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2020年04月29日

『危機下ではとても任せられ無い』安倍晋三 退任カウントダウン始まる




 『危機下ではとても任せられ無い』

 安倍晋三 退任カウントダウン始まる


           〜プレジデントオンライン 4/29(水) 9:15配信〜

 陽性率の高さを踏まえれば「延長」が濃厚との見方は強い

 安倍晋三首相による緊急事態宣言発令後、日本は今後の行方を大きく左右する大型連休に突入する。3月20日に小中高校等の一斉休校は延長しない方針を決めて「3連休の気の緩み」を誘った同じ轍は踏むまいと、首相は大型連休中の「オンライン帰省」等を呼び掛けて居るが、安倍政権が頭を抱えるのは5月6日迄と設定した宣言期間の延長の是非だ。
 増加する感染者数や陽性率の高さを踏まえれば「延長」が濃厚との見方は強いが、ソモソモ宣言発令に否定的だった政府は更なる経済への打撃を懸念する。命を最優先とするか、経済とのバランスをとるのか・・・究極とも云える「2択」を巡る綱引きは激しさを増して居る。「夏迄に終息出来無ければ日本社会は崩壊し兼ねない」との声も漏れる中、首相は如何なる決断をするのか。そのタイムリミットは刻々と近づいて居る。

 「急速に悪化して居り、極めて厳しい状況」政府が4月23日に発表した4月の月例経済報告には、リーマン・ショックで苦境に立たされた2009年5月以来約11年振りに「悪化」と云う文言が使われた。西村康稔経済再生担当相は「過去に例を見無い極めて厳しい状況だ」と語ったが、その表情は先行きへの焦りを感じさせるものだった。

 何時迄外出を自粛し、店を閉め在宅勤務を続け無ければ為ら無いのか

 新型コロナウイルス危機で曖昧なのは「出口」を何処に設定するのかと云う点だ。これ迄安倍首相は「人と人との接触機会を最低7割・極力8割削減出来れば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせる事が出来る」と繰り返して来たが、その「出口」には触れて来なかった。
 感染者数や陽性率・死者数等がどの程度落ち着けば良いのか、その「目安」が設定される事は無く、自粛や休業を只管我慢する「出口無き戦略」を突き進んでいる。

 何時迄外出を自粛し、店を閉め在宅勤務を続け無ければ為ら無いのか。学校は何時から再開されるのか・・・安倍首相は4月末からの大型連休中に宣言の延長の是非を判断するが、緊急事態宣言を「解除」すれば感染再拡大のリスクを如何に防ぐのか「延長」為らば日本経済への影響をどの様に最小限に抑えるのか、その「目安」の設定と共に国民への説明が求められる事に為る。
 元大阪府知事の橋下徹氏は4月21日放送のTBS系「あさチャン!」で、経済活動再開の判断に関し「政治家は凄い覚悟の居る判断に為る。でも、これを遣るのが政治家だ」と指摘したが、この「覚悟」を首相が持てるか否かが日本社会の分かれ道となる。

 国民の命が懸かった場面で、自らの政治的な思惑に囚われた判断

 安倍政権の初動の遅れと迷走振りには、国民の厳しい視線が向けられて居る。マスコミ各社の世論調査結果を見ると、コロナ危機下の安倍政権の対応を「評価しない」との回答は毎日新聞(4月18・19日実施)で53%に上り、感染拡大防止に向けて首相が「指導力を発揮して居ない」は朝日新聞社(同)で57%に達した。内閣支持率も低下傾向にある。
 一度は閣議決定迄した減収世帯への「30万円給付」を急転直下、1人当たり「10万円の一律給付」に変更する等、前代未聞の迷走振りは国民の不安を増幅させている。

 安倍政権に近い政治評論家の田ア史郎氏は4月17日放送のTBS系「ひるおび!」で「公明党の山口那津男代表が連立離脱をチラつかせながら、安倍総理に10万円の事を求めた。公明党は以前に閣議で署名した事と全く違う事を遣って筋が通ら無いが、それが通ってしまった」と解説してみせたが、4月18日付朝日新聞は社説でこう厳しく指弾した。「政治指導者が、取り分け国民の命や生活が懸かった場面で、自らの政治的な思惑に囚われた判断を下す様な事は有っては為るまい」

 「#橋下総理」がトレンド入り 安倍退陣も現実味

 国民には「一丸」と為って感染拡大防止への協力を要請する一方で、政府内では安倍首相と今井尚哉首相補佐官等側近グループによる「Aチーム」と、菅義偉官房長官や和泉洋人首相補佐官等による「Bチーム」の確執が不安定な政府対応を招いて居るとされる。
 緊急事態下で各国のリーダー達が指導力を発揮する中「一丸」と為れ無い今の政権・与党に辟易として居る人々は少なく無いだろう。

 未だ「出口」の見え無い航路の先には何が待ち構えて居るのか。ツイッターでは4月22日に「#橋下総理」がトレンド入りしたが、その賛否は兎も角、これに脳科学者の茂木健一郎氏は「それ為りの反応がツイッター上で有ると云う事は、それだけ現状に対する危機感が強いのでしょうね・・・」と反応した。「1世帯に布マスク2枚配布」の例を挙げる迄も無く、急遽決まった「10万円支給」に付いても「要望される方、手を挙げる方に配る」(麻生太郎財務相)と国民感情を逆撫でするかの様な政権の姿勢は変わっては居ない。

 自民党を担当する全国紙政治部記者は「安倍首相や麻生財務相達『世襲政治家』には庶民の苦労は判ら無いんだ、との思いを国民は抱いて居る。緊急事態宣言を延長する為らば、次は何時迄に終息させる積りなのかと云う『出口』も説明し無ければ為ら無い。それが失敗すれば『安倍退陣』が現実味を帯びる」と苦言を呈した。

 『危機下では安倍首相に任せられ無い』と責任を問う声・・・

 政府は6月迄の1カ月程度の宣言期間延長を検討して居るが、その場合には休業要請に応じた事業主に対する国からの「補償」が無い中で、活動縮小を余儀無くされて居る企業へのダメージは格段に増す。入学式や始業式すら行えず、勉強の遅れを心配する保護者や児童・生徒からの不安や不満も限界に近づく。
 何時迄、何処迄、どう遣って・・・「その解を夏迄に見い出せなければ『危機下では安倍首相に任せられ無い』と責任を問う声が噴出するだろう」(自民党閣僚経験者)との声も漏れ始める。

 「昨日の敵は今日の友」権力闘争が繰り返される政界とは云え「最速為らば『6月、首相退陣』説が囁かれて居る」(民放テレビ局記者)と云う。史上最長の宰相として「一強時代」を謳歌して来たものの、非常事態対応で信頼を失った安倍首相は危機を収束出来ず退陣を余儀無くされる事は有るのか。首相本人の意欲とは別に、既に「ポスト安倍」として一人の名前が挙がって居るという。

 ポスト安倍は「叩き上げ男」か

 その人物とは、菅官房長官だ。これ迄「ポスト安倍」としては石破茂元幹事長や岸田文雄政調会長等の名前が浮かんで来たが「衆院選による政権交代が出来無い状況を考えれば、トップ交代には一定の継続性が必要と為る」(同)と云うのだ。
 現在は、首相や今井首相補佐官等「Aチーム」との亀裂により指令系統から外されて居ると云われるが、菅氏は「『そんなものは泳がせて置けば好い』と気にして居ない」(官邸関係者)とされる。全省庁の情報が集まる官房長官を長く務め、二階俊博幹事長や公明党とも連絡を密にする「叩き上げの男」に期待する声は徐々に膨らんで来て居ると云う。

 コロナ危機で後手に回った政府対応は「菅外し」が影響して居るとの評論が多く有る事も待望論に繋がって居ると思われるが、霞が関の中には「菅氏が登板すれば官僚を使い熟し、スピード感の有る危機対応を出来るのではないか」(政府関係者)との声が有るのは事実だ。安倍首相との二人三脚で政権奪還を果たし「番頭」として数々の危機管理に対応して来た菅氏がコロナ下で抱いて居る危機感は強いと云う。
 それに比べて安倍首相や麻生財務相等「政権中枢の危機意識は未だ乏しい」(民放記者)とされ、こうした声も届いては居ない様だ。麻生氏は2012年の自民党総裁選の際、谷垣禎一総裁を押し退けて自ら出馬した石原伸晃幹事長(当時)を「平成の明智光秀」と批判したが、膨らむ「菅待望論」を前に何を思うのだろうか。


 麹町 文子(こうじまち・あやこ) 政経ジャーナリスト 1987年岩手県生まれ 早稲田大学卒業後 週刊誌記者を経てフリーランスとして独立 婚活中
 
        政経ジャーナリスト 麹町 文子    以上










 新型コロナ感染者数が答えられ無い 

 安倍首相答弁に不安の声


              〜女性自身 4/30(木) 11:35配信〜


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 「感染状況が・・・緊急事態宣言の解除や延長を判断する・・・一つの要素だって、サッキ言って居ましたけど、一体ドレ位い何ですか?一体どれ位の国民が感染して居るんですか?このコロナウイルスに。今現在」

 4月29日の参議院予算委員会で、国民民主党の森ゆうこ議員(64)からコンな質問を受けた安倍晋三首相(65)新型コロナウイルス対策費を盛り込んだ補正予算案を審議して居る予算委員会の場。当然、安倍首相は即答するかと思いきや、何と1分以上に渉って答えに窮してしまったのだ。
 森議員が質問すると、手元の書類に目を落とした安倍首相。暫く書類を凝視した後、辺りをキョロキョロ見まわして、後ろに座って居る加藤勝信厚生労働大臣(64)の方に指を向けるが、森議員に「総理に」と言われてしまう。傍に近寄って来た官僚に書類を渡され、何やら説明を受けて、安倍首相は要約答弁に立つ。森議員の質問が終わってからおよそ1分10秒が経って居たが、第一声は森議員への文句だった。

 「今の、その、現時点で、今の感染者数と云うご質問は頂いて無くてですね。今、アノ、コレに有るのは『緊急事態宣言を解除、延長する基準、判断時期を明確にされたい』、と云うのが、私への答弁・質問で御座いまして、今して居られる事に付いては、質問の通告はされて居ないと云う事は、先ず申し上げて置きたいと思います」

 議場がザワ着くと、サモ心外と云った口調でこう続けた。

 「それはソウですよ。だって・・・コ、コレに書いて、コレに、コレに、コレに書いて無いじゃないですか。その上でですね・・・」

 安倍首相が云う「これ」とは、恐らく森議員の「質問通告」が書かれた書類の事を指して居る。「質問通告」とは、正確な答弁が出来る様に、質問する側が事前に質問の要旨を政府に通告する事。飽く迄も慣習なので、通告に無い質問をしてはいけ無いと云う決まりも無いのだが、安倍政権では「事前通告が無い」事を理由に、閣僚が答弁を拒否する例が常態化して居る。
 だが、ここは新型コロナウイルス対策費などを審議している場。当然、ウイルスの感染者数は審議の前提に為るし、直前の答弁で安倍首相は「感染者の拡大状況」が緊急事態宣言の判断基準に為ると答えて居る以上、おおよそでも現状の数字は把握してそうなものだが・・・ちなみに安倍首相は新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長でもある。

  「全部書か無いと答えられ無いの? ソレももう許され無いよ。何を言ってるんですか」

 そう森議員が声を荒げると、安倍首相は書類に目を落として、要約政府が取りまとめて居るPCR検査の陽性者数を読み上げたのだった。元々森議員は「検査不足の為に政府が把握する感染者数は正確では無いのでは無いか」と云う事を指摘する為にこの質問をした様なのだが、その前段階、把握して居る感染者数を答えると云う処で、安倍首相が躓いてしまうと云う予想外の結果に・・・一連の遣り取りが、ツイッター上等で広まると、こんな声が挙がった。

《感染者数聞かれた時の答弁、知ら無い事聞かれたから逆ギレ。情けない…》
《感染症対策をし無ければ為ら無い咳任者が感染者数すら把握して居ない。通告が無くても答え無ければ為ら無い数字だ。他人から言われ無くても毎日把握して置くべき数字だ》
《安倍ちゃん最高責任者なのに現在の感染者数すら知らんのか・・・挙げ句の果てに「質問通告書に書いてないんだから答えられ無いのは当然」みたいなこと言ってる》


 更に、芥川賞作家の平野啓一郎氏(44)は遣り取りをまとめた動画と共にツイートした。


  《「こ、これに、これに、これに書いて無いじゃないですか」彼が首相で、この危機を乗り越えられるとはとても思え無い》

                  以上











コロナ危機で大きく衰退する「先進国の末路」




 コロナ危機で大きく衰退する「先進国の末路」

       〜現代ビジネス 羽場 久美子 青山学院大学教授4/29(水) 6:01配信〜


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 先進国の感染爆発
 
 コロナウイルスは、先進国の近代資本主義社会を破壊して進んで居る様に見える。コロナウイルスの一般的な死亡率は2〜3%だが、イタリア・スペイン・イギリス、及びドイツを除く高い感染数のEU諸国は10%以上だ。
 通常、検査で判明して居る感染者数よりも数倍は多いので、結果的には2〜3%と言われて居るが、一方で、コロナウイルスは、高血圧や糖尿病・高脂血症を悪化させ死に至らしめるとも云われて居る。故に高齢者の死は、コロナの結果なのか持病の結果なのかは判らず、高齢者の10%と云う高い数値は、通常の高血圧・糖尿病・高脂血症・肺炎等で無く為る数値に2〜3%上乗せした数値に為って居るのかも知れない。
 個人的には、先進国の近代市民社会は、衰退しつつ有るのかに関心が有る為、今回のコロナウイルスの結果は、先進国の衰退を更に強めるものに為りそうだ。

 世界の感染者が300万人・死者が20万を超えて進んで要る時、世界で単独的に支配権を持って居たアメリカの感染者は世界の3分の1・約100万人の感染者を出して居り、第2位のスペインの5倍である。ニューヨークの抗体検査ではニューヨークの感染者はホボ10倍の270万人に及びそうだと云われる。
 対する欧州も、先進5ヵ国で100万人近く・死者はアメリカの2倍10万人に至って居る。何故米欧先進国で、コロナウイルス感染者のホボ3分の2を占めて居るのか? 死者は米欧で全体の4分の3を占めて居る
 「豊かな・高い医療技術を持つ先進国」米欧が、何故コロナウイルス感染の危機に陥って居るのか。何れもピークは過ぎたと云われつつ、死者数は増えるばかりである。

 アメリカは「中国ウイルス」を繰り返し、WHOを中国寄りと批判して拠出金の停止を宣言し、マスク輸出禁止を発表して、とても先進国と云えない様相を示して居る。アメリカの世界支配は、先ずは医療と倫理の点で、地に落ち始めて居ると言え様。

 貧国・途上国の感染率の低さ

 他方「貧しい発展途上国」の感染率は、現時点では非常に低く、数字で見る限り、米欧先進国での感染爆発と、アジア・アフリカ等途上国と、ロシアを除く旧社会主義国の低い数字は対照的である。
 最初に8万人の爆発的な感染が在った中国は、その厳格な隔離政策と政府国民一丸と為ったウイルス排除に依って、ピークは1ヵ月・実質2ヵ月半でホボ収束させ、韓国もコロナの検査と管理を徹底する事に依り、既に感染者も死者もホボ1ケタ台の収束に向かって居る。香港・台湾に至っては感染者1000人・400人台・死者4人〜6人(4月26日)と云う状況である。
 このことは、コロナウイルスの被害拡大に関し、医療上の専門家の意見だけで無く、格差・貧困・社会経済的スタイルの影響や、自由主義と独裁・オープン社会と隔離等をどのように捉えるかと云う、国際政治経済的・社会的な分析が必要に為って居る事を示している。

 米欧の感染拡大と、マイノリティの犠牲者

 特に考察すべき対象で有るのは、コロナの惨状が資本主義社会で頂点に在るアメリカとニューヨークで有る。アメリカに遠慮してか、日本のメディアは余り報じ無いが、アメリカは対応の遅れにより3月中旬から爆発的に拡大し100万人に至ろうとして居る。
 又医療水準や社会政策が世界でもトップクラスに在るEUでも現在イギリスが激しい勢いで伸びて居る。アングロサクソンやラテンの根源的自由主義に依る政府の市民統制の困難さ、トランプの失政・ワクチンの無接種・格差の拡大等原因は数多く考えられる。
 先進国の大都市では、死者は黒人・ヒスパニック等のマイノリティに集中して居る。黒人はアメリカ人口の3割程度だが、コロナの死者の7割が黒人とされ、ロングアイランドの無名墓地には連日数百の棺桶が運び込まれて居る。

 アメリカの社会保障や保険制度の不備の結果とも云えるが、同様の現象は社会保障が比較的高いEUのスペイン・イタリア・フランス・イギリスでも起こって居る。先進国の自由主義や命より市場重視の価値観は、ウイルスが政府の政策に見合う形で爆発的に拡大する土壌を提供して居る。
 他方管理に比較的従順な儒教社会で、政府や上位の言う事に従い易いアジア型市民社会では、統制が取れて感染が広がり難い。更にアジアやアフリカの貧困国に於いて、例え医療のインフラが整って居なくとも、ウイルスの拡大は比較的抑えられて居ると云う状況が存在する。

 韓国・台湾・香港の感染の低さは何故?

 韓国・台湾・香港は何故感染が少ないのか。中国も14億人中8万人、武漢の人々の一部のみ感染し統計上の不備は有るにせよ死者4,600人でホボ終息したと云う事は、社会主義的管理社会で在ったから出来たとも言える。
 アメリカは、中国の4分の1の人口で、10倍以上の死者である。又アメリカでは圧倒的に貧しい人達・マイノリティに死者が集中して居るのに対し、中国では底辺を含めて社会医療ケアを施した事が結果的に社会インフラを崩さず早期に回復したとも云える。
 詰りコロナは、先進資本主義国の価値やシステムの根幹を突いて広がって居るのである。興味深い事に、コロナウイルスは、自由主義・経済活動・過剰接触・国境の開放を利用して広がって居る。資本主義的価値を利用して広がる事を覚えた賢いウイルスなのだ。

 反ワクチン運動とポピュリズム

 決定的なのはワクチンである。先進国では結核感染者が居なくなり、ワクチンは必要無いとされ、BCGワクチンは使用が中止された。更に、アメリカ・欧州に広がるポピュリストは挙って、ワクチンの危険性を標榜する「反ワクチン運動」を展開し、ポピュリズムの広がりと重なる形で、多くの国々がワクチンの使用を中止した。
 そのBCGワクチンや麻疹のワクチンが、医学的検証は未だ不十分なものの、統計的には米欧の爆発的感染とアジア・アフリカの低い感染率を大きく分けて居り、有効性が出て居るとされる。BCGや麻疹のワクチンを打って来たのは、アフリカ・アジア・中東・南米等、所謂非先進国の貧しい国々である。此処には戦後の日本も入る。又旧社会主義国で皆保険制が発達して居た国々でも、ワクチンが全国民に投与された。ロシアが最近急速に感染者が伸びて居るものの、死者数が未だ少ないのもワクチン及び医療整備のお陰と云われて居る。感染の拡大は、プーチン体制下の対応の遅れ、社会保障の削減等、詳細は更に調査する必要がある。
 
 欧州で最初に爆発的感染が広がったイタリアでは、5つ星運動等ポピュリストにより「反ワクチン運動」が展開されて居た。ヨーロッパ及びアメリカで、ポピュリズム運動のエリート批判と共に反ワクチン運動が広がった事は興味深い。それが米欧の爆発的感染拡大の一つの原因に為ったのか。これに付いては更なる検証が必要であろう。

 途上国の社会インフラの不整備

 他方、開発途上国ではウイルスの犠牲は数としては少ないが、社会インフラの不整備に依り先進国よりも社会的被害は遥かに大きいとの見方もある。途上国の多くの国で、インフォーマルセクター・・・国家の行政や公的経済活動に含まれ無い私的な経済活動に従事する人々が打撃を被り易い事に加え、コロナの影響で先進国の資本投資が激減し、自国経済が崩壊する状況に置かれて居るとされる。コロナによる医療崩壊では無く、先進国の撤退に依る経済崩壊である。

 新興国に付いては、今後、米欧日等に続いて被害が拡大して行くのか、それともこのママ留まって、コロナウイルスは先進資本主義国に狙いを定めて拡大して居る状況が続くのかは、予断を許さ無いが、少なくとも、自由主義的な社会の方が、管理された独裁型社会に比べて、コロナにとって居心地が好い事は確かなようだ。
 現在迄の処、コロナウイルスは自由主義・グローバリゼーション下の先進資本主義の様なオープン社会システムを利用して拡大し、故に現代の資本主義システムをユックリと長期的に破壊して行って居る。コロナ危機が続くとすれば、先進資本主義国のグローバル経済は破綻してしまう。

 アメリカ・欧州は自壊しつつある?

 アメリカの内側からの自壊。これが最も象徴的に現れたのは、2020年4月18日頃から、ミシガン州やノースカロライナ州を発端とし、各州に広がった自宅待機への反発と「解放せよ!」「仕事よこせ!」のデモである。
 アメリカの感染が70万人を超えて広がる中、医療機関が止めるのも聞かず、News WeekやABCニュースの報道では、トランプ大統領のツイッターの呼び掛けで自警団が形成され、バージニア州やミシガン州で「自由を!」「(民主党の)女性知事をロックダウンせよ」等の不穏な空気が広がり、それが各州に広がって居る事が報告された。民衆は「アメリカを再び偉大に!」と叫び、多くは民主党の知事が居る州政府に向かいデモをし、トランプはこれを支持し「解放せよ!」と煽るツイッターをして居ると報道された。

 世界の感染者の3分の1・死者の4分の1以上を占めながら「消毒液を注射すればコロナは消える」と述べるトランプを支持し、民主党の州知事が行うロックダウン反対と解放を掲げ、人々が密集してコロナ感染拡大を呼び込むデモをマスクもせず実行する。まさに反エリートの極みである。その翌週から感染者と死者は再び跳ね上がった。アメリカ社会の内側からの自壊が始まって居る。

 広がる黄禍論

 コロナウイルスを中国ウイルスと呼び、WHOは中国よりで間違って居ると批判し、拠出金を支払わ無いと宣言するトランプの行動は、人々の闘争心理を煽り立てる。
 戦間期のナチス・ドイツの危機感と同様、世界からの孤立・コロナの恐怖・トップ維持の渇望による排他的心理状態に為った国民により、次期大統領選でトランプは、対策の失敗を中国やWHOに転嫁する政策に依って圧倒的民衆の支持を得て圧勝するかも知れない。
 世界最大の経済力・政治力のみ為らず、軍事力・核・情報網を持って居るアメリカが、民衆の怒りに対して歯止めが利か無いばかりで無く敵対を煽る様な言辞を吐く大統領が、次期大統領選挙でも圧勝すれば、国際政治に於いても制御が利かず危険な状況に為る。今も進めて居る様に、日本や欧州の同盟国に、中国の力の拡大を恐れて、武器を購入させ軍事的緊張が高まる可能性がある。

 アメリカでコロナを制御出来無い原因は、トランプ政権の対策の遅れのみ為らず、貧富の格差が大きく貧しい地域に人が密集して居る事、欧州や日本の様に皆保険制が徹底して居らず、コロナに罹ると広がり易く重篤化し易い、又政権が貧しい地域のコロナの広がりよりも経済の衰退防止に関心が有る事、白人以外の人権意識が弱い事が挙げられる。
 最大の問題は、人の危機感や恐れを他に対する攻撃に向かわせる心理的な上手さが有る事である。しかしそれが相互信頼や周辺国との協力を断ち切り、自由主義のアメリカを内側から掘り崩し自壊させる可能性がある。

 アメリカのアジア黄禍論の第1波は、中国で大量の死者が広がった1月から2月に起こった。第2波は、現在、アメリカの感染者が世界の中で、他と比較に為ら無い程の爆発的感染を受け、自由主義と「アメリカを再び偉大に!」を掲げて、中国のみ為らず、韓国・日本・ベトナム等に怒りを拡大させて居る事だ。

 メディアの役割

 こうした時、お互いの疑心暗鬼と、民族的・人種的憎悪の拡大の中で、戦争の危機が起こる。こうした時期、公正なメディアの役割が極めて大きい。しかし日本のメディアのアメリカ批判の手控えは目に余るものがある。

 1929年の大恐慌で、人々の不安やストレスが高まり、第2次世界大戦に突入した様に、今回の経済恐慌以降、先進諸国が暫らくの間完全に中国に後れを取る事の予測、或いは何より、世界経済の頂点から転落して行く危険性が起こって来る事等から、リベラル批判・中国批判・アジア批判が、自己防衛とナイマゼに為って暴力化する機運がある。
 コロナウイルスが中国から世界に広がる中で、アメリカでは、2〜3月に既に、銃や弾薬が通常の何倍も売れると云う状況が起こった。人々は武装して居るのである。何に対して? 見え無い敵に対して。
 今回の民主党に対する「解放せよ!」のデモでも、多くの人々は銃で武装し、口々に解放を叫びながらデモ行進をした。アメリカで第2陣の感染の爆発的拡大が起こる可能性がある。中国批判が、既に起こって居る黄禍論と繋がら無い保証は無い。

 日本では既に感染者が1万4000人を超えても、取り敢えず平静を保って居るが、感染者・死者が進み、韓国・中国との軋轢が更に高まると、現在アメリカが背後から圧力を掛けて来て居る様に、中国に対する軍事的なミサイル防衛準備が進んで行く可能性がある。

 ワクチンの早急な開発、政治的リーダーシップの重要性

 今政治的に必要な事は、自由主義と経済資本主義が爆発的コロナ感染を世界に広げて行く前に、可能な限り早期にワクチン開発乃至効果的な薬を見付けて、鎮静化させて行く努力を続ける必要がある。加えて、コロナから起こり売る、政治的・社会的・心理学的対立の危険性を知らせて行く事、人々の危機感を扇動する指導者を批判し続ける冷静な目を、先ずメディア・知識人が、又市民達が持つ事である。社会の精神的連帯や相互信頼による自制と云う地味な作業が、コロナの感染危機を抑えて行く。

 アメリカのデモが暴動化・武力化して国内のアジア人を襲ったり、トランプがそれを背景にして、中国やWHO批判からエスカレートしそれが全米にウネリと為って広がる中、欧州では中国医療団がマスクや人工呼吸器を配布し影響力を拡大して居る。ロシアも同様に、軍の医療施設部隊を感染地に派遣して居る。
 コロナを撃退するのはポピュリズムと自国中心主義では無い。アメリカが世界の指導者としての地位を維持する為には、先ずは自国の感染拡大と死者拡大を止め、中国に武力威嚇を行ったり同盟国の武器購入や軍事費の増大に圧力をかけたりするのでは無く、国際協調と社会インフラ整備、世界の医療チームとの共同を実現して行く事が結果的にコロナを撃退出来る事を理解すべきだ。歴史的にも、暴走は始まったら止められ無いのだから。


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 羽場 久美子 青山学院大学教授 青山学院大学 国際政治経済学部国際政治学科 教授・(グローバル国際関係研究所所長 学位 博士 国際関係学 津田塾大学 J-GLOBAL ID200901050031842897 http://side.parallel.jp/ekumihaba/ 専門は、国際政治学、国際関係論、国際社会学、EU(欧州連合)地域研究、比較政治学、ナショナリズム、ゼノフォビア、先進国危機と戦争。特に、欧州とアジアにおいて、安全保障の制度化や和解の制度化をどのように実現するかについて、ヨーロッパに学び、OSCEや境界線地域のユーロリージョン、和解のための対話組織の恒常化について検討している。冷戦史研究、境界線とマイノリティ研究、移民・難民問題、ジェンダー、グローバル化と格差の拡大など。ホームページ:http://side.parallel.jp/ekumihaba/



















コロナ禍に迷走する政治家に重なる 責任回避した特攻立案者たちの姿




 コロナ禍に迷走する 政治家に重なる 

 責任回避した特攻立案者たちの姿


            〜現代ビジネス 神立 尚紀 4/29(水) 10:31配信〜


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 〜75年前の戦争を体験した高齢の元軍人の中にサエ「戦争中よりも閉塞感と怖さを覚える」と言う人が居る、新型コロナ感染症拡大に依る「コロナ禍」
 これ迄500名を超える戦争体験者の声を直に聞いて来た筆者は、見え無い相手との出口の見え無い戦いの中、緊急事態宣言発出の記者会見での総理の一言に、大戦中、特攻隊の成立に深く関与した将官の言葉をフト重ね合わせた。昔も今も変わらぬ「命じられる側」「命じる側」の共通点、そして「一言の重み」とは〜



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       元零戦搭乗員で特攻隊員だった小野清紀さん 4月6日死去 享年99

 「日本の礎(いしづえ)に為る」と 死を覚悟した若者達の一方で

 筆者は、戦後50年を迎えた平成7(1995)年より、25年に渉って、旧海軍の元軍人・ご遺族を初めとする戦争体験者の取材を続けて来た。その間に会った人は1,000人、インタビューした人は500人を下らないが、戦後75年の今、多くが既に故人である。例えば、平成7年、約1,100名を数えた零戦の元搭乗員は、四半世紀を経た現在、1割に満た無い数十名が存命で有るに過ぎない。
 今年(令和2年)に入ってからも、毎月の様に訃報が届くが、特に此処2ヵ月ばかりの間に、それ以前とは明らかに状況が変わった事がある。新型コロナウィルス感染症の拡大・政府の緊急事態宣言発出を受け、コロナで亡く為った訳では無い人迄も、葬儀を家族葬で済ます様に為った為、縁の深かった故人との最後の別れがママ為ら無く為ったのだ。

 中でも、過つて谷田部海軍航空隊(谷田部空・茨城県)の特攻隊員だった小野清紀(きよみち)元中尉(「生きているハチ公を見た」97歳の元特攻隊員が語る東京の原風景https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54986)が4月6日に99歳で、同じく谷田部空の特攻隊指揮官だった香川宏三・元中尉が4月19日に95歳で夫々亡く為り、告別式への参列が叶わ無かった事は、所謂お歳に不足は無いとは云え、そして、新型コロナウィルス感染予防の観点からも止むを得無いとは云え、故人達との生前の親交を思えば断腸の思いである。

 慶應義塾大学を卒業後、飛行専修予備学生として海軍に入り、24歳で終戦を迎えた小野清紀さんは、戦争体験を顧みて、

 「僕は死と云うものに物凄く恐怖を抱いて居たし、本心では死にたく無かった。でも、卑怯者とは言われたく無い。二度、特攻志願を募られて二度とも志願書を提出しました。昭和20年6月、全搭乗員に特攻要員と為る事が下命された時は、仕方無いと思っただけで、動揺は有りませんでした。
 最早勝つ見込みが全く無く為った特攻以降の戦争は、戦果の為と云うより、終戦の条件を少しでも好くする為の戦いであった様な気がするんですよ。我々はその為の捨て石・将来の日本の礎に為るんだと」


 と語って居る。海軍のエリートコースである海軍兵学校を卒業し、20歳の若さで、小野さん達年長者も多い部下を率いる特攻隊指揮官と為った香川宏三さんは、

 「未だ若かったですから、生きるの死ぬのとは余り考え無い。それよりも、特攻隊を率いて飛ぶ指揮官として、部下に恥ずかしい振る舞いをしてはいけ無い・ガッカリさせてはいけ無い・人に後ろ指を指されまい・・・その一心で一生懸命でした。何れ敵は本土に上陸して来るだろう。そう為れば責めて敵空母と刺し違えて一矢を報いたいと思うばかりで。生き残ってしまうとは想像もしませんでした」

 との言葉を遺して居る。「日本の礎に為る」これは当時、免れられ無い死に直面した若者達に取って、自らの命に意味を見出す精一杯の生き方だった。「人に後ろ指を指されまい」との思いも又、この世代の多くの日本人に取って極自然な道徳律で在ったのだ。
 コロナ禍で外出自粛の状況が続く中、小野さん香川さんの取材ノートを見返しながら、当時の若者達の純真な心意気に思いを馳せる・・・翻(ひるがえ)って、彼等に特攻を命じた上層部の将官達はどうだったか。

 昭和19(1944)年10月、第一航空艦隊司令長官としてフィリピンで最初の特攻隊を出撃させた大西瀧治郎中将(後軍令部次長)は、昭和20(1945)年8月16日未明、特攻で死なせた部下や遺族に謝罪し、世界平和を若い世代に託す遺書を遺して自刃した。為るべく長く苦しんで死ぬ様にと介錯を断っての最期だった。部下に「死」を命じた事を大西は自らの命を以て償ったのだ。
 一方、第五航空艦隊司令長官として、九州から沖縄方面への特攻作戦を指揮した宇垣纒中将は、8月15日、終戦を告げる玉音放送を聞いた後に、自ら特攻機を率いて出撃、部下を道連れにした事で、遺族は勿論旧海軍関係者からも強い批判を浴びて居る。
 ・・・これには、軍令部と云う官衙の次官だった大西中将と違い、実戦部隊の総指揮官だった宇垣中将を、一人で死なせるのは部下の恥と擁護する声も有るには在った。

 大失態を演じても栄転出来る海軍の悪習
 
 処が、第二航空艦隊司令長官として、大西中将に続きフィリピンで特攻隊を出撃させた福留繁中将、第三航空艦隊司令長官として関東からの特攻作戦を指揮し、昭和20年8月15日、終戦を知りながら玉音放送直前に特攻隊を出撃させた寺岡謹平中将は、何れも戦後、目に見える形で自発的に責任を執る事の無いママ天寿を全うして居る。

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            福留繁中将(左)と寺岡謹平中将(右)

 福留は、聯合艦隊参謀長を務めて居た昭和19年3月31日、搭乗した飛行機が悪天候で遭難、フィリピンで抗日ゲリラの捕虜と為り、重要機密書類を敵に奪われると云う失態を演じた。・・・海軍乙事件・・・本来なら、海軍の「俘虜査問会規定」により査問に伏され、更に軍法会議に廻されて最高刑を死刑とする「軍機保護法」で裁かれるべき処、海軍は「福留一行を捕えたのは敵の正規軍では無くゲリラで有るから捕虜には当たら無い」との妙な理屈を着け、福留を軍法会議に掛ける事も予備役に編入する事もしなかった。それ処か、聯合艦隊司令部の失態を糊塗するかの様に、福留を第二航空艦隊司令長官の要職に栄転させた。フィリピンで、大西中将と福留中将に見送られて特攻出撃し、生還した元隊員の中には、

 「大西中将は隊員の目をジッと見て両手で握手をした。それが如何にも心が籠って居て、長官は自分も死ぬ気で命じて居る事が伝わって来たものです。福留中将は、隊員と視線を合わさず握手も御座為りな感じだった」
 
 と回想する人も居る。「死」を命じられる極限の状況で有ればこそ「命じる側」の覚悟の持ち様が、握手一つからも感じ取れたのだ。シンガポールで終戦を迎えた福留は、英軍戦犯として禁錮3年の刑に服し、帰国後は防衛庁顧問等を務め、昭和47(1972)年80歳で亡く為った。
 寺岡は、大西中将の前任の第一航空艦隊司令長官でもあったが、フィリピン・ダバオで来るべき米軍侵攻に備えて居た昭和19年9月、見張員が暁闇の白波を敵の上陸部隊と誤認したのを確かめもせず、玉砕戦に為ると早合点して通信機器や暗号書・重要書類を破却し、戦わずして司令部機能を失うと云う醜態を晒した。

 これは、平家の大軍が水鳥の羽ばたく音を源氏の軍勢と間違えて敗走した「富士川の戦い」を思わせる事から「ダバオ水鳥事件」と呼ばれる。更に、幻の敵上陸部隊に備えて、フィリピン各基地に配備して居た戦闘機をセブ島へ集結させた処に敵機動部隊艦上機の奇襲を受け、それ迄蓄えた虎の子の航空兵力が壊滅してしまう・・・セブ事件
 その為、寺岡は在任僅か3ヵ月で更迭され、後任として大西中将が第一航空艦隊司令長官として着任した。大西が特攻を命じざるを得無く為ったのは、既に正攻法で戦えるだけの航空兵力がフィリピンに残って居なかったからでもあり、言わば寺岡の失策の尻拭いをさせられたのだとも言える。にも関わらず帰国した寺岡は、その後第三航空艦隊司令長官として本土防衛の第一線に返り咲いた。

 現場の将兵は常に死と隣り合わせだが、長官や幕僚クラスと為ると、失敗を犯して味方を窮地に陥れても、中央の覚えが目出度ければ復活の目がある。これは、陸軍と比べリベラルとも評される海軍に於いて、大戦中、顕著に表れた悪習だった。
 寺岡は、潜水艦乗組だった長男・恭平中尉が昭和19年11月に戦死して居て、その事には同情を禁じ得ない。戦後は旧海軍関係者の長老的存在として、昭和59(1984)年、93歳で亡く為る迄長命を保った。横浜市鶴見区の総持寺に建立された大西瀧治郎中将の墓誌は、寺岡の筆によるものである。

 ・・・後世の目から見て、又「命じられる側」の視点で見ても、福留・寺岡両中将は、優れた指揮官として評価されるべき人物では無い。只、責めてもの救いは、両名とも最晩年迄戦没者慰霊に尽くし、毎年10月25日、東京・芝の寺に旧海軍の関係者が集って営まれた特攻隊戦没者慰霊法要に欠かさず参列する等、特攻で死なせた旧部下への良心の呵責を垣間見せて居た事である。
 自刃した大西中将の様な身の処し方は出来無かったが、責任を感じて居たで有ろうことは、様々な痕跡からも伺える。だが、特攻作戦の中枢に在りながら、そんな痕跡すら残して居ない将官も居る。

 「俺は死ぬ係じゃ無いから」
 
 「体当り戦法の採用」「必死必中の体当り兵器の開発」を要望する声は、戦況の悪化に伴い既に昭和18(1943)年半ば頃から海軍部内で出始めて居た。
 これが実現に向け動き出したのは、昭和19(1944)年4月4日、軍令部第二部長(軍備担当)・黒島亀人少将が、第一部長(作戦部長)・中澤佑少将(後中将)に「体当り戦闘機」「装甲爆破艇」を初めとする特攻兵器を開発する事を提案した時からである。

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 特攻兵器の開発を提案した軍令部第二部長・黒島亀人少将(右)と、それを承認した軍令部第一部長(作戦部長)・中澤佑少将(左・後中将)

 中澤は黒島の意見を容れ、後の「回天」(人間魚雷)「震洋」(特攻ボート)等を含む9種類の特攻兵器の緊急実験を軍令部の総意として海軍省に要望した。黒島は、開戦時、聯合艦隊司令長官・山本五十六大将の腹心の先任参謀として、真珠湾作戦を事実上立案した事で知られるが、昭和17(1942)年・ミッドウェー海戦敗戦の責任の一端は彼にもある。
 中澤は、アメリカ留学経験も有り、海軍部内では清廉な切れ者として高く評価されて居たが、作戦部長として臨んだ昭和19年6月の「あ」号作戦・マリアナ沖海戦、10月の「捷一号作戦」・比島沖海戦の大敗に見る様に、作戦家としての能力には疑問符が着く。

 特攻兵器の開発・特攻戦法の採用が軍令部・海軍省と云う海軍中枢で裁可され実行に移されたのは、ソモソモこの両名に依る提案・了承が有ってコソの事だった。しかし、台湾の高雄警備府参謀長として終戦を迎えた中澤は、昭和20(1945)年8月16日に大西中将が自刃したとの知らせを受けた時、それと無く身の処し方を窺う幕僚達に対して「俺は死ぬ係じゃ無いから」と言い放った。
 この事は、高雄警備府麾下(きか)の第二十九航空戦隊副官として、同じく台湾で終戦を迎えた門司親徳主計少佐(特攻作戦開始時の大西中将副官)同戦隊参謀の冨士信夫少佐・・・何れもその場に居合わせた二人が、筆者のインタビューに応えて語って居る。

 中澤はB級戦犯・通例の戦争犯罪)して重労働10年の判決を受け、巣鴨刑務所で服役。昭和27(1952)年に仮出獄後は米海軍横須賀基地に勤める等して、昭和52(1977)年、83歳で亡く為った。詳細な日誌、記録や談話を残して居るが、作戦失敗の原因に付いては現場に敗因を求め、特攻の裁可は黒島少将のイニシアチブに依るものとし、更に特攻の実行に付いては大西中将に責めを負わせ、何れも自らの責任に殆ど触れず、他人事の様に記して居るのみである。

 黒島は戦後、宇垣纒中将の日誌「戦藻録」の一部や、軍令部・聯合艦隊の重要書類を関係者から借り受けては紛失したとして返却し無かったり、勝手に焼却する等、自らの責任逃れ・証拠隠滅とも取れる行いを繰り返した。晩年は哲学・宗教の研究に没頭し、昭和40年、肺癌の為72歳で死去した。
 「特攻」に付いて、その経緯からすれば、モッとも重い責任を負うべき中澤・黒島の両名は、戦後、昭和21(1946)年より連綿と営まれた特攻隊慰霊法要に一度も参列して居ない。この事のみを以て心中の全てを量ることは出来無いにせよ、毎回の慰霊法要参列者全員の氏名が記された名簿に、軍令部総長・及川古志郎大将や、福留・寺岡両中将の名が亡く為る直前迄残されて居る事と比べれば、自責や贖罪の念のおよその温度差は察せられ様。

 スローガンを掲げ 責任は口だけ

 ・・・ここ迄「現場の若者」と「上層部」・・・言葉を替えれば「命じられる側」と「命じる側」のアレコレを考察すると、聊か乱暴な飛躍かも知れないが、現代の政治や企業にも通じるものが有る様な気がする。
 「使命感に燃えた若者・或いは現場の純真」を「誰もが反対し辛いスローガンを掲げ、責任は口だけ」の為政者が利用する図式・・・と云うのは、戦後75年が経っても左程変わら無いのではないか。日々刻々と変化する状況の下、今此処で、誰かの言葉尻を捉えて批判する事は本意では無い。増して筆者は、現在の野党よりは与党を支持して居る。

 だがそれでも、4月7日に緊急事態宣言を発出した際の記者会見で、安倍総理が、幅広い業種に対して出される法的根拠の有る休業要請に対する補償と、当時の方針で在った、収入が減少した世帯への30万円の現金給付に付いて記者に問われた際に答えた「例えば、私達国会議員もそうですが、公務員も今、この状況でも全然影響を受けて居ない、収入には影響を受けて居ない訳であります」との言葉に、中澤佑の「俺は死ぬ係じゃ無いから」を遂重ね合わせ・・・発言の一部を論う愚は重々承知の上だが・・・この人達は、国民と痛みを分かち合う気は無いのだなとガッカリしたのは率直な事実である。

 総理の言葉は、影響を受けて居ない人に対して給付をする事に疑問を呈し「本当に厳しく収入が減少した人達に直接給付が行く様に」等と続くが、それでも「国会議員や公務員は全然影響を受けて居ない」と云う一言は、少なくとも休業要請を受けたり・営業自粛を余儀無くされたりする事で収入の道を断たれ・死命を制せられ兼ねない人達に対し配慮を欠いて居たと思うのだ。
 安倍総理は又、同じ会見で、外国人記者からの「コロナ対策が失敗だったら、どう云う風に責任を執りますか」と云う質問に「これは、例えば最悪の事態に為った場合、私達が責任を取れば好いと云うものでは在りません」とも答えて居る。

 これも、自らの名に於いて緊急事態宣言を出す立場として、口にすべき言葉では無かっただろう。責任有る立場の人が発する一言は重い。コロナ禍の元、筆者が電話で話した高齢の戦争体験者の中には、

 「戦争中、生命の危険を感じるのは戦闘の間や空襲警報が発令された時だけ、それも眼に見える敵との戦いだった。今は見え無い相手との出口の見え無い戦い。誰もが経験した事の無い事態で、或る意味、戦争中よりも怖さと閉塞感を覚える」

 と言う人も居るし、

 「ソーシャルディスタンスとかステイホームとか、何でカタカナで言い換え無きゃいけ無いのか。私等年寄りには好く判らん掛け声だけど、昔の『欲しがりません勝つまでは』と同じ様なものだと思って、迷惑を掛けない様静かにしてますよ」
 
 と言う人も居る。過つて無い程、国民に痛みを求める政治と社会情勢。休業要請に応じる企業の中にも、雇用を守る会社もあれば守れ無い会社も在る。大半の人が外出を自重する中、県外ナンバーの車に嫌がらせをする等、住民による自警団の如き行き過ぎた行いも報じられて居る。
 戦争中がそうで有った様に、非常時に於ける無責任や卑怯な振る舞いは歴史に依って裁かれる筈。政治家も企業家も個人も「いま」をどう過ごすか、その間の言動や身の処し方如何で、コロナ禍が終わった後、夫々の声価が定まるのだろう。
 今は、最前線で戦う医療従事者を初め、ライフラインや治安を維持して居る人達に感謝しつつ、責めて、生前お世話に為った人達の墓前に詣でる事の出来る日が1日も早く訪れる事を願って、積極的に外出を控えるのみだ。


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 神立 尚紀 カメラマン・ノンフィクション作家 1963年 大阪府生まれ 日本大学藝術学部写真学科卒業 1986年より講談社「FRIDAY」専属カメラマンを務め、主に事件・政治・経済・スポーツ等の取材に従事する 1997年からフリーランスに 1995年 日本の大空を零戦が飛ぶと云うイベントの取材を切っ掛けに零戦搭乗員150人以上・家族等関係者500人以上の貴重な証言を記録して居る
 著書に『証言 零戦 生存率二割の戦場を生き抜いた男たち』『証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち』『証言 零戦 真珠湾攻撃、激戦地ラバウル、そして特攻の真実』(いずれも講談社+α文庫)『祖父たちの零戦』(講談社文庫)『零戦 最後の証言彜T/U』『撮るライカT/U』『零戦隊長 ニ〇四空飛行隊長宮野善治郎の生涯』(いずれも潮書房光人新社)『特攻の真意 大西瀧治郎はなぜ「特攻」を命じたのか』(文春文庫)等がある NPO法人「零戦の会」会長


                   以上
















本誌入手のアベノマスク「仕様書」で判った 欠陥と国内生産の謎「命取りに為る」と自民党幹部




 本誌入手のアベノマスク「仕様書」で判った 

 欠陥と国内生産の謎「命取りに為る」と自民党幹部


         〜〈週刊朝日〉AERA dot. 4/28(火) 14:48配信〜


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       肝心な鼻と口が食み出そうなマスクをして自慢気に語る

 政府が新型コロナウイルス対策として、日本の全世帯約5,000万世帯を対象に1住所 当たり2枚の布製マスクを配布して居る〔アベノマスク〕が物議を醸して居る。
 安倍首相が国会での答弁で「布製マスクは使い捨てでは無く再利用可能で有る事から、急激に拡大して居るマスク需要に対応する上で非常に有効で有り、又、サージカルマスク等を医療現場に優先して供給する為にも家庭向け布マスクの配布を行う事は理に適った方策と考えて居ます」と自賛する肝要りの政策だったが早くも躓いた。

 4月17日から全戸配布が始まったが、コレに先行して配布が始まって居た妊婦向けの布マスクに付いて、虫や髪の毛の混入・カビの付着や縫製のミスが有る等の「不良品」が次々と発見されたのだ。全戸配布用からも検品中に同様の問題事例が約200件見付かったと云う。
 政府が公表した情報等に依れば、アベノマスクの発注先は興和・契約額54.8億円 伊藤忠商事・同28.5億円 マツオカコーポレーション・同7.6億円 ユースビオ・同4.7億円 横井定・契約金額不明・・・の5社。ユースビオはベトナムで生産した布製マスクを1枚135円で350万枚を政府に納入した事が判って居る。だが、それ以外の4社は、生産地は海外で有るとされて居るものの、1枚辺りの単価や生産枚数は公表して居ない。

 政府は〔アベノマス〕の配布に掛かる費用を466億円と算定していた。だが、4社の契約金額の合計は95億円程だ。配送を請け負う日本郵政の受注額は26億円合計121億円。ここ迄大きな差額が生じて居る事も不可解だが、本誌が入手した資料からも更なる謎が浮上した。
 4月8日、発注先5社の内の一つであるA社の従業員N氏から、繊維業が盛んな東海地方のアパレル関連会社に送信されたメールがある。

 <御社及び外注縫製工場を含め、ガーゼマスクの縫製にご協力いただけませんでしょうか? 加工賃ですが、政府向けの仕事なので、正直申し上げますが¥80円/枚以下です>

 等と記され、アベノマスク製造・加工に付いて細かな仕様書が添付されて居た。〔アベノマスク〕の全戸への配布開始が4月17日。このメールは、それよりも僅か9日前に送信された事に為る。メールを受け取った東海地方のアパレル会社の社長はこう話す。

 「確かに、私の処にも取引先を経由して、ご指摘のものと同じメールが届きました。加工賃が1枚80円なのは安いなと思いました」

 同様に、取引先を通じてA社からのオファーを受けたと云う別のアパレル会社の社員はこう話す。

 「A社は『50万枚をお願いしたい』と言って居た。納期はメールにも有る様に5月20日と云う。単価が安過ぎて受ける業者がナカナカ無い様だ。最近に為って、A社が単価を100円位に上げて来たので、チョコチョコ受注する業者が出て来たと聞いた」
 
 東海地方の街外れに在る、プレハブの小さな作業場。ソコで働く自営業者の男性は、知人の会社を通してA社からアベノマスクの仕事を請け負ったと云う。本誌の取材に不安な胸中をこう打ち明けた。

 「未だ製造はして居ません。布・ゴム紐等が提供されればゴールデンウィークは返上して遣る積り。単価が80円?金額はハッキリとは言え無い。A社の間に別会社が入って居るのでモッと安いかも・・・何故安い単価で引き受けたか?緊急事態宣言で仕事が無く倒産の危機でも有る。ハッキリ言って安過ぎですが仕方無い。赤字が出無ければ好いのですが」
 
 不思議なのは、A社が〔アベノマスク〕配布の直前の4月8日に為ってから国内業者に製造、加工を依頼して居る事だ。

 「A社の担当者から『不良品が多く出そうだ』『海外生産で問題有る製品が出てしまった』と云う話を聞いた。配布前から不良品が可成り出る事を判って居たので、国内で追加生産を決めた様です」(前出のアパレル会社従業員)

 不良品が発見された事を受け、興和と伊藤忠商事の2社は、全世帯配布分の内未配布のマスクを全て回収すると発表。今後は検品作業を強化すると云う。今回の「国内生産ルート」の動きは、不良品が続出する事への対応策なのだろうか。
 A社は本誌の取材に対し「政府に納入したマスクは海外生産したもの。今後は国内生産も予定して居る」と回答した。

 「中国等で作れば、布マスクは1枚10円もしないでしょう。国内で製造・加工するとその10倍以上は掛かります。オマケに、国内生産分は製造・加工してから医療用品専門の検品会社でチェックするとも聞いた。検品料も上乗せされる。最終的に1枚120円から150円位に為るのでは?」(同)
 
 海外での生産で出た不良品の分を国内生産でカバーした場合、国民が追加で負担を強いられる様な事に為ら無いのだろうか。前出の、マスク生産の仕事を請けた東海地方の自営業者の男性は、A社から送られた仕様書に驚かされたと云う。
 〔アベノマスク〕は、縦27cm・横63・3cmの1枚のガーゼを折り畳んで15重にし、左右の端の1列ずつを縦に縫って、ゴムを掛けて完成させる仕様に為って居る。本誌も、送られて来た〔アベノマスク〕の現物を入手。手に取って計測すると仕様書とホボ同じ、縦9.5cm・横13.8〜13.9cm・縦の縫製部分が斜めにズレて居た。男性は本誌の取材にコウ語る。

 「元は1枚のガーゼですよね。1か所でも汚れが有れば全体に広がります。布製ですから繰り返し洗って使えると安倍首相は言って居ました。しかし、左右1カ所ズツの縫製だけですから耐久性は乏しい。縮んだり型崩れして使え無く為りますよ、この仕様では。
 それにWHOも布製マスクは推奨しないと言って居ますよね。モノ造りを長く遣って来た職人としては、国が税金使ってコロナ感染防止で配るなら、モッとキチンとしたものにして欲しい。日本は安倍首相だって認める様にモノ造り大国ですよ。私はコレで感染防止が出来るとは思え無いので使いません」


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 聖路加国際大大学院の大西一成准教授人差し指サイン(公衆衛生学)は、届いたアベノマスクの「漏れ率」を計測した。漏れ率とは、マスクの外側と内側の粒子の数を計測して、どれ位内側に入り込んで居るかを調べるものだ。5回計測した処、5回とも100%の漏れ率だった。詰り、外に浮遊して居る粒子が全て内側に入ってしまって居ると云う事だ。

  「ウイルスの取り込みを防ぐと云う観点から言うと殆ど効果が無い。布ではフィルターの役割を果たして居ない事に加えて、サイズが小さいので隙間が出来易い。一生懸命マスクの周りを押さえて測ってみても漏れ率は97%でした。人からの感染を防ぐ効果は期待出来ませんね」(大西准教授)

 巨額の税金を投入しながらも、早くも「ほころび」だらけの〔アベノマスク〕或る野党幹部議員はこう話す。

 「〔アベノマスク〕は感染拡大防止の為のものなのだから、短期間で全世帯に配布され無ければ意味が無い。短い納期に間に合わせる為に、契約した会社は海外で生産したと聞いて居る。今に為って国内生産する等考えられ無い。それに、公表された契約金額は海外の生産を前提にしたものでしょう。国内生産に変えるので、追加費用分を寄越せと言われたら、政府はどうするのか?」
 
 或る自民党幹部も、突き放した見方を示す。


  「安倍首相が是非ともと言うので始めた〔アベノマスク〕ですが、党内でも『466億円も投入するならもっと別の対策に使うべきではないか』と云う意見は可成り在った。そこに来て、不良品の問題や情報公開の不透明さで疑念ばかり生んで批判が強まるばかり。遣ら無い方が良かったと思うよ。〔アベノマスク〕が安倍政権の命取りに為り兼ねないとの声も挙がり始めた」

    今西憲之 本誌 吉崎洋夫 ※週刊朝日オンライン限定記事    以上




  〔アベノマスク〕疑惑の ユースビオ社長を直撃40分
 
 「脱税事件で苦労 学会3世で公明党議員と付き合い有るが関係無い」 


          〜〈週刊朝日〉 AERA dot. 4/28(火) 22:45配信〜


 菅義偉官房長官は28日の会見でネットで飛び交うアベノマスクの納入業者選定疑惑に付いて「国会議員や地方議員から個別の企業の取引を促す様な口利きや紹介は無かったと聞いて居る」と釘を刺した。納入業者の内、政府がこれ迄何故か、頑なに公表して来なかった最後の1社、福島県福島市の「ユースビオ」(樋山茂社長)の社名が明かされたのは27日。
 同社の名前が明かされて以降、樋山社長が有罪判決を過去に受けた疑惑・国会議員に政治献金をした等様々な噂がネット上で飛び交って居る。本誌は28日夕、こうした疑問に付いて樋山社長を直撃。約40分に渉って話を聞く事が出来た。

 再生可能エネルギー関連でベトナム等で木質ペレットの輸出入に関わる仕事をして居たと云う「ユースビオ」社が、どんな経緯で国にマスクを納入する事に為ったのか。樋山社長に依ると、偶然が重為った結果だったと云う。

 「ベトナムの業者が『日本はマスクが無くて困って居るか』と聞いて来て、送って呉れると云うから待って居たら、サージカルマスクが4トン車一台分も来た。『一杯有った方が好いだろ』と。どうしようかと思って福島県や同市・医師会や薬剤師会・知り合いの病院とかに挙げたりして居た。
 そうこうする内、県の方からマスク不足で困ったと、アンタ等顔が広いから調達出来無いかと言って来た。『遣ってみましょう』と即答して交渉して居ると、その内に『行政の分は国が一括で調達する事に為ったので、経済産業省に話をシフトします』と云う話に為った。それで経産省に行ったんです」


 樋山社長に依ると、ベトナムにはマスクを作る工場が多数有り調達は容易だったと云う。経産省が望む布マスクに付いて、スペック表や検査成績表等の書類やサンプルとして作った十数種類のマスク等を経産省・厚生労働省等で作られたマスクチームに提出したと云う。

 「うちは輸入業者だから、マスクを作っては居ない。でも、現地で生産して居る業者には実績が有ったから、これだったら行けるでしょう、と発注を頂いたんです。随意契約と云う名前と為って居るが、うちは単価契約と聞いて居る。単価を決めてドンドン入れて呉れと云う契約でした。
 うちのマスクは1枚130円台と安いし、納品したものからは1枚たりとも不良品は出て居ない。それで何でこんなに騒がれ無くてはいけ無いのか。4月の頭に不良品の問題が起きた時に、政府の担当者から名前を出して好いかと聞かれ『うちは関係無いから出して好いですよ』と直ぐにOKを出した。それなのに、うちの社名の公表が最後に為った理由が判ら無い」


 ユースビオの社名が報道されてから取り沙汰されて居るのが、公明党の若松謙維参議院議員との関係だ。福島市のユースビオの事務所には若松議員のポスターが貼られて居り、2015年には樋山社長が若松議員に12万円の寄付をして居る事が、政治資金収支報告書に記載されて居た。
 この為、マスクの納品に若松議員の関与が或るのでは無いかと云う見方がネット上等を中心に広がった。この件に付いて尋ねると、樋山社長はこう答えた。

 「若松さんは議員に為る前からの知り合い。僕は創価学会の3代目で元々学会員だから、その関係で知り合いだった。何時からかは覚えて居ないけど、何処かの会合で会って、選挙に出る時『手伝って』と言われて、行った事も在る。公明党は献金を要求しないが、寄付は個人として出した。
 癒着と云ってもどう癒着するのか。県会議員や国会議員の関わりも言われて居ますが、彼等が僕が受注したと知ったのは決まった時ですから。事前に彼等にお願いしますと言った訳じゃ無い。こう云うビジネスは、彼等が入るよりも自分で遣った方が早いですから。公明党を除いて、安倍総理とか麻生財務相とか一切付き合いは無いですよ」

 
 もう一つ、樋山社長に付いて指摘されて居るのが過去の「脱税」問題だ。2年前の2018年6月、当時、電気通信機器修理業を営んで居た樋山社長は消費税法違反等の罪に問われ、福島地裁で懲役1年6月・執行猶予3年の判決を受けて居る。
 当時の報道に依れば、従業員の給与を外注費と装い、約3,200万円の消費税等の支払いを免れたとされて居る。SNS等で過去の記事がコピーされて広められた事で、様々な憶測を呼ぶ結果に為って居る。この件に付いて尋ねた処、樋山社長はこう説明した。

 「仕事のハードルを取っ払う為にも、従業員を全員個人事業主にする契約にして居た。労働基準監督署にも相談して『これなら好い』と許可を貰って居ました。処が、これに付いて国税から消費税を免れる為だけに遣ったら違法ですよと云う話をされた。
 内は労働基準法の問題だと主張して2年間も戦いましたが、最終的に否認のママだと執行猶予を取れませんよと言われて、司法取引に近い形で判決を受け入れたんです」


 その後は新天地を求め、ベトナムに渡ったと云う。

 「日本は一旦そう云う事があると次に商売は出来無い。僕も60歳なので、今更就職と云うのも無理。2年間の間に会社の資産も失い自宅も競売に掛かる程。ジャア事業を起こしましょうと云う事で、査察を受けて居る間に新しい会社を作って好いかを国税に聞くと『自由にどうぞ』と言われた。それで、色々とツテも有るベトナムに新天地を求めた。昔からの知り合いをベトナムに駐在させて、燃料用の木質ペレットを輸入して居たんです」

 又、ユースビオ社の社名が報道された4月27日、報道陣等が確認を取ろうと同社の登記簿を取得しようとしたが、法務局では「登記中」と云う理由で確認出来無かった。この一件も、同社に付いての様々な憶測が飛び交う要因の一つと為ったと思われる。樋山社長はこう説明する。

 「最初にマスクを輸入する時、元々商売する積りが無かったから定款に有る会社の『目的』の項目に書いて居なくて通関で引っ掛かる恐れが有った。その時、政府の担当者と相談して、従弟の会社が生け花等の輸入をして居たので、ベトナムからの輸出の作業はその会社にお願いして何とか為った。
 3月末に4月分も輸入する事に為り、手続きが煩雑なので今度は定款の中にマスク輸入を入れて呉れと担当に言われたので、登記変更の手続きをして居た。それは昨日(27日)で終わりました。一昨日に手続きが終わって居れば騒がれ無かったのに一日遅くて騒がれた。登記簿が取れ無いペーパー会社とか言われて居ますが、今は登記簿を見られますよ」


 本誌が4月28日に登記簿で確認すると、確かに4月1日の日付で「目的」の項目に「貿易及び輸出入代行業並びにそれ等の仲介及びコンサルティング」が追加された事が記録に残って居た。

 「うちの福島の事務所が平屋で小さいと云う事で疑って居る人が居ますが、テレワークの時代だし、うちの事業メインはベトナムに在るので、携帯とタブレットとが有れば今何処でも仕事は出来ます。こんな処が受注出来る訳が無いと云う人はビジネスセンスが無いですよ。
 福島の会社は此処に20年以上も居て大家とも仲良しだし、友達も一杯来るから居る訳で。ネットでは皆事情も知らず非難して居て、訳が判って居ない。そう云う人達とは喋りたく無い。勝手にしろですよ」


 樋山社長は最後に「取材はもう受け無い」と本誌に語った。


 本誌 吉崎洋夫 ※週刊朝日オンライン限定記事    以上