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2019年12月31日

自民党も野党も「昭和」で思考停止の今 求められる新しい国家像とは




 自民党も野党も「昭和」で思考停止の今 求められる新しい国家像とは

            〜ダイヤモンド・オンライン 12/31(火) 6:01配信〜


          12-31-2.jpg

               立命館大学政策科学部教授 上久保誠人

 〜日本で「ヒト・モノ・カネ」不足の悪循環が進んで居る。それにも関わらず、与野党共に打つ手無しと云う状況に陥る日本の政治・社会システムには限界が来ている。そこで、令和元年を締め括るに当たって、日本の限界を超える「新しい国家像」を提示したい(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)〜


 日本の政治・社会システムに 限界が来て居る事は明らか

 2019年に国内で誕生した日本人の数が86万4000人と為り、統計を開始した1899年以降で初めて90万人を下回る見通しと為った。一方、死亡数は137万6000人と戦後最多で、自然減は51万2000人と初めて50万人を超えた
 昨年、初めて40万人を超えたばかりであり、政府の少子化対策にも関わらず人口減少が加速して居る事が明らかに為った。

 日本社会のアラユル場面で「少子高齢化」の悪影響が顕在化して居る。兎に角「ヒト・モノ・カネ」が足り無い。様々な政策の実現が遅れ、更に少子高齢化が進み、ヒト・モノ・カネが足り無く為ると云う悪循環がスパイラル状に進んで居る。
 日本の政治・社会のシステムに限界が来て居る事は明らかではないだろうか。だが、安倍晋三政権は、最早か去の遺物に過ぎ無い「昭和の美しい・日本」(本連載第202回)を延命しようとするだけに見える。

 一方の野党も、国民から完全に見放された「寄り合い所帯」の再結成に熱心で、政策は安倍政権が実現した事を元に戻そうとするだけだ。萩生田光一文部科学相の失言を切っ掛けに「大学入試改革」を振り出しに戻した(第225回)そして今度は秋元司元内閣府副大臣の逮捕を好機と見て「統合リゾート(IR)禁止法案」を国会に提出するらしい。
 野党も昭和の日本に戻そうと云う以外に、何の政策構想も無い。野党共闘の支持率は全く上がら無い。唯一、山本太郎代表率いる「れいわ新選組」の「消費税廃止」が目を引く政策だ。

 自民党に横取りされ無い政策で、ソコに目を付けた山本代表の生き残り戦略は賢いと思う(第218回)。だが、コアな左翼には受けるだろうが、真っ当なサイレントマジョリティーの支持は得られそうも無い。こんなものは「セクシー」でも何でも無い「超ショボい」政策だ。
 本稿は、令和元年を締め括るに当たり、与野党共に打つ手が見られない日本の限界を超える「新しい国家像」を提示し、気持ちだけでも明るく新年を迎えたいと思う。

 「待機児童対策よりも幼保無償化」 と云う決断に自民党政治の限界が露呈

 「自民党政治」の限界をハッキリと示したのが、安倍政権が参議院選挙に勝利し、消費増税によって実行した「幼児教育・保育無償化」ではないだろうか。
 「幼保無償化よりも、待機児童対策を遣れ」と云う批判が広がったにも関わらず、自民党が「待機児童対策よりも幼保無償化」を選んだと云う事に、自民党政治の限界が見えている。

 自民党政調会のボトムアップで政策立案される過程を考えてみよう。自民党は、地方に対する公共事業や補助金によって支持を拡大する事で長期政権を維持して来た。しかし、待機児童は都市部だけに集中して居り、対象は約2万人である。
 一方、自民党が票田として来た地方の多くでは、保育所には空きがあり待機児童はホボ居ない。端的に言えば、待機児童対策をしても地方では支持を得られず、選挙の票には繋がら無いのだ。それに対して、幼保無償化を実現すれば、全国の約300万人に恩恵があるとされる。自民党の政調会が何時も通りに政策を立案すれば、幼保無償化が選択されるのは自然な事なのだ(第209回・P4)

 それに対してこの連載では、都市部の問題である待機児童問題は中央集権の政党では無く、地方に基盤を持つ政党が主導して解決した方が好いと主張した(第209回・P5)その事例は、大阪市による待機児童問題の事実上の解決であった。
 大阪市は吉村洋文市長(現府知事)の時代に、認可保育所の大幅増設による保育所入所枠の9000人増を断行した(吉村大阪市長定例記者会見2018.5.10)正に「異次元の保育所整備」であり、待機児童数を過去最低の37人にしたのだ。これは「幼児教育無償化」を優先させてしまう「中央集権」の自民党政治よりも、地方が自ら財源を確保し、実行する方が「待機児童問題」の解決に適して居る事を示して居るのではないだろうか。

 今や、全ての都道府県、市町村が中央政府に伺いを立てて行政を行う「中央集権体制」は古いのではないか。橋下徹元大阪府知事・市長も著書等で主張しているが、東京、大阪、京都、名古屋、札幌、仙台、広島、福岡等の大都市に政府の権限の多くを移管し、その大都市の周りを市町村が囲む「地方主権」で、社会保障や福祉等の行政サービスを提供するのが適して居ると考える。
 そして、この連載では、地方主権の実現の為の「憲法改正」を主張して来た(第69回)参議院の「連邦国家型上院」への改革である。ドイツやカナダ等連邦制の国家では、日本の参院選の様な「上院選挙」は行われ無い。上院は、知事・地方議会の代表・マイノリティの代表の議員で構成されて居る。

 日本に「地方主権」を導入するには「地方分権」も重要だが、地方の代表が国会議員と為り、国の意思決定を担う「連邦制型上院」の導入を検討して好いのではないだろうか。
 例えば、2017年の衆議院選挙で小池百合子東京都知事率いる「希望の党」が惨敗した(第169回)その惨敗の原因の1つが、小池氏が東京都知事を辞して選挙に立候補し無い事で国民を失望させた事だった。だが、もし日本が「連邦制型上院」で「東京都知事=上院議員」だった為らば、ソモソモ小池知事が立候補するかどうかと云う問題は起き無かった。

 勿論、大阪で言えば、日本維新の会の代表・松井一郎大阪市長や副代表・吉村大阪府知事は、上院議員として国政に関与出来ることに為る。日本維新の会や都民ファーストの会、減税日本等都市型政党は「連邦制上院」導入の憲法改正を主張してはどうだろうか。

 日本の地方自治体は 世界の成長地域と直接繋がれ

 ここまで「新しい日本の国家像」として、大都市圏を中心とした「地方主権」の実現を主張して来たが、それだけでは十分では無い。日本の地方は、国家と云う枠を超えて、世界の成長する地域と直接結び付くべきである。
 この連載では、大阪府泉佐野市が「ふるさと納税」の寄付をすると返礼品に加えて、Amazonギフト券を総額100億円プレゼントすると云うキャンペーンを展開したことに付いて「世界最大の企業・アマゾンを利用したスケールの大きな資金調達法」だとして、その発想の柔軟さを絶賛した(第204回)この論考は反響が大きく、その後様々なメディアで発言を求められる事に為った。

 筆者は一貫して、政府・総務省の泉佐野市に対する「制裁」に対して、旧態依然たる中央による地方支配の発想に留まったものでしか無いと批判して来た。泉佐野市を抑え着けて、政府・総務省の権力を見せ着けた処で、地方の衰退は進むばかり。それを止める為のアイディアを政府・総務省は何も持って居ないではないか。
 何度でも繰り返すが、地方が中央政府のご機嫌伺いばかりして全てが首都に集中する経済システムの日本は、世界から二周も三周も遅れて居る。

 インド生まれのグローバル戦略家であるパラグ・カンナ氏は著書『接続性の地政学』の中で「グローバル経済の時代には、国家と云う枠に縛られる事無く、近接した地域同士で経済圏を形成する様に為る」と論じている。既に、アジアを初め世界では、地域同士が国境を越えて直接結び付いて、経済圏を築くのが当たり前に為って居る。
 日本の地方自治体も、国の機嫌を取り続けるのが最善の道では無い筈だ。例えば、北海道はロシア極東のサハリン州の天然ガスで儲けたら好い(第90回)日本海側の自治体は、ロシア・ウラジオストク等と「環日本海経済圏」を作れば好い。大阪や九州は、中国の香港、上海、深センやシンガポール、インドネシア等と直接ビジネスを遣れば好いのだ。

 決して荒唐無稽な話では無い。今や地方空港は何処も国際便がある。韓国・仁川や上海から観光客が地方に直接来ている一方で、中小企業が商機を求めて海外に向かっているではないか。規制ばかりで縮み志向の東京の役人に、無理に付き合っていても詰まらない。
 成長著しいアジアなどの熱気に目を向けることだ。「遠い東京」よりも「近い外国」と一緒に儲ける事が、これからの地方分権の自然な有り方である。

 そして、更に突き詰めて行くと、今後は地理的な近接さすら関係無くなって行くのかもしれない。実は、「地方創生」で先駆的な事例が存在する。
 岡山県西粟倉村が行うICO(Initial Coin Offering)である。ICOとは、企業や団体がブロックチェーン上でコインやトークン(デジタル権利証)を発行し、その対価として投資家から資金を調達する方法だ。西粟倉村のICOでは、投資家に仮想通貨でトークンを購入して貰う仕組みを採用した。
 勿論、仮想通貨に対する不信感は根強いし、西粟倉村の取り組みが実を結ぶかどうかは不明だ。しかし、青木秀樹村長は、日本経済新聞の取材に対して「国内外からお金を集められるICOの仕組みは魅力的だ」と断言して居る(日本経済新聞「自治体初のICO 岡山・西粟倉村、地方創生の財源に」2018年7月25日)

 もし、様々な地方自治体がICOを行い成功すれば、中央官庁が地方を財政的に支配出来なく為るだけに留まらない。中央銀行による通貨発行権が揺らぐ可能性がある。詰まり、国家が存在する意義自体が無く為ると云う事も有り得る(野口悠紀雄「仮想通貨は地方自治体の新たな財源になるか」)
 又、ネットを経由すれば、地方の企業が東京を経由せず、直接海外市場にアクセス出来るかも知れない。例えば、中国企業のアリババグループは、中国の地方都市に張り巡らせた流通網を日本企業に開放する取り組みを始めている。「LST」と呼ぶ販売プラットフォームで、600万店以上ある店舗への販路を提供するのだ。

 これまで、日本の地方の中小企業は、東京の大企業を経由するしか中国市場に参入する方法が無かった。しかし、アリババのネットワークを使えば、地方の中小消費財メーカーが、14億人の巨大市場に直接アクセスで切ることに為るのだ(日経ビジネス「中国地方都市の流通網、アリババが日本市場に開放へ」)

 流行語大賞「ONE TEAM」とは 多様性を持つチームの一体化が真意


 今年の「新語・流行語大賞」の年間大賞に「ONE TEAM」が選ばれた。ラグビー・ワールドカップで活躍した日本代表のチーム・スローガンだ。ONE TEAMとは、従来の日本的な「同質性」を強調するものでは無い。様々な国から来た多様なバックグラウンドを持つ選手達が「個の力」を発揮しながら一体と為って戦う姿を表現した言葉だ。そして、それは「少子高齢化」に悩む日本社会全体に示唆を与えるものである。

 日本ラグビーは、筆者が大学生だった頃が全盛時代だった。「早明戦」が日本屈指のスポーツイベントでプラチナカードだったし、松任谷由実が有名ラグビー選手に憧れて「ノーサイド」と云う曲を作った。又、大学生でしか無い筈の早稲田のスター選手と大女優がデートした事が大々的に報道された。
 星野仙一氏が中日ドラゴンズの監督だった時、選手に新日鉄釜石の「ラグビー・スピリット」を学びに行かせて「プロがアマチュアに学ぶのか」と批判されたりした。

 正に、今の「俄かファン」には想像も着か無い世界が展開されて居た。だが、サッカーのJリーグ発足と共に、ラグビー人気は急激に衰退。ラグビー界は黄金時代から「ヒト・モノ・カネ」を失う転落期に陥ったのだ。この過程は、高度経済成長から少子高齢化へと衰退した日本社会に似ていなくも無い。
 為らば、日本の復活は、ラグビー界に学べるのではないか。ラグビー界の復活は、平尾誠二監督時代に実施した日本代表への外国人選手の受け入れから始まった。それが今日のONE TEAMに繋がって来たのだ。詰まり、日本社会復活の鍵は、多様な人材を世界中から受け入れて、ONE TEAMを作る事にあると云う事だ。

 この連載では、日本人だけが活躍する「一億総活躍」等、狭量な考えだと論じた事がある(第125回・P5)繰り返すが、インターネットと輸送手段が高度に発達したグローバル社会では、世界中の誰でも日本に来てビジネスが出来る。
 嫌、日本に来なくても世界の何処に居ても日本と繋がれる。日本の地方にある自然の美しさや文化、特産品等に関心を持って貰えれば、世界中から日本にアクセスして貰える。そして、それを守り、育てる為の資金調達に協力して貰えることも有り得るのだ。

 詰まり、日本と云う舞台で世界の「70億人」が活躍し、豊かに為れると云う「七十億総活躍社会」を目指すべきではないだろうか。日本的なものをリスペクトし、日本の為に働いて呉れる人達は、国籍や民族等に関わらず、皆「日本の人」として受け入れる。そうして日本は「70億人のONE TEAM」を作ったら好いと筆者は思う。

 「日本の新しい国家像」における 2つの中央政府の役割

 では「日本の新しい国家像」に付いて中央政府が遣る事は無いのだろうか。そんな事は無い。本稿は最後に、中央政府が遣るべきこと2つを取り上げたいと思う。

 1つは「過去の負の歴史」を完全に清算する事だ。過去の負の歴史の代表的なものを挙げれば、韓国との間の元慰安婦・元徴用工の問題がある。現在、韓国の文喜相国会議長が「日韓企業等からの寄付金を元徴用工側に支払う」と云う内容の法案を韓国国会に提出して居る。筆者は、この文議長の考え方には一理あると考えてきた(第215回・P6)
 但し、この連載では、文議長の提案を超える、もっと大胆な行動を安倍政権はすべきだと提案して来た(第219回)安倍首相は「安倍平和宣言」とでも呼ぶべきメッセージを全世界に向けて発信する。そして「日本は戦争をしない。戦時における女性の人権侵害と云う不幸な歴史を二度と繰り返さ無い」と宣言するのだ。

 続いて、現代の日本は「人権を世界で最も守る国に為る」とアピールし「安倍人権マニフェスト」を発表する。現在、日本は人権問題に付いて世界から批判を受けて居る状況にある。それに対して、安倍首相が「自らの任期中に一挙に解決する」と云う決意を示すのだ。それは例えば、次の様な様々な問題の解決である。

 (1)企業の管理職における女性の割合が、僅か14.9%である事の改善(ちなみに、マレーシア24.7%・ドイツ29.4%・フランス34.5%・シンガポール36.4%・英国36.3%・スウェーデン38.6%・米国40.7%・・・何れも18年の数値) 出所:国際労働機関(ILO)「Women in management」
 (2)「下院議員又は一院制議会における女性議員の比率、193カ国ランキング」で、日本が165位であることの改善(Women in Politics: 2019)
 (3)国際連合の女性差別撤廃委員会から「差別的な規定」と3度に渉って勧告を受けている夫婦同姓をあらためて「選択的夫婦別姓」の導入
 (4)「女性差別撤廃条約」の徹底的な順守を宣言
 (5)国連の自由権規約委員会や子供の権利委員会から法改正の勧告を繰り返し受けている婚外子の相続分差別の撤廃(第144回)
 (6)外国人技能実習生の人権侵害問題の解決等による、多様性のある日本社会の実現(第197回)
 (7)同性結婚などLGBT(性的少数者)の権利を保障

 そして「安倍平和基金」を設立する。「安倍平和基金」は、アフリカや中東、アジアなど世界中の全ての人権侵害問題を援助の対象とし、元従軍慰安婦や元徴用工への援助は当然これに含まれることに為る。日本政府及び趣旨に賛同する企業が資金を拠出する。
 この連載では当初、金額は従軍慰安婦問題解決の基金10億円の10倍の規模である「100億円」と考えて来た。だが、文議長の提案が280億円の基金だそうなので「500億〜1000億円」位でも好いかも知れない。

 そして、日本が「平和の人間像」を作り世界中に設置する。現在の慰安婦像は「女性の人権を守る為の像」ではある。しかし、その対象は「過去、戦時に人権侵害を受けた韓国人女性」を事例として限定したものだ。それでは、対象が狭いのではないだろうか。
 「平和の人間像」は、世界中の男女・LGBTを問わず全ての人に対する人権侵害問題を完全解決する事を宣言する像とする。そして、全ての人々を対象とするのに相応しい抽象的な造形とする。そして、安倍首相が世界の人権侵害の歴史の終焉と、現在の人権問題の完全解決を高らかに宣言する。

 筆者は、日本の保守派が「大日本帝国」の名誉を守ろうとする事で、現代の日本人の「人権意識」が低いと批判されてしまう事は問題だと考える。守られるべきは現代の日本人であるべきだ。そして、現代の日本が高い人権意識を持つ国だと世界中からリスペクトされる様に為れば、過去の負の歴史等、自然に消えてしまうのだ。
 是非、安倍首相には、文議長の提案を圧倒的に超える「安倍平和宣言」「平和の人間像」を打ち出して、「政権のレガシー」として貰いたいと希望する。

 中央政府は日本の生存権を確立せよ それには「日米英同盟」を結ぶべし

 中央政府に望むもう1つの事は、日本の「生存権」を確立することである。ドナルド・トランプ米大統領の登場や、ボリス・ジョンソン英首相による「英国の欧州連合(EU)離脱」の実現、世界中のポピュリズム・ナショナリズムの台頭で「自国第一主義」が広がって居る。
 この連載では、今後は「ブロック経済化」による「生存権」を築いた国が生き残る事が出来ると論じた(第145回)

 天然資源を持た無い日本に取って、自国第一主義は有り得ない。グローバル経済による自由貿易圏の維持が日本の生命線である。その意味で「環太平洋経済連携協定(TPP)」を米国が抜けた後に「TPP11」としてマトメ上げた事は、安倍政権の「レガシー」と云っても過言では無い。
 この連載では、それを今後、「日米英同盟」に進化させるべく、安倍政権は即座に動くべきだと論じた(第228回)その実現は、世界第1位(米国)・第3位(日本)・第5位(英国)の経済大国に、TPP加盟10カ国と他の英連邦諸国(インド・南アフリカ・ナイジェリア等)が加わる「超巨大自由貿易圏」が誕生する事を意味する。

 中国の習近平国家主席が来春、国賓待遇で来日することに為って居る。中国との関係が緊密化する事は好い事だ。だが、経済・軍事両面で急拡大し、米国の覇権の座を脅かそうとして居る中国と対等に付き合うには、日本も「生存権」を確保し、経済・安全保障で力を持た無ければ為らない。
 日米英同盟が重要であるもう1つの理由は、この3国は何だかんだ言って「自由民主主義陣営」を牽引しているからである。言論の自由や思想信条の自由、学問の自由を謳歌するのが当たり前と為って居る日本人の多くは、その大切さに鈍感に為りがちだ。だが、世界中で自由を切望する政治運動が起こって居る現状を見れば、いかに自由を奪われた人々が苦しんで居るか、自由を取り戻す事がいかに困難かは明らかだ(第227回)

 「生存権」を確保する為に日本が権威主義の中国・ロシアと組む事は有り得無い。日本が同盟関係を築くのは、同じ自由民主主義の米国・英国しか無いのだ。ドナルド・シンゾー・ボリスの3人が指導者で居るうちに、日米英同盟をマトメ上げるべきである。

 それでは読者のみなさま、どうぞ、よいお年をお迎えください。

【参考文献】パラグ・カンナ(2017)『接続性の地政学』(上)(下)原書房

               上久保誠人      以上

















ポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性は?



 

 ポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性は?


      〜source 文春ムック  文藝春秋オピニオン  2020年の論点100 篠原 文也〜


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 アレは確か、河野太郎氏が小学6年生の時だったと思う。父親の洋平氏に誘われ、当時所有して居た栃木県・那須の那須野牧場を訪ねた。洋平氏の家族も一緒で、長男の太郎氏も居た。夜、敷地内の別荘で次男の二郎君、長女の治子ちゃんも入ってトランプゲームに興じた。
 その際、太郎氏が私のカードの出し方にクレームを付け「篠原の叔父ちゃん、それは・・・」と言い出した。「叔父ちゃんじゃ無いだろう。お兄ちゃんと呼べ」と言い返したのだが、彼の正義感の強さに感心したのを覚えて居る。

 その「太郎ちゃん」が第2次安倍政権で行革等担当相(国家公安委員長)外相、防衛相と要職を重ね、ポスト安倍に急浮上して居る。今回の内閣改造で外相ポストは外れたものの、「(外交と)コインの表裏の関係にある」(河野氏)防衛相と云う重要ポストに横滑りした意味は小さく無い。先に向けて足場を固めた形だ。

 最大の後見人は菅義偉官房長官

 河野氏の最大の後見人に為って居るのが菅義偉官房長官だ。衆院議員当選同期で、選挙区も同じ神奈川と云う事もあり、2人の関係は親密。菅氏には初当選時から「同期からトップが出るとすればこの男以外にいない」との思いがあった様で、自民党が野党に転落した後の2009年の総裁選に河野氏が出馬した際、その背中を押して居る。

 2017年の第3次安倍第3次改造内閣の人事で河野氏を外相に推したのも菅氏だ。今度の防衛相起用も、菅氏の安倍晋三首相への働き掛けによる処が大きい。そこには茂木敏充、加藤勝信、小泉進次郎氏らポスト安倍のライバル達が主要閣僚や新閣僚に起用される中、閣外に去り、無役に為れば「ポスト安倍レースから脱落しかねない」との判断があったと聞いて居る。

 一番の武器はTwitter?

 河野氏にはもう1人、後見役が居る。派閥(麻生派)のボスでもある麻生太郎副総理・財務相だ。麻生氏は元々父親の洋平氏が作ったグループ(大勇会)に属し、洋平氏の薫陶を受けて来ただけに、その息子の太郎氏を育て様との親心が随所に感じられる。
 河野氏の一番の武器はその「発信力」だろう。ツイッターのフォロワーは122万人(2019年12月下旬現在)を超える。「物事を分かり易く世の中に伝える」事をモットーにして居るだけのことはある。行革相時代に見せた「突破力」外相時に発揮した「行動力」も売りだ。約2年間の外相在任中に訪れた国・地域は77(延べ123)に上り、外相としては過去最高だ。

 率直な物言い、毅然と言い放ち、自説を曲げ無い言動は誤解を生み易く、時には物議を醸す。それでも菅氏はその胆力と「約束を守る」態度を高く評価する。菅氏によると、安倍首相もこの点を買って居ると云う。

 菅氏も認める河野太郎の難点とは

 英語力の高さも大きなアドバンテージだ。ジョージタウン大留学を通じて身に付けた語学力は外務省内でも「歴代の首相、外相の中でも1、2を争う」(幹部)との声がもっぱらだ。難点は根回しと気配りが欠けて居る事だ。この点は菅氏も認めて居る。
 防衛省と云う役所は北朝鮮のミサイル発射や災害等への緊急対応が求められる事件官庁の性格を有し「目配り気配り」が欠かせ無い組織だ。防衛相に就任してから外相時代に見せたエキセントリックなトゲトゲしい面がヤヤ薄らぎ、ソフトに為って居る気もするが、防衛相ポストを通じてこの弱点をどう克服するか、河野氏の今後の課題であろう。

 「天下取り」は3代にわたる悲願

 河野家に取って「天下取り」は3代にわたる悲願だ。太郎氏の祖父の一郎氏も父親の洋平氏も後一歩の処で及ば無かった。党人派の実力者だった一郎氏は当時抜群の国民的人気を博して居たが、1964年のポスト池田争いで佐藤栄作氏に破れ翌年急逝する。洋平氏も自民党総裁に為りながら結局首相には為れず仕舞いだった。
 最も首相に近付いたのが総裁時代の1995年夏の参院選直後。「自社さ」政権で首相を務めて居た社会党の村山富市氏から禅譲を持ち掛けられる。村山氏は参院選で社会党が惨敗した事で、スッカリ政権担当意欲を失っていた。

 処が洋平氏はこれを断る。参院選で自民党が振るわ無かった状況下、申し出を受けると党内が持た無いとの判断に加え、選挙中に愛妻(武子夫人)を失った悲しみの中、もう一つ気合が入ら無かったことも影響して居た様に思う。
 同年秋の総裁選で再選に挑もうとするも、出馬断念に追い込まれ、過つての盟友橋本龍太郎氏が総裁の座に就く。以来、チャンスは巡って来ず「総理に為れ無かった唯一の総裁」と云う不名誉なレッテルを貼られてしまう。最もその後谷垣禎一氏が同じ運命を辿った事から「唯一」は消えたが。
 太郎氏が洋平氏に生体肝移植で肝臓を提供した様に、河野家の結び付きの強さはつとに知られて居る。それだけに太郎氏に対する祖父と父が成就出来なかった「天下取り」の期待は大きい。

 「時代が河野太郎を求めるかどうか」

 過つてテレビ番組のキャスターを務めて居た際、太郎氏の追っ掛け取材をした事がある。秘書も連れず、自分でマイクと幟を持ち、駅頭で演説する姿を見て新鮮さを覚えつつ「こんな事をして居て永田町でのしていけるのか」と不安を持った記憶がある。
 本人はズッと総理・総裁への望みを持ち続けて居た様で、最近では次期総裁選への出馬意欲を隠そうとしないが、正直私自身、ここ迄台頭して来るとは思わ無かった。

 後は自身も言うように「その時の時代が河野太郎を求めるかどうか」だ。英国のチャーチルや小泉純一郎元首相が時代を味方につけ登場した様に。全ては時代の気分に懸かって居る。


                  以上













「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか・・・「プリンスは必ず転落する」




 




  「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか・・・
 
 「プリンスは必ず転落する」


          〜genre ニュース  政治  社会 常井 健一  15時間前〜

 文春オンラインで実施した「次期首相になって欲しいのは誰?」アンケートで、4月の調査から人気が急落した小泉進次郎環境相。その要因に着いて、ノンフィクションライターの常井健一氏に聞いた。(#1で「ポスト安倍」アンケート結果を公開中)
 常井氏は「政治家・小泉進次郎の10年」を取材して来た。大型国政選挙の度に全国を行脚する進次郎氏の背中を追い掛け、地方視察の密着も試みている。又父・純一郎氏と編んだ著作も出版して居る。



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 ロイターの調査でも期待が「大幅に後退」

 ・・・何故小泉進次郎氏の人気はここまで急落したのでしょうか。

 過つて小泉さんは、世論調査の結果に付いて問われると「アレは知名度調査だから」と素っ気無く答えて来ました。人気や期待が右肩上がりだった時期は、こう云う説明で納得出来ましたし「謙虚さ」を演出する事が出来ましたが、こうも半減以上すると、しかも他の方々と比べてもこれ程異常な下げ幅を見せると「知名度」が有るのに何故下がったのか。これ迄のロジックは成り立ちません。
 これは「文春オンライン」の異常値ではありません。ロイター通信による12月企業調査では、同じ様なトレンド、飛び抜けた下げ幅を示して居ます。

 「今年7月調査では、次期首相に望ましい人物として安倍氏と回答した企業は37%を占め(中略)小泉氏も21%と期待を集めて居た。しかし、今月(12月)の調査では安倍氏16%、小泉氏11%と夫々大幅に後退」(ロイターより)
 https://graphics.reuters.com/JAPAN-COMPANIES-SURVEY-LJA/0100B33G2BK/survey-pm.png?fbclid=IwAR0kf0aKvRg_4ZN0tHmejd3Ny576U48rS576rB55Dm4biWvvtWer_zAeXRk


 「築城十年、落城一日」

 <築城十年、落城一日・・・令和元年の小泉進次郎を一言で表現するのに、これ程相応しい言葉は無い>
 
 文春ムック「2020年の論点100」に寄稿した拙文「滝クリと結婚、大臣就任 小泉進次郎は総理の座に近づいたのか」は、この様な書き出しで始まります。その上で「人心が離れるのは時間の問題だ」と予測しました。
 文中では「彼は未だ経世済民を説く器では無い」とも指摘して居ます。単なる人気投票では無く、イザ、真剣に暮らしを考え、経済や福祉を誰に信頼して託せるか見極めると、圧倒的多数の企業人が「彼には国の舵取りを任せられ無い」と云う判断を下して居る証拠です。

 大企業のエリートなら未だしも、厳しい自然と葛藤しながら地ベタで暮らす第一次産業従事者、来る日も来る日も1円、10円を計算しながら商売して居る中小企業経営者やその社員、詰まり地域の自民党を支えて来た人々から見れば、彼の語る「暮らし・子育て・家族・働き方」にリアリティを感じ無いでしょう。これは、総理候補である以前に政治家として致命的な評価です。
 今年で初当選から10年。1年生議員の頃からこれ程テレビに寵愛され、立派なベテランジャーナリスト達が甘やかし、党内外に敵を持た無い人気政治家は居ません。

 処が、類稀(たぐいまれ)為る発信力がありながら、目立った実績が何も無い。次々と派手な政策を打ち出しますが、人気政治家として10年間も注目されて来たのに、最後迄仕上げて国民の暮らしに大きな影響を与えた政策は何か思い浮かびますか。
 世には数多の作家や編集者が存在し、出版社も彼の一挙手一投足を報じながら、一冊として骨太のノンフィクションが出て居ません。実は、私も10年も観察しながら、小泉さんを主人公にする本が成立したのは7年前の1冊目だけなのです。

 父・純一郎は「息子を必死に擁護する」

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 最近残念なのは、父・純一郎さんがマスコミの前で息子を擁護する発言を繰り返して居る事です。以前は、マスコミから質問されても「頑張って居るな」で済ませ、息子に付いて多くを語ら無い態度を貫いて来ました。マスコミに出過ぎずプライベートを語り過ぎ無い処が小泉流の巧さでしたが、最近は頻りに取材対応し、息子を擁護する。

 12月26日に、テレビ朝日のワイドショーに生出演した際も「ポエム」等と冷やかされて居る息子の言動に付いて「大臣は何を言っても叩かれる。変な事は言って無いんだけどね」と擁護しました。
 小泉親子は2人が並ばず独立して居る処に、微妙な距離感を保って居る処に強みが有ったのに、これでは好く居る「残念な親子」アンケートに並んで居る総理候補の中で、身内から擁護される過保護な政治家は他に居ますか。
 奇(く)しくも「12月26日」は、全国紙の広告欄に「進次郎 政治資金で『不倫ホテル代』」と云う週刊文春の大見出しが躍った当日でもありました。喜寿(77歳)にも為る老紳士が公共の電波を使って、世間から批判を浴びる不惑前の息子を必死に庇(かば)い、出演者からの質問を遮(さえぎ)った。そんな「父」の姿をテレビで見ながら、私は不憫に思えて仕方ありませんでした。

 小泉又次郎以来、100年以上続いて来た政治一族・小泉家も、純一郎氏の兄弟が受け継いだ一家相伝の絶妙なセンスで未熟な4代目を「未来の総理候補」と呼ばれる迄に成長させて来ましたが、クリステルさんが入って以来、抜群の安定力に変調の兆しが顕著に見られます。
 明らかにクリステルさんの存在が「変数」しかも、これ迄の小泉流とは異なる、読め無い変数に為ってしまっています。







 「親父の死後、もうどう為るか判らんですよ」

 そこで思い出した往年の政治評論家の至言があります。

 「佐藤信二は長い時間掛け無けりゃ判らんね。こう云う人の悲劇なのは、河野洋平みたいに、親父が死んでから出て来たのは未だ自力性があるんだ。親父が生きて居る間に出て来たと云うのは、親父の死後、もうどう為るか判らんですよ」(月刊「現代」1974年7月号)

 『小説吉田学校』の著者で知られる戸川猪佐武は、首相・佐藤栄作の次男と副総理・河野一郎の次男と云う当時の自民党ホープを比べてそう説いた。その後、前者は衆院8期を務めながら総裁選とは無縁のママ政治家人生を終えた。後者は紆余曲折がありながらも総裁迄上り詰めました。
 安倍晋三さんも、石破茂さんも、岸田文雄さんも、そして、小泉純一郎さんでさえも、此処で言う処の「親父が死んでから出て来た」世襲政治家です。それと比べると、一国の大臣にも為って、これ程の親父の庇護を受けて居る人気政治家は、憲政史上でも稀なのではないでしょうか。
 こうした処に「プリンス」の知られざる脆弱さがあります。ハッキリ言える事は、父が生きて居る間は、真価を見極めるのが難しい政治家です。

 「偏差値エリートでも、父の様な変人でも無い」

 ・・・常井さんは、自民党の過つての「プリンス」中村喜四郎の『無敗の男 中村喜四郎全告白』を12月に出版され、ベストセラーに為って居ます。幻の総理候補と言われた中村喜四郎フィルターを通して小泉進次郎氏を見た時の印象はどうでしょうか?

 8月の結婚報道以来、浮世離れした迷言を繰り返し、異性交遊や政治資金に纏わる醜聞、疑惑が次々と表沙汰に為り、困惑して居る表情を見る事が増えたと思います。これは、私が垣間見て来た素顔そのものでした。
 小泉さんは偏差値エリートでも、父の様な変人でもありません。言う為れば、極普通の人、等身大の30代と言って良いと思います。これ迄言動が立派に見えたのは、自民党が選挙戦略の中心に据えて来たからです。

 自民党は2010年の参院選で、初当選したばかりの小泉さんをCMに起用し、看板弁士として全国を回らせました。小泉さんはその舞台で上手に踊った事が好感度を集める切っ掛けと為った。小泉さん自身の努力は否定しませんが、閣僚未経験にして「総理候補」と迄呼ばれたのは、先に説明した小泉家の力以上に、自民党の力があったからです。
 60年以上も「宰相のドラマ」を巧みに演出して来た老舗政党の職人達が動かす舞台装置があったからコソ、等身大以上に見えたのです。実際、党の力が及ば無い場所での言動を見れば、彼が「普通の人」だと判ります。

 滝クリとの「デキ婚」発表の誤算

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 例えば、小泉さんは滝川クリステルさんと結婚しました。その時、首相官邸で報道発表を行いました。PR戦略上は「草食系」の政治部記者を不意打ちする事によって「デキ婚」の背景を突っ込まれ無い記者発表に成功したのかも知れませんが、国家的な危機管理を考えると、微塵の油断も許され無い権力の中枢で「人気女子アナ」と惚気(のろけ)る絵面は、自民党伝統の演出では有り得ません。
 「型破りな改革者」を意識して来た筈が、常識知らずの凡庸な若手議員達と同じ土俵に自ら乗ってしまいました。

 又、小泉さんは安倍晋三首相の政治姿勢に批判的で、安倍首相の思想や人柄に懐疑的な有権者、取り分け無党派層からの支持を得て人気者と為りました。処が、安倍首相の入閣要請をアッサリ受け入れた。アノ時、冷や飯覚悟で蹴って居れば、凡百の政治家では無い「闘う政治家」として一目置かれ、与野党を跨いで期待が高まった事でしょう。
 これ迄は長幼の序を重んじ、先輩の顔を立てる低姿勢を貫く事で「嫉妬の海」と呼ばれる永田町でも敵を増やさ無かった。処が、結婚を機にマルで人が変わってしまったかの様に、門外漢のポストでも飛び着いた。直前に有った参院選では全国を応援行脚する間に「年金改革をお約束する」と訴え、党厚生労働部会長留任を希望していたにも関わらずですよ。

 どの組織にも居そうな、節操の無い普通の30代は羨望の的と為り、入閣待機組からは怨嗟の声が上がりました。小泉さんの人気が高まるに連れ、大勢の陣笠議員が寄って来て、数々の勉強会は盛況を博して来ましたが、初入閣後、失言やスキャンダル、或いは実力不足で憔悴する彼を全力で擁護した同僚政治家は誰一人として居ませんでした。

 「自民党のプリンスは必ず転落する」

 これは、小泉さん特有の現象と云うよりも、5年から10年に一度、彗星の如く政界に現れる「自民党のプリンス(プリンセス)」に共通して居る宿痾(しゅくあ)だと捉えて居ます。
 若き頃の中村喜四郎さん、加藤紘一さん、船田元さん、塩崎恭久さん、野田聖子さん、田中真紀子さん、河野太郎さん、渡辺喜美さん、後藤田正純さん、小渕優子さん・・・そして第一次政権の安倍さん。プリンスは必ず躓く、しかも派手に転落するのです。

 拙著『無敗の男 中村喜四郎全告白』はお陰様で反響を呼んで居ますが、私は「平成最後のプリンス」小泉進次郎の毀誉褒貶(きよほうへん)を見続けて来た10年を踏まえ「平成最初のプリンス」中村喜四郎さんの転落した背景に迫りました。喜四郎フィルターを通して、小泉さんにも通じる「プリンスの敗因」を読み解こうとしたのが執筆の切っ掛けです。
 自民党最盛期の1980年代に頭角を顕した中村さんは、小泉さんの様な自民党の舞台装置では無く、最大派閥・竹下派の舞台装置によって「プリンス」に仕立て上げられました。独身時代は兎に角モテた。マスコミも寄って来た。大した実績も上げられて居ないのに、政治の師である「田中角栄の再来」と持て囃され、40歳の時に「初の戦後生まれ閣僚」として初入閣を果たします。

 世の中からドンドンチヤホヤされ、党の重鎮からは寵愛を受け、等身大以上のポストを任される。本当はそうでも無いのに「重鎮の側近」と見做され、次々と献金額が膨らんで行く。周囲の同世代からは羨望の眼差しを浴びます。
 しかし、自分では己の「からっぽさ」「薄っぺらさ」「実力不足」を知悉して居り「拙い」「マズイ」と言い聞かせながらも、断り切れ無く為って重責を担わされる。危無い橋を渡らせられる。地元から足が遠退き、有権者の生活感覚にも疎く為り、大事な時に耳障りな事を言って呉れる人が居ない・・・気付いた頃には、敵だらけに為り、塀の内側に堕ちて行った。

 『無敗の男』では、四半世紀にも及ぶ雌伏の時代に耐え抜いた70歳の元プリンスが、弱冠43歳、2度目の入閣として建設相と為った当時の事を後悔しながら語り尽くして居ります。








 「物分かりは早い」環境省の官僚が期待する理由

 小泉さんも明らかに実力不足を自覚して居るにも関わらず、人前で強がりを見せる程薄っぺらく為って行く。言葉の端々に「オレは特別な人間だ」と云う選民意識の様なものが出てしまって居ます。疑惑を指摘されても逃げ出し、グレタさんにも噛み突く等ドンドン空回りして行く。後見役として寵愛を受ける菅義偉さんの影響力低下も、彼に取っては誤算だったのではないでしょうか。
 果たして、就任3カ月で、就任当初の期待に応えられる様な実績は出せて居ません。しかし、環境省の官僚達は異様に期待の声を口にします。

 「頭は好く無いけど、物分かりは早い」と。小泉純一郎政権を知る幹部級よりも、若手エリートに顕著です。強かな出世株の官僚に取っては使い勝手の良い政治家に過ぎません。しかも「新しさ」さえ演出出来れば飛び突いて来る。「三流官庁」として霞が関の中でも揶揄される彼等に取って、約20年前の小池百合子さん以来、他省を凌ぐ発信力が生かせる閣僚就任ですよ。

 PR担当が変わり「言葉に力が無く為った」
 
 これ迄も、後ろに控えるPR専門家が変わる度に、全く別人に変わるのが小泉さんの特徴でもありました。好く言えば、融通無碍・変幻自在、悪く言えば、政治の背骨と為る思想や国家観が無い。ですが、それでも数年前までは「自力」が生かされ、言葉に体温と体重が乗って居ました。
 28歳で初当選して以来、被災地や過疎地・離島等、普通の政治家が行か無い場所を意識的に回って来た。社会人経験ゼロの世襲4代目が、庶民に親近感を持たれたのは、こうした「土の香り」を漂わせる仕掛けと心掛けがあったからですよ。

 処が、2017年辺りにPR担当が変わったのを機に、土の香りがデオドラントスプレーの様な匂いに変わった。別の例えをするなら、程好い塩加減の地鶏の唐揚げだったのが、ブロイラーで作った添加物ベッタリのフライドチキンに変わった様な味わいです。
 更に、参院選ではイマドキのPRコンサルタントを外部から起用し、明らかに言葉に力が無く為った。政治を、地方を、有権者を、そして自民党員や支持者達の感覚を知ら無い人々が彼の言葉を操作してしまって居る(文春オンライン7月の密着ルポを参照)

 プライベートでも、名だたるIT長者ら、雲の上に住む人達と並び、横文字の経営用語を唱える姿ばかり。極め付きが「人気女子アナ」とのセレブ婚でした。これでは国民の生活感覚と距離が出来、人心が離れるのは時間の問題です。
 民信無くば立たず。ケネディが大統領に就任した43歳を意識して居た史上最年少での天下取りは、一旦は遠退いたと言えるでしょう。

 「ポスト安倍」何故菅義偉も急失速したのか?

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 ・・・アンケートでは菅義偉さんの急失速ももう一つのポイントでした。

 小泉さんの変節も、菅さんへの接近が大きく影響して居るでしょう。寝業師や政局巧者と言われる菅さんの政治手法も、昭和の政治を知るベテランの保守政治家達に言わせれば「昔の遣り方を真似して遣って居るだけ」と言います。
 「昔のやり方」の効果を高めた背景は「官邸官僚」の存在抜きには語れませんので、懇意にするマスコミ関係者達が挙(こぞ)って菅さん個人を「平成の梶山静六」と迄持ち上げるのは聊(いささ)か過大評価に思えますし、菅さんの周辺から不祥事が次々と浮かび上がる今の境遇では贔屓の引き倒しなのではないでしょうか。

 地方党員の意向を重んずる全国政党に在って、菅さんは横浜と云う大都市から生まれた異形のリーダーとして見て居ます。少なくとも組織運動本部長に就く迄は、自民党と云う「国民政党」の全貌を意識した事が無かったのではないでしょうか。
 沖縄県知事選を始めとして、官邸主導型で候補者を擁立した地方知事選では、自分の秘書や、選挙対策、政策立案のブレーンを中央から落下傘で送り込む。現地の地方議員や有力者達から「上から目線」と見られる彼らの遣り方は、選挙中の陣営内に軋轢を引き起こす事も稀ではありません。
 その結果、土着の保守勢力を分断し、深刻なシコリを残して居ます。戦績を見ても敗北したケースも少なく無く、勝った場合でも僅差で終わり、菅流は地方組織に要らぬ対立をもたらします。

 これ迄権力の中枢に近付き難かった、新手の企業家や気鋭の論客を狡猾に受け入れて来たのも、菅流の特徴です。官邸の敷居を低くした事には功も罪もあります。海のものとも山のものとも判ら無い専門家をブレーンとして融通無碍に取り込み、改革を仕掛けて行く。
 国家の中心部に「危うさ」を内包してしまう。それと同じ手法で人事も行った。身体検査も程々に、菅原一秀、河井克行、そして小泉進次郎の「菅銘柄」三氏を抜擢する形で初入閣させた。マスコミ関係者も同じ様に懐深く取り込み、小まめに懇談を繰り返しながら情報を与えて手懐けて行く。その結果、ワイドショー政治の「スピン」に成功して来た。

 只、官邸内の重心が移れば、マスコミも態度を変えます。今、菅さんの求心力が落ち込んで居るのは、メディアのグリップが以前よりも握れ無く為ったからではないでしょうか。
 菅さんは派閥を持たず、閨閥も無い為、党内基盤も無い。地方の党組織にもどれだけ信頼されて居るかと言えば怪しい。総裁選に打って出た処で、地方票を集められる力はどれだけあるでしょうか。「令和おじさん」と呼ばれた菅さんの人気とは、砂上の楼閣の様なものなのかも知れません。

 選択肢外の山本太郎は野党の救世主か?

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 ・・・最後に、選択肢に挙げて居なかった「れいわ新選組」の山本太郎代表が8位に食い込んだ点はいかがでしょうか。

 9月に全国行脚を始めて以来、各地で街頭記者会見を見て来ました。党組織も支援団体も無く、口コミだけで、全国の主要都市、何処に行っても200から300人集める力は凄い。演説の面白さもアドリブの上手さも小泉進次郎さんを軽く凌ぐ。
 最近の小泉さんが「意外と勉強して居ない」と思われる政治家だとすれば、山本太郎さんは「意外と勉強して居る」と見直される。その強みが確かにあります。

 しかし、不思議なのですが、何処かの都市だけ飛び抜けて、300人以上を街頭に集められたと云うケースは殆ど無い。一時は保守層に食い込むと分析して居た学者も居ましたが、私が何百回と見て来た自民党の演説会とは明らかに雰囲気が違う人達が集まります。
 これ程メディアに取り上げられ、一部の論客によって無批判の内にブームが盛り上げられて居るにも関わらず、世論調査の政党支持率に表れ無い。今回のアンケートで出た数値が限界なのではないでしょうか。

 党本部の有り方を見て居ても限界を感じます。矢張り、野外フェス風の演説会を手掛けるイベント屋集団としての能力は高いのですが「イベント屋」の域を出ません。斎藤まさし氏の「市民の党」を源流とする市民派の人達が中心で、とても農山村、或いは経済界には浸透するとは思え無い独特のカラーを有して居ます。
 山本さんは「次の衆院選に百人擁立」と掲げて居ますが、町工場の様な党本部の中に全国的な選挙戦略を組み立てられそうな人材は、年末に採用された元自民党関係者位。広報体制も脆弱で、私なんか、しょっちゅう取材に行って山本太郎さんと遣り取りして居るのに、未だにプレスリリースが届きません。

 一方、参院選で集めた4億円の使途も気に為ります。これは、何れ総務省が公表するものですが、山本太郎さんが「総理大臣を目指す」と言って居る以上、「れいわ新選組」が国政政党、政権を狙う政党としての資格があるかどうかを見極める材料に為ると思います。
 私は山本太郎さんの伸びしろの大きさを感じて居ますが、今の状態で「れいわ新選組」に留まる様なら、「政権担当能力を有する政治家」には為れ無いと見ています。

 今ある「しがらみ」を見直し、もう一度、大きな党派に飛び込んで、経験豊かなトレーナーを付けた上で成長し、様々な政局を切り抜ける知恵を着け乍ら、組織の中でポストも経験する。その様なキャリアを描いて行かないと、持ち前の「やんちゃさ」も生かされぬまま、これまで居たタレント議員とそれ程変わら無い形で消えて行くと思われます。
 しかし、今回の調査で選択肢に無かった山本さんに対し、自由記述と云う形でこれだけの期待が集まる為らば、6月に行われる東京都知事選に出ても良い勝負が出来るのでは。2020年は、山本さんにとっても、水モノの人気を生かせるかどうか、大きな分かれ目に為ると思います。


 #3に続くポスト安倍に急浮上 河野太郎「河野家3代の悲願」天下取りの可能性は?


















「ポスト安倍」人気 安倍首相4選が2位 では1位は?「次期首相に為って欲しいのは誰?」アンケート




  「ポスト安倍」人気 安倍首相4選が2位 では1位は?「次期首相に為って欲しいのは誰?」アンケート

             〜文春オンライン 12/31(火) 6:00配信〜


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 (左上から時計回りに)石破茂、加藤勝信、岸田文雄、小泉進次郎、河野太郎、菅義偉、野田聖子、茂木敏充 コピーライトマーク文藝春秋 AFLO Getty


 安倍晋三首相(65)は2021年9月に自民党総裁任期満了を迎えるが、年明けを前に党内から「4選」を求める声が高まって居る。
 一方で安倍首相は12月27日のBSテレ東の収録で自身の後を狙う「ポスト安倍」候補を列挙。自民党の岸田文雄政調会長(62)茂木敏充外相(64)菅義偉官房長官(71)加藤勝信厚生労働相(64)の順に名前を出し、夫々の経験や実績にも触れた。

 他に「ポスト安倍」として名前が報じられるのは、政権批判を先鋭化させる石破茂元幹事長(62)今年初入閣の小泉進次郎環境相(38)外相から防衛相にスライドした河野太郎氏(56)そして初の女性総理を目指す野田聖子氏(59)もクローズアップされて居る。
 そこで『文春オンライン』では、緊急アンケート「次期首相に為って欲しいのは誰ですか?」(選択肢は下記)を実施。約1週間(12月11日〜19日)で投票総数は877票、20代〜80代の幅広い世代の男女から回答が集まった。その結果を発表する。

 ・安倍晋三(4選)・石破茂・加藤勝信・岸田文雄・小泉進次郎・河野太郎・菅義偉・野田聖子・茂木敏充・その他

 「ポスト安倍」人気1位はヤッパリ・・・

 302票を集め堂々の1位に為ったのは、石破茂元幹事長だった。党内実力者で唯一「反安倍」の立場を鮮明にして居るが2020年はどう動くか。
 2位は、在任期間が8年を超え、歴代最長を更新した安倍首相・4選(176票)なお本人は先の番組でも「(4選を)全く考えて居ない」と否定して居る。
 続く3位は独特のSNS戦略で支持層を広げる河野太郎防衛相で92票。
 4位には小泉進次郎環境相が79票で入った。
 5位は安倍首相が後継者に見込んで居るとされる岸田文雄政調会長(43票)
 6位は野田聖子氏(36票)
 7位に官房長官として安倍政権を支え続ける菅義偉氏が入った。
 8位は選択肢に入って居なかった「れいわ新選組」山本太郎代表(45)が28票で食い込んだ。
 9位には現職外務大臣の茂木敏充氏(11票)その他の候補者は票が割れた。

 なお文春オンラインでは4月にも同様の 「ポスト安倍レース」アンケート を実施している。その際は1位石破茂氏(191票)2位小泉進次郎氏(177票)3位安倍首相・4選(126票)4位菅義偉氏(89票)5位に岸田文雄氏と河野太郎氏が50票で並ぶと云う結果だった。
 2つのアンケート結果を比較すると、8カ月間で石破氏がポスト安倍レースの票を固め、河野氏も急浮上。一方、小泉氏の人気が急落。又菅氏も失速した事が分かる。これを受けて #2「小泉進次郎氏の人気急落の理由」 #3「河野太郎『3代の悲願』天下取りの可能性」 を夫々公開中。では夫々の候補を推す理由を見て行く。

【1位 石破茂氏 302票】

 安倍総裁の4選がアリか、ナシか。と云う視点からの回答が目立った。

 「決して石破氏が好きな訳では無いけれど、今の自民党の中で、唯一安倍政権を批判し、真っ当な事を言っている」(61・女性)
 「安倍政権は長過ぎて緊張感が無く為って居る。弱い者に厳しく強い者に優しい現政権から、自民党においては、一番離れた所に居るのが石破さんだと思うので」(42・男性)
 「現在の政権に対しても意見を言える石破さんの政治力に期待したい!」(33・男性)
 「同じトップで有り続けるのは、会社同様好く無い」(45・女性)
 「もう安倍さんには飽き飽きした。年寄りの生活は、益々しんどく為り長生きするのも大変だ」(68・女性)
 「安倍総理にモノを言えるのは、この人だけです。忖度政治にサヨナラしたい」
(64・男性)

 クリーン、嘘を言わ無いと云うイメージも根強い様だ。

 「1番国民に寄り添った政治をして呉れそう。言葉に説得力や思いもあるしクリーンなイメージがある」(63・女性)
 「自民党の中で一番真実味のある人だから、嘘を言わない人」(83・男性)
 「自民党の中では、今の処1番クリーンなイメージがある為」(48・男性)
  「現総理よりは誠実そうだから、何事にも真摯に対応して呉れそう」(41・男性)
 「お金にクリーンな印象がある」
(57・男性)  
 
 考えが論理的と云う声も。

 「石破氏の考えは論理的であり議論をしても最中に興奮せず淡々と自分の考えを伝える処がトップとして相応しいと考えます」(69・男性)
 「誠実で聡明。安保問題にも精通して居り、憲法9条の改正論議でも、至極真っ当な意見の持主。愛妻家である部分も、微笑ましい」
(55・女性)

 他にこんな意見もあった。

 「前は菅さんに1票だったが、桜を見る会の一件で幻滅した」(46・女性)
 「人相は怖いですが1番、真面そうに見えます」
(25・女性)

 【2位 安倍晋三氏・4選 176票】
 
 過去に例の無い国政選挙6連勝で1強を維持して来た安倍首相。その4選を支持する声は?

 「強い日本を作れるのは彼しかいない。彼が首相に為ってから、日本の国際的地位が大きく向上したと思う」(53・男性)
 「新しい首相を熱望して居るが、代わりに出来そうな人が見当たら無いので、仕方が無いと思う」(49・男性)
 「今までコロコロ変わり過ぎでした」(63・女性)
 「現在の国防・外交における難局を乗りこえられるのは、この人しかいない」(72・男性)
  「モヤモヤした問題点も幾つかあるが、総合すれば最も妥当ではないかと思う」(61・男性)
 「河野大臣と菅官房長官にもして欲しい。けど安倍首相には今遣ろうとして居る事を遣り切って欲しいのでもう少し続投して欲しい」(34・女性)
 「他に相応しい人が居ますか?」(51・女性)
 安倍首相が意欲を見せている「憲法改正」への支持も。
 「このママでは憲法改正も拉致問題も北方領土も全てが中途半端に終わるから」(40・男性)
 「憲法改正を実現させて欲しい」(46・男性)
 「憲法改正遣る為には止むを得無い」(63・男性)
  外交面での実績を評価する人も。
 「拉致問題の進展に期待出来る人は安倍氏の他には考えられ無い」(68・女性)
 「他の誰がトランプ大統領や曲者揃いの隣国のトップと対等に渡り合えるのか?」(54・女性)
 「最大の同盟国であるアメリカ大統領からこれ程一目を置かれた総理大臣は他に居ない」(60・男性)
 「今は外交情勢が緊迫して居る時、安倍首相以外の人には任せられない」(70・女性)
 「対韓国策をこのまま継続してほしいから」(51・女性)・・・当ブログとしては全て問題外

 【3位 河野太郎氏 92票】 ( #3では「河野太郎『3代の悲願』天下取りの可能性」 公開中)

 外相・防衛相の実績を評価する意見が多かった。

 「外務大臣、防衛大臣と閣僚を経験して、日本の舵取りを任せられると思うから」 (58・男性)
 「外相・防衛大臣と歴任して対外にも顔となる」(69・男性)
 「外交に強く、マスコミ対応にも冷静で期待したい。安倍さんは、これまでの実績をみたら、もう一度だが、景気が良い状態で世代交代が必要」(51・女性)
 「韓国に対してハッキリ物申す、厳しい態度が良い。外交に期待出来る」 (40・女性)
 「物怖じせず、自分の考えで話せる数少ない人」
(69・男性)

  米国留学で培った英語力への期待も。

 「外交でキチンと英語が喋れ自分の考えを発信出来そうだ」(70・男性)
 「見栄えも良く英語も堪能で国際社会で渡り合って行けそうだから」
(48・女性)
 
 他にもこんな意見もあった。


 「Twitter等でも黙々と業務を遂行し、国民とも気軽に接して寄り添う姿勢が見て取れる」(28・女性)
 「合理的な判断の出来る政治家。生体肝移植のドナー(被移植者は父の河野洋平氏)に為った経験もあって、政治家に不可欠な生命の大切さを語る力がある」
(57・男性)


 【4位 小泉進次郎氏 79票】 ( #2では「小泉進次郎氏の人気急落の理由」 公開中)

  「若い世代に席を空けて欲しいです」 (46・女性)
 「戦後最年少の首相に為って貰いたい」(38・男性)
 「フィンランドの首相の様に日本も若い人が首相に為って貰いたいから」(44・男性)
 「安倍政権が余りにも長過ぎるので、一気に世代交代してください」(54・男性)
 「小泉元首相の息子だから色々考えて遣って呉れそう」(25・女性)
 「お父様の血を引いて度肝を抜く様な事を遣って呉れそう」(63・女性)
 「ファーストレディが滝川クリステルに為り、小泉進次郎と外交等今までの日本の総理大臣には無かったイメージを世界に印象付けられそうだから」
(49・女性)

 【5位 岸田文雄氏 43票】

 「視野が広く、バランス感覚があり、保守意識を確り持って居る」(82・男性)
  「次はハト派であり伝統ある宏池会の岸田さんでしょう」(67・男性)
 「雨の日も風の日も本当に好く街頭演説してて、真面目で忍耐力があると思った」(39・女性)
 「穏健でスマートな感じ。長く外務大臣を務めた経験も生きると思う」(52・男性)
 「オバマ大統領の広島訪問と云う最大の外交実施が功績として印象深い」
(39・男性)

 【6位 野田聖子氏 36票】

 「女性の活躍を望むなら、女性が首相に為るのが一番の近道だと思いますし、病気の息子さんを育てて居る経験が医療や福祉面で生かされるのではないかなと思いました」(38・女性)
 「新しい時代を迎えソロソロ初の女性総理大臣が誕生しても好いのでは」(30・男性)
  「お子さんを大変な中、育てられていて応援して居ます」(61・女性)
 「女性らしい感性と母親の優しさで政治を変えて欲しい」(60・女性)
 「男女差別が激しい日本においては先ず女性宰相の存在が必要」
(60・男性)

 【7位 菅義偉氏 30票】

 「現在の政策の継続性を考えたら、官房長官から為るのが好いのではないでしょうか」 (57・男性)  
 「会見で記者をアシラウ姿を見ると、ヤッパリ政治家はこの位強かさが無いといけないなと思うからです」(47・男性)  
 「安倍政権が長期政権に為ったのは、菅官房長官の力が大きい気がするので」(40・男性)
 「苦労人の手腕を見てみたい」
(79・男性)

 【8位 山本太郎氏 28票】

  「国民の為に何をすべきか分かって居る政治家は彼しかいない」(66・男性)
 「誠実で嘘を着か無い。弱い人の味方だから」(61・男性)
  「政治信条がハッキリしているし、物事の飲み込みも良く、勉強熱心で、把握力も的確でアイディアにも優れており、更に行動力もある」(74・女性)
 「国民の為に働いて呉れるだろうし、私もそんな太郎首相を応援したいし、自分も頑張って日本を立て直して行こうと思える」
(48・女性)

 【9位 茂木敏充氏 11票】

 「経済の造詣の深さは抜きんでている。マッキンゼー仕込みの実力は伊達ではない」(59・男性)
 「地元の英雄(栃木県足利市生まれ)。頭がいい」(71・男性)
 「野党が変えられなければ、ダークホースに期待するのみ」(70・男性)

 「ポスト安倍」人気急落 小泉進次郎は滝クリ結婚で何を失ったのか・・・「プリンスは必ず転落する」 へ続く

    「文春オンライン」編集部   つづく

















2019年12月30日

2020年の日本経済が 長期停滞から脱せ無い理由




 2020年の日本経済が 長期停滞から脱せ無い理由

        〜東洋経済オンライン 村上 尚己 12/30(月) 6:01配信〜


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 〜2020年度当初予算案では「過去最大規模」「100兆円台」と云った言葉で財政規律の緩みばかりが指摘される。だがそうでは無いとの見方も。政府から12月20日に2020年度当初予算が発表され、歳出規模は102兆6000億円と為った。
 「過去最大規模100兆円台を超え歳出が膨らんだ」「財政規律に課題」等とメディアで報じられて居る。こうしたメディアの伝え方は果たして妥当なのだろうか?〜


 2020年度の歳出総額は102兆6000億円だが、2019年度予算が101兆4000億円なので、前年から約1.2%の増額予算である。先ず、政府歳出が経済成長に及ぼす影響をみる為に、名目GDP(国内総生産)と比較した伸び率を比較する観点がある。
 2013〜2018年度の名目GDPは平均約プラス1.8%、そして政府は2020年度約プラス2%の名目経済成長を想定して居り(これは相当楽観的だと筆者考えて居るが)、ホボ変わら無い。2020年度の歳出の伸びが、名目経済成長率より低いので、政府歳出は経済成長率を抑制する方向に作用する可能性が高い。

 より厳密に見る為に、政府の税収の伸びと歳出の伸びを考える。2013〜2017年度の名目GDPは平均約プラス2.1%、同期間に2014年度の消費税率引き上げ(5%から8%)の影響を除いて税収は平均約3.4%増えた。経済成長率よりも税収の増減率が大きく為る為、2020年度が政府の想定通りの経済成長率なら10月からの消費増税が無くても税収は3%以上増える。

 2020年度予算は「可成りの緊縮財政」

 少なくとも税収(2017年実績106兆8000億円、地方を含めた国全体ベース)がプラス3%以上増え、政府歳出(同121兆8000億円)がプラス1%程度であれば財政収支は改善する。これは、家計・企業等の民間部門から政府に対する支払いが増える緊縮財政である。

 更に2019年10月からの消費増税によって、教育費無償化等の家計への恩恵を含めても恒久的に家計に2〜3兆円負担が増えると筆者は試算して居る。この為、2020年度の税収は更に1〜2%ポイント上乗せされる。この結果、税収と歳出のバランスで見ると、2020年度は可成りの緊縮財政に為るだろう。只、消費増税で経済成長率がゼロ%前後に落ち込むと見られ、実際の税収の伸びはプラス3%を大きく下回るだろう。

 この為、2020年度予算では、歳出が抑制される中で増税が行われるので、緊縮財政が続くと見るのがより正確だろう。詰まり「過去最大規模」「100兆円」と云う2つのワードを強調するメディアは的外れである、と云うのが筆者の考えである。
 12月12日のコラム「安倍政権の対策では、殆ど経済成長しない」で、12月初旬に政府が発表した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」において公的支出は13兆円の規模だが、これが日本の経済成長率を高める可能性は極めて低い、とした。
 又、同様の大規模対策と為った2016年8月の経済対策によって、その後の政府支出の伸びが全く高まら無かった事を紹介した。こう為る理由の一つは、補正予算で事業規模が増えても、その影響で当初予算ベースの歳出が減る事である。

 建設業等に恩恵が偏る歳出拡大は資源配分を歪める

 そして、筆者の予想通り、12月の経済対策で公共投資が上積みと為った為、2020年度の予算では公共工事関係費は前年から減額に為った。なお、消費増税によって家計の実質所得が目減りする個人消費への悪影響を、建設業等に恩恵が偏る歳出拡大で対応する政策は資源配分を歪める弊害が大きい。
 この為、当初予算で公共投資を減らす事は問題では無いとしても、個人消費の落ち込みへの手当として、低所得者向けの社会保障関連等の歳出を拡大させる余地が大きいと筆者は考えて居る。
 何れにしても、大規模な経済対策を発表しても、政府による歳出上乗せが実現し無ければ、先に述べた通り2020年は増税によって緊縮財政と為る。2%インフレの早期実現の為に、金融財政双方において景気刺激的な運営が求められるとすれば、これは大きな問題である。

 アメリカでは、著名経済学者であるラリー・サマーズ教授が、2013年に長期停滞論を唱え始め、政府による歳出拡大の必要性を訴えて居る。長期停滞論そのものに対して筆者は懐疑的に考えて居る部分がある。只、同氏が2013年に主張した後、先進国の中で経済正常化が最も進んだアメリカでも、極めて低い金利とインフレ率が長期化したママである。
 同氏が主張する拡張財政政策には説得力があり、その慧眼に感服せざるを得無い。更に、アメリカの大物経済学者であるオリビエ・ブランシャール元IMFチーフエコノミストは、国債金利が名目経済成長率を下回る場合に、総需要を増やす財政政策が必要であり、特に日本は長期停滞に陥って居る為金融・財政政策でテコ入れする必要があると主張して居る。

 これ等アメリカの一流の経済学者の提言は、日本の経済政策運営には残念ながら殆ど生かされて居ないと言える。標準的経済理論を軽視した政策運営が続く為、オリンピック・パラリンピックを迎える2020年の日本経済は長期停滞から脱する事は極めて難しいと筆者は予想して居る。
 そして、従来から当コラムで指摘して居るが、現在の経済政策運営が安倍政権の政治的土台を揺るがすリスクが高まると見ている。


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             村上 尚己 エコノミスト   以上









 【関連記事1】  「消費税10%」に日本経済は耐えられ無い懸念

  決定間近「骨太の方針」に対する根本的な疑問


       〜東洋経済オンライン 村上 尚己  エコノミスト  2018/06/04 7:00〜

 消費税が10%に為ると、対策を打っても家計への実質的な増税額は3兆円超に為る可能性がある・・・今年も「骨太の方針」の作成が佳境を迎えて居る(6月に政府が発表予定、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」)
 方針を決める経済財政諮問会議では、2019年10月の消費増税が予定される中で、2014年の増税時の様な景気の落ち込みを防ぐ対応策が議論されて居る。

 「消費増税による悪影響」が、正しく認識されて居ない

 この中には、消費増税前の駆け込みと反動減がもたらす「経済の振れ幅」を平準化する対応策がある。だがこれらは本質的な対応とは言え無いだろう。何故なら消費増税の悪影響とは、増税による家計所得の目減りによって個人消費が落ち込む事だからである。
 「増税による恒久的な家計所得の目減りを、家計への所得補填政策でどの程度カバーするか」が、増税のインパクトを決する。2%の消費増税分から軽減税率分を引いた4.6兆円程度が、2019年10月から恒久的に家計所得の押し下げに作用する。

 一方、予定されて居る消費増税分の内、約2兆円に付いては幼児教育や大学授業料無償化等の対策に使われると云うのが安倍政権の公約と為って居る。実際には、増税ショックを和らげる恒久的な家計への所得補填がどの程度の規模に為るかは、制度設計によって変わると筆者は考えて居る。
 消費増税と共に実現する、家計に対する所得補填の規模がホボ明らかに為って居る政策では、幼児教育無償化に約0.7兆円、低所得年金生活者(対象800万人)に対する支援金等に約0.5兆円が充てられる、と筆者は見積もって居る。

 以上は増税開始と同時期に始まる見通しだが、この恩恵を受けるのは、子育て世帯、低所得高齢世帯であり、消費性向が高い一部世帯への所得補填は、増税ショックを多少和らげるだろう。
 もう一つの所得補填の目玉は、大学等高等教育の授業料無償化、支援金支給等の政策である。だが、これを通じた所得補填に付いては、規模や対象範囲は依然明確に為って居ない。なお、この制度は2020年4月から始まるので、2019年10月の消費増税には間に合わ無い。
 家計が支払う大学等の授業料の総額は年間3.7兆円と試算され、個人消費の1.5%の割合と為る。この対象世帯の範囲によって、授業料無償化による家計への所得補填は数千億円レベルで異なって来る。

 結局、家計所得への補填は1兆円程度?

 2017年の自民党部会における資料によれば、低年収世帯には「授業料無償化」+「年収300〜500万円世帯へ半額無償化等」で、0.7兆円の財源(家計への所得補填)が必要と試算されて居る。この対象と為るのは、大学授業料を負担する世帯の2割程度と見られる。
 一方、最近の報道によれば、大学等の授業料無償化に付いて、授業料全額無償化は世帯年収約200万円以下に限り、世帯年収380万円まで、年収毎に段階的に授業料の一部を補填する案が検討されて居る模様である。この案だと、大学無償化による所得補填を受けるのは対象世帯の1割以下に為るとみられ、上記の自民党案で示された0.7兆円の半分以下の規模に増税時の家計所得補填が抑えられる可能性がある。

 これは授業料無償化に限る話で、別途、学生への生活支援の枠組みも検討されて居ると報じられて居る事から、或る程度の上積みはあるかも知れない。最終的には、今後固まる制度設計次第ではあるが、霞が関から漏れ伝わる報道を踏まえると、2兆円分とされる消費増税の使い道の内、家計所得補填にまわる規模は1兆円程度に留まる可能性がある。

 そう為ると、消費増税による家計負担は3兆円を超える可能性があり、家計所得の1%超に相当する可能性が出て来る。2014年の消費増税時の8兆円の家計負担と比べると小さいものの、2019年の賃金上昇率がどの程度高まるかで、個人消費に及ぶ影響は異なって来る。
 もし賃金が1%前後の伸びの状況で3兆円を超える増税負担と為れば、可処分所得の伸びはホボゼロ迄抑制される。2014年程では無いが、個人消費に相当なブレーキが掛かるリスクがある。

 1〜2兆円規模の追加国債発行は、殆ど問題が無い

 2%インフレの実現が難しい2019年度半ばの時点で、家計所得と個人消費にブレーキを掛ける緊縮財政政策の妥当性をどう考えるか。教育無償化には人的資産を底上げする性質があり、この恒久的制度の財源を国債発行によって調達する合理性はある。
 又、既に国債発行残高GDP比率は低下して居り、1〜2兆円規模の追加国債発行は殆ど問題に為らない規模である。そして、日本銀行による現行の金融緩和の枠組みでは、日銀による国債購入が減少して居る事が金融緩和の効果を弱めて居る可能性がある。国債発行の拡大は、金融緩和の効果を高め総需要安定化政策の強化と為り、遅れて居る脱デフレを後押しする。

 国税・地方税を併せて、税収規模は既に100兆円に達して居るが、早期に名目GDPが3%程度伸びる経済状況を実現する事は、3兆円規模の税収増が確保される事を意味する。であれば、長期的に財政収支を安定させる為には、道半ばにある脱デフレと正常化完遂を最優先する事が最も確実なプロセスに為る。
 1990年代半ばからの不十分な金融緩和政策、緊縮財政政策の帰結としてデフレ不況が長期化して来たことが、公的債務拡大の最大の要因だと筆者は考えて居る。

 そう考えると、総需要安定化政策を徹底する堅実な政策運営が、最終的に将来世代の税負担を減らすことに為る可能性がある。政治的な事情が優先され、インフレ率が極めて低い中で再び個人消費に大きなブレーキを掛ける緊縮政策に踏み出す可能性が高まって居る様に見えるが、そうであれば脱デフレ完遂を前に日本経済に暗雲が漂っても可笑しくは無い。


                    以上









  【関連記事2】 「日本は借金まみれ」と云う人の根本的な誤解

   「政府の借金」と「家計の借金」は同じでは無い

             〜村上 尚己 エコノミスト 2017/11/21 5:00〜

 「日本は年収500万円の家計が1000万円の借金を抱えて居る様なもの」等と説明する人が居る。筆者はこうした例えに疑問を投げ掛ける。日本の経済メディアでは「金融緩和・財政政策拡大を遣り過ぎると問題・弊害が起こる」と云う論者のコメントが多く聞かれる。

 日銀は本当に「危険な金融緩和」を続けて居るのだろうか
 実際の処2008年のリーマンショック直後から、米国の中央銀行であるFRBは、国債などの大量購入に果敢に踏み切り、それが一足早い米国経済の正常化を後押しした。その後、2012年の第2次安倍晋三政権誕生後の日銀総裁・副総裁人事刷新を経て日本銀行はFRB(米国連邦準備制度理事会)にホボ4年遅れる格好で大規模にバランスシートを拡大させる政策に転じた。

 これが、アベノミクスの主役と為った量的質的金融緩和政策が始まった経緯である。筆者には日本のメディアがこれを正しく伝えて居る様には思われず、未だに日銀は「危険な金融緩和」を続けて居る等と言われて居る。
 実際には、最も金融緩和に慎重とされたECB(欧州中央銀行)も含めて、多くの先進国の中央銀行は大規模な資産購入拡大を行って居り、日銀もその1つに過ぎ無いと云うのが投資家の立場での筆者の見方である。

 詰まり、雇用を生み出し国民生活を豊かにする為に、米国などで実現している金融緩和政策が、日本でも2013年に為って遅ればせながら実現しただけである。始めるのが遅かったのだから、FRBよりも日銀の出口政策が遅れているのは、止むを得ない側面がある。
 また、アベノミクス第2の矢とされた拡張的な財政政策は、政府部門の債務を増やす政策である。「日本の財政は危機的な状況にある」と云うのが通説に為って居る。
 「借金が増え続けて居る」と云うフレーズだけを聞くと、不安に思う一般の人々が多いのは仕方無いかも知れ無い。例えば年収500万円の人が、1000万円の借金を抱える事に為れば、その負担が大きいのは確かだ。そして、日本は国民1人当たりの借金が数百万円に達する等と頻繁に伝えられて居る。

 しかし、メディアで云われる「日本の借金」とは、個々の家計が抱える借金とは可成り異なるのが実情である。国民1人当たり数百万円の借金があると云う言い方は、機械的に計算するとそう云う数字が出て来るだけに過ぎない。
 これは、日本の財政状況の危機が深刻であるかの様に政治的にアピールする方便の1つだと筆者は常々考えている。この事実を理解するには、政府・企業・家計と云う主体別にバランスシートを分けて考えた上で、俗に云う「日本の借金」は、実は政府の負債であり、家計や企業から政府が借金して居ると云う貸借関係を頭に入れる必要がある。

 そうすると「日本の財政状況は、家計が大規模な借金を抱えている状況」と云うイメージと実情が全く異なる事が理解出来る。好く知られている話かもしれないが、政府部門では、2017年3月末時点で、借金である国債などが1052兆円の負債として計上されて居る。

 政府は借金の一方、日本人は国債と云う資産を保有

 だが、政府よりも大きなバランスシートを持つ金融機関と家計・企業によって、この1000兆円規模の国債(政府負債)の多くが「資産」として保有されている。詰まり、政府は借金しているが、一方で日本人が「国債と言う資産」を保有して居ることに為る。
 実際に国債を大量に直接購入しているのは銀行・生命保険会社などの金融機関であり、約1000兆円の国債などを金融機関が資産側に保有して居る。
 一方、家計・企業が国債を資産として保有して居る分は限られる。ここで、何故銀行や生命保険会社が国債を大量に保有するかを理解する前提として、金融機関と家計・企業のバランスシートの関係を理解する必要がある。

 政府負債である国債を巡る貸借関係を整理すると、家計・企業の預金(約1200兆円)を原資にして、金融機関を通じて、政府の負債である国債の殆どが国民によって金融資産として保有されて居ると云う事に為る。要するに、政府部門は1000兆円の負債を、家計や企業などの国民から一時的に借りて居るだけである。
 金融資産を蓄積している家計・企業の預金や保険料(将来の保険支払いに充当する)が、金融機関に取っての負債に相当するが、その見合いで金融機関は何らかの金融資産を保有し無ければ為ら無い。その投資先が、1000兆円規模の安全資産である国債に為って居る訳である。

 これを理解すれば、日本人全体で見れば、例えば500万円の収入の家計が、収入の2倍の規模(1000万円)のローンを抱えて居ると云うイメージと、現実が全く異なることが理解出来るのではないか。
 「借金大国日本」のイメージはバランスシートの1面にフォーカスしているだけで、バランスシートの別の部分をみれば、家計・企業の収入は500万円有るが、同時に安全資産である1000万円の金融資産を保有して居ると言う事も出来る。そう言えば、日本は大変豊かな国であると多くの方は感じるのではないか?

 財政健全化に傾倒する「緊縮策」は危険な思想 

 米国の経済学者である、ブラウン大学のマーク・プライス教授は、財政健全化などを至上命題とする政策を「緊縮策・Austerity」として、それに傾倒する考えを、危険な思想であると批判して居る。
 日本においては、金融市場・経済当局・メディアの関係者の多くが、この「危険な思想」に捕らわれて居る様に筆者には見える。安倍政権に為ってからの2014年の消費増税の失政により、脱デフレ完遂に時間が掛かってしまった経緯等をみれば明らかに思える。

 日本が「借金まみれ」と云うのは誤解で、寧ろ実際には世界一の資産保有国である。財政赤字や公的債務問題は、日本の「有権者」が自ら選んだ政府に一時的に貸している資産(借金)が増えている、と云うだけである。
 そして政府から有権者である国民への借金返済ペースは、国民経済を豊かにする為に、余裕を持って決める事ができる。性急な増税が妥当な政策なのか、我々国民は冷静に賢く判断出来ると筆者は考えて居るが「危険な思想」に傾倒した方々には、冷静な判断が難しいのかも知れない。


                   以上






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強引過ぎた「大学入試改革」・・・その断念から考える「日本の難題」





 

 


 強引過ぎた「大学入試改革」

 その断念から考える「日本の難題」


          〜現代ビジネス 山下 祐介 12/30(月) 9:01配信〜


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               山下祐介 首都大学東京教授

 何故、無理な入試改革が進んだのか

 2019年11月の大学入学共通テストにおける英語民間試験の導入断念に続いて、12月には国語と数学の記述式問題の延期が決まった。様々な批判を浴びて居るが、萩生田光一文部科学大臣の決断に敬意を表したい。
 と云うのも私も又大学に勤務して居て、一連の入試改革に付いては疑念や疑問を内心抱きながらも、文科省の引いたラインに黙従して来た一人であったからだ。口には出せ無いが、今回の改革が此処で中止と為った事で、ㇹッとして居る関係者は多いと思う。
 勿論その為に準備して来た受験生には気の毒だが、英語四技能も記述式を解く力も、大学において社会において、更には受検一般において必要な力だ。身に着けておいて損は一切無いものだから安心して欲しい。

 問題は、今と為っては無理押しに見えるこの改革が「何故、進んで来たのか」である。それも大学と云う、或る意味では知の集積を誇るべき現場を舞台にして。此処では、自己反省を込めてこの事件を振り返って置きたい。と共に、この問題から見えて来る令和日本の政治的課題に付いて、私見を述べたいと思う。詰まりは安倍政権後の、次の政権の課題が此処から見えて来ると云う事である。

 文部科学省が進めて来た大学入試改革

 この内、国語と数学の記述式問題の延期に付いては、大学そのものは直接関わら無い案件であり、私自身にも取り敢えずの責任は無いと云える。これに対し、英語の民間試験の導入は、各大学で、自らの意志で主体的に進めて来た形に為って居る。
 それ故、一部の大学では民間試験の導入に否定的な立場を表明し、一時は導入し無い事を決めて居た大学もあった。しかし最終的には殆どの大学が民間試験の導入を呑み、大臣がストップを掛け無ければこのままスタートする処迄改革は進んで居た。
 何故、これ程迄、全国の大学の殆どで、民間英語試験の導入が決められて行ったのか。今ソコに、前大臣の圧力が取り沙汰される報道も為されて居るが、私には次の二つの問題が大きい様に思える。

 「文科省が進めて居るのだから大丈夫」

 第一に「この改革は文科省が進めて居るのだから、大丈夫」と云う思い込みである。私の専門は社会学である。民間英語試験の導入に付いては確かに最初「えっ」とは思ったが、当然それは、英語学や教育学等の専門分野の議論が尽くされて出て来たものと解釈して居た。
 今回露呈した地域間格差等は私の専門領域でもあるのだから「お前は何故その時、専門家としてその事を指摘しなかったのか」と読者のご批判を受けそうだが、そこは私だって一個人。

 この改革は中教審で審議し、文部科学省が旗を振って出て来たものである。ソコは当然、問題点は全て検討し尽くされ、且つそれがクリアされて大学に来て居るものと思い込む。そう思うのが当たり前ではないだろうか。それがフタを開けてみれば、多くの問題が未解決処か十分な議論も為されても居なかった。大学関係者の多くが「一体何故?」と狐に摘ままれた様な気持ちで居る筈だ。
 結局、アノ時、勇気を出して批判して居た人達コソが正しかったと云う事に為るが、それも極一部であり、あの東大でサエ最後は折れ、民間試験の活用に転換して居た。経緯はどうアレこの改革には見な乗っかって居り、現大臣の決断無しには最早止められ無い流れであった事は間違い無い。

 だが、一体何故文科省で、ココ迄杜撰とも云える改革が進んで居たのか。考えてみれば、霞ヶ関の各省庁・官僚達は、本来コンな形で仕事をする集団・人々では無い。嫌、現行の文科省だって、基本的には着実、誠実に、石橋を叩いて渡る様な遣り方で、今もこの国の文部科学行政のあるべき姿を調整して居る筈だ。
 それが何故入試改革でこんな事が生じたのか。この点に付いては、もう一つの改革、国語の記述式問題の導入に付いて私が感じて居た事を挙げ、第二の問題点として指摘してみたい。







 「記述式問題」が持つ機能

 私は国語の専門では無い。しかし、これ迄も小論文や総合問題の作成・採点には携わって来たから、この改革の問題性は好く判る。記述式問題の採点は難しいのである。採点は簡単には行かない。慣れが絶対に必要だ。答案には、文字がキチンと書けて居なかったり誤字脱字も様々ある。その判別さえ難しい事も。
 結局は、形式的な事以上に、キラリと光る回答や、明晰な分析力、或いは文章力等、その受験生が持って居る人間としての力を評価出来るかどうかが重要に為る。そうした人間の力はリジッドに採点出来る様なものでは無い。矢張り最後はセンス(感覚)で評価して以下ざるを得ない。

 センスと云うと、好い加減に採点して居る様に思われるかも知れない。処がこのセンス、一定のスキルを積むと、採点者の間ではホボ共有出来るものでもあるのだ。
 不思議だが、誰が採点しても大体同じ様な点数に為る。人によって採点がズレる答案も勿論有る。だがソコには又、そのズレにそれ為りの意味があり、何等かの長所と共に欠点も持って居るものなのだ。私達にはそれが判る。何故か、大学教員は、日々、そうした鍛錬を続けているからである。
 学生達の文章は勿論、学術論文の査読も行い、自分自身の論文や文章の推敲も含めて、毎日が採点業務に近い作業の連続なのである。

 それを大量に、大学教員でも無い人々を動員して遣る? それは無理だろう・・・と、記述式の作問や採点に携わった事の有る人なら誰もがそう感じて居た筈だ。更に次の点も重要である。
 採点者のセンスが採点に関わって好いのは、二次試験と云う、最後の最後、その受験生を取るか取ら無いかを決める段階においてだからである。受験は、当確のボーダーを超えるか超えられないかで決まる無い、だから最高点とか最低点とかは基本的に問題に為ら無い。
 受験生から見れば、そこで1点でも多く点けて欲しいと云う事に為るが、これを採点する側から見れば違う世界に為る。採点する側はボーダーラインを明確にする為に、受験生の評価に差を着け無ければ為ら無い。

 力の有る学生には全員入学して欲しいが、定員の関係でそれが出来無いから入試をするのである。そのボーダーは適正で無ければ為ら無いが、屡々そのラインには同じ様な力の学生が並んで居る。その一人ひとりの力の差を適切に評価する採点が出来るのも・・・そう大学が自信を持って入試結果を提示出来るのも・・・記述式だからコソなのである。
 二次試験を多くの大学がマーク式では無く、手間暇の掛かる記述式で行うのは、受験生の力を細かく見てその差を的確に差異化し判断したいからだ。そしてそうした判断が、少なくとも我々プロの手によれば適切に行われ得るのだと確信して居るからでもある。

 これに対し、一次試験とは、受験生が自分の学力を先ずは全国共通の問題で観測し、全体の中でどの辺りに居るのかを確認すると共に、そこで取れた点数で(挽回のチャンスも含めて)自分の行きたい大学・学部のボーダー突破の可能性を見極め、的確に受験校を設定する為のものである。
 それは又、自分の学力が未だ届か無い大学の受験にトライするリスクを回避する為でもある。そこに一次試験の機能はあるのだ。それには当然、マークシート式のデジタルな測定が適して居る。採点が曖昧では困るからだ。

 一次試験は選択式でデジタルに。これに対し、最終決定の二次試験は記述式のアナログで。定員によってはそれが出来無い大学もあるが、国公立大学の多くがこの遣り方を採用して来たのには、チャンと理由がある訳だ。その記述式を一次試験に導入するって? 
 一寸待てよ・・・と、多くの大学関係者が思った筈だし、私もそう思ったと続けたい処だか、実はそうは思わ無かった。そして多分、多くの大学関係者も同じだったと思うのだ。それは何故か。それがココで指摘したい第二の問題である。

 「文科省に逆らっても仕方が無い」

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                    萩生田文科大臣 

 この時私はこう思った。論理的にはソウだが「文科省に逆らっても仕方が無い」と。「可笑しい」と抗議しても仕方が無いと云う以上に「文科省がそう言って居るのだから、もうどうにも為ら無い」と云う諦念(ていねん)である。そして実はこの諦念コソ、一連の改革に対して大学が感じて居た最も重要な事だったのではないかと思うのである。
 この事も又、大学に関わりの無い人が見れば「それは無責任だ」と思うかも知れない。だが、これもこの間の事情を確り認識して欲しいのである。この無責任体制、何故そうしたものが大学の中に出て来ているのか。

 大学、特に国立大学は、この十数年間、文科省による大学改革に晒されて来た。国立大学は国立大学法人に。研究費の競争化、任期制の導入、FDにSD、COEにイノベーション・・・大学のアリとアラユル面に様々なメスが入れられて来た。
 しかもそうしたことで、大学に当初目指した様な国際競争力が着いたの為らば未だ好い。だが実際には、改革を進めれば進める程、研究・教育以外の業務が増え、日本の大学の研究力・教育力は寧ろ着実に転落して来た。息が詰まる様な環境の中で今、大学の教育・研究は行われて居る。

 多くの研究者が実感して居るのは、この20年程の大学改革は失敗だったのではないかと云う事である。しかしながら、この間に強められた文部科学省との力関係の中で、その失敗の責任さえもが大学に向けられて居る。大学は、この間の改革の評価さえ論じる事が出来ない立場に追い込まれて居るのである。
 結局、大学改革の結果として現れて来た確実な成果とは、大学に対する文部科学省の絶大な権力の確立だったと言える。大学に取って「文部科学省が言って居るのだから仕方が無い」は、倫理的にどうこう出来るものでは無く、現実的なパワー(権力)の問題なのである。








 誰の為の入試改革だったのか
 
 だが・・・問題の核心は更にその先にある。これだけ杜撰な入試改革。一体誰が何の目的でこんなものを強引に進めて居たのか。こう「問い」を立てて観た時に、先ず気が付くのは、それは勿論文部科学省の為では無いなと云う事だ。
 霞ヶ関の各省には、各省の「省是(しょうぜ)」とも云うべきものが有る。省としてのミッションが有ると共に、これは絶対に遣って行け無いと云う事も厳然として有ると云う事だ。文科省に取っては、受験が不正確に或いは不平等に行われる事コソ、絶対に有っては為ら無い事だ。その省是を越える様な無理な改革が今回、進んで居た事に為る。これは勿論、文科省自身が望む事で有る筈が無い。

 だとすれば、それは矢張り政治からの強制に為るのではないか・・・と云う事だが、これも考えてみると、今回、安倍内閣の中枢に居る萩生田大臣がその進行をストップさせたのである。無理なゴリ押しは、政権運営に取っても望むものでは無く、寧ろ今回の改革は遂行する方が危険だと判断した事に為る。
 だとすると、この入試改革、無理に進めても得するものは誰も居ないと云う事に為る訳だ。結局、問題は、何故コンナ、誰も得をし無い、杜撰とも言える改革が、実施寸前に迄無理押しで進んで居たのかに為る。それも、もし仮に実施して居たら、政権運営にさえ悪影響が及びかね無い様な状態で。

 私達は恐らく、こう議論を進め無くては為ら無い。何故、コンナものが進んで居たのか。それは矢張り、権力が絶大化して居るが故にでは無いかと。その権力とは勿論、大学が直接、向き合って居る文科省では無く、その向こう、政府であり、官邸であり、安倍晋三内閣であると云う事に為るが、問題の核心は更にその先にあると云う事だ。
 要するに、官邸の周囲で生じた声が、その声の主の思い以上の絶大な力を行使する様に為って来て居り、そうした声が過剰に政治化され政策化されると共に、その政策に対する異論や反論は一切起き無い、問題点の整理やリスクの排除等が為され難く為って居ると云う事だ。

 嫌、こうした異論・反論の排除は、その末端に迄行き渡って居り、この現象は中枢だけのものでは無い。そこが最も重要なのかも知れない。
 この入試改革では、その現場である大学においてサエ、批判の声は少数だった。その事よって、本来、政策化に伴って現場から挙がって来るべき声が挙がらず、問題点が放置されたママ政策だけが只実施化される・・・正にその寸前迄行って居たのが今回の入試改革であったと言える。








 過剰集権が齎(もたら)すもの
 
 この様に論じて来て思うのは次のことだ。安倍政権の「一強」が言われて久しい。だがもう本当に、この強権体制を解か無いと政治が主導する事サエ、真面には動か無く為って居ると云う事だ。恐らくこの入試改革は氷山の一角で、色んな局面で同じ様な事が起きて居るのではないか。政策が標的とする現場で、強い政権への事無かれ主義、責任転嫁が進んで居る。

 現場として「本来こう有るべきだ」「こうで無ければ困る」よりも「反対しても仕方が無い」「逆らわ無い方が好い」が強く為って居り、協力するにしても「やった振り」を装ってさえ居る。それ故政権に取っては、政策が実現して居る積りで居たら、後に為ってみれば「真面目にそれを遣って居なかった」と云う事さえ生じて居り、今回の様に、実施寸前でそれを急遽、政治主導で止め無ければ為ら無いと云う事が現れ始めて居ると云う事だ。

 強力な中央集権体制は必ず腐敗する。安倍政権が駄目だとかそう云う事では無い。強力な体制には必ずそうした欠落が生じるものだ。
 それでも現行の政権は憲法改正を目指して居るだけで、特段何かの政策実現を志向したものでは無いから、精々森・加計や桜を見る会程度で済んでは居る。とは言えこれでも十分に、公文書が次々と消える等の内政崩壊を示して居るのではあるが。
 しかし、もし同じ様な事が外交や軍事・経済領域で起きれば、国民全体の暮らしに与える影響は計りしれ無い。この状態は兎も角早く解かねば為ら無い。

 他方で、私達はもう既に、この長期政権を観察して、今回の権力強大化を引き起こした原因が判って来ても居る。
 それは第一に小選挙区制であり、第二に内閣人事局が持つ人事権であり、そして第三に首相による解散権の乱用であった。これ等が相互に絡まり合って、安部一強体制を支えて来たと、既に何度もそう報じられて来た。権力の強大化は或る意味でこの政権の実力では無く、構造的制度的に生じたものだと。

 私達はもう好い加減に、現行の政治体制が持つこうした問題点を直視して、その改善に手を着け無くては為ら無い。既に来年に向けて、報道では次の総理は誰なのかが噂されて居る。
 この入試改革の顛末を見ていて思うのは、次の政権には、自らの政策内容を提示し、実施する前に、先決で遣らねば為ら無い課題があると云う事だ。それは、首相及び内閣に集まり過ぎた権力をどう元に戻し、どの様にして真面な政治・行政運営の体制を取り戻せるのかである。
 怖いのは、次の政権が、今の政権と同じ環境の元で更なる政治運営を行う事である。絶大な権力を、間違った形で振るわれれば、この国の未来は危うい。

 次の政権には・・・それが今の与党であれ野党であれ・・・先ずはこの政治体制の健全化・自浄化装置の取り付けを第一の政治使命として貰わなくては為ら無い。そしてそれを1年以内で実施した上で速やかに解散し、新しい体制で新しい政治運営を行う政権を、改めて選挙で選ぶと云う段取りが理想だし必要だろう。
 問題は、それ程の危機感を持って、この数年の政権運営が持って居たリスクを国民が感じて居たかと云う事である。この国の、一見みえ無い危機に警鐘を鳴らす意味を込めて、この年の暮れに自己弁解にも似たこんな小論を認めてみた。

 令和2年が好い年に為ればと真に願う。


 山下 祐介氏 首都大学東京都市社会学部准教授 1969年生まれ 九州大学大学院文学研究科博士課程中退 弘前大学准教授等を経て現職(現在は教授) 専攻は都市社会学、地域社会学、農村社会学、環境社会学。東北の地方都市と農山漁村の研究を行い、津軽学・白神学にも参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されて居たものです)

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               山下 祐介     以上



 【管理人のひとこと】

 素人にも判り易く丁寧に、そして核心を突く理路整然とした論文だと感心した。徒に激せず抑えた論調にコソ多くの人に訴える力が有るのだとも再確認した。私は「殊、教育に関して」は、不確かな政権が干渉しては為ら無い、全ての国民の持つ犯しては為ら無い「聖域」だと思って居る。
 教育とは、生まれてから成年に為るまでの間の「次の国民」を育てる、0歳から30歳前後までの人間形成に影響する・・・それコソ基本的な権利であろう。それを、数度の選挙の結果出来た「政権」が改革とか生産性とかの尺度で干渉し、増してや指導・強制はしては為ら無い筈なのだ。
 時の政権の教育政策の出来次第で、次の国の方向性が曲げられる様な事が在っては為らず、教育とは50年・100年以上先を見詰め思考した結果の崇高な使命があるのだから、もし「文科省」的行政機関が必要だとしても、そこの使命は、教育界の提言に基づく「予算執行」「提言の遂行」に絞っての権限に限定し、先ずは、縁の下の力持ちとして行動を採るに留めるべきだろう。戦前の教育を考えたら、時の政権に全権を委ねるとどの様な事に為るのかは、経験済みの筈である。







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連合軍を震撼させた「諜報の神様」小野寺信(5)ポーランドから最後の返礼 「ヤルタ密約」連合軍を震撼させた




 連合軍を震撼させた「諜報の神様」小野寺信(5)

   「ヤルタ密約」連合軍を震撼させた


          〜nippon.com 岡部 伸 12/30(月) 11:32配信〜

 北欧唯一の中立国・スウェーデンの首都は、連合側と枢軸側機密情報が交錯する「諜報のメッカ」だった。小野寺信(まこと)陸軍武官は、親密な人間関係を築いたバルト3国やポーランド等の情報士官から情報を得て、日米開戦後も欧州情勢や連合軍情報を東京に送り続けた。
 1944年9月、ストックホルムを訪ねた海軍の扇一登大佐(当時)は「小野寺さんは他国の情報将校から、諜報の神様と慕われて居た」と戦後、回想して居る。1945年2月、米英ソ首脳がクリミアのヤルタで、ソ連がドイツ降伏3カ月後に対日参戦する密約を交わした連合国最高機密を、小野寺は会談直後にポーランドから入手した。

 ヒムラーが忌み嫌った「世界で最も危険な密偵」

 ポーランドの大物情報士官、ミハウ・リビコフスキが小野寺と「心の絆」で結ばれたのは、小野寺が草木も靡(なび)くナチスに反抗し、危険承知でリビコフスキを守り抜いた為だ。
 小野寺が赴任して約半年後の1941年7月。ベルリンの中心地ティア・ガルテンでリビコフスキの部下がドイツの秘密国家警察(ゲシュタポ)に摘発され、リビコフスキが満州の偽造パスポートで、ストックホルム日本陸軍武官室職員として諜報活動を行って居る事が発覚した。
 ナチス親衛隊(SS)の第四代指導者、ハインリヒ・ヒムラーが「世界で最も危険な密偵」と忌み嫌い、リビコフスキ逮捕に躍起に為った。

 ベルリンに出張した小野寺に面会して、リビコフスキからの預かり物(指令書や活動資金)を受け取った直後に逮捕された部下は、ポーランド地下組織のリーダーで、ベルリン満州公使館で雇われて居た。その前は、リトアニアのカウナス日本領事館で杉原千畝領事代理に協力して居た。
 「敵」はナチスだけでは無かった。日独伊三国同盟締結後、ドイツ一辺倒に為ったベルリン日本大使館で、満州国参事官としてポーランドとの諜報協力を主導して居た陸軍中野学校の初代校長・秋草俊も露骨にリビコフスキを嫌悪して居た。ドイツは、ベルリンの大島浩大使を通じて再三、リビコフスキの身柄引き渡しを求めた。

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                  小野寺とリビコフスキ

 しかし、小野寺は頑として受け付け無かった。ゲシュタポに四六時中命を狙われるリビコフスキを、武官室で保護し続け、更なる身の安全の為、ストックホルム公使館の神田襄太郎代理公使に依頼して、日本パスポートを発給した。偽名ピーター・イワノフに漢字を当てて「岩延平太」名義とすると、リビコフスキは「日本人に為れた」と深謝した。
 2人を親密にしたのは、一つには、リビコフスキ等ポーランド人が、日本に対して並々ならぬ好意を抱いて居た事があった。18世紀からロシアの侵略と圧政に苦しめられたポーランドは、そのロシアを日露戦争で打ち負かした日本を尊敬して居た。又、この戦争で、日本軍は望まずにロシア軍に従軍したポーランド人捕虜に寛容に接した。

 更に両国の距離を縮めたのが、ロシア革命後にシベリア出兵して居た日本軍が、ボルシェビキ(ソ連共産党の前身)に両親を惨殺されたポーランド孤児765名を救出した出来事だ。
 ポーランドの新聞は「日本人の親切を絶対に忘れては為ら無い。我々も彼等と同じ様に礼節と誇りを大切にする民族であるからだ」と伝え、ポーランド人は感謝の念を抱いた。日本も1919年の国交樹立後、ポーランドから暗号技術を学ぶ。
 そして1940年、カウナス領事館で杉原千畝領事代理が「命のビザ」を出して5000人を超えるユダヤ人を救ったが、その多くはポーランドから逃れたユダヤ人だった。

 こうした経緯でポーランドは日本を「大切なパートナー」と感じた。既に記したが、杉原は1939年の独ソ侵攻で祖国を逃れたリビコフスキに満州国パスポートを発給した。「命のビザ」の1年前で、杉原もリビコフスキ等亡命ポーランド政府の情報士官達と協力して諜報活動を行った。

 戦後も交わした100通近い往復書簡

 戦後、カナダ・モントリオールに移住したリビコフスキは、1970年に日本を訪れ小野寺と再会を果たす。その数年後、小野寺もカナダのリビコフスキを訪問した。2人は、1961年から1987年に小野寺が亡く為るまで、100通近くの往復書簡を交わした。
 手紙でリビコフスキは「マコトは自分の命の恩人だ。自分をドイツのゲシュタポから護って呉れたのはマコトだ」と、小野寺が体を張って守り通して呉れた感謝の気持ちを生涯、忘れる事は無かった。

 リビコフスキは遂に1944年3月31日、英国の首都ロンドンに移った。ドイツからの圧力に抗し切れず、同1月、スウェーデン政府が「秩序を乱して好ましく無い」と「ペルソナ・ノングラータ」(好ましからざる人物)として国外退去を命じたのだった。
 退去理由を小野寺は百合子夫人に「単に女の問題だ」と説明した。スウェーデン秘密警察調書によると、リビコフスキには70人の協力者が居て、大部分は恋愛関係と為った女性だった。男気有るリビコフスキに女性は魅了されたのだろう。反ナチスの女性を操り、ドイツにサボタージュや人間を媒介とした諜報活動の「ヒューミント」を仕掛けて居た。

 「ロンドンの亡命ポーランド情報部が入手した情報を駐在武官のフェリックス・ブルジェスクウィンスキーを経由して届ける」退去に当たり、リビコフスキは小野寺に約束。終戦迄約1年半、ロンドンから機密情報が送り届けた。ブルジェスクウィンスキーはリガで知遇を得た友人だった。
 バッキンガム宮殿に近いルーベンスホテルにあった、亡命政府陸軍参謀本部に登庁したリビコフスキは、ポーランド軍に復帰し、旅団長としてイタリア戦線に赴いた。代わって情報を送り続けたのは、上司の情報部長・スタニスロー・ガノ大佐だった。

 「今度は我々が日本を救う」と「至宝」提供

 中立条約を結んで居たソ連が対日参戦を決めたヤルタ密約情報も、1945年2月、このルートで提供された。小野寺の『回想録』によると、会談直後の2月半ば、午後8時から始まる夕食前だった。ブルジェスクウィンスキーの長男の少年が、螺旋階段を最上階5階まで駆け上がり、小野寺の自宅郵便受けに手紙を落とした。差出人はブルジェスクウィンスキーだった。
 「ソ連はドイツ降伏より、3カ月を準備期間として、対日参戦する」と書かれ、小野寺は直ちに中央(参謀本部次長あて)に打電した。

 ヤルタ密約に付いて、小野寺は旧陸軍将校の親睦組織の機関誌「偕行」(1986年4月号「将軍は語る」)で「ポーランド亡命政府の公式情報だった」と証言して居る。
 日本に取って敗戦を決定付ける近代史上最大級の情報は、ポーランドからすれば、長年の日本の厚意への「返礼」で「今度は我々が日本を救う」との思いの表れだった。小野寺の誠実な人柄を信用して、密約と云う「至宝」を惜しげも無く提供したのだった。
 ガノは、終戦後の1946年1月、イタリアのナポリから、日本に引き揚げる小野寺に、こんな心温まる言葉を手紙で贈った。

 「貴方は真のポーランドの友人です。長い間の協力と信頼に感謝して、もし帰国して新生日本の体制が貴方と合わ無ければ、どうか家族と共に、ポーランド亡命政府に身を寄せて下さい。ポーランドは経済的保障のみ為らず身体保護を喜んで行いたい」

 祖国をソ連に奪われ、共産化されたポーランドは、世界の誰よりもスターリニズムの恐怖を皮膚感覚で知って居た。「大切なパートナー」を同じ目に遭わせまいと密約を伝え、小野寺に「何かあったら俺達のところに来い」と伝えたのだ。
 不幸にもヤルタ密約の情報は、ソ連に傾斜する参謀本部の中枢で握り潰され、日本の政策を変えるに至ら無かった。しかし、それを齎してくれたポーランドの人達の熱い思い。そして、彼等から絶大な信頼を受けて情報を提供され、戦火の欧州で祖国を救うべく奔走した一人の誠実な日本人が居た事を誇りにしたい。


                つづく






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安倍長期政権の終わり方 <自民党元幹事長・山崎拓氏>




 




  安倍長期政権の終わり方 

 <自民党元幹事長・山崎拓氏>


           〜HARBOR BUSINESS Online 12/29(日) 8:32配信〜

 もはや「安倍4選」など有り得ない
 
 今般の臨時国会ではご存知の様に菅原一秀前経産相・河井克行前法相が「政治とカネ」の問題で相次いで辞任したのを皮切りに、安倍晋三総理自身が主催する「桜を見る会」に地元講演者を招いて酒食を提供した事に関して公職選挙法違反の疑い、ニューオータニで開かれた「前夜祭」に付いては、政治資金規正法に抵触する可能性など続々と「不都合な真実」が発覚し、嘘と公文書破棄による言い繕いも破綻し始めて居る。最早安倍の4選など有り得ない。

 安倍総理が抜き去るまで、総理大臣として最長の在職日数を誇った桂太郎も、最後は護憲運動の盛り上がりの中で退陣を余儀無くされ、その後、失意のママ一年も経た無いうちに没して居る。国民の中には、安倍政権への不満がマグマの様に溜まって居る。その不満を掬い上げる政治家が与野党問わず出て来れば、国民はその政治家と共に声を挙げるだろう。
 『月刊日本 2020年1月号』では「安倍長期政権の終わり方」と云う第一特集を組んで居る。今回はその中から、自民党元幹事長である山崎拓氏の論考を転載・紹介する。



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 レガシー無き安倍長期政権

 ・・・11月20日に憲政史上最長政権に為った安倍政権を、どう評価して居ますか。

 山崎拓氏(以下・省略) 戦後の歴代内閣は夫々歴史的なレガシーを遺して来ました。戦後内閣の主だった功績を列挙すれば、吉田内閣は主権回復・岸内閣は安保改定・池田内閣は所得倍増・佐藤内閣は沖縄返還・田中内閣は日中国交正常化・中曽根内閣は国鉄・電電公社の民営化・小泉政権は郵政民営化・拉致被害者の救出(一部)を遣り遂げて居る。
 それに対して安倍政権は、憲政史上最長とは言いながら主だった功績は無い。アベノミクスはデフレ脱却を実現出来ず、北方領土交渉は膠着状態、公約した拉致問題は未解決のママ、憲法改正も迷走状態です。レガシー無き長期政権だと言わざるを得ません。

 ・・・先日、中曽根康弘元総理が亡く為りましたが、安倍政権と中曽根政権は好く比較されます。

 安倍政権と中曽根政権は表面的に似て居るかも知れませんが、その中身は全く違う。先ず「官邸主導」の意味が真逆です。中曽根総理は土光臨調に象徴される様に、飽く迄も民間の有識者の英知を活かして官僚を主導しました。
 しかし、安倍総理は逆に俗な官僚に主導されて居ます。安倍総理は「アベノミクス」「一億総活躍社会」等様々なキャッチフレーズを次から次へと出しますが、本人のアイデアでは無いでしょう。所謂、秘書官のグループの振り付けだと思います。安倍総理は官僚を使うのでは無く、面従腹背の官僚に使われて居る様にしか見え無い。

 又外交面では、中曽根総理は米ソ両国の間で一定の指導力を発揮しました。中曽根総理はレーガン大統領、ゴルバチョフ書記長と会談を行い、両者に冷戦構造の解消を提唱された。ベルリンの壁撤去と38度線の解消を持ち掛け、日本も積極的な役割を果たすと訴えたのです。
 私は首脳会談に陪席したので好く知って居るのですが、中曽根総理はその方向に米ソ両首脳を説得され、その心を動かした。この様な主体的な日本外交が、1989年12月に米ソ両首脳が冷戦終結を宣言するマルタ会談に繋がったのだと私は思って居ます。

 それでは、安倍総理は「新冷戦」と呼ばれる米中対立に十分な指導力を発揮出来て居るか。このママでは日本は米中の狭間で埋没してしまうと云う危機感は日本社会全体に広がって居るのが現状です。安倍総理は、レガシーを築き上げて歴史に名を残す名総理には為れ無いのでは無いかと思います。

 「エリート」でも「叩き上げ」でも無い安倍総理

 ・・・安倍総理は戦後生まれの世襲議員であり、それ以前の宰相とは異質な様に見えます。

 安倍政権は戦後政治の中で特殊な位置を占めて居ると思います。戦後政治を振り返ると、ソコには戦前から続く官僚主義と、戦後に始まった草の根民主主義と云う二つの潮流がありました。戦後政治の底流には、エリートと叩き上げ、そのドチラが日本を引っ張って行くのかと云う主導権争いがあったのです。
 それが最も好く現れたのが佐藤政権末期です。当時「ポスト佐藤」の座を巡って福田赳夫と田中角栄が争いましたが、福田は吉田茂・岸信介・池田隼人・佐藤栄作に連なる官僚主義の嫡子です。それに対して、田中は草の根民主主義の申し子です。

 佐藤総理には、戦前から続いて居る官僚エリートが国政を担うべきであるから、その系譜に連なる福田が新たな自民党総裁として政権を担当すべきだと云う思惑があったと思います。しかし結果的に田中がポスト佐藤の座を獲得した事で、官僚主義の流れは途切れました。田中派の系譜、即ち草の根民主主義の潮流はその後も脈々と受け継がれて行った。
 それでは、中曽根総理はどうか。中曽根総理は帝大卒業後、内務省を経て海軍主計中尉に為り、元々は戦前の官僚エリートです。しかし、政治家に為ってからは憲法改正の旗を立てて自転車で全国を遊説したり、又憲法改正の歌を作ったりして、草の根民主主義の在り方を実践された。その意味で中曽根総理はエリートと叩き上げの両面を兼ね備えた政治家だった。
 処が、現在の安倍政権はエリート主義でも草の根主義でも無く、言わば世襲主義です。エリートでも無ければ叩き上げでも無いボンボンが日本を引っ張って居ると云う状況は、これ迄に無かった事です。

 ・・・佐藤内閣の時には「三角大福中」と呼ばれる有力な後継者達が居ましたが、今では存在感の有る総理総裁候補は殆ど居ません。何故自民党は活力を失ってしまったのですか。

 それは安倍総理が後継者を育成し無かったからです。例えば、中曽根政権は「ニューリーダー」と呼ばれる後継者達を育てました。竹下登には大蔵大臣・幹事長、安倍晋太郎には外務大臣・総務会長、宮澤喜一には通産大臣・政調会長を任せる等、後継者達を政府与党の枢要ポストに起用して経験を積ませ、お互いに切磋琢磨させたのです。
 最終的に中曽根総理はご自身が遣り残した売上税(消費税)導入を遣り遂げると云う約束で、竹下登を後継指名されました。予め一定の方針を持って後継者を育成しバトンタッチしたと云う事です。

 それに対して、安倍総理は積極的に後継者を育成して居る様には見え無い。小泉進次郎を環境大臣と云う端役に起用したのが良い例です。勿論現代において環境問題は重要な問題ですが、伝統的に環境大臣と云うポストは端役とされて居ます。安倍総理には、国民が最も支持する若手議員である進次郎氏を枢要ポストに起用して育てる気が無いと云う事です。
 安倍政権の中で連続して主要閣僚に起用されて居るのは、麻生副総理兼財務大臣と菅官房長官ですが、これは色々な意味で後継者育成には該当しない。党三役では二階幹事長が目立って居ますが、総理を目指して居る訳では無い。総務会長や政調会長は誰が為って居るのか分から無い位存在感が無い。

 安倍総理が後継者を育成して来なかった為に「ポスト安倍」の自民党は後継問題を巡って四分五裂の状態に陥り、低次元の権力闘争の混乱だけが残るでしょう。詰まり「三角大福中」時代の様に超大物が競い合うのでは無く、小物が競い合うと云う感じに為る。
 最早自民党は「ヘソの無い政党」の様に為ってしまった。安倍総理が一強独裁体制を敷いて来たツケは大きい。

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 安倍にしがみ付くだけの自民党議員

 ・・・自民党議員が小物ばかりに為ったのは、小選挙区制の弊害でもあると思います。

 同感です。中選挙区制の時代では、派閥が議員を育成する役割を果たして居ました。中選挙区では一つの選挙区で複数の候補者が当選する為、派閥同士で熾烈な競争を行い、お互いに切磋琢磨する事が出来た訳です。しかし小選挙区では派閥同士の競争原理が働か無い。その為、派閥は過つての様な教育システムの機能を果たせ無く為ったのです。

 又中選挙区制では無所属非公認でも選挙に出て、当選する事も出来ました。私自身、1972年の初当選時は無所属でした。しかし現在の小選挙区制では無所属非公認では選挙に出られ無い。出ても当選出来無い。昔は志さえあればチャンスを作れたが、今は志が無いし、有ってもチャンスが作れ無い。その結果、地盤・看板・鞄は有るが志の無い世襲議員が増えて行き、自民党の質が著しく劣化して居る。「自分は生まれながらに政治エリートに為る資格がある」と勝手に思い込んで出て来る人間ばかりで、安倍と云う権力者にしがみ付くだけの政治家群像に為ってしまった。
 昔の自民党には「此奴は将来大物に為るぞ」と云う人材がゴロゴロ居ましたが、今の自民党には殆ど見当たら無い。人材が払底して居る。自民党OBとして私自身の責任も噛み締めて居ますが、本当に目を覆いたく為る状況です。自民党だけでは無く日本全体に取って由々しき事態です。

 ・・・小選挙区制度の弊害は明らかです。この制度は変えるべきだと思います。
 
 それはその通りですが、現実的では無いと思います。小選挙区制で当選して居る議員に選挙制度を変えるモチベーションは無いですからね。それ故問題は、現在の選挙制度のママでいかに人材を育成して行くか、と云う事です。答えは一つしか無い。派閥の競争が無く為った以上、矢張り与野党の競争で人材を育成するしか無いのです。

 元々小選挙区制の在るべき姿は、与野党の間で振り子の原理が働いて、政権交代の緊張感がある事です。与党は政権交代を防ぐ為に、野党は政権交代を実現する為に、お互いに党内で議論を重ねて魅力有る政策を打ち出し、有為の人材を育成して行く。
 処が、実際には与野党の実力に差が有り過ぎて振り子の原理が働いて居ない。十両相手じゃ横綱の稽古には為らんのです。その結果、稽古をして居ない横綱の実力も大関処か関脇・小結位に落ちる。野党が弱いだけでは無く、その状況に胡坐を掻いた自民党も劣化して、政治全体の質が落ちてしまって居る。
 今必要なのは、政権交代の緊張感を取り戻す事です。その為には野党が強く為ら無ければダメです。そうすれば自民党も負けん気を出して、与野党で切磋琢磨する事が出来る。

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 「石破総裁」では無ければ選挙に勝て無い

 ・・・安倍総理の総裁任期満了迄2年を切りましたが、安倍政権はどの様な終わり方に為ると思いますか。

 安倍総理がドンな辞め方をしても、無傷で済む事は先ず無いと思います。これは非常に難しい問題で、私が総理の立場でも、どうして好いか分から無い程です。重要なのは、2021年10月に衆議院の任期が切れる為、2年以内に総選挙があると云う事です。それ故問題は、自民党は誰をトップにして戦うのか、誰をトップにすれば勝てるのかと云う事です。  
 仮に安倍総理が2021年9月の総裁任期満了で退陣した場合、新総裁は僅か1か月で総選挙を戦う事に為りますが、それは無理です。その為、安倍総理は2020年中に岸田文雄政調会長にバトンタッチするのでは無いかとも言われて居ますが、岸田氏に対する国民の支持率は僅か数パーセントです。これでは岸田氏に禅譲しても総選挙を勝ち切れるとは思え無い。

 かと云って、安倍総理が自分で解散総選挙を行ってから岸田氏を後継指名する事も出来無い。安倍総理が選挙を打っても敗ける可能性の方が高いからです。詰まり安倍総理・岸田政調会長がトップでは次の選挙で勝て無いだろうと云う事です。
 此処から、安倍総理が党内から退陣を迫られる可能性が出て来ます。自民党内では未だ「安倍4選」が既定路線であるかの様な錯覚が有る為「4選に為ったらどうしよう、今逆らうと大変だ」と云う空気が残って居る。しかし、既に「安倍4選」の可能性は無く為りつつ有り、潮目が変わろうとして居る。

 ・・・自民党が次の選挙に勝ちたい為らば、党内で反旗を翻すしか無い。

 それを出来るのは石破茂しか居ない。現にそうして居ます。確かに石破氏は自民党内で強く支持されて居る訳では無いが、国民からは強く支持されて居る。最近の世論調査では「次の総理」として石破氏への支持率が急上昇し首位に立って居ます。
 国民がこれ程石破氏を支持して居ると云う事実は重い。何故自民党議員がそれに注目しないのか。石破以外に次の選挙で自民党が勝てる総裁が居るのか。数パーセントの支持率しか無い岸田氏をトップにして総選挙を戦うと云う道はありませんよ。

 何故石破茂には国民的人気、特に地方の人気があるのか。それは本人が地方出身である事、全国を回って絶えず地方創生の重要性を訴えて居る事、政界屈指の勉強家である事が国民から理解され、その熱意が国民に伝わって居るからでしょう。
 実際、石破氏の演説はズバ抜けて優れて居る。他の「ポスト安倍」候補は迫力の有る演説が出来て居ない。明らかに勉強不足ですよ。石破氏は小物ばかりの自民党の中で、総理の任に堪え得る数少ない人物です。肚を括って決起すれば、必ずや総理の座を手にするでしょう。しかし、ここで引き下がったらダメです。それでは「怯儒にして兵を引く」と云う状況に為る。

 私は石破氏に期待して居ますが、それは私情では無く、将来は別にして当面の間は他に総理の任に堪え得る人材が居ないと思うから、国の前途を憂いて言って居るまでです。石破氏には是が非でも国家国民の為に奮起して貰いたい。


           12月3日インタビュー 聞き手・構成 杉原悠人

 【月刊日本】げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

          ハーバー・ビジネス・オンライン     以上




【関連記事】 単なる反韓・嫌韓本では無く 現在の韓国を憂えて記した憂国の書

 石破茂「反日種族主義」を語る


            〜文春オンライン 12/30(月) 12:00配信〜

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                  石破茂 衆議院議員

 〜竹島・徴用工や慰安婦問題等韓国で通説と為って居る歴史認識を検証した「反日種族主義」今夏刊行された韓国でば国前法相が批判する等物議を醸し11万部超、11月発売の日本版は36万部に。日韓で賛否両論・波紋を呼ぶ本書を識者が論じる〜

 今年の秋口の事です。日韓両国の要人が集まるフォーラムでスピーチを頼まれました。そこで私は「過つて韓国でインフラを整備したり、教育体制を整えたりする日本人が居たからと言って、併合時代を正当化しては為ら無い」と話そうと考えて居ました。
 しかし主催者側にそれを伝えると「例え『併合時代を正当化してはいけ無い』と云う趣旨でも、途中で怒って席を立つ方も居るかも知れないので、止めて下さい」と言われました。韓国に取って植民地時代はデリケートな問題なのだと改めて感じた瞬間でした。

 本書には発売当初から興味がありました。韓国内で若者を中心に読まれる一方、゙国前法相が「吐き気がする」と述べた様に、賛否両論が巻き起こって居る事は知って居た。又著者の李栄薫氏が同様の主張をした際、迫害を受けた事も聞いていました。
 その上で、通読して感じたのは、単なる反韓・嫌韓本では無く、著者等が現在の韓国を憂えて記した憂国の書だと云う事です。

 韓国で通説とされて居る歴史認識には誤りが多くあります。例えば徴用工。彼等は韓国では強制的に動員されて給料も満足に与えられ無かった存在であるとされて来ましたが、戦争末期迄は自発的な就労が中心で、給料も高かった。竹島に付いても、韓国が領有の根拠として居る安龍福の証言の信憑性は疑わしい事が判明して居ます。

 韓国の歴史を中立公正に学ぶ事が必要

 李氏は本書で、学問を職業とする研究者として、国民感情に配慮して誤った主張に固執したり、これを擁護する事は許され無いと述べて居ます。その様な姿勢は結果的に国益を損ねてしまうと。恐らく今後、韓国国内で、歴史に関する議論はより活発化して行くでしょう。本書を読んだ韓国の人々は自分達が学んで来た通説には誤りが多かったと知るでしょう。
 只日本人、特に政治家は本書を読んで、慰安婦や徴用工等「自分達の主張が正しかったのだ」と鬼の首を獲ったかの様に喜んで好い訳ではありません。日本と韓国は永久に隣国であり、大事なパートナーです。彼等が何故歴史的事実と異なる不可思議な主張をして来たのか、理由を歴史に沿って考えねば為りません。

 社会学者の小室直樹氏は「韓国の悲劇」で「日本人の韓国に対する文化的忘恩こそ、韓国人の対日的反感の淵源である」と指摘して居ます。日本人は韓国の歴史に対して、知ら無い事が多過ぎたのも事実です。その意味で「反日種族主義」は必読の書と言えます。
 日本もこれを機に、韓国の歴史を、特定の史観に偏ること無く、中立公正に学ぶ事が必要でしょう。それこそが悪化の一途を辿って居る日韓関係を、改善させる一歩に為るのです。


            石破 茂 週刊文春  2019年12月19日号   以上







 【管理人のひとこと】

 山崎拓氏の前半戦の政治舞台は、若くして防衛大臣と為り、行く行くは総理・総裁との期待の声が大きかった様な思いがする。小泉氏と加藤氏とでYKKグループと言われた「自民党改革グループ」は、今でも脳裏に残って居る。彼は、何時も主流派には属さ無かった覚えがある。
 かと言って、小泉氏の様にトップに立て無かったのは、正に天の巡り合わせであり、矢張り天性の楽天家・勉強家・・・所謂、懐疑派的な優柔不断な性格も有るのだろう。詰まり、考え過ぎてしまい即行動とは行かない人の様だ。確か、何かの疑惑を受け、謹慎したか一旦表舞台から去った記憶があるが定かでは無い。
 彼が防衛大臣に為った当時、丁度次男が誕生し、調子者の私は「拓」と名付けた位に、例え自民党でも親近感を覚えて居たものだ。彼が「次期首相」と押す石破氏も私としては異存は無い。残念だが、今の野党が例え一つの党に為っても、万が一多数を取り政権を取ったとしても、旧民主党の様に為りそうなのは間違い無いだろう・・・と、多くの人も同じ思いだろう。オール野党で山本太郎氏を担ぐ位の革新性・冒険性を持た無い限り無理なのだ。







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2019年12月29日

「最強の捜査機関」復権なるか 17年振り政界汚職摘発 敏腕部長に情報集中 政治家側に緩みも




  「最強の捜査機関」復権なるか17年振り政界汚職摘発 

  敏腕部長に情報集中 政治家側に緩みも


            〜産経新聞 大竹直樹 12/28(土) 21:24配信〜

 東京地検特捜部の主な事件

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 長らく本格的な政界捜査から遠ざかっていた東京地検特捜部が、カジノを含む統合型リゾート施設・IR事業を巡る汚職事件で約10年振りに現職国会議員の逮捕に踏み切った。
 権力腐敗の象徴とも云える収賄容疑での逮捕は実に約17年振りだ。「最強の捜査機関」と呼ばれながら、検察不祥事で信頼が地に堕(お)ち、一時は「不要論」迄出た特捜部。今真価が問われて居る。


 【図でみる】IR参入巡る政界汚職事件の構図

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 「牙研いで居た」

 「運動し無ければ筋肉が落ちるのと同じで、国会議員を対象とした事件を遣ら無いで居ると必然的に捜査能力が落ちる。今回の事件は次の独自捜査にも繋がるだろう」元特捜部長の宗像紀夫弁護士は、久々の政界捜査をこう評する。
 特捜部は25日、IR事業を巡り、中国企業から300万円を受領する等したとしてIR担当副大臣だった衆院議員の秋元司容疑者(48)を逮捕した。元特捜検事の高井康行弁護士も「国の重要政策に関わった中心人物が、海外企業に汚染されて居た疑いが発覚した。社会的にも意義がある事件。牙を失ったのでは無いかと思われて居た特捜部が牙を確り研いで居た事を政界関係者にも示せた」と評価する。

 地に落ちた信頼

 特捜部はこれ迄時の権力に度々切り込み「首相の犯罪」を暴いたロッキード事件(昭和51年)や戦後最大級の汚職と言われたリクルート事件(平成元年)等で数多くの国会議員を摘発。「最強の捜査機関」と呼ばれた。
 直近の政界捜査は平成22年当時に政権与党、民主党の幹事長だった小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件。

 特捜部は、陸山会が購入した土地の原資4億円にゼネコンからの資金が含まれ、これを隠す為に政治資金収支報告書に虚偽記載した、と見て小沢氏の立件を目指したが、最高検等の反対で断念。秘書だった石川知裕衆院議員(当時)らの逮捕に留まった。
 実力者だった小沢氏への捜査不発に追い打ちを掛けたのが、同年に発覚した大阪地検特捜部検事による証拠改竄(かいざん)事件。検事が描いたストーリーに沿って証拠を歪める、と云う前代未聞の不祥事で「特捜部不要論」まで浮上した。
 不祥事を受けた検察改革の一環で、特捜部自ら事件を掘り起こす独自捜査専門の「特殊直告班」は2班から1班とされる等態勢が縮小された結果、大型事件の摘発から遠ざかった。

 「絶大な信頼感」

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                 特捜部長 森本宏氏

 転機は平成29年9月、敏腕検事で「事件積極派」として知られる森本宏氏(52)の特捜部長就任だった。就任時に「国民が不公正や不公平と思う様な事件、水面下に隠れて見え無い事件を見付け出し、刑事責任を問う」と意気込みを語った森本氏は、スーパーゼネコン4社によるリニア中央新幹線建設談合や文部科学省幹部の汚職等を次々と手掛けた。
 日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)の逮捕は世界中に大きな衝撃を与えた。そして今回の現職国会議員の逮捕。背景に何があるのか。

 宗像弁護士は「森本氏はリーダーシップがあり、上から『果敢にやれ』と言えば、部下の特捜検事の士気も上がる」と話す。
 森本氏の下で捜査経験のある元検事は「国税当局や証券取引等監視委員会等関係機関に『森本氏なら必ず事件にして呉れる』と云う絶大な信頼感がある。例えば国税が調査に入った際、脱税事件に為ら無くても不審な金の動き等を森本氏に伝えると、それが別の端緒に為る」と明かす。

 森本氏の在任は3年目に入った。近年は1年程度での交代が多い特捜部長の中では異例の長期と為って居るが、高井弁護士は「能力の高い特捜部長の在任期間が長い事も大型事件の摘発に繋がった要因の一つ」と分析する。
 一方、政官財界の不正の監視役を担って来た特捜部が長年低迷して居た事で、捜査対象と為る側の緩みを指摘する見方もある。今回の事件では現金の授受は衆院議員会館にある秋元容疑者の事務所で行われた疑いが持たれて居る。宗像弁護士は「長い間、国会議員を逮捕して居なかったからなのか、大胆で余りに無警戒」と指摘する。

 特捜部は、描いたストーリーに沿って供述を引き出そうとする強引な取り調べが批判され、独自捜査の取り調べも録音・録画の対象と為った一方、新たな武器として司法取引も導入される等捜査を取り巻く環境は大きく変化して居る。
 宗像弁護士は「今後も司法取引等を活用して端緒を掴み、もっと深い所に切り込む捜査をするべきだ」と話して居る。



 【管理人のひとこと】

 東京地検特捜部・・・そう日産のゴーン氏の際に出て来たのを忘れて居た。次から次と目まぐるしく色々な事件が世間を騒がすので頭の整理が着かない。殆どが安倍晋三氏関連の不祥事・・・所謂アベミックスだが、実際はその他にも色々な事件が起きて居たのだ。
 事件は不可解だったり複雑だったりはしたが、殆どは経緯も筋書きも判りそれ為りのストーリーで進み、それ為りの筋道は理解出来る。
 だが、このアベミックスだけは、可笑しな官僚も加わり何が何だか理解不能で、モヤモヤとして後味が悪いから、嫌でも記憶に確りと残る事に為る。その分強烈に多くの人に不快感だけが強く残ってしまうのだろう。
 このアベミックスは、普通の日本語が通じ無かったり常識も正逆も通ら無い異次元の話が通る世界の様で、お伽の国のアベミックス・・・と歴史の教科書にも残る事に為るだろう。イッソ、東京地検特捜部改め「アベミックス特捜部」を作り安倍晋三関連の不祥事を専門に捜査する機関を作ったら如何だろうか・・・











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カジノは本当に地域経済を活性化するのか?議員の先生方は冷静に考える良い機会




 カジノは本当に地域経済を活性化するのか?

 議員の先生方は冷静に考える良い機会



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         〜中村智彦 神戸国際大学経済学部教授 12/28(土) 6:00〜


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         多くの「先生」がカジノ視察に海外に行っているが・・・ラスベガス

 「レッドカーペット」待遇で視察?

 「海外のカジノ視察に行った議員達は、もう浮かれてしまって、こう云うものを是非地元にも作らなきゃいけ無いと言い出してます」と言ったのは、或る若手の地方議員だ。「素晴らしいホテル、カジノ等々で楽しんで、こう云うものが地元に欲しいと」
 
 多くの地方議員や自治体幹部がシンガポールだマカオだとカジノ視察に繰り出して来た。しかし、本当に視察に為って来たのだろうか。ソモソモ「視察」を受け入れる側は、悪い面は見せる事はしない。丁重にお持て成しをし、良い面だけを見て貰って、お帰り頂くのが、世界共通の「おもてなし」だ。美味しい食事、素晴らしいホテル、華やかなカジノ。持て成す側は、接待のプロたちだ。

 筆者は、カジノに限らず「視察」に行く際には、先方による案内は受けるのとは別に、自分達で歩いて見て下さいとお願いをして居る。カジノに関しても「夜中に行ってみましたか?」「VIP用の部屋では無く、一般の人達の場所に案内無く行ってみましたか?」と尋ねる事にして居るが、残念ながら多くの「視察」に行った方達は「そんな時間や場所には行か無かった」と回答する。実際の「賭博場」の風景を見ずに帰って来た人が殆どだ。
 視察に行って持て成される為に、本来見るべき処を見ずに戻って来てしまう。そんな特別である「レッドカーペット」待遇での視察だけで「地元に必要だ」と言い切ってしまって大丈夫なのだろうか。

 都合の良い部分だけ使われる「成功事例」

       12-30-5.jpg シンガポールのカジノ街

 好くカジノ誘致派が成功事例として取り上げるシンガポール。政府主導型のこの国では珍しくカジノ開設に当たっては、反対運動も起こり、可成り長い時間を掛けた議論が行われ、非常に厳しい規制が導入されて居る。

 ソモソモシンガポール政府は「カジノを集客の中心施設」等とは位置付けては居ない。シンガポール政府は、1980年代後半以降、製造業等が周辺のマレーシア、インドネシア、更には中国やベトナム等に移転して行くに従って、金融業、IT産業や観光業の育成に力を入れて来た。
 特に1990年代以降は、観光産業振興と関連して芸術や文化政策にも力を入れて来た。古くからの街並みや観光施設の整備、アート等芸術イベントの開催等を長期間に渡って取り組んで来た。カジノはその中の一つにしか過ぎ無い。
 こうした事実関係や経緯を全く無視して「シンガポール=カジノによって成功した国」と云う短絡的な解釈をし、カジノコソが地域経済活性化の鍵だと理解するのは間違いだ。








 外国人観光客により一層、金を落とさせる装置

 この様に話をすると、直ぐに「お前はカジノ反対か、ジャあパチンコはどうなんだ」と批判して来る人が居る。筆者は、カジノに付いて反対では無い。しかし、条件付きだ。
 「外国人観光客により一層、金を落とさせる装置」として為らば賛成するが「自国民を主要顧客としようとする」カジノには反対だ。勿論カジノ以外のギャンブルも批判的に見て居る。因みに、今回起こった事件で、日本へのカジノ進出は、今迄一般で言われて来たこととは異なり、実はパチンコ関連業界に取っても新たなビジネスチャンスと為る事が、ヤッと多くの人に理解されたのではないだろうか。

 サテ、先のシンガポールの例を見てみよう。シンガポール政府は、自国民の入場を厳格に制限して居る。中心部からのカジノ直行バスを調査して、観光客の利用が少ないと見ると即廃止を決めたり、家族からの通報窓口を充実させ、問題有りと判断されれば入場禁止させる等、自国民がカジノに通う事を厳しく規制して居る。
 こうした方針は、政府によって明確に打ち出されて居る。例えば、入場料だが、外国人観光客はパスポート持参で無料だ。しかし、シンガポール国民や永住権者は、150シンガポールドル約1万2000円、入場回数無制限の年間入場パス3000シンガポールドル約24万円と非常に高額だ。

 実は、この入場料は、今年2019年4月迄夫々100シンガポールドル約8000円2000シンガポールドル約16万円だった。値上げしたのは、自国民入場者が増加したからでは無い。寧ろ逆でカジノが開業した2010年と2018年を比較すると、国民のカジノ入場者数は半減した事を成果だとして、更に自国民の入場者数を減らそうと云うのだ。

 3年毎に社会家庭発展省の国家賭博依存症評議会(NCPG)(注1)が実施する賭博参加調査でも、ギャンブル依存症が疑われる人の割合は、11年の2.6%から17年の0.9%へと低下して居る。それでも5月のシンガポール議会でジョセフィン・テオ内務副大臣は、年間入場パスでの入場者には富裕層が多く来場回数が多く為って居る事から、更なる値上げを検討して居ると述べて居るのだ。
 こうした厳しい姿勢から、シンガポール政府が自国民に取ってのカジノがどう云う施設として評価して居るか理解出来るだろう。

 自国民の入場料は6千円で、週3回もカジノに通えるものとしようとして居る我が国政府や「ギャンブルは、生活に問題が生じ無い様金額と時間の限度を決めて、その範囲内で楽しむ娯楽です」などと止めて居るのか勧めて居るのか判らない文言のリーフレットを高校生に配布して居る日本の某自治体と、シンガポール政府の姿勢は大きく異なって居る。
 自国民を出来る限りカジノから遠ざけ、外国人観光客により一層の消費を行わせる為の装置として割り切って居るシンガポールから学ぶべき事は多い。









 実は非常に厳格な管理を行い、犯罪者には厳しいシンガポール

 心静かにお考えください

 地域経済の活性化と云う観点で見れば、ソコには付加価値を持つ製品が作られる事も無ければ、イノベーションを生み出す発明や企画が生まれる事も無い。観光産業の集客施設の一つではあり、外国人の消費金額引上げには一定の効果が見込めるにしても、将来に向けての国や地方の経済活性化の「エンジン」と為るとは言い難い。
 各国の富裕層を魅了する観光コンテンツを磨き上げ、その上で彼等により多くの金を消費させる装置がカジノでありその逆では無い。

 今回、明らかに為って居る事件の様に外国企業が日本の政治家を巻き込んでの参入合戦を起こすのは、運営に関係する企業が巨額の利益を得る事が出来るからだ。詰まり、それは日本から海外に巨額の利益を流出させる事を意味して居る。
 それでも、シンガポールの様にその利益が海外から、詰まり外国人観光客から得られる様にするの為らば、輸出と同じプラス効果があるだろう。しかし「カジノ進出を希望する外国企業が外国人観光客だけでは利益を上げられ無い」と言って居るから「自国民である日本国民も気軽にカジノに行ける様にする」と云うのであれば、経済政策の点からも本末転倒だ。

 更に、アノ犯罪に厳しいシンガポールですら、カジノに関連する犯罪が起きて居る。シンガポール政府は詳細を発表して居ないものの組織的な犯罪も開業以来20件程起こって居り、被害額の最高額は130万シンガポールドル約1億400万円だ。本格的に外国企業や外国人が日本国内のカジノ運営に参入すれば、今回、発覚した事件等、将来的には氷山の一角でしか無いだろう。

 海外のカジノ視察に行き、その素晴らしさに心を奪われた議員や地方自治体の幹部職員の皆さんは、マカオやシンガポールでの「レッドカーペット」の思い出だけでは無く、シンガポール政府のカジノ政策、更に地域経済政策全体から「マイナス部分」や「対策を行うべき点」等を学ぶことが大切だ。
 賛成派を続けるにしても、カジノ業者に貰った美しい資料だけで判断せず、せめて「カジノが本当に地元に利益をもたらす為にはどうすべきなのか」「自国民が自国で楽しめるカジノ為るものが、本当に国益に合致して居るのか」事件の発生を良い機会として、この年末年始、もう一度心静かに考えてみて欲しい。


 ☆注1 シンガポール国家賭博依存症評議会(NCPG)All copyrights reserved by Tomohiko Nakamura2019 Don't PICK , Please.

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 中村智彦 神戸国際大学経済学部教授 1964年生まれ。上智大学を卒業後、タイ国際航空株式会社、PHP総合研究所を経て、大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務。2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得)。その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て、神戸国際大学経済学部教授。総務省地域力創造アドバイザー、愛知県愛知ブランド審査委員、山形県川西町総合計画アドバイザー、山形県地域コミュニティ支援アドバイザー、向日市ふるさと創生計画委員会委員長などの役職を務める。営業、総務、経理、海外駐在を経験、公務員時代に経済調査を担当。企業経営者や自治体へのアドバイス、プロジェクトの運営を担っている。

         officetn official site 中村智彦研究室    以上







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