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2019年06月17日

小沢一郎ロングインタビュー  (1回〜2回)



 





 今夏の選挙で野党の勝敗を分けるものとは?

 <小沢一郎ロングインタビュー第1回>



   片田直久氏 2019.06.14 より引用します




 「結集」 小沢一郎氏が代表を務めた自由党のポスターにあった2文字が今、実現に向け動き出した。4月26日未明、国民民主党と自由党が合流を決定。野党統一候補の調整が進む中、今夏に行われる参議院選挙のカギを握る小沢氏に戦略・戦術を聞いた。


 




 枝野代表が決断すれば、野党の大同団結は直ぐに実現出来る



   6-17-2.jpg

    玉木雄一郎・国民民主党代表に請われ、総合選挙対策本部長相談役への就任が決まった。選挙実務への知識と経験に対する期待は党内に根強い。小沢一郎インタビュー1-1「野党は一つに纏まら無くては為ら無い」と訴え続けて居る小沢一郎氏。

 
 ・・・野党の参院選への取り組み、情勢をどう見るか。

 小沢(以下敬称略) まだまだダメですね。このママだとボロ負けしてしまう。何とか勝って、安倍内閣には退陣して貰わないと」

 枝野幸男・立憲民主党代表は5月17日、全国幹事長会議で「立憲の旗を高く掲げて戦うと同時に、野党第1党の責任として野党の勢力を最大化する」とブチ上げた。4月9日の衆議院沖縄3区補欠選挙での勝利を機に、枝野代表はそれ迄の慎重姿勢から一転。野党共闘に舵を切ったかに見える。

 小沢「野党が圧勝するかどうかは、全て枝野代表に懸って居る。枝野代表が決断しさえすれば、野党の大同団結は直ぐに実現出来ます。玉木代表も『枝野代表が旗を振るのなら、私は何時でも参加する』と言って居る。野田佳彦元首相も岡田克也元外相も、恐らく同じだと思います。
 枝野代表の『君子豹変』に期待するしかありません。 僕の役割は真の野党共闘に向けた雰囲気を作って行くこと。皆そう思って居ても、表立って口にする人はナカナカ居ません。或る調査によれば、立憲支持者の内『野党は連携して選挙に臨んだ方が好い』と考える人は8〜9割にも及んで居る。 そうした情報が枝野代表の耳にも少しずつ入って来て居るんでしょう。決断を促す様、国民から声が上がる様な方法を考えないといけない」


 




 選挙から足が遠のいている2000万人の存在


 参院選の結果は政権交代に直結はしない。だが、与党が敗れれば安倍内閣は退陣せざるを得無いだろう。衆議院解散の目は無く為った様に見えるが、仮に衆参同日選と為れば政権選択の選挙と為る。衆院選は「首相を選ぶ選挙」でもある。野党側は首相候補として第1党の党首・枝野氏を担いで戦う。

 小沢 2017年衆院選後の特別国会での首班指名選挙でも、僕等旧自由党の議員は枝野代表に投票した。代表とはその後、何度か会談しましたが、最終的に『立憲は立憲で遣る。自由党さんは自由党さんで遣って下さい』と為った。 これではどうしようもありません。
 次善の策として、並行して声が懸っていた国民民主党と話し合いを始め合併が実現した。これは第一歩と云うより、野党がまとまる一つの切っ掛けです」

 ・・・新聞やテレビが「安倍一強」を報じる中、小沢氏は「政権交代は100%可能」と断言して来た。

 小沢 根拠と為る数字は幾つかあります。民主党が政権を取った2009年の衆院選は投票率が約70%。それ以降はホボ50%前後に留まって居ます。20%近く、約2000万人が減って居る。恐らくは『政権交代が期待出来ない』と足が遠退いてしまったんでしょう。
 分析してみると、その内の7〜8割は自民批判票・野党票です。だから『政権が変わるかも知れ無い』と云う位、野党のカタマリが期待を集められれば、その2000万人が投票所に来ます。そう為れば、野党は絶対に圧勝出来る。それだけのことです。

 ・・・2009年衆院選で自民党は約1800万票を獲得。直近の2017年衆院選でも1800万票。一方、2017年衆院選では立憲民主党と旧希望の党の得票が合計で2000万票を超え自民党を上回って居る。しかし、今年5月に行われた共同通信社の世論調査によれば、新生国民民主党の支持率は僅か0.9%。参院選に弾みを着ける秘策はあるのだろうか。


 




 日常の政治活動を「古い」と言ってしまうようでは、政権は獲れ無い

 
 小沢 選挙戦術的な面から言うと、旧民主党系の皆さんは日常の政治活動が足りません。これでは勝てる訳が無い。自民党は兎に角、日常活動を一生懸命遣って居ます。冠婚葬祭や小さな集会にも顔を出し、街を歩いて有権者一人一人と握手して支持を訴える。『この点だけは自民党に学べ』と僕は言い続けて居るんです。
 処が『それは古いヤリ方だ』と反論されてしまう。『日常活動をしないで、どうヤッテ有権者と意思疎通するんだ?』と聞くと『インターネットを使います』と言う。でも、人間はデジタルじゃ無くアナログな存在です。直接話さ無ければ、国民の気持ちは判りません」

 ・・・小沢氏には忘れられ無い思い出がある。20数年前に訪英した時のこと。ロンドンで月曜日に会談した当時の外相がこう言った。

 小沢 「先週の金曜日には中東を訪問しました。帰国後、土曜日、日曜日は選挙区で運動。今朝戻って、貴方方と会っている」小沢氏は驚いた。「現職の閣僚でもそんなに選挙活動をして居るんですか?」外相は即答した。「当然です。選挙民と接触し、意思疎通をするのは民主主義の基本。政治家の側から言えば、当然払うべきコストです」
 議会制民主主義では先端を走って居ると言われる英国。保守党だけで無く、労働党の国会議員も地元での活動は精力的に行って居る。当選回数1〜2回の皆さんを、一度英国に連れて行きたい位です。日常の政治活動を『古い』と感じてしまうようでは、政権は取れません。

 ・・・小沢氏は自民党時代、農協や医師会等の推薦を受けた事は無い。党幹事長に為っても、組織・団体票とは無縁の選挙戦だった。

 小沢 組織・団体票はそれ程充てに為りません。それよりも自分自身の人間関係を作り上げること。その為にも、日常の政治活動は遣らざるを得無いものなんです。


 




「オリーブの木」方式で一体と為って戦えば、野党は負ける訳が無い


 ・・・自民党の選挙戦を差配するのは二階俊博幹事長と甘利明選挙対策委員長。小沢氏の目には古巣の選挙戦術はどう映っているのだろう。

 小沢 過つての自民党では幹事長の下、総務局長が選挙戦を全て指揮して居ました。総務局長は経理局長と並んでエリートコースだった(小沢氏は総務局長、幹事長を歴任)。少なくとも、過つての総務局長は大変な権限を持って居たし、実力が要求されました。でも、最近では何でも官邸主導。選挙対策に限らず、自民党の各部署は色褪せてしまったんじゃないでしょうか。

 ・・・自公政権の目的は「政権に在り続ける事」の様にも見える。一方、野党側にも政権への執着心、政権を奪って遣ろうと云う気概は感じられ無い。

 小沢 この点も学ばないといけ無い。品の好い言葉で言えば“志”、少々イメージの悪い表現を使うと、“欲”が必要なんです。現実の政治にはそうしたものが無ければ為ら無い。そうで無いと、綺麗事だけの世界に為ってしまいます。哲学や文学の本を読んで居るのと変わら無い。これでは政治はヤレません。

 ・・・参院選での野党の課題は、32ある1人区の候補者一本化だ。既に30選挙区で作業が終わって居る。更に衆参同日選と為れば、衆院小選挙区の一本化も必要と為る。 

 小沢 衆参ドチラであれ、野党が一本化すれば勝てるかと云うとそうでは無い。2016年参院選では27の1人区で野党統一候補が実現しました。でも11議席しか取れ無かった。矢張り、選挙区も比例区も野党は一つのグループとして、一体と為って選挙に臨まないといけません。俗に言う『オリーブの木』方式です」

 ・・・「オリーブの木」は1995年、イタリアのベルルスコーニ政権を打倒する為に12党が参加した緩やかな連合体。翌年の総選挙で勝利し、プロディ政権が誕生した。

 小沢 既存の政党はそのままで参院選の届け出政党を『オリーブの木』方式で結成する。野党候補は選挙区も比例区も全員が『オリーブの木』の名の下に戦う。そうすれば負ける訳は無い。現時点で、野党票の方が自民党より多い訳だから。これに足が遠退いてしまって居た層が加われば、必ず圧勝します」


 




 
 「このまま行けば恐ろしい事に。安倍内閣は“亡国の政権”だ」

 <小沢一郎ロングインタビュー第2回>



  片田直久 2019.06.17より引用します


 野党統一候補の調整が進む中、今夏に行われる参議院選挙のカギを握る小沢氏に戦略・戦術を聞いた。


 




 安倍首相ではトランプ大統領に太刀打ち出来無い


 ・・・安倍政権は元々「戦後レジームからの脱却」を掲げて発足した。だが、その対米従属振りは歴代自民党政権の中でも際立って居る。国賓として5月25日に来日したトランプ米大統領は、ゴルフや大相撲観戦、炉端焼き、新天皇との会見と連日の「接待外交」で持て成された。

 小沢 僕はトランプ大統領と話したことはありません。只、言動を聞いて居ると、或る意味では異色の大統領。思ったことを率直に口にする人物の様です。ハッキリして居るのは、安倍政権を信用する気持ち等、これっポッチも無い事。それが彼の流儀。欧州の同盟国に対しても平気で注文を着けて居ますから、ましてや日本には猶更(なおさら)です。利用出来る時だけ利用する。
 非常に友好的に見えるのは、日本がアメリカのモノを買って呉れて居るからです。貿易交渉も今は中国とやり合って居ますが、風向きが変われば矛先は直ぐに日本に向く。『アメリカファースト』一辺倒なので、手強(てごわ)いと言えば手強い相手です。安倍首相ではとても太刀打ち出来ません。


 




 富の公平な配分、国民の暮らしを第一に考える政権を


 ・・・小沢氏はこれ迄記者会見等の場で安倍政権について「基本的な政治への認識が野党とは全く違う」と批判して来た。改めて現政権の問題点とは何か。

 小沢 先ずは政治の基本的な理念。安倍政権は競争第一・優勝劣敗・弱肉強食と云う考え方です。これは最早政治とは言えません。初期の資本主義国家では貧富の差が拡大し、『これでは社会が持た無い』と云う処まで行き着いた。そこから労働法を作り、社会保障制度が出来て行きました。
 英国では『ゆりかごから墓場まで』で知られる手厚い福祉国家が実現した。資本主義は民主主義と云う政治体制と一体と為り、生き延びて来たんです。処が、安倍政権の進める新自由主義は、もう一度原始資本主義の頃に戻そうと云う考え方。規制撤廃の名の下に、セーフティーネットを次々と潰して来た。これは時代の流れに逆行した、政治の本質とは全く反する動きです。絶対に許しては行け無い。

 ・・・小沢氏は民主党代表時代、小泉純一郎首相や竹中平蔵経済財政担当相(当時)の構造改革路線に対し「国民の生活が第一」をスローガンに掲げた。この言葉は民主党が2012年に消費増税を巡って分裂すると、そのまま新党の党名に為っている。小沢氏の政治家としての師である田中角栄元首相も「政治とは何か。生活である」との言葉を遺した。

 小沢 野党が目指すのは国の富の公平な配分。国民の暮らしを第一に考える政権、政治体制を打ち立てなければ為りません。


 




 都市と地方、正規雇用と非正規雇用、様々な格差を解消して行きたい


 ・・・日本は米国、中国に次ぐ世界第3位の経済大国で在りながら、先進国の中でも貧困率の高さで知られる。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、7人に1人が貧困の最中にある。母と子の一人親世帯では半数以上が貧困に苦しんでいる。

 小沢 安倍政権が新自由主義的な政策を執り続けた結果、日本中で様々な格差が広がって居ます。都市と地方の格差。正規雇用と非正規の格差。社会保障制度でも給付が減り、負担だけが増えて生じる格差。
 都市部では非正規雇用であっても、それでも未だ余裕があります。当面の生活に困って居る訳では無い。だから、20〜30代の層は元々投票率が低い。投票に来ても『今のままで好いじゃないか。折角給料も出て居るんだから。野党は余計な事を言わ無いで呉れ』と云う考えで、与党を支持して居る人も多い様です。僕はその人達に言いたい。『景気が悪く為ったら、真っ先に首を切られるのは皆さんですよ』と。

 ・・・今や就業者の約40%が年間300万円以下の収入しか無い。生活保護水準以下の者は20%以上を占める。その多くは40歳未満。相当数が健康保険に未加入で、年金保険料を払って居ない。彼等の声を代弁する政党は見当たら無いのが現状だ。新生国民民主党が「ロストジェネレーション」の支持を取りつけて行くには何が必要なのか。

 小沢 発想を転換して思い切った政策を打ち出さ無ければいけません。僕は非正規雇用のクオータ制導入を考えています。クオータ制とは企業の雇用に一定数の割り当てを設ける制度。女性やマイノリティーの社会進出を促し、働き易い社会を作る事を目指すものだ。
 『非正規をゼロに』と企業に要請するのは現実的とは言えません。『非正規を正社員並みの待遇に』と言っても、事態が進展するとは思え無い。コストダウンの為に経営者は非正規を増やして来た経緯があります。
 企業も雇用を守ら無ければ為ら無いので、コスト意識には敏感です。だったら「非正規は0%まで」と上限を定めれば好い。パーセンテージは議論するとして、政権交代したらこの非正規クオータ制を法制化したいと僕は思っています。


 




 こんなバカな政治は早く辞めさせないといけ無い


 ・・・中国経済の落ち込みもあり、世界的な景気後退局面の到来が指摘されて居る。特に深刻なのは地方だ。小沢氏の地元も決して例外では無い。

 小沢 僕の生まれ故郷は岩手県の旧水沢市。合併して現在は奥州市と為りました。人口は11万9000人ですが、毎年1000人ずつ減少して居ます。出生率・死亡率が今のママだと、2100年には日本の人口が現在の半分以下の5000万人に為ります。奥州市の人口はその頃8万人減で2〜3万人。半分以下処の騒ぎではありません。しかも大半が高齢者。これでは地域社会は成り立た無い。


 地方の現状を知るだけに小沢氏の憂慮は深い。言葉を選びながら吐露した。


 小沢 こんなバカな政治は本当に早く辞めさせないといけない。このママ行けば、恐ろしい事に為る。安倍内閣は“亡国の政権”です。
 国の統治もタガが緩んで来ている。安倍首相の資質と長期政権によるタルミによるものだろう。森友学園問題・加計学園問題・統計不正と、過つてなら一発で内閣が吹っ飛ぶ程の不祥事が相次いで居るにも関わらず、政権は安泰だ。

 安倍内閣の閣僚や与党幹部は何かあると、全部官僚の所為にします。これでは誰も着いて来ない。役人も『それなら、一番無難な現状維持で。余計な事はしないで置こう』と為る。政治家が確りした展望と姿勢を見せ、責任を取りさえすれば、霞が関は着いて来ます」


 【小沢一郎氏プロフィール】

 1942年岩手県水沢市(現奥州市)生まれ。1969年、自民党公認で衆議院選挙に出馬し、27歳で初当選。田中角栄氏の薫陶を受ける。1987年に竹下登、金丸信氏らと経世会を旗揚げ。’89年に幹事長に就任するなど若くして自民党の要職についたが、1993年に自民党を離党し細川連立政権樹立に尽力。2009年の鳩山政権では幹事長に就任。2012年、民主党を離党し自由党を結党するも2019年に国民民主党へ合流。今年12月28日、在職50年を迎え名誉議員となる。

                文 片田直久  以上


 






 【管理人のひとこと】


 政界の壊し屋・・・と恐れられた小沢さん。どうも、彼の本心は多くの人から疑心暗鬼を持って迎えられてしまう。それが、彼の弱点であり又強みでもある。「何をし出かすか判ら無い恐怖」に怯え無くては為ら無いからだ。
 政界の過去の風雲児・・・と、今や余り表に出て来ず何をして居るのかの疑心も、最近国民民主党との連立で顔を出す機会が多く為って来た。このインタビューもその一つの表れだろう。過去の人では無いにしても、検察からの横槍で民主党政権の一時期に彼を襲った「政治的陰謀」に足を掬われた。秘書を含め無罪に為ったが、その影響は生涯彼に付き纏う。個人的には離婚まで迫られてしまった。

 「隠れ小沢ファン」は一定数以上存在するのだろうが、彼は「大風呂敷」を広げ無い数少無い「無口」の人でもある。陰に廻って色々な画策を巡らす「参謀本部要員」の大幹部として恐れられる。今回自由党を解党し国民と一緒に為ったのを機会に、山本共同代表と分離した。小沢氏の政治信条は山本氏の心情にも引き継がれ、その内容はホボ同じだ。
 山本氏が表に回り動き回り陰で小沢氏が支える・・・と見るべきかどうかは判らないが、野党がまとまらなければ惨敗する・・・これは誰が見ても納得する。その危機感をどの様に投票行動へ結び付けられるか、それが今回のキーと為るだろう。



 




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2019年06月16日

日本の経常収支は赤字に為るのか? 輸出頼み国家脱却へ



 





 日本の経常収支は赤字に為るのか?

 輸出頼み国家脱却へ


  LIMO 6/16(日) 20:20配信より引用します


 日本の経常収支は赤字に為るのか? 輸出頼み国家脱却へ



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           久留米大学商学部の塚崎公義教授


 




 少子高齢化によって、日本は輸出に頼ら無い国に為って行く、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。


 従来は輸出が命綱だった


 戦後の日本は、外貨が決定的に不足して居ましたから、資源を輸入する為の外貨を輸出で稼ぐ必要がありました。従って、米国が不況に為って対米輸出が減ると、外貨が不足して大変困った訳です。「米国が風邪を患うと日本は肺炎に為る」と言われたものです。

 その後、高度成長期には輸出産業が成長して輸出が増え、日本経済の外貨不足は解消しましたが、高度成長が終わると今度は需要不足に悩む事に為りました。内需が弱いので、需要としての輸出が必要に為ったのです。
 バブル期には珍しく需要超過でしたから「輸出が減ったら国内で売れば良い」と云う事で、海外の景気等に付いて気にする人は少なかったのですが、バブル崩壊後の長期低迷期には内需が本格的に不足して居て、輸出が景気の命綱と為ったのです。

 アベノミクスで労働力不足に為るまでの間、ITバブルの崩壊やリーマン・ショックと云った海外からのショックで日本経済は何度も翻弄された訳です。輸出が減って輸出企業の雇用が減ると、失業した人が所得を失って消費を減らすので、更に景気が悪化すると云う悪循環が生じたのです。


 




 労働力不足で悪循環が生じ難く為った


 今は少子高齢化による労働力不足とアベノミクスによる好景気の相乗効果で、大幅な労働力不足と為って居ますが、10年も経つと少子高齢化が進む為「好況だと超労働力不足、不況でも少し労働力不足」と云う時代に為るでしょう。
 そう為ると、需要としての輸出の重要性は低下して来ます。輸出が減って輸出産業が雇用を減らしても、そこで失業した人は容易に別の仕事を見付ける事が出来る様に為るからです。失業者が消費を減らして更に景気を悪化させる、と云う悪循環が生じ難く為るのです。

 今後は寧ろ、輸出企業が労働力不足で生産を増やせず、仕方無く海外に工場を移転する、と云う事も起きるかも知れません。そう為れば、これ迄の輸出に関する考え方を根本的に見直す必要が出て来るかも知れません。


 




 需要としての輸出が不要なら、円高も怖く無い

 「円高だと輸出企業の利益が減って景気に悪影響が出る」と言われますが、これは二つに分けて考える必要があります。「輸出数量が減って製造業の生産が減って雇用が減る効果」「輸出企業が持ち帰った外貨が安くしか売れ無い効果」です。

 前者に関しては、今後は従来程気に為ら無いと上に記しました。後者に関しては、実は今でも全く気に為ら無いのです。それは「輸出企業が持ち帰った外貨が安くしか売れ無い分と、輸入企業が支払いの為のドルを安く買える分が概ね等しい」からです。
 デフレ気味の経済であれば、円高により輸入物価が値下がりしてデフレを深刻化させてしまう可能性もありますが、少子高齢化による労働力不足で賃金が上がりつつありますから、デフレが再燃する可能性は高く無いでしょう。


 




 経常収支の赤字転落は、可なり先の話


 「海外の景気が悪化して輸出でき無くても、日本経済は大丈夫」だとしても、今度は「労働力不足で輸出が出来無いから経常収支が赤字に転落する」と云うリスクは無いのでしょうか。

 リスクが無い訳ではありませんが、赤字転落は、可なり先の事だと思われます。現在の経常収支黒字は大幅ですから、輸出が2割以上減っても大丈夫だと云う事もありますが、今ひとつ重要なことは、海外での工場建設、即ち海外直接投資が増えると云う事です。
 これ迄の日本は、海外から稼いだ外貨で主に米国債を購入して居ましたが、最近では直接投資で海外に工場を建てる様に為って居ます。そして、直接投資の方が米国債投資よりも収益率の期待値が高いのです。

 直接投資は儲かるか損するか分かりませんから、投資する際には慎重に為ります。詰まり、証券投資と期待値が同じ為らば、その投資案件は実行され無い訳です。これを逆から考えれば、実行された投資案件は、利益率の期待値が証券投資より高い筈だ、と云う事に為ります。
 実際、近年の国際収支関連統計を見ても「直接投資収益を直接投資残高で割った値」「証券投資収益を証券投資残高で割った値」よりも高く為って居ます。
 それに加えて、海外に工場を建てると、海外の子会社から本社に「知的財産権等使用料(特許権使用料等)」が支払われます。これも、金額的には相当大きなものです。従って、今後は輸出が減る一方で、直接投資収益と特許料等の収入が増えるので、経常収支は簡単には赤字に為ら無いと考えて良いでしょう。


 




 経常収支が赤字に転落しても大丈夫


 将来、経常収支が赤字に転落して、日本政府の借金が国内でファイナンス出来無く為ったら、詰まり政府が外国から借金をし無ければなら無く為ったら大変です。しかし、そうした事には為りそうもありません。経常収支が赤字に為っても、日本は巨額の対外純資産を持って居るので、それを取り崩して行けば良いのです。
 更には、経常収支が赤字に為ると為替レートが円安に為る為、輸出企業の採算が向上します。そう為ると、「高い給料で労働者を雇っても儲かるから、大幅に賃上げをして他の産業から労働力を奪って来よう」と云う輸出企業が増えるでしょう。その結果、輸出企業の生産が増え、輸出が増え、経常収支の赤字は短期間で解消する事に為るかも知れませんね。

 本稿は、以上です。尚、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。又、厳密さより理解の容易さを優先して居る為、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

 塚崎 公義 以上



 





 【管理人のひとこと】


 日本は輸出企業だけで成り立って居るのか? 為替相場は円高を異常に警戒して居るが、それは正しいのか? の疑問を語って居る。私達は学校で「我が国は原料を海外から輸入し加工し輸出して生きて来た」の様に教わって来た。だから海外からの石油や鉄への依存が大きく、禁輸されると「これでは、日本は遣って行け無い」と戦争へと雪崩れ込んだ訳だ。明治以来、戦争を経て平成から令和の時代もそれは未だに変わら無いのだろうか? への疑問でもある。
 しかし加工は大国中国へと持って行かれ、日本は今後何をして食って行くのかの悩みである。知的所有権の増加は一概に望めず、ブロック経済化への移行で国際的なものの流通増加も望め無い。それには、少しでも内需型経済へと重心を移すしか無い訳だが・・・果たして少子高齢化で人口減少が進む我が国の内需が拡大する事を望めるのだろうか?

 政策として経済発展に重心を置きながら、それに敗れ先進国で最悪の状況の我が国が、今後何を目指して行くのか? その大きな問いに答えるのは政治でしか解決出来無いのだろう。国の将来のビジョンを描き国民に共感を与える政治家を、私達が作らねば為ら無い・・・と言ってる様である。



 










2019年06月15日

トランプ政権の標的は「中国」では 無く「中国共産党」



 


 
 

 トランプ政権の標的は「中国」では無く 「中国共産党」 

 自由VS抑圧 国家の理念を懸けた戦い



           6-15-3.jpg

          長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)氏



 6/15(土) 16:56配信 夕刊フジ 【ニュースの核心】より引用します


 




 米国が中国との対決に本腰を入れ始めた。今や貿易戦争から「国家の理念を懸けた戦い」に突入しつつある。それが明らかに為ったのは、米国防総省が6月1日に発表した「インド太平洋戦略報告」だった。2019年版と銘打っているが、こうした報告が出たのは初めてだ。中身を見ればそれも頷ける。「中国にどう対処するか」が、米国の安全保障に取って最重要課題に為って居るからだ。

 米国は、中国をどう見ているのか。報告は「自由vs抑圧」と云う「世界秩序を巡るビジョンの地政学的な戦い」こそが安全保障上の主要な懸念と位置付けた。言うまでも無く「抑圧勢力」は中国であり「自由の守護神」が米国と云う認識である。
 米国がこうした対立構図で特定国を位置付けるのは米ソ冷戦以来だ。1947年、当時のハリー・S・トルーマン大統領は「ソ連は恐怖と圧政で成立して居る。米国は外圧による征服に抵抗する自由な諸国民を支援する」と演説して、ソ連との冷戦開始を宣言した。有名な「トルーマン・ドクトリン」である。

 今回の報告はそれと同じ言葉遣いで、中国との戦いを定義した。言わば「トランプ・ドクトリン」と言っても好い。これだけ見ても、米国が中国との戦いを「自由と云う国の理念を懸けた新冷戦」と捉えて居る事が分かる。
 こうした認識は、実は2017年12月にホワイトハウスが発表し、ドナルド・トランプ大統領が序文を書いた国家安全保障戦略にも、控えめながら登場して居た。そこで、米国が直面している課題は「人間の尊厳と自由に価値を置く勢力と、個人を抑圧し画一主義を強制する勢力との根本的な対立」と記して居たのだ。
 トランプ政権は当初から、中国との対決を「自由を抑圧する勢力との不可避の戦い」とみて、周到に準備して来た。貿易戦争は飽く迄国民の支持を得る為の入り口に過ぎず、戦いの核心は「自由か、それとも独裁者による抑圧か」だったのだ。

 報告でもう1つ、注目されるのは、中国を名指しするのに「中国共産党が支配する中国」と注釈を付けている点だ。それは次の記述にも表れている。

 「国民が自由市場や正義・法の支配を渇望して居るにも関わらず、中国共産党が支配する中国は、自国の利益を貪る事によって、国際システムを傷着けると同時に、ルールに基づく秩序の価値や原則の数々を侵している」

 ここでは「善良な国民」と「悪玉の共産党」をハッキリ区別して居る。トランプ政権が戦って居るのは中国と云う国では無く共産党なのだ。
 そんな中国にどう立ち向かうのか。報告は、日本や韓国・オーストラリア・フィリピン・タイと言った同盟国の他、シンガポール・台湾・ニュージーランド・モンゴル・インド等20カ国の名を挙げて、米国との連携強化を唄い上げた。一言で言えば「中国封じ込め」である。
 米国は本気だ。日本も「貿易戦争でどう為る」等と「損得勘定」ばかりに走って居られ無い。国家戦略を根本から練り上げる時だ。


 




 長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。
 政府の規制改革会議委員等の公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア−本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。



 【参照記事】

 
  長谷川幸洋「ニュースの深層」過去版



 集団的自衛権巡る左派勢力の主張と過つての軍国主義の思考様式がソックリである


 集団的自衛権を巡る現在の左派勢力の主張と、軍国主義時代の日本軍部や暴走官僚の思考様式には、実は瓜二つの共通点があるのではないか。共に揺れ動く世界情勢を正しく認識せず、自分達の勝手な思い込みで日本の針路を論じ、又決めようとして居たのだ。
 こう言うと、左派勢力は「我々コソが平和を守る勢力だ。無謀な戦争を始めた軍国主義者達と一緒にするとは何事だ。フザケルな!」と目を剥いて憤慨するだろう。ま、そう居切り立たずに、どうか落ち着いて読んでいただきたい(笑)。

 日本に対する脅威の「評価」を素通りする左派勢力

 そう感じた切っ掛けは、集団的自衛権の限定的行使を容認した先の与党安保協議を巡る一連の新聞社説である。分かり易い例として、東京新聞を挙げると「安保法制与党合意『専守』変質を憂う」と題して、次の様に論じて居た。(私は東京新聞論説副主幹を務めて居るが、この社説の内容に反対である)

 東京新聞社説

 安全保障法制整備に関する与党合意は、自衛隊による海外活動の大幅拡大に道を開く。戦後日本が貫いて来た専守防衛政策を変質させる危うい一歩だ。国民の命と財産、平穏な暮らしを守り抜く事は、国民の負託を受けた政府の使命であり、万一、それ等を脅かすものがあれば断固として排除するのは当然だ。
 しかし、攻撃を受け無ければ反撃せず、増してや他国同士の戦争に参戦して海外で武力の行使はしない。そうした「専守防衛」は、日本国民だけで三百十万人の犠牲を出した先の大戦の反省に基づく国際的な宣言であり、戦後日本の生き方そのものでもある(東京新聞、3月21日付。http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015032102000185.html以上


 ここで注目するのは第2パラグラフである。「国民の命と財産、平穏な暮らしを脅かすものがあれば、断固として排除するのは当然」と言う。まさにその通りだ。社説は具体的な国名を挙げていないが、日本に取って目下の脅威は中国と北朝鮮だろう。
 ソモソモ集団的自衛権の議論は目前に指し迫った脅威があったからコソ始まった。中国の漁船や公船が尖閣諸島を脅かし、北朝鮮は核開発とミサイル発射で隣の韓国と共に日本を繰り返し威嚇して居る。それは、誰もが感じている通りだ。

 集団的自衛権の問題を含めて、安保防衛政策に対する評価は「脅威への評価」が大前提に為る。処が、社説は議論の出発点である脅威について「脅かす者が在れば排除するのが当然」と当たり前の一般論を一言、指摘するに留まって居る。脅威をどうみるかは事実上素通りなのだ。
 社説は続いて「平和国家の理念が揺らぐ」「集団的自衛権行使の要件を満たすかどうかは政府の裁量が大きい」「自衛隊活動が際限無く広がる」等と論じて居る。視線は専ら安倍晋三政権の集団的自衛権問題に向けられ、議論の前提である日本に対する脅威がどれだけ指し迫って居るのか、と云う現状認識や評価は全く出て来ない。

 同じことは朝日新聞についても言える。朝日は「安保法制の与党合意際限無き拡大に反対する」と題した社説(3月21日付。http://digital.asahi.com/articles/DA3S11661511.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11661511)で「中国の軍事的な脅威に備える必要はあろう」と一言、書いた。「中国の軍事的脅威」と名指ししただけ東京新聞よりはマシだが、それでも脅威の評価は無いも同然だ。


 共産党の幹部の方が未だ議論が成立する


 因みに、右派の産経新聞がどう書いたかと言えば「周辺国の力による現状変更の動きに日米同盟の充実で対峙(たいじ)する事に加え、これ迄手がけられ無かった国際社会との連携が強化される。これによって窮地に立った友軍や文民を助け出す等の当たり前の事が実行出来る」(同。http://www.sankei.com/column/print/150321/clm1503210001-c.html)と云う具合だった。

 読売新聞は「中国の急速な軍備増強や一方的な海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発、国際テロの脅威等、日本の安保環境の悪化に対応するのに有効である」と明快である。(同。http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150320-OYT1T50150.html

 読売は中国や北朝鮮の動き、更にテロが日本に取って脅威であり、安保環境は悪化したと評価した上で、対応策である集団的自衛権の行使を容認した安保法制の中身を評価・分析して居る。これが本来の議論ではないか。

 東京や朝日は肝心の脅威に対する評価が無いまま、対応策である安保法制だけを捉えて「自衛隊の際限無き拡大だ」等と批判して居る。百歩譲って「対応策=集団的自衛権の行使容認はダメだ」と批判するのは認めたとしよう。
 そうだとしても、それは「ソモソモ脅威は無いから」とか「中国も北朝鮮も話せば分かる筈だから」とか、政策評価の前提に為る現状認識を披露して貰わ無い事には議論に為ら無い。繰り返すが、あらゆる政策(=対応策)は現状認識が出発点であるからだ。

 もしも「脅威の存在は認めるが対応策がダメだ」と云うなら、そこで初めて「では政策のどの部分がダメなのか」とか「代わりにどう云う政策があるか」と言った建設的な議論が始まる。処が、東京の様に「脅かされたら排除する」だけでは、当たり前過ぎて話に為ら無い。こう云うのを論理も中身も無い空理空論と云う。
 中国は現実に尖閣諸島を脅かして居るではないか。北朝鮮も同様だ。この脅威をどう排除するか、が問われて居るのだ。それとも中国は尖閣諸島を脅かしていない、と云うのだろうか。そうならそうと明言して貰いたい。

 現状認識を欠いた姿勢は東京や朝日新聞に限ら無い。左派勢力一般に共通している。今日本を脅かす脅威が在るのか無いのか、在るとすればどの程度かと言った現実を踏まえた議論を抜きにして、或は目を瞑って、政策だけを捉えて「好戦的だからダメ」等と批判している。
 ちなみに、私は小池晃副委員長初め日本共産党の幹部達とテレビやラジオ番組で何度も議論した。彼等は中国や北朝鮮の軍事的脅威はそれ為りに認めても「外交努力が必要」と云うだけだ。私は全く賛成出来ないが、それはそれで議論に為り得る。

 彼等は外交で解決出来ると信じて居るらしいが、私は軍事的な対抗力(=抑止力)が必要と考える。これは現状を踏まえた意見の違いだから、賛成は出来ないが少なくとも理解は出来る。


 




 満州事変は軍国主義者の状況把握の間違いから始まった


 だが、東京新聞の様な立場は現状認識について何も語ら無いので、理解も出来ない。意図して語ら無いのか、そもそも現実を見ようとしていないのか、私にも好く分から無いが、政策評価の基本要素を欠いている。貧弱なのだ。
 時々中国や北朝鮮の乱暴な行動について「冷静な対応を求める」とか「憂う」(これは東京が使ったように最近、社説の見出しで流行している言葉)と言った意見も聞かれるが、相手に冷静さを求めたり憂いの様な情緒的感情を表明するのは、願望ではあっても政策的提言では無い。

 政策とは本質的に、相手に何かを求めることでは無い。現実の状況下で自分が何をするか、出来るかを考えて打ち出す施策である。相手がどうするかは所詮、相手次第だ。飽く迄政策の主体はこちら側、自分自身である。そうで無ければ実行出来ないではないか。当たり前である。

 さて現状認識を間違える、乃至現実から目を背ける態度は、実は今に始まった話では無い。過つての軍国主義者達も同じだった。例えば1931年の満洲事変はどうだったか。
 満州事変は、日露戦争の勝利の味を忘れられ無い軍部の一部が満州での利権拡大を目指して起こした戦争だった。「満州は純然たる清国の領土」(元老・伊藤博文)と分かって居たのに、関東軍は柳条湖で中国の行為に見せ掛けて満鉄線を爆破し攻撃を開始した。自作自演のヤラセ事件である。

 この攻撃自体が許されざる侵略行為だが、問題はその後だ。国際連盟が派遣したリットン調査団は満州における日本の利益を承認し、満州に特別な行政組織を設置すること等を提案した。(外務省の説明はこちら、http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/qa/senzen_03.html

 一般には「リットン調査団は日本を批判した」と理解されているが、実は調査団報告には「日本に味方した」と言える内容も含まれて居たのだ。処が、日本は報告を「単なる旅行日誌」(荒木貞夫陸相)と退けて受け入れず、国際連盟を脱退してしまう。これが最初の失敗だった。
 折角国際連盟が日本の立場に少しは理解を示して呉れたのだから、日本が自治区の創設程度で事態を収めて置けば、戦火は拡大せずに済んだかも知れない。処が、軍部の暴走は止まらず隣の熱河省に侵攻、更に万里の長城以南の華北5省に攻め入ってしまう。その結果、中国のナショナリズムに火を付けて、蒋介石の国民党軍と共産党軍等が抗日戦争で一致団結してしまった。

 当時の軍部は「中国は国家では無い。匪賊の集まり」(酒井隆支那駐屯軍参謀長)と見下していた。リットン調査団報告の無視と言い、中国内部の情勢判断と言い、完全に状況を見誤っていたのである。


 




 観念的な平和論ばかりの左翼マスコミ

 次の失敗は、日独伊三国同盟の締結だった。三国同盟構想を当初、推進したのは陸軍だ。陸軍は日独伊が同盟を結べば、ドイツが欧州でソ連をけん制して呉れる筈だから、極東におけるソ連の対日圧力を弱められると考えた。
 処が、この考えは39年の独ソ不可侵条約で呆気無く破綻してしまう。肝心のドイツがソ連と手を結んでしまったのだ。当時の平沼騏一郎内閣が「欧州情勢は複雑怪奇」との名言を吐いて総辞職したのは有名である。首相が世界情勢を全く理解出来なかった。

 これで構想は潰えた筈なのだが、ドイツの欧州戦線快進撃で復活する。松岡洋右外相は日独伊にソ連を加えた四国協商に持ち込めば、米英と云えども日本と対決出来ないと考えた。それが1940年の日独伊三国同盟に結実する。
 処が、ドイツが翌1941年にソ連に侵攻し、日独伊とソ連の連携構想は潰れてしまう。独ソ不可侵条約と言いドイツのソ連侵攻と言い、日本はドイツの出方を2度までも読み違えたのである。松岡とドイツびいきで有名だった大島浩大使の致命的な誤算だった。

 3つ目の失敗は南部仏印(フランス領インドシナ南部=現在のベトナム、カンボジア)進駐だ。日本は1941年に蘭印(オランダ領東インド=現在のインドネシア)の石油資源を求めて、南部仏印に進駐した。処が、南部仏印と蘭印の間には英領マレー(現在のマレーシア)がある。加えて、南シナ海を挟んで南部仏印と蘭印の隣には米国領のフィリピンがあった。
 日本の南部仏印進駐は英米を強く刺激し結局、米国による対日石油禁輸を招いてしまう。日本の軍部は南部仏印進駐が米国を怒らせて石油禁輸に踏み切らせる、とは最後まで読め無かった。日本は石油が無ければやって行けない。南部仏印進駐が引き金を引いた米国の石油禁輸が結果的に、自暴自棄としか言い様が無い対米開戦に打って出る事態を招いてしまったのだ。

 以上坐っと振り返っても、先の大戦に至る過程で少なくとも3つの誤算と読み違いがあった。これだけ間違えたのは、好戦的な軍部や官僚、政治家の一部が自分達の思い込みに固執したからである。政治家や軍部にも異論や慎重論が無かった訳では無い。だが、一旦流れが出来ると好戦論を押し留められ無かった。或は2・26事件の様なテロを恐れて、慎重派は黙り込んだ。それは、今の左翼勢力とソックリではないか。
 何より彼等は現状を確り見ようとしない。過つてはドイツやソ連、米英の出方を読み違えた。今は中国や北朝鮮、テロの脅威を読み違えて居るか、無視して居る。それから、左に傾いた新聞の記者達は、揃って左に傾いた記事や社説ばかり書いている。テロでは無いが、飛ばされたり昇進機会を失うのを恐れて、会社を支配する流れに沿って記事を書いているサラリーマン記者ばかりなのだ。

 現在の永田町や霞が関は過つての軍国主義時代程倒錯していない。自衛隊も過つての陸軍や海軍程政治に関与して居る訳でも無い。だが、左翼マスコミはどうか。現実を無視して観念的な平和論ばかりを唱えている姿を見ると、右から左に急旋回したものの、勝手な思い込みと大勢順応姿勢が支配している点では、軍国主義時代と少しも変わっていない。そう思えて為ら無いのだ。(一部敬称略)

                 以上


 



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 長谷川氏に反論する 


 私はずっと”中庸の世界”を極めて来たから、左翼ではありません。もう少し突き詰めて言えば『護憲リベラル』と云う立場だと思います。その左翼でも無い私が、長谷川君のこの支離滅裂の主張には流石に違和感、反発を覚えましたので、少しだけ反論させて頂きます。本心は、こんな馬鹿野郎何かに付き合う暇等無いのですが……(笑)


 >[先ずは前提と為る集団的自衛権を巡る現在の左派勢力の主張と、軍国主義時代の日本軍部や暴走官僚の思考様式には、実は瓜二つの共通点があるのではないか。共に揺れ動く世界情勢を正しく認識せず、自分達の勝手な思い込みで日本の針路を論じ、又決めようとして居たのだ。]<

 この前提と云うのが私にはサッパリ理解出来ません。[現在の左派と戦前の軍部や官僚が自分達の勝手な思い込みだけで日本の進路を決めようとして居た]のが共通項だそうですが、今も戦前も左派が日本の進路を決める事等全く出来ません。
 左派は戦前も戦後も被抑圧階級であり、軍部や右翼支配階級とは一線を画す弱い立場であったのです。日本の進路に口出しすること等出来る筈も無く、戦前は「治安維持法」為るもので弾圧され続け、論じることさえ許され無かった階級です。例え「自分達の勝手な思い込み」があったとしても、国の進路には全く影響力は無かったという事実を忘れたらいけません。

 比べるとしたら、左翼では無く明らかに現在の支配階級である安倍政権で無ければ、話は成り立た無いでしょう。従って、長谷川君の主張は、その前提から間違って居るのです。自分勝手な思い込みに陥って居るのは、長谷川君の方だと云う事です。次に

 >[日本にとって目下の脅威は中国と北朝鮮だろう。 そもそも集団的自衛権の議論は目前にさし迫った脅威があったからこそ始まった。中国の漁船や公船が尖閣諸島を脅かし、北朝鮮は核開発とミサイル発射で隣の韓国とともに日本を繰り返し威嚇している。それは、だれもが感じている通りだ。集団的自衛権の問題を含めて、安保防衛政策に対する評価は「脅威への評価」が大前提になる]<

 彼等が仮想的国にして脅威にしたいのは、中国と北朝鮮であることは分かります。しかし何故そう為ったか?と云う視点は全く欠如しています。目下の脅威は中国と北朝鮮だとしても、中国の反発や軍事示威行動は、日本の尖閣諸島国有化に端を発したと云う事実は完全に葬り去って居ます。
 この間中国は完全に無視し、外交による解決も図らず、問題を拗らせて来たのは明らかに安倍政権の方だったと云う事も忘れています。それ処か、安倍政権は靖国参拝で日中関係の火に油を注ぎ、中国に対する軍備強化で更に挑発を重ねています。だから、差し迫った中国の脅威を増幅させたのは安倍政権ではなかったか?

 そういう視点や現状認識が、長谷川君の主張には全く見られません。「只々悪いのは中国だ!」と決め付けはいないか?又北朝鮮の脅威については、日本だけで解決出来る問題ではありません。韓国を含めた6か国協議で早期に解決を図るべきなのに、歴史認識でそれにブレーキを掛けて困難に陥れて居るのは、紛れも無く安倍晋三の責任が重いのです。そう云う認識もせず、「只々憎いのは北朝鮮だ!」軍備強化ですか?次に

 >[視線は専ら安倍晋三政権の集団的自衛権問題に向けられ、議論の前提である日本に対する脅威がどれだけさし迫っているのか、という現状認識や評価は全く出て来ない]<


 成程?視点は専ら集団的自衛権行使推進の立場で論じて居ますが、『憲法論』は全く素通りしていますね。全く触れていない。集団的自衛権や脅威論「脅威への評価」を吹聴する前に、国民として最も大事なこと=日本は憲法を最高法規とする法治国家である事も忘れてしまって居ます。「初めに『集団的自衛権行使』ありき」の全く出鱈目の暴論だと云う事です。そんなアナタには、安倍と同様に「立憲主義」も分から無いでしょうね。最後に

 >[以上ザッと振り返っても、先の大戦に至る過程で少なくとも3つの誤算、読み違いがあった。これだけ間違えたのは、好戦的な軍部や官僚、政治家の一部が自分たちの思い込みに固執したからである。政治家や軍部にも異論や慎重論がなかった訳では無い。だが、一旦流れが出来ると好戦論を押し留められ無かった。或は2・26事件の様なテロを恐れて、慎重派は黙り込んだ。それは、今の左翼勢力とソックリではないか]< 

 「戦前の軍部や政治家には3つの誤算や読み違いがあった」成程、左翼は必ず読み違いをすると決め付けているのですね。それは、”言語道断”の誤った先入観に過ぎません。侮辱のし過ぎです。国の命運に関われ無い左翼は、正論を主張しても無視され、国家が勝手に暴走して行くのです。アナタも好い年して、歴史の見方もまま為ら無い御仁でしたか?(笑)それこそ、独り善がりの空理空論だらけ。
 左翼でなくても、「何でもカンでも安倍擁護の姿勢ではフザケルな!」と目を剥いて憤慨されますよ!可哀そうな”御用記者”かな!長谷川君!(笑)

                   以上




  【管理人のひとこと】


 長谷川氏の指摘する「トランプの標的は中国共産党」との言葉には、或る意味納得するのですが、現状の中国は、習近平=中国共産党=中国政府中国国民(非為政者)と認識すべき一面も考え無くては為ら無いでしょう。
 香港での騒ぎを思うと、中国国内との民意の差が何故これ程異なるのかと驚きを感じます。香港では、真正面から中国本土政府への批判が現れて居るのに、中国本土の国民の目線の先は何処を向いて居るのでしょう。一国二制度が徹底して香港は特別なのでしょうか。本土の人達は仕方無いと口を噤んで居るだけなのでしょうか。

 習近平氏は、中国共産党を代表して政治を取り仕切る役目に就き、国民に対峙して居る構図なのです。ですから、トランプ氏の標的が不特定多数である中国国民で無いのは明らかであり、政治の実権を握る、習近平=中国共産党であるのは初めから判って居る事であり、今更何を言ってるの感がします。
 確かに長谷川氏への反論が指摘する様に、戦前の左派は法律で取り締まられ発言権も無く非合法下に在りました。ですから、戦前の軍国主義に異を唱えても何等の影響力も及ぼさ無かった。彼等が戦後獄中から解放されてから、戦後の民主主義によって息を吹き返したに過ぎません。ですから、戦前の左派が、何かを他から批判されることも無く、平然と戦前の在り方を批判出来たのです。

 それと、長谷川氏の戦前の歴史観も大方は同意出来ます。安倍晋三批判に対し、真っ向から反論する知識人(?)が持て囃(はや)されメディアに頻繁に現れます。そうでしょう、全面的な安倍批判の中でそれに対抗する潔さや議論に興味が惹かれるのは致し方ない事。一緒に為って安倍氏を批判しても誰も注目しないのですから。
 しかし、殆どの人達が、所謂「ひも付き」の人達で構成され、それが直ぐにバレてしまう可笑しな現象が続いています。長谷川氏も何かの政府委員をされてるそうですが、何も、思想を売り渡す必要まで無いと存じますが・・・



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東日本大震災後7年目に考える原発の経済性と再エネ・ビジネスの現実




 


 


  World Energy Watch 2018年3月16日 山本隆三氏 (常葉大学経営学部教授)




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 東日本大震災後7年目に考える原発の経済性と再エネ・ビジネスの現実


 東日本大震災から7年を迎え、新聞の特集記事・テレビ番組が、福島第一原発の廃炉問題、或は避難された方の帰還の問題等を取り上げた。そんな中で、朝日新聞は「未稼働原発に5年で5兆円」との見出しを掲げた記事を掲載し「原発を保有するが稼働していない7社が、5年間で原子力発電費として5兆円強を支出して居た。費用は主に電気料金で賄われて居る」と伝えた。

 一方、NHKは、クローズアップ現代、NHKスペシャル等で「再生可能エネルギーの劇的な価格破壊により、大きなビジネス・チャンスに為る脱炭素、再エネへのシフトが世界では起こって居る」と放送した。字数或は時間の制約がある新聞・テレビが、或る一面を取り上げて報道するのは止むを得無いが、朝日新聞とNHKは、多くの場面で「脱原発、再エネ成長路線」に沿った報道を行って居る。
 しかし、実態は朝日新聞とNHKの報道とは可なり異なって居る。朝日新聞とNHKは、報道しない側面、即ち、原発の経済性、再エネによる温暖化対策が必ずしも優先され無い世界の現実、日本企業に恩恵の少ない再エネ・ビジネスの姿も報道すべきではないのか。


 




 原発が世界では増えるのは何故


 現在、世界30カ国に448基の原発があり、世界の電力需要量の10%強の供給を行っている。更に、建設中が57基・計画中が158基ある。東日本大震災後、ドイツは稼働開始後時間が経った原発8基を停止したが、それ以外に計画外で停止された原発はどの国にも無い。ドイツも残り8基の原発は2022年に停止する計画だ。世界は脱原発では無い

 国際エネルギー機関によると、温暖化問題に対処する為二酸化炭素を排出しない原発からの発電量が、2060年に今の3倍に為る必要があるとされて居る。原発建設を進める国が多くあるのは、競争力のある電源が必要だからだ。加えて、温暖化問題への対処を考えている先進国や中進国の中には、原発を有力な選択肢と考える英国・ポーランドの様な国もある。

 朝日新聞は、未稼働原発に5年で5兆円と、電力会社が無駄に支出を行って居る様なニュアンスの記事を掲載したが、費用の大半は、稼働し無くても必要な固定資産税等の税・減価償却費・燃料処理費等の積立金だ。原発を維持するのは、第一に経済性があるからだ。

 原発の経済性

 米エネルギー省によると、米国の1kWh当たりの電源別発電コストは火力発電3.73セント、原子力2.57セント、水力1.34セントだ。シェール革命により米国では天然ガス価格が下落し、今欧州、アジア地域価格の数分の一だ。世界第2位の産炭国でもあり、発電所迄の鉄道、トラックの高い内陸輸送費を加えても、発電所着で欧州、アジアの輸入石炭価格の半分以下だ。
 先進国で最も競争力がある米国の電気料金を支えるのは、競争力のある天然ガスと石炭火力だが、原子力の発電コストは、火力をも下回っている。

 図‐1は、東日本大震災前、全原発が稼働していた2009年度の日本の火力、原子力、水力の平均発電コストと燃料費だ。原発を保有する地域電力会社9社の有価証券報告書に記載されている汽力、原子力、水力の発電費用を基に計算したものだ。朝日新聞記者も発電費用を目にした筈だが、原発のコストが安いと証明する数字に為るからか報道は無い。原発の費用には、核燃料再処理費用の積立金等も含まれている。

 原発の設備投資額は火力発電より大きいが、燃料費が相対的に安い為発電コストは低い。更に、燃料費が安定して居る原発は化石燃料価格が変動する火力と異なり、将来の発電コストが見通せるとのメリットもある。稼働すれば、電気料金の引き下げが可能に為る。
 東日本大震災後、原発は定期点検を終えた後順次停止し安全対策を強化することに為った。発電量も徐々に減少し2014年度には稼働、発電量ゼロに為った。原発からの発電量の減少分を埋めたのは火力発電だった。


 




 上昇する電気料金と産業

 東日本大震災後、火力発電量の増加は燃料購入数量増をもたらし、電気料金の上昇をもたらした。購入数量増に加え、電気料金を更に引き上げたのが、燃料価格の上昇と円安だった。燃料価格の上昇は追加で火力発電用燃料を必要とした日本の買い付けにより引き起こされた面もある。燃料購入量の推移が図‐2に示されている。
 燃料購入費用増加分のうち原発代替分のみを計算し、電気料金のうち燃料費と原発停止の影響による燃料費の増加額を示したものが、図‐3だ。電力業界全体では、地域電力以外に卸電力、共同火力などでも燃料購入量が増加しているので、日本全体の燃料購入料の負担額は図‐3の額を上回っている。原発停止の影響による燃料購入額は、2012年度から14年度まで毎年2兆円を上回っていた。


 電気料金は燃料購入費以上に上昇して居る。その理由は、太陽光、風力発電などの再エネ電源導入を支援する固定価格買い取り制度に基づく電気料金による負担だ。
 2012年7月の導入以降、再エネ設備導入量の増加に伴い負担金も上昇し、2017年度の負担額は家庭用平均電気料金の1割以上、産業用平均電気料金の2割近くを占める1kWh当たり2.64円まで上昇した。総額では2兆円を超える。世帯支出に占める電気料金の負担率は、世帯収入と支出の減少が続くなかで2000年の3.1%から2016年には3.6%に上昇して居る。

 日本は製造業大国だ。国別の製造業の付加価値額の順位で日本は世界3位、先進国の中ではドイツと並び、国内総生産額の20%以上を製造業が担って居る国だ。米国の12.6%、英国の9.7%と比較するとその比率の大きさが分かる。電力料金の上昇は、日本の産業の中心に位置する製造業に大きな影響を与えた。
 しかし、日本よりも固定価格買い取り制度による負担額が大きいドイツの製造業は、順調に成長して居る。その理由は、ドイツと日本の再エネ政策に大きな違いがあることだ。


 




 産業に配慮するドイツのエネルギー政策

 主要国の中で最も早く固定価格買い取り制度を導入したドイツは、2000年に買い取り価格の大幅引き上げを行った。この結果、ドイツでは太陽光、風力、バイオマス等の再エネ導入が進んだが、導入量の増加は電気料金による負担額の上昇を引き起こした。
 2007年に1kWh当たり1.02ユーロセントだった負担額は、2013年に5.28、2014年に6.24ユーロセントに上昇し、夫婦と子供一人の標準家庭での年間負担額は円貨換算年間3万円に達した。家庭用電気料金は1kWh当たり29.14ユーロセント(約40円)。風力が全発電量の半分を占めるデンマークに次ぎ世界2位の電気料金だった。

 ドイツ政府は再エネ政策を見直し、小規模電源を除き固定価格買い取り制度を廃止する等、電気料金抑制の為の施策を取った。結果、2018年の負担額は6.79、家庭用電気料金は29.42ユーロセントと落ち着いているが、再エネ導入のツケは大きく、電気料金は高値に張り付いたままだ。

 再エネ導入の結果、産業用電気料金も上昇したが、エネルギー多消費型産業については、国際競争力を考慮、固定価格買い取り額の負担が90%上限に免除されて居る。2018年の免除対象企業数は1908社、その電力消費量は全ドイツの約20%を占め、免除総額は65億ユーロに達して居る。適用されている電気料金は日本の産業用電気料金のホボ半額だ。ドイツの製造業が競争力を持つ訳だ。


 




 脱石炭が出来ないドイツは温暖化目標を放棄

 再エネ支援政策により、2017年ドイツでの風力、太陽光の電力供給量の比率は、夫々18.8%、7.1%になったが、最大の供給源は約40%を占める石炭・褐炭火力だ。再エネ導入目的の一つは、二酸化炭素を削減することだったが、電気料金上昇を抑える為石炭火力を廃止することが出来ないのがドイツの現状だ。
 2020年に1990年比二酸化炭素を40%削減する政府目標は、今年1月連立政権により、アッサリ放棄された。電気料金抑制、炭鉱労働者の雇用維持の観点から石炭火力を廃止することが難しいからだ。

 1990年に12億5100万トンだったドイツの二酸化炭素排出量は、旧東ドイツのエネルギー効率が悪い設備を改修した為大きく減少し、2000年には10億4300万トンに為る。2000年頃から再エネ導入を進めたものの、減少のスピードは減速し、2016年の排出量は9億600万トンだ。
 2020年7億5100万トンの目標達成には石炭火力の廃止が必要だが、電力供給と価格を考えると出来ないと政権は判断し、温暖化目標の放棄に踏み切った。温暖化対策の為再エネを導入した筈だが、ドイツは経済を優先させた。NHKが伝える様に再エネのコストは劇的に下落して居るとは思え無いドイツの状況だ。

 ドイツで発電設備能力が最も大きいのは、陸上・洋上風力5600万kW、次いで太陽光4300万kW。合わせると全発電設備能力2億300万kWの約半分に為る。これだけ再エネ導入が進んだドイツで再エネ・ビジネスは成功したのだろうか。


 




 中国企業の独壇場 太陽光発電設備 

 今年1月米国トランプ政権は、輸入太陽電池セル、太陽光モジュールに30%の課税を行うことを発表した。2014年から中国、台湾製セルに課税を行っていたが、中国メーカは東南アジアにセル製造拠点を移し、モジュール、パネルを中国で製造することにより課税を逃れていた。
 この課税逃れを防ぐ為全輸入品を対象に課税することに為った。米国は中国に次ぐ太陽光発電市場であり、2017年の累積設備量は5000万kWを超えている。その市場でパネル供給の覇権を握ったのは中国企業だったのだ。

 欧州でも、日本でも同じ状況だ。太陽光パネルの供給の大半は中国企業により行われている。2017年の世界のモジュール・パネル製造企業上位10社のうち9社は中国企業、1社は破綻したドイツ企業を買収した韓国企業だ。それでは、太陽光発電事業は、設備設置国に何をもたらすのだろうか。日本と米国の例から考えよう。

 表は日米の太陽光発電設備投資の内訳を示している。買い取り価格が世界の中でも高く設定された日本では高いモジュール価格でも事業が成立する。この為相対的に価格が高い日本メーカも約3割のシェアを持っている。モジュール以外の投資額は限られており、日本企業に落ちる資金も限られている。
 一方、米国ではモジュール価格が占める比率は少なく、設置工事などの比率が高い。モジュール価格の違いはあるものの、太陽光発電設備導入で潤うのは中国だ。


 




 日本企業は何を選択すべきか
 

 欧州企業が、大きな世界シェアを持つ洋上風力設備の様な技術もある。しかし、日本企業はデフレの間、借入金返済を優先し、設備、研究開発投資を絞った為か洋上風力では出遅れた。欧州企業との合弁事業を通し、設備供給を行う日本企業が目に付く程度だ。
 再エネが大きな市場に為ると言っても、日本企業が供給出来る設備は限られている。国内では設備導入に伴う建設工事はあっても付加価値額は高く無い。成長が続く事業は再エネだけでは無い。成長産業は他にもあり、日本企業が得意とする技術もある筈だ。原子力、鉄道等のインフラ、人工知能、電気自動車等も成長するだろう。

 選択と集中が重要だ。自動車部品大手で自動車用バッテリーも供給して居るドイツ・ボッシュは、最近電気自動車用リチウムイオン電池製造事業から撤退と報道された。有望な市場だからと言っても、企業の成長が約束される訳では無い。
 増して、再エネ市場は競争が厳しく、コモディティと呼ばれる技術的に難しく無い製品では中国企業が、技術力が必要なブランド製品では、欧米企業が先行して居る。「再エネは大きなビジネス・チャンス」と云う事は簡単だが、NHKはど駒で判って番組を作って居るのだろうか。

                  以上 



 





 【管理人のひとこと】


 筆者は、日本のエネルギーの状況から解き明かし、その非健全性を指摘して居る。詰まり日本のエネルギー安全保障は世界ワーストの位置にあると。エネルギー原の殆ど全てを海外からの輸入に頼らさせるを得ず、その上非効率な国内政策(否原発・反原発政策)で世界に類する高い電気料金を支払い、その為国際競争力にも脆弱さを晒して居ると。
 反原発・否原発的立場の私達は、この議論を充分噛み締めなくては為ら無い。それは、単に経済性を優先するのか国際的競争力を優先させるか・・・それとも、多くの市民が安全に安心に暮らせる社会を優先するのかの違いだけだろうか?

 NO MORE FUKUSHIMA 私達は、目先の利益に踊らされ「原発大国日本」を容認して来てしまった。そのツケが福島に始まり各地の原発と青森に凝縮してしまった現在、これ以上の原発の存在は認めようにも無いのが現状。それでも敢えて、原発のコスト・優位性を主張する筆者の立ち位置に何か不自然なものを感じない訳には行かない。
 彼の主張する数字も既成事実も間違いでは無い。そして、前後の文脈もウソでは無く殆どは事実だろう。世界各国は、今でも自国のエネルギー問題で原発の可否に迷って居るのが実情だろう。果たして経済性で安全面でどうなのか・・・と。

 しかしこの文章の中に、原発で出される各種放射能の処分・処理費用(廃炉を含む)の何等の数字も出して来ない処に大きな落とし穴が控えて居る。核廃棄物・・・一番に根本と為るものを除外し、その他の状況証拠で全体を包み込んで議論するのは、余りにも姑息であり卑怯な遣り方では無いだろうか。
 福島の事故処理だけで、何十年〜何百年かの時間とそれに伴う無尽な経費が掛かる。それは、今では見通しも予想も着かぬ天文学的数字に為るだろう。その為終結も見えて来ないのだ。何かを処理すると何かが出て来る、それを処理すると次に新たな問題が・・・この繰り返しで、一歩一歩進めるしか無いのが現状。

 将来、何等かの新たな技術が開発され、例えば放射能廃棄物を地下処理したとして、その状況を幾百年幾千年と保守管理する事が可能なのかさえ見通せ無い。寝た子を起こすな・・・と云う諺がある。要約、原発への正当な評価が為され様とする今、少しのスケベ心で今までの人類の叡智を軽んじては為るまい。





 

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 世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障は更に悪化する



 





 世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障は更に悪化する


  〜6/14(金) 12:36配信 Wedge(nightman1965/gettyimages)より引用します〜




             6-18-1.jpg

             山本隆三 (常葉大学経営学部教授)



 世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障は更に悪化する



 故堺屋太一氏が小説家としてデビューしたのは1975年に出版された『油断』だった。当時、日本は1次エネルギー(電気・都市ガス等の二次エネルギーに加工される前のエネルギー資源)の4分の3以上を主として中東からの石油に依存して居り、石油輸入が途絶した際の混乱した社会状況を描いた小説だった。
 実際に、日本は小説発表の2年前に発生した第一次オイルショックにより油が断たれるかも知れ無い危機を経験して居た。親イスラエルと見做された輸入国向け中東原油輸出中断の対象国に日本が為る可能性があったからだ。

 石油価格が4倍に上昇した第一次オイルショックを経験した日本を初めとする先進国は、エネルギー安全保障の強化を狙い、エネルギー供給源の多様化による安定化を図った。日本を含む多くの先進国が石油への依存度を下げる為取り組んだのが、石油の値上がりにより相対的価格競争力が増した石炭への燃料転換と原子力発電の本格導入だった。
 多くの国が石炭への燃料転換を進めたのは、価格以外にも理由があった。当時の石炭の輸出国は、北米・豪州と政治的に安定して居る国が中心であり、更に、南アフリカ・ソ連・中国と供給地域が分散されて居た。中東に輸出国が多く石油輸出国機構(OPEC)が価格と生産量に影響力を行使する石油と大きく異なる点だった。

 フランスは原子力中心の電力供給体制実現に向け大きく舵を切ったが、米国・日本・ドイツ等多くの国も石油への依存度を下げるべく原子力導入を進めた。第1次オイルショックにより、新しいエネルギー源として、風力・太陽光・潮力等の再生可能エネルギーも大きな注目を浴びたが、本格的な導入は21世紀に為ってから始まり、エネルギー自給率向上に寄与する事に為った。
 エネルギーの多様化は進んだが、今日本のエネルギー自給率は依然として10%にも達せず、米商工会議所による世界のエネルギー消費国上位25カ国のエネルギー安全保障ランキングでは、化石燃料輸入リスクにおいて日本は最下位に為って居る。25カ国が世界のエネルギー消費の80%を占めて居るので、日本のエネルギー安全保障は世界最低レベルと言える。

 しかも、日本のエネルギー輸入リスクは更に高まる可能性がある。原子力規制委員会による運転中の原子力発電所停止問題と世界の多くの金融機関・機関投資家が打ち出して居る石炭火力発電所への投融資中止の動きがリスクを高めるからだ。エネルギー安全保障は、国民生活にも産業にも大きな影響を与える。


 




 日本のエネルギー安全保障 


 石油に依存して居た日本の電力・セメント・製紙会社等が、第1次オイルショック直後から採った戦略は、石油から石炭への燃料転換だった。石油に比較すると取り扱いと使用に手間が掛かる石炭を受け入れる為、石炭受け入れ基地の新設・石油ボイラーの石炭転換等が行われた。更に、原子力発電所・液化天然ガス(LNG)発電所の建設も推進された。

 その結果、石油への依存度は2010年度には40%まで下落した。発電部門では石油火力の発電量の比率は大きく下落したが、それでも石油の比率が相対的に高いのは、自動車用の燃料としての需要が依然多い為だ。
 2010年度日本の1次エネルギー供給は、石油40%・石炭23%・LNG18%・原子力11%・再エネ8%と夫々担って居た。しかし、2011年の福島第一原発の事故以来原子力発電の比率が減少し一次エネルギーに占める石油を含む化石燃料比率が上昇して居る。

 2017年度には、一次エネルギーにおける化石燃料の比率は88%に上昇して居る。特に、1980年代から本格導入が始まったLNG火力の稼働率上昇によりLNGのシェアが増加して居る。日本は石油とLNGの供給を中東に依存する比率が高い為地政学的なリスクも依然問題だ。


 




 世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障は更に悪化する


 2020年には米国の化石燃料自給率は、純輸出が可能に為る100%を超えると予測されて居る。中東依存度と地政学的リスクの上昇・・・欧州連合(EU)の一次エネルギー輸入におけるロシア依存度は、天然ガス44%・石油32%・石炭38%と為って居る。エネルギー自給率が45%であるにも関わらず、多くのEU諸国はロシア依存度の引き下げに力を入れて居る。
 再エネ導入の目的の一つにも、自給率向上とロシア依存度引き下げの狙いがあった。日本はEUよりもエネルギー自給率が低く、中東依存度がEUのロシア依存度より高い。

 日本の輸入原油の87%は中東諸国から供給されて居る。LNGの中東から供給シェアは近年下落して居るがそれでも21%あり、日本の1次エネルギー供給における中東依存率は依然40%近くに為っている。
 中東地域からのエネルギー輸送の多くは、米国の経済制裁を受けイラン革命防衛隊が封鎖を仄(ほの)めかしたホルムズ海峡を通過する。ホルムズ海峡を通過する必要が無い積出港へのパイプラインも敷設されて居るが、その輸送能力は輸出量の半分程度とされて居る。しかも、パイプラインがドローンによる攻撃を受けた様に必ず使用可能な保証は無い。

 中東においては、米国は2000年代前半湾岸戦争やイラク戦争を通し、石油利権の獲得と維持を図ったと考えられて居るが、2000年代後半に始まったシェール革命により米国は、原油・天然ガス共に世界一の生産国に為った。依然として原油輸入は続いて居るが、その量は下落を続けて居る。
 2020年には、米国の化石燃料自給率は純輸出が可能に為る100%を超えると米政府は予測している。今、米国の中東からの石油確保への関心は薄く為って居るだろう。
 イランがホルムズ海峡封鎖と云う自殺行為に踏み切る可能性は低いだろうが、もし万が一の場合も、原油確保への関心が薄く為った米国は積極的な関与には踏み切ら無い可能性がある。供給減による原油価格上昇は米国の消費者に負担増を強いるが、共和党の支持基盤である米国の原油生産業者には利益をもたらす。


 




 世界最低レベルの日本のエネルギー安全保障は更に悪化する

 
 エネルギー安全保障の評価軸は複数ある。例えば、米商工会議所の25カ国分析レポートの2018年版によると、次が大きな評価軸として挙げられて居る。

 ・エネルギー輸入
 ・エネルギー費用
 ・エネルギー価格の変動率
 ・エネルギー効率
 ・電源の分散と非炭素電源比率
 ・輸送部門のエネルギー効率
 ・二酸化炭素排出



 東日本大震災以降の化石燃料の輸入増により日本はランキングを落とした

 日本は、エネルギー効率では上位にランクされて居るが、エネルギー輸入に関する項目では、25カ国中最低の評価に為っている。又、電源の分散・非炭素電源でも低位に位置して居る。上記項目の総合評価においては日本は21位だが、2010年の14位から原発の停止によりランキングを落としている。
 日本のランキングの推移は、東日本大震災以降の化石燃料の輸入増により日本はランキングを落としたが、このランキングが更に悪化する可能性がある。


 




 日本のエネルギー安全保障を更に弱体化させる要因は

 欧州投資銀行・欧州復興開発銀行等の国際金融機関と一部民間金融機関は、原則として石炭火力発電所建設への投融資を行わ無い方針だ。又、多くの機関投資家は石炭関連設備を保有する電力会社等への投資を、気候変動問題への取組の観点から見合わせる、或は撤退する動きも見せている。所謂ESG投資の視点だ。
 ESGは、環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)を意味しており、これ等の点に配慮して居る企業への投資を行うことで、相対的に高い収益を上げる事を目的として居る。社会的に良い取り組みをして居るとされる企業を育成し、結果高い収益を上げる考えだ。

 ESG投資の対象と為ら無い企業は、タバコ・ギャンブル・アルコール等に関与する企業だが、石炭資源或は石炭利用関連企業も二酸化炭素排出量が多く環境面から投資の対象として不適格とされることが増えて来た。
 石炭火力発電により二酸化炭素の排出量は増えるが、石炭火力のコストは、LNG火力・石油火力よりは歴史的に圧倒的に安く推移している。今年4月の輸入統計の金額から計算すると発電量1kWh当たりの燃料費は、石炭火力4.2円、LNG火力7.4円であり、石炭火力を二酸化炭素排出量の相対的に少ないLNG火力に切り替えた場合、それにより電気料金は上昇する。
 更に、安全保障上の問題も生じる。豪州・インドネシアが供給の中心の石炭をLNGに切り替えれば、中東依存度は上昇する。エネルギー安全保障が脆弱な日本が、温暖化問題だけを考え石炭を他の燃料に切り替えることは簡単では無い。

 もう一つの問題は、現在稼働している原発が停止する問題だ。4月下旬に原子力規制委員会は、テロ対策設備が期限内に完成しない場合には現在稼働して居る原発を停止する考えを示した。テロ対策設備の有無が原発の安全性に与える影響は軽微としながらも、決めた事を変更する事は規制の精神に反するとの規制委員会の考えと報道された。
 発電コストが安い既存の原発の停止は電気料金の引き上げに結び付く可能性があり、社会的な公正を損なう事に為るが(詳しくは、国際環境経済研究所の『規制は何の為に行われるのか』をお読み戴きたい)安全保障面でも問題が生じる。

 エネルギー選択に際しては、安全性を前提に環境性能・経済性・安全保障を考える必要があるが、現在の石炭火力と原子力に対する逆風は、日本のエネルギー安全保障を損なう可能性が高い。エネルギーの選択に際しては安全保障も大きな課題である事を再認識すべきだろう。

 山本隆三 (常葉大学経営学部教授) 以上


 






 【管理人のひとこと】


 先日、安倍晋三氏がイランを訪問した。イランからの石油の輸入は、アメリカの制裁により一時的に停止したが、従来からの中東から輸入する石油の一部であった。今回は、トランプ氏とイランの緊張関係を緩和しようとの思いもあったのだろうが、イラン首脳との会談時間に合わせた様に、ホルムズ海で日本船籍のタンカーが二隻も攻撃され火災するアクシデントが発生。
 アメリカは「犯人はイランだ」と即座に発表。イランは「安倍氏と会談してるのに日本のタンカーを攻撃する筈無い」と反論。多くの見方は、イラン政府の云う事を聞か無い「はねっ返り」の武装集団では無かろうか、イランとアメリカとの会話を望ま無い勢力の仕業と見て居る様だ。

 日本はエネルギー保障の面からも、輸入先を広範囲に薄く拡げる意味からも、アメリカの制裁が解除されたら即輸入を再開したいとの思いもあり、イランとの友好関係は温存したい。イランも何故か日本との友好関係を大切にして居る関係。
 サテ、このレポートに在る様に、エネルギー自給率は我が国のアキレス腱でもある。その為、可笑しな原子力政策を強行し躓いた末、依然自給率はそのままで推移している。石油・石炭・LPガス・・・と、現在は低炭素排出の効率的な新鋭火力発電設備が出始め原子力依存から脱却したが、国産エネルギーに政策的に投資しなければ将来もそのままだ。

 レポートに見え隠れするのが原子力の再利用なのだろうが、これは完全にアウトである。この考えに至るまでの犠牲を思うと二度と後戻りは出来ない。太陽・風力・地熱・潮力・・・あらゆる資源を総動員して、国産比率を高める日々の努力が必要だ。山本教授が具体的な政策を唄わ無い事に、何が隠れて居るのか・・・管理人は深読みするのだ。
 日本のエネルギー危機を盛んに訴え、コストが低く低炭素の原子力発電への回帰を訴えても今更の感が強い。低コストで安全な原発利用は絵に描いた不可能な夢であり、過去の人類が残した最大の処理し切れ無い永遠の放射能を残した課題であり障害だけなのだ。




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マサかとは思うが「ソフトバンク・ショック」は有り得るのか?




 




  マサかとは思うが

 「ソフトバンク・ショック」は有り得るのか?


   〜6/14(金) 6:31配信 現代ビジネスより引用します〜     



 マサかとは思うが「ソフトバンク・ショック」は有り得るのか?


 




 日本株は長期的には上昇を続けるであろうが
 

 筆者は、これ迄、日本の株式の将来に付いては、当サイト2018年10月6日の記事「今後4半世紀の間に日経平均株価は10万円に達する事が出来る」今年5月26日の記事「『この先、日本では不動産を買うな株を買えと言えるこれだけの理由」』等で述べたが、長期的に強気の見通しを崩して居ない。
 
 又、米中貿易戦争=第2次冷戦の結果如何によっては、短期的波乱も見込まれるが、5月29日の記事「世界経済低迷の最大原因・中国が退場すればデフレが終わる」で述べた様に、長い目で見れば共産主義中国等を原因とする世界的なデフレを収束させる良い結果に為る筈である。
 ソモソモ、現在の世界的な経済低迷の大きな原因は、2001年に中国のWTO加盟が認められた事にある。加盟申請そのものは、1986年に当時のGATTに対して行われたのだが、1989年6月4日の天安門事件等が起こり、共産主義中国を先進自由主義諸国の仲間に入れるべきかに関して15年も議論が続いたのだ。


 




 加盟後の中国は、フェイス・ブック、ツイッター等を初めとするSNSを排除するだけでは無く、国内産業を政府の力で保護し、進出する外資系企業に対して先端技術の提供を強要した。
 それにも関わらず、先進諸国においてファーウェイの様な共産主義中国のフロントと米国から糾弾される企業を通じて不公正な行いを遣りたい放題であったことを考えると、2001年の中国WTO加盟は完全な誤りであり、トランプ大統領が現在その誤りを是正する為に孤軍奮闘して居ると言える。

 只、大きな改革・是正には痛みも伴う。ソモソモ、長期的に株価が上昇すると言っても一本調子の右肩上がりでは無い。チャートで言えば、ジグザグな上下動を繰り返しながら上昇するのだ。従って、これからも短期的な急落は何回もあると考えられるが、現在、筆者が最も懸念して居るのは「ソフトバンク・ショック」を原因とする急落である。


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                   孫 正義氏


 ITバブル崩壊前夜と同じ状況

 
 筆者は、日本は素晴らしい国だと思っているが、過去株価に対して何時も強気であった訳では無い。例えば1990年のバブル崩壊の直後に「日経平均8000円説」を唱えて周囲から馬鹿にされたが、20年近くの歳月を経て現実のものと為った。
 因みに、当時を知ら無い読者の為に申し上げれば、バブルの高値は4万円近くであり、崩壊した後も2万円の底値はナカナカ割れ無かった。筆者の強気派への転向は2008年に、日経平均が8000円を割って、長期的にチャート(テクニカル)用語で云う「ダブルボトム=2番底」を形成してからである。

 それ以来、某会合で毎回の様に「ブル(強気)・ベア(弱気)」対決をしている友人が居る。ベア(弱気派)のK氏は、自ら主宰する独立系のファンドで多数の企業を上場させた敏腕ベンチャーキャピタリストだが、先日珍しく意見が一致した。


 




 「Kさん、ソフトバンク可なりヤバく無いですか? 何かあったら、株式市場全体に影響が出ると思うのですが・・・」
 「僕もそう思って、空売りしたんです。珍しく意見が一致したね!」


 これ迄も述べた様に、筆者自身はカラ売りをしないので、もしかしたら飛んでも無いチャンスを見逃して居るのかも知れないが、続けてこんな話もして呉れた。

 「米国IPO(新規公開株)の総額がこの2年で2000億ドルを超えたんだよね。ITバブルが崩壊した2000年の2年前からの状況と全く同じなのが不気味だね・・・」

 ソフトバンクの10兆円規模のハイテク投資ファンド(ビジョンファンド)は、2大出資者がサウジアラビアとアブダビの政府系ファンドだが、その内サウジアラビアは、カショギ氏のサウジアラビア大使館での暗殺で国際的非難を浴び、先進自由主義諸国から厳しい目で見られて居る。
 又、投資先のハイテク分野に関しても、K氏の述べる様に、目ぼしい企業はホボ全て上場或は上場準備に入り、次に成長する「期待の星」がみつから無いのは事実である。最も、ソフトバンクは運営手数料等でガッポリ儲けるから、投資先が不振で出資者が大損しても構わ無いのかも知れないが・・・


 




 今は大ぶろしき企業が強烈な逆風を受ける局面


 前述のベンチャーキャピタリストのK氏が成功出来たのは、資金注入を求めるベンチャー企業に対して辛口だからである。徹底的にビジネスモデルを精査し、問題点があれば率直に指摘する。彼の厳しい目に適った企業だけに投資をするから成功率が高いのだ。
 実際、ベンチャーキャピタルに出資依頼をする起業家の多くの考えが甘いことは、筆者も以前ベンチャーキャピタルの運営に関わった時に痛感して居る。資金さえ集めれば何とか為ると考え、投資家から集めた資金でポルシェ等の高級車を購入して乗り廻す事もある。成功する前に自分にご褒美を挙げると云う訳だ・・・

 投資資金を集め易い、ベンチャーバブルの時期には、この様な企業も資金を何とか調達しながら生き残ることも多い。しかし、K氏が指摘する様に、これからは資金を集め難い時期に突入するし、K氏のソフトバンクに対する懸念の大きな原因もそこにある。
 ソフトバンクは、前記の様な甘い考えのベンチャーとは違うとは思うが、大量の資金を市場・金融機関から集め、リスクの高い事業(一種の博打とも言える)に投資して来て居る事は、好く指摘されることである。しかも、ここ1〜2年は、我武者羅に資金調達して居る様に思える。

 例えば、現在の市場では「好ましく無い」と評価される親子上場を強行し、しかも、大量の資金を調達(使う必要がある筈)して居るにも関わらず、投資家には5%水準の配当をすると云う、タコが自分の足を食べる様な行為を行っている。合理的に考えれば、無配或は低率の配当にした方が、調達した資金を有効に使えるにも関わらずである。
 その他にも、アリババ株式の売却も含む資金調達は加速して居る。これまでも「大ぶろしきを広げて資金調達をして来た」企業ではあるが、ここの処の一連の動きを見ていると「末期」に差し掛かって居る様に思える。どう考えても、資金繰りに窮した企業の最後のアガキである。

 GAFAを初めとするIT関連業界が頭打ちに為り、棚から牡丹餅式の利益を得ることが出来無く為れば資金繰りに窮するのは当然だ。借金だらけで博打を打って来ても成功して来た企業の悪運の強さには驚かされるが、運の良さと云うのは何時までも続く訳では無い。


 




 第2のファーウェイに為るのか?


 ZTEやファーウェイに対する態度を見れば、米国政府が本気で共産主義中国のIT産業(サイバー攻撃・工作活動を行っている)を叩き潰す積りであることは疑いの余地が無い。そしてその攻撃は、順次共産主義中国と密接な関係を持つ他の国や企業に対しても行われるであろう事も明白である。日本のIT・通信関連企業でその筆頭に挙げられるのがソフトバンクである。
 創業者の孫正義氏は、これ迄の経緯を見る限り、ビジネス上最も繋がりが深い国のの一つが共産主義中国である。但し、ビジョンファンドに中国と同じく深刻な人権問題を抱えるサウジアラビアからの出資を受け入れた事から「金さえ出して呉れればドンナ国でも好い」のかも知れないが・・・


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                ジャック・マー氏


 6月4日には、保有するアリババ・グループ株式の一部を資金化。デリバティブ負債の取り崩しも含め、2020年3月期第1四半期に約1.2兆円を税引き前利益として計上する見込みだと発表して居る。
 今回の取引決済後、ソフトバンクGと子会社が保有するアリババ株は6億7400万株と為り、2019年3月末現在のアリババの発行済み株式に対する比率は26%に為ると云う。アリババグループの総帥であるジャック・マー氏は2018年9月に、会長の職を2019年9月に退き張勇(ダニエル・チャン)CEOを後継に据えると表明して居るが、筆者はこれが中国がケ小平の改革・開放路線を終了させ「毛沢東暗黒時代」に回帰を始めた象徴的な出来事であると考えて居る。

 マー氏は、2018年に中国共産党に入党して居る事が人民日報で報じられて居り、ソフトバンクグループの取締役を現在も務めて居る。更には、ソフトバンクが基地局にファーウェイ製品を導入して居るとも報道されて居る。米国CIAは既にソフトバンクと共産主義中国の関係は調査済みであろうから、もしCIAが何か情報を掴んで居るのであれば、ファーウェイ問題に或る程度の決着が着けば、次はソフトバンクに矛先が向くかも知れない。
 トランプ大統領が訪日した際に「孫氏が駆け寄った」と云う事をニュースにするオールドメディアが多数あったが、そもそもこんな事をニュースにする事自体、メディアがソフトバンクにどれだけ忖度して居る事の証明である。又、この様な手法は怪し気な商人のゴマすりであり、トランプ氏は孫氏の顔さえ覚えて居なかったかも知れないが、政治家として当然のごとく愛想を振り舞った。

 大相撲観戦の帰り際に「トランプ大統領の方から」ワザワザ手を差し伸べて櫻井よしこ氏等保守派の論客と握手をした事を考えれば、孫氏の存在がトランプ氏に取ってどれ程軽いものかが分かる。それ処か、米国からのソフトバンクへの圧力は既に始まって居るのかも知れない。
 昨年来、菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と繰り返し発言し、実際に料金が下がり始めて居るが、これもソフトバンク潰しの一貫かも知れない。ソモソモ、日本国の官房長官が民間の商品価格にこれ程具体的かつ強力に関与するのは異例である。何等かの隠れた意図があると考えるのが自然だが、この値下げで最もダメージを受けるのはソフトバンクである。

 膨大な借金の返済に、携帯電話事業の収益が貢献して居るのは明らかだし、他社も料金を値下げすればソフトバンクの価格面の優位性は無く為る。可なりウガッタ見方だが、日本政府が異例の行動を起こす時には「米国政府への忖度」が理由である事が多いのは事実である。
 首切り屋に過ぎ無いカルロス・ゴーン氏は、再建の神様として持て囃されたが「ゴーン事件」で奈落の底に突き落とされた。孫正義氏もIT起業家として持て囃された時代は終わり「ソフトバンク・ショック」で梯子を外されて転落するのも時間の問題ではないだろうか? 

 大原 浩  以上


 
 





 【管理人のひとこと】


 管理人は、株やその他の利殖行為は行って居ないので詳しくは判らないが、大原氏(筆者)の説明を受けると、何と無くキナ臭い匂いがしないでも無い。確かにソフトバンクの状況は、素人目には理解出来ない程のスケールで大きな博打を打ってる様な感じがする。
 投資先が広く、それも世界中に広範囲に広がり、それも可なり先の見え無い(素人には判断も出来ない)リスクの多いものに集中して居る様なのだ。無論、投資は原則的に博打に近いものだろうし、新興企業への投資と為ると殆どが失敗覚悟の先行投資であり、投資先の1%でも成功したら大当たりと云うべきなのだろうが。

 現在のTVのCMを見ると判る通り、ヤフー・ソフトバンク系のコマーシャルは他を圧倒している状況だ。それ程孫氏のグループ企業が我が国の経済に大きな影響を持って居るかが判る。政府が携帯料金値下げを執拗に干渉したり、米国がハーウェイの次に何処を狙うか・・・の標的として狙われて居るとすると「成程」と頷け無いでも無い。
 綱渡りを続けても何とか落ち無いテクニックは取得しても、ロープの支柱を折られてしまったら為す統べは無く落下する。トランプ氏の中国憎しが次に何処へ向かうかで、この指摘は鋭いものに為ってしまう可能性が高い。リーマン・ショック為らぬソフトバンク・ショック(日本のITバブル崩壊)とは言い得て妙である。



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2019年06月14日

来月の参院選、山本太郎議員が“台風の目”に  各党がその動向に戦々恐々の理由



 




 来月の参院選 山本太郎議員が“台風の目”に 

 各党がその動向に戦々恐々の理由

 

 文=編集部 より引用します


 6月26日に会期末を迎える国会。一時は暴風だった解散風はソヨ風程度に止み、国会の会期延長と衆参同日選は無く為ったと云う見方が広がって来た。
 そう為ると、参院選は7月4日公示・21日投開票と云う日程が濃厚だが、有名人が公示直前に出馬表明したりと毎回、候補者が乱立する日本一の大票田「東京選挙区」で今、主要政党が固唾を飲んでその動向を注視して居るのが、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げた山本太郎代表である。

 現在、東京選挙区の現職は、自民党の丸川珠代氏(48=元五輪相)、武見敬三氏(67)、公明党代表の山口那津男氏(66)、共産党の吉良佳子氏(36)、山本太郎氏(44)の5人。東京選挙区は3年前の参院選から改選数が1増え6議席と為った。

 ここに新人として立候補を予定して居るのは、立憲民主党から元都議の塩村文夏氏(40)と元朝日新聞記者の山岸一生氏(37)、国民民主党からJAXA職員の水野素子氏(49)、日本維新の会から元都議の音喜多駿氏(35)、社民党から労組書記長の朝倉玲子氏(60)等である。
 各党は、山本氏がそのまま東京選挙区で出馬するのか、それとも全国比例に移るのかを注視して居る。衆参同日選なら衆議院への鞍替えの可能性まで想定して居るとも。何処に出馬するのか、未だ最終確定して居ないからだ。

 山本氏は4月1日に政治団体を立ち上げた際、寄付を募り「寄付金が3億円集まったら、参院の比例と選挙区で合計10人の候補者を立てる」と宣言して居る。寄付金は僅か40日で1億円を突破、6月5日時点では1億6826万円に達して居る。こう為ると公示までに3億円は夢では無く、全国に広がる支持者の為にも、圧倒的な知名度を生かして比例で出馬する可能性が高まる。

「山本氏には、是非とも比例に行って欲しい」・・・これが、自民・立憲・国民の切なる願いだ。


 




 「自民党の情勢調査では、自民の丸川氏、公明の山口代表、共産の吉良氏、れいわの山本氏が当選確実で、残り2議席を自民の武見氏・立憲の塩村氏と山岸氏・国民の水野氏が争う構図。ここに保守票を奪う可能性のある維新の音喜多氏迄参入して来た。武見氏は頑張っても最下位当選が好い処なのです。山本氏が東京選挙区から居なく為れば、武見氏が戦い易く為ります」(自民党関係者)

 一方、野党の調査では、丸川氏と塩村氏が夫々100万票獲得の勢いで飛び抜けて居ると云う。

 「丸川氏と塩村氏が大きく得票して抜ければ、残り4議席は団子状態と為り当選ラインが下がる。3年前の参院選では、現在立憲の蓮舫氏が112万票を取った為当選ラインが下がり最下位は50万票でした。今回は当選ラインが50万票以下に為る可能性もある。そう為れば、支持率1%の国民の水野氏にも可能性が出て来る。山本氏が居なければ、猶更です」(国民民主党関係者)

 サテ、山本が“テッパン”の東京選挙区を捨てることはあるのだろうか。(文=編集部)


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イタリア経済に迫る危機、バラマキで国を疲弊させるポピュリズムの実態



 




 イタリア経済に迫る危機

 バラマキで国を疲弊させるポピュリズムの実態




 6/14(金) 6:01配信 ダイヤモンド・オンライン<より引用します/span>


 イタリア経済に迫る危機、バラマキで国を疲弊させるポピュリズムの実態



        6-14-8.jpg

              イタリア:コンテ新政権


 長びく景気低迷や、厳しい財政緊縮に対する有権者の不満を吸収する形で誕生したイタリアのコンテ政権は、その公約通りバラマキ政策を強化した。しかしそのバラマキ政策は、景気を加速させる処か、設備投資の悪化や銀行の経営環境の悪化に繋がり、経済の成長力を弱めると云う本末転倒な結果をもたらしている。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査本部 研究員 土田陽介)


 




 ●芳しく無いコンテ政権による バラマキ政策の評価


 2018年6月1日に発足したイタリアのコンテ政権は、財政拡大(バラマキ)志向が非常に強い。同政権は左派色が強い五つ星運動党(M5S)と右派色が強い同盟党(旧北部同盟)と云う、性格の異なる2つのポピュリスト政党が連立を組んで誕生した。両党ともバラマキ色が強い公約を掲げ、その実現の為に拡張的な2019年度の予算案を計画した。
 その結果、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会との間で対立が生じ、2018年秋には欧州委員会がイタリア政府に対して過剰財政手続き(EDP)と呼ばれる制裁手続きを発動する意向を示したが、イタリア政府が当初案より財政赤字幅を縮小させた修正予算案を提出した為、土壇場で回避された。

 筆者は2019年5月中旬にイタリア経済の中心地である都市・ミラノを訪問し、複数の有識者に対してコンテ政権による経済運営の現状に関するヒアリング調査を行った。その際、4月から本格化したコンテ政権によるバラマキ政策は、景気の加速に繋がら無いばかりか、イタリア経済に悪影響を及ぼして居ると云う意見が多く聞かれた。
 コンテ政権によるバラマキ政策の中心と為って居るのが、通称「市民所得」と呼ばれるイタリア版ベーシックインカム(最低所得制度)の導入と「クオータ100」と呼ばれる年金受給年齢の引き下げの2つだ。これ等は2018年3月の総選挙で第一党に為ったM5Sが掲げた公約に基づいて居る。


 




 市民所得と云う名で4月からスタートしたイタリア版ベーシックインカムは、その給付対象者を失業者や貧困者に限定して居ると云う点で、就労の意思や収入・資産に関係無く全ての個人に一定額が支払われるベーシックインカムよりも失業手当の拡充に近い
 「クオータ100」と呼ばれる年金受給年齢の引き下げ措置も、4月からスタートして居る。この措置により、2021年迄に67歳以上へ引き上げられる予定であった受給開始年齢は62歳に引き下げられた(但し38年以上の勤労期間が必要)。11万人以上がこの制度の適用を申し込み、中には駆け込みで3月末に退職した者も居たと云う。

 イタリア経済財務省が19年4月に発表した『経済財政文書』によると、市民所得とクオータ100を中心とするバラマキ政策に伴う財政負担は、2019年から2021年の3年間で約1330億ユーロ(約16兆円)GDPの3%弱に相当する。巨額の支出増が見込まれる一方で、その財源には確たる当てが無いのが実情である。



 




 ●バラマキ政策は投資と 労働の面から経済に悪影響

 金融市場は、コンテ政権によるバラマキ政策を厳しく評価して居る。イタリアの長期金利は2018年3月の総選挙でM5Sが大勝した事を受け、2%前後から3%台半ば迄急騰した。その後は2%台半ばまで低下したものの、ドイツの長期金利との差は3%ポイント近く迄拡大しフランスやスペインよりも差が大きい。
 こうした金利の上昇は、先ず設備投資の重荷に為った様だ。2018年前半まで比較的堅調に推移して居たイタリアの設備投資は、コンテ政権が成立した後の2018年後半には前年割れに陥る等、腰折れしてしまった。世界景気の減速や米中摩擦の激化等の影響が色濃いが、金利高による資金調達コストの増加も設備投資の悪化に繋がった。

 そもそも企業は、コンテ政権によるバラマキ政策に対して不信感を募らせて居りマインドを悪化させて居る。先行き不透明感も濃く、設備投資を手控える動きに拍車を掛けて居る。コストとマインドの両面で、コンテ政権によるバラマキ政策はイタリアの設備投資のブレーキとして働いた事に為る。
 又、クオータ100の導入によって早期退職が相次いだ為、熟練労働者を中心に人手不足が深刻化しつつある様だ。コンテ政権は、クオータ100の導入で早期退職が増えれば、長年の課題である若年層の雇用創出に繋がると強弁を張って居るが、スキル・ミスマッチの問題がある為、そうした効果は望み難い。

 加えてコンテ政権は、移民に対しても厳しいスタンスで臨んで居る。その為移民労働力の流入も先細りすれば人手不足は本格化してしまう。これ等のことから、イタリアでは今後人手不足に伴う賃上げ圧力を受け、コストプッシュ型のインフレが加速するリスクが出て来ている。



  

 


 ●企業の資金需要が減少 銀行の経営不安が再燃するリスクも


 コンテ政権によるバラマキ政策は、金融面でもイタリア経済に悪影響を与えており、特に銀行の経営環境の悪化と云う形で表れて居る。長引く景気低迷を受けて、イタリアでは不良債権問題が深刻化し、不良債権比率は最悪期であった15年第2四半期には18.2%と、先進国では異例の高水準に達した。
 その後はモンテパスキ(MPS)等、経営悪化が深刻な銀行に公的資金が注入された事や、銀行間で不良債権処理に向けた協力体制(共通する貸出先の不良債権処理を協力して行うこと)が整った事等から、2018年に入ってイタリアの不良債権比率は10%を下回るな、問題の改善が進んでいる。

 只、銀行の収益環境は厳しい。不良債権問題や景気低迷の長期化を受けて、イタリアの銀行の収益力は他の先進国と比べると弱い。加えて、コンテ政権によるバラマキ政策を受けて設備投資が腰折れしたことで、企業の資金需要も減少してしまった。銀行は個人向け融資の強化やリストラで収益の確保に努めている。

 又、コンテ政権によるバラマキ政策を嫌気した金利の上昇で国債の評価損が生じ、更に金融市場での資金調達コストも増加した。収益と費用の両面で、コンテ政権によるバラマキ政策は銀行の経営を圧迫して居る。イタリアの企業は銀行からの資金調達に依存して居る為、銀行の経営不安は企業の資金繰りの悪化に繋がる恐れがある。



 




 ●ポピュリストの戦略無き財政拡大 イタリア経済に忍び寄る危機


 コンテ政権による財政出動は、有権者の信認を得たいポピュリスト政党の下で行われる典型的なバラマキ政策だ。特にクオータ100は、年金制度そのものの破綻を早めてしまう恐れがあると同時に、コンテ政権以前の政権が心血を注いで進めて来た構造改革路線を完全に覆す「愚策」に他なら無い。
 更に事態を複雑にして居るのが、コンテ政権によるバラマキ政策がM5Sと同盟の主導権争いに密接に関係して居る事だ。政権発足当初はM5Sの支持率の方が高かったが、2019年に入ると同盟の支持率が逆転して居り、2019年5月に行われた欧州議会選でもM5Sが議席を減らした一方で同盟は躍進した。

 その為、M5Sから主導権を奪いたい同盟が、20年度以降の予算でフラットタックスの拡充等、更にバラマキ色の強い政策を打ち出して来る可能性が高まって居る。或はM5Sを政権から排除しようと、同盟党首のサルヴィーニ副首相がコンテ首相を懐柔し、解散総選挙を決断させるかも知れない情勢に為っている。
 当然、こうした政治リスクの高まりは実体と金融の両面でイタリア景気を更に下押しさせることに為る。欧州委員会は、再びEDPの発動を盾にコンテ政権へバラマキ政策の見直しに向けた圧力を掛けているが、それが政権与党間で主導権争いが繰り広げられる現状のイタリアに対して有効に働くか、定かでは無い。

 この様に、コンテ政権によるバラマキ政策は、ポピュリスト政党による戦略無き財政拡大の典型と言える。反EUを唱える各国のポピュリスト政党は、多かれ少なかれM5Sと同盟の様なバラマキ政策の実施を公約に掲げて居る。只、バラマキ政策は景気の拡大に繋がらず、寧ろ経済の悪化に繋がる事を、イタリアは体現して居る。


 土田陽介  以上


 




【関連報道】



 日本の財政規律は、大衆迎合×極右の伊新政権より緩い

 
 加藤 出 東短リサーチ代表取締役社長 2018.6.28より引用します


 

 


 欧州中央銀行(ECB)は6月14日に年内の量的金融緩和策(QE)終了を決定した。同日の記者会見で、マリオ・ドラギ総裁に次の様な質問が飛んで来た。

 「『ECBは5月にイタリア国債を特に少なめに買った』と云うイタリアからの批判に何と答えるのか」「国債購入の減少とアンチ・ヨーロッパ政府がイタリアで選ばれた時期の関連を説明できるか」

 6月、イタリアでポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」による連立政権が正式に発足。その過程において、新政権はユーロ圏から離脱するのでは無いかと金融市場が懸念した5月、ECBのイタリア国債の買い入れ額が前月より減少した。それが同国債の金利暴騰に拍車を掛けたと云う怒りが、五つ星運動支持者の間で渦巻いている。
 この質問に対してドラギ総裁(イタリア出身)は、国債買い入れオペの変化は単なる技術的な要因の影響に過ぎ無いと説明した。


 




 ECBの国債の買い入れは、以前から月によってバラツキが生じている。ECBが持つ或る国の国債に満期償還が来て保有額が減少すると、それを補う為にその国債の購入が暫く増える(今回はドイツ国債)。代わりに他国の国債購入は一時的に減る。5月はフランス、オーストリア、ベルギーの国債買い入れ額も減った。
 実際、ドラギ総裁はイタリア新政権に嫌がらせをする積りは無かっただろう。只、こうした騒動が起きたこと自体、ECBのQEが同国の財政運営にモラルハザード(規律の欠如)を起こして居ると言える。2015年春のQE開始当初から、ユーロ圏北部の有識者らは「QEで長期金利を押し下げると南欧の国々で財政規律が後退する」と懸念して居た。それが現実に起きてしまっている。

 イタリア国債市場における最大のプレーヤーは今やECBだ。その圧倒的に巨額の国債買い入れが、イタリアの長期金利上昇を押さえ付けて来た。五つ星運動の有力議員からは、ECBがQEを辞める事に恨み節が出ている。
 ECB理事会がQE終了を決定した主な理由は「デフレに為る恐れが無く為った」(ドラギ総裁)為だと云う。とは言え、ユーロ圏のインフレ率は、エネルギーを除いた値では未だ余り高く無い。

 判断の背景には、QEは非常時対応の異例の政策であり、経済が或る程度改善したら止め無いと副作用が出る、と云う暗黙の共通認識があったと推測される。イタリアでの財政上のモラルハザードを目にすると、QEはソロソロ終わる方が好かったと言えるだろう。
 ECBの利上げ開始は早くて来夏以降だ。そう為ればユーロ圏周辺のマイナス金利政策採用国でも利上げが始まる。英国の中央銀行のイングランド銀行も既に利上げ過程に入った。米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げとバランスシートの縮小を淡々と進めている。


 




 翻って日本銀行だが、6月15日の記者会見で黒田東彦総裁は、超金融緩和策を粘り強く続けると強調した。しかし、この政策でインフレ目標2%が達成される時期は未だ見えて来ない。しかも、全日本国民の果たして何人が「インフレ率が2%に届いて居ない」と怒って居るだろうか。
 同政策によって我が国の財政規律はイタリア以上に弛緩して居る。黒田総裁は、財政再建は政府・議会の責任であり、日銀が口を挟むべきでは無いと述べたが、超緩和長期化の副作用に対する問題意識をもっと持つ必要がある。


 (東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出) 以上


 






 【管理人のひとこと】


 ベーシックインカム採用と年金需給の年齢下げ・・・この社会福祉に重点を置いた政策が破たんする。国民から圧倒的な支持を得ただろうが、財源に何の宛ても無く突き進んでは、財政が破たんする危機を迎えるのは当たり前。これがEU加盟国が独自の財政措置を執れ無い大きなウィークポイントなのだ。
 詰まり、各国が独自の金融政策・財政政策を打ち出せ無い足枷に為っている訳だ。EU本部から警告が出されるのは当たり前で、何れイタリアの財政不安がEU域内に蔓延すると取り返しのつか無い大きな問題へと繋がるのだから。



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世界はアメリカよりも中国のリーダーシップを信頼している?



 




 世界はアメリカよりも中国のリーダーシップを信頼して居る? 

  ― 最新レポートー



 6/14(金) 12:11配信 BUSINESS INSIDER JAPANより引用します




 世界はアメリカよりも中国のリーダーシップを信頼している・・・ 最新レポート


 経済平和研究所(IEP)の最新レポートによると、世界の人々は今、アメリカよりも中国のリーダーシップを信頼して居る。アメリカの信頼低下は2016年から始まった。

 「アメリカのリーダーシップに対する信頼はここ5年でロシア・中国・ドイツよりも低下して居て、平均的に見て、今ではアメリカよりも中国のリーダーシップを人々は信頼して居る」と、IEPの2019年のレポート「世界平和度指数(Global Peace Index)」は述べて居る。

 IEPによると、アメリカのリーダーシップに対する支持は2008年以降、17ポイント低下して居る。だが、大きく下がったのはここ数年の事だ。レポートによると、アメリカのリーダーシップに対する世界の信頼は2016年から2017年で11.2ポイント低下して居て、2016年以降、世界のホボ全ての地域でアメリカに対する支持が下がって居る。
 アメリカとそのライバルである中国の緊張は、トランプ大統領が就任して以来、これ迄に無い程高まって居る。国防総省が中国の軍事力と世界におけるプレゼンスの拡大を警告する中、アメリカは今、中国と貿易を巡って激しく戦って居る。


 




 中国は世界の中でも人権侵害の酷い国として頻繁にその名が挙がるが、一部の地域ではそれが中国のリーダーシップに対する評価を低下させては居ない様だ。
 IEPの創設者で会長のスティーブ・キレリア氏は「ここ4年程、中国に対する信頼は高まって居る」と、INSIDERに語った。「それは主に独裁主義的な、余り平和とは言え無い国で起きて居る。これ等の国は中国により接近して行くだろう」と云う。
 キレリア氏は、もう1つ考慮に入れるべき要素として、アメリカのリーダーシップに対する信頼が、トランプ大統領が選挙に勝利した後、2016年から2017年に「急激に低下」して居る事を挙げ、トランプ大統領が世界中で「否定的に報道されて居る」と指摘した。

 「分かり易く言うと、(オバマ前大統領は)国際的に物凄く人気が高かったが、オバマ政権の前の(ジョージ・W・ブッシュ大統領の)後半の支持率は・・・ 今と殆ど変わら無い」と、キレリア氏は言い、ブッシュ政権下でアメリカのリーダーシップに対する信頼が低かったのは、2003年に始まったイラク戦争等が影響したと語る。
 又、IEPのレポートによると、アメリカの平和度はここ1年で低下し、今回のランキングでは163カ国中128位に順位を落として居る。平和度が下がったのは「殺人や凶悪犯罪の増加及び政治的不安の高まり、国際社会における軍事的関与、軍事費(対GDP比)や軍の人員の増大、国連平和維持活動への拠出額の減少」の所為だろう。


 




 キレリア氏は「アメリカにおける政治プロセスはより対立的に為っている」とし、大統領の弾劾を巡る最近の議論に触れ、これが政治的不安に繋がっていると語った。数々の問題で意見が対立し「妥協点」が無く、アメリカの政治は「譲歩」をしない、より「過激」なものと為り、不安定さを増していると、キレリア氏は言う。
 一方で、レポートによると、世界全体の平和度は10年前に比べると低いものの、ここ5年で初めて上昇した。世界の平和度の平均は2008年以降、約4%低下して居る。レポートは、中東における紛争が「世界の平和を低下させて居る主な原因」だと指摘、2019年のランキングでは、世界で最も平和で無い国は、シリアに代わってアフガニスタンだった。
 そして、米軍は世界で最も平和で無い国ワースト5のうち4カ国 ・・・ アフガニスタン・シリア・イラク・イエメン ― で活動して居る。

 IEPの「世界平和度指数」レポートは世界の人口の99.7%をカバーし、平和度の評価に当たっては「紛争」「治安と安全」「軍事化」の3つのカテゴリー、23の質的・量的要素を考慮した。

 [原文:The world is more confident in China's leadership than the US', according to a new report](翻訳、編集:山口佳美)

                   以上


 





 【関連記事1】


 【米大統領選】再選できるのか? トランプ大統領、8つの激戦州で「不支持」が「支持」を上回る


 Grace Panetta Jun. 07, 2019, 04:45 AM POLITICS Evan Vucci/APより引用します


 2020年の大統領選を前に、アメリカのトランプ大統領の支持率が接戦が見込まれる複数の州で低下して居る事が、モーニング・コンサルト(Morning Consult)の調査で分かった。

 調査の結果、9つの激戦州でトランプ大統領の支持率は正味ゼロもしくはマイナスだった。この内8つの州で、トランプ大統領は2016年に勝利している。一方、2016年の大統領選では余裕を以て勝利した共和党が強い州では、その支持率は正味プラスだった。(只、盤石とまでは行かない)
 ギャラップ(Gallup)によると、5月時点のアメリカ全体としてのトランプ大統領の支持率は40%で、4月の46%から6ポイント低下した。その背景には、弾劾を求める声が高まって居る事や、メキシコに対する新たな関税の脅威があるのではないかと指摘している。

 2020年の大統領選を前に、アメリカのトランプ大統領の支持率が接戦が見込まれる複数の州で低下して居る事が、モーニング・コンサルトの調査で分かった。
 モーニング・コンサルトでは、5000人以上の登録有権者を対象にトランプ大統領の支持率を日々調査している。その結果、9つの激戦州でトランプ大統領の支持率は正味ゼロもしくはマイナスだった。この内、ニューハンプシャー州をのぞく8つの州で、トランプ大統領は2016年に勝利して居る。


 




 調査結果 Morning Consult

 ニューハンプシャー州:マイナス19% ・・・ 39%が支持58%が不支持
 ウィスコンシン州:マイナス13% ・・・ 42%が支持55%が不支持
 ミシガン州:マスナス12%・・・ 42%が支持54%が不支持
 アイオワ州:マイナス12%・・・ 42%が支持54%が不支持
 ペンシルベニア州:マイナス7% ・・・ 45%が支持52%が不支持
 アリゾナ州:マイナス6%・・・ 45%が支持51%が不支持
 オハイオ州:マイナス4% ・・・ 46%が支持50%が不支持
 ノースカロライナ州:マイナス4%・・・ 46%が支持50%が不支持
 フロリダ州:ゼロ ・・・ 48%が支持48%が不支持

 一方、2016年の選挙ではトランプ大統領が余裕を以て勝利した共和党が強い州では、その支持率は正味プラスだった(只、盤石とまではいか無い)。ジョージア州・ノースダコタ州・カンザス州でプラス1%、テキサス州・インディアナ州ではプラス3%だった。
 ギャラップの調査によると、5月時点のアメリカ全体としてのトランプ大統領の支持率は40%で、4月の46%から6ポイント低下した。ギャラップはその背景に、下院に対して弾劾手続きを始める様求める声が高まって居る事や、トランプ大統領のメキシコに対する新たな関税の脅威 ・・・ 議員の間では不人気 ・・・ による市場の下落とアメリカの商品原価の値上がりの可能性と云った幾つかの要素があるのではないかと指摘して居る。

 激戦州でトランプ大統領の支持率が芳しく無いとは言え、共和党の予備選有権者の"トランプ支持"は固い。モーニング・コンサルトの調査によると、共和党を支持する有権者のトランプ大統領の支持率は、何れの年代でも70%を超える。(翻訳、編集:山口佳美)

                  以上



 





 【管理人のひとこと】


 トランプ氏を大統領に選択したアメリカ国民は、果たして今の状況を予想して居ただろうか・・・恐らく半数以上は落胆し、それでも残りの半数近くは、今でも彼に期待と希望を繋いで居るのでは無かろうか。政治を取引だと豪語し、形振(なりふ)り構わず突進して来た嫌いのある彼の遣り方に半ばウンザリし、方やそれで無ければ変わら無いのだから・・・と諦めに似た許容する感情もあるだろう。
 理想論と精神主義を高らかに掲げたオバマ氏とは究極に対極の立場にあるトランプ氏の政治は、初めからこれを容認して居たからこそ勝利したのであって今更後悔しても始まら無い。今から軌道修正は出来ないのだからそのまま見守るしか無い。

 果たしてトランプ氏に再選の道が開けるのか・・・恐らく接戦を続け最後の最後まで結果が出無い様な混乱を生じるだろう。対する民主党の候補の中に「次代のホープ」が生まれるか、全米を巻き込んだ一大ブームを巻き起こせる人材があるのかが問われる。
 余りにも多くの候補者の中から、一体誰がトランプ氏を凌ぐ人気と信頼を勝ち得るのか・・・しかし、アメリカ国民は何時も冷静で大局を俯瞰(ふかん)している様に思える。誰が大統領に為っても、例え反戦論者でも戦争と為れば勝利へと邁進する国民だ。国の新しさだけが取り柄の国柄だけに、何時も最後には勝利出来ると信じて居る国民だ。下手な常識や古い伝統に煩わされず、未来を見詰める清新な大統領が世界から望まれて居る・・・




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<参院選>宮城選挙区擁立の石垣氏「消費税ゼロ」立民に波紋 党方針から踏み込む




 





 <参院選>宮城選挙区擁立の石垣氏「消費税ゼロ」

 立民に波紋 党方針から踏み込む




  6/14(金) 10:47配信 河北新報より引用します


 <参院選>宮城選挙区擁立の石垣氏「消費税ゼロ」立民に波紋 党方針から踏み込む 



         6-14-3.jpg  

                   石垣のり子氏

 
 立憲民主党が参院選宮城選挙区(改選数1)に擁立するラジオ局アナウンサー石垣のり子氏(44)の消費税廃止の訴えが、党内外に波紋を広げて居る。党の税率引き上げ反対の方針から踏み込んで居る為で、党幹部らも対応に苦心する。対する自民党陣営は「パフォーマンスだ」と突き放し、静観の構えだ。

 「庶民を苦しめる消費税はゼロで好い。上げるべきは賃金だ」石垣氏は仙台市青葉区で1日行った街頭演説で力説した。傍らに立った立民の枝野幸男代表は苦笑いするしか無かった。
 立民は10月に予定される消費税率引き上げには反対の立場で、消費税の必要性については言及していない。税率引き上げは旧民主党政権時代の2012年、自民・公明両党との3党合意を経て決まった経緯もあり、党幹部の歯切れは悪い。


 




 枝野代表は街頭演説後の取材に「石垣氏は(党方針を)理解して公認を受けたと思って居る」と交わすのが精一杯。福山哲郎幹事長も4日の記者会見で党内見解の不一致を問われ「政策に理解を深めて貰える様努力する」と言葉を濁した。
 元財務相で党県連顧問の安住淳衆院議員(宮城5区)は5月下旬にあった石垣氏の後援会事務所開きで、消費税を巡って1時間程電話で議論した事を披露。「党の政策が壁に為るかも知れないが、乗り越え様とするパワーは大したものだ」と持ち上げた。

 石垣氏は取材に対し「市民感覚で議論出来ないなら、自分が立候補する意味が無い」と話し、廃止の訴えを続ける考え。「急に0%にするのは難しいかも知れないが、累進制を加味した新たな税制の在り方を考えたい」とも述べた。
 自民に取って消費税は出来るなら避けたい争点だけに、現職愛知治郎氏(49)の陣営の見方は冷ややかだ。愛知氏は「国民受けを狙ったパフォーマンス的な政策は必ず見透かされる」と言い放った。

 石川光次郎県連幹事長は「枝野氏が当時深く関与した3党合意を全く顧みていない。野党第1党の候補者の発言としては余りに不見識ではないか」と疑問を呈した。


 




 【関連報道1】


 <参院選>宮城選挙区に石垣氏が出馬表明 立憲民主党



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                石垣のり子氏
 

 立憲民主党宮城県連は7日、夏の参院選の宮城選挙区(改選数1)に、仙台市のラジオ局「エフエム仙台」アナウンサー石垣のり子氏(44)を党公認で擁立すると正式に発表した。

 石垣氏は仙台市であった記者会見で「国会での熟議が、数の力を前に軽んじられて居る。国民が置き去りに為って居る状況を変えなければ為ら無い」と述べ、消費税率引き上げや憲法改正への反対、脱原発等を掲げた。
 石垣氏は仙台市宮城野区出身、宮城教育大卒。1998年にラジオ局に入社し、番組パーソナリティー等を務めた。5月1日から休職して居る。


 




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            共産党 新人の元仙台市議舩山由美氏


 立民宮城県連は石垣氏の公認を1日に申請し、党本部が7日、公認を決めた。同県連は今後、国民民主、社民の両県連、連合宮城等に選挙協力を呼び掛ける方針。宮城選挙区では、自民党現職の愛知治郎氏(49)が4選を目指して立候補を表明。共産党は新人の元仙台市議舩山由美氏(51)の擁立を決めている。

                 以上



 





 【関連報道2】



 <参院選>宮城選挙区の構図固まる 焦点は野党一本化


 夏の参院選宮城選挙区(改選数1)は、立憲民主党が7日、新人石垣のり子氏(44)の擁立を決め、与野党対決の構図が固まった。定数が2から1に減った前回(2016年)を制した野党勢力は、候補者一本化に向けて新人舩山由美氏(51)を擁立する共産党との調整を急ぐ。
 自民党は4選を狙う現職愛知治郎氏(49)を立てて迎え撃つ。前回苦杯を舐めた野党共闘に警戒感を強めて居る。

 「国の文書改ざんや統計不正は国家の崩壊、民主主義の破壊だ。国民を冒涜(ぼうとく)して居る」仙台市青葉区のホテルで7日、出馬表明した石垣氏は与党の国会運営に批判の矛先を向けた。

 前回の勝利から間も無く3年が経つ。安倍晋三政権では閣僚の失言や省庁の不祥事が相次ぐが、立民を初めとした野党各党の支持率は低空飛行が続く。立民県連代表の岡本章子衆院議員(比例東北)は会見で「(与党候補と)戦える環境を整えるのが次の私の仕事だ」と述べ、野党候補の一本化を急ぐ考えを示した。
 共産県委員会の中島康博委員長は取材に対し「自民に勝つには共闘は必ず遣らねば為ら無い」と候補者調整に前向きな姿勢を見せる。一方で「原発再稼働等『自民政治を変える必要がある』と有権者が思える旗印を掲げたい」と野党間の政策合意の必要性も説く。

 対する愛知氏は4度目にして初めて1人区に臨む。泉区で6日夜にあった後援会の会合では「大変厳しい選挙に為る。全身全霊で勝ち抜き、皆さんに恩返しする」と力を込めた。会合後の取材に、愛知氏は「女性だからとかでは無く、宮城の将来を担える人材かどうかだ。これまで仕事をして来た私は、宮城の代表に恥ずかしく無い候補だ」と胸を張った。
 自民県連の石川光次郎幹事長は石垣氏について「全くの未知数。それ故に怖さもある」と警戒。「(愛知氏が)どう活動し、組織としてどう対応するかが大事だ」と気を引き締めた。

                   以上


 




 【関連報道3】


 <参院選宮城>共産の石垣氏推薦 立民が受け入れ


 夏の参院選宮城選挙区(改選数1)で、立憲民主党県連は6日、同党が擁立する新人のラジオ局アナウンサー石垣のり子氏(44)に対して共産党県委員会が示して居た推薦を受けることを決めた。立民県連と共産県委の間で確認した。立民県連によると、同党候補者が共産の推薦を得るのは全国でも珍しい。共産県委は5月31日、擁立予定の候補者を取り下げ、立民県連、石垣氏と政策協定を交わして居た。
 2016年の同選挙区では、旧民主党が野党統一候補として擁立した現職桜井充氏(63)を、共産・社民・維新の各党が推薦した。同選挙区では自民党の現職愛知治郎氏(49)が立候補を表明して居る。




 【管理人のひとこと】


 どうも・・・共産と立民が夫々の候補、それも共に女性候補を立ててガップリの対決構造を為して居る様だ。これでは地盤・看板の強い自民に勝てるのか、甚だ心もと無い。元々は旧民主党の力が強いと言われた宮城県だったが、民主党の凋落と共に支持が霧散してしまった様だ。とてもではないが、野党の共闘無くして勝利は得られ無いだろうから、共に新人同士の今後の話し合い如何ではこの選挙区を諦めるか早期の解決が望まれる・・・

 と書いたのだが、【関連報道3】にある様に、共産は船山氏の立候補を取り下げ立民の石垣氏を推奨する事にした様だ。これで保革の正面勝負と為る。これで石垣氏の芽も残され自民愛知氏との一騎打ちと為った。ヤレやれである・・・これで浮動票が動き投票率が上がれば勝機もある。



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