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2020年02月27日

防衛大学校が「悪しき体育会系」の総本山に為って居るヤバい実態




 防衛大学校が「悪しき体育会系」の総本山に 為って居るヤバい実態

              〜現代ビジネス 2/27(木) 7:01配信〜


           2-27-20.jpg

 軍隊はその国を象徴する。自衛隊は軍隊では無い、と言う向きもあろうが、日本で足った一つ軍事力を有する組織である事は間違い無い。その唯一の実力組織が今、静かに迷走して居る。自衛隊が、今岐路に立って居る。組織の進むべき方向を示せ無い。年功序列と、無意味で形骸化した柵に縛られる・・・その姿は、そのママ日本社会の姿と重なる。本連載では現役の自衛隊幹部への取材を通して、彼等が直面する根深い課題を浮き彫りにする。

 自衛隊の現役幹部 衝撃告白 「災害支援隊に為って行く私達の葛藤」
 
 知られざる内外の懸念


            〜ジャーナリスト 松岡 久蔵〜

 「ドッチ着かずの状態に為って居る」

 「災害支援と云うのは、自衛隊に取って『麻薬』の様なものナンですよ」或る陸上自衛隊幹部はこう言って溜め息を着く。「麻薬」とは一体、どう云う意味なのか。

 内閣府による2017年度の世論調査では、自衛隊に対して「好印象を持って居る」と答えた人が約9割に上った。又、自衛隊に期待する役割に付いては「災害派遣」を挙げた人が約8割と「国の安全の確保」の約6割を大きく上回ってトップと為って居る。
 「戦争放棄」「平和主義」が絶対的スローガンとされた戦後日本において、自衛隊は「鬼っ子」として忌避されて来た。幾ら黙々と日々の訓練を積み有事に備えても「自衛隊等無いに越した事は無い」と云った言説を声高に唱える識者も少なく無かった。国民は何処か、一歩引いて彼らと恐々接する面があった。

 そうした空気が変わったのは、2011年の東日本大震災だ。津波で押し流された泥に塗れながら、被災地のガレキ処理、そして被災者の救助活動に取り組む姿が国民に広く好印象を与えた。以来、この国で頻発する自然災害に際して「人々を助けるヒーロー」と云うイメージが確立し、国民にも受け入れられる存在に為って来た。一見歓迎すべき事の様に思える現状の何が、先の陸自幹部は問題だと言うのか。

 「自衛隊とはソモソモ、何の為のどの様な組織なのか・・・そうした根本的な問題に、誰も向き合わ無く為った。災害支援がその為の口実に為って居ると云う事です。飽く迄軍隊として外敵に立ち向かう為の組織である、と自己定義するならその為の訓練をすべきだし、災害支援に特化する道を選ぶのであれば、その専門的な技能を養うべきでしょう。
 しかし今の自衛隊は、ドッチ着かずの曖昧な状態に置かれて居る。結果として、全体の士気も練度も落ちて行く事が問題なのです」


 近年ではメディアも、前述した様な国民感情の変化に沿って、被災地に入る自衛隊を好意的に報じる事が増えた。しかし、高まる世の中の期待とは裏腹に、自衛隊内部には葛藤があるのだと云う。

 「例えば、陸自で最精鋭の第1空挺団(千葉県船橋市)が昨年、千葉県での豪雨被害を受けて、倒木を伐採する等の支援活動をして話題に為りました。一般社会から見れば『社会貢献活動に取り組んでいて偉い』と云うだけでしょうが、その間、彼等の訓練活動は中止されます。
 幾ら精鋭とは云っても、彼等は災害支援のプロフェッショナルでは無く、その点では体力の有る素人と左程変わりません。勿論災害支援も命令ですから嫌な顔は見せ無いでしょうが『最精鋭の部隊に配属に為ったのに、木を切らされるのか』と違和感を持った隊員も少なく無いと聞きます。実は優秀な隊員程、自分の存在意義に疑問を抱き、除隊の道を選ぶ者も多いのが現状です」


 「好感度」を手放せ無く為った

 こうした問題が有る事は、筆者も別件の取材を通して知って居た。以前執筆した「自衛隊員のメンタルもやられた豚コレラ『5万頭殺処分』の壮絶現場」では、自衛隊が豚コレラに感染した家畜豚のと殺処分に動員されて居る事を報じた。
 又捕鯨問題の取材では、鯨肉の消費が落ち込む中、或る自民党議員が「クジラの肉が余ったら自衛隊に食べさせれば好い」と発言するのを聞いて、自衛隊が国から悪い意味で「便利屋」の様に扱われて居ると感じたものだ。とは言え、災害支援による国民からの「好感度上昇」を今更手放す訳にも行かない。陸自の別の中堅幹部が言う。

 「自衛隊には、演習の騒音問題等で周辺住民との軋轢が付き物でしたが、災害派遣が広報される様に為ってから、住民の対応も全く変わりました。『物騒な邪魔者』から『イザと云う時に頼りに為る存在』に為ったと云う訳です。世論を味方に着け続ける為にも、災害支援は辞められ無く為って居る。
 又、これは陸自特有の問題ですが、人口減の時代にあって、政府は陸自の隊員数を減らす方向で話を進めて居ます。その中で、予算等の利権を維持する為にもなるべく組織の規模を維持したい陸自に取っては、災害支援は言わば渡りに舟だった。警察や消防の活動範囲に食い込めるのはソコしか無かったんです。警察は県境より外にはナカナカ展開出来ない。消防は人員が限られて居る。その点、自衛隊は全国展開出来ますから、適任だと主張出来た」

 米軍にも問題視されて居る

 自衛隊に取って災害支援が大きなウェイトを占める様に為って居る現状を、重く見て居る組織がある。米軍である。
 「軍隊」でも「災害支援隊」でも無い、言わば宙ブラリンの組織と為った自衛隊に付いて、或る米軍関係者は日米共同訓練に参加した際の経験を踏まえて「自衛隊は、米軍からレベルが低過ぎて見放され掛けて居る」と重い口を開いた。

 「調整の中でミス・コミュニケーションが起きるのは日常茶飯事です。誰が窓口かも確認せずに適当に遣り取りして置きながら、こちらからメールを送っても反応しない。結果、物品が届か無かったり、必要な支援が提供出来なかったりします。又、自衛隊側が欲しいと云うから最新兵器による支援の準備をしたのに、ソモソモしう能力が無かったと後々判明したと云う事もありました。我々に本当に協力して欲しいと思って居るのか、疑問に思わざるを得ません。
 又、軍事組織で在るにも関わらず指揮系統が定まって居らず、米軍では少佐に当たる3佐に判断を仰いでも『私には権限がありません』とイチイチ持ち帰って上司に相談する為、物凄く意思決定に時間が掛かる。何の為に階級があるのか判らない。
 英語でキチンとしたコミュニュケーションも出来ませんから、現場レベルではトラブルが頻発して居るし、米軍からクレームが来ると逆ギレする。計画の調整をしようとしても『一生懸命頑張ります』としか答えられ無い。信じられ無いと思うかも知れませんが、これが米軍から見た自衛隊の実情なのです。
 米軍側も日米関係には亀裂を入れたく無いですから、現場のイザコザには『大人の対応』で上官には強く報告せず表沙汰に為って居ないだけで、相当不満が溜って居ます。米軍幹部も当然この事は承知して居て、『ハッキリ言って、面倒を観るのは懲り懲りだ』『日米共同訓練は出来れば遣りたく無い』と云うムードがある」


 或る防衛省幹部は、こうした米軍の本音を筆者が伝えると「返す言葉も無い」と恐縮した。

 「私も組織の人間ですから申し上げ難いのですが、その通りと言わざるを得ない。勘違いしないで欲しいのは、個別の部隊は優秀なんです。真面目に訓練もして居る。問題は、そう云う部隊がどう動くべきかをマネジメントする人材が圧倒的に不足して居ると云う事です。計画に無い不測の事態に対応出来る力、異なる文化の組織と上手く協働する力、これらが圧倒的に足りて居ない。
 これは自衛隊の訓練の仕方にも問題があります。例えば演習では『攻める側は只管攻めて、守る側は只管守る』と云う様な訓練をして居るのですが、テロリストやゲリラと対峙した際に、相手がその様な折り目正しい攻撃をして来るでしょうか?騙し討ち、ゲリラ戦法等も序の口でしょう。しかし、訓練で不意打ちをすると『卑怯だ』と罵られる。これでは臨機応変な戦闘なんて出来っこ無い。正に『訓練の為の訓練』をして居るだけだ、と言われても仕方ありません」


 進むべき道が判ら無い

 組織をどう構築し、どう活かすかと云うビジョンが無く、現状維持と前例踏襲に縛られて現場の効率が上がらず、全体のパフォーマンスが停滞する・・・この悪循環は、日本型組織が陥る典型的な病理だ。陸自もその例に漏れ無い、嫌、日本でも有数の「ダメ組織」であると若手の陸自幹部は明かす。

 「企業では『働かないオジさん』が問題に為って居ますよね。自衛隊も全く同じですよ。陸自の組織では、一般企業で云う課長クラスの1佐以上に昇格すると、多くの人は仕事の負担が圧倒的に減ります。ソコに昇格する迄は、朝5時起き・残業はエンドレスのブラックな労働環境なのですが、そこから抜け出してしまえば、部下からと忖度される側に為り、トコトン物を考え無くても好く為ってしまう。
 広報対応等の業務は全て部下が応答要領を書いて呉れるし、間違って居た場合は当然部下が責任を執る。時間とエネルギーが余るので、組織内政治に走る人、筋トレばかりして『サムライ化』する人、部下の仕事の重箱の隅を突いて現場を混乱させる人が出て来る。
 私の同僚にも、上官に『「てにをは」が気に入ら無い』と報告書を何回も突き返されてノイローゼに為った隊員が居ました。幹部の部屋には基本的に産経新聞しか置いて居ませんから、イデオロギー的に偏って居る事も多い。そう云う幹部が米軍のエリートに『ブレクジットに付いてどう思うか?』等と聞かれても、真面な話が出来る訳が無い。向こうからは『何でコイツがコンなに偉いんだ?』と思われて居るでしょう」


 世界情勢の激動の中で・・・

 戦後の日本は現場力が支えて来た。優秀な技術者や営業マンのミクロな努力が、時代に合った製品やサービスを生み、国の地位を押し上げて来た。しかし大局を考えずとも、只管目の前の仕事を片付ければ結果が付いて来た時代はもう終わった。
 米中が突入した「新たな冷戦」を見るまでも無く、世界のパワーバランスは再び大きく揺れ動いて居る。何時米国が「ひとり立ち」を要求して来ても今や可笑しく無い。自衛隊にも、己を組織に捧げる「兵隊」だけで無く、大局を見極めリスクとリターンを吟味し、決断を下せる「将」が必要に為って居ると云う事だ。

 しかし、今の陸自内部には、そうした理想と掛け離れた惨状がある。組織改革の足枷と為って居るのが、幹部養成学校である「防衛大学校」が抱える問題である。

 米軍の士官学校との大き過ぎる差

 「自衛隊の問題は、防衛大学校にその根っコがある」或る陸上自衛隊幹部はこう嘆く。自衛隊幹部を養成する日本唯一の教育機関の防衛大学校・・・防衛大が抱える矛盾は、自衛隊そのものの矛盾でもある。

 「例えば、最近の防衛大卒は前線に立つ戦闘職種を殆ど志望し無い。これでエリート軍人の養成学校と言えますか?」

 近年、自衛隊で戦闘職種への配属を希望するのは、一般の大学を卒業した幹部候補生ばかりだと云う。この幹部が続ける。

 「防大卒で無ければダメだと云う気は全く無いのですが、それなら防大は一体何の為に在るんでしょうか?自衛隊幹部の約7割は現場からの叩き上げです。その多くは大学を出て居らず、軍事の高度な専門教育では無く、現場での経験を基礎に育って来た人材なのです。
 一方で例えば米軍の士官学校はどうかと云うと、代々エリートの家系出身だったり、高校時代迄にリーダーとしての業績を築いたりした優秀な人間が高度な専門教育を受けて居る。学位も修士以上はザラですし、叩き上げであっても将校に為れば、大学卒の資格を取ら無ければいけません。自衛隊との差は明らかです。
 軍隊の戦略・戦術が高度化した現代では、現場の事を好く知って居ると云う事は、軍人のホンの一要素に過ぎ無い。寧ろ抽象的に物事を考えられる力が求められて居るのです」


 過剰に重視される「体育会活動」

 防衛大学校ではおよそ2000人の学生が、人文社会系3学科・理工学系11学科で学ぶ。学生は授業料を免除されるだけで無く、全寮制で制服や食事の支給を受けられ、更に月々11万円の手当を受け取る事が出来る。
 しかし、防衛大の内情に詳しい前出と別の自衛隊幹部は「仮にも士官学校なのに、此処迄居眠りばかりして居るのはこの学校だけだ・・・と何度も留学生の送り出し国から言われた事がある」と話し、実態に付いてこう指摘する。

 「私が問題視して居るのは教育内容の偏りです。現場や研究開発で必要な工学系の教育は手厚いものの、安全保障を初め、指揮官に求められる人文社会科学系の教育が不十分。これは日本の大学一般に言える事ですが、矢張り理系教育偏重で『安全保障とは何か』『戦争とは何か』と云った理論に為ると、余り真面目に取り組ま無くても好いと云う雰囲気に為り、結果的に大局観が身に着か無い。
 学校側もレポートを適当に書いて出せばそれで単位を与えてしまいますから、士官学校で軍事理論やリベラルアーツを確りと叩き込まれた欧米のエリート軍人に適う筈がありません。事実、海外の軍の士官同士のパーティーで、教養が求められる話題に為ると、日本勢がサッと引くのが当たり前の光景に為って居ます」/span>

 防衛大の教育の柱は、教育訓練・学生舎生活・校友会の3つだ。教育訓練は学問と文字通り訓練を指し、学生舎生活は所謂寄宿舎生活、校友会はクラブ活動である。先の自衛隊幹部は、防衛大の中では、過剰な迄に校友会活動が重視されると話す。

 「校友会は基本的にアメフト等の体育会活動で、成果が出易いので学校側も奨励すると云う構造があります。国際水準の論文を数本書くよりも、全国1位の選手やチームを輩出した方が好いと。只問題は、これが学業より優先されて居る事。外部の教育機関に出たり、海外留学して初めて『図書館で勉強してる学生を初めて見た』と云う防大生も居る程です。
 学生舎生活がその風潮に拍車を掛けて居ます。要するに、先輩とは言え子供が子供を指導する訳ですから、偶々面倒見の好い先輩が居れば増しですが、幼稚な先輩の下に着いた下級生は悲惨です。上からの命令は絶対ですし、8人部屋で共同生活する以上、人間関係が広がらず閉鎖的なママ。このグローバル化の時代に合った形での『人格の鍛錬』が出来る状況とは思えません」


 詰まりは「体育会系」の悪しき部分が凝縮された教育機関に為ってしまって居るのだ。

 パワハラ体質の発生源に為って居る

 体育会的な組織は、内部の人間関係が上手く行って居る内は非常に快適で円滑に運営出来るかも知れない。しかし裏を返せば、ソコで形成された「疑似家族」的な共同体から逃れられず、自衛隊や防衛省に入った後も学生時代の上下関係を引きずる事に為る。防衛大出身の防衛省幹部はこう内情を話す。

 「学生舎生活で培われた人間関係は絶対で、往々にして階級を超えてしまう事もあります。出身クラブの先輩には敬礼しても、指導官には敬礼し無い事も珍しくありません。体育会の秩序を叩き込むばかりで、プロの軍人としての見識を身に着けさせることに失敗して居るのではないかと感じます。
 その所為か、陸自では一方的に怒鳴り着けたりする等、典型的な体育会スタイルで部下に接する上官も少なくありません。報道されたものだけでも、例えば2015年に1等陸佐(当時)が連日の様に部下を『バカ、ボケ』『目障りだ』等と罵ったり、机を蹴ったりして、約10人の内2人を精神的に追い込んだ事例があります。
 この1佐は事件に付いて上司に報告せず、更に彼の上司も、定期的なアンケート等から問題を知って居たにも関わらず指導を怠って居たとして処分を受けて居る。組織的にパワハラを隠蔽する体質がある事はお判り頂けると思います。結局、この部下の内の1人は自殺しました。
 根深いのは、この1佐は更迭された次のポストでもパワハラを続けたと云う点です。異動先の部署はセクハラやパワハラを働いた高級幹部の溜り場と為って居り、防衛省内では『セリーグ』『パリーグ』と揶揄される始末。此処でも1佐は懲りずに若手へのパワハラを続け、又精神を病む部下を出してしまいました。
 こうした事案が起こる度、自衛隊全体で組織体質を改善しようと云う掛け声ばかり上がりますが、根本は何ら変わって居ない。パワハラ体質の上司がノサバル一方で、良識があってマネジメントが出来る幹部はドンドン脇に追い遣られている。余りにパワハラ処分案件が多過ぎて懲戒処分が順番待ちに為って居る程で、将来が危惧されます」

 
 蔓延するパワハラを容認してしまう自衛隊の体質の根本に、防衛大で創られる閉鎖的な人間関係が有る、と考える隊員は少なく無い。

 「国際交流」に実態は有るか?

 前回、筆者は陸上自衛隊が最重要同盟国である米国との共同訓練で、英語でのコミュニュケーションが満足に出来て居ない現状がある事を報じた。しかし、防衛大の入試難易度は難関とされる私立大学と同程度であり俄かには信じ難い。
 防衛大は前校長の五百旗頭真氏の時代から、国際交流教育重視に舵を切って来た。五百旗頭氏が校長を務めて居た2006年から2012年に掛けて、
 (1) 4年間の留学生受け入れ・卒業資格付与
 (2) 約4ヵ月の1セメスター交流・派遣・受け入れ 
 (3) 短期派遣・会議等の短期交流・派遣・受け入れが進められた。
 これにより米国や欧州だけで無く、タイ等アジアにも受け入れ・派遣先が広がった。

 防衛大のホームページによると、昨年4月時点で、一般大学の学部生に当たる本科学生は1990人、大学院生に当たる研究科学生は162人で総勢2152人。この内留学生は夫々115人、21人で合計136人で約6%を占めている。だが当時の状況を知る防衛大卒の自衛隊幹部は、この「国際交流」は眉唾だと話す。


 「五百旗頭氏は『民間人材の登用』をスローガンに就任しました。彼は国際化を打ち出して各国に出向き受け入れ・派遣先を準備した迄は好かったのですが、肝心の防衛大側の体制を全く整え無いママ見切り発車した為、現場に大変な混乱を与えました。
 海外留学に必要な英会話等のスキルを学生に教えるカリキュラムを組ま無かった為に、米軍の士官学校に留学した学生が引き籠りに為って、米国側から強制送還される直前迄行った例や、1セメスターも留学したのに学習成果が無く、何の意味も無かったと云う例もあります。単位交換の制度も未整備だった為、学生が卒業困難に為り掛けた事もありました。
 各国の士官候補生を呼んで議論させる国際士官候補生会議・ICCも五百旗頭時代に拡大した事業ですが、防衛大生は真面に英語でディベート出来ず、報道公開出来ない状態でした。各国の士官候補生からの失笑を買ったのは言うまでも無く、米軍の士官学校生からは『日本には行く意味等無い』との声も上がって居ます。東南アジア各国からも、欧米諸国への留学が叶わ無かった学生が来る様に為りました。
 自衛隊の高官は『国際交流』が留学生数の増加に寄与して居ると思って居る様ですが、税金で運営されて居る防衛大が、約6%も留学生を受け入れる意味が何処に有るのか。タイの空軍司令官が過つて防衛大の留学生だった事が自衛隊内では『成功例』として語られて居ますが、タイは日本の主要な防衛交流国ではありません。防衛政策の視点から適切な評価が為され無いママ、意味の薄い『国際交流』をする事が自己目的化して居るのです」


 この様な実態は、日本の役所や企業とも共通して居る。実績は兎も角「海外に留学した」「国際交流プログラムに参加した」と云う事実だけがものを言い、相手の文化や思考様式を深く学ぶ経験や努力が求められ無い。留学や海外赴任も「ハクを着ける為の旅行」に為って居るのだ。
 これでは、各国の士官候補生との差は開いて行くばかりだ。防衛大卒業生のレベル低下はそのママ、自衛隊の弱体化と云う形で日本へ跳ね返って来る。


            松岡 久蔵 ジャーナリスト   つづく







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政府の感染拡大対策に最も欠けて居るもの 当事者意識共有出来ぬ安倍政権




 政府の感染拡大対策に 最も欠けて居るもの 

 当事者意識共有出来ぬ安倍政権 衆院予算委集中審議


       〜47NEWS ジャーナリスト 尾中香尚里 2/27(木) 16:22配信〜


            2-27-16.jpg

           衆院予算委で質問する立憲民主党の枝野代表 26日

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡って安倍政権への厳しい視線が日に日に強まる中、26日の衆院予算委員会集中審議で、立憲民主党の枝野幸男代表が質問に立った。
 東日本大震災(2011年)当時、官房長官として対応に追われた枝野氏。新型コロナウイルス問題の広がりを震災と重ねる声が出始めて居り、枝野氏の質疑は注目を集めた。

 足り無いのは政府全体の危機意識

 「種類は違うが私も9年前、同様の事態に対応する経験をした。その経験も踏まえ野党としても、政府に協力する立場で、我々の処に入る情報を共有し政策提言して来た」

 枝野氏は質問の冒頭をこう切り出した。政権側との対立を煽る事は抑え目にしながら、前半はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客への対応の不手際や不十分な情報公開、PCR検査の実施体制の不備等を一つ一つ質して行った。
 一般のニュースではこの辺りの質疑が注目された様に思う。だが、個人的に聞き入ったのは、寧ろ後半に入ってからだった。

 「政府全体の危機意識が足り無いんじゃないか」

 中盤以降に枝野氏が焦点を当てたのは、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の運営だった。安倍晋三首相を本部長に全閣僚で構成される対策本部は、1月30日の閣議で設置され、これ迄に14回の会合を重ねている。

 枝野氏は「記録を(首相官邸の)ホームページ等から把握出来た6回目以降、厚生労働省以外で、対策本部に資料提供した省庁は有りますか」と質問。菅義偉官房長官が「国家安全保障局2回・出入国在留管理庁1回・内閣官房の健康・医療戦略室1回」と答弁した。

 厚労省以外は人ゴト
 
 成程、国家安全保障局や出入国在留管理庁が或る意味「突出」して居るのは、政府がコノ問題を水際対策としてしか捉えて居無かった事の証左であり、だから水際対策が破綻した今、対応が後手後手に為って居るのだな。そんな事を考えながら質疑を聞いて居ると、枝野氏はヤヤ違う方向を攻めて来た。

 「厚生労働省だけナンです。他の役所は人ゴト」厚生労働省を除く省庁の当事者意識の欠如に対する苦言だった。「交通機関の問題が有る・・・これは国土交通省」「学校に対する影響は文部科学省。入試の時期でもある。どうして行くのか」「経済に対する影響は経済産業省。農業に対する影響も有る」

 枝野氏はこれ等を立て板に水の勢いで列挙すると「東日本大震災では、夫々の所管官庁で対応し無ければ為ら無い事に付いて、我が省はこう云う事を遣ると云う(報告が)幾つも出て居た。今回の新型コロナウイルス問題ではそう云うのが一切無い。厚労省に押し着けて、政府を挙げて遣って居る感覚が足り無いのではないか」と質した。
 「各省庁でドンな事(対応)を遣って居るのか、時間が無いなら資料配布だけでも共有して、感染拡大防止と、それによる社会的影響を如何に最小化するかに付いて大きな役割を持って居るんだと云う当事者意識を、各閣僚が持って貰わ無いといけ無い。その問題意識を持つ為の対策本部でもある。そうした事を遣って居ないから、私用で3人もの大臣が大事な対策会議を欠席する様な事に為るんじゃないですか」

 東日本大震災の経験 考えられた質疑

 「政策課題の共有」と同時に枝野氏がもう一つ指摘したのは「省庁を横断した人手の確保」だ。

 「厚労省は人手不足だと思う。感染防止に直接関わる事は厚労省にしか出来無いかも知れ無いが、地方(自治体)から情報を集めて資料にして、何件検査が出来て居るか把握すると云った事は、他の役所から人を出して貰って出来る筈だ。そう云う事をこの対策本部で遣ったんですか」

 更にこう付け加えた。

 「昨日(25日)政府の基本方針が出されたが、記者会見したのは加藤勝信厚労相。基本方針の中身は厚労省の所管だけでは無いのに、何で厚労相が発表するのか。政府全体の危機意識の欠如だと言わざるを得無い。国民に『安心してください、此処まで遣って居ますよ』と言う責任が有るのは、総理や官房長官ではないんですか。違いますか」
 
 与野党の政権交代が起こり得る政治の意義は、野党側も政権運営の経験を持ち、相手を分かった上での質疑が出来る事なのだと実感した。
 枝野氏は東日本大震災での自身の経験があってコソ、現在の安倍政権の対応の不足が分かる。厳しい追及の中にもそれ為りに節度の有る質疑を展開しながら、一方で野党側に一定の政権担当能力がある事をアピールする、ナカナカ好く考えられた質疑だと思えた。
 菅氏が答弁で「震災の時は大変な思いの中で陣頭指揮に当たられたと思う」と語る等、この政権には珍しく、枝野氏に一定の敬意を払う様な場面も見られた。

 「何を遣って居るか」語らぬ首相

 問題は矢張り首相である。答弁は概ねコンな感じだ。

 「感染症対策に付いては連日関係省庁から報告を受けると共に、私を本部長とする対策本部において、関係閣僚に対して必要な指示を行う等、政府一丸と為って全力で取り組んで居る。対策本部の際は、報道陣の目の前で私から直接指示を出して居る。官房長官も毎日2回会見を行い、我々がどう云う対策をして居るのか説明して居る」

 「私は一生懸命遣って居る!」と云う事は繰り返されるが、肝心の「何を遣って居るか」が全く無い。枝野氏は「首相が記者会見で直接国民に訴える事」を求めて居たが、正直、こう云う言葉のママ記者会見に臨んでも、国民は返って不安に為るだけだろう。
 恐らくそれが分かって居るから、首相は対策本部の短い冒頭挨拶、所謂「頭撮り」を報道陣に見せて「遣ってる感」を演出して居るのだ。こう云う「何も語って居ない」場面はニュースには流れ難い。どうしても報道は、その時々でニュースに為って居るトピックを追い掛け、その中で首相の「見出しに為る」答弁を選び出して記事にし勝ちだからだ。

 それが悪いとは言わ無いが、時間が有ればテレビやネットの国会中継で、切り貼りされて居ない質疑を見る事をお勧めしたい。「整えた」言葉では伝わら無いものがライブの世界には有る。政治家が何を語って居るかも大切だが「何を語れて居ないか」に注目する事も、同じ位重要だと考える。


              ジャーナリスト 尾中香尚里

            2-27-17.jpg

                   以上









 秋葉首相補佐官が資金パーティー 

 イベント自粛の要請当日 新型肺炎

                
              〜時事通信 2/27(木) 18:10配信〜

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            秋葉賢也 衆院議員 (自民・衆院宮城2区)

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑える為安倍晋三首相が大規模イベントの自粛を呼び掛けた26日、秋葉賢也首相補佐官(自民・衆院宮城2区)が地元で政治資金パーティーを開いて居た事が分かった。秋葉氏の事務所関係者は27日、規模を縮小して開催したと説明したが、首相補佐官として国民に協力を求める立場だけに、自民党内からも疑問視する声が上がった。

 事務所等によると、パーティーは出版記念の名目で26日午後6時から約1時間半、仙台市内で行われた。政府の専門家会議が自粛例に挙げる立食形式を取り、支援者ら200〜300人が参加。秋葉氏本人も出席し、河野太郎防衛相からのビデオメッセージが紹介された。ウイルス感染を考慮し、出席者にはアルコール消毒を要請したと云う。
 首相は26日昼に首相官邸で開いた政府対策本部の会合で、大規模イベントは2週間、中止や延期・規模縮小とする様国民に要請。これを受け、コンサート中止等が相次いだ。秋葉氏は対策本部のメンバーでは無いが、本部会合から半日程度でパーティーが開かれた事に為る。


                   以上








 新型肺炎 自粛要請当日にパーティー開催
 
 の秋葉補佐官「無頓着に開いたのでは無い」


               〜産経新聞 2/27(木) 20:50配信〜


 自民党の秋葉賢也首相補佐官は27日、政府が各種イベントの自粛を求めた26日当日に仙台市で政治資金パーティーを開いた事に付いて「東北地方は患者の発生が無く、検査態勢に余裕がある事を確認した」と延べ、問題が無かったとの認識を示した。首相官邸で記者団の取材に答えた。
 秋葉氏は「無頓着に開いたのでは無く、来場者数を減らし時間も短くした。患者が出て居る東京で開いた議員も居り、批判されるのは心外だ」と反論。政府の専門家会議が集団感染が起き易い例として挙げた立食形式だったが「当日の事で変更が難しかった」と釈明した。


                    以上









 新型コロナで失態 突如揺らぎ出した安倍政権の足下

              〜JBpress 2/28(金) 18:20配信〜


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 新型コロナ対応を批判され、苦しい立場に追い込まれつつある安倍晋三首相(写真:つのだよしお アフロ)

 危機管理に強いと云われて来た安倍晋三政権が、新型コロナウイルスの対応に失敗した。横浜港のクルーズ船への措置で国際社会から厳しく批判され、国内対策では場当たり的対応を繰り返し、国民を困惑させたのは明白だ。
 世論次第では安倍内閣の総辞職も有り得るが、その気配を敏感に察知したのだろう。安倍首相は2月28日、全国休校に伴う経費を政府が負担する考えを示した。当面の政局はどう展開するのか。29日に予定される安倍首相の記者会見を前にポイントを整理して置く。


 「経費負担」で狙う批判封じ込め

 2月27日夕、安倍首相は3月2日から全国全ての小中高に付いて、春休みに迄休校とする様要請する考えを示した。正に寝耳に水のニュースで教育現場や自治体、子供を持つ親たち衝撃が走った。
 爆発的な拡散を食い止める為の対策として冷静に評価すべきとは言え、今や共働き家庭が主流である日本社会に於いては唐突過ぎる決定と受け止められた。案の定「会社を休ま無いと小学生の子供の面倒を看られない」と云った親達の悲鳴がインターネット上に氾濫した。

 一夜明けた2月28日午前、国民の批判や不安を感じ取ったのか。安倍首相が異例の経費負担に言及した。

 「小学校低学年のお子さんが自宅待機と為れば、お父さん・お母さんが会社を休ま無ければ為ら無い」「経済界にも有給休暇を取り易い様対応をお願いして居るが、中小企業・小規模事業者に取っては経営上の困難が発生する場合があり、対応も当然考え無ければ為ら無い」(安倍首相)

 麻生太郎財務相も「政府の要請に依って掛かる経費が有る場合は、政府が払う事に為る」と断言した。厳しい世論や政権への怨嗟を感じ取った挽回策と云えるだろう。

 2カ月は持つ
 
 全国休校に伴う企業等への経費負担で当面を乗り切ったとしても、東京五輪が不開催と為れば状況は一変する。自民党の鈴木俊一総務会長は2月26日、早くも「感染拡大に歯止めが掛からず、万が一、予定通り五輪を行う事が出来なければ、直ぐ政治責任が持ち上がる」と述べた。この見方は、永田町関係者の衆目の一致する処だ。

 IOC・国際オリンピック委員会の動きはポイントと為る。IOCでは、欧州の王侯貴族や一部のアスリート出身者等が絶大な力を持って居りアジア諸国のパワーは弱い。日本はクルーズ船対応でネガティブイメージが定着、しかも隣国は新型コロナ震源地の中国である。繰り返しに為るが、東京五輪の中止又は延期のシナリオは想定して置か無ければ為ら無い。
 新年度予算の成立は確実であり、内閣支持率は未だ40%前後ある。安倍政権は党内でも強固な支持基盤を有して居る為、ソモソモ簡単には崩れ無い。支持率に限って云えば「1カ月で10%前後の下落」が最悪の部類であり、逆算すれば2カ月は持つ計算に為る。

 只、5月の大型連休以降は危うい。支持率の貯金を使い果たすかも知れないからだ。と為れば、安倍首相は衆院解散を打つタイミングが見当たら無い。解散を打て無い内閣は総辞職と云う悪夢が近付いて来る。只でさえ増税で落ち込んだ経済が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた株価の下落で更に落ち込めば、アベノミクスは崩壊する。何れにしても自民党内政局は確実だ。

 なお「桜を見る会」の問題ばかりを追及して新型コロナウイルスの質問をサボって来た野党に出る幕は無い。だが、野党の空気を読ま無い質問に助けられ、緊張感を失って居たのが安倍政権なのだから、野党もそれ為りに反省し無ければ為るまい。

 「菅ワンポイント内閣」? 

 「ポスト安倍」の最右翼は岸田文雄政調会長である。内閣の一員では無いので、後継に収まり易い。自民党の党則によると「総裁が任期中に欠けた場合」「特に緊急を要する時」に限り、党大会に代わる両院議員総会で後任の総裁を選ぶ事が出来る。国会議員による投票で総裁選を行えば、議員票で有利な岸田氏に安倍首相からバトンを渡す事は十分現実的だ。大型連休明けに総裁選を行い、五輪の無い今夏、乃至年内にも岸田氏が衆院解散を断行すれば、自公連立政権は安泰だろう。

 不気味なのは菅義偉官房長官だ。一連の新型コロナウイルスに関する対応では、加藤勝信厚労相に任せ限で事務的な対応に終始した。別に可笑しくも何とも無いが、何事も主導権を取って来た菅氏としては珍しい。官邸内では「安倍首相側近が、新型コロナ対応を菅氏に遣らせ無かった」(全国紙記者)との憶測もある。
 年が明けてからは記者会見での無難な答弁も戻って居り、力を温存して居る様に見えるのは気の所為だろうか。二階俊博幹事長に近い筋からは「二階・菅はセット売りだ。二階氏が居る限り、菅政権は有り得る」との見方が出て居る。これ又不思議な事に、新型コロナに関し二階氏の発信は現時点では控えめだ。

 犬猿の仲とされる麻生氏と菅氏は、2月14日夜に都内の日本料理店で会食して居る。岸田氏との連携に傾いて居たとされる麻生氏と菅氏の接近は興味深い。「ワンポイントで菅政権、その後、岸田本格政権」との見立てが政局記者達を刺激する。
 そこ迄行かなくても、麻生・菅・二階・岸田の4氏を中心に水面下での駆け引きは続いて居ると見て好い。嫌、この4人が「新4人組」として政局を動かして行く可能性もある。

 機能不全の4日間

 安倍政権の「危機管理能力」は元々高かった。例えば2013年1月、アルジェリアで発生した人質事件の際には、菅義偉官房長官を中心とした情報管理・公開を徹底し、救出の為に政府専用機を活用した。邦人10人が犠牲に為ったが、政権の緊張感が漲った動きをみせた。
 未知のウイルスとの戦いと人質事件を勿論同列視する事は出来ないが、新型コロナウイルスへの一貫性の無い対応はこれ迄の安倍政権とは思え無い。

 纏めると、僅か4日間だけでも、これだけチグハグな動きをして居る。

 ⊡ 2月24日 政府の専門家会議が「集会や行事の開催方法の変更・移動方法の分散、リモートワーク、オンライン会議等の出来得る限りの工夫」を強調する見解をまとめる
 ⊡ 2月25日 政府は一律のイベント自粛では無く、開催の必要性の再検討を要請するに留めた専門家会議の見解を踏襲して居るだけ
 ⊡ 2月26日 安倍首相が一転して全国的なスポーツ・文化イベント等に付いて2週間の自粛要請を表明 突然の自粛要請で経済的ダメージ拡大
 ⊡ 2月27日 全国の小中高の休校要請を表明自治体や教育現場・親達の反発や不信感を増幅させた


 トテも「状況が変化するに合わせて柔軟に機動的に対応して居る」等とは言え無い様な、一貫性の無さだ。窮地の安倍首相が、29日の記者会見でドンな発言をするのか。全国民が注目する、大舞台と為るのは間違い無い。


                紀尾井 啓孟     以上
























新型コロナ「封じ込め」失敗 日本は間も無く大不況に襲われる




 新型コロナ「封じ込め」失敗 日本は間も無く大不況に襲われる

      〜現代ビジネス 磯山 友幸 経済ジャーナリスト2/27(木) 7:01配信〜


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 武漢封鎖から1週間遅れで

 新型コロナウイルスへの感染が日本国内でも広がって居る。渡航歴が無く、1次感染者との濃厚接触も確認出来ない人の感染が各地で報告されて居る。又クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から陰性だと判断されて下船した乗客の中から、帰宅後に感染が確認されるケースも相次いで居り、人から人への感染が明らかに為って居る。事実上「封じ込め」は失敗に終わったとみて好いだろう。

 安倍晋三首相が、中国・武漢市を含む湖北省に滞在歴のある外国人に対して入国拒否を表明したのは1月31日の夕方。2月1日午前零時から実施された。武漢市当局が公共交通の遮断に乗り出し、1000万人都市の封鎖に踏み切った1月23日から1週間が経過して居た。
 この間、中国からは日本に大量の訪日旅行客が遣って来た。JNTO・日本政府観光局が2月19日に発表した推計によると1月の中国からの訪日客は92万4800人。前年1月に比べて22.6%も増えた。中国の新年に当たる春節(旧正月)の休みが、昨年は2月だったものが今年は1月に為った事もあり大きく増加した。

 湖北省からの入国拒否を日本政府が決めたのが1月31日なのは、明らかにこの春節休みが終わるのを待って居たとみられる。春節前に入国禁止等の措置を取れば、飛行機や宿泊ホテルのキャンセルが相次ぎ、経済的な損失が生じる。
 決定は出来るだけ先送りし混乱を小さくすると云う、何時もの官僚の姿勢が、今回はハッキリと裏目に出たと言えるだろう。クルーズ船の乗客は隔離する一方で、武漢を含む中国からの入国は通常通りに受け入れると云う、チグハグな対応を続けた事に為る。

 2月1日に湖北省滞在外国人の入国拒否に踏み切った段階では、米国やシンガポール、オーストラリア等が中国全土からの入国を拒否して居た。日本政府は1月13日に為って、要約浙江省に滞在歴の有る外国人も入国拒否の対象に加えたが、2月25日現在、それ以上、対象地域を拡大して居らず、後手後手に回って居る感は否め無い。その間にも、日本での感染者は増え続けて来たのである。

 高リスク国・日本に誰が行くものか

 そんな日本を「高リスク国」と見做して、日本人の入国制限を始めた国も多い。2月に入って早々、太平洋の島国ミクロネシア連邦やツバル、サモア、キリバス等が日本人を含む外国人の入国を拒否した。小さな島国と云う隔離されたエリアにコロナウイルスが持ち込まれれば、国の壊滅に結び着きかね無いと云う危機感がある。
 こうした動きは更に広がり、インドネシアが日本人の入国を拒否した他、イスラエルも日本や韓国に滞在した自国民以外の外国人の入国を禁止する措置を発表した。香港も、感染者が急増して居る韓国人の香港入境を禁止、日本人に付いては禁止にはし無いものの、14日間隔離する方針を打ち出した。
 日本が手をこまねいて居る間に、日本人や韓国人も、中国人と同様のリスクと見做され、遮断され始めて居るのだ。

 政府は2月25日に為って対策の「基本方針」を発表したが、症状の軽い人に自宅療養を求めるとした程度で、大型イベントの開催可否等に付いては自治体の判断に委ねる等、此処でも後手に回って居る印象で、強い批判を浴びた。
 一方で民間ではJリーグが試合の延期を決めた他、感染者が出た電通は本社の全社員を自宅勤務に切り替える等独自の対応が広がり、経済への影響が現実のものに為り始めて居る。

 1月の訪日客は全体では1.1%減と為ったが、これは日本との関係が冷え込んで居る各国からの訪日客が59.4%減と大きく落ち込んだ事が主因。中国の22.6%増の他、香港も42.2%増、台湾19.0%増、シンガポール33.2%増等、春節休暇での訪日客が大きく増えた。
 最も2月は、昨年は春節だった反動もある為、訪日客数は激減すると見られる。コロナウイルスへの警戒から旅行を取り辞める動きも相次いで居り、落ち込みは相当大きく為るだろう。

 最早消費は絶望的に

 これによってインバウンド消費も激減、それで無くても弱い日本の消費を直撃する事に為りそうだ。日本百貨店協会が発表した1月の全国百貨店売上高は前年同月比3.1%減と大きく落ち込んだ。
 消費増税した昨年10月以降、4カ月連続のマイナスだが、春節が在った為、訪日客による免税手続きをした売上高は20.9%像と大きく増えた。1月はインバウンド消費は寧ろ大きくプラスだった訳で、いかに国内消費が弱いかを示している。

 2月は春節効果が無く為る事に加え、新型コロナウイルス蔓延による旅行自粛が鮮明に為る事での訪日客消費の激減も予想される。2019年10−12月期のGDP(国内総生産)は年率換算で6.3%減と云う大幅な悪化を記録、エコノミスト等専門家の間に衝撃が走った。
 前の3カ月と比較する為、2020年1-3月期は持ち直すと云う見方が支配的だが、国内消費が回復に向かう処か、更に縮小する気配で、2四半期連続のマイナスに為る可能性もある。

 政府は補正予算に加え、2020年度本予算でも景気対策費を大きく積み増して居り、何とか景気の減速を食い止め様と必死だが、新型コロナ問題が早期に終息しそうに無いだけに、本格的な景気減退局面入りは避けられそうに無い。


           磯山 友幸 経済ジャーナリスト    以上








 新型肺炎から国民も守れず 不穏な空気が漂う五輪目前のニッポン

            〜まぐまぐニュース! 山岡鉄秀 2/27(木) 4:30配信〜


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 後手に回るばかりか小出し対策ばかりで、新型肺炎感染防止に大胆な策を取れ無い日本政府。クルーズ船内の実態告発等も重なり、海外からは「中国の隣で感染者が増加し続けて居る危険な国」と云う評価が下されて居る様です。
 今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんが、リンピックホスト国としての危機管理意識が決定的に欠けて居る日本の現状を厳しく批判して居ます。


 新型コロナウィルス 日本人の発想に欠落して居る事

 全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。新型コロナウィルス、滔々日本も国内流行期に突入した様ですね。これから何処まで感染が広がり重篤者や死者が出るか予断を許しません。この状況に至っても、日本政府は中国の湖北省と浙江省からの入国制限しかして居ません。何故諸外国と同じ様に全中国からの入国を禁止しないのかと云う声が様々な方面から挙げられて居ます。一方、入国制限はしなくて好いと主張する専門家の方々もいらっしゃいます。

 「入国制限と云う方法自体が大した効果を持たない」
 「既にウィルスの侵入を許してしまって居るから、今から遣っても無駄」


 専門家の方々は勿論専門的見地からそうおっしゃって居るのでしょう。では、仮にその様な主張が正しかったと仮定しましょう。日本は今現在でも、前述の様に限定的な制限しかして居ません。そして、感染者の数は日々増えて居ます。世界は既に日本を疑いの目で見て居ます。

 「日本はナンで対応がこんなに遅いんだろう」
 「日本はナンで限定的な(無駄な)入国制限しかし無いんだろう」
 「日本に行くの危ないよね」


 アメリカ在住の友人によると、テレビでこの様に話して居たそうです。

 「日本人は目先の利益しか見え無い。中国人を入れて、中国以外からの渡航者とオリンピックを失っても構わ無い様だ」

 又悪い事に、ダイヤモンド・プリンセスと云う豪華客船内で感染者が激増してしまい、それが日本の感染者総数に加算されてしまいました。更に、神戸大学の教授が2時間程乗船して「日本政府のハンドリングは中国やアフリカよりも酷くて恐怖を感じた。自分は追い返された」とYoutubeで日本語と英語で発信してしまいました。世界中で大拡散され、これで日本政府への信頼は地に落ちました。サア、今コソ日本政府の挽回のチャンスです。官房長官か総理大臣が宣言してみましょう!

 「モウ無駄なので、効果の無い入国規制は一切辞めて、通常のインフルエンザとして対処します」

 だって、専門家の意見は合理的根拠が有るんですよね?「うわああああああああああ」世界中から悲鳴の様な叫びが聞こえます。

 「日本への渡航全面禁止!」
 「虎の子の代表選手を日本に送れるかー!」
 「オリンピックはロンドンかシドニーで!」
 「日本人の入国全面禁止!」


 日本の国威は失墜し、経済的打撃は甚大でしょう。三流先進国に転落です。グチャグチャに為った状態で、習近平国家主席の国賓来日だけは予定通り実現します。いかがでしょうか?

 「入国制限は効果が無い」

 それは或る前提において、或る部分において本当なのかも知れません。しかし、総合的判断が必要なのです。専門の論文を読んで日本に旅行するかどうか決める人は居ません。残念な事に、日本政府はオリンピックのホスト国である事をスッカリ忘れてしまった様です。
 オリンピックホスト国であれば、殊更厳重に危機管理が出来る事を全世界に向けてアピールしなくては為らなかったのです。間違って、管理が緩くて感染者が多い国として突出してはいけません。

 その意味で、この様な有事に際しては、専門家の意見は参考にしながらも、先ず出来る事は全部遣って、走りながら考え、効果は後で検証する、と云う切り替えが必要なのです。(だったのです)何時も思うのですが、日本人の発想には往々にして、世界にどう受け取られるか世界にどう見られて居るか、世界がどう反応するか?と云う視点がスッポリ欠落して居ます。それ故にこれ迄どれだけ国益を失って来たか判りませんが、今回は命取りに為ってしまうかも知れません。

 この原稿を書き終わった正にその瞬間、在米の友人からメッセージが来ました。Facebookにログインした途端、アメリカ疾病予防センターCDCから「中国と日本には行か無い様に」と云うメッセージが入ったそうです。恐れて居た事が現実と為りました。


 山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110 image by: glen photo / Shutterstock.com

            MAG2 NEWS
      以上







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新型肺炎「日本は五輪の為 感染者を少なく見せ様として居る」PCR検査を巡る陰謀論に与するな





 新型肺炎「日本は五輪の為 感染者を少なく見せ様として居る」
 
 PCR検査を巡る陰謀論に与するな


          〜木村正人 在英国際ジャーナリスト 2/27(木) 11:30〜


        2-27-13.jpg 美容院

       新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査機器(写真 ロイター アフロ)

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 [ロンドン発]現状では新型コロナウイルスを検出出来る唯一の検査法であるPCR検査を巡り、激しい論争が起きて居ます。日本の検査件数は1日平均約900件に留まり、中国メディアから「東京五輪を開催する為感染者を少なく見せ様として居る」と批判されて居ます。

  「全ての人への検査は有効では無い」

 PCR検査は偽陽性・偽陰性が出る可能性があるものの、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は「唯一の検査法であり、必要とされる場合に適切に実施する必要がある。国内で感染が進行して居る現在、全ての人にPCR検査をする事は対策として有効では無い」と指摘して居ます。
 「既に産官学が懸命に努力して居るが、設備や人員の制約の為、全ての人にPCR検査をする事は出来ない。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化の恐れが有る方の検査の為に集中させる必要があると考える」と重症化の早期発見に全力を注ぐ考えです。

 加藤勝信厚生労働相は26日、国立感染症研究所や地方衛生研究所、民間への委託を合わせて最大で1日約3800件が可能と説明して居たPCR検査に付いて18〜24日の実施件数は1日平均約900件と想定を大幅に下回って居る事を明らかにしました。
 乗員乗客705人、厚労省の職員や検疫官ら7人の集団感染と云う「疫学的大災害」(米紙ニューヨーク・タイムズ)を引き起こした英国船籍のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の検疫でも検査能力の限界から感染拡大の実態把握が遅れてしまいました。

 「五輪開催の判断期限は5月下旬」IOC委員

 国際オリンピック委員会・IOCのディック・パウンド委員はAP通信に「自信を持って東京五輪を開催出来るか問わ無ければ為らない。今の処問題は無いが、5月下旬が判断の最終期限だ。IOCがパンデミックの状況に選手を送り込む様な事は無い」と発言しました。
 中国の独立系メディア、財新は「民間に委託すれば日本は1日に9万件を超える検査を実施する潜在的な能力が有るのに、政府は検査の数を減らそうとして居る。感染者の数を少なく見せる事が出来るからだ」と疑問を唱えて居ます。

 記事中、民間を検査から排除する事で国立感染症研究所は検査の予算を増やす事が出来、政府は東京五輪を予定通り開催出来ると云う陰謀論迄匂わせて居ます。安倍政権が余りにもPCR検査に後ろ向きだった為疑問視する専門家も少なくありません。
 米食品医薬品局・FDAの元長官スコット・ゴットリーブ氏は24日に「韓国では新たに感染者161人と死者1人が報告された。(略)日本は韓国程検査を実施して居らず、感染経路が追え無い事例の割合が多い。日本は大きなホットスポットに為る恐れがある」とツイート。

 26日時点で韓国の感染者は1261人・死者12人。(日本は感染者189人・死者2人)韓国の検査能力は1日7500件でしたが、24日には1万3000件迄アップしました。 韓国の文在寅大統領は集団感染を引き起越したとみられる新興宗教団体の信者20万人以上を検査して感染者を隔離して感染拡大を防ぐ方針です。

 「このママでは、東京五輪はダメでしょうね」

 日本の茶の間でもお馴染みの医療ガバナンス研究所の上昌広(かみ・まさひろ)理事長も只ならぬツイートを連発して居ます。厚労省は2月17日、公費負担で行われる行政検査の対象に付いて各自治体に以下の事務連絡を送っています。

 (1)37.5度以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、入院を要する肺炎が疑われる者(特に高齢者又は基礎疾患が有る者に付いては、積極的に考慮する)
 (2) 症状や新型コロナウイルス感染症患者の接触歴の有無等医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者
 (3) 新型コロナウイルス感染症以外の一般的な呼吸器感染症の病原体検査で陽性と為った者で在って、その治療への反応が乏しく症状が増悪した場合に、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者
 (4)季節性インフルエンザに掛かる検査やその他一般的な呼吸器感染症の病原体の検査で陰性であった場合

 
 限りがある医療資源

 上氏の懸念はそれでは手遅れに為ると云う事なのでしょう。 しかし医療資源には限りがあります。検査能力の拡大を図る必要があるものの、韓国の様に全数把握を目指すより、高齢者や持病の有る人が重症化する前に早期発見して治療に専念した方が賢明だと筆者は思います。
 専門家会議もパレートの法則80:20に従って80より20に優先的に取り組む方針を明確に示して居ます。新型コロナウイルスの研究論文によると重症化すると呼吸不全から多臓器不全を引き起こす恐れがあります。8割は軽症で自宅療養して居れば自然と治ります。

 感染症指定病院の病床数は非常に限られて居ます。水際作戦の最前線が突破されてしまった今、流行のピークを遅らせる一方で最終防衛ラインを犠牲者の最小化に置くのは決して間違った考え方ではありません。健康な人は睡眠や栄養を十分に取って適度な運動で抵抗力を高める。風邪を引いたかなと思ったら自宅で療養するのが公衆衛生のルールです。
 パニックを起こして病院や診療所に殺到して、医療従事者を感染させたり逆に自分が感染したりするマネは厳に慎まなければいけません。 1日約3800件(日本の人口は約1億2680万人)の検査目標はイギリスの約1500件(人口6644万人)に比べてもそれ程見劣りして居る訳ではありません。

 病院や診療所・薬局には行くなと釘を刺すイギリス

 アフリカからの渡航者が多いイギリスでは感染症対策は確立されて居ます。この2週間内に中国の湖北省に、2月19日以降イラン、封鎖されて居るイタリア北部、韓国の特別警戒地域に滞在して居た人は直ぐに111番に電話する様呼び掛けて居ます。
 この2週間に中国や韓国、タイ、日本、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、マカオに滞在して居た人に付いても咳や高熱、息切れの症状が有れば111番。2月19日以降イタリア北部のその他地域、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーに滞在して居た人も同様です。

 新型コロナウイルスの感染が確認された人に接触した人にも111番を呼び掛けて居ます。疑い例の恐れのあるグループは自宅待機させ111番で対応するので、間違っても病院や診療所、薬局には行か無い様釘を刺して居ます。パニックが起きるとそれで無くても人手不足の医療現場が麻痺してしまったり、逆に感染を広げてしまったりする恐れがあるからです。

 陰謀論の源泉

 筆者は安倍政権と専門家会議がグルに為ってPCR検査を怠って居ると云う陰謀論には与しません。それコソパニックを引き起こすインフォデミックに他なりません。 しかし陰謀論の根っコには森友・加計・桜を見る会問題等安倍政権の隠蔽・忖度(そんたく)体質があります。
 安倍政権は科学者主導の体制を構築して、モットモット透明性を高めて行かなければ新型コロナウイルスと闘う事は出来ないでしょう。

 日本医師会は26日、PCR検査を巡り医師が必要と判断したのに検査出来ない不適切事例が無いか全国調査する方針を示しました。新型コロナウイルスの重症患者を死なせ無い様検査のスケールアップとスピードアップが急務なのは言うまでもありません。
 相談窓口の電話番号も分かり易い「567・コロナ」等で統一し、音声認識やチャットボックスを利用して必要な人に必要な情報やサポートを迅速に提供出来るシステムを構築してはどうでしょうか。人工知能(AI)による自動診断や、遠隔診療も検討課題だと思います。


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 木村正人 在英国際ジャーナリスト 在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002〜03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

                   以上







            【自然派わんこの厳選ごはん】

          https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35SIQS+EV8PMA+33AO+1ZGNQR







これは何かの冗談ですか?日本人が知ら無い「大日本帝国の終戦構想」 司馬遼太郎の重要な指摘をご存知か







 これは何かの冗談ですか?日本人が知ら無い「大日本帝国の終戦構想」
 
 司馬遼太郎の重要な指摘をご存知か


             〜毎日新聞 栗原 俊雄〜


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 戦争をどう終わらせる積りだったのか

 今から79年前の1941年12月、大日本帝国はアメリカやイギリスと勝ち目の無い戦争を始めた。「勝ち目が無いって、今だからそんな事を言えるんだろ」と、云う人が居るかも知れない。しかし当時も、軍人を含む少なからぬ為政者達が、アメリカを屈服させる事が不可能である事は分かって居た。では、為政者達は何故戦争を始めたのか。そしてどう遣って戦争を終わらせる積りだったのか。
 今回は開戦迄の経緯と、戦争終結構想を見て行こう。戦争を終わらせるのは戦争を始めるより遥かに難しい事、国は、と云うより為政者達は時に飛んでも無い間違いをすると云う事が分かる筈だ。

 1930年代から40年代初頭に掛けて、中国や南方への進出を進める日本に対し、アメリカは態度を硬化させて行った。決定的だったのが1941年7月の南部仏印進駐だ。アメリカは在米日本資産を凍結し、極めて重要な戦略物資である石油の対日輸出を全面禁止した。
 当時、石油の殆どはアメリカから輸入して居た為、日本としては大きな痛手だった。石油が無ければ多くの兵器が役立たずに為る。兵士を戦地に送る事も難しく為るのだ。

 当時の首相、近衛文麿は対米戦に慎重な海軍を支えとして陸軍の好戦派を押さえ様として居た。処が燃料である石油を止められた海軍は、石油確保の為に更なる南方進出を見据える。近衛文麿首相は対米戦を回避すべく乾坤一擲の策を講じる。ルーズベルト米大統領と頂上対談をし中国撤兵を約束する。そして直ぐに昭和天皇の許可を得ると云うものだ。処が肝心のアメリカが乗って来なかった。

 「戦争は出来ません」と言え無かった事情

 9月6日、昭和天皇が臨席する御前会議で「帝国国策遂行要領」が決定された。外交交渉が纏まら無い場合「10月上旬頃に至っても要求が貫徹出来ない場合は、直ちに対米英蘭開戦を決意する」ものだ。

 戦中派世代の作家、五味川純平が「軍部に追従する事だけに終わった近衛の政治歴の中で、最も決定的な失敗」(「御前会議」)と断じた決定であった。
 只、海軍にも慎重論は根強かった。日本と米英、殊にアメリカとは国力が大きな差が在った。そのアメリカとの戦争と為れば主戦場は太平洋であり、と為れば海軍力が勝敗を大きく左右する。当時は軍艦の保有量等で見ると米英が世界1位と2位で我が日本帝国は3位だった。イギリスはドイツとの戦争で相応の戦力を割か無ければ為らないがアメリカは左程でも無い。帝国海軍の物量的劣位は明らかだった。

 陸軍はどうか。1937年に始まった中国との戦争が泥沼化し大きな戦力を割いて居た。米英との戦争と為れば東南アジア・太平洋諸島が戦場と為る。と為れば典型的な二正面戦争と為る。米英より遥かに軍事力で劣る中国さえ屈服させられ無い日本が米英を屈服させる事は不可能だった。
 その事は陸海軍とも分かって居た。為らば戦争が出来る筈が無い。しかし両方とも、そうは言え無い事情があった。

 アメリカとの交渉を纏める為には、中国からの撤兵は避けられ無い。営々と中国侵略を進め傀儡国家満州国を造る等、多くの「成果」を得て来た陸軍としてはそれは避けたい。一方で、代々の仮想敵国はソ連でありアメリカとの戦争は必ずしも望むものでは無い。出来れば海軍から「戦争は出来ない」と言って欲しい・・・それが陸軍の思惑だった。
 海軍もアメリカとの戦争とは避けたい。しかしそのアメリカを仮想敵国として莫大な国費を費やして来た手前「アメリカと戦争は出来ません」とは到底言え無かった。

 或る組織、例えば陸軍や海軍の人間が自分の組織の利益を最優先するのは自然だ。夫々の利益が矛盾した場合、当事者同士の交渉では解決しない。第三者が調整力・指導力を発揮し無ければ為ら無い。しかし大日本帝国ではそうは為ら無かった。

 歴史に「もしも」は禁物とされるが・・・

 日米交渉は進ま無いママ10月上旬を迎え戦雲が立ち込めて来た。同月14日、陸軍の中で対米戦回避を模索して居た武藤章軍務局長が富田健治の元を訪れた。富田は第2次・第3次近衛内閣で内閣書記官長を務めた人物。内閣の要であり陸海軍と内閣の連絡・調整も行う役目だった。
 富田は1962年、近衛内閣の内幕をつづった「敗戦日本の内側 近衛公の思い出」を著して居る。現在は入手困難だが、2019年秋に刊行された『近衛文麿と日米開戦 内閣書記官長が残した『敗戦日本の内側』』(川田稔編・祥伝社新書)で内容を確認出来る。富田によれば武藤は以下の事を言った。

 「海軍が本当に戦争を欲し無いなら、陸軍も考えねば為らぬ。処が海軍は、陸軍に向かって表面はそう云う事は口にしないで、只総理一任だと言う。総理の裁断と云う事だけでは陸軍内部を抑える事は到底出来ない。しかし海軍が、この際は戦争を欲し無いと公式に陸軍に言って来れば、若い連中も抑え易い。海軍がそう云う風に言って呉れる様に仕向けて貰えないか」

 富田は武藤の依頼を海軍の岡敬純軍務局長に伝える。岡は「海軍としては、戦争を欲し無い等と正式には言え無い。首相の裁断に一任と言うのが精一杯」と述べた。ゲタを預けられそうに為った近衛は10月16日、内閣総辞職を選んだ。天皇が次の組閣を命じたのが東条英機陸軍大将である。
 内大臣の木戸幸一が好戦的だった東条を首相に推挙した処、昭和天皇が「虎穴に入らずんば虎児を得ずと云う事だね」と言った事は好く知られて居る。(木戸日記)東条に、陸軍の主戦派を押さえて戦争を回避させたい・・・そう云う狙いだった。しかしその東条も対米戦に前ノメリト為る陸軍を抑える事は出来なかった。

 陸軍から開戦の是非を事実上委ねられた海軍が「アメリカとの戦争はすべきでは無いと考える」と言って居たら。近衛が「海軍に判断を任されたから自分が裁断する・・・明治憲法の制度上極めて異例だが。アメリカとの戦争は避ける。それを前提に今後の国策を決める」と決めて居たら。日本の現代史は大きく変わって居ただろう。

 歴史に「もしも」は禁物とされるが、筆者はケースバイケースだと思う。「もしも」は為政者達の判断ミスや不作為を炙り出す有益な思考実験にも為り得るからだ。只海軍だけの責任では無い。中国からの撤兵を頑として拒んだ陸軍にも巨大な責任があるし、軍部を制御出来無かった政治家にも有る。適切なシビリアンコントロールが出来無く為る様な、明治憲法体制の構造的問題でもあった。(天皇の統帥権独立の問題)

 講和に向けた筋書き

 為政者達は米英等との戦争を決めた。目指して居たのは講和である。勝て無い以上は妥当な目標ではある。ではどう遣って講和するのか。

 筋書きが決まったのは1941年11月15日の大本営政府連絡会議であった。同会議は首相や外相等の主要閣僚と、陸軍の参謀総長と海軍の軍令部総長等が構成し国策決定・戦争指導に関わるものだ。同日「対米英蘭蒋戦争終末促進ニ関スル腹案」を纏めた(『戦史叢書 大本営陸軍部 大東亜戦争開戦経緯5』防衛庁防衛研修所戦史室)

 先ず「方針」が示された。

 一 速ニ極東ニ於ケル米英蘭ノ根拠ヲ覆滅シテ自存自衛ヲ確立スルト共ニ更ニ積極的措置ニ依リ蒋政権ノ屈服ヲ促進シ独伊ト連携シテ先ツ英ノ屈服ヲ図リ米ノ継戦意志ヲ喪失セシムルニ勉ム
 二 極力戦争相手ノ拡大ヲ防止シ第三国ノ利導ニ勉ム


 更に「要領」

 一 帝国ハ迅速ナル武力戦ヲ遂行シ、東亜及西南太平洋ニ於ケル米英蘭ノ根拠ヲ覆滅シ、戦略上優位ノ態勢ヲ確立スルト共ニ、重要資源地域並ビニ主要交通線ヲ確保シテ長期自給自足ノ態勢ヲ整フ(後略)
 凡有手段ヲ尽シテ適時米海軍ノ主力ヲ誘致シテ之ヲ撃滅スルニ勉ム
 二 日独伊三国協力シテ先ヅ英ノ屈服ヲ図ル。(以下略)


 要するに・・・

 (1)東アジアや西南太平洋におけるアメリカ、イギリス、オランダの勢力を排除する。重要資源を確保、長期自給自足体制を整備する
 (2)中国の蒋介石政権への圧力を強め、屈服させる
 (3)三国同盟を結んでいたドイツ、イタリアと連携し、まずイギリスを屈服させる
 (4)それによってアメリカの戦意を失わせる。それで講和に持ち込むと云うものだった。


 最も現実味があったのは(1)である。実際、開戦後はフィリピンからアメリカ、シンガポールからはイギリス、インドネシアからはオランダを追い払った。石油等重要資源の供給地も押さえた。只それを運ぶ為の制空権・制海権を長く保持出来なかった為、長期自給自足態勢は出来なかった。そして(2)中国との戦争は泥沼化して居て決着する見通しは無かった。
 決定的に問題なのは(3)(4)である。ドイツはフランスを占領する等、開戦後破竹の勢いを見せて居た。しかし海軍力が弱く、イギリスに上陸し「屈服」させる事は難しかった。更に1941年6月にはソ連との戦争を始め、典型的な二正面作戦をして居た。

 そんな状況で、仮にドイツがイギリスが降伏させたとしても、それでアメリカが戦意を失い日本との講和に乗り出す保障は全く無い。詰まり大日本帝国は、希望的観測・・・ドイツがイギリスを遣っ付ける、の上に空想・・・イギリスが離脱すればアメリカは戦意を失うかも知れない・・・を重ねた様な構想で戦争を始めたのだ。

 「昭和天皇実録」に書かれて居ない事

 サテ2014年に公表された「昭和天皇実録」(実録)は宮内庁が四半世紀の時間と2億円の国費(人件費を除く)を費やして編纂した昭和天皇の一代記であり国家の正史だ。全61巻、1万2000ページと云う膨大な量でありながら「驚くべき事に」と言うべきか「やはり」と言うべきか「実録」には昭和史における極めて重要な事項で書かれて居ない事がある。

 大日本帝国の「終戦構想」もその一つだ。それが纏まった日、1941年11月15日の(実録)を見ると、昭和天皇は皇后と共に朝、葉山御用邸を出て皇居に戻った。午後1時過ぎから、陸海軍の首脳が陪席する中「戦争初頭を想定したマレー・香港・ビルマ・蘭印・フィリピンを中心とする南方作戦の指導とその推移に関する兵棋演習を御覧になる」陸軍の杉山元参謀総長に「支那軍の北部仏印への動き」や、海軍の永野修身軍令部総長に「陸軍輸送船団の護衛問題」等に付いて夫々聞いた。夕方には杉山から「外交が成立すれば戦闘行為を止め、大命に従って軍隊を退ける事」等の説明を受けた。

 この部分の記述の典拠の一つに「実録」は「戦史叢書」を挙げて居る。しかしその「戦史叢書」が挙げて居る終戦構想に付いては、全く触れて居ないママ記述が進む。「御夕餐後、皇后と共に映画『君と僕』文化映画『塩都運城』を御覧になる」昭和天皇がドンな映画を見たのか。それは昭和天皇研究の上で重要なのだろうが、筆者としてはモッと知りたいのは、国民の運命を左右する戦争をどう終わらせるかと云う構想を、天皇が聞いて居たのかどうか、聞いたとしたらどう感じたのか、と云う事だ。しかし筆者のみた限り「実録」からはそれが分から無い。

 司馬遼太郎の指摘

 以下「実録」を巡る余談である。これが公表された2014年、新聞やメディア各社が大きく報じた。筆者は勤務する毎日新聞で分析チームの一員と為った。
 マスコミへの発表から報道迄、短時間で読み込ま無ければ為らない。一人で読み通す事は到底出来ず、同僚と手分けした。筆者は自分の担当箇所を読みつつ、昭和史の中でも極めて重要と判断した幾つかの事項に絞り「実録」にソレがどう書かれて居るか、或は書かれて居ないのかを見て行った。記事掲載迄の限られた時間の中で「実録」の本質をうかがう為にそれが有効だと判断したからだ。すると「当然書いて有るだろう」と思って居た事が幾つも抜け落ちて居た。終戦構想の顛末はその一つである。

 国家の正史と言えども、全ての事項・資料を網羅出来る筈が無い。どの資料を選ぶのか、或はその資料のどの部分を抜き出し文脈に嵌め込むのか。何れも編纂者の編纂意図によって左右される。国家が描く歴史物語は、その事を念頭に置いて読み進めるべきだろう。何故勝ち目の無い戦争を始めたのか。「実録」を幾ら読み込んでも明確な答えは出て来ない。

 その点で興味深いのは、幕末や戦国時代を中心とした時代小説で多数のベストセラーを書いた作家、司馬遼太郎の指摘だ。本名は福田定一。大阪外国語学校を学徒出陣で繰り上げ卒業と為り陸軍に召集された。戦車部隊の小隊長として満州に渡った。
 司馬は、エッセー「大正生まれの『古老』」(新潮文庫『歴史と視点』に収録)で書いて居る。陸軍が1937年、ノモンハンでソ連軍に「完敗」したにも関わらず「僅か二年後に米国と英国に宣戦布告をして居るのである。こう云う愚行が出来るのは集団的政治発狂者以外に有り得るだろうか」とした。

 更に司馬は「兵力の分散を避けると云うのは軍事の初歩だが、彼等は足腰の立つ国民を総浚いにして地球そのものにバラ撒いてしまった。バラ撒いた後、どう始末する積りも無かった。いかなる軍事的天才でもコレを始末出来る様な戦略を考えられる筈が無い」とし、それでも開戦に踏み切った東条英機を「集団的政治発狂組合の事務局長の様な人」と断じた。

 司馬の指摘には説得力がある。しかし「軍人達が狂って居たから」と開戦の理由を片付けるだけでは「何故戦争を防げ無かったのか」と云う分析がソコで止まってしまう。筆者もその「なぜ?」に確たる解答を持って居る訳では無い。
 只言えるのは、為政者は時として国民全体の利益より自分が属して居るより組織のメンツ或は利益を優先すると云う事であり、又その結果取り返しの付か無い間違いを起こすと云う事だ。そしてそのツケは、国策決定に関わら無い市民に広く長く押し着けられる。蜃気楼の様な終戦構想で310万人もの同胞を失い、今に至る迄戦争・敗戦の後遺症を抱えて居る私達国民が学ぶべきは、そう云う事だと思う。


                  以上


 【管理人のひとこと】

 このレポートは以前にも取り上げたかも知れ無い。しかし、余りにも重要な文章である為、此処で再度取り上げた。それは、今回の安倍政権の「新型コロナ肺炎ウィルス対策」の決定的ミス・・・その初動からの組織的失策の原因を知る上にも参考と為るものだから。
 確固たる見通しも無く・・・言わば止むに止まれぬ風に開戦に踏み切った当時の我が国と、初動から安易に判断しミスを続けた今の安倍政権とが、同じく結果としては敗北してしまった。余りにも似て居ると感じて居るからだ。安倍氏の限り無いミスを指摘する文章は多過ぎる程存在するので此処では割愛するが、複数以上の原因が有る。恐らく安倍氏本人は「これだけ遣って居るのにどうして批判されるのだろうか」と心から訝(いぶか)って居るかも知れない。

 例えば「訪日を控える中国から、殊を荒立てないで・・・」とのメッセージを受けての初期からの消極的対策・・・詰まり中国に遠慮したこと。更には「余りにも積み上がった安倍氏への批判・不信」の為に官僚が自由に動くに動け無かった心理的抑圧・・・これは大きいと思う。
 ウィルス抑圧・防御策の厚労省への一任・甘く見過ぎた責任・・・と限が無い。そして最後に、政権と厚労省の組織の対面と防衛にのみ心血を注いだ挙句にウィルス制御に失敗した。安部氏は、国民の犠牲よりソレ等を選択してしまったからで、言わば「許され無い飛んでも無い失策」を犯してしまった訳だ。
 恐らく、今まで国民に与え続け積み上がった数々の不信感・不快感により、この挽回は到底不可能だろう。後は、自民党のワンポイントリリーフの誰かや、健全な野党と官僚に任せ「国内経済対策・オリンピックへの対策等・・・」を困難だろうが果たして貰いたい。安倍政権の閣僚には一人と云って信頼に値する存在が無いのだ。

 それと、これは既に考慮されてると確信するが、東京オリンピックへの対策である。恐らく優秀な官僚がプランAからB・C・D・・・Zと、IOCに指摘される迄も無くアラユル不測の事態に対しての取り組みを想定して居る筈だが、それを果敢に現実化して対処して頂きたい。行政は、オリンピックへのペンディングを取り除いたウィルス対策と経済問題に集中した施策に絞って行動して頂きたい。















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731部隊の闇 日本社会がどうしても隠したい「残酷すぎる過去」




 731部隊の闇 日本社会がどうしても隠したい「残酷すぎる過去」

             〜現代ビジネス 2/27(木) 7:01配信〜


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          破壊された731部隊の施設跡とされる廃墟

 新型肺炎を巡る報道が連日、洪水の様に流されて居る。殆ど否定されて居る様だが、一部には武漢に在る武漢ウイルス研究所で生物兵器として開発されて居たものが流出したのではないかと云う噂も流れて居る。
 奇しくもこうしたタイミングで、日本国内でも、先の大戦中に生物兵器の実験をして居た「731部隊」に関する報道が相次いで居る。

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 ひとつは人気コミック『僕のヒーローアカデミア』に登場する「志賀丸太」と云う登場人物の名前が無神経だと海外、特に韓国からの批判を受け、著者の堀越耕平氏が謝罪と名前の変更を余儀無くされたニュース。そしてもう一つは、京都新聞に「サルが頭痛」と云う見出しで報じられた731部隊に関するニュースである。

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                 石井四郎陸軍中将

 731部隊とは 結局何だったのか

 731部隊の正式名称は「関東軍防疫給水部」「関東軍」とは好く聞く名前だと思うが、正式には、日露戦争の勝利により獲得した遼東半島南部・関東州と旅順・長春間の鉄道沿線防衛の為創設された部隊を前身とした軍の事。その後、日本による満洲の植民地化において中心的役割を担う事と為った。

 731部隊は満洲北部の平房・・・現在の黒龍江省哈爾濱(ハルビン)市平房区と云う寒村に、一大細菌・生物戦施設を設け、捕虜とした中国人やロシア人約3000人を「マルタ」と称し、文字通り「丸太」のごとく非人道的な扱いをしながら、ペスト菌やコレラ菌等細菌の感染実験・生体解剖を重ねて居た。
 「僕のヒーローアカデミア」の件は、この「マルタ」を連想させると云う批判なのだ。なお、著者はそうした意図を否定して居る。

 731部隊の責任者は石井四郎と云う軍医で、最終的には陸軍中将に迄昇進した人物だ。その部隊は、彼が東郷一と云う偽名を好く使用した事から東郷部隊、出身地である千葉県の加茂から多くの職員を募った事から加茂部隊とも称されたが、戦争末期には石井部隊か、敵国に内情を知られ無い為の秘匿名の「関東軍七三一部隊」の名で呼ばれるのが普通と為った。

 731部隊は実験を重ねるだけで無く、日中戦争が本格化してからは、参謀本部の要請に応じ、中国戦線に限って化学兵器と細菌兵器を実戦投入しても居たから、日本の軍事史上においても大きな汚点と言わざるを得ない。
 化学・細菌兵器の使用は1928年に国際連盟で採択された国際紛争平和的処理一般議定書・ジュネーブ一般議定書で、捕虜に虐待に付いては1929年に締結された「捕虜ノ待遇ニ関スル条約」で禁止され、日本は批准を見送るが尊重する立場を表明して居た。

 731部隊の存在と活動は明らかな国際法違反であったが、大戦終結後の極東国際軍事裁判・東京裁判において、責任者が罰せられる処か被告人席に立たされる事さえ無かった。何故なら、訴追が見送られただけで無く存在さえも隠蔽されたからである。
 731部隊の免責は、石井四郎ら同部隊幹部の取り調べに当たった連合国軍最高司令官総司令部・GHQの参謀第2部・G2が、生体実験の研究成果は他に例の無い貴重な資料との判断から、研究資料全ての提供する事と引き換えに石井らの免責を上申。最高司令官ダグラス・マッカーサーもそれを認め、アメリカ本国の統合参謀本部・JCSからもそうする様指示が下された事から速やかに遂行された。

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 かくして731部隊の存在と行状は、ソ連が実施した情報公開と一部関係者の証言を除いては、闇に葬られてしまった。731部隊の幹部達は何れも沈黙を貫いた。戦時中は「石井の番頭」を公言して憚らず、階級が最終的に中佐迄進んだ内藤良一博士も同様であった。
 この内藤博士は戦後、後に大手医薬品メーカーに成長するミドリ十字を創業し、その会社が薬害エイズ事件を引き起こしたのは何かの因縁であろうか。

 明かされ始めた当時の記録

              2-27-3.jpg
 
 欧米では、余程の国家機密でも無い限り一定期間が過ぎれば、アラユル公文書が公開される。731部隊関連のそれとて例外では無く、これにより731部隊の実態と免責に至る経緯に付いて多くの事が明らかと為った。
 この分野に付いては神奈川大学名誉教授にして科学史と科学論を専門とする常石敬一が多くの著作を世に送り出して居るが、ジャーナリストの青木冨貴子が著わした『731 石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』(新潮文庫)も有益な作品である。石井四郎本人の日記や先述した内藤博士に関する新たな資料も見付け出したのだから。

           2-27-4.jpg 話題に為った啓発本

 中でも内藤博士に関する話は群を抜いて興味深い。それはメリーランド州カレッジパークに在る国立公文書館で公開されて居たもので、青木が目にした資料によれば、内藤がワシントンの日本大使館付陸軍武官の紹介状を手にロックフェラー研究所の国際衛生研究室を訪れ、黄熱病の病原株を分けて欲しいと申し入れたのだが、それがナンと1939年2月23日の事だった。
 既に国際会議の決議で、アジア諸国にウイルスを持ち込む事が禁止されて居た後である。当然同研究所では所長のセイヤー博士が直接内藤に会って、キッパリと断りを入れたが、内藤はそれに懲りず再び訪問し黄熱病ワクチンの扱いに付いて質問を浴びせ、更に同月26日には、同研究所の技師が内藤と同一と思しき人物から、黄熱病ウイルスを渡す様脅迫されと云う記述まであった。

 否定を繰り返す日本政府

 この様にアメリカが占領期に収集した資料が次々と日の目を見る中、日本政府は国会で追究される度に731部隊に関する資料の存在を否定して来た。2012年に国立国会図書館関西館で、731部隊によるペスト菌散布を裏付ける金子順一軍医少佐論文(1943年付)が発見された際も「政府内部に資料が見当たら無いのが実態」と答弁して居たのである。詰まり「政府内部には」無いと云う訳だ。

 しかし、どれだけ政府が無いと言っても、有るものは隠せ無い。2011年の公文書管理法施行を受け、厚生労働省が国立公文書館に順次移管して居る戦没者等援護関係資料の中から、731部隊に関する新たな公文書が発見されたのである。これが冒頭に触れた、京都新聞の「サルが頭痛」の見出しで報じられた記事である。
 その資料は1950年9月に厚生省(現・厚生労働省)復員局留守業務第三課が作成した「資料通報(B)第50号 関東軍防疫給水部」と題された文書で、戦後、中ソに取り残された元731部隊の軍医や軍人等の状況を把握する為に作成されたと目される。

       2-27-8.jpg 滋賀医科大名誉教授の西山勝夫氏

 計4ページある文書の内の一枚は「関東軍防疫給水部行動経過概況図」と題され、ソ連軍との開戦に伴う撤収方法に付いて詳しく、本部第一部が細菌研究、第四部が細菌生産等と部隊構成迄記載されて居た。
 しかも、新資料の発見は、未だ埋もれ居る資料が沢山有るのでは無いかとの疑念を募らせると同時に、既に発見されて居る資料を真摯に受け止めねば為ら無いとの機運を盛り上げる事にも繋がった。その具体的な動きが、同記事で取り上げられて居る、滋賀医科大名誉教授の西山勝夫を事務局長とする「満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」(以下「求める会」)である。

 終戦時、731部隊の人員は約3900人を数え、軍医52、技師49人、雇員1275人、衛生兵1117人と云う部隊構成だったと具体的に示されて居る。京都大学医学部講師の身から731部隊に派遣されて凍傷研究を行ない、戦後は京都府立医科大学長に為った吉村寿人の回想によると「京大の助教授・講師級の若い者が8名(病理学3、微生物学2、生理学2、医動物学1)が派遣される事に為った」 
 同じく戦後、吉村以外の京大出身の元731部隊員達が医学界に戻り、金沢大医学部長・京大医学部長等を務めた。学者以外にも京大出身者は居て、石井四郎の片腕と言われたM元軍医大佐や先程から何度も取り上げている内藤良一も又京大医学部の卒業生だった。

 京都大学の出身者や過つてソコに籍を置いて居た者が戦争犯罪に手を染めて居たと云う訳だ。真っ当な人生を送る卒業生に取って許し難い事で、実験成果を元に博士論文を認め、博士号を授与されたと為れば猶更であった。

 「サルの頭痛」

 京都新聞の記事で問題として取り上げられたのは、1945年に戦死した将校の論文「イヌノミのペスト媒介能力に就いて」で、ペスト菌を、イヌノミを介してサルに感染させ死亡させた特殊実験中に、サルが「頭痛を訴え」と記述されて居た点である。
 「求める会」は、サルが頭痛を訴える事は在り得ず、このサルは捕虜を指す隠語の一つで、実際に人体実験が行われたのではと疑い、博士号の取り消しも視野とした再調査を申し入れたのだった。

 2019年2月、大学当局は予備調査から得られた結論として「どの様にサルの『頭痛』を判断したか記載されて居ないが、何等かの行動指標によって頭痛が起きて居ると判断して居たと推察出来る」等と説明。その上で「ねつ造の疑いの根拠には科学的合理的理由が無く、実験ノートや生データが無い為調査を継続する事は不可能」と回答して居る。
 大学側が更なる調査を行わ無い方針とも伝えて来た事で「求める会」の大学当局への不信感は更に膨らみ「使用された動物がサルであるか、ヒトである可能性を明確に否定出来ると証明し無ければ為らない」と声明を出した。

 会の共同代表を務める立命館大教授の松宮孝明も記者からの質問に「疑わしい時にどう推定するべきかと云う問題。学位を授与する大学として、可能な限り調査をして、疑わしいなら学位は取り消すべき」とコメントして居た。
 今後この問題がどう展開するかは予断を許さ無い状況だが、今回の新資料でも明らかな様に埋もれた資料はマダマダ存在する可能性がある。誰かが意図的に隠したとしても、歴史の闇は何れ明るみに出る時が来るだろう。


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              島崎 晋 歴史作家     以上











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