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2020年04月07日

「緊急事態宣言」で知って置くべき12のこと




  「緊急事態宣言」で知って置くべき12のこと

          〜BUSINESS INSIDER JAPAN 4/7(火) 8:10配信〜


   〜〔緊急事態宣言〕は〔ロックダウン〕と何が違うのか 
                 私達の経済活動や日常生活にドンな影響を与えるのか〜


 首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大して居る事を受けて、安倍晋三首相は4月7日午後5時43分、法律に基づく「緊急事態」を宣言した。対象地域は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県。宣言の効力は5月6日迄の1カ月。
 この〔緊急事態宣言〕とはどういうもので〔ロックダウン〕とどう違うのか。私達の経済活動や日常生活にどの様な影響を与え、どの様な課題があるのか・・・特措法の条文を基にまとめた。

 Q.〔緊急事態宣言〕とは?

 内閣総理大臣は、新型インフルエンザ等国民の大部分が免疫を獲得して居ない感染症が発生した場合、緊急の措置を講ずる為に〔緊急事態〕を宣言する事が出来る。これを〔新型インフルエンザ等緊急事態宣言 以下 緊急事態宣言〕と云う。
  根拠と為る法律は〔新型インフルエンザ等対策特別措置法 以下特措法〕だ。元々は新型インフルエンザ等新感染症の対応策を定める為に2012年5月に公布されたが、この3月に新型コロナウイルスにも適用出来る様に改正された〔新型コロナウイルス特措法〕

 Q.〔緊急事態宣言〕で何が出来るの?

 内閣総理大臣が〔緊急事態〕を宣言すると、対象地域の都道府県知事が法律に基づき、感染防止に必要な協力を要請・指示が出来る。実際の〔要請〕や〔指示〕を発するのは、内閣総理大臣では無く都道府県知事と為る。

 Q.〔緊急事態宣言〕発令迄のプロセスは?

 内閣総理大臣が緊急事態を宣言する為には、特措法32条に基づき、以下の条件を満たす必要がある。

 1)国内で発生した新型インフルエンザ等が、次の2要件を満たすこと。 「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合」 「全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合」
 2)事前に感染症に関する専門家ら「諮問委員会」に図り、その意見を踏まえて緊急措置を実施すべき期間(2年を超え無い期間。但し1年延長可能)区域・緊急事態の概要(患者が確認された地域・患者数等・ウイルスの病原性・症状・感染拡大を防ぐ為に必要な情報等)を定める。
 3)緊急事態宣言の発令を国会に報告し、公示し無ければ為ら無い。

 Q.〔緊急事態宣言〕は〔ロックダウン〕と同じ?

 日本では〔緊急事態宣言〕と共に〔ロックダウン・都市封鎖〕と云う強い言葉が独り歩きして居るが、ヨーロッパ等で見られる戒厳令の様な〔ロックダウン〕とは異なる。内閣官房新型インフルエンザ等対策室は、以下のような見解を示している。
 ・・・欧米に於けるロックダウンの様に強制的に罰則を伴う都市の閉鎖は生じません。特措法に基づき、都道府県知事により外出自粛要請・施設の使用制限に係る要請・指示・公表等が出来る様に為ります。ソモソモ、日本の現行法では〔ロックダウン〕の定義に付いて定められて居ない。日本の〔緊急事態宣言〕には罰則を伴う外出禁止命令や強制力を以て交通機関をストップさせる様な都市封鎖を実施出来る規定は無い。 

 一方、諸外国を見ると、例えばイギリスやフランスでは買い出しや散歩・医療上の理由・必要不可欠な出勤以外の外出が原則禁止され、ドイツでも連邦政府が外出自粛等のガイドラインを発表。ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州など一部の州では違反者に罰金が課せられる。イタリアでは鉄道の運行停止・移動制限や必要不可欠な部門以外の生産活動を停止して居り、こうした措置を4月13日迄実施する。公共の場所での2人以上の集会を禁止し違反者には罰則を設ける州もある。
 アメリカでは連邦政府が3月13日に〔非常事態宣言〕を発出。10人以上の会合やレストラン等での食事・不要不急の旅行を避ける等の大統領ガイドラインが出された。ニューヨーク州では一部を除き出勤禁止と為った。只、こうした国々では行動制限が課される一方〔ロックダウン〕に伴う損失の補償・給付・休業補償等の公的支援等が施されて居る。

 Q.〔緊急事態宣言〕で、お店はどう為るの?

 病院・薬局・コンビニやスーパーマーケット・食料品店等生活必需品を販売する施設が強制的に閉鎖される事は無い。緊急事態宣言が出された以降も買い物は出来る。JR・私鉄、バス・タクシー等の公共交通機関の運行を制限するものでは無い。電気・ガス・水道・電話・通信等のライフラインは平常通り維持され、銀行もメガバンクは全店で営業を続ける方針だ。
 〔緊急事態宣言〕が出たからと云って、対象地域から別の地域に移動すれば感染を広げたり、移動先の医療体制を逼迫させたりする恐れがある、冷静な対応が必要だ。
 
 Q.〔緊急事態宣言〕の対象と為った自治体で外出は出来るの?

 都道府県知事は、生活維持に必要な場合を除き、妄りに外出し無い様「要請」出来る。医療機関への通院・生活必需品の買い物・必要不可欠な職場への出勤・健康維持の為の散歩やジョギング等〔生活の維持に必要な場合〕には外出出来る。只〔要請〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
 特措法45条 特定都道府県知事は(中略)当該特定都道府県知事が定める期間及び区域に於いて、生活の維持に必要な場合を除き妄りに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出し無い事(中略)を要請する事が出来る。



 





 Q.使え無く為る可能性が在る施設は?

 都道府県知事は、学校・デイサービスセンター等の社会福祉施設・映画館や劇場等娯楽施設・一定規模以上の遊技場・百貨店・美術館・キャバレー・ナイトクラブ・ボーリング場等の遊興施設・理髪店・学習塾等〔多数の者が利用する施設〕の使用制限を〔要請〕する事が出来る。但し〔要請〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
 〔緊急事態宣言〕が発出された場合も、百貨店やスーパーマーケットの中の食品・薬等生活必需品の売り場は営業出来る。
 特措法45条の2 特定都道府県知事は(中略)学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る)興行場・その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずる様要請する事が出来る。

 Q.イベントはどう為るの?

 特措法45条の2に基づき 都道府県知事はイベント開催の中止等を〔要請〕する事が出来る。又、正当な理由が無いのに施設管理者やイベント主催者が〔要請〕に応じ無い時は、都道府県知事が必要が有ると認める時に限り、中止を〔指示〕する事が出来る。〔要請〕や〔指示〕をした場合、都道府県知事はその旨を公表し無ければ為ら無い。只、この場合〔要請〕〔指示〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
 特措法45条の3 施設管理者等が正当な理由が無いのに前項の規定による要請に応じ無い時は、特定都道府県知事は(中略)特に必要が有ると認める時に限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべき事を指示する事が出来る。

 Q.学校や保育園はどう為るの?

 特措法45条の2に基づき 都道府県立の学校は知事の判断で休校出来る。私立学校や市町村立の小・中学校、保育園や学童保育等は知事が休校・休業を「要請」する事が出来る。
〔要請〕に応じ無い場合は、休業を〔指示〕出来るが応じ無かった場合の罰則は無い。

 Q.他にどんな事が出来るの?

 臨時の医療施設を開設する為に土地・建物を使用や医薬品・食品等の物資の売渡しを要請出来る。
 特措法49条に基づき 都道府県知事は臨時の医療施設を開設する為に土地・建物を使用出来る。所有者の同意が得られ無い場合は強制的に〔収用〕出来る。
 特措法55条に基づき 企業等に医薬品や食品等物資の売り渡しを〔要請〕出来る。所有者の同意が得られ無い場合は強制的に〔収用〕出来る。又、物資の保管を〔命令〕する事が出来る。

 Q.「要請」「指示」に応じ無かった場合、罰則は無いの?

 特措法の中で罰則が定められて居るのは、以下の2つだけだ。

 ⊡ 命令に従わず物資を隠したり、廃棄・搬出等をした場合。
 特措法76条 第55条第3項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第4項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
 ⊡ 物資の保管場所の立ち入り検査を拒否したり、妨害、虚偽報告などをした場合
 特措法77条 第72条第1項若しくは第2項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は30万円以下の罰金に処する。

 Q.「緊急事態宣言」で強制的な休業は有り得るの?収入は補償されるの?

 特措法では、民間企業の経済活動を強制的に止める措置に付いての直接的な規定は無い。〔緊急事態宣言〕による〔要請〕〔指示〕を受けて企業が休業したりイベントが中止に為った場合の補償に付いても定められて居ない。営業停止を求められた事業者等への損失補てんに付いて、安倍首相は7日の衆院議院運営委員会で「現実的で無い」と否定。
 飲食店に物品を納入する業者と飲食店を例に挙げて「自粛養成して居る人(飲食店)に限って補てんするのはバランスを欠く」との見解を述べた。

 労働者の場合はどうか。労働基準法26条では会社が労働者に仕事を休ませる措置を執る等、会社の責任・判断で労働者を休ませる場合は、休業期間中に休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わ無ければ為ら無い。只、緊急事態宣言に基づく休業が〔使用者の責任〕に為るかどうか不透明だと云う声がある。
 労働者の権利擁護に取り組む弁護士団体〔日本労働弁護団〕は〔国や地方自治体から自粛の要請を受けたと云う事を理由にしたとしても、 会社が労働者に労務を提供させる事が可能であるのに、自らの判断に依って休みにする場合には『使用者の責めに帰すべき事由』(民法条項)が有るものと考えられます」と指摘する。

 その上で「労働者としては、会社に対して就労させる様求め、賃金全額の支払いを求めましょう」と呼び掛けて居る。日本労働弁護団の東京本部では、毎週月・火・木の 15〜 18時、土の13時〜16時に電話による無料の労働相談に応じて居る。 電話番号は
03-3251-5363

 文・吉川慧 ※編集部より:安倍首相が緊急事態宣言を発出した事を受けて記事を更新しました(2020/04/07 17:49)

              吉川慧     以上



 




 




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何故私達は「一斉休校」を批判しながら 「緊急事態宣言」を待ち望んでしまったのか




  何故私達は「一斉休校」を批判しながら

 「緊急事態宣言」を待ち望んでしまったのか


            〜文春オンライン 4/7(火) 18:30配信〜


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           緊急事態宣言を発令した安倍首相 コピーライトマーク時事通信社

 〜新型コロナウイルス感染者の急速な増加を受け、安倍晋三首相は4月7日、東京等7都府県を対象に〔緊急事態宣言〕を出した。この〔緊急事態宣言〕をどう受け止めて生活するべきなのか。公共政策・情報社会論が専門で、東京工業大学准教授の西田亮介氏に聞いた〜

 今「緊急事態宣言」が出される意味

 安倍晋三首相が4月7日〔緊急事態宣言〕を出しました。政府から緊急事態宣言が出されると、都道府県知事に強い権限が与えられ、外出自粛や休校・人が多く集まる娯楽施設の利用制限等を要請・指示出来る様に為ります。期間は今の処5月6日迄とされ、法律の上では最長3年間継続可能です。
 今回の宣言が出た事で、各都道府県知事が病床不足に対応する為に医療法等の規制を緩和して施設を迅速に設置で切る様に為る他、施設の休業要請や医薬品を都道府県に優先的に売る様に要請する事等が出来る様に為ります。
 又鉄道各社に交通の規制を要請する事も出来、運用に依っては日常生活にも大きな影響が生じて来るかも知れませんが、今回は政府としては要請しないと云う発言が繰り返されて居ます。


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             東京工業大学准教授の西田亮介氏

 現状でも、既に3月2日から全国一斉に公立の小中高校の休校が要請されて居ます。3月19日には、大阪府の吉村洋文知事が翌日からの3連休に向けて大阪府と兵庫県の間の不要不急の往来を控える様求めました。東京都でも、3月25日に小池百合子知事が会見し、週末に向けて不要不急の外出の自粛を要請して居ます。
 詰り、市民生活に関わる様な要請は、法的な根拠が弱いママ既に出されて来ました。その意味で、このタイミングでの政府の緊急事態宣言は〔これ迄の要請に後付けで理屈付けるもの〕とも言えそうです。

 欧米の強権的な宣言とは全く違う

 では、知事達が外出自粛の要請等に動く中、何故政府は緊急事態宣言の発令を此処迄遅らせたのでしょうか。〔緊急事態宣言〕と云う強い表現に依る、買い占め・区域や地域からの脱出等の予期し難いパニックの発生を懸念したのでは無いでしょうか。
 又〔緊急事態宣言〕は現状に於いては、特措法上、政府として出来る〔最後のカード〕に為る訳ですから、出来れば宣言せずに乗り切りたかったのかも知れません。政府対策本部が設置された時点で、可成りの事が出来る様に為って居た訳ですから。

 更に野党やメディア等から「緊急事態宣言によって国民の主権が制限される」との強い懸念の声が挙がった事も大きかったかも知れません。何れにせよ、結果的にはアメリカに於ける〔国家緊急事態〕の宣言と比べても約1カ月遅れの宣言と為りました。
 諸外国と比べて注意すべきは、日本の場合は飽く迄も〔改正新型インフルエンザ等対策特別措置法〕と云う個別の法律に基づいた枠組みの中での緊急事態の宣言である事です。

 アメリカ等、既に非常事態宣言を出して居る国では、市民の行動を制限するだけで無く、この宣言に依って、大きな権力が政府や大統領・軍隊に集約され勝ちです。イタリアやフランスでは、外出禁止令に反した市民に罰金や禁固刑が科される等、強権的な対応も執られて居ます。 日本の〔緊急事態宣言〕は、欧米のそれとは全くの別物です。
 飽く迄、個別の法律に基づいた〔緊急事態〕ですから、警察や軍隊の権利が拡張されたり、新たに罰金が科される様な強硬措置は有りません。飽く迄〔要請〕や〔指示〕が出来るだけ。従わ無い事業者の名前を公表出来ますが罰則規定は有りません。戦争へと突き進んだ〔翼賛体制や国家総動員体制〕に付いての反省や旧伝染病予防法の反省から、自由や基本的人権の制限に慎重な建付けと運用が念頭に置かれて居る為です。

 「欧米並みのロックダウン」は日本で可能か

 私が懸念して居るのは、今回の〔緊急事態宣言〕の影響そのものよりも、この宣言の効果が薄かった場合「政府は更に強権的な対応を執るべきだ」と世論が盛り上がる事です。
 SNS等ネットでの議論を見ていても、罰金等の規定を科す欧州の様な厳重な都市封鎖・ロックダウンや、一般市民の管理・監視を強化する様求める声も挙がっても可笑しくありません。医療の専門家からも医学・公衆衛生上の観点から悪意無く強力な都市封鎖コソが重要だと云う声も聞こえて来ます。

  〔欧米並みのロックダウン〕を実際に行う場合、政府としてどう云う対応が執れるかは不明確ですが、思い着くシナリオは2つ考えられます。

 ひとつは、自衛隊の活用・・・自衛隊法に基づいて自衛隊の〔治安出動〕が発令される事です。東京都が4月6日に自衛隊の派遣要請を行いましたが、これは飽く迄も〔災害派遣〕治安出動は更に強力な全くの別物です。これ迄も学生運動が過激化した時代やオウム真理教事件に際して検討されましたが、その影響力の大きさや日本に於ける過去の歴史的経緯もあり、過去に発令された例はありません。
 発令された場合には、東京都・・・特に23区を封鎖すべく武装した自衛隊が街を囲む様な事態も想定されるでしょう。勿論治安出動の念頭に有るのは内乱の様な事態ですし、国民を統制する為に自衛隊が出動すると為れば、自衛隊のイメージダウンは免れず〔国民に寄り添い、共に汗をかく〕事を積み上げて来た実績が一気にリセットされてしまうでしょうから、実際に起こる可能性は極めて低いシナリオです。

 それよりもハードルが低いのが2つ目のシナリオです。警察法・・・と云う、特措法とは別の法律に基づく〔緊急事態〕が宣言されるケースです。
 諸外国に於ける〔非常事態宣言やロックダウン〕と似た封鎖を実現しようとする場合、感染症対策をベースにした特措法に立脚するより、元々治安維持を担って居る警察組織を使って実行する方が自然かも知れません。

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              県警と自衛隊が治安出動訓練

 警察法に基づいて〔緊急事態〕が宣言されると、総理大臣が警察を直接指揮出来る様に為ります。詰り、安倍首相が全国の警察を直接、指揮出来る様に為るのです。すると、理屈上は街を出歩く市民を見付ける度に警察が取り締まる様な事も起こり得ます。
 〔国家公安委員会の勧告と常時の助言〕が必要とされますが、国会には事後の報告でも好意図されて居ます。現在の警察法の下では前例が有りませんが、そんな案が持ち出される可能性もゼロでは有りません。

 〔緊急事態宣言〕では物足り無く為る日
 
 何れも極端なシナリオで、長年に渉って用いて来なかった劇薬の様な手段ですから、政府も簡単には踏み切れ無い筈です。只、私が懸念して居るのは、新型コロナウイルスの感染拡大への恐怖心から、国民が自ら過激な政策を政府や与党に求めて行く事です。
 1カ月程前、日本ではどう云う意見が有ったのか思い出してください。急遽決まった全国一斉の小中高校の休校に際して「余りに急過ぎる」「過剰な対応だ」と批判が噴出しました。処が今では、海外で先行する強権的で強制的な〔国家緊急事態〕や〔都市封鎖〕と比較して〔日本の対応は生温い〕〔危機意識が足り無い〕〔外出禁止を徹底するべきだ〕との声が強く為って居る。

 日に日に日本国内での感染が拡大して居るとは家、短期間の内に、余りに大きく揺れて居るのです。更に、これ等の世論には、言わば〔原理原則〕が有りません。「私権の制限を含む緊急事態宣言は危ない」と言って居た人が、1カ月後には「早く宣言を出して置けば良かった」と手のひらを返す。野党批判や政権擁護をしたいのでは有りません。イメージばかりが先行し政策の根底に有るべき〔原理原則〕が顧みられる事も無い状況が問題なのです。

 隣の芝生は青く見えてしまう

 これ迄も緊急事態に於ける危機管理に付いては、長年議論がされて来ました。2003年には、当時の民主党が〔緊急事態基本法案〕を公開して居ますし、2012年には自民党の改憲草案に組み込まれた〔緊急事態条項〕を巡り議論が起こりました。
 緊急事態に内閣に強大な権限が集約される事に対して「国家権力が国民の権利を制限する危険性がある」との批判が出たのです。そんな議論が続いて居た筈なのに、新型コロナウイルスに対応する中で、一気に極端な方向に振れ兼ね無い状況が生まれて居ます。

 隣の芝生は青く見え勝ちです。他国で現金給付の報道が有ると〔日本でも即、実施すべきだ〕と云う議論が噴出します。でもそれらも申告制だったりする訳です。中小企業者が400万弱在る日本の事情を思うと、雇用も含めて使途が柔軟な無利子・無担保・信用保証料が支援される貸付の仕組みは、過去の震災等の有事でも事業者から評価を受けて来ました。
 隣の青い芝生は無いので、日本式の有効な支援を確り政治・経済・社会で構想する事が重要です。勿論、感染し無い事は大切です。疫学的には人との接触を出来るだけ避ける事が求められて居ると思います。一方で、新型コロナウイルスに依って生じる問題の影響は経済や生活の広範囲に渉る複合的な問題です。緊急事態宣言が解除された後にも続いて行く日常の為にも、多角的且つ慎重に考えて行く必要があります。


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 東京工業大学准教授 西田亮介 日本の社会学者 専門は公共政策・情報社会論 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員 北海道大学大学院公共政策学連携研究部附属公共政策学研究センター研究員

    「文春オンライン」特集班 Webオリジナル 特集班   以上



 



 



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コロナ対策の「現金給付」30万円 申請から受給までの流れ




 コロナ対策の「現金給付」30万円 

 申請から受給までの流れ


            〜マネーポストWEB 4/7(火) 7:00配信〜


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 どの様に申請すると受け取れるのか(写真は2009年の定額給付金の案内状 写真 時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大で仕事を失った国民は、政府の支援を待ち望んで居る。ソコに安倍晋三首相が先ず打ち出したのは全世帯への布マスク2枚配布だった。

 「速やかに取り組みたい」

 1枚200円の〔アベノマスク〕が家庭に届く頃、米国の国民には政府から小切手が郵送される。本当に必要なのがどちらかは言うまでも無い。
 新型コロナショックへの緊急経済対策として、世界各国が競い合う様に国民への現金給付を打ち出して居る。最初に支給するのは米国に為りそうだ。トランプ大統領は年収7万5000ドル・約810万円以下の成人に1人1200ドル・約13万円、17歳以下の子供には500ドル・約5万4000円の現金給付を決定。夫婦と子供2人の世帯なら合計約37万円に上る。

 対象者には政府から直接、小切手が郵送され、申請手続きは原則必要無い。小切手は4月20日頃から届き始める見通しだ。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学ビジネス創造学部教授が語る。

 「米国の受給手続きは簡単です。政府振り出しの小切手だから、本人がサインして銀行に持って行けば換金して貰える。小切手の印刷を考えても政府の準備に掛かる期間は2週間程度でしょう。こう云う政策は即応性が重要。日本もこの方法なら迅速に実施出来る」.

 他の国を見ると、香港は18歳以上の市民に現金1万香港ドル・約14万円を支給する。フランスは休業する労働者の賃金100%補償の他、自営業者等には1500ユーロ・約18万円を給付、ドイツも自営業者に3か月で9000ユーロ・約108万円を補償する。では、日本の国民には幾ら配られるのか。
 安倍首相は108兆円規模の緊急経済対策を実施すると表明。収入が住民税非課税水準に迄落ち込んだ世帯や、月収が半分以下に減った世帯でも一定の所得以下と為った場合〔1世帯30万円〕の現金給付を検討して居ると云う。

 日本では過去2回、経済対策で大型の給付を行なった事がある。1回目は大手銀行や証券会社の倒産が相次いだ金融危機後の1999年。小渕内閣が景気対策として、子育て世帯と低所得の高齢者に1人2万円の〔地域振興券〕(ふるさとクーポン券)を配布した。2回目はリーマン・ショック後の経済対策(2009年)だ。時の麻生内閣が1人1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)の現金を〔定額給付金〕として国民全員に支給している。

 今回、安倍首相は「アラユル政策を総動員する」と、現金給付とクーポン券・ポイント還元・減税等のメニューを同時に打ち出す構えだが、柱と為る現金給付に付いては「国民全員に一律では行なわ無い」「リーマン・ショック時の経験を鑑み、効果等を考えれば、ターゲットを或る程度置いて思い切った給付を行なうべきと考えて居る」として居る。
 麻生内閣の定額給付金は国民全員に配られたが、政府の検証で経済効果は薄かったとされた。その為、今回の現金給付は対象を絞り込み、纏まった金額を支給する方針だと云うのだ。

 「定額給付金」の時はどうだったか

 現金給付の受給条件はどんなものに為るのか。米国初め諸外国では「一定の収入以下」の人に現金給付するケースが殆どだ。日本のこれ迄の給付制度も「低所得者対策」の名目で実施され、所得制限が設けられて居た。全国民に配った定額給付金は例外的存在と言える。

 ここで〔定額給付金〕のケースを元に、申請から受給迄の流れをお浚いして置こう。現金給付の法律が国会で成立・施行後、

 (1)対象世帯の世帯主に市区町村から〔申請書〕が郵送された 定額給付金は世帯主に全員分が一括で支給された
 (2)申請者(世帯主)は、それに記入して行く 申請書には〔給付対象者〕として世帯員全員の氏名、夫々の支給額と合計額が予め印字されて居り、給付対象者の情報に間違いが有れば訂正が必要だ
 (3)又、申請書で口座振込か現金給付を希望するかを選択する
 (4)振り込みの場合、金融機関名や口座番号を記入した上で キャッシュカードか通帳の表紙のコピーを添付 申請者の免許証やパスポート等本人証明の写しと共に返送用封筒で返送する手順だった 現金給付を希望する場合 申請書と本人証明を役所に持参して受け取る

 しかし今回は一律支給では無い為、申請段階で「審査」が行なわれる可能性が高い。新型コロナに依る〔収入減少〕を申し立てる場合は、自己申告やマイナンバーを利用して収入を確認するシステムの構築等が検討されて居る。収入の減少を証明するには、会社員で有れば給与明細がある。だが、年金生活者は注意が必要だ。
 例えば「昨年迄不定期のアルバイト収入が有ったが、今年に入って新型コロナの影響で仕事が無く為ってしまった」と云ったケースでは、勤務先の支払調書等を揃えて置く必要が有るだろう。その上で〔収入減少〕を証明出来れば受給資格が認められる可能性が有るが、審査でハネられた場合、不服申し立て等が必要に為るかも知れない。

 政府の新型コロナ対策には、もう一つ、隠れた〔現金給付〕の仕組みがある。新型コロナの影響で収入が減少し、日常生活の維持が困難に為った世帯への〔緊急小口資金等の特例貸付〕と云う制度だ。地域の社会福祉協議会で申し込むと、2人以上の世帯は〔月20万円〕を3か月、最高60万円迄無利子無保証で融資を受けられる。しかも、この資金は返済開始時(1年後)に為っても失業等収入減少が続いて居る住民税非課税世帯は、申請すれば返済免除されるのだ。


         ※週刊ポスト2020年4月17日号   以上











 新型コロナとの闘い

 〜日本政府はガダルカナルの失敗を繰り返すのか〜


            〜古谷経衡 文筆家 著述家 評論家 4/7(火) 1:12〜

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                    古谷経衡氏

 米ニューヨーク州知事・クオモ氏は新型コロナウイルスとの闘いを〔戦争〕と表現した。その表現が正しければ、日本政府による新型コロナウイルスとの戦争は、余りにも劣勢と見做されて居る。

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               米ニューヨーク州知事・クオモ氏

 致死率より遥かに高いパニックに襲われつつある日本。〔1住所に付きマスク二枚送付〕と云う失笑モノの政策を筆頭に〔和牛券・魚券構想〕〔Go to travel、Go to eat(ママ)券の検討〕〔全世帯への現金給付では無く、条件付きの現金給付〕〔休業補償の不備〕等々は、急速に進行するコロナウィルスと云う敵に対して〔戦力の逐次投入〕と批判され勝ちだ。

 現下で進行する大経済不況の前哨に、政府の現在の対応で全く十分だと考える者の方が少無いだろう。実に過去、日本は同じ過ちを繰り返して居る。今から78年前・・・太平洋戦争中の1942年8月から行われたガダルカナル島を巡る戦いで、大本営は圧倒的に優勢な米軍上陸部隊に対し、3度〔戦力の逐次投入〕をして大敗。翌1943年2月には同島から撤退するに至った。
 それ迄無敗を誇った日本陸軍の完全敗北である。これ以降、太平洋の戦局は物量で押す米軍へと急速に傾いて行く。 アノ戦いから78年・・・日本は再び歴史に対して盲目と為り、同じ失敗を繰り返すのだろうか?

 小出しに戦力を投入して、3回同じ事を遣り失敗した日本軍

 1941年12月8日、ハワイ真珠湾への奇襲で幕を開けた太平洋戦争は、同時にマレー半島コタバルに日本軍が上陸(南方作戦)する事に依り、僅か半年で大本営が初期目標として居た英領ビルマ・マレー・米自治領フィリピン・オランダ領インドネシア(蘭印)等の迅速な占領をする事に成功した。
 1942年6月 ドゥーリットル空襲・・・米軍艦載機による日本本土発空襲・・・に触発されて企図されたミッドウェー作戦は、逆に攻勢側の日本海軍が空母4隻を失う(米側1隻沈没)と云う戦局の転換点に為ったものの、太平洋に於ける大本営の関心は南太平洋の奥地・・・サモア・フィジー等に進出すると云う野心的なものであった。

 その前哨基地としてガダルカナル島に日本軍に依る小規模な飛行場が設営されたが、それが米軍上陸部隊により占領される。この小さな飛行場・・・同島北部のヘンダーソン飛行場を巡る日米両軍の約半年に渉る激戦・・・が、所謂ガダルカナルの戦いである。

 大本営はこの地域での米軍の対日反抗作戦を早くとも〔1943年中旬以降〕と勝手に予想して居たが、米軍ガダルカナル上陸を知ると、スグサマ飛行場奪還に動いた。
 ガダルカナル奪還の第一陣は、一木清直(いちき きよなお)大佐率いる一木支隊の900名(第17軍・百武晴吉陸軍中将隷下 以下同)で、夜陰に紛れて米軍の背側に上陸し、夜間白兵突撃で以て一挙に決着を図ると云うものである。概ね1937年から開始された日中戦争で、日本軍は大陸戦線に於いてこの夜間白兵突撃で中国国民党軍等に対し一定の効果を上げて居た。敵が蒋介石から米軍に代わっても、この戦法が通用すると踏んだのである。

 当時軍は、ガダルカナルを占領した米軍兵力を約2〜3000人程度と予想して居たが、米第一海兵隊師団(バンデグリフト少将)の10,900名が、日本軍に対し数十倍の機関砲と自動小銃を持ち込んで待ち構えて居た。1942年8月21日、夜襲を図った一木支隊は為す術も無く全滅。一木大佐は自決した。
 ガダルカナル奪還の第二陣は、川口清健(かわぐち きよたけ)少将率いる川口支隊の6,200名。一木支隊より約7倍に増強されて居たが、その間、敵米軍も増強され15,000名に為り、日本軍を更に優勢な火力で待ち構えて居た。
 川口少将は一木支隊失敗の反省を踏まえてより長い迂回ルートを設定して奇襲を計画したが、ガダルカナルの鬱蒼としたジャングルに阻まれて各部隊間の連携が取れず、結局1942年9月12日夜、不連続な夜襲を決行して又も米軍に一方的に遣られた。

 ガダルカナル奪還の第三陣は、南太平洋方面に展開する第17軍の主力の一つである第二師団(丸山政男中将)を中心としたもので、川口支隊の残存と合わせて概ね15,000名であり、さしもの東京の大本営も、続けざまの失敗を反省してイヨイヨ本腰と為り、大規模な輸送と兵力の増強計画で臨んだ。
 更に東京からは、参謀・辻政信中佐と服部卓四郎作戦課長が現地で督戦等に当たる・・・と云う熱の入れようである。処が此処でも日本軍は間違いを犯す。敵米軍の兵力を〔7〜8,000、場合によっては10,000名に到達する可能性〕と低く見積もった。実際、日本軍を殆ど完璧な体制で迎え撃つ準備を整えて居た米軍は、この間更に輸送船で増強されて居り総勢28,000名だった。

 1942年10月24日、第二師団を中心として始まった総攻撃は、又しても米軍の圧倒的火力の前で惨敗した。同26日総攻撃は中止され、以後各残存部隊が同島各地で持久戦を展開し、翌年2月の撤退迄ジャングルの中を彷徨う事と為る。
 ガダルカナルの戦いでの日本軍死者、陸軍20,800名・海軍3,800名(共に戦史叢書より)の計約24,600名。一方、米軍の戦死者は約1,600名とされる。余りにも無残な日本軍の戦いは、こうして3度同じ失敗を繰り返し繰り返し実行した、大本営の愚策中の愚策であった。

 気が付いた時には〔逐次投入〕しか出来無かった大本営

 以上が〔兵力の逐次投入〕の代名詞として後世でも語り継がれるガダルカナルの戦いのホンの概略だが、では第一回目から万単位の兵を送って居たら戦局は違って居たのか、と云うとそうでも無い。当時の日本陸軍は圧倒的に火力不足・装甲不足であり、仮に同数の米軍相手でも惨敗は必至だっただろう。だが、戦いが長引いた可能性は大である。
 大本営が2度の失敗を経てイヨイヨ危機感を募らせてガダルカナル奪還へ本腰を入れ始めた時、詰り第三回目の奪還作戦である第二師団を中心とした総攻撃作戦(1942年10月)の前、大本営中枢では以下の様に作戦に対する注意が為されている。

  田中新一大本営陸軍部第一作戦部長の注意 敵は植民地軍に非ず、又従来の敵の不準備に乗ずる作戦とは異なる。故に本格的に四つに組む戦法たるを要す。
  田辺盛武参謀次長の注意 兵力の逐次使用は不可。
  杉山参謀総長の注意 ガダルカナルは日米の決戦場ゆえ、必要の前には如何為る事も遣る決意なり。出典 戦史叢書(南太平洋陸軍作戦2)
 
 要するに敵米軍は、今迄常勝して来たアジア植民地に於ける連合軍とは違うので、十分注意し、又兵力の逐次投入は不可で、一気呵成に米軍を叩き潰し、その為の準備はトコトンヤレ・・・と云う事を割合〔きちんと〕謳って居るのである。

 何故こう云った〔真面な〕決意をする割に、日本軍は三度敗れたのか。原因は、大本営が本格的に危機感を抱いた時、時既に遅く、彼等の〔真面な〕決意を実行する為のインフラが欠如して居た事に他なら無い。
 1942年10月に為ると、ガダルカナル周辺の制空権は完全に米軍の手に渡り、日本軍の稼働戦闘機数は激減した。依って海上輸送は困難を極め〔敵は植民地軍では無いので注意せよ〕と云っても、ソモソモ十分な兵力や物資を送るだけの輸送行動が出来無かった。大本営ではコノ方面に近衛師団の転進も考えて居た様だが実行は不可能だっただろう。

 そしてこの地域で〔辛うじて〕米海軍と拮抗して居た日本海軍は、ガダルカナルの戦いと殆ど同時期に行われたサボ島沖海戦・数次にわたるソロモン沖海戦等で消耗し、主力の行動がママ為らず、十分な地上支援体制を執る事が不可能だった。
 詰り〔本気で戦おう〕と思った時には全てが遅く〔本気で戦う〕だけのインフラが尽きてしまった後だったのである。ガダルカナルの戦いは結果的には〔戦力の逐次投入〕と為ったが、少なくとも三回目の奪還作戦(1942年10月)は、彼等の中では戦力の逐次投入と云う発想では無かった。
 参謀総長をして〔日米の決戦場〕とハッキリ言って居るのである。しかし、結果的に〔戦力の逐次投入〕に為るしか、もう日本軍の体力は残されて居なかったのだ・・・歴史の悲劇である。

 ガダルカナルの悲劇から学ぶべき戦訓
 
 78年前の悲劇は、後世を生きる私達に余りにも多くの事を伝えている。

 1)敵の兵力や性質を徒に過少評価し無い事
 2)巨大な敵に対しては、最初から全力を以て対抗する事
 3)〔本気で戦おう〕と重い腰を上げた時には大抵の場合、その決意を実行するリソースが尽きて居るので注意する事 

 翻(ひるがえ)って新型コロナウイルスとの闘いがクオモ知事曰く〔戦争〕なのだとしたら、この戦訓は私達への示唆に富んで居る。2020年に入っての景気後退は確実である。その前から日本経済は消費増税で足腰が弱って居る・・・が、その後、退局面は現在概ね出発点の段階で有り、未だ中央政府が対応するだけの余力が残されて居る。
 日本の財政状況は決して良いとは言え無いが、十分な外貨準備と政府資産等を持って居り〔国民全員〕に大胆な財政出動をするだけの余力はマダマダ残されて居ると筆者は見る。要するに増援可能な主兵力が未だ温存されて居る状態である。

 本格的に景気が悪化し、GDP成長率・株価や企業の決算・失業率等の指標等が恐慌的と為った時に〔本格的にコロナ不況と戦おう〕と決意した処でもう体力は残って居ない。ガダルカナル四度目の攻撃は、失敗しては為ら無いのである。
 (了)

 参考資料『戦史叢書 南太平洋陸軍作戦<2>ガダルカナル・ブナ作戦』防衛庁防衛研究所戦史部著 朝雲新聞社

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 古谷経衡 文筆家 著述家 評論家 1982年北海道札幌市生まれ 文筆家 日本ペンクラブ正会員 立命館大学文学部史学科卒 テレビ・ラジオ出演など多数 主な著書に『愛国商売』(小学館)『日本型リア充の研究』(自由国民社)『女政治家の通信簿』(小学館)『日本を蝕む極論の正体』(新潮社)『意識高い系の研究』(文藝春秋)『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コアマガジン)『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』(イースト・プレス)『ネット右翼の終わり』(晶文社)『欲望のすすめ』(ベスト新書)『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)等多数

                  以上



 



 



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「れいわ新選組」の山本太郎代表が独白 「ドケチ政権、消費税ゼロにして国民1人に20万円給付にしよう」




  「れいわ新選組」の山本太郎代表が独白 

 「ドケチ政権、消費税ゼロにして国民1人に20万円給付にしよう」 
 

             〜AERA dot.〈週刊朝日〉 4/7(火) 7:00配信〜


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         インタビューに答える山本太郎氏 (撮影 片山菜緒子)

 〜イヨイヨ安倍晋三首相が4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて〔緊急事態宣言〕を発令する。実施期間は5月6日迄の1カ月間で東京の他、埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡の6府県が対象と為る。7都府県の知事は、外出自粛の要請や施設使用・イベントの中止の要請・指示等を出す方針だが、緊急事態宣言に依って景気が落ち込むのは必至だ。
 安倍首相は追加の経済対策としてGDP(国内総生産)の2割に当たる、108兆円をバラ撒き、世帯主の月間収入が減少した住民税非課税の世帯には30万円の給付を行う等の対策を明らかにして居る。しかし、首相の方針に待ったを掛ける男が居る。政界の風雲児「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。本誌に激白した目から鱗の対策とは〜


  「れいわ新選組」山本太郎の緊急提案

 昨年10〜12月の直近四半期の実質成長率はマイナス7・1%で、金額にして約40兆円の富が国民から削り取られたと考えられます。原因は言う迄も無く、昨年10月からの消費増税です。景気を良くする為のエンジンは、GDP・国内総生産の6割を占める個人消費です。本来なら消費を刺激し無ければ為ら無いのに、行われたのは消費が冷え込む政策でした。
 これは安倍政権のみ為らず、歴代の自民党政権に依る失政です。日本がデフレ経済に陥ったのは、1997年に消費税率を3%から5%に上げた時からです。国が消費を落ち込ませた上に、更に増税でお金を搾り取ろうと云うのは愚の骨頂です。最早、自民党にこの国のコントロールを任せては置けません。

 大規模な経済政策に依って、この20年以上のデフレを終わらせる。加えて、新型コロナの爆発的感染に備え、準備する必要が有ると考えて居ます。恐らく何度かに分けて〔100兆円以上の財政出動〕が必要に為って来るでしょう。
 私は、2月26日に自民党と野党共同会派に対して、緊急の補正予算の編成と成立を求めました。その後、与野党申し合わせの上で国会を休会する事を提案しました。処が休会の事ばかりがメディアでクローズアップされた為「何だ、お前等だけ休むのか」とバッシングを受けましたが、そうではありません。

 国会は、私達「れいわ新選組」の重度の障がいや難病を抱える2人の参院議員だけでは無く、与野党の高齢議員が活動する場です。国家の中枢でコロナが蔓延(まんえん)したら本当に国が倒れる。国会を休会にする事で、世の中に対して「皆も休んで呉れ」と云うメッセージを伝える必要があったのです。
 その国会休会前に緊急の補正予算で組まれるべきだったものは、皆が仕事を2〜3カ月間休める為の補償です。けれども、安倍政権はそれもせずに学校を全国一律休校にしてしまった。順番を考えたらマルで逆です。先に大人を休ませる為の財政措置をして安心して貰う・・・その後に子供を休ませれば、親が仕事を出来無くて困る状況は起き無かったでしょう。イベントの自粛要請もありましたが、損失を補てんすると言わ無ければ、そりゃ予定通り実施する業者も出て来ます。

 国民からの全ての徴収を一時ストップ 政府が補填する

 私達が着目したのは、国家権力と一般の人々の間で行われて居るお金の遣り取りです。それは2種類あって〔徴収と給付〕です。先ず、人々からお金を取る事を極力辞める事が大事です。徴収には、健康保険・年金・介護・雇用・労災等の保険料があります。これ等保険料収入の総額が年間約63兆円です。
 1カ月当たり大体5兆円なので、3カ月間免除すれば15兆円程度のお金を付ければ済む。それから、水道光熱費です。総務省の家計調査報告・・・2019年を元に計算すると、日本の全世帯で年間総額約12兆円支払っています。1カ月当たり約1兆円なので、3カ月分の3兆円程度を夫々の事業者が国に請求する形を取る。こうした救済策が20兆円以内で出来るのです。

 一時的でも消費税をゼロに

 そして消費税です。5%に減税するとシステムの改修が行き渡る迄に時間が掛かります。現場に混乱を生み出さ無い為にも、矢張りゼロにすべきです。レジでも非課税ボタンを押せば好いだけですから、大丈夫、混乱は起きません。
 この3カ月間は、皆が通勤・通学等動きを止め様と云う事です。勿論生活必需品の物流や介護等は止められません。そう云う業界に携わって居る人達には上乗せのインセンティブを与える。皆が極力動か無いで済む様に担保して、朝夕の通勤時間帯の満員電車をガラガラにする状況を作り出す必要があります。

 国民一人当たり無差別に20万支給 

 給付に付いては、政府は二転三転した後、1世帯当たり30万円給付って話です。可成り厳しい要件で給付出来る人を絞るでしょうから分断されますよ。緊急事態だしスピード感必要ですから、最低でも全世帯給付ではないですか?
 他に政府が配布すると明言しているのは、1世帯にマスク2枚だけ。〔ドケチ政権〕ですね! そんなセコいお金の投入しか出来無ければ、コロナに罹って亡く為る人よりも、経済的苦境に依って自ら命を絶た無ければ為ら無い人の方が増えるのではないか。
 年度の切り替わりと云うタイミングでもあり、非正規労働の人達が雇い止めにされる事例が沢山起きて居ます。中には、会社の寮に住み込みで働いて居た人も居て、職と同時に住まいまで失って居る。

 国民に安心と安全を

 今、行動は制限されて不自由だけど、懐は決して凍えて居ない・・・そう云う安心感を人々に与える必要があります。その為には、1人当たり現金20万円は支給したい。富裕層は対象外にするとか選別して居ると時間が掛かってしまうので、早急に給付する為にも一律で好いと思います。3人家族ならば60万円。これを使い切るのはナカナカ大変です。
 1人20万円も渡してしまったら世の中に出回るお金が急に増えて、インフレが行き過ぎるのではないかと懸念を示す人が居ます。

 勿論、消費に回す人も居ますが、こんな時期だから貯蓄する人も相当数居る筈です。1人20万円として総額25・2兆円ですが、その位の国債を発行しても消費者物価の押し上げ率は0・05%にしか為ら無いと指摘する経済学者も居ます。政府と日本銀行が目標として居るインフレ率は2%ですから、それにも及びません。為らば、国民の命を守る為に大胆に実行するべきです。

 何時在っても可笑しく無い衆院選に野党は対処を

 衆院選は何時在っても可笑しく無いと思って居ます。安倍首相は選挙の票を買収する様なバラまきと共に、衆院選に突入して行く可能性があります。しかも世の中が積極的な外出を控えるムードの中、選挙を遣れば自民党はボロ勝ちするでしょう。野党側は腹を括って、此処で明確に人々の生活を守り底上げする。中小零細企業を確り守って行く公約を掲げ無ければ太刀打ち出来ません。
 東京都の小池百合子知事も東京五輪の延期が決まる迄、新型コロナから都民を守る為に表立って公の場には出て来ませんでした。
 五輪と人々の命をバーター(交換)して居たのは、安倍自民党だけでは無く小池知事も同じ様なスタンスだったと云う事でしょう。そうで有るならば、東京で心有る首長を誕生させる為に、野党は力を合わせ無ければ為ら無いと思って居ます。


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                 談 山本太郎 

     ※週刊朝日 4月17日号に加筆 本誌・亀井洋志    以上


 ・・・山本太郎氏の言葉は、単に大袈裟な数字を用いた表現で私達を驚かそうとの気持ちでは有りません。彼は、可成りの自らの学習と経験・そして困難な調査と確かな教鞭を得た結果得られた・・・一つの確信を持った上での発言なのです。次回から数回に渉り彼が得た経済学・・・国家経済学の本質を解き明かして行きたいと思います。題して「MMT理論の可笑しな処を聞く・・・」です。どうぞお楽しみに・・・管理人 


 






 マスク2枚?ふざけるな! 国民熱望〔消費税減税〕何故遣ら無いのか! 

 「国民は俺達に従って居れば好い」官尊民卑の意識まる見え


               〜夕刊フジ 4/7(火) 16:56配信〜


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   安倍晋三首相(右)は、岸田氏や財務省が反対する「消費税減税」を突破出来無いのか

 【国家の流儀】

 〜中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済を直撃して居る。生産や消費に甚大な影響が出ており、日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)の大企業製造業の景況感は7年振りのマイナスに為った。
 東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫の5都府県では〔医療崩壊〕の危機が近付いて居り、もし事態が深刻化・長期化すれば、更なる打撃は必至だ。政府は、リーマン・ショック時を上回る、過つて無い規模の経済対策を断行する方針だが、マスク2枚は配れても、国民が熱望する〔消費税減税〕は盛り込まれ無い見通しと云う。どうして、政治家や官僚は減税を嫌うのか。評論家の江崎道朗氏が集中連載〔国家の流儀〕で迫った〜


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              評論家の江崎道朗氏 

 共同通信社が3月26〜28日に実施した全国緊急電話世論調査に依ると、望ましい緊急経済対策は〔消費税率を引き下げる〕が43・4%でトップだ。だが、政府与党の間では、減税は不評で、給付や和牛券の様なクーポン券が好まれて居る。
 例えば、自民党の岸田文雄政調会長は同月22日のNHK番組で、与野党内に在る消費税減税論に付いて、「下げる時も大きなコストと時間を要する。事前の買い控えが生じてしまう逆の効果も想定される」と否定的な考えを示した。

 公明党の石田祝稔政調会長も同番組で「現金とクーポン券のハイブリッドが良い」との考えを示した。その理由は簡単だ。給付やクーポン券だと「困った国民を政府が助けて挙げた」と云う構図に為り、政治家や官僚達は優越感を維持出来るからだ。最も、彼等は給付の原資が国民の税金である事をスッカリ忘れて居るのだが。
 一方、減税と為ると、国民から取る税金が減って政府の権限が弱まってしまうと感じて嫌なのだ。要するに〔増税派と減税拒否派達〕からは、自覚して居るかどうかは別にして「俺達が福祉・手厚い社会保障を構築して国民を守って挙げて居るのだから、国民は俺達に従っていれば云い」と云う官尊民卑の意識が垣間見える。

 この〔福祉国家〕の名の下、増税を繰り返す政治家と官僚達は必然的に国民生活と民間の経済活動にアレコレと干渉する様に為る。依って〔福祉国家は隷属への道なのだ〕・・・こう警鐘を鳴らした経済学者が居る。オーストリア人のF・A・ハイエクだ。
 彼は1944年に『隷属への道』を上梓し〔福祉を名目にした増税は、官僚組織の肥大化と国民の自由に対する抑圧を生む〕と訴えた。このハイエクの政治哲学に基づいて減税と民間の企業活動への規制緩和・・・詰り〔小さな政府〕を求める人達の事をリバタリアン・libertarianと呼ぶ。

 米国の保守派の一翼を担う彼等は「福祉や環境を名目に、色々と規制を設け、民間ビジネスを妨害する官僚組織の為に高い税金を払う何て真っ平ゴメンだ。貧しい人の支援為らば教会に多額の寄付をした方が効果的だ」として政治家を突き上げ減税を要求する。彼等は保守で有りながら、増税を認めた〔保守〕政治家に対しても容赦無く〔落選〕運動を仕掛ける。
 そうした政治家と納税者達との厳しい緊張感の中で、リバタリアンに支援されたドナルド・トランプ大統領は今回、早々に大規模〔減税〕を含む2兆ドル・約220兆円規模の経済対策を決定した訳だ。

 日本にもリバタリアンが居れば「イザと云う時に役に立た無いのなら税金を減らせ。政治家と官僚は、我々納税者の雇用者に過ぎ無い事を忘れるな」と、政府と政治家を一喝して居るに違い無い。リバタリアンからすれば、減税は政府に対する要望では無く、納税者としての権利なのだ。


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 江崎道朗(えざき・みちお)評論家 1962年 東京都生まれ 九州大学卒業後 月刊誌編集や団体職員・国会議員政策スタッフを務め現職 安全保障やインテリジェンス・近現代史研究等に幅広い知見を有する 著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年アパ日本再興大賞を受賞した 他の著書に『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(扶桑社)等多数

                   以上










  〔ダメな政治リーダー〕と〔機能が劣化した官僚〕

 と云う新型コロナ禍の日本の悲劇


              〜週プレNEWS 4/7(火) 18:00配信〜


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 「コレで新型コロナ感染拡大の国難に立ち向かえば 尋常為らざる国民の犠牲が不可避と為る」と語る古賀茂明氏

 〜『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、新型コロナ禍に於ける日本のリーダーや官僚の対応に危機感を募らせる〜

 3月29日、西村康稔(やすとし)・経済再生担当相は〔国立国際医療研究センター〕視察と云うパフォーマンスを行なった。しかし、彼が重症患者用の人工呼吸器に付いて「増産に向けて調整して居る」と語るのを聞き私は呆れてしまった。
 今世界では、人工呼吸器の争奪戦が起きて居る。日本企業も海外からの注文殺到でフル生産状態。ソンな時に政府が要請しても、来月に何万台増産と云う数字を出すのは難しい。ソコで、取り敢えず〔増産に向けて調整〕と云う曖昧な発言で〔遣ってる感〕の演出を試みたが、対策の遅れを目立たせただけだった。

 アメリカ・ドイツ・フランスは、夫々大手自動車メーカーに政府が、人工呼吸器製造を要請又は命令している。ドイツ・韓国ではマスク、ロシア・インドでは人工呼吸器が〔輸出禁止〕だ。日本の対応は遅過ぎる。
 一方、小池百合子都知事は、2020年東京五輪の延期が決まった直後の3月25日から記者会見を頻繁に開き、「ロックダウン・都市封鎖」や「オーバーシュート・爆発的な患者の急増」等の横文字乱発で都民の不安を煽(あお)った。

 しかし、感染者専用のベッド4000床を確保するとブチ上げて置きながら、東京都がこれ迄に確保出来たのは感染者1000名超に対して1000床のみ(4月5日時点)7日からは都内のホテルを借り上げ、軽症者を移動させる方針だと云うが、現場は日々、感染者を収容する病院を探す自転車操業状態だ。
 今直ぐにでも、軽症者用の収容施設を設置して、症状別の収容をしないと重症患者の治療が出来無く為り 〔医療崩壊〕が起きてしまう。

 今年7月に都知事選を控えて居る小池都知事は、五輪フィーバーで再選と云うシナリオを描いて居た。五輪1年延期でそのシナリオが崩壊したが、その間コロナ対策は手付かずで後手に回ってしまった。それに気付いた彼女はパニックに陥った筈。
 霞が関では「小池都知事は自己PR術だけは天才的」と評判だ。今回も、大袈裟に危機を煽ってTV露出を増やし、他方で緊急事態宣言は国が決めるとして政府に責任を押し付けた。感染拡大した時に「ホラね、だから政府に言って置いたのに」と、責任転嫁する企みだろう。五輪に代わり新型コロナ対策を再選キャンペーンに使おうと云う思惑が余りにも露骨だ。

 今、世界各地で実施されるロックダウンでは、外出禁止違反等に刑事罰が科されるが、日本の〔緊急事態宣言〕による都市封鎖には強制力は無い。一方、医療施設の設置や医療用機器設備の確保には強制措置を取る事が出来る事から一刻も早く発動し無ければ為ら無かった。しかし、安倍首相は4月7日に為って、ヤッと〔緊急事態宣言〕を出した。矢張り、遅過ぎると言わざるを得無い。
 もうひとつ大きな問題がある。官僚機構がその機能を果たして居ないのだ。他国の例を見て、お得意の〔丸パクリ〕で複数の選択肢を政治家に提案するべきだが〔忖度(そんたく)官僚〕だらけの彼等は、五輪延期決定まで、無為に指示待ちして居た。

 パフォーマンスだけで決断出来ず、責任を取れ無い国と首都の政治リーダー・機能が著しく劣化した官僚組織・・・コレで新型コロナ感染拡大の国難に立ち向かえば、尋常為らざる国民の犠牲が不可避と為る。それが杞憂であれば好いのだが。


 古賀茂明(こが・しげあき)1955年生まれ 長崎県出身 経済産業省の元官僚 霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年に退官 『日本中枢の狂謀』(講談社)等著書多数 ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中




 





 





遅過ぎるコロナ給付金 安倍首相の決断を邪魔する戦犯は誰だ




 遅過ぎるコロナ給付金 

 安倍首相の決断を邪魔する戦犯は誰だ


               〜SmartFLASH 4/7(火) 6:31配信〜


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              4月1日 国会での安倍首相

    「リーマン・ショック時の経済対策を上回る、過つて無い規模の対策を取りたい」
 
 そう宣言していた安倍晋三首相(65)が、4月3日に提示した〔1世帯30万円〕と云うコロナ給付金に、全国民が首を傾げたに違い無い。
 米国・欧州を中心に、国民一律で給付金を支給する国が多い中、日本では、所得が著しく減った世帯のみ等、条件が設けられる。しかも、支給開始は5月以降。早速、国民から批判の声が上がった。

 何故、諸外国と同じ様な〔迅速〕〔一律〕の現金支給が出来無いのか。永田町では「総理が有力ブレーンに止められたらしい」と云う怪情報 も流れたが、或る自民党若手議員は「偏に、岸田文雄・政調会長さんが悪い」と怒りを滲ませこう続けた。
 「当初、安倍首相から与党側の経済対策の取りマトメを一任された岸田さんは『全国民一律の給付しか無い』と訴え、公明党執行部も『それなら金額は10万円だ』と乗って来て居たんです」
 
 しかし、岸田氏の前に二階俊博(自民党)幹事長・麻生太郎副総理兼財務相が立ちハダカッタ。
 「商品券形式での支給を主張する二階さんや、首相時代に定額給付金を配って失敗した麻生さんに『現金支給は貯蓄に廻され効果が薄い』と牽制され折れちゃった。次期首相候補がこの体たらくでは、先が思い遣られます」(同前)

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、こう嘆いた。「昔の自民党なら、こんな時には官邸に乗り込んで、緊急対策予算を強引に組ませる政治家が多かった。しかし今では〔官高党低〕 で、首相の顔色を伺う政治家ばかりです」
 自民党内の“戦犯 達に加えて、官邸でも、安倍首相の側近等が給付金の支給に、二の足を踏んだと云う。 「元々4月1日に、給付金を含む緊急経済対策を打ち出す筈だったが、1週ズレ込んだ。安倍総理の 懐ろ刀 を自任する今井尚哉首相補佐官兼秘書官が、内閣支持率低下や株価の下落を気にする安倍総理の為にタイミングを見計らった様だが、余りに遅い」(自民党関係者)

 条件付き〔30万円給付金〕の財源には、赤字国債の発行も含まれて居る。これに対して〔財政健全化〕を最重要課題とする財務省も、給付金の支給には反対し続けて来た。「安倍首相を支える経産官僚は、アベノミクスを失敗させられ無いから、大規模財政出動に抵抗が無い。今回は、今井氏らから『消費税減税が嫌ならバラマキを』と圧力を掛けられた財務省は、給付世帯に付いて条件を細かく着けるのがヤッとだった」(同前)
 実は「布マスクを2枚ずつ全世帯に配布する」と云う方針の発案者も、今井氏等経産省出身の官僚達だった。

 「2月以降に政府内に設けられた〔マスク増産のタスクチーム〕の働きが思わしく無く総理が随分怒った。それを今井さんと同じく経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が執り成し、菅義偉・官房長官さんと麻生さんも知らぬ間に〔布マスク配布〕が決まった」(自民党中堅議員)

 〔アベノマスク〕と海外からも笑われたが、日本国民は笑え無い。政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、こう語る。 「貯蓄に廻るだけ・・・等と反対するのも、政府が景気の事しか考えて居ないからです。困窮する人の事をイメージ出来ないんです」

 布マスク2枚より、本当に必要なものを!


         週刊FLASH 2020年4月21日号  以上











 政府の〔緊急経済対策案〕は

 何故 感染拡大の収束後の話ばかりが充実して居るのか


           〜神戸国際大学経済学部教授 中村智彦 4/7(火) 9:28〜


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             神戸国際大学経済学部教授 中村智彦氏

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策に付いて、政府は、4月6日に開かれた自民・公明両党の会議で、所得が減少した世帯への現金30万円の給付や、児童手当の上乗せ等を行う案を示しました。しかし、この緊急経済対策案は、幾分理解し難い部分があります。

 ・具体的な記述が無い

 4月6日に開かれた自民党と公明党との会議で、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策の案を提示しました。治療薬として効果が期待される〔アビガン〕を年度内に200万人分の備蓄を目指すこと等を盛り込んだ〔感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発〕や〔1世帯当たり30万円の現金給付〕等の〔雇用の維持と事業の継続〕に付いての対策が明らかにされました。
 しかし、この案には明確な金額等規模が示されて居らず、中小及び小規模事業者等を対象にした給付金に付いても明示されて居ませんでした。〔緊急〕対策と言う割に、具体的な記述が少ないのです。

 ・力点は「収束後」の謎

 この緊急経済対策案を通して読んでみると、曖昧な部分と明示されて居る部分の差が大きく、バランスの悪いものに為って居る様に感じられました。
 これを読んだ或る地方自治体の経済担当職員は「非常に細かく書き込まれて居る部分と、粗々で内容が殆ど無い部分の差が激しい。この案の一つ前のバージョンは、モッと酷く項目にも一貫性が無かった」と指摘します。経済対策である為、経済産業省が中心に為ってまとめたので有ろうと思われますが、それにしても〔緊急〕の対策が、これなのかと云う疑問が出て来ます。

 別の地方自治体の幹部職員は「具体的な数字が殆ど示されて居ないだけでは無く、後半部分の自画自賛調の書き込み方に閉口する」と厳しい意見です。こうした意見は、他にも聞かれましたが、その理由は簡単で、実はこの〔緊急経済対策案〕のホボ半分は〔収束後〕の事が書かれて居るのです。

 〔観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント 事業を対象に、Go Toキャンペーン(仮称)〕〔国立公園等の 自然の魅力を活かした誘客・ワーケーションの推進〕の推進等、現段階で取り組む優先順位としては違うのではないかと云う事が詳細に書き込まれて居ます。
 更に〔今回の事態の中で進んだ、或るいはニーズが顕在化した、テレワークや遠隔教育・遠隔診療・服薬指導等 リモート化の取組を加速し、我が国のデジタル・トランスフォーメー ションを一気に進めると共に、脱炭素社会への移行も推進する〕と云った将来の希望の様なものが長々と書かれて居たりと、何故か、緊急事態である〔今〕の対策では無く〔収束後〕の対策ばかりが具体的なのです。

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       政府が自民党と公明党に示した緊急経済対策案(画像・筆者撮影)

 この期に及んで、収束後の利権争い?

 後半部分は、従来行われて来た支援メニューや補助金制度の拡充がズラリと並んで居ます。政治家の利権の確保が優先されて居る様で、今、現場で求められて居る支援策から大きく掛け離れて居ます。
 この様な事態に為っても、収束後の利権の確保に躍起為り、それを官僚達が支援して居る構図が透けて見えて居ると言えます。結果的に、何処が〔緊急〕なのかハッキリしない従来からの延長上の施策が羅列され、最後には唐突に〔生産性向上や復旧・復興、防災・減災、インフラ老朽化対策等の 国土強靱化等に資する公共投資を機動的に推進する〕と書かれて居ます。

 「現場が緊急に求めて居る事の記述が薄い」と商工団体の職員は批判します。「中小企業や個人事業主の相談窓口には、不安を隠せ無い経営者達が詰め掛けて居る。旅行のキャンペーンの名称を考えて居る暇が有るのなら、本当に緊急に必要とされて居る事は何なのかを考えて欲しい」とも言います。

 資金力が弱く、被害を大きく受ける中小・自営業者への支援を優先すべき

 関東地方の飲食店経営者は「従業員の休業補償をする雇用調整助成金も対象は飽く迄も雇用保険事業者のみ。元々家族経営の青色申告では、専従者として働いて居ても経営者の家族には雇用保険に入る資格すら有りません。その他の救済策も適用されるものは実は少なく、個人事業主や家族で営業を続ける業種や専従者は不要だと言われて居る様です」と言います。
 政府は、こうしたフリーランス、個人事業主には最大100万円の現金給付・中小企業には最大200万円の現金給付を行う〔持続化給付金〕制度を発足させると明らかにして居ますが、具体的な中身は4月7日以降とされ、支給も早くて5月半ばと為って居ます。

 「2月以降、売上げは急減して居る。周りでも、諦めて廃業を考える経営者も増えて来て居る。収束後の観光キャンペーンも必要でしょうけれど、それで得するのはどうせ大手の広告代理店だけでしょ。ソモソモ、収束する頃には個人商店等事業者が激減して居るじゃないですかね」と東京都内の若手飲食店経営者は言います。
 「官僚の人達が、色々言い訳を言いますけれど、政府や官僚に対する信頼が揺らいで居ます。どうも若い世代は政治にも無関心だし、どうせ判ら無いだろうと馬鹿にされて居るんじゃないかと思ってます」とも指摘します。

 「他にも、チャンと対策を遣って居る」と云う反論も有るでしょうけれど、この政府の作成した〔緊急経済対策案〕を見る限り、経営者や自営業者達の不安が高まるのも理解出来ます。

 製造業に関しても、生産拠点の国内回帰に関して等、全般的に甘い見通しです。生産コスト競争と現地市場への期待で海外に流失した民間企業の生産拠点が〔国家〕の為に戻って来ると云う事は望み薄でしょう。仮にそうした事を望むのであれば、IoT・省人化やロボット化を盛り込んだ付加価値を高めたり、労働力不足に対応する投資に対して大きなインセンティブを与える事が必要でしょう。
 中小企業に対しても、困窮した資金繰りで貸し付けた資金を只単に返済を求めたり・給付金にするのでは無く、先々に〔IoT・省人化やロボット化等競争力増強〕に振り向けた場合に返済を控除若しくは免除される制度を取る等、一歩踏み込んだ工夫が必要でしょう。

 対策案のトリアージを

 この〔緊急経済対策案〕を読んでみると、言葉だけは勢いが良い事に気付きます。「一刻も早い再起動」「一気に進める」「守り抜き、危機をしのぎ切る」「経済の力強い回復への基盤を築く思い切った支援策」「経済のV字回復のための反転攻勢」「一気呵成に安定的な成長軌道に」・・・
 こうした勢いだけの空疎な言葉遊びの連続に加えて「生産性革命」「Go Toキャンペーン」「新型コロナリバイバル成長基盤強 化ファンド」等奇妙なネーミング。

 要するに、冒頭でワザワザ書かれて居る様に「財政健全化への道筋を確かなものとし無ければ為ら無い」と云うのが大前提で〔歳出抑制〕から未だ脱却出来無い。一方で、新型コロナウイルス問題は、或る意味、一種の戦争状態に有る訳で、国会財政からの思い切った支出は避けられ無い。このドッチ着かずの状態で腰が据わら無い為に、一見前向きな威勢の良い言葉を並べて誤魔化して居るのではないでしょうか。
 今後、中国が急激に経済も産業も復興して来る可能性が高い。被害が少ない東南アジア諸国も、復興のスピードが速いでしょう。新型コロナウイルスの収束後に、元の世界経済の形に戻ると考えて居る人は少ないでしょう。大きく変化し、競争が激化する事が予想される中で、今や国家の危機に瀕して居ると言えます。

 緊急時に、何を優先して行うのか。対策案のトリアージが必要なのです。そうした視点から見れば、この〔緊急経済対策案〕は非常に不安な内容です。収束後の事等・キャンペーンのネーミング等、もう少し先でも良い〔不要不急〕の事よりも、今、目の前の問題に対してどう対処するのか、具体策を示すこと・・・それが求められて居るのです。
 「頑張って居るんだから、そんなに叩くな」と云う声が聞こえて来そうですが〔緊急〕事態なのですから、それに合わせた対応をお願いしたいのです。今回のものは、飽く迄〔緊急経済対策案〕ですから、案では無く為る迄には、相当改善されるものと期待して置きます。


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 神戸国際大学経済学部教授 中村智彦 1964年生まれ 上智大学を卒業後 タイ国際航空株式会社・PHP総合研究所を経て大阪府立産業開発研究所国際調査室研究員として勤務 2000年に名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程を修了(学術博士号取得) その後、日本福祉大学経済学部助教授を経て神戸国際大学経済学部教授 総務省地域力創造アドバイザー・愛知県愛知ブランド審査委員・山形県川西町総合計画アドバイザー・山形県地域コミュニティ支援アドバイザー・向日市ふるさと創生計画委員会委員長等の役職を務める 営業・総務・経理・海外駐在を経験 公務員時代に経済調査を担当 企業経営者や自治体へのアドバイス・プロジェクトの運営を担っている ブティックofficetn  official site中村智彦研究室 All Copyrights reserved Tomohiko Nakamura2020 ※NewsPicks等の他サイトへの無断転載・引用禁止

                    以上



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中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第四回




 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第四回


 日本の経済成長率が「世界最低」である、バカバカしい程シンプルな理由

             〜中野剛志 評論家 2020.4.3 3:25〜


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                評論家 中野剛志氏

 〜世界最低の経済成長率・・・・これが、日本が置かれて居る厳しい現実だ。中野剛志氏は、1990年代後半に、第二次世界大戦後、世界で初めて日本はデフレに陥り、20年もの長きに渡って克服する事が出来無かった事が原因だと指摘する。
 そして、デフレ下にある日本に於いて「財政赤字は多過ぎるのでは無く、少な過ぎるのだ」と言う。驚くべき主張だが、何故、そう断言出来るのか? 中野氏に聞いた〜
 構成 ダイヤモンド社 田中泰


 日本の財政赤字は少な過ぎる!?

 ・・・前回迄(第1回・第2回・第3回)「自国通貨を発行出来る政府の国債はデフォルトしないので、原理的には、幾らでも好きなだけ財政支出をする事が出来る」と云うMMT理論に付いて教えて頂きました。
 それは「理論」と云うよりも「事実」と云うべきでしょうね。
 ・・・そうかも知れません。だけど、だったら税金等要らないでは無いですか? 無税国家で好いじゃないですか?
 そんな事は出来ません。前にも説明した様に、人々がお札と云う単なる「紙切れ」に通貨としての価値を見出すのは、その「紙切れ」で税金が払えるからです。だとすれば、国家が徴税権力を放棄したら、貨幣の価値も無く為ります。無税国家にしたらお札は文字通りに「紙切れ」に為るでしょう。
 ・・・ア、そうでしたね・・・

 そこ迄極端で無くとも、政府が財政赤字を拡大し捲くったら大きな問題が生じます。例えば、政府が盛んに国債を発行して公共投資を遣り、投資減税や消費減税を遣ったら、需要が拡大して供給力を超えるので、インフレに為ります。それにも関わらず、公共事業を遣りまくり、序に無税にしたら、恐らくインフレが止まら無く為り、遂にはハイパーインフレに為るでしょう。 
 インフレとは物価が上がる事ですが、裏返せば貨幣の価値が下がる事です。詰り、ハイパーインフレに為れば、お札は只の「紙切れ」に為ってしまいます。幾ら政府に通貨発行権が有っても、その通貨が無価値に為ってしまうのですから、ハイパーインフレは流石に困ります。
 だから、私は、このインタビューの冒頭(第1回)でこう言ったんです。「自国通貨発行権を持つ政府は、レストランに入って幾らでもランチを注文する事が出来る。カネの心配は無用。但し、レストランの供給能力を超えて注文する事は出来ませんけどね」と。

 ・・・と云う事は、矢張り、幾らでも好きなだけ国債を発行して、財政赤字を拡大して好い訳では無いのですね?
 ええ。自国通貨発行権を持つ政府は、原理的には幾らでも国債を発行する事は出来ますが、財政赤字を拡大し過ぎるとハイパーインフレに為ってしまいます。だから、財政赤字は何処迄拡大して好いかと言えば「インフレが行き過ぎない迄」と云う事に為ります。従って、財政赤字の制約を決めるのはインフレ率(物価上昇率)だと云う事に為ります。
 ・・・矢張り財政規律は必要だと聞いて、一寸ホッとしました。
 そうですでよね(笑)処で、此処で不思議な事に気付きませんか?
 ・・・ナンでしょうか?

 財務省も〔主流派経済学者もマスコミ〕も「日本の財政赤字が大き過ぎる」と騒いで居ますよね?しかし、財政赤字が大き過ぎる為らば、インフレが行き過ぎて居る筈です。処が、日本はインフレ処か、20年以上もデフレから抜け出せずに困って居るんです。可笑しいと思いませんか?
 ・・・たしかに・・・
 詰り、日本がデフレだと云う事は、財政赤字は多過ぎるのではありません少な過ぎるんです。
 ・・・財政赤字が少な過ぎる・・・驚くべきお話ですが、理屈としてはそう為りますよね。
 もっと言えば、インフレ率が財政赤字の制約だと云う事は、デフレで有る限りは、財政赤字は幾らでも拡大しても好いと云う事です。デフレの時には、財政赤字に制約は無いのです。
 ・・・理屈では判るのですが「今の日本では財政規律は不要である」と聞くと、飛んでも無い非常識”話に聞こえてしまいます。

 戦後、世界で唯一デフレに陥った国「日本」

 それは、デフレが異常な現象だからです。第二次世界大戦後、世界中の経済政策担当者が最も恐れたのがデフレであり、戦後、何とかしてそれを回避し続けて来ました。処が日本は1991年頃にバブルが崩壊し、1997年の消費増税と緊縮財政を主因に、1998年に、遂に第二次大戦後、世界で初めてデフレに突入しました。しかも、このデフレは図1が示す様に、20年を超える異例の長期に渉って続いて居ます。

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 ちなみに、1997年と2014年に一時的に物価が上がって居ますが、これは主に消費増税の一時的な影響によるもので、日本経済は、1998年以降、基本的にズッとデフレだったと言って好いでしょう。こんな長期のデフレは、この世界のなかで日本だけです。実に不名誉な実績と云う他有りません。
 ・・・戦後、長期のデフレに陥ったのは日本だけなんですね・・・

 そうですよ。そして、その間の経済成長率・名目GDPの成長率を示したのが図2です。

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 ご覧の通り、日本は最下位。しかも、日本だけがマイナス成長率を記録して居るんです。可笑しいと思いませんか?
 ・・・酷い有様ですね・・・この様な状況下で、コロナショックに見舞われると思うと暗澹たる思いがします。
 全くです。知識人の中には「日本は成熟社会だから、もう経済成長は望め無い」と言う人も居ますが、それも可笑しい。確かに、成熟した先進国には高度成長は望め無いでしょうが、日本以上に成熟して居る欧米先進国はチャンと経済成長して居ますからね。
 更に、図3を見てください。1990年代半ば迄は、或程度成長して居たのに、1990年代半ば辺りを境に、日本だけが、突然、ポキッと折れたかの様に、成長が止まって居ます。しかも、日本だけが長期のデフレに陥っている。

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 詰り、平成の日本経済は、世界的に見ても明らかに異常だったんです。これ程極端な現象が日本だけで起きて居ると云う事は、社会の成熟、産業構造の変化、少子高齢化と云った要因では到底説明出来ません。ヨッポド間違った経済政策を長期に渉って続け無い限り、コンな愚かな状況は起こり得ないんです。世界中を探し回っても、こんな状況に陥って居る先進国は無いんですからね。日本政府の「政策知性」とでも云うべきものが、世界最低レベルであると云う事なんですよ。
 ・・・随分厳しい言い方ですね・・・

 「デフレ=資本主義の死」を放置する日本

 そりゃそうですよ。デフレが如何に恐ろしいものかを知れば、ソレを放置し続けるのが如何に罪深い事かが判る筈です。
 ・・・デフレってそんなに恐ろしいんですか?

 ちゃんと説明した方が好さそうですね・・・デフレとは、一般的には、一定期間に渉って、物価が持続的に下落する現象の事を言います。その反対に、物価が持続的に上昇する現象はインフレと呼ばれます。
 では、デフレは、どうして起きるのか? それは、経済全体の需要(消費と投資)が、供給に比べて少ない状態が続くからです。需要が無いのだからモノが売れ無い状態ですね。この様に「需要不足/供給過剰」がデフレ(物価の下落)を引き起こす訳です。
 そして、デフレとは物価が下落して行く事ですから、裏返して言えば、おカネの価値が上がって行くと云う事です。デフレとは、持って居るおカネの価値が上がって行く現象なんです。詰り、デフレに為ると、人々がモノよりもおカネを欲しがる様に為る訳です。消費者であれば、モノを買うのを我慢して貯金するでしょうし、企業であれば、投資をして事業を拡大するよりも、内部留保として現預金を溜め込もうとするでしょう。
 その結果、需要(消費と投資)は更に縮小して、デフレが更に悪化して行く事に為ります。しかも、そんな状況を放置すれば、企業も労働者も将来への不安を更に強めますから、余計におカネを使わずに貯め込む様に為る。こうして、悪循環が無限に続くんです。

 ・・・デフレ・スパイラルですね?
 そうですね。それで、デフレの何が悪いのかと云うと、第一に、人々は消費をし無く為るのでマーケットが小さく為る事です。マーケットが小さく為るのですから、企業の売上は下がり赤字に陥り、最悪の場合には倒産します。労働者は、給料が下がったり、仕事そのものが無く為って行きます。その結果、現在の世代がドンドン貧困化して行く訳です。
 ・・・実際に、日本では相対的貧困率が上がって居ますね。

 ええ。第二に、企業が投資をし無く為る事です。マーケットがズッと縮小して行く訳ですから、事業を拡大する為に投資をする筈がありません。それに、デフレで将来も貨幣価値が上がって行くので、後で借金を返済する時に実質的な返済額が膨らんで大変な事に為りますから、銀行から融資を受ける様な大型投資には極めて慎重に為ります。
 これが深刻で、何故なら、投資とは将来に利益を得る為に行うものだからです。投資をするから将来世代が豊かに為る訳です。処が、デフレ下では投資が減りますから、それだけ将来世代が貧困化する事に為ります。詰り、デフレは、現役世代も将来世代も貧困化する恐ろしい現象なんです。
 ・・・怖いですね・・・処で、銀行融資を受ける様な大型投資が減ると云う事は、信用創造が減少すると云う事ですね?

 そうです。先程も言った様に「信用創造」と云う銀行制度が生まれたからコソ、資本主義経済は発展して来たのです。信用創造は資本主義経済の根幹であり、経済成長の最大のエンジンなんです。処が、デフレ下に於いては、その信用創造が無く為って行きます。それは言わば「資本主義の死」です。
 だから、私はデフレは異常事態だと言ったんです。世界中の経済政策担当者が「デフレだけはお起しては為ら無い」と考えて、最大限の警戒をして居るのも当然の事です。

 ・・・にも関わらず、日本はデフレを起こしてしまい、もう20年も脱却出来ずに居る・・・そして、デフレと云う異常な状態に有る為に「今の日本では財政規律は不要である」と云う非常識な結論に為ると云う訳ですね?
 そう云う事です。
 ・・・では、どうすればデフレから脱却出来るんですか?

 「民間主導」でデフレ脱却が出来無いのは当たり前

 答え自体は簡単です。経済全体の需要を増やせば好いんです。デフレとは「需要不足/供給過剰」の状態ですから、人々が消費や投資を増やして需要を増やせば好い。そうすれば、デフレから脱却して景気は好く為って、経済成長が始まります。
 しかし、それが口で言うほど簡単ではありません。何故なら、デフレ下では人々が消費や投資を控えて、貯蓄に励むのが「経済合理的」だからです。当たり前ですよね? 給料が下がって居るのに、じゃんじゃんモノを買って居たら、その人は、明らかに可笑しいでしょう。モノが売れ無いのに、設備投資を拡大する企業があればその企業も可笑しい。

 景気が悪いときには、支出を切り詰め無ければ、個人や企業は生き残る事が出来ません。不景気で苦しい時に、節約して貯蓄に励むのは美徳ですらあるのです。しかし、その結果、益々需要が縮小して、デフレは悪化する。節約と云う、人々が苦しさを乗り切ろうとして取った合理的な行動が、経済全体で見ると需要の縮小を招き、人々を更に苦しめると云う不条理な結果を招いて居るのです。
 この様に、一人ひとりに取っては「経済合理的」な行動でも、それが積み重為った結果、全体として好ましく無い事態がもたされてしまう事を「合成の誤謬」と言います。そして、デフレは「合成の誤謬」の典型です。だから、民間の力だけでは、デフレから脱却する事は絶対に出来ません。

 ・・・では、どうすれば好いんですか?
 「大バカ者」が居れば好いんですよ(笑)
 ・・・は?「大バカ者」・・・ですか?

 ええ。デフレ下では、節約するのが経済合理的ですから誰も消費・投資をしないので、需要と供給の差(デフレ・ギャップ)は絶対に埋まりません。だから、デフレなのに、飛んでもない金額のおカネを使う「大バカ者」が登場して、デフレ・ギャップを埋めて挙げなければいけ無い。その「大バカ者」を「政府」と云うんです。
 ・・・為る程。民間主導ではデフレから脱却出来ないのだから、政府主導で遣るしか無いと?
 そうです。要するに、政府が財政出動で需要を生み出して、デフレ・ギャップを埋める以外に、デフレから脱却する方法は無いのです。先程私は「デフレの時には、財政赤字に制約は無い」と言いましたが、デフレの時に財政赤字に制約を設けると、デフレから脱却する事が出来無いと言うべきなんです。
 此処にも、ビジネス・センスでマクロ経済を論じる危険性があります。デフレ下に於いては、民間のビジネスでは節約が美徳で有っても、その美徳を政府に求めたらデフレから脱却出来無く為るからです。寧ろ、政府は民間とは逆の行動を執ら無ければ為ら無い。デフレの時には支出を増やし、インフレの時には支出を減らす事で、経済を調整するのが政府の役割なんです。
 ・・・しかし、これ迄も日本政府は財政出動を増やした事が有ったけれども、景気対策としての効果は無かったと聞いた事があります。

 「財政政策は景気対策として有効では無い」は本当か?

 アア、その様な認識が日本には根強く有りますね。バブル崩壊後の1990年代に巨額の公共事業が景気対策として行われたけれど、不況から脱する事が出来無かったので、財政政策は有効では無いと云う訳です。だけど、それも事実誤認です。先ず、日本の公共投資が増加したのは、1990年代前半だけで、1990年代後半以降は減少に転じ、2000年代に入ると公共投資は更に減らされました。
 そして、日本経済がデフレに突入したのは、マサに公共投資が減少し消費税が5%へと増税された直後の1998年からです。公共投資が減らされる前の1990年代前半は、少なくともデフレは回避出来て居たのです。しかも、公共投資が増加したとされる1990年代前半ですら、1990年度から1996年度に掛けて、一般政府(中央政府と地方政府)による投資額は、約13兆円増加しただけでした。中央政府による投資額に限れば、1兆5000億円程度しか増えて居ないんです。だから、1990年代の日本の経験は、公共投資が多過ぎたとか、意味が無かったと云う事を示すものではありません。寧ろ、その逆で、1990年代の公共投資は多過ぎたのでは無く少な過ぎたのです。
 実際、国際通貨基金・IMFも、2014年10月の「世界経済見通し」に於いて、日本の1990年代前半の財政政策を検証して、当時の公共投資の規模は不十分で有ったものの、効果が無かったと云うのは間違いであると結論しています。

 ・・・緊縮財政を各国で実施して来た、あのIMFがですか?
 そうです。アノIMFですら、日本の1990年代の財政出動は無駄では無く、寧ろもっと積極的に遣るべきだったと言って居るんです。そもそもバブルの崩壊とは、資産価値が行き成り半減した程の大きなショックだった訳です。その大ショックに対応して、デフレへの転落を防ぐ為には、中途半端な景気対策ではダメだったんです。モッと巨額の公共投資をモッと長く続けるべきでした。そうして居れば、デフレには為らず、日本経済はモッと成長して居たに違いありません。

 ・・・そうなんですね・・・でも、日本はグローバル化が進んだ為に、公共投資による景気効果は弱く為って居ると聞いた事があります。
 アア、それは〔主流派経済学〕の大物であるローレンス・サマーズが「MMTは閉鎖経済を前提として居て、開放経済では通用しない」とMMT批判をする時のロジックと同じですね。〔主流派経済学〕は財政政策には意味が無いと教えて居ますが、それはこう云うロジックなんです。

 ・・・開放経済下では、財政赤字を拡大する事に依って確かに内需が増えるが、そうすると民間資金が枯渇して金利が上昇するから通貨高に為る。通貨が高く為ると外需が減るから、折角増やした内需を相殺する。だから、開放経済下では財政政策は無意味だ・・・と云う訳です。「通貨高」と云うものを計算に入れて居るんですね。これが〔主流派経済学の標準的な考え方〕だから、サマーズは「MMTは、キッと閉鎖経済を前提にして居るに違い無い」と思い込んで、的外れな批判をして居るんです。

 ・・・的外れ?
 全くの的外れ論外ですよ。前に説明した国債発行のオペレーションを思い出してください。国債を発行して民間資金を吸い上げて居るのでは無く、逆に、国債を発行して財政出動を行う事で、民間資金は増えるんです。そして、金利には全く影響が無い・・・これが事実でしたよね?
 だから、主流派の経済学者が主張する様に「民間資金が枯渇して金利が上昇するから通貨高に為る」等と云う現象が起きる筈が無いんです。依って、この議論は「以上、終わり」と云う事です。念の為に付け加えて置くと、MMTは開放経済を前提にして居り、変動相場制の方が望ましいと論じて居ます。

・・・為る程・・・

 主流派経済学の何が痛いかと云うと「貸出が預金を生む」と云う事実を知ら無い事なんです。集めた預金を貸し出して居ると思い込んで居るから、資金が逼迫すると勘違いして居る。信用創造と云う資本主義の基本中の基本を理解して居れば、こんな理解には為ら無いんです。
 序に言って置くと「デフレ脱却の為」と云う触れ込みで〔主流派経済学者〕が主張して実行された、所謂「リフレ政策」(インフレ目標と量的緩和)が殆ど効果が無いのも当たり前の事なんです。


 ・・・そうなんですか?

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                   中野剛志氏

 次回に続く・・・何れつぎにつづく

















中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第三回



 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第三回


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                  中野剛志氏

 歴史が証明する「貨幣の真実」 

 ・・・・そうなんですか?

 エエ。過つてヨーロッパでは、民間銀行が独自の銀行券を発行して流通させて居ました。例えば、17世紀のイギリスに於ける金匠銀行がそうです。金匠銀行は顧客から預かった貴金属等に対して金匠ノート(受領証)を発行し、それが〔貨幣〕として流通して居ました。
 処が、金匠銀行が金庫に保管して居る貴金属を顧客が一斉に引き出しに来る事は無い事に気付いて、預かった貴金属に基づか無い金匠ノート(受領証)を発行して融資する様に為りました。こうする事で貨幣流通量が増えて、イギリスの経済活動が活発に為る一方で、金匠銀行の経営基盤が脆弱な為に貨幣価値はナカナカ安定し無いと云う問題がありました。
 処が、政府は、1694年に設立されたイングランド銀行に銀行券の発行業務の独占を認めると共に・・・金匠銀行は発券業務を放棄・・・イングランド銀行の銀行券を国家への納税等の支払い手段として認める様に為ってから、貨幣価値が安定し始めたのです。

 ・・・へぇ、そうなんですね。

 これと同じ様な現象は、イギリスのみ為らず近代ヨーロッパで数多く観察される事です。民間銀行が発行する銀行券にはデフォルトの可能性と云う不確実性が伴う為に貨幣価値が安定し無かった。その不確実性を最大限に迄低減し貨幣に価値を与えたのが国家の関与であり、究極的には〔徴税権力〕だったと云うのがMMTの洞察であり理解なんです。
 別の言い方をすれば、貨幣経済を扱うのは経済学の領域だと思われて居ますが、その貨幣の価値は〔権力〕と云う政治学の領域で基礎付けられて居ると云う事に為ります。

 ・・・確かに、そう為りますね。

 只、MMTは、貨幣が納税とは無関係に、社会慣習に依って交換手段として受け入れられる場合も確かに有ると認めて居ます。だから、MMTは、租税の支払い手段と為る事は、貨幣が人々に受け入れられる〔必要条件〕では無く〔十分条件〕だと見做して居ます。詰り〔租税の支払い手段として法定通貨を定めれば、それを担保し得る徴税権力が確立した国家に於いては必ず貨幣として流通〕するのだ、と。
 ・・・為る程。
 サテ、ここ迄、随分遠回りをした様ですが、MMTの〔貨幣論〕の骨子をご理解いただけましたか?
 ・・・はい、一応・・・
 では、話を先に進めましょう。

 「コロナ恐慌」で国民がどん底に突き落とされ無い為に、絶対に知って置くべき事

 〜「国債を発行して財政支出を拡大する事で、財政支出額と同額だけ民間の預金通貨は増える」・・・MMTはこう主張して居るが、これは〔オピニオン〕では無く〔事実」であると中野剛志氏は言う。そして、この〔事実〕を知らずに、消費税増税にコロナウイルスが重為って〔恐慌〕すらも起こり得る状況下で、国債発行による財政出動を躊躇する様な事が有れば、国民はどん底に叩き落とされるかも知れないと警鐘を鳴らす。どういうことか?
 銀行の〔信用創造〕の実務・国債発行による財政支出の実務を基に、中野氏に国家財政の〔事実〕に付いて説明して貰った。〜


 「銀行預金」は誰が創造して居るのか?

 ・・・前回、負債を負った時に〔貨幣〕が生まれるとする〔信用貨幣論〕に付いて教えて頂きました。その事と〔日本に財政破綻が有り得無い〕事にどう云う関係があるのでしょうか?

 先ず、基本的な事から始めましょう。現代経済に於いて貨幣として流通して居るのは〔現金通貨・紙幣と鋳貨」と〔銀行預金〕とされて居ます。此処で重要なのは〔銀行預金〕も〔貨幣〕に含まれて居る事です。銀行預金と云うものが、給料の受け取りや貯蓄・公共料金の支払い等に使われて居り、事実上、貨幣として機能して居るからです。しかも、貨幣の大半を占めるのは、現金よりも寧ろ銀行預金の方です。日本では、貨幣の内現金が占める割合は2割未満なんです。

 ・・・そんなに少ないんですね・・・意外です。
 そうなんです。貨幣の大半は銀行預金として存在して居るんです。此処で質問です。どのお札にも〔日本銀行券〕と印刷されて居る様に、紙幣は中央銀行(日本銀行)が作って居ますが、では、銀行預金(預金通貨)を創造して居るのは誰だと思いますか?
 ・・・私達が稼いだ現金を銀行に預けて居るのが〔銀行預金〕ですから、私達が創造して居るのでは?
 多くの人が直感的にそう思いますが、好く考えると可笑しいんです。例えば、貴方が手元に有る現金1万円を銀行に預けたら、預金は1万円増えるけれど手元の現金は1万円減りますよね? 詰り、貴方の総資金に増減は無い訳ですから、それを〔創造〕と言う事は出来ません。

 ・・・そう言われればそうですね・・・では、誰が銀行預金を創造して居るんですか?
 銀行です。実は〔預金通貨〕は、銀行が〔無〕から創造して居るんです。
 ・・・そんなバカな・・・
 いえ、それが〔事実〕です。銀行が個人や企業に融資をした時に、新たな銀行預金が生み出されるのです。
 ・・・嫌々、銀行は私達が預けた銀行預金を元手に融資して居るんですよね? だから、銀行が創造して居る訳では無いでしょう。

 そう思って居る人が多いですが、それも間違いです。実際には、銀行は預金を元手に貸出しを行うのでは無く、貸出しに依って預金と云う貨幣を創造して居るのです。そして、借り手が債務を銀行に返済すると、預金通貨は消滅します。
 例えば或る銀行が、借り手のA社の預金口座に1000万円を振り込む場合、それは銀行が保有する1000万円の現金をA社に渡すのではありません。単に、A社の預金口座に1000万円と記帳するだけなのです。そして、この融資されて通帳に記入された1000万円と云う預金通貨は、A社が返済すると消滅する訳です。
 この様にして、銀行は、何も無い処から新たに1000万円の預金通貨を生み出す事が出来てしまうのです。これを〔万年筆マネー〕と言います。銀行員は融資をする時に、借り手の通帳に〔1000万円〕と万年筆で記入するだけだからです。今であれば、キーボードで入力するので〔キーボード・マネー〕とでも言うべきかも知れませんね。ともあれ、これは銀行で普通に行われて居る実務であり、これを〔信用創造〕と言うんです。
 ・・・そうなんですか・・・銀行は、私達が預けた預金を元手に融資して居ると思って居たので、とても驚きました。

 借り手が居なければ〔信用創造〕は出来無い

 私も、これを初めて知った時には驚きましたが、これコソが銀行の融資業務の偽らざる実態です。イングランド銀行の季刊誌も
 「商業銀行は、新規の融資を行う事で、銀行預金の形式の貨幣を創造する」と書いて居ますし、我が国の全国銀行協会が編集して居る『図説 わが国の銀行』にもこう書いてあります。
 「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのでは無く、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。詰り銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである」日銀の見解も同様です。

 平成31年4月4日の参議院決算委員会において「銀行は信用創造で十億でも百億でもお金を創り出せる。借入が増えれば預金も増える。これが現実。どうですか、日銀総裁」と云う質問に対して、黒田日銀総裁は「銀行が与信行動をする事で預金が生まれる事はご指摘の通りです」と応えて居ます。
 詰り、この事は金融関係者に取っては議論の余地の無い〔当たり前の実務〕に過ぎないんです。実際、以前、日銀マンとお話した時に「中野くんさぁ、君の本には得意気に信用創造に付いて書かれて居るけど、アレは我々に取っては当たり前の事だよ」と苦笑いされたことがありますよ(笑)

 ・・・そうナンですね。前回の信用貨幣論の説明の処で、中野さんは「貨幣を創造するとは、負債を発生させる事だ」と仰いましたがマサにそれですね。フライデーがクルーソーに対して〔秋に魚を渡す〕と云う負債を負った時に〔借用証書・貨幣〕が生まれた様に、A社が銀行に〔1000万円を返す〕と云う負債を負った時に、1000万円の預金通貨が生み出される訳ですね?
 そう云う事です。それは重要なポイントで、銀行からおカネを借りたい個人や企業が居るから、信用創造は行われるのです。銀行が幾ら信用創造をしたくても、借り手が居なければ信用創造は出来無いと云う事です。
 ・・・為る程、そう云う事に為りますね。でも、一寸待ってください。信用貨幣論では、銀行が創造した1000万円と云う預金は銀行の借用証書・負債と云う事に為りますよね? でも、この場合には負債を負って居るのはA社じゃないですか? 銀行は債権を持つのであって負債を負うのでは無いですよね? 何か、頭の中がコンガラカッテ来ます・・・

 その疑問は、バランスシートを見れば解消出来ます。銀行が信用創造をした結果、銀行とA社のバランスシートは次の様に為ります。表1の通り・・・銀行が創造した1000万円の預金は〔負債の部〕に計上されるんです。

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 ・・・本当だ・・・でも、何故預金が銀行の負債に為るんですか?

 だって、A社が預金を引き出したいと銀行に言えば、銀行は現金通貨(紙幣と鋳貨)で支払う義務があるじゃないですか? 詰り、銀行はA社に対して1000万円の現金通貨を支払う〔負債〕を負って居る事に為ります。
 ・・・ア、そうか。詰り、銀行とA社はお互いに借用証書を交換して居る様なものなんですね?
 そう云う事ですね。そして、貨幣として市中で流通するのは、A社の借用証書では無く、銀行の負債(借用証書)である銀行預金だと云う事です。銀行は、預金を政府発行の現金通貨と交換する事を約束して居ますからね。ちなみに、A社が1000万円を銀行に完済した時のバランスシートはこう為ります(表2)

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 ・・・為る程。信用創造で生まれた1000万円の貨幣が消える訳ですね。
 はい。銀行の貸し出しに依って1000万円の預金が創造され、借り手が債務1000万円を銀行に返済すると預金は消滅すると云うのが、信用創造の仕組みなんです。
 ・・・それにしても、信用創造とは、マルで魔法の様ですね。

 「信用創造」が無ければ「資本主義」は生まれ無かった

 同感です。元手と為る資金の量的な制約を受ける事無く、貸出しをする事が出来る〔信用創造〕と云う銀行制度は、実に恐るべき機能だと思いますよ。だけど、この〔信用創造〕が無ければ、資本主義経済は現在のように発展することは無かった筈です。
 現代の資本主義経済は、大規模な設備投資を必要としますから、巨額の資金を調達し無ければ為りません。もし、銀行が元手と為る資金を集め無ければ貸出しが出来無いのだとしたら、巨額の設備投資を行う事は出来無かったでしょう。実際、18世紀後半から19世紀前半に掛けて、イギリスで産業革命が起きたのも、それに先行して銀行制度が出来て居たからだと言われて居るんです。

 ・・・処で、信用創造に元手と為る資金が不要なのだとしたら、銀行は幾らでも好きなだけ貸し出す事が出来る訳ですか?
 嫌々、流石にそんなドラえもんの様な話には為りません(笑)流石に借り手側に返済能力が無ければ、銀行は貸出しを行う事は出来ません。だからコソ、銀行は、融資の際に借り手を審査する訳です。詰り、銀行の貸出しの制約と為るのは貸し手(銀行)の資金保有量では無く〔借り手の返済能力〕と云う事に為ります。
 大雑把に云えば〔借り手側に返済能力がある限り、銀行は幾らでも貸出しを行う事が出来てしまう〕と云う事。もっと言えば〔借り手側に返済能力が有る限り、銀行は幾らでも預金貨幣を生み出す事が出来る〕と云うことです。念の為に付け加えて置くと、民間銀行の信用創造には法令による制約は有りますが、本質的には、信用創造の制約と為るのは借り手の返済能力だと考えて好いでしょう。

 ・・・為る程。
 サテ、これで、要約本題に戻る事が出来ます。ここ迄の説明で「貸出しが預金を生む」と云う信用創造の原理を理解して貰えたと思いますが、この原理は、銀行の政府に対する貸出しにもそのママ当て嵌ります。詰り、政府が国債を発行して銀行が引き受ける時の原資は、民間の金融資産(預金)では無いと云う事です。
 銀行が国債を引き受けると云うのは、銀行が政府に対して信用創造をすると云う事ですから、民間の金融資産(預金)の制約は一切受けません。従って、国債を幾ら発行して赤字財政支出を膨らませても、民間の金融資産が減る事等在り得ませんから、国債金利の高騰と云う現象も起こりえ無いんです。真実は逆で、国債を発行して財政支出を拡大する事で、財政支出額と同額だけ預金通貨は増えるのです。
 ・・・信じられ無い様な話ですが、理屈上は確かにそう為りますよね。

 「国債は次世代へのツケ」が嘘である理由

 これは理屈では無く、実際のオペレーションでもそう為って居ます。但し、日本政府は、日本銀行にしか口座を持って居ませんから、民間銀行から直接借り入れる事は出来ませんので、少々複雑なオペレーションに為ります。

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 此処では、政府が1億円の国債を発行して公共事業を行うとしましょう(図1)先ず、市中銀行に国債を購入して貰う必要が有りますが、その時、市中銀行が開設して居る日銀当座預金が1億円減り、政府が開設する日銀当座預金にその1億円が振り替えられます。尚、国債を購入する市中銀行の日銀当座預金は日銀から供給されたものですから、民間預金とは全く無関係のオペレーションです。
 次に、政府は公共事業の発注先企業に1億円の政府小切手を交付し、政府小切手を受け取った企業は、自分の取引銀行に政府小切手を持ち込んで、代金の取り立てを依頼します。そして、取り立てを依頼された銀行は、1億円を企業の口座に記帳すると共に、1億円を政府から取り立てる様に日銀に依頼します。重要なのは、銀行が企業の口座に記帳した瞬間に、1億円の新たな民間預金が生まれて居る事です。

 ・・・為る程、確かに財政赤字支出で新たな民間預金が生まれて居ますね。

 ええ。それで、銀行から1億円の取立てを依頼された日銀は、政府の日銀当座預金から銀行の日銀当座預金に1億円を振り換えます。この1億円は、先程銀行が国債を購入した時に振り替えられたものです。詰り、銀行の日銀当座預金から政府の日銀当座預金に振り替えられた1億円が、再び銀行の日銀当座預金に戻って来る訳です。赤字財政支出をしても日銀当座預金に変化は生じ無い訳ですから、国債金利も一切変化し無いと云う事に為ります。

 ・・・アレ? と云う事は、銀行の日銀当座預金に戻って来た1億円で、再び1億円の新規国債を購入出来ると云う事ですか?
 その通りです。このオペレーションは無限に繰り返す事が出来るのです。しかも、このオペレーションを回す度に、国債発行額と同額の民間預金が増えて行く訳です。詰り、国債の発行に依って民間の金融資産を吸い上げて居るのでは無く、財政赤字の拡大に依って、民間で流通する貨幣量を増やして居ると云う事です。
 ・・・これも又、魔法の様な話ですね・・・
 そうですね。但し、これはMMTのオピニオンでは無く、国債発行の実務を説明して居るだけの事です。単なる〔事実〕なんです。だから、財務省や〔主流派の経済学〕が主張して居る「財政赤字の増大に依って民間資金が不足し金利が上昇する」等と云う現象等起きる訳が無い。増してや「国債を消化出来無く為る」等と云う事等有り得ないんです。その様な誤った主張をするのは、単に〔事実誤認〕をして居るからと云うだけの事です。

 ・・・為る程。しかし、超エリートの方々が、この〔事実〕を知ら無い筈が無いと思うんですが・・・どうも、そこが腑に落ちません。
 確かに、不思議な事ですよね。
 ・・・処で、国債は何れ償還し無ければ為りませんよね? 詰り、将来世代にツケを回して居るのではないですか?

 好く聞く話ですが、それも誤りです。「国債の償還財源は、将来世代の税金で賄われ無ければ為ら無い」と云う間違った発想をして居るからそう云う話に為るんです。だって、自国通貨を発行出来る政府は永遠にデフォルトしないのだから、債務を完全に返済し切る必要等有りませんからね。
 詰り、国債の償還の財源は税で有る必要は無く、国債の償還期限が来たら新規に国債を発行して、それで同額の国債の償還を行う〔借り換え〕を永久に続ければ云いのです。実際、それは先進国が普通に遣って居る事です。だから、英米仏等殆どの先進国に於いて、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めて居ません。処が、何故か日本は償還費も計上して居るんですけどね・・・

 ・・・日本だけが、何故そんな殊をして居るんですか?
 サァ、好く判りません。政府債務は完済し無くても好いのだから、英米仏の遣り方が理に適って居ると思いますけどね。トモアレ、国債の償還は必ずしも税金で賄う必要は無く、新規国債で〔借り換え〕を続ければ好いのですから、国債を発行しても将来世代にツケを残す事には為りません。
 この〔事実〕を知らずに、消費税増税にコロナウイルスが重為って〔恐慌〕すらも 起こり得る状況下で、国債発行による財政出動を躊躇する様な事が有れば、国民は〔どん底〕に叩き落とされるかも知れないと心配しています。

 ・・・為る程。しかしですね、MMTが言う様に、自国通貨を発行出来る政府の国債はデフォルトしないので、幾らでも好きなだけ財政支出をする事が出来るので有れば、税金等要ら無いではないですか? 無税国家で好いじゃないですか?


 第三回 おわり 第四回へつづく


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 中野剛志(なかの・たけし)1971年神奈川県生まれ 評論家 元・京都大学大学院工学研究科准教授 専門は政治経済思想 1996年 東京大学教養学部(国際関係論)卒業後 通商産業省(現・経済産業省)に入省 2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し政治思想を専攻 2001年に同大学院より優等修士号 2005年に博士号を取得 2003年 論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞 
 主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(集英社新書)『富国と強兵』(東洋経済新報社)『国力論』(以文社)『国力とは何か』(講談社現代新書)『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)『官僚の反逆』(幻冬社新書)『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)など 『MMT 現代貨幣理論入門』(東洋経済新報社)に序文を寄せた















                   

中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第二回




 中野剛志さんに「MMTって可笑しく無いですか?」と聞いてみた 第二回


  〔貨幣・お金〕の成り立ちとは 解説

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                  中野剛志氏

 MMT・Modern Monetary Theoryは、その名にmonetaryと有る様に〔貨幣〕から出発する理論です。現代の世界では、私達は単なる紙切れに過ぎない〔お札〕を〔お金〕として使ったり、貯め込んだりしています。単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣」として使われて居るのか? 
 資本主義経済で〔貨幣〕がどの様に機能して居るのか? それを解き明かしたのがMMTです。そして〔貨幣とは何か?〕を理解すれば、国家財政に付いて正しい認識を持つ事が出来ます。先程の〔国債を発行して財政支出を拡大すると、民間金融資産(預金)が増える〕と云う事も、それが当たり前の事だと理解出来る筈です。

 ・・・では、MMTは〔貨幣〕をどう理解して居るのですか?
 可成り遠回りの説明に為りますが付き合って呉れますか?
 ・・・勿論です。

  【マネーの本質】何故、単為る〔紙切れ〕の紙幣で買い物が出来るのか?

 〜1990年代から日本は、国債を発行し捲くって政府債務残高がドンドン増えて、多くの経済学者やエコノミストが〔国債金利が高騰する、高騰する〕と言い続けて来た。しかし、長期国債金利は世界最低水準に有るのが現状だ。何故、予測は外れて来たのか? 中野剛志氏は「そもそも、貨幣を正しく理解して居ない事」に問題があると言う。では、貨幣とは何か? 何故、単なる〔紙切れ〕の紙幣で買い物が出来るのか? 説明して貰った〜

 単なる紙切れの「お札」で、何故買い物が出来るのか?

 ・・・前回、中野さんは〔主流派経済学〕が〔貨幣〕を正しく理解して居ないと仰いました。では、MMTは〔貨幣〕をどう理解して居るのですか?
 判りました。では、それをご説明する前に、私から質問しても好いですか? 貴方は、単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣〕として流通して居ると思いますか?
 ・・・そうですね・・・皆がその〔お札〕を受け取ると信じて居るからでしょうか。
 そう答える人が多いですね。では、何故、皆はその〔お札〕を受け取ると信じて居るのですか?
 ・・・うーん・・・

 答えられ無いですよね? 皆が〔お札〕を受け取るのは、皆が〔お札〕を受け取ると信じて居るから。では、何故皆が〔お札〕を受け取ると信じて居るかと云うと、皆が信じて居るから・・・これを〔無限退行〕と言いますが、説明に為って居ない訳です。しかし、実は〔主流派経済学の標準的な教科書〕とされる『マンキューマクロ経済学T 入門編』(グレゴリー・マンキュー著、東洋経済新報社、2010年)でも、同じ様な説明がされて居ます。読んでみましょう。

 「原始的な社会では、物々交換が行われて居たが、その内に、何等かの価値を持った『商品』が、便利な交換手段・・・詰り貨幣として使われる様に為った。その代表的な『商品』が貴金属、特に金である。これが、貨幣の起源である。しかし、金そのものを貨幣とすると、純度や重量等貨幣の価値の確認に手間が掛かるので、政府が一定の純度と重量を持った金貨を鋳造する様に為る。
 次の段階では、金との交換を義務付けた兌換紙幣を発行する様に為る。こうして、政府発行の紙幣が標準的な貨幣と為る。
 最終的には、金との交換に依る価値の保証も不要に為り、紙幣は不換紙幣と為る。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値が有り、貨幣としての役割を果たす」


 最後の一文をご覧ください「交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値が有り、貨幣としての役割を果たす」と云うのは、先程の貴方の意見と同じ事です。要するに、「皆がおカネがおカネだと思って居るから、皆がおカネをおカネだと思って使って居る」と云う訳です。これが〔主流派経済学の標準的な貨幣論〕なんです。
 しかし、この主流派経済学の説が正しいとすると、貨幣の価値は「皆が貨幣としての価値が有ると信じ込んで居る」と云う極めて頼り無い大衆心理に依って担保されて居ると云う事に為ります。そして、もし人々が一斉に貨幣の価値を疑い始めてしまったら、貨幣はその価値を一瞬にして失ってしまう訳です。

 ・・・そう言われると、随分頼り無い議論ですよね・・・
 ハッキリ言って苦し紛れの説明です。何故、その様な説明をせざるを得無いかと云うと〔主流派経済学〕が〔商品貨幣論〕を採って居るからです。
 ・・・〔商品貨幣論〕とは?

 「物々交換から貨幣が生まれた」と云う学説は否定されて居る

 先程のマンキューの説明が典型ですが〔貨幣の価値は、貴金属の様な有価物に裏付けられて居る〕と云う学説です。物々交換は面倒臭いので、金や銀等のそれ自体で価値の有るモノを選んで、それを〔交換の手段〕としたと云う訳です。だけど、この商品貨幣論は間違いです。
 ・・・間違いですか? 日本でも過つてはコメが貨幣として流通して居たそうですから、納得出来る様な気がするんですが・・・

 嫌、この考え方は間違いだと本当は私達は既に知って居ます。何故なら、1971年にドルと金の兌換が廃止されて以降、世界の殆どの国が貴金属による裏付けの無い〔不換貨幣〕を発行して居ます。処が、誰も貨幣の価値を疑いはしませんでした。そして、マンキューがそうで有る様に〔商品貨幣論〕では、何故不換貨幣が流通して居るのかに付いて納得出来る説明が出来無いのです。
 ソモソモ、イギリスでは17世紀後半、擦り減って重量が減った銀貨が流通して居ましたが、物価や為替相場に全く影響を与えませんでした。銀貨にはそれ自体に価値が有るから流通して居るのだとすれば、擦り減った銀貨が同じ価値で流通して居るのは可笑しな現象と云う事に為りますよね?それに、イギリスは19世紀に一時期、ポンドと金の交換を停止して居る時期がありましたが、その頃ポンドは使われ無く為ったかと云うと、逆で、ポンドが国際通貨としての地位を確立したのは、マサにその時期だったんです。

 ・・・そうなんですか?
 エエ。
 ・・・と云う事は、過つて人々は金貨・銀貨それ自体に価値が有るから貨幣として使って居る積りだったけれど、実は、別の原理に依って貨幣の価値は裏付けられて居たかも知れない・・・と云う事ですか?

 そう云う事に為りますね。それに、貨幣の起源を研究した歴史学者や人類学者・社会学者達も、今日に至る迄誰も〔物々交換から貨幣が生まれた〕と云う証拠資料を発見する事が出来ませんでした。それ処か、硬貨が発明されるより数千年も前のエジプト文明やメソポタミア文明には、或種の信用システムが既に存在して居たのです。
 例えば、紀元前3500年頃のメソポタミアに於いては、神殿や宮殿の官僚達が、臣下や従属民から必需品や労働力を徴収すると共に彼等に財を再分配して居ました。そして、神殿や宮殿の官僚達が臣下や従属民との間の債権債務を計算したり・簿記として記録する為の計算単位として貨幣と云う尺度を使って居ました。メソポタミアで出土した粘土板にその記録が遺されて居るのです。
 又、古代エジプトは私有財産や市場に於ける交換は存在し無い世界でしたが、ソコに貨幣は存在して居ました。その貨幣も又、国家が税の徴収や支払い等を計算する為の単位として使われて居たのです。

 ・・・詰り、金貨や銀貨と云った鋳貨よりも先に、帳簿で記録したり計算する為の単位として貨幣が存在して居たと云う事ですか?
 そう云う事です。実際、世界史上、金属貨幣が初めて鋳造されたのは小アジアのリディアで、メソポタミアや古代エジプトから遥か後の紀元前6世紀頃の事だとされて居ます。
 ・・・非常に興味深いですね。帳簿上の貨幣単位が先に在って、後で現物貨幣が生まれたのが歴史的事実だとしたら、貨幣が物々交換や市場に於ける取引から生まれたとする〔商品貨幣論〕は間違いと云う事に為りますね。
 エエ。歴史学・人類学・社会学に於ける貨幣研究に依って〔商品貨幣論〕は既に否定されて居ます。勿論〔貨幣とは何か?〕に付いては、現在も様々な説がありますが、少なくとも〔商品貨幣論〕の様な素朴な貨幣論を未だに信じて居る社会科学は最早〔主流派経済学〕位のものです。

 ・・・では、商品貨幣論が間違いだとしたら、貨幣とは一体何なのですか?

 〔貨幣〕とは〔借用証書〕である

 MMTが立脚して居るのは〔信用貨幣論〕と云う学説です。
 ・・・〔信用貨幣論〕とは?

 イングランド銀行の季刊誌(2014年春号)の解説が判り易いので、それに基づいてご紹介しましょう。その解説は
 「商品貨幣論が根強いけれども、それは間違ってます。信用貨幣論が正しいんですよ」と云う趣旨で書かれて居るのですが、ソコに
 「今日、貨幣とは負債の一形式であり、経済に於いて交換手段として受け入れられた特殊な負債である」と云う文章があります。要するに、貨幣は〔特殊な借用証書〕だと云うのが〔信用貨幣論〕なんです。
 ・・・一寸、何を言って居るのか判りません・・・

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 ですよね・・・その季刊誌では〔信用貨幣論〕の意味を判り易く説明する為に「ロビンソン・クルーソーとフライデーしか居ない孤島」と云う架空の事例を挙げて居ます。その孤島で「ロビンソン・クルーソーが春に野苺を収穫してフライデーに渡す。その代わりにフライデーは、秋に獲った魚をクルーソーに渡す事を約束する」とします。この場合春の時点で、クルーソーがフライデーに対して〔信用〕を与えると共に、フライデーにはクルーソーに対する〔負債〕が生じて居ます。
 そして、秋に為って、フライデーがクルーソーに魚を渡した時点でフライデーの〔負債〕は消滅する訳です。しかし、口約束では証拠が残りませんよね? そこで、約束をした時に、フライデーがクルーソーに対して〔秋に魚を渡す〕と云う〔借用証書〕を渡します。この〔借用証書〕が貨幣だと云う訳です。     

 ・・・確かに、クルーソーは、秋に為ってその〔借用証書〕をフライデーに渡せば魚と交換出来ますから〔貨幣っぽい〕様な気はしますが、飽く迄もクルーソーとフライデーの間での取り決めと云うだけでは無いですか?

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 では、話を少しアレンジしましょう。この島には、クルーソーとフライデー以外に、火打ち石を持って居るサンデーと云う第三者が居るとします。そして、サンデーが〔フライデーは約束を守るヤツだ〕と思って居ると共に〔魚が欲しい〕と思って居れば、クルーソーはフライデーから貰った〔秋に魚を渡す〕と云う〔借用証書〕をサンデーに渡して、火打ち石を手に入れる事が出来るでしょう。
 更に、この三人に加えて、干し肉を持って居るマンデーと云う人も居たとします。そして、マンデーも〔フライデーは約束を守るヤツだ〕〔魚が欲しい〕と思って居るとすれば、今度は、サンデーが例の〔借用証書〕をマンデーに渡して干し肉を手に入れる事が出来るでしょう。 
 その結果、フライデーは〔秋に魚を渡す〕と云う債務を、マンデーに対して負ったと云う事に為ります。そして、秋に為ってマンデーがフライデーから魚を手に入れれば、フライデーの〔借用証書・負債〕は破棄される訳です。     

 ・・・為る程。確かに、その様に〔借用証書〕が流通すれば貨幣と言えそうですね。イングランド銀行の季刊誌が〔貨幣とは負債の一形式である〕と書いて居る意味が少し判って来ました。

 誰かが誰かに「負債」を負った時に「貨幣」は生まれる

 此処で重要なポイントが2つあります。第一に重要なのは、クルーソーとフライデーの野苺と魚の取引が、同時に行われるのでは無く、春と秋と云う異なる時点で行われると云う事です。だからコソ、そこに〔信用〕と〔負債〕が生まれ、フライデーが負った〔負債=借用証書〕が貨幣として機能して居るのです。
 もしも、野苺と魚を同時に交換する〔物々交換〕で有った為らば、取引が一瞬で成立するので〔信用〕や〔負債〕は発生しません。そして、ソコには〔借用証書〕=〔貨幣〕も必要とされ無いと云う事に為ります。

 ・・・為る程。そう考えると、先程のメソポタミアの粘土板に刻まれた記録の意味も判る気がします。神殿や宮殿の官僚達が、臣下や従属民から必需品や労働力を徴収すると共に、彼等に財を再分配して居たとの事ですが、徴収と再配分は異なる時点で行われる筈ですから、誰からドレだけ徴収してその人にドレだけ再配分し無ければいけ無いかを記録する必要が有りますものね。そして、その〔信用〕と〔負債〕の記録が貨幣の起源と為ったと。
 そうです。だから、先程私は「エジプト文明やメソポタミア文明には、或る種の信用システムが既に存在して居た」と言ったのです。貨幣は〔物々交換〕から生まれたのでは無く〔信用システム〕から生まれたのです。
 ・・・詰り、こう考えても好い訳ですか? フライデーがクルーソーに〔秋に魚を渡す〕と云う負債を負った為に〔借用証書〕が生まれた様に、誰かが誰かに負債を負った瞬間に〔貨幣〕は生まれると。

 そう云う事ですね。〔貨幣を創造する〕とは〔負債を発生させる〕事だと云う事なんです。これは〔信用貨幣論〕の非常に重要なポイントなので好く覚えて置いてください。但し、此処で2つめの重要なポイントがあります。
 と云うのは、債務を負った人は〔借用証書〕を発行しますが、誰が発行した〔借用証書〕でも貨幣として流通する訳では無いからです。負債には常に〔デフォルト・債務不履行〕詰り借り手が貸し手に返済出来無く為ると云う可能性があります。そこには、必ず〔不確実性〕が存在して居るのです。だから、誰の負債でも、貨幣として受け取られると云う事には為りません。
 先程のクルーソー達の島でも、フライデーの事を〔アイツは約束を守るヤツだ〕と信頼して居なければ誰もフライデーの〔借用証書〕を受け取ら無いでしょうから、貨幣として流通する事は無い訳です・・・詰り、デフォルトの可能性が殆ど無いと全ての人々から信頼される〔特殊な負債〕のみが貨幣として受け入れられ、流通する様に為るのです。これを、イングランド銀行の季刊誌では、貨幣は〔信頼の欠如と云う問題を解決する社会制度である〕と表現して居ます。

・・・為る程。詰り〔信用貨幣論〕に依れば、円・ポンド・ドル等の貨幣は、デフォルトの可能性が殆ど無い政府(中央政府+中央銀行)が発行する〔借用証書〕だから貨幣として受け入れられ、流通して居ると云う事ですね?
 マァ、一応はそう言う事が出来ますね。
 ・・・だけど、凄くモヤモヤします。1万円札が政府の〔借用証書〕だとしたら、それを政府に持って行ったら何かを貰える筈ですよね? クルーソーがフライデーに〔借用証書〕を持って行ったら魚を貰える様に・・・過つての金本位制の様に〔金〕と交換して貰えるなら〔借用証書〕だと思えますが、今はそうでは無いですよね?

 それでしか税金を支払え無いから〔紙切れ〕に価値が生まれる

 そうなんですよ。実際、イギリスの5ポンド紙幣には「要求有り次第、合計5ポンドを所持人に支払う事を約束する」と述べる女王の姿が描かれて居るだけです。
 ・・・本当ですか? 幾ら女王様が保証して下さっても、5ポンド紙幣と引換えに別の5ポンドを渡されるのでは意味が無いですよ。そんな約束をして居るだけの貨幣はヤッパリ只の紙切れとしか言え無いのでは無いですか? 〔信用貨幣論〕に付いて色々お話を伺って来ましたが「単なる紙切れの〔お札〕が、どうして〔貨幣〕として流通して居るのか?」と云う最初の質問に結局の処応えられ無いじゃないですか?

 そんなに怒らないでください(笑)MMTは、その問いにこう応えます。先ず、政府は円やポンドやドルを自国通貨として法律で定めますが、次に何をするかと云うと、国民に対して税を課して法律で定めた通貨を〔納税手段〕として定める訳です。
 これで何が起こるかと云うと、国民に取って法定通貨が〔納税義務の解消手段〕としての価値を持つ事に為ります。納税義務を果たす為にはその〔法定通貨〕を手に入れ無ければ為りませんからね。此処に、その貨幣に対する需要が生まれる訳です。
 こうして人々は、通貨に額面通りの価値を認める様に為り、その通貨を民間取引の支払いや貯蓄等の手段として・・・詰り〔貨幣〕として・・・利用する様に為るのです。要するに「人々がお札と云う単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのはその紙切れで税金が払えるから」と云うのがMMTの洞察です。
 貨幣の価値を基礎付けて居るのは何かと云うのを掘って掘って掘り進むと〔国家権力〕が究極的に貨幣の価値を保証して居ると云う認識に至ったのです。

 ・・・為る程・・・詰り、フライデーが発行した〔借用証書〕をクルーソーがフライデーに持って行ったら魚が貰える様に、政府が発行した〔借用証書」を政府に持って行ったら〔租税債務〕を解消して貰えると云う事ですね?
 そう云う事です。
 ・・・確かに、その説明には説得力を感じます。納税義務に違反すれば罰則を科せられると云う〔強制力〕が貨幣の価値の根本に有ると云うのはリアリティが有りますよね。しかも、納税義務は国民に一斉に課す事が出来るものですから、一斉に貨幣需要が生まれる事にも為ります。
 ええ。国家の〔徴税権力〕と云うのは強烈な権力ですからね。それに、これは歴史的にも実証されて居る事です。



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                    中野剛志氏

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