アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2019年11月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2019年11月30日

ヒトラーに信長 独裁者の「人を動かす技術」を暴く



 ヒトラーに信長 独裁者の「人を動かす技術」を暴く


           12-1-7.jpg

 『独裁者達の人を動かす技術』 



           〜真山知幸著 すばる舎 2018.11.5 5:14〜

 〜「独裁者」と云う言葉から、どの様な印象を受けるだろうか。民衆を虐げ、敵対するものが居れば躊躇無く排除し恐怖で人々を支配する・・・そんな冷血で残虐な人間を思い浮かべるかも知れ無い。しかし本書『独裁者達の人を動かす技術』の著者によれば、独裁者達は人々を自発的に動かす為に「真っ当なリーダーシップ」を発揮して居たと云うのだ。
 独裁者達は民衆や臣下から熱烈な支持を集めるだけで無く、誤った方向へ舵を切って居る時でスラ誰にも止められ無い程の推進力を生み出す。彼等は如何にして生まれ支持を得るのか。本書では、古今東西の独裁者達の言動を詳述し、彼等の「人を動かす技術」を暴いて行く〜



 勿論、独裁者達の行った虐殺や暴力支配を肯定する事は出来無い。しかし、自分の思う様に事を運ぶ為に彼等が採った緻密な戦略の数々は驚きに値する。本書を読めば、人を従わせる為に必要なのは恐怖だけでは無いと云う事が好く判るだろう。
 著者が「人間の魅力は日々の言動の積み重ねだと気付かされた」と言う程、独裁者達が実現して来た熱狂の裏には弛まぬ努力があったのだ。独裁者達が用いたテクニックは一朝一夕に取り入れられるものばかりでは無いが、リーダーシップを発揮したいビジネスパーソンに良いヒントを与えて呉れる事だろう。(池田明季哉)

 本書の要点

 (1)独裁者達は、恐怖で民衆を支配するだけでは無かった。頼り甲斐のあるリーダーを演出し、大衆の支持を得られる様に戦略的に動いて居た。
 (2)配下の承認欲求を満たすには、優秀な人材を集めて気に入ったものを抜擢し、自分にもチャンスがあると思わせて全体の士気を高める事、ポジションを与える事が出来無い者に対しても別の報酬を与える事が有効だ。
 (3)人の心を動かす為に、独裁者達は自分の見た目に拘って居た。特に重要なのは、ハツラツとした若々しさである。








 要約本文【必読ポイント!】

 ◆心を掴む技術 ◇弱者に寄り添う
 
 独裁者は、必ずしも弱者の敵だと云う訳では無い。多くの独裁者が弱者救済の為の政策に取り組んで居る。アドルフ・ヒトラーが政権を握った時、ドイツの失業率は40%に達して居た。しかしヒトラーが抜本的な対策を講じた結果、僅か4年でホボ完全雇用を達成する事と為る。ドイツはその頃、第一次世界大戦に敗北し、多額の賠償金を払わざるを得なかった。そんな状況下、ドイツ国民は益々熱狂的にヒトラーを支持する様に為って行ったのだ。

 日本の独裁者、織田信長にも又、弱者に寄り添う心があった。彼は比叡山の焼き討ちや長島一向一揆での火攻め等、激しい宗教弾圧を行った人物である。しかし信長は、物乞いをする身体障害者を不憫に思い、町の人達に彼の世話をする様頼んだ事もあった。木綿20反を渡した上で、それを売った費用の半額を使って助けて遣って欲しいと云う具合に指示を出したと云う。これ等は、弱者に寄り添う事で頼り甲斐を演出し、信頼を獲得すると云う独裁者達の戦略のひとつだ。

 ワンフレーズを繰り返す 

 民衆は理解力に乏しく忘れっポイ。だから独裁者達は、印象的なワンフレーズをシツコイ程繰り返すと云う手法を採る。
 独裁者では無いが、日本でもこの手法を使った政治家が居る。小泉純一郎だ。彼は「私が自民党をブッ壊す!」と強いメッセージを発信して居た。バラク・オバマが繰り返した「Yes We Can」にも同様の狙いがあったのだろう。

 ヒトラーが使ったのは「全ての労働者に職とパンを!」と云うフレーズだ。彼は大衆の理解力を全く信用して居無かった。小難しく述べるよりも、判り易いフレーズを只管繰り返す事が重要だと冷酷に分析して居たのだ。老若男女に思いを伝え、彼等彼女等から支持される為には、要点を絞り、短く判り易いフレーズを何度も繰り返す必要があると言え様。
 ワンフレーズの力は、マネジメントにおいても注目を集めて居る。アメリカのスポーツ界で生まれた「ペップトーク」だ。これは、監督等が試合前の選手達を鼓舞する為に行う短いスピーチで、選手達の士気が格段に上がる事が報告されて居る。転じてビジネスの現場でも、上司が部下のモチベーションを上げる為にペップトークを実践する様に為って居ると云う。

 ◆奮い立たせる技術 ◇抜擢する
 
 独裁者達が自らの野望を実現する為には、人の心を掴むだけでは足り無い。配下には、野望の実現の為にバリバリ働いて貰わねば為ら無いのだ。その為に必要なのは、彼等を奮い立たせる事である。
 人材育成に心を砕いたのが織田信長だ。農民の出身でありながらも政治工作の才があるとして、豊臣秀吉を重用した。才能を認められた秀吉は、信長の期待に応えるかのごとく主君亡き後に天下人と為った。信長は、人種すら気に留め無かった。信長の家臣であった「弥助」は、アフリカのモザンビーク出身であったと云う。出自よりも能力を重視する彼の様子を見た臣下達は「自分にもチャンスがある」と奮起したに違い無い。

 人材を登用したら、彼等のモチベーションを維持し、長く働いて貰わねば為ら無い。その為に効果的だったのが「抜擢」である。夫々に相応しいポジションを与える事でモチベーションを上げ、支配して居たと言える。

 功績を称える

 抜擢は効果的だが、全ての人間を出世させる事は出来無い。かと云って、人材を大切にして居ないとサボタージュされてしまう可能性がある。そこで重要に為るのが功績を称える事だ。

 古代ローマの独裁者、カエサルの例を挙げ様。彼は、自らが執筆した『ガリア戦記』や元老院の報告書に部下の功績を明記して居た。誰かを高く評価して居る事が周りの人間にも伝わる様にして居たのだ。
 織田信長も又、優秀な配下に褒美を与えて居た。彼が贈って居たのは茶器である。茶器の価値を浸透させる為に茶会を開いたり、許可無く茶会を開く事を禁じたりもした。その結果、配下達は、茶器を得る為に活躍しようとしたのだ。
 カエサルや信長がして居た事は、現代で言う「承認」だろう。独裁者達は、只見返りを与えるだけでは無くアラユル手段で配下を「承認」し、彼等のモチベーションを上げて居たのだ。







 ◆自分を魅せる技術 ◇見た目に拘る

 ヒトラーは、演説によって民衆の支持を獲得して行った。その演説の中には、労働者や中産階級、愛国者、インテリと云ったアラユル人の心に響く内容が含まれて居たと云う。
 そんなヒトラーが演説の内容以上に拘ったのが、演説をして居る自分の見た目だ。無名の頃から鏡に向かって演技の練習をして居た程である。更に、友人のカメラマンに依頼し、演説中の自分の姿を様々な角度から撮影させても居た。身振り手振りを研究し、民衆に取って頼もしく見える様に工夫を重ねて居たのだろう。
 彼は又、自分の好感度に関わる要素として、自分を護衛する私設警護部隊の見た目にも拘ったと言われて居る。外見と身長の基準を設け、その基準をクリアした者だけを側に置いて居た。

 ギャップを見せる

 話し方や見た目で自分のイメージを確立しても、大衆はヤガテそれに慣れてしまう。彼等に刺激を与え、自分の人間性に深みを持たせる為に効果的なのは、意外な一面を見せる事だ。そうすれば、自分のイメージを壊す事が出来る。
 ヒトラーは或る村に立ち寄った際、或る少女と知り合った。その日は少女の誕生日だった。するとヒトラーは、自ら車を運転して他の村に行きオモチャやケーキ等を買い込んで来たと云う。その他にも、秘書にプレゼントを欠かさ無かったり側近に気を遣ったりと、独裁者としての彼からは想像出来無い程の優しさを見せて居た。

 人はギャップを見せられると、そちらが本質だと思い込んでしまうものだ。独裁者としてのイメージが強い分、こうした意外性が大きな効果を発揮して居たのだろう。

 若々しさを保つ
 
 政治の世界においては、若々しさが功を奏す事がある。第35代アメリカ合衆国大統領のジョン・F・ケネディは、1960年の大統領選でリチャード・ニクソンに勝利した。テレビ討論会で見せた若々しさが勝利の決め手だったと言われて居る。
 ケネディは、テレビ用のメイクアップを施してテレビ討論会に臨んだ。一方のニクソンは病み上がりで、顔色が悪かったにも関わらず、メイクアップの申し出を断って居る。ニクソンがメイクアップを断ったのは、内容の方が重要だと考えて居たからだろう。実際、ラジオで討論を聞いて居た聴衆達は「ニクソンが勝った」と思った程、討論ではニクソンの方が優れて居たそうだ。
 しかし蓋を開けてみると、勝利したのはケネディだった。映像を観た視聴者に取っては、若々しくハツラツとしたケネディの方が大統領に相応しく見えたのだ。実力よりも見た目が勝敗を分けたと言え様。

 ◆人を操る技術 ◇厳しい姿勢を見せる

 独裁者達は、ココぞと云うタイミングでは強硬手段も辞さ無い。人を従わせる為に恐怖を利用する事も多かった。
 ソ連のヨセフ・スターリンは、集団農業体制により、農村から穀物を調達しようとして居た。しかし農民達が反発し調達が思う様に進ま無い。スターリンは様々な緩和政策を講じたが事態は好転し無かった。そこでスターリンは、食糧を盗んだ者は容赦無く投獄若しくは銃殺刑に処する事にしたと云う。
 ルーマニアのヴラド・ツェペシュは、もっと厳しかった。窃盗や虚言が露呈するとスグサマ死刑としたのだ。盗人を鍋で煮て殺し仲間達に食べさせると云う刑に処す事もあった。この厳しさは、対象が部下であっても同じく発揮された。命令を遂行出来無い部下は串刺しの刑にされてしまったそうだ。浮気をした人妻や淫らな振る舞いをした女性も同じく串刺しの刑だった。その甲斐あってか、ワルキア国の治安は好転したそうだ。

 織田信長も又、冷酷な判断を下す事があった。彼は父の代からの忠臣である佐久間信盛を本願寺攻めの最高責任者に選んだが、5年に渉って戦線が停滞すると、信盛を高野山へ追放してしまう。長らく仕えた重臣であっても追放されると云う事実は、他の者の気を引き締めさせるのに十分だっただろう。

 裏切りを許す

「罰を科すこと」と「裏切りを許すこと」。これらは矛盾するように見えるかもしれない。しかし実際には、独裁者たちの統治にとってアクセルとブレーキのような役割を果たしている。

 魏王・曹操は、「徐州大虐殺」を行ったことで知られている。これは、徐州に逃れていた父が殺されたことをきっかけに怒りを爆発させ、徐州へ兵を向けて暴虐の限りを尽くしたというものだ。そんな彼は、意外にも裏切りに寛容な面を見せている。

 最大のライバルである袁紹を撃破したとき、曹操の軍勢は相手方の10分の1程度であった。曹操の敗北を予想した人が大半であったが、袁紹軍の兵糧庫への奇襲作戦が功を奏し、曹操軍が奇跡的な勝利を遂げたのである。これに驚いたのは曹操の家臣達だ。彼等は曹操が敗れるものと思い袁紹に書状を送って居た。袁紹軍本拠地が陥落すれば書状も発見されてしまう。裏切った臣下達は処刑を覚悟して居た事だろう。
 しかし曹操は、意外にも裏切りを許した。「私でさえ勝てると思って居なかったのだから仕方が無い」と言い、臣下達の手紙を焼いてしまったのだと云う。怒りに任せて処罰する一面と、処罰を覚悟する人間を許す一面。自分が生殺与奪の権利を握っていることを臣下に理解させ、アメとムチを使って忠誠を誓わせるという戦略だったのだろう。







 ◇相手を油断させる

 新聞記者は、予告無く早朝や深夜に訪問し、相手の不意を突く事がある。独裁者も同じ様に、相手が油断して居る時を狙い、相手を思い通りに操るのだと云う。

 キューバの独裁者、フィディル・カストロは、早朝4時に会議を開く様にして居た。相手を不利な状況に追い込む為、人間の思考が働き難い時間帯を意識して異だのだろう。参加者達は、何が何かも判ら無い内に、カストロに丸め込まれてしまうと云う訳だ。
 ヒトラーも同じ様な戦略を取って居た。彼が好んだのは夕方の演説だ。人は夕方に為ると徐々に思考力が落ちて行く。「夕方に為れば、他人の支配的な力にも従順に為り易い」と云う理由で夕方を選んで居たと云う。独裁者達は、何時も力を使って屈服させて居る訳では無い。相手を上手く操る為の工夫を重ねて居たのだ。

 一読のすすめ

 本書では独裁者達が用いた22の手法が詳述されて居るが、その手法は決して目新しいものばかりでは無い。しかし単純な手法であっても、徹底する事は存外難しいものである。独裁者達はその様な努力を怠ら無かったからコソ、歴史に名を残したのかも知れない。
 独裁者としての彼等の所業は、多くの人を傷着けた。しかしそれが可能だったのは、彼等を支持する人達が居たからだ。彼等の手法と不断の努力には、現代のビジネスパーソンにも学ぶ処があるだろう。
 

 著者情報 真山知幸(まやま ともゆき)
 
 著述家 著作に『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』(共に学研)『ざんねんな名言集』(彩図社)『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(星海社新書)『不安な心をしずめる名言』(PHP研究所)『大富豪破天荒伝説 Best100』(東京書籍)、監修に『恋する文豪(日本文学編・海外文学編)』(東京書籍)『文豪聖地さんぽ』(一迅社)等 共著に『歴史感動物語 全12巻』(学研)。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義 宮崎大学公開講座では講師を務めた
















ヒトラーが台頭した時代と酷似する現代 その本当の恐ろしさとは



 

 ヒトラーが台頭した時代と酷似する現代 その本当の恐ろしさとは

        〜ダイヤモンド・オンライン 11/29(金) 6:01配信〜


     12-1-6.jpg 舛添要一氏

 〜SNSを駆使して過激発言を連発するトランプ大統領 何故大衆を惹き付けるのか ヒトラーに付いて現代人は学ぶ必要がある。前東京都知事の舛添要一氏が『ヒトラーの正体』 (小学館新書)を出版した。自身の経験も織り交ぜながら、明快な文章で独裁者ヒトラーの実像に迫る入門書だ。長年に渉りヒトラーを研究し続けて来た舛添要一氏に、何故ヒトラーに付いて知ら無ければ為ら無いのか語って貰った(清談社 村田孔明)〜 


  ヒトラー研究は 政治学者の原点だった

 ヒトラーに付いて「独裁者・ユダヤ人の大虐殺・親衛隊」と、断片的なワードを知って居る人は多い。しかし全体像を把握 人は意外に少ないのではないか。実は舛添氏も 過ってはそうだったと云う。

 「初めてヒトラーに興味を持ったのは1965年公開の映画『サウンド・オブ・ミュージック』オーストリアの退役軍人の家族がナチスから逃れる為に、徒歩で山を越えてスイスに亡命するストーリーです。主演ジュリー・アンドリュースの美声と豊かなアルプスの自然に魅せられ、ヨーロッパへ留学する切っ掛けにも為りました。多感な高校生の時に見た事もあり、ヒトラーが憎くてしょうが無かったですね」(舛添氏)

 処が30歳手前の頃、留学先のミュンヘンで下宿屋の小父さんから「ヒトラーの時代が一番好かった」と告げられた。

 「下宿はアメリカの研究者が多く、日本人は私だけでした。70歳位の親父は『ヤパーナー(日本人)一寸来い』と、私をお茶に誘って呉れる。日本とドイツは同じ枢軸国だったので気に入って呉れたみたいで、古いアルバムを開いて『俺の人生の中で、ヒトラーの時代が一番好かった』と嬉しそうに話をして呉れたんです。
 ミュンヘン郊外にはダッハウ収容所跡があり、見学する度に余りにも悲惨なユダヤ人虐殺の歴史を教えて呉れました。それなのに下宿に戻れば、親父はヒトラーが好かったと云う。このギャップがズッと頭から離れませんでした」

 
 それから50年間近くヒトラーの研究を続けて来た舛添氏だが、何故今に為って、専門書では無く入門書と云う形で発表したのだろうか。

 「子供が大学生と高校生に為りました。父として、子供達が社会に出る前に、どうしてもヒトラーの事を語り聞かせたかった。民主主義の対極は独裁です。それなのに民主主義から独裁者が生まれてしまった。この歴史を知ら無ければ民主主義は守れません。現代はトランプ大統領の誕生、ブレグジット、移民排斥を主張する極右政党の躍進等、世界中でポピュリズムが広がって居る。ヒトラーが誕生した時代に似て来て居ます」

 何故ヒトラーがノーベル平和賞候補に為ったのか

 もしヒトラーが第2次世界大戦前に死んで居たら「ドイツ史上最も偉大な宰相に為って居た」と舛添氏は分析する。

 「ナチスの正式名称は『国家社会主義ドイツ労働者党』です。ヒトラーの率いたナチスは右翼政党と思われて居ますが、政治手法は左翼のポピュリズムそのもの。労働者の為の政策を次々と打ち出し、熱烈な支持を受けました」

 第1次世界大戦に敗れたドイツは、国内総生産(GDP)の約20倍に及ぶ賠償金に苦しめられる。そこに1929年のウォール街大暴落に端を発した世界恐慌が重なり、1933年にヒトラーが政権を執る頃には、ドイツ全土に大量の失業者が溢れ返って居た。

 「ヒトラーはアウトバーンと呼ばれる高速道路等の公共事業を推進し、僅か3年で600万人居た失業者を完全雇用状態にしました。天文学的だったインフレの抑制にも成功し経済は安定します。今で言う働き方改革も行い、労働時間を8時間に制限し長期休暇も取得し易くした。財形貯蓄の制度を整え、大型客船で労働者を海外旅行にも連れて行ったのです」
 
 外交でもヒトラーは手腕を発揮する。

 「ヒトラーは戦争で失った土地を外交と国民投票で次々と取り戻しました。自信と誇りを回復した国民は更に熱狂します。そして1938年のミュンヘン会談では、これ以上の領土は求め無いと声明を出し、戦争を回避したとノーベル平和賞の候補にも為ったんです。最も、この声明はイギリス・フランスを欺いたもの。詰まり、ヒトラーは約束を守る積りは無かったのですが」
 
 着々と積み上げる業績の裏で、ヒトラーは独裁体制の強化と戦争の準備を進め、ユダヤ人や障害者、同性愛者等への激しい迫害も徹底して行う様に為ったのだ。

 トランプ大統領・ブレグジット・・・ 世界各地のミニ・ヒトラー現象
 
 舛添氏は、現在の国際情勢はヒトラーが誕生したドイツに似て居ると危機感を募らせる。

 「ベルリンの壁が崩壊して30年。ライバルが居なく為った資本主義は、リーマンショック、タックスヘイブンと遣りたい放題で、格差も広がって行くばかりです。過つてのドイツの様に職が見付から無い、働いても報われ無いと、世界各地で人々が自信を失い、自国第一主義・移民排斥を主張するミニ・ヒトラーに投票する。そして、そんな大衆の不満の捌け口に利用されるのが移民です。ユダヤ人がスケープゴートにされたのと同じ構造ですよ」
 
 更にヒトラーの編み出した宣伝活動は、SNSの登場でより効果的に為って居る。

 「ヒトラーは『真実で無くても、自分だけを一方的に褒め、責任は敵に負わせる事』が宣伝の主眼だと述べて居ます。まさにトランプ大統領がSNSでフェイクニュースを拡散させる手法です。『パンとサーカス』を求める大衆も真実かどうかは気にせず、面白いものなら受け入れてしまう。『ウソは大きければ大きい程好い』ともヒトラーは言って居ます。日本でも『NHKをぶっ壊す』『消費税廃止』としか言って居ない政治家に、面白そうだと思って投票した人が相当数居たのではないでしょうか」
 
 舛添氏は「ヒトラーを正しく知ら無ければ、再びヒトラーの様な独裁者が現れたとしても恐れる事も出来無い」と、ヒトラーの本当の恐ろしさを訴える。


             村田孔明  
  
     つづきは・・・ヒトラーに信長 独裁者の「人を動かす技術」を暴く












2019年11月29日

コーカサス三国 アゼルバイジャン・ジョージア・アルメニア 春か秋に旅したいエリア




 コーカサス三国 アゼルバイジャン・ジョージア・アルメニア 

 夫々複雑な歴史を持つが 治安は好くワインや料理も美味しく 春か秋に旅したいエリア


 




        11-29-44.jpg 橘玲氏



       〜ダイヤモンド・ザイ 橘玲の世界投資見聞録 11/29(金) 21:00配信〜


        11-29-30.jpg

               コーカサス山脈(ジョージア)   


 イランを旅した後、6泊7日の旅程でアゼルバイジャン・ジョージア・アルメニアのコーカサス三国を訪れた。余り知られて居ないが(と云うか私も知ら無かったが)、イランとアゼルバイジャン・アルメニアは国境を接して居て、テヘランからアゼルバイジャンのバクー迄は1時間20分のフライトだ。
 テヘランからアルメニアのエレヴァンへのフライトもある様だが、これはイランの航空会社が就航して居るので詳細は好く判ら無かった。

 コーカサスCaucasusはロシア語で「カフカス」とも呼ばれ、黒海とカスピ海の間を東西に走るコーカサス山脈一帯を指す。古来、コーカサス山脈がヨーロッパ・北コーカサスとアジア・南コーカサスの境界とされて来た。現在、北コーカサスはロシア領で、コーカサス三国は南コーカサスに位置する。


    11-29-31.png


 コーカサスを巡る複雑な歴史に付いては改めて述べるとして、忘れ無い内に旅の感想を書いて置きたい。

 コーカサス三国は民族の興亡で領土が複雑に入り組んで居る

 南コーカサスはメソポタミア文明の周縁に位置し、紀元前はアケメネス朝ペルシアの一部だった。その後、黒海南岸に入植したギリシアの影響を受け、ローマ・ビザンチン帝国の支配下に為った後、支配者はオスマン帝国に変わり、ヤガテ北からロシア帝国が進出して来る。

 大国の利害衝突の影響を受け、アゼルバイジャン北・ロシア・ソ連南・ペルシア・イランに分断され、本国の1000万人よりも多い1500万とも2000万とも言われるアゼルバイジャン人がイラン北部に暮らして居る。
 アルメニア東・オスマン帝国・トルコ西・ロシア・ソ連に分断され、19世紀末にはオスマン帝国領内からの強制移住の悲劇に見舞われた。

 コーカサス三国の旅で先ず頭に入れて置かなくては為ら無いのは、民族の興亡で領土が複雑に入り組んだ結果、旅のルートに制約がある事だ。ナゴルノ・カラバフを巡る領土問題でアゼルバイジャンの国土の約2割をアルメニアが実効支配して居り、両国の間に国交は無く陸路でも空路でも行き来出来無い。
 その為、三国を周遊しようとすれば、ドチラの国とも国境を接するジョージアを間に入れて「アゼルバイジャン〜ジョージア〜アルメニア」或は「アルメニア〜ジョージア〜アゼルバイジャン」の何れかのルートを選ぶ事に為る。

 アゼルバイジャンのバクーとジョージアのトビリシ間は、アゼルバイジャン航空が1日2便の定期便を就航して居て所要1時間10分。夜行列車も在って、これは格安旅行をする人達に人気が高い。夜9時50分にバクー駅を出発し午前7時から10時の間に入国・出国審査をし、11時にトビリシ駅に到着する13時間の旅だ。マイクロバスで国境を越える事も出来るらしいが、これは更にディープなバックパッカー向けだ。

 それ以外だと、バクーからトビリシ迄ドライバーと車をチャーターする事も出来る様だ。ジョージアの業者に聞いたら約8時間で費用は300ドルと言われたから、2人なら飛行機と殆ど変わら無い。夜行列車では外は暗闇で、マイクロバスを使うのは難易度が高いから、景色を見ながら旅したいなら一考の価値はありそうだ。
 ジョージアのトビリシとアルメニアのエレヴァンの間は、1日1便の定期便が就航して居て所要30分。所要6時間のマイクロバスは1日5便出て居て、約1000円と安い事もあって広く利用されて居る。但し予約は出来ず、満席に為ると2時間後の次のバスを待た無くては為ら無い。

 最初はマイクロバスで国境を越える予定だったが、前日に観光で車をチャーターした時「それはバックパッカーが遣る事で、君みたいな旅行者はマイクロバスは使わ無いよ」と言われ、それもそうだと思って、彼のプリウスの車でエレヴァンのホテル迄連れて行って貰った。車窓から景色を眺めながらの快適な旅で200ドルだから、矢張り2人なら飛行機代とホボ同じだ。

 ジョージアとアルメニアは日本人旅行者はビザ免除で、アゼルバイジャンのみビザ・ASAN VISAが必要だが空港で無料で取得出来る。入国審査の手前にATMの様なマシンがあって、そこでパスポートをスキャンし、ホテルの住所やメールアドレス・電話番号等を入力するとビザがプリントアウトされる。
 係員が丁寧に教えて呉れるので手続きは簡単だ。但し、陸路で国境を越える際は、入出国の審査で1〜3時間位掛かる事がある。

 アゼルバイジャンの通貨はマナト(1マナト≒64円)ジョージアはラリ(1ラリ≒36円)アルメニアはドラム(1ドラム≒0.23円) 何処でもクレジットカードが使えるから多額の現金は必要無い。
 空港のATM等では現地通貨と米ドルが選択出来る様に為って居り、ドルも広く流通して居る。土産物店や旅行会社では、ワザワザ現地通貨を下ろすより米ドル現金で支払った方が便利だ。







 アゼルバイジャンは最も開放的なイスラーム国家

 アゼルバイジャン国民の95%がムスリム(シーア派85%・スンニ派15%)だが、ソ連時代が長かったからか世俗化が進んで居て、首都バクーではヒジャブ姿の女性は2〜3割しか居ない。
 テヘランからバクーに向かうと、飛行機が離陸した途端女性達がヒジャブを取ってバッグに入れる姿を目にする事に為る。ソ連時代の(好い)影響だろうが、女性の就労率も高く、建設現場で働く女性も見掛けた。これは流石に珍しいと思うが、ホテルのロビーでミニスカート姿の女性を見た時は驚いた。

 空港の入国審査と出ると行き成りワインがズラリと並んだ店がある様に、アゼルバイジャンはワインの産地としても有名。深夜にバクーに着いたのだが、ホテルのバーは24時間遣って居た。ドバイの様な「開放的」なイスラームの都市でも一般のレストランは酒類を出さ無いし、外資系のホテルでも、テラス席の様な外から見える所では飲酒出来無い。
 アゼルバイジャンはこうした制限は一切ナく、地元の人もカフェのテラスで当たり前の様にワインを楽しんで居る。

 アゼルバイジャンは旧ソ連から独立後、カスピ海の石油や天然ガスによって資源バブルに湧き、バクーには高層ビルや高級ホテルが次々と建てられた。そんなユーフォリアの中で人々の意識や価値観も変わったのだろうが、イランからアゼルバイジャンに来るとその落差に愕然とする。
 アゼルバイジャン観光は、今の処カスピ海に面したバクーとその周辺が中心で、地方迄足を延ばす旅行者は多く無い。旧市街にはシルヴァンシャフ宮殿、ムハンマド・モスク、乙女の塔の3つの世界遺産があり徒歩で回れる。

      11-29-32.jpg

 シルヴァンシャフ宮殿は15世紀から16世紀に掛けてこの地を支配して居た一族の宮殿で、霊廟や浴場跡等の建物が複雑に配置されて居る。宮殿に隣接するムハンマド・モスクは11世紀に創建された城内最古のミナレットを持つモスク。

           11-29-33.jpg

 乙女の塔は「グズガラスゥ」とも呼ばれるバクーのシンボルで、紀元前5世紀に拝火教・ゾロアスター教の寺院として最初の塔が建てられたとも云う。その後、要塞として使われ12世紀に現在の高さ30メートルの塔が建てられた。
 塔の名前の由来は諸説あるが、望ま無い結婚を強いられた王女がこの塔から身投げしたからとも伝えられて居る。塔の最上部の展望台からはカスピ海が一望出来る。

 私は2018年のロシア旅行でソチとクリミア半島のセバストポリを訪れて初めて黒海を目にしたが、ロシア・イラン・カザフスタン・トルクメニスタン・アゼルバイジャンの5カ国に囲まれたカスピ海を一般の旅行者が見る機会は更に少ない。
 ロシアのカスピ海沿岸にはリゾート地は無いし、イラン・カザフスタン・トルクメニスタンは自由な旅行が難しいから、今の処世界最大の湖(国際法上は2018年に「海」とされた)を眺めるのはバクーが一番現実的だ。

 イランでは日本人旅行者に会う事は無かったが、アゼルバイジャンでは若い日本人のカップルや女性の旅行者を見掛けた。カップルからは、カスピ海を背にした記念写真を頼まれた。若い人達の間でカスピ海が人気なのだろうか。

 バクー郊外には油田地帯が広がっており、その中に拝火教寺院がある。古代アゼルバイジャンはペルシアの支配下にあり、過つてはゾロアスター教が信仰されて居た。イスラーム到来によって信者の多くはインドに移住したが貿易等で関係は続き、17世紀にこの地に住んで居たインドのゾロアスター教徒の商人によって寺院が建立された。そんな由来があるからか、インドからのツアー客が沢山訪れて居た。

         11-29-34.jpg ヤナル・ダク

 寺院の近くには、1950年代に羊飼いが捨てたタバコの火が地表から漏れ出た天然ガスに引火し、そのママ燃え続けるヤナル・ダクや、12カ国共同開催と為ったユーロ2020・UEFA欧州選手権の会場と為るスタジアム等の観光スポットがある。全て回って車で3時間程で、タクシーをチャーターして2000〜3000円だ。訪れては居ないが、バクーの南西50キロ程の処に、世界遺産に指定されて居る石器時代の遺跡群ゴブスタンがある。

           11-29-35.jpg 遺跡群ゴブスタン







 NATOとEUへの加盟する為英語読みと為った「ジョージア」

 ジョージアGeorgiaは日本ではロシア語読みで「グルジア」と呼ばれて居たが、2015年に国名を英語読みに改めた。アメリカのジョージア州と同じに為って一寸紛らわしいが、これには止むを得無い理由がある。

 黒海に面するコーカサス南麓のジョージアは古来、様々な民族が暮らして居た。ソ連崩壊に伴ってコーカサス三国が独立した際、民族間の利害対立が表面化し、黒海沿岸のアブハジアと北部山岳地帯の南オセチアが、ロシアの援助を受けて事実上独立し未承認国家と為って居る。
 2008年の北京オリンピック開幕と同時期にロシアとの間で激しい戦争状態に為った南オセチア紛争では、ジョージア側に大きな被害が出た事から両国の関係は険悪に為り、その後、ジョージアは「最も東のヨーロッパ」としてNATOとEUへの加盟を目指す事に為る。これが、世界各国に国名を英語読みで統一する様要請した理由だ。

 一方、アブハジアが事実上独立したのは、ソ連崩壊後の1994年で、その後、和平交渉も進ま無いが戦闘も無い事から状況は比較的安定して居り、旅行者がジョージア側から訪れる事も可能な様だ。但しロシア側に抜ける事は出来無い。
 首都のトビリシはムトゥクヴァリ川の谷間に開かれた町で、観光地は旧市街に集まって居るので、半日もあれば徒歩で回れる。後はトビリシ郊外の観光地をツアーか車をチャーターして訪れる事に為る。

           11-29-36.jpg

 観光スポットとして最も人気があるのが、コーカサス山脈を越えてトビリシとロシアのウラジカフカス(コーカサスを征服せよの意味)の200キロを結ぶ軍用道路で、18世紀末の帝政ロシア時代に作られ、プーシキンやレールモントフ等の文化人から風光明媚な景勝地として愛された。
 冬はスキー場としても知られ、ホテルやリゾートマンションが次々と作られて居る。誰が泊まるのかと思ったら、黒海沿岸の景勝地ソチのスキー場と比べて半額から3分の1のコストでウインタースポーツが楽しめるので、ロシア人が沢山遣って来るのだと云う。
 こうした事からも、ロシアとジョージアの難しい関係が伺える。どれ程離脱したいと思っても、小国のジョージアはロシアの経済圏にスッポリ収まって居るのだ。

       11-29-37.jpg 古都ムツヘタ

 軍用道路に行く途中に、紀元前4世紀から紀元後5世紀まで栄えた古都ムツヘタがあり、大聖堂の廻りにレストランや土産物店が集まって居る。又トビリシから70キロ程の地方都市ゴリはスターリンの生地で、幼少期を過ごした家や専用列車等が展示されて居る博物館がある。車をチャーターし、マル一日掛けてこれらを回って貰って1万3000円程だった。
 旅程に余裕があれば、世界遺産に指定されたコーカサス山脈の村スヴァネティや、黒海沿岸の世界遺産の古都クタイシも訪れてみたい。

          11-29-38.jpg

 ジョージアはカジノが合法化されて居て、トビリシにはカジノを併設した高級ホテルが幾つもある。ロシアは勿論、イスラエルからも沢山の客が遣って来るとの事で、ジョージア航空はテルアビブとの直行便を飛ばして居る。ジョージアも他の二国もロシア語が普通に通じるので、ロシアから移住したイスラエル人がギャンブルをしに来るらしい。

「美人の産地」アルメニアはトルコとは険悪な関係

 アルメニア首都エレヴァンに着くと、最初に気付くのは人々の風貌が周辺の国とは明らかに異なる事だ。「アルメニアは美人の産地」等とも言われる様に、目鼻立ちがハッキリした印象的な顔立ちをして居る。

 11-29-39.jpg 

 一寸調べたみた処、アルメニア人の起源に付いては2016年に遺伝子解析の結果が発表されて居て、それによると、インド・ヨーロッパ語を話す人々が紀元前3000〜2000年頃にこの地に移住し、紀元前1200年頃にはアルメニア文明が成立し、その後は大きな遺伝的混交を体験する事無く孤立して暮らして来たとされる。
 遺伝的に最も近いのは、新石器時代のヨーロッパ人だそうだ。Genetic evidence for an origin of the Armenians from Bronze Age mixing of multiple populations

     11-29-40.jpg カスケード
 
 ローマに先立って紀元301年に世界で初めてキリスト教を国教化した事で知られる様に、アルメニア各地に古い教会や修道院が残って居るが、首都エレヴァン市内には観光名所は余り無く、ソ連時代の1970年に作られたカスケードと呼ばれる大階段と、歴史博物館や古文書保管所(マテナダラン)等を訪れる位だ。カスケードの頂上の展望台からは、空気の澄んだ日にはアララト山を望む事が出来る。

       11-29-41.jpg アララト山

 旧訳聖書でノアの箱舟が漂着したとされるアララト山はアルメニア人の心の故郷だが、現在はトルコ領で気軽に訪れる事は出来無い。オスマン帝国末期にトルコナショナリズムが高揚する中、領土内のアルメニア人が強制移住の対象と為り、その混乱で多くの生命が失われた。その結果、トルコ領内にアルメニア人は殆ど居なくなった。
 これをアルメニア側では「虐殺」と呼び、トルコがそれを認め無い為「歴史問題」を巡って両国関係は極めて険悪に為って居る。その為、エレヴァンからアララト山を眺められる様展望台を作ったのだろう。

    11-29-42.jpg 

              ゲハルト修道院とガルニ神殿

 アルメニアは九州程の面積で、観光地はエレヴァン郊外に点在して居るので、車をチャーターして回るのが最も効率的だ。市の中心にある共和国広場に観光タクシーが沢山停まって居るので、ドライバーと交渉すれば好い。
 世界遺産のガルニ神殿とゲガルド修道院、アララト山を望むホルヴィラップ修道院、アルメニア使徒教会の総本山エチミアジン、アルメニア人虐殺博物館を半日掛けて回って4万ドラム約9000円だった。

           11-29-43.jpg ナゴルノ・カラバフ

 ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャン国内のアルメニア人居住地域で、ソ連崩壊後にアルメニアとの合流を求める民族紛争が起き、1991年に独立宣言して以降は未承認国家に為って居る。アルメニアとナゴルノ・カラバフは地続きで、その気に為ればエレヴァンからマイクロバス等で訪れる事が出来る様だ。

 コーカサス三国はワイン発祥の地で食べ物も美味しい

 アゼルバイジャン・ジョージア・アルメニアはワインと産地として有名で、取り分けジョージアは「ワイン発祥の地」を称して居る。『ジョージア、ワインが生まれた所』と云う映画も公開された。素焼きの壺にブドウを入れて地中に埋め、発酵させるクヴェヴリ製法で知られて居るが、街中に沢山あるワインショップは、シャルドネやメルロー等のオーソドックスなワインを並べて居た。トビリシは勿論、バクーやエレヴァンにもお洒落なワインバーが沢山ある。

 アルメニアはブランデーでも知られて居る。最も有名なのはチャーチルが好んだ「アララト」で、10年もの20年もの30年もの等があって熟成期間が長い程値段が高く為る。ネット通販で調べたら最高級の30年ものエレブニの価格は日本では18万円程だが、現地では3分の1の価格で売られて居た。

 コーカサス三国は、食べ物が美味しい事でも知られて居る。何れも過つてはロシア・ソ連領だったが、アゼルバイジャンはペルシア料理の影響が強く、ジョージアはシベリアに由来するヒンカリと呼ばれる大きな小籠包や、チーズ入りのパン・ハチャプリが有名だ。
 アルメニアでは、挽肉をブドウの葉で包んだドルマや、祝い事がある時に食べるカボチャの詰め物ガパマ等を勧められた。観光客向けの高級店でも、ワインを含めて1人4000円程度で充分だ。地元の店ならその半額で美味しく食べられる。

 コーカサス三国は夫々複雑な歴史を抱えて居て、色々なことを考えさせられるものの、首都を中心に2〜3日で観光出来、食事やワインも美味しく、何より、紛争地帯に近付か無ければ治安も全く問題無いので個人でも楽しく旅行出来る。季節の好い春か秋に10日程の旅程でお勧めしたい。



          11-29-45.jpg

 橘 玲(たちばな あきら) 作家 2002年金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット 著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)『幸福の「資本」論ーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊) 『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など 最新刊は『上級国民/下級国民』(小学館新書)

 橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中! (20日間無料体験中)
   
                 橘玲   以上













戦争を煽ったのは誰だったのか? 民意が生んだ娯楽統制と戦争への道




  戦争を煽ったのは誰だったのか? 

 民意が生んだ娯楽統制と戦争への道



             〜現代ビジネス 11/29(金) 13:01配信〜

 
 〜新聞やラジオ等のメディアが戦前昭和の政治社会に及ぼした影響は、評価が二分されて居る。一方ではメディアは国家権力によって弾圧された被害者であり、他方では戦争を煽った加害者である。本当はどちらが正しかったのか〜


 メディアは被害者か加害者か?

 被害者としてのメディアの代表的な事例を挙げる。1933年8月の『信濃毎日新聞』の論説記事である。この年の8月9日に関東防空大演習が行われる。2日後、主筆の桐生悠々が「関東防空大演習を嗤う」と題する軍部批判の記事を書く。

 「かかる架空的な演習を行っても、実際には、左程役立た無いだろう事を想像するものである。敵機を関東の空に、帝都の空に迎え撃つと云う事は、我軍の敗北そのものである」

 激怒した軍部は、在郷軍人組織を動員して桐生等の退社と謝罪を要求する。不買運動も展開される。2ヵ月後桐生は退社させられる。

        11-29-15.jpg 半藤一利氏

 半藤一利『昭和史 1926〜1945』は桐生の先見の明を高く評価する。「日本の上空に敵機が来て爆弾を落とす様な事に為れば、日本は勝てる筈無いじゃないかと云うのは、非常に妥当な意見だと思わざるを得ません」何故ならば事実、そう為ったからである。
 同時に同書は次の様にも指摘する「ここで大事な事を一つ付け加えますと、既に厳しくされて居た新聞紙法に加えて、昭和8年秋、9月5日に出版法が改正されたのです。実は大変な『改悪』で、これ以降、当局が新聞雑誌ラジオ等を確り統制出来る様に為り、それは次第に強められて行きます」この通りだとすれば「関東防空大演習を嗤う」事件を切っ掛けとして、国家権力による言論統制が強化された事に為る。

 戦争を「煽った」報道たち
 
 他方で戦争を煽った加害者としてのメディアの責任を指摘する研究は、満州事変の勃発を重視する。満州事変を切っ掛けとして、メディアの論調は180度の転換を遂げる。例えば『東京朝日新聞』と『大阪朝日新聞』は満州事変支持のキャンペーンを展開する。
 新聞社による慰問金募集の社告や号外・ニュース映画・展示会・慰問使派遣・特派員戦況報告講演会等が行われる。戦争報道に関する古典的な研究の江口圭一『十五年戦争の開幕』「これをも言論抑圧の止むを得無い結果と称するとすれば、それは詭弁と云うものであろう」と批判して居る。

 最近の著作も同様である。例えば筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』は1つの章を「満洲事変とマスメディアの変貌」に充てて、新聞論調の「大旋回」を跡付けて居る。新聞各紙は速報合戦を繰り広げる。満州事変速報は新聞の部数を伸ばす。満州事変前後で朝日新聞は約27パーセント部数が増えて居る。(筒井清忠『昭和戦前期の政党政治』)





 「投書階級」の登場

       11-29-16.jpg 金子龍司氏

 大衆娯楽に対する統制の実態は、近年の研究・金子龍司「『民意』による検閲―『あゝそれなのに』から見る流行歌統制の実態」によって、既存のイメージが覆されつつある。

           11-29-19.jpg

 盧溝橋事件が勃発した年に美ち奴の歌う流行歌「あゝそれなのに」が大ヒットする。処がこの流行歌は取り締まりの対象と為り放送禁止措置を受ける。検閲当局を動かしたのは民意だった。 
 民意とは「投書階級」の事である。ラジオ局の日本放送協会は、投書を受け付けて居た。投書は番組編成に影響を及ぼす。ラジオ局に投書をするのは、都市化の進展と共に現われた新中間層(官公吏、教員、会社員など)だった。「投書階級」とはエリートでも無く大衆でも無い「亜インテリ」(丸山眞男)の事でもあった。

 「投書階級」の影響力は強かった。例えば1938年のラジオの聴取者の投書は約2万4千件だった。ラジオ局の番組編成と放送の担当者は、これ等の投書を1件ずつ閲覧して、実行可能であれば出来るだけ番組に反映させる事に為って居た。
 「投書階級」が問題視したのは、出征兵士を送る宴で、軍歌の合唱が何時の間にか「忘れちゃいやヨ」などの流行歌の合唱に為ってしまう事や、軍歌が花柳街で大声放歌されて居る事だった。「あゝそれなのに」が「投書階級」の逆鱗に触れたのは、美ち奴の歌い方が悩ましく「エロ」を発散するセクシャルな歌だったからである。

 止まらない「民意」
 
 「投書階級」の非難の矛先は、流行歌に止まらず西洋クラシック音楽に及ぶ。1937年の「草深き山村の百姓」からの日本放送協会への投書は、西洋クラシック音楽に対して「不愉快と嫌味とそして一種云うべからざる反感が心の底から湧き上って来る」と嫌悪感を露にする。
 別の投書は、ヨハン・シュトラウス2世の歌劇「蝙蝠」序曲に対して「只ガヤガヤ騒々しくて全く聴いていて閉口致しました」と苦情を述べる。これ等の投書に共通するのは、西洋クラシック音楽に対する「生理的な違和感乃至は嫌悪感」であり「都市エリート文化一般の押し着けに対する反感」だった。(金子龍司「日中戦争期の『洋楽排撃論』に対する日本放送協会・内務省の動向」)

 「投書階級」の西洋クラシック音楽の放送回数削減要求は「日本的なもの」のイデオロギーで飾られて居た。西洋クラシック音楽の放送は「ガンガンキーキー喧しいばかりで日本精神に反する」そう非難する「投書階級」は、他方で軍歌為らば同じ西洋楽器を用いた演奏でもツベコベ言わ無かった。戦時下に「日本精神」を掲げて非難する相手にはどうしようも無かった。

 以上要するに、娯楽統制の主体は検閲当局と云うよりも、民意・「投書階級」だった事に為る。権力と民意の逆転は日中戦争の長期化に拍車を掛ける。新聞やラジオの報道によって戦勝気分が高まった民意は、無賠償・非併合による戦争の終結を目指す近衛の和平工作の妨げと為ったからである。
 メディアの持つ双方向性は、権力による被害者でも無く、権力に追従する加害者でも無いメディアの実像を明らかにして居る。

 強者と弱者の立場の逆転

        11-29-17.jpg 

 更にメディア統制を巡る加害者(強者)=軍人と被害者(弱者)=知識人の関係を相対化した研究が佐藤卓己『言論統制』である。同書は「強い軍部が弱い知識人を虐める」「剣はペンより強し」の構図を逆転させる。ここでは軍人とは情報局情報官・鈴木庫三少佐であり、知識人とは文筆家と出版業界の関係者を指す。

 同書は議論の前提として、或る統計データに注意を喚起して居る。それは、鈴木が出版統制の任にあった前後の時期の主要雑誌の年間発行部数と書店取り扱いの単行本の刊行数が右肩上がりに増加して居る事を示す統計データである。この数字は戦時下でありながら、出版が弾圧されて居たとは限ら無い事を示唆して居る。
 加えて同書が描く鈴木少佐は、東京帝国大学で教育学を学んだ陸軍将校で、彼の方コソ知識人だった。鈴木は「健全な裸体画や恋愛小説を積極的に奨励」して居た。
 対する被害者(弱者)だった筈の文筆家や出版業界の関係者は、戦争景気を背景に、経済的に豊かに為る一方で、社会的には堕落して居た。鈴木が嫌ったのは「金儲けの事しか考えて居ない資本主義者」だった。

 メディア統制を巡る強者と弱者の立場の逆転が日本社会に何を齎すのか。それを見極める前に日米戦争が始まった。

 



 大本営発表の虚実

 国民が日米開戦を知ったのは、12月8日午前7時少し前のラジオ放送である。午前7時の定時ニュースの直前に速報が読み上げられる。 「大本営陸海軍部12月8日午前6時発表。帝国陸海軍は今8日未明、西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」

             11-29-18.jpg 保阪正康氏

 大本営発表は悪名が高い。今でも政府による虚偽・誇大のフェイクニュースの代名詞として用いられている。この大本営発表を緻密に分析した先駆的な著作が保阪正康『大本営発表という権力』である。

 同書は開戦の日から翌日に掛けての大本営発表の内容分析から、意外な結果を明らかにして居る。それは情報が正確だった事である。情報が確認出来無い段階では「未だ確実為らず」と断って居る。同書は、大本営発表が可能な限り正確な情報を伝える事で、国民に戦争への協力を求めて居たと指摘して居る。
 大本営発表の「デタラメぶり」を強く批判する辻田真佐憲『大本営発表』も、同様の点に注目して、戦果の下方修正が行われた例を引用して居る。大本営海軍部発表(12月18日午後3時)「8日撃沈せるも確実為らずと発表したる敵航空母艦は沈没を免れ〇〇港内に蟄伏中鳴子と判明せり」
 
 しかし大本営発表の正確な情報は、緒戦の勝利の頃迄だった。戦況の悪化に伴って、虚偽・誇大のフェイクニュース化して行く。ガダルカナル島の放棄を「転進」アッツ島守備隊の全滅を「玉砕」と言い替えた事は好く知られて居る通りである。戦況の悪化は東条内閣にメディア統制を強めさせる。その東条内閣も1944年7月のサイパン島陥落の責任を取って総辞職する。 

 メディア統制の緩和

 次の小磯国昭内閣に為ると、メディア統制を巡る方針の転換が図られる。金子龍司「太平洋戦争末期の娯楽政策――興行取締りの緩和を中心に」によれば、統制の強化から緩和への転換点と為ったのは、1945年3月の東京大空襲だった。
 統制の緩和は新聞を通して国民に次の様に知らされた「内務省では非常措置以来封じられて居た映画館のアトラクションを解禁し、流行歌手のマイク使用の禁止を撤廃、扮装態度に対しても従来の様な制限を加えず、興行の明朗闊達化を図る事と為った」
 
 しかしながら、統制の緩和措置にも関わらず、国民の士気が高揚する事は無かった。国民は娯楽に慰安を求めながらも、空襲で家を焼かれ家族を失った。大本営発表を「信じたいけど、信じられ無い」国民は、勝てるとも負けるとも確信が持て無いままに敗戦を迎える。

 



 玉音放送 

 国民が敗戦を知ったのは、8月15日正午の玉音放送である。敗戦を正式に伝える手段がラジオである必要は無かった。天皇の詔書が新聞に掲載されれば好い。それでもラジオを通して、天皇が国民に知らせたのには理由があった。
 軍部内には徹底抗戦の構えを示す一派がクーデタを引き起こす勢いだった。一刻も早く正確に最も権威のある正式な内容を国民に伝え無ければ為ら無かった。その手段コソがラジオだった。玉音放送によって、日本は大きな混乱も無く敗戦を迎える事が出来た。

 戦前昭和のメディアの役割を振り返ると『ドン・キホーテ』の作者ミゲル・デ・セルバンテスの言葉を思い起こさせる。「正直は最善の策」メディアは双方向性を持つ。権力による一方的な被害者では無い。そうかと言って権力に追従する加害者でも無い。メディアによって国家が一方的に国民を動員する事も出来無い。
 メディアを巡る社会状況は当時も今も変わら無い。国家が国民の支持を調達するには、正確な情報の提供による自発的な協力を促す事が捷径(しょぅけい)である。


            井上 寿一     以上

















アマゾンに逆風か・・・ビジネスモデルの「根幹」が揺らぎかね無いワケ




 アマゾンに逆風か・・・ビジネスモデルの「根幹」が揺らぎかね無いワケ


              〜現代ビジネス 11/28(木) 10:01配信〜


              11-29-1.jpg

  〜これ迄世のビジネスパーソンが抱える悩みを鮮やかに構造化し、救いの手を差し伸べて来た北野唯我さん。デビュー2作で累計26万部を達成し、その驚異的な売れ方で「令和のビジネスリーダー」と呼ばれて居る。その北野さんが、この程最新刊『分断を生むエジソン』を上梓した。
 組織作りのプロフェッショナルとして、北野さんがこの本で伝え様として居るのは、世の中や職場に分断が生まれてしまう仕組み、その中でリーダーが果たすべき役割に付いてだ。
 そんな新刊から、立ちはだかる壁に挑み続けるビジネスリーダーに必要なエッセンスを短期集中連載でお伝えして行く。今回は「最強」と呼ばれるアマゾンのビジネスモデルの正体に付いて解説して呉れた〜


          11-29-2.jpg

                   北野唯我さん

 アマゾンは「ペイン型」のビジネスモデル

 アマゾンの企業戦略を解説した書籍は書店に山程並んで居ますが、その支配力の正体に付いて本質的理解にまで及んで居る書籍はホボ見掛けません。重要なのは目に見えて居る戦略では無く、創業者ジェフ・ベゾスが世界を如何に認識して居るかだと思って居ます。実はアマゾンの力の源は、ベゾスが「ペインとゲイン」の関係を理解した上で、ペイン型に徹底して居る事にあるのです。

 商品やサービスは「ペイン型」「ゲイン型」のドチラかに分類されます。前者は本質的に面倒で、コストであり・苦痛であるものを取り除くもの。一方で、後者はそれ自体が楽しく面白いものです。

 弁護士を雇う事はペインです。弁護士のお世話に為るのは何かしらのトラブルに対応し無ければ為ら無い状況でしょう。楽しい感情が沸き起こる事はありません。しかし、私達は弁護士に対してお金を払います。何故なら、先程の説明の通り、苦痛を取り除いて呉れるからです。
 反対に、美味しいレストランに行く事はゲインです。美味しさを感じる時、人は普段に比べて幸福な感情が増します。詰まり、私達の喜びを拡大させて呉れるものだから、ワザワザお金払って迄レストランへ行く訳です。

 ペインとゲイン・・・究極的に人はこの2つにしかお金を支払いません。特に、人類の歴史はペインを取り除く歴史でした。病や死、それに伴う恐怖をどう取り除くか。宗教や医療はこの様なペインを取り除く役割を果たして来ました。そして、遂に登場したアマゾンは「人類の壮大なペイン」を取り除く企業なのです。帝国の生みの親であるベゾスはそれを目指して居るとしか思えません。

           11-29-3.jpg

              アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏

 全ての「煩わしさ」を取り除く

 具体的には、迷う事・探す事・比べる事・雨の中に買い物へ行く事・・・そう云った全ての煩わしさを取り除く事コソが、アマゾンが私達に対して提供して居る価値なのです。

 アマゾンは魅力的なサービス群でユーザーを囲い込み、自社に対するエンゲージメントを高める事で売上を伸ばして居ると好く言われます。戦略としてはその通りなのですが、最短2時間で商品を配送するアマゾンプライムナウの様なサービスが誕生した背景には、ペインへの理解も深く関係して居る筈です。
 アマゾンが登場した時、豊富な商品が翌日に届く事ですらユーザーに取っては大きな価値でした。しかし、それより遥かに速い2時間配送を提供し始めて居ます。実の処、このサービスはコストばかり掛かる為、事業のKPIに対する貢献は決して大きく無いと思われます。

   11-29-4.jpg アマゾンエコーのひとつ

 ですが、ユーザーの時間コストを如何に取り除けるかを考えた時、ベゾスはこのサービスが必要だと考えたのでしょう。既に人気を集めて居るアマゾンエコーでは、ユーザーが画面を見て選ぶと云うコストすら取り除いてしまって居ます。

 支配力と影響力の違い

 アマゾンを前にして数々の企業が敗れ去って行ったのは、アマゾンが人々のペインを取り除く事によって「ユーザーが他の選択肢を考える必要が無い状態」を作り出したからに他為りません。これがアマゾンの駆使する支配力のルールなのです。

 これは単なるシェアの話ではありません。独占的なシェアを持つ事は勿論重要な要素ですが、だからと云ってユーザーがそのサービスを使い続けるとは限ら無いからです。もしシェアを持って居る事自体が企業の強さと為るの為らば、地域でシェアの高さを誇って居た地元本屋や家電量販店は最強であり続けられたのではないでしょうか。
 そうは為ら無かったのは、他の選択肢を考える余地があったからです。支配力のルールを追求する事は、ドミナント戦略と勘違いしてしまいそうですが、ドミナントして居た企業ですら次々と駆逐されて行く様を私達は沢山見て着た筈です。

 ペインを取り除く圧倒的なサービスによって、他の選択肢を考えさせ無い支配力を持ったからコソ、アマゾンは未だに最強であり続けられるのです。しかしながら、時代は再び新たな局面を迎えます。アマゾンの様な企業の発展は、人々が感じて居たペインの解放を加速させました。
 だからコソ、次に重要と為るのがゲインの力です。時代はペインからゲインへ・・・支配力から影響力の時代に突入します。







 今の時代に凱旋門を作れるか

 具体的には、ゲインの中でも「価値の広がり」がより大きな価値を持つ様に為ると考えられます。例えば、高級フレンチに行くのは、料理を食べる事以上の価値が存在して居るからです。美味しいものを食べる喜びの他に「自分が選ばれた、特別な時間」を生きて居る感覚を齎(もたら)して呉れます。
 他にも、自分の身体感覚を超えた何かを感じさせる日本の伝統的な寺社仏閣や世界の大聖堂と云った場所、強い高揚感を感じさせて呉れるスポーツのスタジアム観戦と云ったイベント等も当て嵌るでしょう。

              11-29-5.jpg

 詰まり、人は「自らの価値を大きくして呉れる事」に対価を払って居る訳です。これから訪れるであろう影響力の世界では、何よりもこの自らの価値の広がりが力を持つ様に為ります。
 ですが、これからの時代に最強のゲインを作り出すのは至難の業です。何故なら短期的には非常に効果が見え難いからです。フランスの凱旋門が良い例では無いでしょうか。短期的な視点で判断され勝ちな現代では馬鹿気たものだと一蹴されて、建設すら出来無かったでしょう。
 しかし、凱旋門は何百年経っても人々から愛され、しかも世界中から人々を呼び続けて居ます。とても長い視点で考えたら大成功としか言い様が無い代物です。

 ジェフ・ベゾスがペインの覇者であるとする為らば、ゲインの覇者には一体誰の名が刻まれるのか。そのヒントは全て、新刊『分断を生むエジソン』に書きましたが、待ち遠しくもあり、果たして出来るのか不安でもあります。皆さんはどう感じるでしょうか。


         11-29-6.jpg

 北野 唯我氏のプロフィール 兵庫県出身 新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局で中期経営計画の策定 MA・組織改編・子会社の統廃合業務を担当し米国留学 帰国後ボストンコンサルティンググループに転職 2016年ワンキャリアに参画 最高戦略責任者 経営企画執行役員 2019年1月から子会社の代表取締役 オープンワークの戦略ディレクターも兼務 30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が15万部 『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)が10万部 最新作に同時発売の『分断を生むエジソン』(講談社)『オープネス ー職場の空気が結果を決めるー』(ダイヤモンド社)がある 1987年生

                   以上

















2019年11月28日

安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者達から非難轟々ー新聞労連・南彰委員長が報告



 

 安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り 記者達から非難轟々
 
 新聞労連・南彰委員長が報告


    〜志葉玲 フリージャーナリスト(環境・人権・戦争と平和) 11/28(木) 12:09〜


 「桜を見る会」に後援団体関係者らを組織的に呼び寄せ飲み食いさせる等、安倍政権の政治の私物化が問題となっている中、内閣記者会加盟報道各社のキャップは、今月20日、都内の中華料理店で、安倍晋三首相と懇談した。

 これに対し、ネット上では、権力とメディアの癒着であると、批判が相次いでいる。新聞労連の南彰委員長も「市民に信頼される報道を目指して頑張っている記者の心を折れさせていくメディアの上層部の意識って何なんだ」と憤りをあらわにした。筆者が南氏に聞いたところ、現場の記者達も、メディア幹部と首相との馴れ合いに強く憤っていると言う。

 「このタイミングで」「一体何をしているのか」と批判

 今月20日付の時事通信「首相動静」によると、同日の晩、安倍首相は、都内の中国料理店で内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談したという。「桜を見る会」の件で安倍首相への批判が強まっている中での懇談に、ネット上では「このタイミングで?」「これも『桜を見る会』と同じ位問題じゃないの?」と非難轟々。メディア関係者らも苦言を呈している。

 米紙ニューヨーク・タイムスの元東京支局長で、ジャーナリストのマーティン・ファクラー氏は「信じられない。桜を見る会が批判されている最中に、内閣記者クラブのキャップ(リーダー的な記者)が今夜、安倍総理と会食したそうである。メディアの信頼性を考えていないよね」とツイート。
 東京新聞の望月衣塑子記者も「『首相は何も悪くない。一体何が問題なのか』と首相を持ち上げる記者もいたとか」「現場が取材で奮闘してる最中に一体何をしてるのか」と怒りのツイート。

 筆者が注目したのは、新聞労連の南彰委員長のツイートだ。南委員長は「全国の記者からやり場の無い怒りの連絡が1日中押し寄せる」と云う。

       11-29-20.jpg

                 新聞労連の南彰委員長


 懇談に現場の記者達から怒りの声

 首相とメディア幹部の懇談について、どのような意見が現場の記者から寄せられているのか。筆者が南委員長に問い合わせると、以下の様な意見があったとの回答を得たので紹介しよう。

 ・アンな立ち話のブラ下がりでお茶を濁されて居る時に、悔しく無いのか。飯食って居る場合じゃないだろ
 ・首相は超余裕でニヤニヤする始末で馬鹿じゃないのか
 ・ナンで各社の政治部長は止め無いのか。1社が行か無いと言い出すだけでも雰囲気が変わる筈なのに
 ・首相が疑惑の渦中にあって、政権の屋台骨が揺らいで居るまさにこの瞬間に、各社の官邸キャップが首相とメシを食うとは一体どう為って居るのか。オフレコの会食の誘いなんか断固拒否し『会見を開け』と要求するのがスジだ
 ・権力機構が腐って居る時に、ジャーナリズム迄信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかもう遣り切れ無い
 ・現場の総理番は、総理を取り巻く首相秘書官に睨まれながらも、総理に立ち止まる様質問をブツケタリして居る。そう遣って疑惑を説明させようと必死に遣って居る時に、寄りに依って官邸キャップが揃って懇談するナンて本当に泣けて来る。こんな事をして居たら信頼される筈が無い(※涙声)
 ・番記者なら兎も角、疑惑の最中にキャップ連中呼び出されて飯とか喰ったら飼い慣らされてる様に見えるの、ナンで社の上層部は判んないのかな?メディアの信頼は失墜する。ほんとフザケルな


 出典 南委員長の基に寄せられた記者達の声







 権力に忖度するメディア上層部による言論封殺

 筆者も仕事柄、大手メディアの記者らと接する事が好くあるので判るのだが、記者達も、読者や視聴者のメディア不信を痛感して居るし、思い悩んで居る処もある。ジャーナリストとしての社会的責任を全うしようとして居る真面目な記者達も少なく無い。
 一方、日本の「報道の自由」を脅かして居るのは、安倍政権のメディアへの圧力だけでは無く、政権に忖度し、記者達の報道に介入しようとするメディア上層部の振る舞いなのだ。

          11-29-21.jpg

             デビット・ケイ国連特別報告者 

 メディア上層部の政権との癒着に付いては、2016年4月に来日、日本での「表現の自由」を調査したデビット・ケイ国連特別報告者も、その報告書の中で言及して居る。

  訪問中に特別報告者が面会した多くのジャーナリストは,報道を政府の政策上の意向に合わせる為の政府による干渉があり、又それが(メディア)経営により助長されて居る旨説明した。特別報告者は、政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性に付いての不満の声を聞いた。出典:デビット・ケイ訪日報告書より

 記者達からの訴えに、当初、ケイ特別報告者は「それは日本のメディア内部の問題ではないか。私は、権力による表現の自由への圧力に付いて調査しに来たのだが…」と、大いに困惑して居たが、それは当然だ。
 「権力の監視」がジャーナリズムの重要な役割として広く認識されて居る米国の出身であるケイ特別報告者に取って、主要先進国の一員であり民主主義国家を標榜する日本で、マルで独裁政権下の官製メディアの様な自主規制がある事は、奇異に映ったのであろう。
 だが、上記の報告書で言及した様に「政府指導者とメディア幹部の間の不適切な緊密性」が、日本の報道の自由を妨げる、特有かつ深刻な問題である事をケイ特別報告者も認めた形だ。

 メディア上層部はジャーナリズムを問い直せ

 何の為のメディアなのか。民主主義社会におけるジャーナリズムの役割とは一体何か。以前、筆者はフランスのメディアで働く友人にこう聞かれた事がある。「ナンで日本のメディア幹部達は首相と一緒に御飯食べるの?」「フランスでも、偶にそう云うの居るけど恥知らずと軽蔑されるよ」全く、友人の言う通りだ。
 日本のメディア上層部は本当に危機感が足ら無い。メディアと政権が癒着して居るからコソ、数々の疑惑や不祥事を抱えながらも、安倍政権が「憲政史上最長の政権」と為ったのではないか?各メディア上層部は、今回の懇談に対する、現場の記者達の怒りの声に耳を方向け、日本のメディアの在り方を問い直すべきだろう。


                  (了)

 *本記事は、志葉玲公式ブログ「志葉玲タイムス」からの転載、一部加筆したもの
 https://www.reishiva.net/entry/2019/11/27/201721 


       11-29-22.jpg

 志葉玲 フリージャーナリスト(環境・人権・戦争と平和)

 パレスチナやイラクなどの紛争地での現地取材 脱原発・自然エネルギー取材の他 米軍基地問題や貧困・格差etcも取材 幅広く活動するジャーナリスト 
 週刊誌や新聞・通信社などに寄稿 テレビ局に映像を提供 著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)共編著に『原発依存国家』(扶桑社新書)『イラク戦争を検証するための20の論点』(合同ブックレット)等 イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長



 







立民・石垣氏が山本太郎氏の減税研究会を欠席 「講師がレイシズムとファシズムに加担」と反発




  立民・石垣氏が山本太郎氏の減税研究会を欠席 

 「講師がレイシズムとファシズムに加担」と反発



             〜産経新聞 11/28(木) 19:04配信〜


        11-28-13.jpg

            参院議員 石垣のり子氏(千葉元撮影)


 立憲民主党の石垣のり子参院議員が「れいわ新選組」の山本太郎代表と野党統一会派に参加する馬淵澄夫元国土交通相が共催する「消費税減税研究会」の講師に嘉悦大の高橋洋一教授が招かれた事に反発し、28日に国会内で開かれた会合への出席を見合わせた。ツイッターで「レイシズムとファシズムに加担する様な人物を講師に呼ぶ研究会には参加出来ません」と発信した。

 石垣氏は「消費税ゼロを誰よりも力強く訴える山本太郎氏へのリスペクトは変わりません。が『その目的の為に、時にはレイシストと同席する』と云う考え方に立つ事は出来ません」とも書き込んだ。

 一方、会合を終えた高橋氏は産経新聞の取材に「どの発言をもってレイシズム、ファシズムなのか分から無い。根拠も無く、ビックリする。人権を守る人がこんな事を言っては行け無い」と反論。石垣氏とは面識が無いと述べ「ツイッターは、国会議員の免責特権が認められ無い院外の発信だ。名誉毀損(きそん)だ」との見方も示した。


                  以上







  石垣議員が何故この様に、高橋氏を批判したのだろう・・・このブログでも何度も取り上げた嘉悦大の高橋洋一教授だが、彼はどの様な人物なのか・・・古いものだが、彼に関わる文章の一部を参照したい・・・


 【関連報道1】 「埋蔵金」橋洋一初めて告白  置き引きはえん罪だった?


            〜Jcast news 2009/10/ 7 19:07〜



          11-29-8.jpg

 置き引きで起訴猶予処分を受けた経済学者の橋洋一氏が、処分後初の著書を出し、初めて事件の事に触れた。高橋氏は出身である財務省のタブーに触れたと騒がれて居た。その所為もあって、事件に付いて様々な憶測も流れて居るが真相は藪の中だ。

 「外には漏らさ無い」と言った為了解した

「霞が関に刃向かった者の末路」橋氏が新しく出した著書の序章のタイトルだ。本の帯にも「緊急出版!狙われたエコノミストの反撃!!」とある。勿論、置き引き発覚で橋氏が辿った道を示唆して居ると見られる。
 事件に付いて、橋氏は、2009年9月30日に出版されたこの著書「恐慌は日本の大チャンス」で初めて口を開いた。

 それによると、橋氏は3月24日夜、自宅近くの日帰り温泉施設でロッカーを使おうとして、忘れ物らしきものを見付けた。しかし、この忘れ物に付いては、後で届け様と思って居たと云うのだ。その理由として、2晩の徹夜明けで朦朧(もうろう)とし、マッサージの時間に遅れたく無い気持ちもあった事を挙げる。
 その後、気持ち好く為って2時間近くも寝込み、届ける事を忘れて外に出ると、警察が待ち受けて居たと明かす。警察は、否認すると面倒に為ると言い「外には漏らさ無い」と言った為了解した。

 処が、書類送検された3月30日に為って、マスコミが一斉にコノ事件を報じた。報道では、橋氏は、カギの掛かって居ないロッカーから、現金5万円入りの財布やブルガリ製高級腕時計等計30万円相当を盗んだ疑いだった。結果として、東洋大教授を懲戒免職と為り、4月27日には、免職の社会的制裁と被害品の返却が酌量されて起訴猶予に為ったと発表された。

 橋氏は、官僚時代に小泉ブレーンとして当時の竹中平蔵総務相の下で郵政民営化を推し進め、在職中の2007年には「霞が関埋蔵金」を明らかにして波紋を呼んだ。又、退官した2008年3月に、9万部のベストセラーに為った「さらば財務省!」を出版する等異色の経歴を持つ。それだけに、置き引きが発覚した時には「霞が関の陰謀、国策捜査だ」との憶測さえも飛び交って居る。

 橋氏「事件は私のミスから始まった」

この置き引き事件で、橋洋一氏は、著書の出版予定等も狂ってしまった。サイエンスライターの竹内薫氏との共著「バカヤロー経済学」は、橋氏と出版社の意向で橋氏の名前を消して2009年5月13日に出版された。 只、竹内氏は、自らのブログで7月5日、事件への疑問を明かして居る。
 一緒の夕食で一部始終を聞くと、橋氏は、忘れ物の中に在った時計や金銭は見て居らず、防犯カメラが設置されて居る事も知って居たと云うのだ。そして、痴漢の冤罪事件と同様に、顧問弁護士の意見に従って警察と司法取引せざるを得無かったと見て、橋氏は「シロ」だと信じて居ると述べて居る。

 又、経済学者の池田信夫氏も、自らのブログで10月5日、橋氏の近著を取り上げて「窃盗犯が犯行現場で2時間ものんびりマッサージを受けるとは考え難い」と指摘し「もう『時効』にしても言いのではないか」と言って居る。
 とは言え、こうした見方には異論もある。「切込隊長」で知られるブロガーの山本一郎氏は、自らのブログで7月6日、当時の報道内容と照らし合わせて、共著者の竹内氏の主張を「不思議な議論」だと指摘「『ハイハイ、国策捜査』とか『だから警察は信用出来無い』と言った、ショウも無い陰謀めいた話に毒され過ぎて居るんじゃ無かろうか」と疑問を呈して居る。

 事件が冤罪かどうかに付いて、橋氏は、近著の中で明言はせず「事件は私のミスから始まった」とだけ述べ、多くの人に迷惑を掛けたと反省しお詫びして居る。著書発売元である講談社の担当者は、冤罪に付いては「それは証明出来無い」としながらもこう言う。
 「書類送検の経緯には、疑問がありました。あのケースなら、普通は現行犯逮捕に為って居るのでは。(橋氏が)竹中大臣と一緒の時なら、表に出無かった様に思えますね」ただ、陰謀説については「全く分から無いでしょう」と云う。著書に付いては、初版1万部だったのが5日後に5000部の重版に為る等、売れ行きは好いとして居る。


                  以上









 【関連報道2】規制改革派の元官僚「原英史」をバッシングする「黒幕」の正体
 
 反改革派が着々と成果 

                 〜磯山 友幸〜


 不思議な追及キャンペーン


          11-29-14.jpg 原英史・政策工房社長    

 今、元官僚の原英史・政策工房社長が一部メディアや野党から猛烈なバッシングを受けて居る。原氏は事実無根の人権侵害だとしてSNSを駆使した反論を展開して居るので、関心を持って推移を見て居る人も多いに違い無い。

 原氏は霞が関や永田町で「政策」を扱う人達の間では「改革派」としてツトに有名だが、一般にはこれ迄左程知られた存在では無かった。それが突然、原氏追及キャンペーンが始まったのは2019年6月11日のこと。
 毎日新聞が1面トップで「特区提案者から指導料 WG委員支援会社 200万円、会食も」の見出しと、原氏の顔写真が付いた図版を掲載。その後、6月15日まで5日間連続1面で報道した。恰も天下の極悪人を追及すると言った扱いである。最も、毎日新聞以外は無視で、全くと言って好い程報じて居ない不思議な事件である。

 原氏は即日SNSで200万円を貰ったり会食したりした事実は無いと反論、毎日新聞に謝罪を求める内容証明等を送ったが、毎日新聞はその後も同様のニュースを発信し続けた為、6月26日付けで毎日新聞社を提訴、裁判に為って居る。
 訴訟に為ると他のメディアは報道し難いので、一時、両者の紛争は下火に為るかに見えた。毎日新聞側が訴訟の場では「原氏が200万円を受け取ったとは書いて居ない」と主張を変え、どう見ても毎日新聞の旗色が悪く為って居た。処がそこに新たな「援軍」が現われる。

 野党議員への反論は「内乱罪」か

        11-29-11.jpg 森ゆうこ参議院議員

 国民民主党の一部など野党議員が原氏追及に乗り出したのだ。中でも森ゆうこ参議院議員は国会質問で、原氏が金銭を受け取ったと云う事を前提に「公務員なら斡旋利得罪」だと激しく批判した。
 原氏は、毎日新聞ですら事実上撤回している金銭受領を恰も事実であると決め着けるのは明らかな人権侵害だと反論したが、国会議員は国会での発言に付いて刑事訴追され無い「免責特権」が憲法で定められて居る。名誉毀損等では訴えられ無いのだ。
 そこで原氏は、参議院に森議員の懲戒を求める署名活動をネット上で展開。現段階でも6万人近い署名を集めている。

 驚いたのは、森議員が次々と論点を変えて居る事だ。議員は国会での質問内容を事前に通告する事に為って居るが、その提出が遅れ、巨大台風が近付いている中、霞が関の官僚が足止めを食う事に為ったとネット上で批判されると、今度は、質問内容が原氏に漏れて居たと言い出し内閣府を攻撃し始めた。
 その上で、原氏等の批判や署名集めを「質問権の侵害」だと言い出したのだ。原氏と「改革」の盟友である高橋洋一・嘉悦大学教授がテレビ番組やツイッターで批判をすると、それも審議妨害だと言い始める。

 元参議院議員の平野貞夫氏も参入「高橋洋一氏等の森ゆうこ議員への審議権妨害は、立法府の基本秩序を破壊する内乱罪と同質だ。参院は高橋氏等関係者を刑法234条(威力業務妨害罪)で検察に告発すべきだ」とツイッターで批判して居る。
 原氏が200万円貰ったと云う疑惑追及だった筈が、何時の間にか民主主義を脅かす「内乱罪」と云う話にまでエスカレートして居る。

 憲法51条が定める免責特権とは、国会議員が議院で行った演説・討論・表決に付いて、院外で責任を問われ無いと云うものだ。これが憲法に盛り込まれたのは明らかに戦前への反省で、議会で政府批判を行った議員が逮捕されたり、言論封殺され無い為の防御策である。
 権力者から弱い立場の議員を守るのが立法の主旨で、民間人に対する人権侵害を守る為のものでは無い筈だ。「護憲」を言って居る筈の議員達が、軽々に憲法の規定を都合好く使う事は、逆に憲法を危うくする。増してや、内乱罪と云うのは最高刑が死刑だ。ネット上では平野氏に対して「死刑相当だと恫喝して居るに等しい」といった批判が噴出して居る。

 森議員のツイッターには森氏を批判する声が溢れて居るが、森議員自らこうツイッターで発信して居る。 「私のツイッターには罵詈雑言がブラ下がった。私で無ければ質問するのが怖く為り、質問を取り辞めたかも知れない」どうやらツイッター上の批判も「質問権の侵害」だと言いたい様だ。
 元々ツイッターを使って頻繁に発信して居るのは森議員である。批判をされると、その全員が安倍首相シンパのネット右翼に見えるのだろうか。







 利権側からは煙たい原氏

 まさに泥沼化の様相だが、ソモソモ原氏がこれだけバッシングされる理由は何なのか。毎日新聞や国民民主党議員等の裏で誰が原批判の為の材料を提供して居るのか。ソモソモ原氏は利権に塗れた悪徳な元官僚なのだろうか。

 実は私は原氏を現役官僚時代から取材を通じて知って居る。2007年、第1次安倍晋三内閣で渡辺喜美・行政改革担当相の補佐官を務める等、改革派官僚として知られた存在に為って居た。根っからの改革派、しかも公務員の在り方に付いて改革の必要性を訴えて居た。
 根っからの官僚で自らはブレーンに徹し、使える大臣や政治家・審議会の民間議員等を支える。自分が信じる改革の具体策をこうした人達に提供して実現させる訳だ。政府の会議で改革案をブチ上げて来た竹中平蔵・元総務相の改革案の多くも原氏が策定した。この点、財務官僚だった高橋洋一氏も似たスタイルだ。

 その後、私は原氏に誘われてジャーナリストの田原総一朗さんと共に万年野党と云うNPOに参画、国会での活動実績に応じて議員を三つ星評価するプロジェクト等をご一緒して居る。万年野党は改革派の著名人がアドバイザーに為って居るが、資金は原氏や私の負担で赤字である。
 横から見て居て分かるのだが、原氏はお金には殆ど関心が無い人物だ。資産家の家系だと云う人も居るが、夫人も現役官僚の筈で、生活費には困って居ないのだろう。原氏が退官後に作った政策工房と云う会社も、野党や与党議員の質問作りや政策作りを作るコンサルティングを主業務にして居るが、会社を大きくして儲け様と云った事業欲は全く感じられ無い。

 お金では無く、自らの信念である構造改革・規制改革を実現する事だけが生甲斐の様な稀有な人である。酒席も好まず食事にも余り関心を持た無い。200万円を受け取ったと印象付ける報道やそれを前提とした国会での批判は、長年取材して来た立場からすると噴飯ものだ。
 原氏が座長代理を務めて来た特区ワーキンググループは、特区での規制改革をするかどうかを決める役割では無く、規制に邪魔をされて身動きが取れ無い事業者や自治体の首長の要望を聞き、特区申請に道筋を付ける役割を担って来た。

 特区諮問会議(議長は安倍首相)の議員を務める八田達夫氏も繰り返し、ワーキンググループには規制改革を決める権限は無く、業者に対する利権等は存在し様が無いと説明して居る。特区で岩盤規制に穴を開けた場合、希望する他の特区が同様の規制緩和を実施出来るのは勿論、その後、全国で規制緩和される流れを基本として居る。
 詰まり、特区での規制緩和は、既得権を持つ業界や事業者の特権に穴を開け、多くの新規参入を生み出す事を目的にして居り「利権」には為ら無いのである。

 黒幕は特区を潰したい勢力か…?

 そんな利権を打ち破ろうとして居る改革派人材を、恰も利権の為に行動して居る様な印象操作する事は、明らかに狙いがあっての事だと思われる。要は、国家戦略特区やそれを推進して来た原氏等を抹殺したい勢力が居ると云う事だ。
 ここ数年、原氏は影のブレーン役に止まらず、特区ワーキンググループや、規制改革推進会議の議員等「表」に出始めて居たから、それを苦々しく思って居た人たちが居ると云う事だ。それが誰なのか、業界団体なのか、既得権を持った業者なのか、今の処見えて居ない。

 だが、改革に抵抗する霞が関の官僚が、原氏攻撃に水面下で関与して居る事は間違い無いと思われる。毎日新聞や野党議員がそうした反改革勢力の情報操作に乗って居るだけなのか、既得権層や反改革派と結び着いた確信的な行動なのかも分から無い。
 規制改革推進会議の後継組織が要約スタートしたが殆どの議員が入れ替わり、改革を主導して来た人は殆ど姿を消した。原氏も議員だったが勿論名前は無い。「改革潰し」を狙った原氏批判のキャンペーンは、内容が真実かどうかでは無く、着々と成果を上げて居ると見るべきだろう。


              11-29-12.jpg

                  以上









 【管理人のひとこと】


 参院議員の石垣のり子氏が高橋洋一氏をレイシズムとファシズムと評し、彼を講師に呼んだ山本太郎氏達の減税研究会への参加は、それに加担する事に為ると欠席した・・・事に始まり、サテ高橋洋一氏とはどの様な人なのかを探った。彼は財務省の高級キャリアとして小泉・竹中の所謂規制改革路線・郵政民営化をサポートした官僚だった。
 「小泉・竹中、飛んでも無い!」と観衆に連呼させた山本氏の心情に応じて「消費税ゼロ」を叫んだ石垣氏だが「何故、高橋の様な規制改革・市新自由主義を標榜する人を講師として呼んだのか?」の批判でもあろう。高橋氏は反面「赤字国債を連発してでも政府支出を増やして景気を拡大せよ」「政府の借金は国民の借金では無い」「今の状況で日本が破綻する事は無い」との「反緊縮派」としての主張もして居て、その意味では、山本太郎氏の主張にも通じるのだが。
 此処に、山本氏が尊敬する一人の森ゆうこ参議院議員が、高橋氏と共に規制改革路線を進めた元官僚の原英史・政策工房社長を、利益関係者から金を受け取ったのでは無いかと国会で追及して居る。この問題へと進展してしまった・・・どう為る事か。







UCSカード(マイメロディカード)





 




「香港人権法案」と云う宣戦布告 米中は「臨戦状態」へ突入




   「香港人権法案」と云う宣戦布告 米中は「臨戦状態」へ突入


             〜Wedge 11/28(木) 12:15配信〜


          11-28-10.jpg

         立花 聡  エリス・コンサルティング代表・法学博士


 香港問題のキーと為る「香港人権・民主主義法案」11月19日、米上院は全会一致で可決し、そして翌日の20日、米下院は賛成471票・反対1票の圧倒的賛成多数で可決した。法案は既にトランプ大統領に送付された(11月25日現在)そこで、トランプ氏は署名するだろうか。(11/28現在トランプ氏は署名した)

 「香港人権法案」の成立を巡る3つのシナリオ

 不審に思ってトランプ氏の記者会見(問答)の一部始終を調べてみた。トランプ氏は、「Veto」(拒否権発動)と云う言葉を使って居らず「It is being sent over. We're going to take a very good look at it」(法案は送られて来たが、我々は好く吟味する)と発言した事が分かった。

 「よく吟味する」と云う表現は、決して肯定或は否定の何れかの結論(実体)を示唆するものでは無く、結論を導き出す為のプロセス(手続)を慎重に進める意思を表明したものである。ワシントンポストも朝日新聞も、忖度も含めて独自の感覚で空気を読んでそう表現したかも知れないが、少なくともトランプ氏が否決権の発動を示唆したものとは思え無い。
 では、トランプ氏が否決権を発動する可能性は無いかと云うと、可能性としては有ると思う(この原稿を執筆して居る11月25日現在のシナリオ描きだが、数日後公開された時点で、状況がある程度明らかに為るだろう)

 「香港人権法」は米議会上下両院で合計反対1票のみ、ホボ全会一致で可決された。米国史上でも極めて異例の法案可決と言える。トランプ大統領が拒否権を発動した場合、それが米国民の総意に反する決断と捉えられるだろう。氏はそこ迄政治的リスクを取る必要があるのか。
 それでもトランプ氏が拒否権を発動したとしよう。法案を議会に差し戻すと、3分の2以上の賛成はホボ間違い無いので、最終的に法案が成立するだろう。

 すると、トランプ氏は習近平氏にこう云う。「私は、貴方の為に、最大の努力をした。議会を敵に回してまで署名を拒否したのだ。残念な結果に為ったが、私は遣るべき事を遣った」これに習氏は何も言え無い。トランプ氏は恩を売って置きながらも、対中貿易交渉で最強のカードと為る「香港人権法」を手に入れる。
 一方、米中交渉が決裂して米国の農民が怒っても、トランプ氏は同じセリフを繰り返す。「私は対中強硬派では無い。議会で成立した法案なのだから仕方無い。私は遣るべき事を遣った」こうして八方美人で通す。

 2つ目のシナリオは、不作為。大統領は10日間黙って何もせず法案の成立を待つノミ。その可能性もある。少なくとも積極的に署名し無かった事で、或る種の融和姿勢を示すと。トランプ氏が言った。「We have to stand with Hong Kong, but I'm also standing with President Xi」(我々は香港人側に立た無ければ為ら無いが、私は習近平主席側にも立って居る)一見優柔不断、或は矛盾して居る様にも聞こえるこの発言をどう読むべきか。

 「我々」と「私」と云う2つの主体が使われて居た。それは異なる立場を表明して居る。こう解読したい。「我々米国は自由民主主義と云う大原則の元で、香港人側に立た無ければ為ら無い。一方、中国との経済的な利害関係も存在して居る事から、私は大統領として習近平氏側に立ち、通商交渉での合意を引き出す事も欠かせ無い」

 政治的原則と経済的利益は共に大事だが、ドチラを優先させるかが大変難しい。そこで大統領は敢えて不作為に徹し、法案の自然成立を待つと云うのも悪く無い選択と言える。

 3つ目のシナリオは、トランプ氏が法案に署名する事だ。それは、大統領が経済的利益よりも政治的原則を優先させると云う自身の姿勢を明示する事に為る。正義の味方と云う意味で世間から称賛されるが、今後の実務レベルでは苦しい立場に追い込まれる場面も出て来るだろう。

 米中関係は「臨戦状態」に突入する

 トランプ氏は老獪な商人政治家である。彼は諸々の利害関係を天秤に掛ける事が得意だ。勿論、米国議会の議員達も利害関係に疎い輩では無い。「香港人権法案」に関して、上院は全会一致で可決、下院は賛成471票・反対1票と云う圧倒的賛成多数で可決。これは何を意味するのか。2点程注目したい処がある。

 先ず1点目。唯一の反対票は誰が投じたのか、何故投じたのか。票を投じたのは、ケンタッキー州のトーマス・マッシー議員。マッシー議員はTV取材に、法案の90%に賛成して居ると強調し、残りの10%、詰まり他国への制裁に付いては一貫して反対する姿勢である為、今回も例外では無いと述べた。
 マッシー氏は議員の中でも異端児的な存在で、他国への制裁には兎に角反対の姿勢に徹して居るのも事実である。相手が中国だろうとイランだろうと関係無く。これを考えると、米議会上下両院は「香港人権法案」に対して全会一致と云う姿勢であったと言っても過言では無い。

 次に2点目。僅か2日間で上下両院、超党派のホボ全議員が法案に賛成票を投じたと云う異例の事態、その裏に何があったのか。
 上院も下院も当然、夫々独自の情報委員会や様々な情報チャンネルを有して居る。香港情勢をも好く把握し理解して居ると思われる。詰まりそれが既に緊急事態に迄発展し、最速で法案を可決し無ければ為ら無いと云う認識をホボ全ての議員が持って居たと云う事である。

 幾ら米国とは言え、親中派議員は居る筈だろうし、又中国の対米ロビー活動も活発に行われて居るだろう。中国から様々な形で利益を得て居る要人や利益団体の存在も無視出来無い。そうした中、全議員が一致して法案に賛成票を投じた事は何を意味するか。少なくとも、親中派と思われたく無い、親中派と思われたら拙いと云う状況があったのではないか。
 真珠湾攻撃後の米連邦議会に酷似して居る。当時連邦議会で只1人の女性議員ジャネット・ランキン氏が対日戦への反対票を投じた。これを見ると、米中関係は既に「戦争状態」少なくとも「臨戦状態」にあると認識せざるを得無い。米国政界のエリート達はその行動でこれを示唆して呉れたのである。

 中国側の反応を見てみよう。法案可決の一報を受けて、新華社を初めとする中国の国営メディアは僅か4〜5時間の間に30本以上の記事を出し、米国側に猛烈な抗議を行った。特に注目すべきは、中央電視台(CCTV)のニュース番組では「勿謂言之不預也」と云う言葉が使われた事だ。「事前に警告し無かったと言わ無い様に」と云う意味だ。
 この用語は、中国の外交用語であり、一般的に武力使用、或は広義的に宣戦布告に先立った最後の重大警告を意味する。歴史上この言葉は1962年の中印国境紛争、1967年の中ソ国境紛争(珍宝島事件・ダマンスキー島事件)、1978年の中越戦争と云う3度の戦争・武力紛争の前に使われて居た。

 為らば、米中のドチラも「臨戦状態」にある現状を認めた事に為る。
 


       11-28-11.png    

   立花 聡  エリス・コンサルティング代表・法学博士    以上









 【関連報道1】 中国、米に「断固報復」 香港人権法、大使に抗議

            
            〜共同通信 11/28(木) 15:46配信〜


     11-28-12.jpg

        記者会見する中国外務省の耿爽副報道局長 28日北京(共同)

 【北京共同】中国外務省の耿爽副報道局長は28日、米国で香港の人権や自治、民主主義を支援する「香港人権・民主主義法」が成立した事に対し「中国は強力な措置を取り、断固として報復するだろう」と言明した。
 楽玉成外務次官は米国のブランスタド駐中国大使を呼び出し「強烈な抗議」を伝達。米中対立の激化は必至で、貿易協議の先行きは不透明に為った。

 耿氏は28日の定例記者会見で、米国が同法を実行に移せば米中貿易協議を含む「重要分野の協力」に影響が出る事を示唆した。香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室等中国政府の他の関連部門も一斉に抗議声明を発表した。


                  以上








 【関連報道2】 「香港人権法」とは? トランプ大統領の署名で成立 

 中国は「成立したら報復措置」と強い反発 3分でおさらい


            〜ハフポスト日本版 11/28(木) 15:58配信〜

 アメリカのトランプ大統領は11月27日(日本時間28日)「香港人権・民主主義法案」署名し同法が成立した。同法は、香港の自治を保証する「一国二制度」が守られて居るか米国務省に毎年の検証を義務付け、香港での人権侵害に関与した政府関係者等に制裁を科す内容と為って居る。
 中国は強い反発を表明して居り、法案を成立した場合は報復措置を執る構えを示して居た。法案の成立によって米中間の緊張が一層高まり、両国の貿易協議に影響が出る事が予想される。

 「香港人権・民主主義法案」とは?

 「香港人権・民主主義法案」は、2019年6月に共和・民主両党の議員が超党派で提出。11月19・20日に上下院で賛成が圧倒的多数で可決された。香港では、1997年のイギリスから中国への返還に際し「一国二制度」の元「高度な自治」が50年間に渉って維持される事が約束された。法案は、中国がこの「一国二制度」を守って居るかどうか、米国務省に毎年の検証を義務付ける内容だ。
 アメリカは、1992年制定の「米国・香港政策法」で香港を中国本土とは異なる地域と見做し、関税やビザ発給等で香港を優遇して居る。毎年の検証に基づき、この優遇措置が妥当かどうか判断すると云う。又法案には、香港の自治や人権を侵害した人物に対し、アメリカへの入国禁止や資産凍結等の制裁を科す事も盛り込まれて居る。

 反政府デモを支援 中国は法案成立に反発

 法案は、香港で6月から続く反政府デモへの支援を明確にするものだ。法案提出者の一人であるマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、上院での法案可決に当たり「長年の悲願である自由を求めて戦って居る香港の人々に対して、我々は明確なメッセージを送った。我々は貴方々の声を聞き、貴方々と共に立ち上がり、貴方々の自治が損なわれる事に対して黙って居ません」と声明を発表した。

 一方、中国は法案に強い反発を示し続けて来た。中国外務省の耿爽・報道官は「法案が成立した場合には中国は断固として反撃し、主権や安全を守る」として、報復措置を執る構えを見せて居た。

 判断迫られたトランプ大統領 「友好的な解決を」と声明

 米中貿易戦争の収束を目指すトランプ氏は、拒否権を行使して法案への反対姿勢を示す選択肢もあった。11月22日にテレビ出演した際には「私は香港の人々と自由を支持する」としながら「習近平国家主席は私の友人だ」とも述べ明言を避けて居る。27日に署名をし、法案が成立した事で、貿易交渉は更に複雑化すると見られる。
 トランプ氏は声明で「習近平国家主席・中国、そして香港の人々に敬意を払い法案に署名した」と説明。「中国と香港の指導者や代表が、互いの相違を友好的に解決し、全ての人々の長期的な平和と繁栄に繋がる事を期待して居る」とコメントした。

 ロイター通信によると、中国政府は法案成立に反発し「断固とした報告措置」を取ると警告したと云う。香港政府は、同法の成立は香港の内政に「干渉」するものだとして非難した。


              ハフポスト日本版編集部   以上







低価格なのに高速・多機能・高セキュリティ
月額400円(税別)から最大容量100GB
WordPress専用高速サーバー Z.com WP










「桜を見る会」疑惑の仕掛け人 共産党・田村智子とは何者なのか?









  「桜を見る会」疑惑の仕掛け人 共産党・田村智子とは何者なのか?


            〜文春オンライン 11/28(木) 11:00配信〜


          11-28-8.jpg

              共産党の田村智子・参議院議員

 〜共産党の田村智子議員をご存知だろうか。「桜を見る会」問題の火付け役と云うと「アア」と思い出す方も多いかも知れない。11月8日の参議院予算委員会で「首相が後援会関係者を多数招待して居るのでは?」と追及。報道各社が一気に後追いを始めた。
 俄かに浮上した「桜を見る会」の私物化疑惑。4月に東京新聞が報じ、5月に共産党の宮本徹議員が支出額の増加や招待基準に付いて国会で質問。更に10月13日の赤旗(日曜版)がスクープ・・・だがその時点では、未だ追随するメディアは無かった。
 では何故、田村議員が火付け役に為ったのか? 田村議員の基を訪ね、疑惑追及の切っ掛けと今後、そして国会で話題に為る質問のポイントを探った〜



 地元後援会はツアー旅行の積りだから悪気が無い

 ・・・メディア取材が殺到して居るそうですね。

 田村 先週(11/18〜)は凄かったですね。「桜を見る会」野党追及チームが動き出した事もあって、毎日の様に取材が入って居ましたから。

 ・・・そもそも11月8日の参院予算委員会で「桜を見る会」を取り上げる切っ掛けは?

 田村 4月の東京新聞の記事があって。その後5月の宮本徹さんの衆議院での質問。その時は「芸能人をドンドン呼んで居るんじゃないか」位でした。只、それが切っ掛けで、うちの『しんぶん赤旗』が独自に取材を進めて、安倍総理の地元後援会の方に聞いて回ると皆さんツアー旅行の積りでお金も払って参加して居るから悪気が無い。色々お話が聞けてドンドン証拠が出て来て赤旗で記事に為った。

 ・・・それが10月13日。

 田村 ハイ。その記事を見て、これは是非私も国会で質問したいと考えて・・・内閣府の予算ですから、内閣委員会、菅官房長官宛てに質問する機会を何処で得られるかと狙って居て。臨時国会の内閣委員会での質問が10月31日に当初予定されて居たんです。
 そこで質問する積りで原稿も完成させて、質問通告も済ませたら、当日の朝に河井(克行)法務大臣が辞任して、全ての委員会が吹っ飛んだ。

 ・・・そうでしたか。

 田村 野党は「政治とカネ」の問題で2人の大臣が次々に辞めたので、予算委員会を要求して。それで参議院では11月8日に予算委員会が予定されたので「安倍総理に直接質問出来るじゃないか」と云う事で結果的にタイミングがバッチリ合ったんです。.

 赤旗の記者とは普段から情報交換して居る?

 ・・・10月13日の赤旗を見ましたが「安倍首相の後援会への便宜」「昭恵夫人の推薦枠」等問題点がその時点で網羅されて居る印象です。

 田村 その通りです。

 ・・・赤旗の記者の方は共産党の職員ですよね。普段から交流があるのですか?

 田村 党員である事が記者に為る要件です。日常的に記者の方と交流がある訳では無いのですが、国会で取り上げたいと思って居るテーマで、赤旗が追って居ると分かって居れば、記者さんに連絡を取って意見を聞きます。
 今回は私が記事を見て、記者さんに「資料を見せて貰えないか」「取材して文字にして居ない事を教えて欲しい」とお話を聞きました。







 無邪気なブログ「選挙のうぐいす嬢を呼びました」

 ・・・最初に問題を調べて居る時はどう思いました?

 田村 萩生田(光一)さん、稲田(朋美)さんを初め、出席者のブログも記者さんが好く押さえて居たので、それ等を見て行けば見て行く程分かり易い私物化だなと思いました。
 森友学園・加計学園問題の時は関係者が限られて居た。あるべき資料も捨てられたり、場合によっては改ざんされた。でも今回は隠しようが無い。皆が喜んでブログやTwitterに「桜を見る会に参加しました!」って挙げて呉れて居ますから。
 一番面白かったのは松本純さん(自民党国対委員長代理)の「選挙のうぐいす嬢を呼びました」と云うブログ。選挙でお世話に為る人を呼んで、何の迷いも無く投稿して居るのを見て無邪気だなと。

 ・・・その後、話題が大きく為りました。

 田村 「桜を見る会」は毎年テレビでも放映されて、旬の芸能人が安倍総理と一緒に映像に映る。皆さん何処かで見た覚えがあるので改めて説明する必要が無いんです。それに消費税を10%にした後でしたから「税金ってこう云う処に使われて居るの?」と云う庶民感覚での疑問が湧いたのが大きな要因だと思います。

 ・・・それ迄、東京新聞、宮本議員、赤旗が取り上げて。でも11月8日の田村議員の質問までは火が点きませんでしたね。国会質問する際に気を着けて居るポイントはありますか?

 田村 11月8日はテレビ中継が入って居ましたし、言葉遣いを含めて「耳で聞いても兎に角分かり易い」と云う事は気を付けて居ます。後は上から目線に為ら無い、喧嘩腰にはし無いと云う処でしょうか。

   動画

 26分間の質問がYouTube100万回再生

 ・・・田村議員の質問は26分間と云う長さですが、YouTubeでも可なり再生されて居ます。

 田村 共産党のチャンネルで24万回程、他に上がって居るものを合わせると100万回を超えて居る様です(11月27日現在)。昨日新宿西口で街宣したら若い人が「桜の人だ」って指差して通り過ぎて行きました(笑)拡散されて居るのを感じます。
         
 ・・・YouTubeで11月8日の動画を見ました。先ず、気が着いたのは「行き成り本題に入る」と云う処です。質問が始まって直ぐに「桜を見る会ですが安倍総理の元で参加者数、支出額が激増して居ます」と。

 田村 アラユル政策で予算をあれ程超える支出と云うのは普通認められ無いんですよ。同じ内閣府の予算で性犯罪・性暴力被害者の『ワンストップ支援センター』が47都道府県に作られて居て、夫々に対して助成金も出して居る。でも今年は予算が足り無く為っちゃって、当初約束した額を渡せ無いと。
 或は国家公務員の方だって、残業代は予算の範囲内しか出無いのでサービス残業が一杯ある。予算を抑える為にそう云う事が行なわれて居るのを沢山見聞きして居ます。それなのに「桜を見る会」は予算(1767万円)の3倍支出して居る(5519万円、2019年)
 これは有り得無い。私としてはそれが質問を準備して居る時の怒りの出発点なんです。ですからその怒りから切り込む事にしたんです。







 吉良よし子議員のパネルが分かり易かった

 ・・・後吉良よし子議員が、質問する隣で支出額やブログ等のパネルを出す役を遣られて居て分かり易かったです。

 田村 通常、委員会の質問では紙の資料を出席者に配布するんです。只予算委員会の様にテレビが入る時、パネルにすればNHK等は寄って呉れますから。見て居る方がより分かり易く為る。
 実はこれは先輩議員から受け継いだ日本共産党の伝統。今は当たり前に為って来ましたが、1970年代位から共産党ではパネルを作って居て。予算委員会の質問をする時には先ず「パネルどうする?」って云うのは職人的に考えながら遣って居ます。今回も「どう云うパネルにしたら分かり易いのか」「棒グラフ、折れ線グラフの使い分けをどうするか」等の相談を国対メンバーと行ないました。

 ・・・それと「大事なポイントを2回読む」と云うのも気に為りました。稲田朋美議員のブログを読み上げる際に「地元福井の後援会の皆様も」と云う処を2回読まれて居ましたね。

 田村 アレは最初サラッと読み過ぎちゃって「アッ」と思って、もう1回言い直したんです。私は早口な処がありますから、此処はチャンと伝え無きゃいけ無いと云う処は2回繰り返す。後はスピードの緩急ですね。畳み掛ける処はバーッと速く、でもココがポイントで質問にも答えて欲しいと云う処はユックリ目に、と心掛けて居ます。

「加計学園の時、YouTubeを意識し始めた」

 ・・・田村議員は2期目(2010年初当選)ですよね。そう云う事は最初から意識出来て居たものなんでしょうか。

 田村 そうですね・・・実は加計学園問題も取り組んで居て、その時にテレビ中継が入って居ない委員会でもYouTubeで見て頂けて居ると云う事が分かって。ですから「YouTubeで見て呉れて居る方に分かり易く」と云うのはその加計学園の時に意識が始まりましたね。2期目に入って余裕が出て来て、演出的な部分にも気が回る様に為ったかなと思います。

 ・・・伝え方は大事だと。

  田村 私も「成程」と思ったのはTwitterに「お酒飲みながら(国会中継を)見よう」と云う投稿があって。見て居て「これ面白いね」「気持ちがスカッとする」と云うのは結構重要なポイントだと思います。勿論重いテーマの時はスカッとする質問には為ら無いんですけど。

 ・・・「桜を見る会」問題での安倍総理の反応はどう見て居ますか。

 田村 11月8日の予算委員会で私の前迄はヤジも飛ばして居たのに、私が質問を始めた途端静かに為って、総理に向けて質問しても応え無い。痛い処を突いたのだろうなと。11月15日のブラ下がり取材で「次の質問は?」と記者の質問に応えたのも異例でしたよね。
 私が注目して居るのはそこでホテルとの関係に付いてばかり話し「桜を見る会」本体に付いては殆ど触れ無かった事。そこはヤッパリ弱点ナンだろうと思います。

 「ジャパンライフ」元会長を誰が招待したのか?

 ・・・これからのポイントは?

 田村 今週(11/25〜)はマルチ商法を展開し破綻した「ジャパンライフ」元会長が招待を受けて、それを宣伝に悪用した件を追及して居ます。2014年にこの会社は行政指導を受けて居るのですが、その後2015年に「桜を見る会」に招待されて居る。
 しかも個人宛では無くて、会社宛に送られた招待状だったんです。これ迄は誰が招待したか分から無かったのですが、内閣府の資料から「受付票に書かれて居る番号」を発見しまして、どうやら総理・副総理や官房長官等推薦者毎に番号が振られて居るらしいと。「ジャパンライフ」の元会長は「60番」が振られて居ました。それが誰によって招待されたものなのかと云うのを国会でも探って行きます。

 ・・・最後に、田村議員とお話しして居て、国会答弁でもそうですが、声が通る印象を受けました。学生時代は混声合唱団に入って居たそうですね。

 田村 そうです、小学4年生からズッと合唱を遣って居ました。発声法?は好く分かりませんけど、国会質問中も私の時はボリュームを落としますし(笑)
 早稲田大学時代に学費値上げが行き成り発表された事が切っ掛けで、共産党の学生活動を始めたのですが、一方で混声合唱団も続けて居ました。当時はバッハとか歌って居ましたから。 「ハンドマイクでの演説」「合唱」を二足の草鞋の様に。ですから声が通ると云うのは好く言われますね。



            11-28-9.jpg 

 たむら・ともこ 参議院議員 1965年長野県小諸市生まれ 早稲田大学第一文学部卒 2010年参議院初当選 2016年4月党副委員長就任 7月再選

    「文春オンライン」編集部 分 杉山拓也 文藝春秋   以上



 【管理人のひとこと】

 この国会TV中継を偶々見て居た管理人にも「この質問がコンナに話題に?」と思って居たのは不徳の致す処でした。田村議員の質問は、最後には議場のヤジと怒号の中で掻き消されたかの様に騒然と為ってしまったのです(動画を見てください)が、安倍氏は慌てフタメキ口から泡を飛ばす勢いで・・・
 確かに、税金を使った政府行事に(趣旨とは異なる)地元後援者を招待し、前夜祭と云う「安倍氏を励ます会」的宴会で盛り上がる・・・公私混同も甚だしい税金の私的使用・流用と指摘されるは最もなのです。流石の鉄面皮の安倍氏もグーの音も出無い訳です。
 しかし一番に恐ろしいのが「そんな詰まら無い事で総理を追求するのは大人気無い」として仕舞う無感動な人が大勢居る事なのです。私の不肖な女房もその一人でしたから。当時は何度もTVニュースで流された「当たり前」の出来事だったのですから。それもこれも、モリカケ問題の疑惑から逃げ続けた前科が在っての事なのです・・・アノ人は「その場紛れの嘘を平気で着く人だ・・・」と知れ渡ってしまったのですから、何を弁解しても空しく聞こえるのです。







ホームページ制作は京都のWeb制作会社、
株式会社アルク(aruku)の先端の技術とデザインを駆使して、ホームページの制作をいたします。
レスポンシブデザイン、SEO重視かつモバイルファーストでのホームページ制作で、制作後の運営やサポートもフルでお手伝いいたします。








問題だらけの「記述式」導入 何故文科省は固執するのか? 〈短期連載 狙われた大学入試 大学入学共通テストの問題点〉




 




 問題だらけの「記述式」導入 何故文科省は固執するのか?

 <短期連載 狙われた大学入試 大学入学共通テストの問題点>


          〜HARBOR BUSINESS Online 11/27(水) 8:32配信〜


       11-28-5.jpg

              文 清史弘(せいふみひろ)氏
 

 数学の切り口から共通テストの問題点を指摘

 〜2021年1月から、これ迄のセンター試験から大学入学共通テストに移行します。この新しいテストには、幾つもの重要な問題点があると言われて居ます。筆者の専門は数学ですので、この問題点を数学の切り口から解説します。
 共通テストの問題点に早くから気が付いて居る人は5年以上前から指摘して居ますが、メディア等の報道が増えたのは最近ですので、最近に為ってこの事を知ったと云う方も多い事でしょう。最近知った人、以前から気に為って居た人も此処を読めば判る様に解説しますので、どうぞお付き合い下さい〜


 今、何が起こって居るの?

 大学入試センター試験は1990年1月から開始しおよそ30年間、1979年1月から開始した共通1次試験から数えると40年程継続して実施されて来ました。
 この大学入試センター試験が、2020年度内の入試(実際は2021年1月実施予定)から「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」と記します)と云う新しいテストに変わります。

 この新テストでは、数学と国語に「記述式」の試験が新たに導入されます。この記述式の試験が、その必要性・公平性、そして、それを行う事によって周辺に与える学習環境等の変化に問題点があると多くの専門家が指摘して居ます。此処では、これ迄に行われた2回の試行調査を参考にしながら、共通テストのこれ迄を整理しましょう。
 先ず、この新テストの数学と国語で実施される記述式試験の概要を説明して置きます。数学と国語の試験が全て記述式に為る訳ではありません。ドチラの教科も試験の一部が記述式に為るのですが、形式面で違いがあります。

 国語は、200点満点の外に別枠として記述式の試験が設置され、それ等は段階的(5段階)に評価されます。
 これに対し、数学は「数学I」「数学I・数学A」の2科目に導入され、100点満点の内の3題15点分が記述式です。「数学II」「数学II・数学B」の試験には記述式は出題されません。なお、受検者は「数学I」「数学I・数学A」の何れかを選択し、その殆どは「数学I・数学A」を受検しますので、以下においては「数学I・数学A」の方を考える事にします。「数学I」に付いても問題点は変わりません。

 なお、数学の記述式は3題で計15点分出題される予定で、試行調査通りであれば、各5点ずつの配点で、どれも0点か5点かで点を与えるもので中間点はありません。又、記述式の採点に付いては、民間企業であるベネッセグループ傘下の学力評価研究機構が落札して居ます。この記述式試験の導入に付いて、主に次の様な問題点が指摘されて居ます。

  公平な採点が可能か
  自己採点が可能か
  一つの民間業者に任せて大丈夫か








 どの様な経緯で記述式が導入される事に為ったの?

 大学入学共通テストの原型は、高大接続特別部会(2012年9月〜2014年10月)の審議により、中央教育審議会の答申が2014年12月22日にマトメられました。
 その後、高大接続システム改革会議(2015年3月〜2016年3月)の後、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)検討・準備グループが発足し、2017年7月に大学入学共通テスト実施方針が出され、2019年6月に大学入学共通テスト実施大綱が出されて居ます。一連の過程で現在の大学入試センター試験の問題点を取り上げ、記述式以外にも、

  英語の民間試験の利用
  1点刻みの試験からの脱却
  複数回受検


 等も取り上げられました。共通テストに付いては、今現在、批判的な評価が多く為って居ますが、当時の掲げた理想は実施の可能性等を考慮しなければ決して悪い事ばかりではありませんでした。例えば「複数回受検」に付いては、次の様な考えがありました。

 〈大学入試の受験生は、1年の中で試験日 (2 日)だけ偶々体調が悪く、 実力が出せ無いだけで1年を棒に振る事に為る。体調不良以外にも実力がだせ無い事もあるであろう。その様な場合に次の1年を待たせるのは忍び無い。1年の中で複数回チャンスを与えるべきだ〉

 又「記述式試験」の導入に付いては、入試改革のキーワードである「思考力・判断力・表現力」を伸ばす為の具体策として取り上げられ、最初は数学と国語以外の教科に付いても検討をされました。

 導入の理由は「マークシートでは、受検者の力は量れ無い」と云うものでした。その理由の一つとして 「マークシートでは、マグレ当たりが起こってしまう」と云うものもありました。
 これは、簡単に言えば、答が好く判ら無くても4択であれば取り敢えずマークして置けば確率1/4で正答する事に為ると云う事です。「高校での学習内容を全く理解し無い人が受けても、100点満点中25点が取れる試験とは一体何なんだ!」と云う指摘です。
 なお、数学に関しては、現行のセンター試験でも数値をマークする方式ですので「マグレ当たり」は殆ど起こりません。この様な考えから、先ず、数学と国語の試験に記述式を導入する方針が立てられました。

 次々と変更・中止に為る改革案

 なお「英語の民間試験の利用」に関しては、2019年11月1日に延期が発表され「1点刻みからの脱却」「複数回受検」に付いては、その後次の様な流れを辿って居ます。先ず、1点刻みからの脱却に付いての流れを見ましょう。

 ★ 1点刻みからの脱却のその後 ★

 2017年の7月の実施方針迄は段階別成績表示にすると云う記載ありその後の検討・準備グループにおいて、矢張り素点が欲しいと云う意見が出る 1点刻みを残し参考情報として段階別成績表示も行うと為りました。

 1点刻みからは脱却せずに大学には素点を知らせ、必要があれば9段階に設定された段階別成績表示のどの位置にあるかも知らせる事に為って居ます。又、複数回受験に付いては、次の様な流れに為って居ます。

 ★ 複数回受検のその後★

 高大接続中間のマトメでは、CBT の技術が未だ確立して居ない事から検討が必要高大接続最終マトメの頃では、現実的に困難その後の会議で、英語の4技能評価や数学・国語の記述式試験を別の人に設定すれば複数回受検に為るんじゃない?「嫌々、幾ら何でもそれはダメだ」<span style="color:#FF0000;">⇒
2019年7月の実施方針で完全に消滅

 なお、これ以外にも小さな改革は残って居ますが、この「記述式」が廃止と為ると、これ迄30回程度開かれて来た会議の成果は殆ど無く為ります。加えて「記述式」問題の採点をする事で様々な効果を宛てにして文科省と行動を共にして来た民間業者も得るものが無く為ります。
 一方「記述式」を導入する事で教育の崩壊を危惧する専門家は、この「記述式」を認める訳には行かず、教育を考える専門家vs自己の利益を優先する政財界の一部と云う構図に見える状況が現在です。







 ★ここまでのマトメ★

   文科省は、共通1次試験から数えて40回余りの実績のある「大学入試センター試験」を廃止し、新たに「大学入学共通テスト」を実施しようとして居る。
  「大学入学共通テスト」には、発案当初は多くの理想があり、その中には良いものもあった。
  しかし、実施に向けての計画が曖昧な事もあり、多くは変更・中止を余儀無くされた。
  そんな中、最後に残ったのは、英語の「民間試験の活用」数学と国語の「記述式問題の出題」であったが、英語の「民間試験の活用」は2019年11月1日に延期が決定された。その結果、残るは「数学と国語の記述式問題の出題」だけに為った。ここを譲ると結局、これ迄何もし無かったのと同じに為るから文科省としては譲れ無い案件である。


          11-28-6.jpg

 文 清史弘 せいふみひろ Twitter ID @f_sei 数学教育研究所代表取締役・認定NPO法人数理の翼顧問・予備校講師・作曲家 小学校・中学校・高校・大学・塾・予備校で教壇に立った経験を持つ数学教育の研究者 著書は30冊以上に及ぶ受験参考書と数学小説「数学の幸せ物語(前編・後編)」(現代数学社) 数学雑誌「数学の翼」(数学教育研究所) 等

      ハーバー・ビジネス・オンライン   以上







 【関連報道】大学教授と予備校講師が指摘する「記述式試験」の問題点 一刻も早い中止を

            〜HBO編集部 バックナンバー 2019.11.16〜

 中京大学の大内裕和教授で作る「入試改革を考える会」は11月15日、大学入学共通テストの実施延期を求める緊急声明を発表した。11月1日には、英語の民間試験の2020年度実施が見送られたが「考える会」は共通テストそのものの実施を延期し、センター試験を継続する様訴えて居る。

 記述式の試験の採点、途中で採点基準の見直しが必要だが……11月15日に参議院議員会館で開催された集会では「考える会」から東京大学の中村高康教授や日本大学の紅野謙介教授等が登壇。近代文学が専門の紅野教授は「国語の記述式の試験は、本質を理解して居ない人達が作ったとしか思え無い」と批判する。

 「問題を作成する人は、作問の時点で解答例を幾つも作って置きます。それでも実際に試験をしてみると、受験者の数だけ多様な回答が出て来ます。どんなにシミュレーションしても、こちらが想定して居なかった様な回答をする学生が必ず出て来るんです。  
 実際の回答を踏まえて、採点の基準を見直し、見直された基準に沿って一から採点し直す。記述式の採点にはこうしたプロセスが必要なのですが、それを50万人規模で実施出来ますか?共通テストでは記述式の試験を中止した方が好いでしょう」

 
 数学は「記述式の意味が無い」と問題に為って居る

 大手予備校で物理を教える吉田弘幸講師も記述式を中止する様求めた。

 「数学の記述式の試験では、回答に至る迄の過程を確りと見る必要があります。それなのに共通テストの記述式では、最後の回答しか書かせて居らず、記述式の意味が無いんです。手書きにする事で判読がし辛く為り、採点ミスが増えるだけでは無いでしょうか」   

 数学の記述式の試験も国語と同様の問題を抱えて居る。作問した側が想定して居なかった解法が必ず出て来る為、答案を集めてから採点の基準を見直す必要があるのだ。吉田講師は「大規模な記述式の試験で公正な採点は不可能です」と話した。  
 又数学では、マークシートの設問にも問題があると云う。問題文に「太郎さんと花子さん」と云った登場人物の対話が導入された事で「数学の問題を解く前の段階で、冗長な前置きを読み解か無ければいけ無く為った」(吉田講師)のだ。 「この数学のテストで本来評価されるべき数学の能力を正しく評価出来るのでしょうか。共通テストは中止し、センター試験を継続して下さい」

 野党4党は記述式の中止を求める法案を提出

 共通テストの採点者はおよそ1万人に上るとされて居る。採点の業務を受託したベネッセホールディングス子会社の「学力評価研究機構」は、採点者に大学生や院生のアルバイトも含まれると明かした。  
 立憲民主党の初鹿明博衆議院議員は「短期間で採点を終わらせる為、事前に採点者に研修をすると云うが、採点者から情報が漏洩する危険は無いのか」と批判する。アルバイトを含めた1万人もの採点者から情報が一切漏れ無いと考える方が難しい。
 矢張り50万人規模で記述式の試験を実施する事そのものが無理なのだろう。立民と国民民主党、共産党、社民党の野党4党は11月14日、記述式の試験の導入を中止する法案を衆議院に提出した。英語の民間試験は見送りに為ったが、共通テストの実施が中止に為るまでは追及を緩め無い構えだ。


           取材・文 HBO編集部    以上






ホームページ制作は京都のWeb制作会社、
株式会社アルク(aruku)の先端の技術とデザインを駆使して、ホームページの制作をいたします。
レスポンシブデザイン、SEO重視かつモバイルファーストでのホームページ制作で、制作後の運営やサポートもフルでお手伝いいたします。







×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。