新年会の為に新型肺炎の対策会議を欠席した小泉進次郎環境相の近況等「新型コロナ肺炎非常事態」を15ページに渉って詳報して居る。


      「週刊文春」編集部 週刊文春 2020年3月5日号   以上



















専門家会議メンバーが明かす 新型コロナの「正体」と今後のシナリオ




 専門家会議メンバーが明かす 

 新型コロナの「正体」と今後のシナリオ


           〜Yahoo!ニュース 特集 2/26(水) 12:10配信〜


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         東北大学大学院医学系研究科の押谷仁教授撮影 笹島康仁

 中国・武漢から広まって居る新型コロナウイルス。政府は2月25日、感染拡大を防ぐ為の基本方針を発表した。今後1〜2週間が拡大か収束かの山場と為る。
 今回の新型はどの様なもので、私達はどう過ごせば好いのか。又、今後のシナリオは──。政府専門家会議のメンバーで東北大学大学院医学系研究科の押谷仁教授にインタビューした。


    取材は2月23日時点 ノンフィクション作家・河合香織 Yahoo!ニュース 特集編集部

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 軽症で判り難かった新型コロナウイルス

 ・・・ソモソモ、何故コンなに広まってしまったのでしょうか。

 新型コロナウイルスが非常に厄介な性質だからです。感染しても全体の8割は軽症で無症状の人も居る。ソレでは感染者を特定する事は困難です。又、感染してから発症する迄の潜伏期間も多くは5〜6日間ですが、モッと長い人も居る。
 軽症者や感染しても症状の無い人、更に潜伏期間内の人でも、周囲に感染させて居る可能性が有り、感染連鎖が見付け難いのです。

 ・・・軽症が多いと伝えられますが、重症化して亡く為った人も増えて居ます。

 多くの人は重症化しません。高齢者は致死率が高いのですが(中国では80代以上で14.8%)重症化した時点で多くの人にウイルス性肺炎が見られます。コレにより、肺の多くの部分が機能し無く為ります。

 ・・・新型コロナウイルスの危険度が高いと判って来たのは何時頃でしょうか。

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 中国・武漢の実際の状況が判って来た1月15日前後から、報告数よりも遥かに多い感染者が居る可能性が有る事を知り、性質の一端を理解出来ました。武漢の当局は当初、SARS・重症急性呼吸器症候群と同じ対策を取って居たと考えられます。でも、今回のウイルスはSARSより感染力が遥かに強かった。しかも症状が見え難い。僕自身がアソコに居ても、同じ失敗をしたと思います。

 ・・・患者の症状が見え無ければ、医療従事者も対処出来ませんね。

  当初はそれ程重症化し無いし、感染した人が誰と接触したかと云う接触者調査でも余り多くの人を感染させて居ない様に見えたと思います。しかし、実際には感染したのに軽症の人が大勢居て、その人達が様々な場所でウイルスを広めて居た。
 このウイルスの特徴に当局が気付いた時には、武漢ではモウ手の着けられ無い様な状況に為って居た・・・と云うのが僕の理解です。

 非常に高かった「感染性」

 ・・・2003年に広がったSARSと今回の新型コロナウイルスでは、ドンな違いがありますか。

 SARSでは感染者の多くが重症のウイルス性肺炎を起こし、致死率が10%位でした。新型コロナウイルスは現在、致死率は2.3%程度ですが、モッと低い可能性が高いと思います。
 感染した人が重症化する率はSARSに比べると少ない。但し、感染性が非常に高く、寧ろ重症者が少無い事が感染連鎖を見え難くして居ます。その為、或る程度感染が拡がら無いと感染連鎖が見えず、各国の水面下で感染が拡がって居ると考えられます。
 重症化する率は低くても非常に広範囲に感染して居り、その母数が増えた分、新型コロナウイルスでの死亡者数はSARSより圧倒的に多く為って居ます。新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスと遺伝子配列は似て居ますが「病原性」と「感染性」は全く違います。

 ・・・感染力に違いが或るのは何故でしょうか。

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 SARSは下気道(気道の下部)詰まり肺でしか増え無かったのですが、新型コロナウイルスは肺でも増えるし、上気道(気道の上部)詰まり喉の辺りでも増えます。上気道でウイルスが増えた場合、症状は軽いけれど、喉の辺りでウイルスが沢山有るから簡単に感染が起きてしまいます。
 飛沫感染や接触感染が主体だと考えられますが、例外的に咳やくしゃみの無い人から会話等で人に感染させてしまう可能性が否定出来ません。ここが厄介なのです。

 ・・・SARSの時の様に封じ込は出来無いのでしょうか。

 短期的には無理だと思われます。SARSは感染者が中国を中心に世界で8056人でした。新型コロナウイルスは、もうどの位なのか、本当の感染者数は把握出来なく為って居ます。少なく見積もっても数十万人。ソコまで広まったウイルスの感染連鎖を見付けて、全部潰す事は非常に困難です。

 クルーズ船の影響で 受け入れが難しい医療機関

 ・・・日本では目下、感染者が増え続けて居ます。どうすれば好いでしょう。

 先ず我々がすべき事は、自分が感染し無いかでは無く、如何に人に感染させ無いかです。国内では2月13日に感染者が見付かりました。本来は、ソコから徐々に増える感染者に対応して行けば好かったのですが、クルーズ船の感染者を一気に医療機関で抱えてしまった事で、今はモウ、東京都内の大きな医療機関は受け入れが難しい状態に為って居ます。

 ・・・病院に行っても重症者以外は受け付け無いと政府も発表しました。

 はい。日本でも「クラスター」(感染者の集団)が増えて感染拡大すると、病院は可成り厳しい状態に為ります。詰まり、病床や医師等が不足して、助けられる命も助けられ無い事に為るのです。武漢でも本来なら助けられたのに、感染者の急増で医療資源が足り無く為り、命を落としたケースが多いと考えられます。
 実際、ウイルスに感染して居る事が分かっても、軽症者に対する治療は残念ながら現在は何も有りません。重症者に対しては人工呼吸器等の集中治療を行う、或は試験的な薬を投与する等方策は有りますが、軽症者に投与する事は現状では出来ません。そして、軽症者が病院に来ても検査のキャパシティは超えつつあり、今の段階では検査出来ません。詰まり、軽症者が病院に来ても、打てる手が無いのです。

 ・・・クラスターとは具体的にドンな場所で起きるのでしょうか。例えば、学校が心配されて居ます。
       
 学校でクラスターが発生し無いとは断言は出来ませんが、子供の感染例は中国でも非常に少なく、その可能性は低いです。一斉の学校閉鎖をする事は、全体の流れからすると余り意味が無い。大人が子供に遷す例は有りますが、インフルエンザの様に子供が流行の大きな原因に為る事は少ない事が判って居るからです。

 クルーズ船状態が日本の何処かで起きる可能性

 ・・・感染が起き易い行動とはどう云うものでしょうか。

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 対面で人と人の距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話等で一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境です。例えば立食パーティーや飲み会等はリスクが高い。他にも色んな形が有ると思いますが、こう云う中に感染者が居たら危ない。その人にハッキリとした症状が無くても、感染が広がる可能性があります。
 僕の理解では、クルーズ船はメガ屋形船です。多くの人が触れ合う機会が非常に多い。だから、数百人の感染と云う大規模なクラスター連鎖(メガクラスター化)が起きたのだと思って居ます。今、屋形船の様なクラスターを潰して行こうと考えて居ますが、クラスターの元を断つ努力を皆がしないと、為す統べが無く為ります。

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 ・・・検査を受けられ無いと云う不安も耳にします。早く治療し無いから重症に為ると考える人も居ます。

 今は軽症者も病院に隔離目的で収容して居ますが、モウ出来なく為りつつあります。クラスター連鎖やメガクラスターが起こると感染拡大を制御する事が非常に難しく為ります。クルーズ船の様な状態が、日本の何処かで起きてしまったら感染拡大を止める事は困難に為ります。韓国では、その様な事が実際に起きてしまった可能性があります。
 今の日本で、一番メガクラスターが起こると考えられる場所は病院です。待合室で多くの人が長時間滞在するのは、感染の可能性を非常に高いものにします。日本では未だ全体の中で感染して居る人は非常に少なく、体調不良で診て貰いたい、或は心配だから診て貰いたいと云う人の99.99%以上は、このウイルスには感染して居ないと考えられます。
 しかし、医療機関には、残りの僅かの割合で存在する本当の感染者が居るかも知れない。武漢の様に多くの人が待合室の中で押し合いへし合いの状況に為ると、メガクラスターが起こる可能性があります。

 慌てて 医療機関を頼ら無い

 ・・・今後の見通しはどう為るのでしょう。

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 先ずこの1〜2週間が山場です。感染が更に拡大するのかそれとも収束するのか。それは国民がドレだけ冷静に判断して、リスクの有る行為を避けられるかに懸かって居ると思います。 本日(2月23日)時点での最良のシナリオは、日本で小さな流行しか起きず、重症者も出無いと云うものですが、その可能性は小さく為りつつあります。
 別のシナリオは、色々な場所で、或る一定規模以上の感染拡大が起きて、その幾つかでは可成り厳しい状況に為る・・・と云う事です。ソコでは、医療機関が重症者の集中治療を十分に出来無い様な状況に為る可能性があります。怖いのは、そう云う状況が日本全国で相当数起きて、クラスターの連鎖が起こり、拡大を止められ無く為る事です。そう為ると、感染拡大を止める為には、社会機能を完全に止めるしか無く為ります。

 ・・・そう為ら無い為にも、この1〜2週間が重要ですね。只、その後も警戒は必要なのでは。

 その通りです。収束に向かうか拡大するのか、今は重要な分岐点です。只、この新型コロナウイルス問題の怖い処は、日本だけに終わら無いと云う点です。
 先月、フィリピンに僕等が新型コロナの検査の試薬を持って行ったら、感染者が3人見付かりました。中国本土以外の最初の死亡者はフィリピンでした。しかし、その3人の感染者が見付かって以降、その他の患者が1人も見付かって居ない。インドネシアは2億5500万人の人口が居て、中国からも直行便がある。それなのに、感染者は増えて居ると聞きません。
 これ迄の各国の状況から、そう云う国でも実は感染連鎖が始まって居る可能性が高いと思います。その場合、仮に日本だけで感染拡大を止められても、新たな感染源が生じてしまうので、ソコから又感染者が日本にも流入する事に為ります。但し、そう為っても国内の体制は急速に充実する事が考えられるので、大きな流行に為る事を阻止する統べはあります。

 ・・・不安を持てばキリが有りませんが、どの程度恐れるのが好いのでしょうか。

 今日本の街中でスレ違って感染する確率は非常に低い。武漢とは違い、感染者が多くの地域に居る可能性は未だ非常に低いからです。けれども医療現場は違います。今日本国内でリスクが最も高い場所です。
 政府は目安と為る指針を出して居ます。37.5度以上の発熱が続き、強いダルさ息苦しさが4日以上続いた場合に相談センターに連絡すると為って居ます。高齢者、糖尿病等持病が有る人は2日以上・・・先ずはソコ迄様子を見る事が大事です。
 2009年の新型インフルエンザの時には、外来で3時間待ちや4時間待ちも有りました。けれども、検査して貰えるし薬を処方して貰う事も出来る。でも、新型コロナウイルスは軽症者に対しては薬も無いし、治療法もない。検査もナカナカして貰えない。
 勿論、重症化の兆候が有る人には最善の医療を提供する必要があります。医療現場ではその様な体制を迅速に整備しようとして居ます。重症化する徴候の有る人に最大限の医療を提供する為にも、又自分が感染しない為にも、軽症者や過剰に心配に感じる人が、医療機関に押し掛ける様な行動はすべきではありません。

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 押谷仁(おしたに・ひとし)東北大学大学院教授 1999年から2006年まで世界保健機構(WHO)西太平洋地域事務局に感染症対策アドバイザーとして勤務。2002年から2003年に掛けて中国を中心に広がったSARSの事態収拾への陣頭指揮を取り収束させた経験を持つ 今回は2月14日から、内閣官房・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の一員として助言をする立場と為って居る。

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 河合香織(かわい・かおり)1974年生まれ 神戸市外国語大学卒業 2009年『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で第16回小学館ノンフィクション大賞受賞。『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で2019年第50回大宅壮一ノンフィクション賞 第18回新潮ドキュメント賞受賞














2020年02月25日

安倍内閣「上から目線」答弁に見える 世襲・年功序列・逆学歴社会の構図





 




 安倍内閣 「上から目線」答弁に見える
 
 世襲・年功序列・逆学歴社会の構図


            〜ダイヤモンド・オンライン 2/25(火) 6:01配信〜


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           上久保誠人 立命館大学政策科学部教授

 「嘘つき」「非生産的」 安倍首相の国会軽視答弁

 衆院予算委員会で、安倍晋三首相が辻元清美議員にヤジを飛ばした事に付いて、謝罪と撤回を行った。首相は、辻元氏が首相主催の「桜を見る会」を巡る私物化疑惑等を取り上げ「タイは頭から腐る」と批判すると「意味の無い質問だよ」と声を荒らげた為、野党が反発し審議拒否をして居た。

 安倍首相はこのヤジだけでは無く、野党議員の質問に対して「うそつき」「非生産的」と度々非難して居る。又、他の閣僚の答弁も荒れて居る。森雅子法相の黒川弘務・東京高検検事長の定年延長に付いての答弁は、過去の政府答弁と整合性が無く説明に為って居ない。北村誠吾・地方創生担当相に至っては質問自体を理解出来て居無い様な、意味不明な答弁を続けて居る。
 安倍内閣の開き直った様な国会答弁は、以前から「国会軽視」と批判されて来た。勿論、野党の相変わらずのスキャンダル追及にはウンザリではある。モッと言えば、これ迄は政策論争は「何でも反対」だった(本連載第231回)
 
 だが、今国会はそれすら無く「政策そっち退け」である。それでも今国会の安倍内閣の答弁は酷過ぎる。与野党共に「国会軽視」を超えて「国会破壊」に至ったのでは無いだろうか。憲政史上最長の長期政権と為った安倍内閣の成果は何かと云う事が好く議論に為る。しかし、安倍政権によって日本から失われてしまった、深刻なものも少なく無い。

 「桜を見る会」を巡っては、様々な問題が指摘されて来た。例えば「各界で功労・功績の有った方々を慰労する」と云う趣旨の会に、安倍首相や昭恵夫人・自民党議員等が招待枠を持ち、支援者を招待して居た事が公職選挙法違反の疑いが有ると批判された。
 又、安倍内閣に為ってから招待客の数と支出額が年々増加した。「政治家枠」の人数は2005年度には2744人だったのが2019年度は3倍以上の8894人に増加した一方で、国際貢献や災害復旧等の功労者は406人から182人に減少して居た。反社会勢力が来場して居た可能性も指摘されて居る。2019年度の費用が、予算の3倍にも膨らんで居た事も判明した。

 更に、行政文書・公文書の管理が杜撰な事が問題視されて居る。招待客の名簿のデータが、野党議員が国会で質問をすると通知した約1時間後にシュレッダーに掛けられて居た。余りにも意図的に廃棄した事が見え見えであった。

 どの国の倫理に照らしても 「桜を見る会」問題は酷い

 筆者は大学で、英語で行う授業を幾つも担当して居るが、どの授業でも雑談で、桜を見る会に付いて「安倍首相がsupportersとcherry blossomを見るnomikaiを」「emperorのgardenで」(この辺りで先ずクスクスを笑いが起きる)「taxを使って行った」と説明すると、国籍や年齢を問わず、留学生はホボ全員大爆笑する。
 要は、どの国の常識や倫理に照らしても桜を見る会は酷い話と云う事だ。桜を見る会に付いては、指摘されて居る問題そのものの酷さと共に、それに対する安倍首相や閣僚・与党議員・その他関係者の答弁が余りにも好い加減・支離滅裂・無茶苦茶である事が批判されて居る。

 例えば、招待者の名簿に付いて「バックアップデータが残って居る電子データは、政府の定義では『復元出来ない電子データ』」「バックアップデータは公文書では無い」「バックアップデータに文書が残って居るのは想定外」と答弁して居る。
 又繰り返すが、招待者名簿に付いて「名簿の破棄は、偶々シュレッダーの予約が取れたのが、野党が国会に質問通告した1時間後だった」とか、小学生でも可笑しいと判る様な珍答弁だ。

 そして、桜を見る会の前夜に開かれた安倍首相後援会主催のパーティの参加料に付いて、菅官房長官が「5000円でパーティー、出来るのでは?」と答弁したのに対し、ホテル側が「パーティーは1万1000円以上。値引きはしない」と言い、招待者が「安倍事務所の関係者に払った様な」と証言すると、安倍首相が「嫌、各個人で払った。安倍事務所は関わって居ない」と答弁すると云う迷走振りだ。

 安倍首相の「お友達」「仲間」に対するシラケた空気

 安倍内閣の答弁の不誠実さは様々なメディアで散々批判されて来たので、改めて何か言う必要は無いだろう。此処で指摘したいのは「お友達」「仲間」を非常に大切にする安倍首相による「意味の無い質問だよ」と云うヤジに象徴される様な「お友達以外」「仲間以外」に対する上から目線のバカにした様な態度と、それに対して国民の間に流れるシラケた空気である。

 安倍首相の「お友達」「仲間以外」に対する上から目線のバカにした様な態度が露骨に為り、野党が感情的に反発して、与野党間の話し合いが全く成立し無く為ったのは、安保法制の審議の頃からではないかと思う(第111回)
 安保法制の審議過程を簡単に振り返って見る。強硬な反対論を展開した野党・民主党(当時)だったが、前原誠司氏等保守的な思想信条を持つ議員が実は少なく無かった。民主党政権期に外交や安全保障政策に取り組んだ議員も居た(第35回・P4)

 彼等は「普天間基地移設問題」(前連載第50回)「尖閣諸島沖の日本領海に侵入した中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事故」(前連載第59回)「尖閣諸島の国有化」等、非常に難しい判断を迫られる政治課題に直面した経験を持って居た。だから、厳しい国際情勢にリアリスティックに対応する事の重要性を理解して居た。
 彼等は、安保法制の全てが「違憲」であるとは考えず、法案の中には「合憲」のものも有り様々な問題点を修正しながら、国際情勢の変化に対応する安全保障政策を実現して行くべきだと云うのが「本音」だった。実際、民主党は安保法制の審議前に「安全保障法制に関する民主党の考え方」を纏めて居た。

 その中で、民主党は安倍政権と共通した国際情勢への厳しい認識を記し「離島等我が国の領土が武装漁民に占拠される『グレーゾーン事態』への対応は最優先課題」「周辺有事における米軍への後方支援は極めて重要である」として居た。

 安保法制の審議で民主党を激怒させた「上から目線」

 一方で「憲法の平和主義を貫き、専守防衛に徹する事を基本とし、近くは現実的に遠くは抑制的に、人道支援は積極的に対応する」と云う安全保障政策の基本方針を示して「国民の命と平和な暮らしを守るのに必要なのは個別自衛権であり、集団的自衛権は必要無い」と主張した。

 要するに、民主党の保守派は、安保法制に関して安倍政権と全てにおいて相容れ無いと云う事は無く、当初は国会審議において政権と是々非々で議論をする準備をして居たのだ。だが、安倍内閣が、民主党の保守派と協議の場を設けて彼等の考えを取り入れて妥協しながら、安保法制の審議を進める事は無かった。
 寧ろ、安倍首相は彼等を上から目線で相手にし無いと云う態度を執った。マルで「家柄・血筋が好い世襲議員の我々だけが、真の保守」「叩き上げは保守では無い」と言わんばかりの態度に見えた。

 これが、それ迄党派は違っても安倍首相を同じ保守だと思って居た前原氏等を心から激怒させる事に為った。彼等は「安倍には改憲をさせ無い」と公言する様に為った。前原氏が民進党代表として2017年の衆院選で「兎に角安倍内閣を倒すのが最優先」と主張して小池百合子東京都知事率いる「希望の党」(当時)との合流を決断したのも、安倍首相に対する感情的な反発からだった。
 だが、感情的に為った行動故に詰めが甘く、希望の党は分裂し衆院選で大惨敗を喫する事に為ったのはご存知の通りだ(第169回)

 安倍首相の様な家柄・血筋に恵まれた世襲の政治家が、桜を見る会で「お友達」「仲間」と楽しく遣って居る姿を見せ着け、それを批判する野党等「仲間では無い」人達を「上から目線」で馬鹿にした様な態度を執る。それがドレだけ、国民をシラケさせ真面目に生きて行く気持ちを失わせて居るかは、ソモソモ日本とは、どんな社会だったのかを振り返れば判る。

 世襲議員が総理に為る事は極めて珍しかった

 日本の政界は「世襲議員」が非常に多いとされて居る。だが、日本は1990年代まで、世襲議員が総理大臣に為る事は極めて珍しかったと云えば意外に思われるだろうか。「世襲」と云う観点から戦後の歴代内閣総理大臣を振り返ると、吉田茂氏から海部俊樹氏迄、鳩山一郎氏のみを例外として14人が「出自が門閥も財力も無い庶民階級からの出身」であった。

 逆に、宮澤喜一氏以降は、村山富市氏・森喜朗氏・菅直人氏・野田佳彦氏を例外として、10人が世襲議員だ。詰まり、日本の政界では1990年代前半迄は、出自に関わらず優秀で有れば総理大臣に為れたと云う事が言えるのだ。
 但し、海部氏以前の総理の多くは現在、住友家・三井家・ブリヂストンの石橋家・鹿島建設の一族・大正製薬の上原一族・森コンツェルンの森一族・昭和電工の安西一族・住友銀行元会長の堀田一族・日本郵船元社長の浅尾一族・日清製粉の正田家と云った実業界、そして天皇家迄縁戚関係と為って居る。

 これを「閨閥・けいばつ」と呼ぶ。歴代首相の多くは本人が名門家系の令嬢と結婚するか、子供の結婚で名門家系と縁戚に為る事で「閨閥議員」と為り、総理の座に昇ったと云う事だ。
 吉田氏から海部氏迄の戦後総理で官僚出身者は7人。過つて、官僚と為り「閨閥」入りする事は政界への最短コースだった。総理経験者以外でも、愛知揆一・津島寿一・前尾繁三郎・橋本龍伍・村山達雄・金子一平・相沢英之・山下元利・大原一三等、戦後政治の中核を担う政治家達が庶民階級から官僚組織を経由して輩出されて来た。

 又、池田氏・大平氏等は娘婿に官僚を選び後継者とした。福田氏も地盤継承は無いが、娘婿の大蔵官僚・越智通雄が国会議員と為った。首相経験者以外でも、愛知氏等娘婿を後継者としたケースは多い。過つて政治家の地盤は親子間の「世襲」よりも「閨閥」入りした官僚に継承されるケースも多く、庶民階級から政界入りする1つの道として確立して居た。
 勿論「閨閥」入りが政界への道と云うのは前時代的だ。しかし、私はこのエリート選抜システムに一定の評価を与えて来た。完全な自由競争・能力主義が確立出来るなら一番好いが、現実の社会には支配者層・既得権を持つ層が存在するもので、その制約下では日本のシステムは優れて居たと考えるからだ。

 日本のエリート選抜システムは欧州の階級社会よりもオープン

 日本でキャリア官僚に為るには「小・中学校(義務教育)高等学校東京大学法学部国家公務員一種試験合格」と云う選抜過程を経る。この選抜制度自体は世界的に珍しく無いが、重要なのは日本ではこの選抜方法を出自に関わらず「誰でも知って居る」と云う事だ。国民ホボ全員が受ける義務教育時にこの選抜方法を確り教えて来たからだ。

 「エリート選抜制度の情報が国民全体に広く知られて居て、誰でもエリートに為るチャンスが有る」のは、日本では当たり前だと考えられ勝ちだ。だが、世界的に見ると、英国等の先進国でも階級社会があって、下層階級は立身出世の道が何なのか知らされて居ない。日本のエリート選抜システムは、欧州の階級社会よりもオープンで幅広く人材を確保出来るシステムだったのだ。

 だが、このシステムは日本社会が成熟化するのに伴い、次第に変化して行った。安倍氏・福田氏・麻生氏等「閨閥」から「世襲議員」が出る様に為った訳だが、優秀な娘婿よりも息子の地盤継承が優先される様に為った。見合い結婚で閨閥に入ると云うのが古い価値観に為って流行ら無く為ったと云う事だ。モッと端的に云えば、息子や孫が可愛いので後を継がせたいと云う事だろう。
 現在の「政治家の世襲問題」に対する批判は、主に政界への新規参入のハードルが高く為り、外部に居る優秀な人材が政界に参入し辛く為ると云うものだ。だが、実は世襲問題の本質は此処には無い。世襲議員は自民党国会議員の約4割弱であろうか。確かに、他の民主主義国家と比べて世襲議員比率は圧倒的に高いが、世襲議員の数に関しては徐々に減って居る。約6割強は世襲無しで国会議員に為れて居る。

 世襲議員と自民党の年功序列システムとの関係

 寧ろ問題は、世襲議員の方が政界でより指導的な立場に為り易い事にある。それは、自民党の長期政権で、年功序列システム(当選回数至上主義)が完成した事と強い関連がある。
 過つては、歴代首相の初当選年齢とキャリアは、池田勇人・50歳(1期目に蔵相就任) 佐藤栄作・48歳(当選前に官房長官・1期目に自由党幹事長・郵政相) 岸信介・57歳(戦前・商工相・1期目に自民党幹事長)福田赳夫・47歳(4期目に政調会長・幹事長)大平正芳・42歳(5期目に官房長官)で在った。当選回数至上主義が確立する前の自民党は、財界や官界で出世した人物が40代以降に初当選し、即幹部に抜擢される実力主義だった。

 一方、自民党の年功序列システムが完成して行くと、若くして国会議員に当選するとそれだけ党内での出世に有利と為った。そして、強固な選挙区(地盤)政治資金(かばん)知名度(看板)を引き継ぐ世襲議員の初当選年齢は若い。
 例えば、小泉純一郎氏・30歳、橋本龍太郎氏・26歳、羽田孜氏・34歳、小渕恵三氏・26歳である。ちなみに、史上最年少の自民党幹事長だった小沢一郎氏は27歳での初当選だったのだ。

 これに対して、官界やビジネス界で成功した後や、知事等を経験した後に40〜50代で政界入りした場合、この人事システムではその経験や実績は殆ど考慮され無い。初当選時は只の1回生議員扱いである。そして、このシステムでは40〜50代で政界入りすると、初入閣するのは 50代後半か60代前半と為る。その時彼等と同年代の世襲議員は、既に主要閣僚・党幹部を歴任したリーダーと為って居るのだ。

 政界に出来上がって居る 世襲+年功序列=逆学歴社会


 本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されました。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

 現在の政界は、成蹊、成城、学習院、関東学院等を出たお坊ちゃま・お嬢さまを、一生懸命勉強して東大・早稲田・慶応等を卒業した一代で成り上がった政治家や官僚が支えて居ると云う構図に為って居る。これは、安倍首相の世代だけでは無い。次世代を担う若手も変わら無い。
 小泉進次郎環境相をリーダー格として、彼等を官僚、ビジネス、マスメディア、弁護士等を経験して一代で政治家に為った議員達が支える構図も同じなのだ。

 言わば政界には「世襲」+「年功序列」=「逆学歴社会」が出来上がって来て居る。そして、恵まれた家柄・血筋の安倍首相が、仲間と遣りたい放題遣って居る。東大を出た優秀な官僚に責任を押し付けて平気な顔をして居る。それを批判されたら、上から目線で馬鹿にした様な態度を執る。これでは、優秀な人材は馬鹿馬鹿しく為ってしまう。これが日本社会全体に漂って居る、何処かシラケた空気の本質ではないだろうか。


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   立命館大学政策科学部教授 上久保誠人      以上







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