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2019年12月23日

会費6千円「桜を見る会前夜祭」より高い首相懇談会の愚 共犯者にされたメディアに未来はあるのか?




 




 会費6千円「桜を見る会前夜祭」より高い首相懇談会の愚 

 共犯者にされたメディアに未来はあるのか?


             〜AERA dot. 12/23(月) 17:00配信〜


      12-23-24.png

               新聞労連委員長の南彰氏

 「鉄壁のガースー」遂に答弁破綻か・・・政府に取って不都合な質問をバッサリ切り捨て、封じ続けて来た菅義偉官房長官。
 しかし「桜を見る会」に関する答弁では、秘書官に助け船を求める場面が目立ち、チグハグな説明が続いて居る。今、この局面で問われるメディアの態度とは。
 官邸による東京新聞・望月衣塑子記者への質問制限・妨害の内情の全貌を描いた『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)を出版し、自身も朝日新聞の政治部記者として官房長官会見を取材して来た新聞労連委員長の南彰氏が特別に寄稿した。



       12-23-25.jpg

 官房長官の様子が一変した。国の税金を使った首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑に付いて、官房長官番の記者を中心に連日の様に追及が続いて居る。「首相枠等は無い」と云った虚偽答弁が明るみに出て、公文書の招待者名簿を破棄した問題等で苦しい答弁が続いて居る。説明が破綻し、秘書官のメモに頼って何度も中断して居る状況も報じられる様に為った。
 森友・加計学園問題の時には、疑惑を追及して居た東京新聞の望月衣塑子記者や筆者に対し「時間の浪費」等と攻撃する記事を量産して来た産経新聞まで「菅氏の鉄壁答弁崩れ」と報じて居る程だ。

 市民の疑問をキチんと問い但し、政府に真実を説明する様迫って行く・・・こうした本来の姿の記者会見への変化を後押ししたのは、確りとした質疑を行って居る記者をSNS上で評価し、エンパワーメントして来た上西充子・法政大教授等の存在が大きい。
 毎日新聞は、そうした変化を捉え、編集幹部自らがSNSで発信しながら「政治とメディア」「メディアと市民」の関係を変えて行くムーブメントを起こそうとして居る。しかし、残念ながら、そうした変化に対応出来無い人も居る。11月21日、私の基に次々と全国の記者からの連絡が押し寄せた。

 「疑惑の最中に呼び出されて飯とか喰ったら、飼い慣らされて居る様に見えるのが、何で社の上層部は判ん無いのか? ホント、フザケルな!」
 「オフレコの会食の誘いナンか断固拒否し『会見を開け』と要求するのがスジだ」 
 「現場の記者は、首相を取り巻く秘書官に睨まれながらも質問をブツケ、疑惑を説明させ様と必死に遣って居る時に、ヨリによってキャップが揃って懇談するナンて本当に泣けて来る」 
 「権力機構が腐って居る時に、ジャーナリズム迄信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかモウ遣り切れ無い」


 前夜、官邸記者クラブの各社キャップ(毎日新聞除く)と安倍晋三首相が中華料理店で会食をした事に対する遣り場の無い怒りの吐露だった。政治部記者からも有った。中には悔し涙を流して居る記者も居た。

 <この懇談は市民とメディアの間を又もや引き裂いた。市民に信頼される報道を目指して頑張って居る記者の心を折れさせて行くメディアの上層部の意識って何ナンだ>








 21日夜「#私たちこのままでいいんですか」とハッシュタグを付けて私がツイッターで呟くと瞬く間に広がった。この首相との懇談は会費制だ。会費は「桜を見る会前夜祭」よりも高い1人6000円。
 首相への日常的な質問の機会すら無く為る中、出席して取材したいと云う気持ちは判る。疑惑の渦中に居る首相がドンな表情で何を語るのか。同席する首相周辺の振る舞いも含めて観察対象としては興味深い場面だ。

 でも、実施の前提は、記者クラブとして首相が公式に市民の疑問に答える記者会見等の場を確り行う事である。それスラ出来て居ない状況で、非公式の懇談実施を先行させた事によって、市民からメディアは「共犯者たち」と映った。
 市民の不信感を利用してメディアの力を弱め様とする政権側の術中に嵌ってしまったと言わざるを得無い。大局的な判断が出来ず、キャップを懇談に参加させた幹部の罪は重いと思う。

 情報革命が進む中で既存メディアのモデルは崩れた

 一方で権力側は、官邸への一極集中を実現し、SNS等を駆使して市民に直接情報発信出来る様に為り、更にはメディアに対する統制も強めて居る。『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)で描いた実相だ。
 フェイクが氾濫し、民主主義が壊れて行く中、メディアが「権力の監視役」としての役割と力を取り戻す為には、市民との関係を再構築し無ければ為ら無い。変われるのかそのママ沈むのか。オリンピック・パラリンピックで日本社会に国際的な注目が集まる2020年は、メディアにとっても大きな岐路に立たされる年に為るだろう。
 新聞労連の合言葉は「ネクストジェネレーション」次世代が思い切ってジャーナリズムを全う出来る環境を作る為、勝負の年に為ると考えて居る。


           新聞労連委員長・南彰   以上







 【管理人のひとこと】

 新聞労連の委員長が、何故、殊更(ことさら)この様なペーパーを公表したのか・・・その様な事は誰に言われ無くとも判る社会常識の範疇(はんちゅう)だろう。
 メディアが時の権力と余りにも癒着すると、権力への監視・批判の精度が鈍化してしまうから、権力とは適度な距離感が必要だ。それでも深く取材するには或る程度の親密な付き合いも必要・・・この距離感がベテランに為るに連れ希薄して行く。TBSの元記者・山口氏(準強姦罪で300万の罰金刑を受けた)の例の様に、マルで身内に近い関係は、両者に取ってもマイナス面が大きく、社会悪へと繋がる事もある。

 市民との(信頼)関係を再構築し無ければ為ら無い・・・と反省するのは、何をか況(いわん)やだ。当たり前の事が出来て居らず、批判が起きたら「原則に立ち返って反省し謝罪する」と声明文を読み上げ無くては為らぬ程今のメディアは腐敗して居る・・・と自ら告げるに等しい。先進国最下位のメディアの自由度に値する文章だった。
 確りして呉れ・・・購読数が減少するのは、何もネットだけの所為では無い。NHKを初め、今のメディアに政権の腐敗を取材し、批判し公に公表し弾劾する意欲も意思も度胸も全て無いのでは無かろうか。一番の忖度の根っコは、メディア自身が招いた結果なのだと大いに考える事が必要だ。安倍政権が徒に永く続いた一因は、全てのメディアの所為でもある。
 メディアが忖度ばかりして居るから、率先して面白く政治問題を取り上げられ無いのが原因で、国政選挙では40代以下の投票率が悪く、真面目に投票するのは60代以上の老人だけで、合計しても50%前後に為ってしまう。更に小選挙区の為、惨敗率が高く為り歪な結果と為るのも「投票しない」一因だろう。







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森達也監督に聞く『i -新聞記者ドキュメント-』で炙り出した忖度の正体





 




 森達也監督に聞く『i ー新聞記者ドキュメントー』で炙り出した 忖度の正体

            〜ハフポスト日本版 12/23(月) 10:40配信〜


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 1980年代前半からテレビのディレクターとして、報道・ドキュメンタリーのジャンルで活動して来た森達也さん

 森友・加計学園問題、普天間基地移設問題、そして現在の「桜を見る会」問題・・・7年続いて来た安倍政権は、幾度も大きな疑惑を抱えて来た。その際、記者会見で官邸の防波堤としてマスコミに対峙して来たのが菅義偉官房長官だ。
 そんな彼に敢然と立ち向かって注目されて来たのが、東京新聞社会部の望月衣塑子記者だ。記者クラブで時に政治部記者達が丁々発止に行う会見の雰囲気をブチ壊し、厳しい質問を菅にブツケテ来た。 彼女はリベラル陣営の新たなスターとして、持て囃(はや)される事も多かった。

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      『i ー新聞記者ドキュメントー』より 東京新聞社会部の望月衣塑子記者

 森達也監督の新作『i ー新聞記者ドキュメントー』は、その望月記者を追ったドキュメンタリー映画だ。この作品には、菅官房長官と望月記者のヤリ取りも多く収められて居る。 定例会見で厳しい質問を繰り返す望月を、菅は面倒臭そうにノラリクラリと処理する。そこには未だ「桜を見る会」問題で苦しい顔を見せる菅は居ない。国民の知る権利等知らんとバカリ、不遜な態度を隠さ無い。

 リベラル陣営に対する森監督の違和感

 『i ー新聞記者ドキュメントー』に先駆けて、望月をモデルとした劇映画の『新聞記者』が、今夏に公開されてスマッシュヒットした。両作とも河村光庸プロデューサーである事を踏まえると、劇映画の『新聞記者』とドキュメンタリーの『i』はワンセットの構図だ。
 結論から言ってしまえば『i』に劇映画版の様なシンプルさは無い。かと言って、決して判り難い内容に為って居る訳でも無い。

 劇映画版は観賞者のカタルシスを招く、判り易い構図の純朴なエンタテインメントに仕上がって居た。その彩度を抑えた冷たい映像の裏でリベラル陣営の熱い「エイエイオー!」が反響し、小規模公開ながら興行収入4億円を超えるスマッシュヒットと為った。
 それに対し、森のドキュメンタリー版は、鑑賞者に対して何とも優しく無い。そこにリベラル陣営に対する違和感があるのではないか、と森監督本人に振ると──

 「と、地の文で書いて下さい(笑)『森は、ニヤリと笑った』位にしといて。マァでも、そう云う事ですよ。勿論僕はシンパシー的にはソッチですけど、だからと云って何かチョット違うんじゃ無いの、ってのも有ったし」

 本作『i ー新聞記者ドキュメントー』で、森の違和感は何処まで伝わるか。

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                  森達也さん

 森達也のフィルモグラフィーを知る者に取って『i ー新聞記者ドキュメントー』はヤヤ異質なものに映る。それは被写体と為る望月衣塑子記者が、極めて真っ当な人物だからだ。これ迄森が描いて来た対象は、社会から排除されたり、その辺境に居たりする事を余儀無くされたアウトサイダーが目立つ。
 『「A」』シリーズでは、オウム真理教の荒木浩・『ミゼットプロレス伝説』では当時テレビから追い出されて居たミゼットレスラー・『職業欄はエスパー』では3人の超能力者・『FAKE』ではゴーストライター問題で猛バッシングされた音楽家・佐村河内守等々。

 森の方法論のひとつは、こうした「キワモノ」扱いされる人物を通して、日本社会の歪さを炙り出す事だった。観る者の「普通」「異常」の価値を転倒させ、従来の視座を混乱させる。
 こうした過去作の主人公に比べると、望月衣塑子は矢張り極めて真っ当だ。新聞社に勤務し、日々記者としての職務を真面目に熟す。アウトサイダーでも「キワモノ」でも何でも無い。勿論ジャーナリストとして彼女の中から湧き出る強い使命感も感じられるが、しかし人格的な過剰さは感じられ無い。何より佐村河内守の様な胡散臭さは全く無い。
 森さんらしく無いな・・・そう思いながら観て居た。実際、この企画自体が河村プロデューサーからのものだった。







 「キワモノ」は社会の歪さ照らす特殊なフィルター/span>

 「映画でこうしたオファーを受けると云った仕事は、もしかして初めてかも。『「A」』や『「A2」』は自主制作だし『FAKE』も僕から撮りたいと言ったから。望月さんはそれ以前から面識はあったけど、撮影を進めて見て余り印象は変わら無かった。裏表が無い人なので、誰に対しても同じ様に接するし、距離を作ら無い。最初から、好く喋って好く食べて好く動くってイメージは同じ。
 マァでもヤッパリ彼女は面白い。周囲と上手くコミュニケーションが取れ無いのは、一体何に由来して居るのか、色々面白い材料は有った」


 そして映像作家らしく、望月記者に対して、こう評価を付け加える。

 「撮って行く内に、思った以上にコケティッシュな処が有るなと思いました。ドキュメンタリーの被写体って、フォトジェニックで有る事が大事なんですよ。それは、ハンサムとか美人とかって意味じゃ無くて画に為る事。人としてドンなに面白くても、シチュエーション的にドンなに面白くても、フォトジェニックで無いとメインの被写体としては辛い。荒木浩さんも佐村河内さんも画に為るからね」

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              『i ー新聞記者ドキュメントー』より

 とは言え、矢張りひとつ気に為るのは、望月が真っ当過ぎる位真っ当な事だ。森作品において、荒木浩や佐村河内守は日本社会の歪さを照らす特殊なフィルターとして機能する。しかし望月は、彼女自身が日本社会の問題を直接追求して居る張本人だ。従来の森作品と異なった印象を受けるのは、ソモソモ被写体の質が違うからだ。

 「ドキュメンタリーって、如何に豊かなメタファーを紡ぐかが大事です。荒木さんや佐村河内さんを撮っても、彼ら自身がテーマだった訳じゃ無い。僕はこれ迄、彼らをメタファーにして社会とメディアを描いて来た積りです。
 只、今回は正しく望月さんそのものがメディアを体現してる訳ですから、彼女がメディアのメタファーには為ら無い。ジャア、更にもっと大きなものにするしか無いなと」


 モッと大きなモノ・・・それは、現在の政権であり日本と云う国家そのものだ。1999年の『放送禁止歌』で、森はテレビやラジオで一部の曲が「放送禁止」とされて居る状況を探った。
 そのオチは何とも拍子抜けするのと同時に、日本的なヤバさが立ち込めるものだった。実は放送禁止等、誰も決めては居なかった。単に放送局のスタッフが何かを畏(おそ)れて、放送して居なかっただけ。最近の言い方をすれば忖度によって「放送禁止」と云う現象が生じて居た。
 人々が自動忖度機と化す日本の怪現象は、今に始まった事では無い。森は随分前に、放送局を取材する過程でそれを知った。それから20年経った今、森は言う「アノ時よりも、事態は遥かに進んで居る・・・」







 日本に蔓延する忖度パンデミック、何故?

 森友・加計学園問題を初め、ここ数年、忖度が引き起こす不祥事が目立つ。強大化した権力と不安定な社会は、権力に対する忠誠に奔走する孤独な権威主義者を跋扈(ばっこ)させて来た。人々は流れに逆らう事無く、その先に何が待ち構えて居るか考えずに只管(ひたすら)同調する。

 「同調は人の本能だと思って居ます。だって人は群れるイキモノだから、それはモウ大前提。只日本は、チョットその度合いが強いんじゃないかと思います。これにはメリットも有って、過つてこの国は同調性が高いが故に、企業戦士を生み出して高度経済成長を成し遂げて来た」

 しかし、今はそのマイナス面が日本の至る所で噴出して居る。

 「同調圧力が過剰に働く時があります。何処に向かって居るのか、何の為に走って居るのか判ら無いママ、皆必死に走り出す。それが、結果として飛んでも無い事に為る時がある。例えば、戦争中は皇国兵士を生み出した。企業戦士とも共通するのは滅私奉公ですよね。
 自分を捨てて帰属する集団に奉仕する。キッと、安心出来るんでしょうね。歴史的に何度も起きて居るのに、又そう云う傾向に為って居る」


 放送局が自主規制をして居た状況が、現在、日本社会全体に蔓延(まんえん)して居る。マルで伝染病の様に。何故、これ程の忖度パンデミックは起きて居るのか。

 「セキュリティ意識だと思います。皆もう怖いんですよ。行政や展示会関係の人達は炎上が怖い訳です。そうすると、為るべくリスクを軽減したい。しかし、万が一を気にしてたら何も出来無く為る。車に絶対に轢(ひ)かれ無い為には家から出無い方が好いと云う話に為る。リスクは決してゼロに為ら無いのに」

 恐らく、ソコで忖度をしたり自粛をしたりする人は、責任を取らされるのを怖がって居るのではないか。

 「多分、そうですよね。今は万が一が余りにも強く為って『何か有ったら責任取るのか!』と言われると、何も言い返せ無く為って居る。『ガソリン携行缶を持って行く』と電話があっても、本気でそう考えて居れば電話ナンてして来ない。だからそんなのは相手にし無きゃ好いんだけど、でも万が一は有る。
 もし酷い事が起きたら、誰も責任の取り様が無い。 でも、そう云う社会に為っちゃったんですよネ。そうした状況の中で一番良いのは、リスクをゼロにする事。詰まり遣ら無きゃ好い。そして自主規制が起こる」
 

 同調圧力が、メリットよりもデメリットを軸に働く状況が強まって居る。

 「悪い部分が今ドンドン出て来てしまって居る。目的が無く為ったら暴走するばかりですから。今日本はそう云う処が悪いんじゃないかな。目的を失って居るから怖いし、同じ動きをする為に強いリーダーが欲しく為る」

 他人と同じ事をし他人と違う事をする・・・人間は、同調化と差異化を繰り返す。もう直ぐ終わろうとして居る2010年代は、世界的に人々の極端な志向が強まった時代だった。トランプ大統領もそうして誕生し、Twitterでは日々様々な陣営が感情を剥き出しにしてを攻撃して居る。そして若者達は、何かに付けて炎上リスクを口にする。
『i』は、ソンな時代に対しての処方箋だ。森の優しく無い「やさしさ」は、果たして何処まで届くか。


     編集 毛谷村真木 松谷創一郎     以上







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WTOは死んだのか 軍靴の音が再び聞こえる・・・




 




 WTOは死んだのか 軍靴の音が再び聞こえる・・・

     〜日本ニュース時事能力検定協会認定講師 坂東太郎 12/22(日) 11:00〜

            12-23-2.jpg

 12月11日、世界貿易機関・WTOの紛争処理機能が停止してしまいました。貿易紛争の最終的な解決を図る上級委員会(委員は7人の専門家)で最低限必要な3人の内2人の任期が切れ、後任が選ばれ無かったからです。
 理由はアメリカが選任に反対したから。WTOは加盟164カ国・地域の全会一致が原則で1国(アメリカ)でも反対したら何も決まりません・・・と初っパナから小難しい話に為りましたが、この事態は貿易紛争のみ為らず戦火を交える本当の戦争への滑走路に為るかも知れ無いと申せば深刻さが判って頂けるでしょうか。以下に分析を試みてみます。

 ブロック経済に疎外された日本

 WTOの前身組織である「関税と貿易に関する一般協定」GATTが発足したのが1948年。先の大戦が1929年に端を発する大恐慌への対応として、主要国が特定の国だけを囲い込んで他を排除したブロック経済を敷いたのが、大きな要因とされたのを反省しての事でした。
 大恐慌の震源地アメリカのフーヴァー大統領は「スムート・ホーレー法」制定に走ります。高関税と国内産業保護で大不況を乗り切ろうと考えたのです。他の主要国も対抗して似た様な仕組み作りに邁進します。

 イギリスは、英連邦加盟国にだけ低い関税(特恵関税)を適用して他国の製品を排除しました。フランスも追随。日本も植民地だった台湾と朝鮮、更に軍事力で樹立した「満州国」等で円ブロックを構築するも、不十分で代わりに為る市場を東亜新秩序建設の名の下に、中国との戦争で獲得しようとしました。
 第1次世界大戦敗北で植民地を失ったドイツ国民は、ヒトラーの拡大政策を支持します。こうした角逐が何を齎(もたら)したかは云う迄もありません。







 世界全体の経済発展を図る国際組織

 そこでGATTは「自由・無差別」を理念に、排除の典型である関税率の引き下げ等を徐々に進めて、世界経済の自由化に務めて来ました。
 「無差別」は、2国間以上での交渉で相手国に認めた条件を、全ての加盟国に適用する最恵国待遇が基本。1955年に加盟した日本は、戦前に軍事力で捥ぎ取ろうとした市場と資源への自由なアクセス権を平和裏に得られたのです。こうしたGATTの有り方は結果的に英連邦特恵関税制度の様なブロックを無力化する役割も果たしました。

 その発展形が1995年に発足したWTO。「自由・無差別」の理念を継承しつつ、協定(条約)から国際機関へと強化されました。改組される根拠と為ったGATTウルグアイ・ラウンド(1994年妥結)にモノの貿易のみ為らず通信、金融、流通等のサービス分野や投資、知的財産権の保護も対象に加える組織と為り、 ジュネーヴ に常設の本部も置いたのです。
 決定を多数決で無く加盟国の全会一致で議決するとしたのは、不満を持つ国が脱退したら世界経済が分断されてしまう為。故に途上国の存在感は、他の国際機関に比して高い傾向が見られます。これも又大国の独り善(よ)がりを防ぐ効果を狙ったものでした。

 WTOの役割をザックリ表現すれば「貿易に関する国際(世界共通)ルールを定めて発展させ、為るべく偏り無く世界全体の経済発展を図る国際組織」と言えましょう。リカードの比較優位論が根本理論です。自由貿易の守護神として、全世界一律のルールで貿易すれば問題等何も起き無い・・・理屈の上ではそう為ります。







 ノッケから躓(つまづ)いたドーハ・ラウンド交渉

 只時代と共に様々な変化が生じるのも事実で、WTOではGATTと同じく「ラウンド」と称する、貿易の自由化ルールを討議する多角的貿易交渉を行って居ます。2001年からドーハ・ラウンドの交渉スタート。
 主なテーマは「開発」で途上国を含めた貿易ルールや何かと揉(も)め易い農業分野の自由化ルールを確立しようと試みます。「先進国と途上国」および「農業」はGATT時代も利害調整が難しいので先送りされて来たテーマです。具体的には途上国との経済格差を縮めツツ経済発展に繋がる方策を優先的に取り組んで、途上国もラウンドへ積極的に参加して貰うのを期待しました。

 誤算はこの「WTO最初の大仕事」が遅々として進ま無かった点。当初の最終期限は2006年でしたが、マトまらず凍結してしまいます。最大の懸案は農業分野。工業品等と異なり国土保全の役割や安全保障と云う観点から、経済合理性を見逃してでも維持して置きたい理由が生じ易いからです。
 例えば日本は、食糧自給率が低いので食糧安全保障を唱えて、コメ等の主要産品に特段の関税措置を認めて貰いたい立場と為ります。世界的な枠組みだと、欧州連合・EUや日本は、農産品を輸入する側なので国内農業を関税で守りたい。
 アメリカは、輸出国で有り続けるべく国内農業を補助金で維持したい。途上国の多くは最大の輸出物が農産品と云うケースが多い為、一般に先進国へ輸出したいから関税や補助金には反対です。加えてEUの一部の国は余剰農産品に補助金を付けてアメリカ市場と対抗するヤヤコシイ形が含まれます。

 2008年の蹉跌(さてつ)
 
 それでも2008年、アメリカは農業補助金を削減しEUも補助金撤廃で、ラウンドは折り合いそうに為りました。同年は世界経済を根底から破壊しかね無いリーマン・ショックが襲い掛かって居て「大恐慌の再来」すら予測されて居ました。
 日米欧何れも打つ手無しに迄追い込まれた処を救ったのが、11月の主要20カ国・地域G20首脳会議・金融サミットで、ブロック経済の様な保護貿易主義の排除を強調し、ラウンドの年内大筋合意が打ち出されたのも画期的でした。

 処が別の問題が顕在化して結果的に挫折してしまいます。途上国側でブラジル等農産品輸出国と、インド・中国等輸入国の立場が異なって分裂してしまったのです。
 特にG20で大きな役割を果たした中国が、市場開放を最小限に食い止めたいと主張し、アメリカと鋭く対立したのが致命的と為りました。2009年2月、アメリカは公共事業で使う鉄鋼等を自国で賄う「バイ・アメリカン」条項を含む景気対策法を成立させ保護主義的な政策をチラつかせるに至ります。

 結局、ドーハ・ラウンドは2011年、主要分野(農産品や鉱工業品)での合意を断念する事実上の「休止」宣言を出し、2013年には税関手続きのスピードアップや、途上国の農産品国内補助金を認める特例および後発発展途上国を支援する「開発」3分野の部分合意に、成功するに止まって居ます。
 2017年にはアメリカと中国等新興国の対立が鮮明と為り、閣僚会議としての宣言すら採択出来無かったのです。ラウンド開始から20年近く経っても解決しないので「WTOは既に死んで居る」と悲観的な見方が次第に広がって居ます。







 相対的に浮上した紛争処理能力と問題点

 そんな中、相対的に重きを為したのが「交渉」では無く「司法」的役割でした。少なくともウルグアイ・ラウンド迄のルールは確定して居るので、それに違反するかどうかを判定する紛争処理機能を指します。WTOが違反を認定すれば、被害国は加害国に制裁措置を発動出来るのです。
 貿易紛争を当事国同士で無く国際的に処理する場は、この仕組みしかありません。個人の揉め事と同じく当事者同士での話し合いは拗(こじ)れると延々と続くし、どうしても力の強い方が有利に展開し勝ちです。一応妥協が成立しても遺恨が残る恐れもありましょう。その点、WTOと云う公正な「裁判所」に委ねるメリットは大きいと言えます。

 「我が国はWTO協定に違反する不利益を受けた」との訴えがあれば、先ず「紛争処理小委員会(パネル)」に提訴します。パネルは報告書と云う形で判断をマトメ、それに不服であれば冒頭の「上級委員会」に申し立てます。此処が最終審判決に相当する報告書を公表するのです。
 例えば2012年、中国がレアメタル・希少金属の輸出を規制した際には、アメリカ・EU・メキシコが訴えて上級委員会が中国敗訴を判断。中国は関税撤廃で応じました。2014年には中国が環境保護を名目にレアアース・希土類輸出規制をして居るのは協定違反、と訴えて居た日・米・EUが勝って居るのです。

 アメリカ敗訴もあります。2013年、アメリカが中国の鉱物等の輸出品に不当廉売・反ダンピング関税を課したのを違反として、中国側が申し立てを行い2017年にアメリカ敗訴が確定しました。EUと争ったボーイング社への減税措置に関する申し立てでも敗れて居ます。
 多国間より2国間での取引を好み、自国第一を唱えるトランプ米政権に取って、特に中国との貿易摩擦を仕掛けてからWTOの司法的役割は鬱陶(うっとう)しい様です。通商法等国内法で気に入らぬ国への制裁をチラつかせつつ、事を有利に運びたいと考えると、意のママに為ら無い上級委員会に手足を縛られたく無いでしょう。
 又「交渉」頓挫と共に「司法」的役割が肥大して来たのも事実です。画(かく)してアメリカのNOで此方の機能も停止してしまいました。トランプ米大統領はWTO離脱すらし兼ねません。

 「改革」の方向性はバラバラ

 「交渉」も「紛争処理能力」もダメだとWTOはお仕舞いです。各国は「WTO改革をすべきだ」の一点でマトマッテ居るものの方向性がテンでバラバラ。アメリカは肥大化を問題視して上級委員会の機能を限定させたい方向なのに対し、中国はアメリカの保護主義的傾向から自由貿易を守る砦としての権限維持を主張。EUは上級委員会の機能不全だけは避けたくて、寧ろ強化策を提案して居ます。
 日本は近年、韓国の水産物禁輸問題で上級委員会に「逆転敗訴」を食らった苦い経験を持つので「強化」は嫌だけど自らが訴える場所が無く為るのも困ると云う立場です。

 EPAやFTAはブロック経済か

 今コソWTOの様な、自由貿易の世界共通ルールを決める組織を創設した原点に立ち戻るべきです。世界大戦の様な惨禍を経済面から二度と起こしては為ら無いと云う崇高な理念を。
 上級委員会の機能停止も大問題ですけど、それ以前から理念は揺らいで居ます。WTO協定が例外として認めて居るに過ぎ無い経済連携協定EPA自由貿易協定FTAが続々と結ばれて居るのが何よりの証左でしょう。日本も、環太平洋パートナーシップ協定TPP、日本・EU経済連携協定、日米貿易協定と、この処立て続けに大型の協定を結んで居ます。

 理由として、ラウンドが決着しないのでその外で交渉をマトメルしか無い、と云う現実主義が横たわって居るのは判るのですが、特定の国々とだけ協定(条約)を結んで域内の関税をゼロにすると云った仕組みは、ブロック経済以外の何ものでも無い、と云う批判をもう少し真剣に考えねば為りません。
 確かに戦前のブロック経済化・保護貿易化が必ずしも戦争を惹起した訳では無いと云う有力な反論は認められます。比較優位論も、それによって転職を余儀無くされる者が速やかに移行出来るとは限ら無いと云う弱点を抱えても居るのです。だとしても、WTOの理念を覆(くつがえ)し、新たな構想を具体的に打ち出さ無い限り「WTOは死んでも好い」とは為りません。

 トランプ米大統領の個人的傾向とも言い切れません。先述の「バイ・アメリカン」条項を含む景気対策法が成立した時はオバマ大統領でした。
 元来、建国以来のアメリカは孤立主義が原則で国際協調主義は例外。 後者に明確に属する時期は第1次世界大戦参戦(1917年)から国際連盟設立(20年)迄と第2次世界大戦参戦(1941年)から終戦(1945年)を挟んでソ連崩壊(1991年)辺りまで。
 戦後生まれの日本人は「たまたま」珍しい国際協調主義のアメリカに出食わしたに過ぎ無いのかも知れません。トランプ大統領は元々そうであった孤立主義的傾向を露骨に、判り易く表現して居るだけで、アメリカの本質は寧ろ今の方と云う可能性大。

 一方、戦後日本は間違い無くGATT体制に救われました。自由貿易による恩恵を最も受けた国の1つなのです。故にWTO問題はもっと真剣に捉える必要がありましょう。


           日本ニュース時事能力検定協会認定講師 坂東太郎

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 毎日新聞記者等を経て現在、日本ニュース時事能力検定協会監事 十文字学園女子大学非常勤講師を務める 近著に『政治のしくみがイチからわかる本』『国際関係の基本がイチから分かる本』(何れも日本実業出版社刊)等










 


2019年12月22日

対米交渉で農業を犠牲にして自動車を優先する安倍三選内閣 「国民騙し」のTAGを許すな








 対米交渉で農業を犠牲にして自動車を優先する安倍三選内閣 「国民騙し」のTAGを許すな

      〜ハーバー・ビジネス・オンライン バックナンバー 菊池英博 2018.10.20〜

 9月26日、三選を終えた安倍首相が日米首脳会談で決めた「TAG」恰も「FTA」とは別物かの様に説明されて居るこのTAGに付いて、日本金融財政研究所所長の菊池英博氏は「国民だまし」と鋭く批判する。月刊誌『月刊日本』11月号に掲載された菊池氏の論考を紹介したい。

 言葉だけで変えて国民を欺く「TAG」

 安倍三選が決まってから最初の仕事が国民だましの日米物品貿易協定TAG・Trade Agreement on Goodsモノの貿易協定である。対日貿易赤字の削減を求める米国のトランプ大統領と安倍首相は、9月26日に米ニューヨークで首脳会談を開催し、農産物を含む全ての通商取引に付いて二国間交渉に入る事で合意した。  

 交渉前の段階迄は、日本政府は2国間取引には反対で、多国間でルールを取り決める多国間貿易協定・環太平洋パートナーシップ協定を進めて居り、米国が離脱した後も中国包囲網と云う政治的狙いをもってTPPを進めTPP11を締結して居る。  
 しかし、TPP離脱を決めたトランプは多国間の協定を拒否し、米国と相手国との2国間取引を主張し、既にNAFTA・米国・カナダ・メキシコ3国自由貿易協定では、米国とメキシコ、米国とカナダが2国間で協議して改訂合意に達して居る。  

 米国の強い姿勢に同調せざるを得無く為った日本は、新関税交渉をTAGと称してFTA・Free Trade Agreementでは無いと国民に説明して居る。しかし2国間の貿易協定では、先ずモノの取引が骨格を占めて双方の関税引き下げを決める事から始めるので、TAGはFTAそのものであり、米韓FTA等はモノの取引に加えて投資・サービス関連のルール等を加えて条約に為って居る。  
 「二国間取引に合意した」と云う事は「FTAを締結する事に合意した」と云う事である。これを「FTAでは無いTAGだ」と国民に説明して居るのは正に「国民だまし」である。
 米国のペンス副大統領は10月4日の演説で「日本と歴史的なFTAに関する交渉を間も無く始める」と述べ、安倍首相の国民だましを裏付けて居る。  これ以上に大きな問題は、対米交渉に当たって安倍政権が「日本の農業を犠牲にして米国に差し出し、対米貿易黒字の主因である自動車産業を守ろうとして居る」事だ。

 農業を人身御供で米国に差し出す

 日本の対米貿易収支黒字額は2017年で7兆円であり、この内自動車輸出額は4.6兆円であって、黒字額の66%を占め、これが貿易赤字の主因である。安倍内閣に為ってからの5年間(2013〜2017年)で、円の対ドル相場は約39%の円安(円の切下げ)であって、日本の自動車業界は大幅な利益を享受し、特に対米輸出はこの5年間で53%も増えている。2012年3兆円から2017年は4.6兆円に増加。  
 この異常な増加に対して米国は「日本の自動車輸入に25%の関税を掛ける」と発言し、更に米国は「日本は米国の農産物輸入関税を引き下げろ」と主張して居る。これに対して日本政府は「農産物に対する関税はTPP等で約束した水準迄下げるから、自動車への関税は止めて欲しい」と嘆願した。

 処が10月4日に為って米国のバーデユー米農務長官は「日本との通商交渉で、日本と欧州連合EUが署名した経済連携協定・EPA以上の農産物関税引き下げを求める」と演説し、更に「我々は日本を守って居る、貿易で他国に出来ることを何故日本は米国に出来ないのか」と反論して居る。  
 9月30日にNAFTAの改訂合意内容が発表された。これによると、メキシコとカナダが関税ゼロで米国に輸出出来る自動車は「域内での部品調達比率の引き上げ(62.5%から75%へ)と時給16ドル以上の地域で生産した割合が40%以上」で生産された上で年260万台に制限され、同部品にも輸出金額に制限が付けられた。  

 農産物ではカナダが「TPPで米国に約束した輸入割当枠を復活する」形で設けたにとどまった。TPP11とEPAで署名した農産物関税引き下げが実現すれば、日本はコメや酪農等で甚大な影響を受けて主要国で最も低い食料自給率(カロリーベースで38%)がさらに低下することが明確になっているのに、対米交渉で、TPP11とEPA並みの関税引下げを差し出してまで、円安で多額の利益を得た自動車を守らなければならないのか。  NAFTAと同様に対米黒字の主因である自動車だけで対米黒字を調整すべきではないか大きな疑問だ。








 食料問題は日本の「安全保障」の問題

 食料は天変地異や国際的な紛争で一挙に無く為ってしまう。特に食料自給率の低い日本のリスクは大きい。大儲けした自動車優遇で好いのか、食料安保を優先すべきでは無いか。国民が選挙で判断すべきである。


 文 菊池英博  エコノミスト 東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て1995年文京女子大学教授に 現在は日本金融財政研究所所長
 提供元 月刊日本編集部 げっかんにっぽん 「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌 「左右」と云う偏狭な枠組みに囚われ無い硬派な論調とスタンスで知られる。


           菊池英博   以上


 



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安倍政権が切り捨てる日本の食と農 日本だけが輸入する危険な食品








 安倍政権が切り捨てる 日本の食と農 日本だけが輸入する危険な食品

         〜HARBOR BUSINESS Online 鈴木宣弘氏 12/22(日) 8:33配信〜


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          日本の「食」と「農」を米国に売り渡した安倍首相

 日本の食と農が崩壊する!

 安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名の基に、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進して来た。規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き「農業が産業化し、農協が要ら無く為る事が理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。
 諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家では無く、金丸恭文氏・新浪剛史氏と云ったグローバリストである。結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めて居たローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。
 安倍政権が掲げて来た「稼げる農業」と云うスローガンの実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。こうした中で、農産物の自由化によって日本の農業は弱体化に拍車が掛かって居る。

 『月刊日本 2020年1月号』では、第3特集として「日本の食と農が崩壊する」と銘打ち、日本の食糧自給を巡る危機的な状況に警鐘を鳴らして居る。今回は同特集の中から、東京大学大学院農学生命科学研究科教授である鈴木宣弘氏の論考を転載・紹介したい。


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           東京大学大学院農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏

 農業を犠牲にする経産省政権

 ・・・日米貿易協定が2020年1月に発効します。

 鈴木宣弘氏(以下 鈴木) この協定に付いて、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」等と言って居ますが、日本の完敗である事はハッキリして居ます。自動車に追加関税を掛けると云うトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。
 日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率は僅か1%に過ぎません。日本農業は、更に大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻む事に為ります。

 安倍政権は「アメリカは自動車関税の撤廃を約束した」と述べて居ますが、署名後に開示されたアメリカ側の約束文書には「更なる交渉次第」と書かれて居ます。自動車を含ま無ければ、アメリカ側の関税撤廃率は51%に過ぎません。これは、少なくとも90%前後の関税撤廃率を求めた世界貿易機関・WTOルールに違反する事に為ります。
 安倍政権では、経産省の力が過つて無い程強まって居り、自分達の天下り先である自動車、鉄鋼、電力等の業界の利益拡大が最優先されて居ます。

 過つて、貿易交渉においては、財務、外務、経産、農林の4省の代表が並んで交渉し、農業分野の交渉では農水省が実権を持って居ましたが、今や農水省は発言権が奪われて居ます。内閣人事局制度によって官邸に人事権を握られた結果、農水官僚達も抵抗出来無く為って居るのです。「農水省が要ら無く為る事が理想だ」と公言する人物が農水省の次官に為る様な時代なのです。

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 危機に陥る食料自給

 ・・・協定が発効すると、アメリカ産の牛肉や豚肉の関税が一気に下がります。

 鈴木 牛肉の関税は、現在の38・5%から26・6%に一気に引き下げられ、2033年度には9%と為ります。豚肉も、高級品に付いては関税を段階的に下げ、最終的にゼロと為ります。低価格部位に付いては、現状の10分の1迄下がります。

 日本は、TPP11で、牛肉を低関税で輸入する限度・セーフガード数量に付いて、アメリカ分も含めたママの61万トンを設定しました。処が今回、アメリカ向けに新たに24万トンを設定したのです。
 日本に取っては、アメリカ分の限度が「二重」に為って居ると云う事です。しかも、付属文書には「セーフガードが発動されたら発動水準を一層高いものに調整する為、協議を開始する」と書かれて居るのです。実際にセーフガードを発動する事は次第に難しく為ると云う事です。

 政府は、牛肉や豚肉の価格が下がった分は補填するので、農家の収入は変わらず生産量も変わら無いと強弁して居ます。しかし、生産量が低下し自給率が更に下がるのは確実です。既に牛肉の自給率は36%、豚肉の自給率は48%まで低下して居ますが、2035年には、牛肉・豚肉共10%台に迄落ち込む危険性があります。
 農水省は平成25年度の39%だった食料自給率を、令和7年度に45%に上げる等と言って居ますが、それを実現する気等ありません。

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                   北海道の酪農

 食料自給で最も深刻なのは酪農です。所得の低迷によって国内の酪農家の廃業が相次いで居ます。乳価を安定させ、個々の酪農家の利益を守る為に機能して来た指定団体が改定畜安法によって廃止されたからです。これに乳製品の関税引き下げが加わり、酪農家は危機感を高めて居ます。
 2018年には、北海道のブラックアウトの影響で東京でも牛乳が消えました。これは決して一過性の問題ではありません。更に酪農が弱体化して行けば、店頭から牛乳が消えると云う事態が実際に起きます。牛乳を飲みたがって居る子供に、お母さんが「ゴメンね。今日は牛乳が売って居ないの」と言わ無ければ為ら無く為るのです。欧米諸国為らば、暴動が起きる様な事態です。

 処が、政府は「不測の事態には、バターと脱脂粉乳を追加輸入して水と混ぜて、還元乳を飲めば好い」等と言って居ます。安全で新鮮な国産牛乳を確保する為に、国産牛乳の増産を図るのが国民の命を守る国の使命の筈です。処が、政府はその責任を放棄して居るのです。食料自給は、国家安全保障の要です。
 食料を安定的に国民に供給する為に、自国の農業を守るのが国の責任です。「日本の農業所得は補助金漬け」等と批判される事がありますが、日本は3割程度です。スイスは100%フランス・イギリスも90%を越えて居ます。








 日本にだけ輸出される危険な食品

 ・・・アメリカ産牛肉は安全性も問題視されて居ます。

 鈴木 日本は、BSE牛海綿状脳症が問題と為った為、アメリカ産の牛肉輸入を「20カ月齢以下」に制限して居ました。処が、野田政権は2011年、TPP交渉への「入場料」として「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」へ緩和してしまいました。
 
 実は、24カ月齢の牛のBSE発症例も確認されて居るのです。しかも、アメリカのBSE検査率は1パーセント程度で、発症して居ても検査から漏れて居る牛が相当程度居ると疑われます。又、アメリカの食肉加工場における危険部位の除去が不十分な為、危険部位が付着した輸入牛肉が日本で頻繁に見付かって居ます。「20カ月齢以下」は、日本人の命を守る為の最低ラインなのです。
 しかし、安倍政権はアメリカに配慮して、2019年5月に月齢制限を完全撤廃してしまったのです。又、アメリカ産の牛肉には、エストロゲン等の成長ホルモンが使用されて居ます。

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 札幌の医師が調べた処、アメリカ産牛肉からエストロゲンが通常の600倍も検出されたのです。ウナギ養殖のエサに極微量垂らすだけで、オスのウナギがメス化する程の成長ホルモンなのです。
 エストロゲンは乳がんや前立腺がんとの関係が疑われて居り、日本では牛肉生産への使用は認可されて居ません。しかし、アメリカからは、エストロゲンを使用した牛肉が輸入されて居る疑いがあります。検査機関は「検出されて居ない」と言って居ますが、40年前の精度の悪い検査機械をワザワザ使用し、検出され無い様にして居る様です。

 EUは、1989年から成長ホルモンを使用したアメリカの牛肉を輸入禁止にして居ます。禁輸してから7年で、乳がんの死亡率が顕著に低下したと云う学会誌データも出て来て居ます。更に、アメリカでは、牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤ラクトパミンが使用されて居ます。
 ラクトパミンは、発がん性だけで無く、人間に直接中毒症状を起こす危険性があり、EUだけでは無く、中国やロシアでも国内使用と輸入を禁じて居ます。日本でも国内使用は認可されて居ませんが、これ又輸入は素通りに為って居るのです。

 アメリカの乳製品も危険です。ホルスタインには、モンサントが開発した遺伝子組み換え成長ホルモンが使用されて居るからです。この成長ホルモンを注射すると、乳量が2〜3割も増えるとされて居ます。アメリカでは、1994年に認可されましたが、1998年に勇気有る研究者が「数年後には乳がん発症率が7倍、前立腺がん発症率が4倍に為る危険性がある」と学会誌に発表したのです。
 その結果、アメリカの消費者が不買運動を展開、今ではアメリカのスターバックスやウォルマートが「当社の乳製品には成長ホルモンを使用して居ません」と宣言せざるを得無い状況に為って居るのです。処が日本では、これ程問題に為った成長ホルモンを使用した乳製品の輸入が野放しに為って居ます。







 スイスの食品流通に学べ

 ・・・安倍政権には、日本の食の安全を守る気がありません。我々は、どの様にして食の安全を守って行けば好いのですか。

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 鈴木 2019年10月には、ゲノム編集食品の販売が解禁されました。しかも、表示義務もありません。2023年には遺伝子組み換えで無いと云う食品表示も実質的に出来無く為ります。
 安倍政権は、世界に逆行する様に、発がん性が指摘される除草剤成分「グリホサート」の残留基準値も大幅に緩和しました。そして、貿易自由化が加速する事によって、危険な輸入食品が更に氾濫し、国産品を駆逐しようとして居ます。しかも、表示が無く為れば、安全な食品を選択する事も不可能です。正に今、日本の食の安全は瀬戸際に来て居るのです。

 我々がすべき事は、少々高くても、安全で安心なものを作って呉れる生産者と、それを支える消費者のネットワークを拡大する事です。その手本と為るのがスイスです。
 スイスでは国産卵は1個80円で、フランスから輸入して居るものの6倍もしますが、国産の方が売れて居るのです。私の知り合いが、スイスの小学生の女の子に聞くと「これを買う事で生産者の皆さんも支えられるが、そのお陰で私達の生活が成り立つのだから当たり前でしょ」と答えたそうです。

 生協が食品流通の5割以上を占めるスイスでは、消費者が農協等と協力して生産者サイドに働き掛け、健康、環境、生物多様性等に配慮した生産を促して居ます。その代わりに、消費者は農産物に込められた多様な価値が価格に反映されて居る事を認識し、そのコストを分担しようと云う意識を持って居ます。食の安全を守りたい為らば、日本もスイスを見習うべきです。


 聞き手・構成 坪内隆彦

 鈴木宣弘すずきのぶひろ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 専門は農業経済学

 【月刊日本】げっかんにっぽん ●Twitter ID=@GekkanNippon 「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌 「左右」と云う偏狭な枠組みに囚われ無い硬派な論調とスタンスで知られる

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第55回 9条と自衛隊の不整合は「気にし無いで好い」! 内田樹の凱風時事問答舘




 




 第55回 9条と自衛隊の不整合は「気にし無いで好い」! 内田樹の凱風時事問答舘

               〜By 内田樹 2019年8月4日〜

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 〜フランス現代思想を専門とする思想家にして、合気道7段の武道家のウチダ先生は、平成から令和に変わっても、益々ヨロズ相談の回答の名人なのだった。ご相談を受け付けて居ります〜


 Q 内田先生のブログ「内田樹の研究室」に、2012年から3年間、自衛隊の制服組に「アメリカの属国である日本は主権を取り戻して独立する事が急務である」と説いて居たとありました。その図を想像すると物凄いと思います。大変失礼ですが、ホントでしょうか?

 主権の回復が急務である

 A 本当ですよ。或る日、防衛研究所から安全保障に付いての講演をして欲しいと云う依頼がありました。今の1佐、昔の階級で言うと大佐の人達で、これから陸海空自衛隊のジェネラルに昇進する人達の為の特別研修のプログラムに呼ばれたのです。
 何時もの様に「日本はアメリカの属国であり、国家主権の回復が喫緊の急務である」と云う話をして、そのママピュンと後ろも見ずに逃げ出しました。そしたら、驚いた事に、翌年又依頼が来たんです。

 僕を呼んで呉れたのは教育部の方ですけれど、僕の書いたものを読んで居て、その上で「こう云う考えをする人が居る事も制服組は知って置いた方が好いと」と云う判断で僕を招聘して呉れたのです。その目論見が成功したと云う事なんでしょうね。
 2年目は所長が代わって居て、名刺交換の時に、聊(いささ)か懐疑的な眼差しで見詰められました。講演中も部屋の後ろで腕組みをして、厳しい顔で僕の話を聞いて居ましたけれど、終わった後に所長室で一緒にお茶を飲んで居たら「イヤア、面白かったです」と褒められて(笑)。次の年も呼ばれて、結局3年続けて伺いました。

 この間、東北方面総監だった渡邊隆元陸将と対談をしたんですけれど、防衛研究所が目黒に在った頃は、可成り学術的には自由な組織で、色々な政治的立場の講師を呼んで居たと教えて貰いました。2012年からは第2次安倍政権ですから、流石に3回も続くと「こんな奴を防衛省に講師として呼ぶと官邸が気を悪くするんじゃないか」と忖度する人が出て来たんでしょうね。

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 陸軍は常備軍を持っては為ら無い

 渡邊さんとは国防に付いてお話ししたんですけれど、大変有意義でした。「軍人」は考え方が極めて現実的です。イデオロギー的なバイアスが掛かって居ない。ものを見る眼が平明なんです。
 「ありもの」は全部利用する。使えるものなら、相手が左翼であろうが天皇主義者であろうが、自衛隊に取って利用可能な資源であれば全て利用する。実にプラグマティックだなと思いました。

 「どう遣って自衛隊に対する国民の信頼を高めるのか」と云う事に渡邊さんは在職中からズッと腐心されて居たそうです。1970年代末に防衛大を出たのですが、その頃は自衛隊に対する風当たりが非常にキツイ時代でした。逆風に耐えてキャリアを積んで来た。
 二人の話が合ったのは憲法9条と自衛隊の存在の間に不整合がある事なんか「気にし無いで好い」と云う点でした。と云うのは、憲法と軍の存在の間に論理的な不整合を抱えて居るのは、他為らぬアメリカだからです。合衆国憲法第1条は連邦議会の権限を規定したものですが、その8節12項には陸軍に付いては常備軍を持っては為ら無いと定めてあるからです。

 アメリカはイギリスと戦って独立した植民地です。独立戦争の時には常備軍が無かった。だから、市民に武装権を与えて、ミリシアmilitia・民兵を編成して戦った。戦争が終わったら、直ぐに召集を解除して家に戻す。常備軍として継続的に編成しない。
 どうしてかと云うと、常備軍と云うのは本質的に権力者の暴力装置であり、市民と敵対するリスクがあると云うのが「建国の父」達の共通の認識だったからです。陸軍は必要な時に民兵を集めて編成する。戦闘が済んだら、民兵達は家に戻って生業に復す。それがアメリカ憲法の規定する陸軍の正しい有り方なんです。

 「規律ある民兵は自由な国家の安全保障に取って必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵しては為ら無い」と云う憲法修正第2条「武装権」が存在するのはその所為です。陸軍常備軍の保持が憲法上は認められて居ないので「国家安全保障の為に」は市民の武装権を保証し無ければ為ら無い。
 アメリカで銃規制が進ま無い理由の一つは、市民の武装権を剥奪したら、それと同時に常備軍の保持を認める様に憲法を改定して、建国の父達の「自由な国家」像は「間違って居た」と宣言し無ければ為ら無く為るからです。

 今、アメリカは世界最大の常備軍を持って居ます。そして、その現実が憲法と齟齬して居る事をアメリカ人自身は知って居ます。でも、憲法と軍隊の存在の間に不整合があるから「改憲しよう」とアメリカ人は言いません。
 憲法と常備軍の不整合と云う「居心地の悪さ」を黙って受け入れて居る。複雑なものは複雑なママ扱う。僕はそれが「リアリストの風儀」だと思います。

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 理想を捨てた後に何を目指すのか

 世界中で軍隊を持つ事禁じた非現実的な憲法を持って居る国は日本だけだと言う改憲派が居ますけれど、それは嘘です。
 アメリカも憲法と常備軍の存在の間の矛盾を抱え込んで居る。でも、アメリカ市民は「現実に合わせて憲法改正をしよう」とは言い出さ無い。それは「建国の父」達が掲げた自由な国家の理想に、それがどれ程非現実的であろうと、今もコレからも、出来るだけ忠実で有りたいと願って居るからです。

 日本もその点では「アメリカと同じ」なんだと思います。日本国憲法が目指す理想と目の前の現実の間には不整合がある。だったら、どう遣って理想に近付けるかを考えるべきであって、現実に屈して、理想を捨てると云う話じゃ無い。大体、理想を捨てた後に、一体その国は何を目指して進んだら好いんですか。
 渡邊さんと僕の話が合ったのはその点でした。渡邊さんはアメリカ政府が常備軍化をどう遣って抑制しようとして居るか、その内部事情を好くご存じでした。米陸軍が常備軍化したのはコノ50年の事であって、それはアメリカ史の中では実は例外的な状況なのだと教えて呉れました。

 ですから、憲法に自衛隊が明記されて居ないから自衛隊員の子供が泣いて居ると云う安倍首相の話は出鱈目なんです。それならアメリカの陸軍兵士達の子供達も泣いて居ないといけ無い事に為る。ソモソモ憲法に存在が明記してある国家機関は国会と内閣と裁判所と会計検査院だけなんです。
 それ以外の省庁も警察も消防署も学校も病院も憲法には存在が明記されて居ない。でも、消防士の息子が、「お父さん、消防士は違憲なの?」と泣いたと云う様な話を僕は聞いた事が無い。こう云う出鱈目な口実で憲法を改定しようと云う人達に付いて、その知的な誠実さを僕はどうしても信じる事が出来ません。


  文・内田 樹 うちだ・たつる 1950年生まれ。神戸女学院大学名誉教授。思想家、哲学者にして武道家(合気道7段)、そして随筆家。「知的怪物」と本誌スズキ編集長。合気道の道場と寺子屋を兼ねた「凱風館」を神戸で主宰する。






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第58回 令和ニッポンは 「後進国」に転落する? 内田樹の凱風時事問答舘




 





 第58回 令和ニッポンは 「後進国」に転落する? 内田樹の凱風時事問答舘


              〜By 内田樹2019年12月3日〜


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 〜武道家にして思想家。高校中退で大検を取って東大入学も、大学院3浪、8年間で32大学の教員公募に不合格したウチダ先生が、今月も貴方の難問奇問にお答えします。全国民必読の問答集〜

 Q 平成から令和に為って、ソロソロ半年。10月22日は「即位礼正殿の儀の行われる日」と云う事で祝日に為ります。令和はドンな時代に為ると思われますか? 今のうちに遣って置いた方が好い事があったら教えて下さい。

 A 人口減と高齢化とAI

 未来予測は難しいです。判って居るのは、急激な人口減と高齢化が訪れると云う事。この様な事態を日本人は過去に一度も経験した事がありません。だから、何が起きるのかどう対処したら好いのか、誰も正解を知りません。もう一つはAIの導入による雇用消失。これもどの産業セクターで、何時どの程度の雇用消失が起きるかは予測が付きません。

 アメリカではAIによる雇用消失に付いては様々なシミュレーションが行われて居ます。僕が読んだ限りでは、楽観的な数値で14%・悲観的な数値では38%の雇用が「消える」と予想されて居ます。
 先ず消えるのが長距離トラック運転手だそうです。自動運転は技術的にはホボ完成して居ますので、実用化されると200万人の雇用が消滅するそうです。自動運転車は交通違反もしませんし休憩もしないし眠りもしないで、365日24時間運転し続けて呉れる。初期投資の費用が相当掛かっても、長期的には導入に遅れた企業にはマルで勝ち目がありません。
 それ以外にも、高度専門職である筈の弁護士や医師の業務でも、相当部分でAIが人間に取って代わると予測されています。

 でも、日本では、AIによる雇用消失は殆ど話題に為りません。日本は賃金が安いので、自動化するより低賃金労働者を使い倒した方が儲かると云う算盤を弾いて居る経営者が多いからでしょう。でも、そう遣って世界のトレンドに遅れ続けた場合、気が付いたら、日本は低賃金労働者しか売り物が無い「後進国」に転落して居る……と云う事は十分に有り得ます。と云うのが、可成り暗い未来予測です。








 移民への迫害や差別による国の分断

 予測可能な未来の姿のもう一つは「多民族国家」化です。日本はすでに270万人を超える外国人労働者を受け入れた「移民社会」です。
 しかし、受け入れを進めている政府も企業も、外国人労働者を単なる低賃金の労働者・雇用調整のバッファーとしか見做して居ません。彼等を日本社会に「同胞」として受け入れる制度的な備えも、心の準備もありません。人種も言語も宗教も生活習慣も違う人達を「同胞」として受け入れる為には、受け入れる側にそれ為りの市民的成熟が必要です。
 しかし、今の日本政府にも日本国民にも、大量の外国人労働者を受け入れる積りなら、自分達の方が変わら無ければ為ら無いと云う自覚はありません。

 ですから、何れ外国人の人口比が或る限界を超えた処で、他の国々と同じ様にファナティックな「日本人至上主義」Japan supremacyが勃興して来て、移民への迫害や差別によって国が分断される事に為るでしょう。暗鬱な予測ですけれど、今のママ無策を続ければ必ずそう為ります。

 何れにせよ、日本の未来に付いては全く楽観的に為れません。それは経済指標だけで無く、報道の自由、女性の社会進出、学術的生産力・・・と云った国力を示す多くの指標が下降し続けて居る事から当然推論される事です。
 日本の劣化は劇的な速度で進行して居ますけれど、国民の多くはその事実そのものを知ら無い。それは、メディアが日本の現状を冷静に報道し、分析し、対策を提言するだけの知的活力を喪失してしまったからです。

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 報道の自由度ランキング67位

 2000年に日本は一人当たりGDPでルクセンブルクに次いで世界2位でした。2018年は26位です。日本のGDPの対世界シェアは1995年には約18%でしたが今は約6%です。
 世界経済における日本のプレゼンスは20年で3分の1に迄低下したのです。報道の自由度ランキングは2010年が11位でしたが2019年は67位で先進国最下位と為りました。高等教育への公的支出の対GDP比も日本は先進国最下位が久しく定位置です。女性の社会進出の指標である女性国会議員比率も先進国最下位です。

 これらの指標を危機的な徴候だと見做して、何とか国運回復の為の手立てを講じ無ければ為ら無いと云うヒリヒリした危機感は今の日本の官民の何処にも感じられません。五輪だ万博だカジノだ嫌韓だと云う目先の話題で一日が終わる現状を見る限り「日本には先は無い」と言う他無いです。

 Q 今、堀田善衞の『若き日の詩人たちの肖像』を読んで居ます。18歳の堀田少年が1936年、二・二六事件が起きる直前の2月25日に上京して体験した事から始まるホボ実話で、共産党だけで無く多くのリベラルな知識人が弾圧されて、当時は既に党員シンパが爪を剥がされる等の残忍な拷問を受け、小林多喜二も殺されて居る。
 今はそこ迄の露骨な暴力は無いのですが、自由な言論が徐々に圧し潰されて来る状況が今に似て居る様に感じます。ウチダ先生はどう思われますか?


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 A 治安維持法も思想警察も無いのに・・・1930年代と現代との相似に付いては、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんが繰り返し指摘して居ます。でも、三つ大きな違いがあります。それは治安維持法が無い事、統帥権で守られて居た陸海軍が存在し無い事、思想警察である特高も憲兵隊も存在し無い事です。
 それにも関わらず、1930年代と今を比較して「同じだ」と感じられるとしたら、それ程ジャーナリストと知識人が無力に為って居ると云う事です。表現の自由が憲法で保障されて居り、どの様な反政府的発言をしてもそれで直ちに投獄されたり拷問されたりする事が「ない」にも関わらず、戦前と同じ位にメディアが萎縮して居る。

 籠池夫妻やゴーン氏の事例を見ると「国策逮捕」と云う事は確かに有りそうです。でも、流石に竹刀で打ちのめすとか爪を剥がすとか云う様な拷問迄は未だして居ない。そのうち始まるかも知れませんが。
 戦前に特高が行った虐殺、拷問、獄死の義死者数は1700人に達しました。特高は戦後一旦は廃止されますが、GHQが左翼運動や労働運動の情報収集の為に、公職追放されて居た元特高警察官達を再雇用しました。彼らはその後目出度く中央省庁の幹部職に復職しました。
 ですから、アレだけ人を殺して置きながら、戦争犯罪人として裁かれた者が特高関係者には一人も居ませんでした。日本の政治警察に付いては真相の究明も責任追及も為されて居ない。これは日本近代史の暗部だと思います。







 貧しい労働者への共感と憐憫

 1930年代だったら、僕はㇳッくに政治犯として逮捕されて居ます。只、当時の特高が左翼を転向させる為には、暴力だけで無く、それ為りの説得力のあるロジックを駆使して居たと思います。
 当時の左翼の学生や知識人が運動に参加した動機は、虐げられた貧しい労働者への共感と憐憫からですから。社会資源の公正な分配を求めた。基本にそう云う人間的感情がある運動なら、弾圧する側が「君の真情は好く判る」と言えば、取り付く島がある。

 「君は社会正義を実現しようと思ってマルクス主義者に為った。だが、日本人の思考は天皇制や仏教や家制度や、様々なシガラミの内に有る。階級闘争理論では一刀両断には出来ない。諸君が社会正義の実現を目指す志を私は壮とする。でもネ、大人に為り給え。千里の道も一歩からだ。
 先ずこの日本社会の複雑な仕組みを理解し、その中で出来る事から実現して行く方が実は目的を達成するには早道ではないのかな。君は未だ若いのだ。頑張り給え」


 と云う様な物判りの好さそうな説得を恐らくしたんだろうと思います。僕が思想警察の現場に居たら、キッとそうします。でも、実際には、どう云う情報収集があり逮捕拷問があり、転向への導入があったのか、僕達は詳細を知りません。資料が残されて居ないからです。

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 何処まで踏み込んだら地雷に触れるか

 幸い、今の日本の公安警察はそこ迄過激な事はして居ません。僕が経験した「いやがらせ」と言っても、精々地方自治体が講演会場を貸し渋るとか、教育委員会が後援を拒否するとか云う程度で、後はネットで匿名で罵倒される位の事です。
 でも、このママ安倍政権の反法治主義的な政治が続くと、自分達の「反日叩き」は政府公認の政治活動なんだと勘違いした連中がモッと暴力的な行動を取る可能性はあります。どんな違法行為をしても、相手が「反日分子」であれば、政府も警察も黙認して呉れるのではないか、と思い込む人達が何れ出て来る。

 僕や平川克美くんや小田嶋隆さんの言論活動はそう云う意味では「何処まで踏み込んだら地雷に触れるか」の瀬踏みをして居る様なものなんです。結構リスキーな仕事をして居る訳です。でも、そう云う仕事は若い人に押し付ける訳には行かない。老い先短い年寄りが引き受け無ければいけ無いと思って居ます。
 それにしても、正か自分が生きて居る間に暴力的な思想統制が身に迫る時代が来るとは思っても居ませんでした。


 うちだ・たつる 1950年生まれ。神戸女学院大学名誉教授。思想家、哲学者にして武道家(合気道7段)、そして随筆家。「知的怪物」と本誌スズキ編集長。合気道の道場と寺子屋を兼ねた「凱風館」を神戸で主宰する。

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  Words 内田 樹 Tatsuru Uchida Illustrations     

             以上


 



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次の首相に小泉進次郎は有り得る! 内田樹の凱風時事問答舘・第59回




 




 次の首相に小泉進次郎は有り得る! 内田樹の凱風時事問答舘・第59回

              〜GQ JAPAN 12/22(日) 9:10配信〜


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                山本太郎にも可能性はある

 〜思想家にして武道家、神戸女学院大学名誉教授にして合気道の道場と能舞台・寺子屋でもある凱風館の館長、ウチダ先生に判ら無い事を聞いてみよう〜
  

 Q 日本経済新聞社とテレビ東京が9月11〜12日に実施した世論調査で、次の首相に相応しいのは誰かを聞いた処、自民党の小泉進次郎環境相が20%で最も多く、2位は安倍晋三首相の16%、3位は石破茂元幹事長の15%だったそうです。ウチダ先生は誰が相応しいと思いますか? ヤッパリ山本太郎でしょうか。

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 A 山本太郎にも可能性はある・・・次の日本の総理大臣に誰が為るのかは今、世界が注目して居ると思います。内閣改造の後、韓国のメディアからメールで質問が来ましたが、5つの質問のうち、3つが小泉進次郎に付いてのものでした。それだけ注目度が高いと云う事です。
 山本太郎にも総理大臣の可能性は有ると僕は思って居ます。只有るとしても「次の次」でしょう。日本新党は1992年に結党して2カ月後の参院選で4議席、翌年の衆院選で35議席を獲得して細川護煕政権が出来た。結党から1年で38年振りの政権交代を成し遂げた訳です。勢いがあると云うのはそう云うものです。

 只、今と大きく違うのは、日本新党が出て来た時の日本は未だ経済的にも力が有ったし、社会全体に活気が有った事です。メディアにも厳しい批評性があった。今の日本には経済の勢いも無いし、社会全体が流動性を失って停滞して居るし、何よりメディアに批評性が無い。だから、仮に前代未聞の新しい社会的変化が起きて来ても、それに気付く事も、適切に解釈する事も出来ないと思います。
 直近の選挙での自民党の比例代表の絶対得票率は16.7%でした。これが国民の中の「自民党支持者」の実数だと見做して好いと思います。それだけの支持者しか代表して居ないにも関わらず、自民党が長期政権の座に居られるのは、50%以上の有権者が棄権して居るからです。
 棄権者達は、自分達が投票してもし無くても世の中は「変わら無い」と思って居る。変化に対するこの冷笑的態度は、実は彼らの情報感度の低さが齎(もたら)したものです。新しいものに対する感受性が鈍磨して居るのです。ですから、日本新党の時の様な劇的な変化は期待出来ない。








 東京五輪は歴史的失敗に終わる

 とは云え、流石に安倍政権に対する「膨満感・ぼうまんかん」は限界迄来て居ると思います。国民を惹き着ける様な政策がもう何も無い。アベノミクスの事も、財政規律の事も、経済成長の事も言わ無く為った。拉致問題も北方領土問題も何も解決出来無かった。日韓関係は史上最悪レベルで、トランプには只追従して居るだけで、国民から吸い上げた税金をバラ撒いて居る・・・そんなものを外交とは言いません。
 東京五輪で気分を盛り上げて、改憲に繋げ様として居ますが、東京五輪は歴史的な失敗に終わる。これは断言出来ます。だって、責任を取ろうと云う人が一人も居ないんですから。組織委員会も五輪担当相も東京都知事も、どう遣って失敗の責任を他所に押し付け様か、始まる前からそればかり考えて居る。

 トップが「俺が責任を取るので、現場は自己裁量で最適な対応をして呉れ。高度の判断を要する事案だけ上げて呉れ」と権限委譲すれば、トラブルの発生は最小化します。これは組織論の基本です。
 でも、今の五輪の運営組織には責任を取る人が居ない。何か拙い事が起きたら必ず一番下の現場の人間に責任が押し付けられるのが判って居る。それなら、誰も自己責任では動きません。現場判断で出来る事でも、全て上の許諾を待つ様に為る。臨機応変に現場判断する事が許され無いと、クレームが有っても、異物が見付かっても、トイレが詰まって居ても、その都度「一寸上に聞いて参ります」と云う事に為る。非効率この上無い。

 猛暑の季節ですから、選手も観客も熱中症のリスクがある。お台場の海はとても泳げる様な水質では無い。期間中に、トラブルが多発するでしょうけれど、現場がケースバイケースで適切に対応すると云う作法を現代日本社会は根絶してしまった。
 「ほう・れん・そう」と云うのは要するに「現場は判断するな」と云う事ですから。2020年東京五輪は日本型組織の「致死的症例」として何れ組織論の教科書に載る事に為るでしょう。

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 進次郎を担げば自民党票は増える

 話を戻しますと、次期首相に小泉進次郎と云う事は有り得ます。財界やメディアは既得権益を維持したいので、菅官房長官の方が好ましいかも知れませんが、国民からすると、安倍晋三から菅義偉では代わり映えがしない。有権者は政策の適否を言って居る訳では無く、トップの顔付語り口に「飽きた」訳ですから、菅をトップにスゲ替えても自民党の支持率は上がら無いでしょう。
 「飽きた」と云う感情は抑制出来ません。自分自身がそのシステムの受益者であっても人は飽きるんです。でも、今の日本人はアラユル点で感受性が鈍磨して居るので「飽きると云う能力」さえ減退して居ます。無能無策な政権が6年以上も安泰で居られるのは、日本人の「ウンザリする能力」が劣化して居るからです。

 だから、小泉進次郎を担いで「目先を変えた」場合に、自民党の得票が跳ね上がると云う事は有り得ます。その場合、菅は副総理格で「振り付け」をするポジションに就くでしょう。
 政策も人事も自分が握って、進次郎には日本列島を行脚して、自民票の掘り起こしを任せると。そう云う分業を目指して居るんだと思います。

 小泉進次郎は争いが嫌いです。だから、人の話の腰を折ったりヤジを飛ばしたり、相手を論破して面目を丸潰れにすると云う様な「下品」な事はしない。党首討論でも、多分黙って相手の話を聴いて「先生の仰ることにも確かに理はあると思います。これから十分検討したいと思います」とスルーすると云う様な術を使うと思います。
 野党からすると或る意味では攻め難い政治家です。特に遣りたいと云う政策も無いし、これだけは譲れ無いと云う政治信条も無い。でも、小泉進次郎を担げば自民票は増える。だから、当落線上に居る候補者達は「菅よりも、石破よりも、進次郎が好い」が本音だと思います。「明日の米びつ」が懸かってますからね、彼等だって必死ですよ。

 Q ヤフー等でニュースを見て居ると、そのニュースの終わりに、あなたはそう思うとか思わないとか、書き込み欄があります。世間全体が世の中に対してお茶の間評論家に為って居る気がします。その割には成熟した民主主義には程遠い昨今ですが、成熟した市民とはどうあるべきか、ウチダ先生の最新版のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。

 A 本物ソックリの映像・・・ 最近の「フォーリン・アフェアーズ・リポート」「ディープ・フェイク」の話が出てました。
 AIによるパターン複製技術が長足の進歩を遂げたお陰で、実在の人物と全く同じ声、同じ表情をしたフェイク画像が作れる様に為ったのです。昔だったら、ハリウッドの映画スタジオやCIAの様な巨大な設備と予算を持って居る処しか作れ無かった様なフェイク画像がPCで簡単に作れる様に為った。
 本物ソックリの「なりすまし」映像や音声をジャンジャン捏造出来る様に為る。そう為ると、何が事実で何がフェイクかを識別する事が技術的には極めて困難に為ります。

 テロ組織の様な非国家アクターに取って、これは素晴らしく使い勝手の好い政治的ツールです。政敵が扇動的で差別的な言葉を吐き散らしたり、残虐な行為をして居るフェイク映像を捏造して、ネット上に配信する事が出来るからです。
 2017年のフランス大統領選挙の時に、ロシアのハッカー達は投票日直前にマクロン候補に付いての虚偽の文書を大量配信して、その当選を阻もうとしました。2016年のアメリカ大統領選挙の時にも、ロシアのハッカー達はアメリカ社会の分断を深める為にフェイク・ニュースを流しました。投票直前にこの様な衝撃的なフェイク映像が流れた場合、それは投票結果に大きな影響を与える可能性があります。

 もう一つの問題は(コチラの方が或る意味でもっと深刻なのですが)どれ程驚嘆すべき真実の映像や音声を取材して来ても「そんなものはフェイクだ」と白を切る事が可能に為ると云う事です。
 以前のハリウッド映画だったら、犯人が自分の犯罪をウッカリ告白した音声をICレコーダーに録音して、「動かぬ証拠だ」と突き着けて一件落着と云うシナリオが成立したのですけれど、それが困難に為る。犯人に「そんなものはフェイクだ」と突っパネられたら、本物である事を立証する為にそれから後に大変な手間暇が掛かるからです。

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 本当のメディア・リテラシー

 ですから、これから先ネット上には大量のフェイク映像が流れて来る事に為ると思います。これは避け難い。僕達は個人の責任において、その真贋の鑑定を下さ無ければ為ら無い。それが本当の意味での「メディア・リテラシー」と云う事だと僕は思います。

 メディア・リテラシーと云うのは「その真偽を知ら無い事案に付いても真偽の判定が出来る能力」の事です。僕達は殆どのトピックに付いて、ニュースの真偽を判定出来る程の知識を持って居ません。でも、知ら無い事に付いても真偽の判定が
出来無いと、ディープ・フェイクの時代を生き抜く事は出来ない。
 僕の場合は「嘘を着く人間に固有の発信パターン」をこれ迄ズッと研究して来ました。嘘を着く時、人はどう云う表情に為るか、どう云うロジックに頼るか、どうやって反問を遮るか、どう遣って論点を逸らすか・・・それに付いての経験知を蓄積して「嘘と付き合う技術」を習得すべく努力して居ます。

 でも、嘘着きの検出は割と簡単なんです。扱いが難しいのは「フェイク・ニュースを本当だと信じて、大真面目に拡散する善意の人」「脇の甘さ」です。これは検知するのがとても難しい。
 これから必要に為るネット・リテラシーは取り敢えずは「嘘着き」「好い人ナンだけど、脇が甘い人」にタグを付けて「眉に唾を着けてから話を聞く」と云う態度なんでしょうね。


 うちだ・たつる 1950年生まれ 神戸女学院大学名誉教授 思想家・哲学者にして武道家(合気道7段)そして随筆家 「知的怪物」と本誌スズキ編集長 合気道の道場と寺子屋を兼ねた「凱風館・かいふうかん」を神戸で主宰する

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                 文・内田樹  以上









 【管理人のひとこと】

 丁度、ソロソロ内田樹氏のお話を聞きたいと思って居た時だった。偶然の為せるワザとは好く言ったもので、氏の簡潔でシカも含蓄ある言葉に飢えて居たのだろう。氏は武道家で有るらしく、言葉に無駄が無く理路整然とした文章に大い為る共感を得られ、理解し易い文脈にも隙が無い。
 今回は小泉進次郎環境相が次の首相の人気が高いとの話だった。そして、彼なら自民党の得票が伸びるだろうとも。私も同感だ・・・首相には、特別な才能は必要としない。必要なのは、周りの声をいかに広く深く、そして心から理解出来る資質があるかだ。その色々な意見や提案等を、才能ある人達にどの様に政策へと結び付ける様に動かす・・・人を惹き付ける力・魅力も必要だ。その本来は、自分は何の才能も無いとの謙虚な思いで、真摯に人と向き合う素朴さも必要だ。

 有体に言えば、安倍晋三氏の反対の性格が基礎と為り、更に知ったか振りせず、悪い時には「申し訳ない・・・」と云える素直さだ。安倍氏にはもう「飽きた・平気で嘘を並べる・失敗を糊塗し隠し通す」・・・等の、今や怨嗟の声が大きく為った。
 今では、全ての失敗の基は彼の責任に擦り付けるのが当然に為ってしまった。それもその筈で、彼が何か一つ成し遂げたものは無い。全て悪い結果の原因の芽を植えた張本人にされて仕舞った。世の中の人は、知らぬ様で居て、本質は突いた観察をして居るのだ。






 


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日本の若者の「政治ぎらい」と〈政治教育〉の深い関係




 




 日本の若者の「政治ぎらい」と〈政治教育〉の深い関係

             〜現代ビジネス 12/22(日) 10:01配信〜


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            早稲田大学教育学部 近藤 孝弘 教授

 民主主義の「挫折経験」に学ぶ

 〜最早、驚くべき事では無いのが困ったものだが、2019年7月の参議院議員選挙でも半分以上の有権者は投票所に脚を運ば無かった。しかも若者の投票率はもう一回り低い。民主主義は過去のものと為りつつあるのだろうか? その言葉が輝いて見えた時期も、そう遠く無い過去にあった筈なのだが。この問いに対しては様々なアプローチが可能だが、本稿ではドイツの政治教育の視点から考えてみたい〜

 丁度100年前にヴァイマル共和国と云う民主主義国家を築いて置きながら、それを安定させる事に失敗し、ナチスによる全体主義体制を導いてしまったドイツでは、戦後、その失敗への反省も一つの動機と為って、民主主義を守る為の政治教育とその学が発展した。
 この政治教育学は、政治教育を持つ民主主義と、それを持た無い民主主義とを区別する。又、そこでは、人間は学習を通して民主主義者に為るのであって、民主主義者に生まれて来る訳では無いとも言われる。

 こうした思考は、ヴァイマル共和国を「民主主義者の居ない民主主義」だったとする、シバシバ目にする歴史理解によって裏打ちされると同時に、民主主義体制の維持に取って政治教育は不可欠であるとの確信を示して居ると言って良いだろう。
 実際には、ヴァイマル憲法は公民教育に付いての規定を備えて居たのであり、それを制定した人々も、民主主義国家を守る為には政治的知識の教育が重要であると考えて居た。しかし、帝政時代に生まれ、古い教育を受けた教員を初めとする多くの市民がそれを拒否し、少なくとも無関心な姿勢を取ったのだった。
 だからコソ戦後ドイツでは、民主主義体制が二度と自壊する事の無い様、それを守る為の政治教育に、より一層の重要性が認められたのである。








 「意見を持つこと」の大切さ

 戦後間も無く再出発した政治教育は、西ドイツにおいて時間と共に多様な進化を遂げるが、それ等は今日、現実の政治問題を取り上げて議論をする事が政治参加の練習として必須であるとの理解を共有して居る。学校の中の問題や地域が抱える課題は勿論、例えば難民の受け入れを制限すべきか、原子力発電から撤退すべきかと云った、国政更にはEUや世界レベルの大きな政治問題迄、生徒は議論する事が期待されるのである。
 なお、ドイツでは今「政治教育」と云う言葉を狭い意味で使う場合、公民科は政治教育とは別の古い教科の姿としてイメージされる。

 それは政治制度とその歴史等、客観的な事実に関する知識の伝達を主目的とするものであり、それだけでは所謂民主主義の能力、詰まり実際に民主主義を担う市民に求められる政治的思考力・判断力・行動力を生徒に獲得させるのは難しいと考えられて居る。
 勿論政治制度に付いての知識は、将来選挙権を手にした時に有用かも知れない。しかし現実には、学習時にその知識を「活用する」練習が行われ無いなら、その知識は必要な時にも使われる事は無いだろうし、そもそも多くの場合、短期間の内に失われてしまうだろう。だからコソ、今実際に進行して居る政治問題への取り組みが重要と為る。学ぶ対象が現実の問題である事が興味を喚起し、真剣な対峙を可能にする。

 取り組みの形は色々あり、例えば気候変動への対策を求める中高生のデモ等も、その一つで有り得る。校外学習の一環としてデモへの参加を認める学校もドイツには存在する。平和的なデモは、言う迄も無く民主主義の一部である。そこに参加する過程で、生徒達は様々な知識や考え方を身に着けて居るだろう。
 その一方で、デモへの参加はハードルが高いと感じる生徒や教員そして保護者も少無くない。だからコソ学校と云う政治教育の場が重要である。自分の意見を持ち、それを表現する事、そして他の人の意見を聞き、必要に応じて自分の考えを修正する事。これが政治参加の最も基礎的な姿なのであり、学校でもその練習を繰り返す事が政治学習として欠かせ無いと考えられて居る。

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 「政治的中立性」とは何か

 教室で現実の具体的な政治的事象を議論する事の意義に付いては、実は日本でも、例えば18歳選挙権導入を前に文部科学省が発した通知がそれを認めて居る。しかしながら、その通知は同時に、教員に対して「個人的な主義主張を述べる事は避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること」を求めても居る。
 この要求は一見当たり前の事を言って居る様にも見えるが、意欲の有る教員が現実の政治問題を取り上げる事に躊躇し、又政治教育に消極的な教員がそれに及び腰で居る一つの原因とも為って居る。ではドイツではどうなのだろう。

 そこでは政治教育の中立性に付いては、行政が指示するのでは無く、時間を掛けて関係者の間で形成された指針が存在して居る。
 政治教育の分野では有名な「ボイテルスバッハ・コンセンサス」である。これによれば政治と学問の世界において見解が分かれて居る問題は、授業でも見解が分かれた問題として提示されるべきであり、詰まり教員は自分の考えの他に、それと対立する考え方も紹介する様期待されて居る。

 これは、政治教育の目標は、一人ひとりの生徒が自分の意見を持てる様に為る事であるとの前提に基づく。特定の考え方が生徒達の目から隠されて居たのでは、その目標の達成は困難である。
 とは云え、このコンセンサスも、個々の問題に付いて、教員はどの様に自分の見解やそれと対立する考え方に言及する事が求められるのか迄は明らかにして居ない。そして、その回答は授業方法論のレベルで用意される事に為る。即ち、それは教室の状況に応じて変わるとするのが有力である。

 先ず(1)生徒の間に意見の多様性があり、授業の中で自発的に議論が進む場合には、教員は自らの意見を述べる事無く、ファシリテーターの役割を引き受ける。
 反対に(2)生徒の意見が概ね一致して居る場合には、教員は、それと対立する見解を敢えて述べる。その様にして議論を活性化すると同時に、社会に存在する意見の多様性を教室の中に再現するのである。
 最後に(3)多くの生徒が無関心で意見を表明し無い場合には、教員は自分の意見を述べる事で議論を活性化し生徒の参加を促す。

 以上の三つのケースから判るのは、何れにおいても教員の意見は教室の中で表明されて居ると云う事である。教員が自ら自分の意見を表明するか否かは別にして。
 (1)の場合には、教員自身は意見を口にし無いものの一定数の生徒が教員と同じ意見を述べて居るし、又(2)の場合には生徒或いは教員自身のドチラかがそれを述べて居る。確かに教員には、場合により自分の口からは本当の意見を言わ無い様望まれる事に為るが、生徒が発言して呉れるのであれば、教員にとってもその方が遥かに喜ばしいだろう。

 もう一つ重要なのは、此処では、中立的であるとは「議論が存在して居る状況」を意味すると捉えられて居る事である。言い換えれば、一人ひとりの生徒が互いに尊重しながら自らの意見を自由に話せる環境を作る事が、プロフェッショナルとしての教員に期待されて居るのであり、その為には(2)(3)の場合の様に敢えて自分の意見を表明すべき時もある。

 こうした認識に立つ時、日本では中立性の過度な追求が政治教育を実現困難にして居ると云う時々耳にする分析は、ヤヤ正確さに欠けると言えよう。ヨリ本質的なのは、この国の学校で支配的な中立性の理解・・・それは、議論が分かれる問題には沈黙を守るべしとの感覚だろう・・・が、そもそもドイツの政治教育における考え方とは違って居る事である。
 しかし、上の場合分けで見た様に、教室のデフォルトは必ずしも政治的に中立では無い。従って中立的な環境の基で政治教育を進めようとすれば、教員は必要に応じて意見を述べる事で、生徒達にも、自分の意見を持って議論に参加する様促す必要があるのである。







 カナリアは鳴いて居るか

 此処まで政治教育の一般的な考え方を紹介して来たが、最後に、それが持つ効果を過大評価すべきで無いことに付いても触れて置く必要があろう。
 取り分け近年、AfD・ドイツの為の選択肢の様な所謂右翼ポピュリスト政党が旧東独地域を中心に勢力を拡大して居る事実は、統一以来ソコでも排外的なポピュリズムに対抗する教育活動に力が入れられて来ただけに、その限界を示して居る様に見える。

 同党への支持の広がりは東西両地域の間で差が認められ、そこに西側で発達した民主的な政治教育の成果を見る事も出来無い訳では無い。しかし旧東独地域の現状からは、寧ろ政治教育単独での影響力は限られて居り、民主主義下での経済発展や生活の向上と云った経験と結び付いて初めてその役割を果たす事が出来ると云う理解に、ヨリ説得力がある様に思われる。
 特に注目すべきは、AfDから政治教育に対する批判が続いて居る事である。同党は、自らの政策に批判的な意見を述べた教員を「中立性を欠く」として生徒や保護者に通報させるウェブサイトを開設する等、政治教育の「偏向」批判を強めて居る。

 これに対しては、ドイツ政治教育協会等の主要政治教育機関・団体が、ボイテルスバッハ・コンセンサスは勿論、法的な見地からも、政策への批判は中立性違反に当たら無い事を明言した上で、問題に巻き込まれた教員を支援する体制を整備する等の対応を進めて居る。
 が、こうした緊迫した状況は、自らに対する批判を許さ無い勢力によって中立性と云う言葉が不適切に使用される事により、議論に価値を置く政治教育が脅威に晒されて居る事を意味して居る。

 今日の状況を別にしても、そもそも政治教育が行われて居れば民主主義の崩壊と云った事態に陥る事は無い等とは言え無い。しかし、反対に議論が封殺される時、既に民主主義が空洞化して居るのは確かである。仮にそこで選挙が行われて居るとしても、最早少数派の人権が危機的状況にあるのは間違い無い。
 この事から判るのは、政治教育には少なくとも民主主義のカナリアとしての役割があると云う事である。それは真っ先に状況の変化を察知し、迫る危険を知らせて呉れる。その意味で、政治教育を持た無い民主主義は、多くの市民が気付かぬ内に引き返す事が出来ない地点へと漂流する可能性が矢張り高いと言えよう。

 ドイツのカナリアは、今の日本で、そのサエズリを聞かせて呉れるだろうか。


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               近藤 孝弘     以上


 




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東京オリンピックが日本経済の「最後の宴」に為ってしまう可能性





 




 東京オリンピックが 日本経済の「最後の宴」に為ってしまう可能性

               〜現代ビジネス 12/21(土) 7:01配信〜


 見掛け倒しの株高

 11月以降、日経平均株価は2万3000円台に乗り2万5000円の「大台」も見えて来たとの声も上がる。又、世界の景気のベンチマークと為るNYダウ平均株価も、11月27日には史上最高値の2万8164ドルを記録。2020年11月に大統領選を控えるトランプ大統領は、株高維持の為アラユル政策カードを切って居る。
 日本の景気も、五輪迄は騙し騙し持ち応えるかも知れない。だが日本は、株高に隠された様々なリスクを抱え込んで居る。

 「日銀の日本株保有額は今や25兆円を超えて居ます。又、政府はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)経由で20兆円もの株も抱え、これ以上買え無い状態に為って居る筈です。にも関わらず、五輪迄に株価を吊り上げる為か、政府は無理をして株を買い増して行く可能性が高いです。その恩恵は外国人のハゲタカファンドが攫(さら)って行き、近い内に市場は限界を迎えるでしょう」(経済アナリストの塚澤健二氏)
 
 これ迄の日本市場は、日銀やGPIFが買い支える事で株価が維持されて来た。だが、それが限界に達すると云う事は「安全弁」を失う事を意味する。もし次に何か起きれば、一発で破裂して株価は急落する。政府の株の買い支えに加えて、上場企業の自社株買いも積極化して居る。その結果、本来の日本経済の状況を全く反映し無い「見掛け倒し」の市場と為って居るのだ。

 「現に、日本の基幹産業で有る製造業が、2019年4〜9月期で3割も減益に為って居ます。自動車、建設機械や産業用ロボット等の製造業の業績は、アラユル産業に波及します。GDPに占める製造業比率は2割程度ですが、この業界の減益は、日本経済全体の衰退を示すとも見て取れます」(株式評論家の渡辺久芳氏)
 
 政府の「大盤振る舞い」が、東京五輪迄続くのは間違い無い。大会迄に株価2万5000円の大台に到達し、期間中も株高は維持されるだろう。只、大会後は厳しい。五輪自体が不況を吹き飛ばす程の経済効果を持っているか疑問だ。

 「リーマン・ショック級」も有り得る

 実は、日本経済の衰退を示すデータが出始めている。その一例が内閣府の「現状判断DI」だ。景気の現状に関する街角の実感を反映したDIだが、2019年10月には前月から10ポイントダウンの36.7と為った。「景気が悪く為った」と感じる人が急増して居るのだ。日本に取って更なる懸念材料は、同じく株高に沸くアメリカである。

 「最高値にあるNYダウ市場ですが、米国の今年7〜9月期の企業業績は3%の減益に落ち込み、個人消費も市場予想を下回りました。2020年11月の大統領選に向けて、アメリカは日本同様、政策的に株価が支えられている面があります。大統領選後、実体経済のマイナス要素が一気に噴き出して来ると考えられます」(前出・渡辺氏)
 
 実際の処、米国の好況・不況を示すデータは入り乱れて居る。米国経済が「踊り場」に差し掛かって居ることの表れだ。近々、米国経済のマイナス要素が表面化する可能性は高い。そう為れば、2008年のリーマン・ショックの再来と言える世界的な株安が日本を襲う。強烈な円高も進み、只でさえ苦境の製造業が壊滅的なダメージを受ける。

 「五輪後にリーマン・ショック級の事象が起きた場合、2021年から2022年に掛けて、日経平均株価は1万3000円、現在から4割以上価格を下げる事になると見ています。景気回復の兆しが見られ無いまま、日本は2022年を迎える事に為る」(前出・塚澤氏)
 
 先述の通り、日本の市場は日銀等が株を買い過ぎて限界に達して居る。次に「リーマン級」の経済危機が訪れても、手の施しようが無い。今度コソ日本は立ち直れない・・・そんな悲観的なシナリオが浮かび上がる。

 「タダ同然」の不動産が激増
 
 日本経済の停滞、そして株価下落の影響をモロに受けるのが、土地やマンションの価格だ。現在は高止まりしている不動産価格だが、これから3年で訪れる不況が災いし、目も当てられ無い惨状が広がると推測される。住宅・土地アナリストの米山秀隆氏はこう言う。

 「今年4〜9月の首都圏新築マンション契約率は64.6%でした。好不調の判断基準は70%で、それを下回る結果に為って居ます。これは明らかにデベロッパーのマンション供給過多が原因で、価格崩壊を何とか抑えるべく、デベロッパー自身が販売戸数を絞る事態も起きて居ます」

 マンションが売れ無いのは、単に価格が上がり過ぎた為だ。それでも、東京五輪迄は、会場整備やホテルの建設ラッシュで、人件費や資材費が高騰し続ける為、価格を下げられ無い。不動産全体の価格自体は、五輪まで横バイで推移する。だが、ソモソモ超少子高齢化で人口が減って行くのに「住む人」が居なくなったマンションや住宅が売れる筈がない。
 今の需要を支えているのも、上辺の東京五輪景気で美味しい処を持って行こうと狙う外国人投資家だ。彼らは来年夏以降、一気に引き揚げて行く。

 そう考えると、不動産価格の下落は、五輪終了直後、急速に始まると予測される。物件を手放す予定がある人は一刻も早く売却した方が好い。不動産不況は、都市の景色を変えてしまう。みずほ総研主任研究員の岡田豊氏はこの3年で、人口密集地域でもタダ同然の土地や中古物件が出現するのではと危惧する。

 「バブル期に建てられたマンションは、これから3年で築30年を迎えます。地方だけで無く、都市部であっても、ヤヤ老朽化したマンションの引き取り手は見付からず、中古価格は2割以上も下がる事が予測されます。人口減少、そして住宅過剰は都心近郊でも顕著に為り、過つての一等地ですら、タダ同然で買い叩かれる一戸建てが増えて来るでしょう」
 
 住宅地の戸建てと同様に、都市部で値下げが顕著に為るのがタワーマンションだ。今年相次いだ災害で浮き彫りに為ったリスク。引き払う人が増加しゴーストタウン化して行く。

 「既に売れ残りが多く、引き渡しが出来ない湾岸エリアの新築タワマンも存在します。既存の物件では、タワマン不信に加えて2022年に大規模修繕ラッシュが到来して修繕費の問題が噴出、価格崩壊の可能性もある」(住宅ジャーナリストの榊淳司氏)
 
 バブル以来の好況を享受して来たデベロッパーは、一転して窮地に追い込まれる。不動産不況は、五輪以降の先行きが見え無い日本経済の地盤沈下に拍車を掛ける。東京五輪が最後だった・・・・3年後の日本では、誰もがそうボヤいて居ることだろう。


 「週刊現代」2019年12月7日・14日合併号より 週刊現代   以上






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