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2020年02月13日

日本の麻薬・覚せい剤対策は?



 
  我が国に於ける薬物乱用の状況 

 現在の我が国における主要な薬物問題は、覚せい剤の乱用である。第一次の覚せい剤乱用期が10年を経ずして鎮静したのに対し、現在の覚せい剤乱用は、昭和45年以降増加傾向を示し、以後20余年にも及んで居り、近年も毎年の検挙者は高水準で推移して居る。

 覚せい剤乱用防止対策に付いては、昭和45年以降種々の対策が講じられて居る処であり、昭和48年には覚せい剤取締法の改正による罰則の強化、覚せい剤原料の規制強化等が図られたのを初め、政府の薬物乱用対策推進本部を中心とした関係機関の諸対策、又、昭和54年には覚せい剤乱用防止推進員制度の発足、更に昭和57年には覚せい剤の乱用に用いられる注射器の販売自粛等事犯の取り締まり強化及び啓発活動等の諸対策が積極的に推進されて来て居る。

 しかし、こうした努力にも関わらず事犯は未だ顕著な減少傾向を見せて居ない。この様に覚せい剤乱用が根強く存在して居るのは、

 1 覚せい剤の取引によって生ずる利益が莫大である為、密輸入から末端密売に至る迄暴力団が組織力を背景に全面的に支配し供給を保って居る事、
 2 覚せい剤の殆どが海外からの密輸入品である為、その供給ルートの根絶が困難であり、且つ、密輸方法が複雑・巧妙化して居る事、
 3 覚せい剤の薬理作用は精神的依存性が極めて強く、一たび乱用を始めると中止する事が困難である事、
 4 覚せい剤の乱用による弊害が十分に認識されて居らず、安易な好奇心から乱用する風潮が見られる事、
 5 覚せい剤の乱用を許さ無い規範意識が十分とは云え無い事等の原因が考えられる。

 平成16年に於ける覚せい剤事犯での検挙者は12,397人、押収量は約411kgであり、前年に比べ、検挙者数は減少したものの、依然として相当量の押収がある。覚せい剤事犯に付いては、検挙人員は減少して居るものの、密輸入事件が急増し依然として相当量の押収がある等、根強い需要が認められる。
 又、平成16年に於ける麻薬事犯に付いては、MDMA等錠剤型合成麻薬事犯は検挙人員、押収量(約47万錠)共に過去最高と為り、又、大麻事犯に付いては、検挙人員は過去最高と為り、押収量も、大麻樹脂が過去最高、乾燥大麻は過去2番目と為って居る。共に検挙者の約9割が初犯で、特に20歳代を中心として若年層への乱用の拡大が顕著と為って居り、憂慮すべき状況にある。


                以上 概要








  「麻薬」の有る世界  「奇跡の国」と評される日本の薬物規制 でも刑罰には限界も

 World Now 2018.12.02 公益財団法人「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が発行するニュースレター

 欧米等の先進国と比べ、格段に麻薬と縁遠い日本。「覚せい剤辞めますか、それとも人間辞めますか」等、強烈なキャッチコピーによる防止教育が奏功したともされる。だが一方で、薬物依存者の再犯の多さや社会復帰等で課題があるとの声が上がる。(丹内敦子)

 「マトリ」の自信

 「『日本は奇跡の国』とか、『薬物がこれだけ広がら無い国は他に類を見無い』と言われます。しかし、私達はマダマダ警戒して取り締まりを進めます」 

 日本で薬物規制や取り締まりを管轄し、麻薬取締官、所謂「マトリ」を統括する厚生労働省の監視指導・麻薬対策課の担当者は、日本の「違法薬物の抑え込み」を海外からはこう評価されると言う。実際、一生の内に違法薬物を使ったことがある人の割合を示す「生涯経験率」を見ると明らかだ。 
 日本で違法薬物の代表は覚醒剤(アンフェタミンやメタンフェタミン)だが、それでも日本の生涯経験率は0.5%・米国は10倍近い4.9%・英国は20倍の10.3%に上る。

 何故、日本では違法薬物が広がらないのか。島国で海外から入って来難い地理的条件の他、日本人の規範意識の高さを挙げる人は少なく無い。多くの人が学校で一度は受けた事がある「薬物乱用防止教育」等で使われるキャッチコピー「ダメ。ゼッタイ。」や「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」オドロオドロシイポスターの威力が大きかったと見る人も居る。 
 特に「人間やめますか」は、日本民間放送連盟による80年代の覚醒剤撲滅キャンペーンCMで使われたもので、多くの人がテレビで見て強烈な印象を受けた様だ。又、14年に東京・JR池袋駅前で「危険ドラッグ」を吸った男が暴走運転をして死傷者を出した事故を切っ掛けに規制が強化された様に、迅速で徹底した規制や取り締まり、そして重い刑罰を科せられる恐れも心理的な重しに為って居ると見られる。

 更に、苦難から逃れる為、薬物に頼るよりも自殺やギャンブルに手を出す人が多いと指摘する人も居る。実際、厚労省の「自殺対策白書」によると、主要8カ国で日本はロシアに次ぐ高い自殺死亡率と云う。 

 司法での対応は限界も

 日本の当局にも違法薬物をめぐる懸念材料はある。政府が今年8月にまとめた「第五次薬物乱用防止五か年戦略」によると、17年に覚醒剤で検挙された人のうち再犯者率は65.5%で過去最高だった。これだけ再犯者率が高いと、刑罰の意義を問い直す必要も出て来る。 

 世界で大麻の使用が広がる中、日本への影響も垣間見える。厚労省の報告書によると、大麻の生涯経験率は欧米が4割近いのに比べ未だ可成り低いが、15年に1%だったのが17年には1.4%に上昇。推計使用人口は約133万人と云う。
 青少年の大麻関連での検挙数も増加傾向だ。09年の1880人から13年の712人まで減り続けたものの一転して増加。17年には1519人と為って居る。 

 日本では来年にラグビーワールドカップ、20年には東京五輪・パラリンピックが開かれる。日本政府は「観光立国日本」を推進。訪日外国人が増えれば当然、海外の薬物事情にも目配りする必要が高まる。「五か年戦略」では水際対策を強化し、迅速に規制を設けるなどして「薬物乱用の根絶を図る」として居る。一方で、薬物依存者を刑罰で抑え込むことへの問題も指摘されて居る。 

 「薬物依存者を刑務所などに閉じ込めるのでは無く、地域で地元住民の中で回復の姿を見せる事が必要だ。だが、特に『薬物乱用防止教育』は薬物への恐怖心を煽り、薬物依存症と云う障害を抱えた人との社会内共生、包摂的な社会の実現を阻んで居る」

 アルコールや薬物の依存症患者の治療に約20年携わって来た、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存症センター長はそう話す。「欧州では司法的対応よりも治療的対応の方が、再犯率や就労、犯罪率、HIV感染などで優位と証明されている。日本も同じだと思う」

 欧州では「刑罰」より「治療」を重視して居ると云う。現場はどう為って居るのか。世界で初めて全ての薬物の所持や使用を罪に問わ無い事にしたと云うポルトガルへ飛んだ。

 ヘロインに揺れたポルトガル それでも厳罰より治療を選んだ

 過つて「人口の1%が使用者」と言われる程ヘロインが蔓延して居たポルトガルは2001年、思い切った手に売って出た。世界で初めて、薬物の種類を問わず、個人の所持や使用を罪に問わ無い事にしたのだ。「薬物使用者が劇的に増えるのでは」と危惧されたが結果は逆だった。首都リスボンから、ポルトガルの薬物対策最前線をリポートする。
 10月末の朝8時半、首都リスボンには冷たい雨が降って居た。市南西部の車道脇に、20人程の中年男性が集まって居る。皆少し苛立って居た。 

 「未だ着か無いのか!」「もう着くよ。鉄道のストで道が渋滞して居るんだ」 

 薬物依存者らを支援するNGO「アレスドピニャル」の担当者が宥める。このNGOは政府の委託を受け、市内でヘロイン依存者ら1200人に鎮痛剤メタドンを配布する。メタドンはヘロインと同じ様な作用があって長く効く安価な経口液剤だ。メタドンには健康保険が利き、毎日飲めば、依存者でも離脱症状に為らず普通の生活を送れる。
 バンが着くと、依存者等は我先にと各自に決められた量のメタドンを看護師から受け取る。給水器の水と混ぜて一気に飲み干し足早に立ち去る。 

 「メタドンがあるとヘロインを使う量が少なくて済むから助かるよ」とネルソン(40)は話す。12歳の時、兄が既に中毒だった。兵役から戻った21歳の時、知人に誘われて使い始めた。「辞めるのは苦しい。でも治療プログラムでメタドンの量を減らし、最終的に辞めたい。仕事に就きたい」

 看護師の男性はパソコンでデータを確認してからメタドンを量り、窓口から渡して居た。バンには、心理学者が同乗して居た。フランシスコ・アルネイダ(38)
 「メタドンを貰いながらヘロインを打つ人も居る。でも僕達は止め無い。安全に薬物を使う方法を伝えながら信頼関係を築いて行く。そこから治療が始まるから」 

 ポルトガルは2001年から麻薬等の使用や所持を法律で原則禁止しつつ、個人使用やその為の少量の所持(平均的な10日分の使用量)は、逮捕や投獄をしない「非刑罰化」した。
 過つてポルトガルは、ヘロイン問題で大きく揺れて居た。1974年の革命で社会が一気に民主化。同時にアンゴラやモザンビーク等の旧植民地からの帰還兵が大麻やヘロインを持ち込み広まった。
 1990年代半ばにはヘロイン使用者が人口約1000万の約1%に達したと見られ、注射器の使い回しでエイズウイルス(HIV)感染症による死者も急増した。

 当時の首相で、現在は国連事務総長を務めるアントニオ・グテーレスが、専門家等に緊急に対策を練る様指示。国会から地方まで様々な議論を重ね「非刑罰化」を採用し、メタドン維持療法等のハームリダクション(害を減らす政策)を重視する事に為った。

 「使わせ無い」で無く「ダメージを減らす」 欧州で主流の対策「ハームリダクション」

 健康省の機関で薬物や依存症治療を担当する「SICAD」副局長マニュエル・カルドーソ(63)は「依存者も同じ人間で、同じ権利を持つ。私達は人間の尊厳を尊重し、刑罰より治療を重んじる事にした。メタドンが必要な人は、毎日インスリンが必要な糖尿病患者と多かれ少なかれ同じだ」と話す。
 少量の薬物の所持が見付かっても逮捕はされ無いが、違反者は健康省傘下の「薬物依存抑制委員会(CDT)」に出頭し無ければ為ら無い。法律家や心理学者らが、依存症かどうかを判断し、治療の必要性や、罰金等の制裁を科すべきかどうかを決める。

 リスボンのCDT副局長で社会学者のヌーノ・カパージュ(42)は、薬物使用者を刑務所に入れても問題は解決しないと言う。「私達の目標は使用者に何か問題は無いか、有れば解決に向けて手助け出来ないか見極めること」と話す。
 こうした態勢を整え、薬物使用者で新たにHIV感染と診断されたのは、2000年の1430人から10年には164人迄減少。最も問題が多いとされるヘロイン使用者の増加は抑えられて居る。 

 日本で重要視される「薬物を断つ」事に付いてカパージュに問うと「ポルトガルでは選択肢の一つ」とした上で、続けた。

 「薬物の無い世界はこれからも無いだろう。私達がしようとして居る事は、問題を管理する為の政策を作る事だ」
 
    丹内敦子 朝日新聞GLOBE編集部員    以上









 【管理人のひとこと】

 麻薬・覚せい剤・・・この処、芸能人の間でこの話題が増えた感じがする。最も、有名人の事件と為るからこの様に騒がれるのだろうが、表に出ないものが何倍も存在してるのだろうと思うと余りゾッとしない。しかし、洋画のドラマや映画を観ると、大麻や覚せい剤を学生が使用している場面が普通の様に描かれる。
 この様に海外と日本の状況は大きく異なるものかと驚いてしまうが、日本は厳罰化に向かい、他の国では刑罰では無く社会復帰・更生へと舵を切り「非犯罪扱い」にする国家も在るとするが、どうなのだろうか。無論刑罰を強化しても麻薬・覚せい剤犯罪が比例して減るとも限ら無い。それなら、社会復帰を目指して刑罰を緩めるのが得策なのか・・・
 コロナ新肺炎症の拡散に観る様に、日本の水際作戦は効果は少ない。辺り一面が海なので取り締まりも監視するのも困難だろう。警察や厚生省の取締官が暗躍するのも、特に派手な組織を狙って行うのだろうが、彼等の奮起を待つしか無いのだろうか・・・














「インド版新幹線」に暗雲 開業時期5年遅れ 総工費の膨張も




  「インド版新幹線」に暗雲 開業時期5年遅れ 総工費の膨張も

           〜クーリエ・ジャポン 2/12(水) 19:00配信〜

   
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 ムンバイで開催された投資サミットで展示された新高速鉄道の模型 Photo: Pramod Thakur  Hindustan Times via Getty Images

 過つて本連載でも紹介したインド初の高速鉄道計画が難航して居る。鳴り物入りで始まった「インド版新幹線」のプロジェクトに一体何が起きて居るのか。共同通信ニューデリー特派員の佐藤大介氏が、日印の関係者への取材を元に解説する。

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 2017年9月に行われた「起工式」で握手を交わす安倍首相(左)とモディ首相 Photo Daisuke Sato

 「夢の超特急」が頓挫

 日本の新幹線方式を採用したインドで初めてと為る高速鉄道計画に、暗雲が立ち込めて居る。インドの最大商都ムンバイと西部グジャラート州アーメダバードの約500キロを、在来線特急の約3分の1と為る最速約2時間で結ぶ計画で、日本とインド両政府は2023年に開業する事で合意して居る。
 最高時速は320キロで、区間は大半が高架だが一部は海底トンネルも通ると云う、インドの人達に取って「夢の超特急」だ。

 2017年9月には、モディ首相の地盤でもあるアーメダバードで日印首脳会談が開かれた際、高速鉄道の「起工式」も行われ、モディ氏と安倍晋三首相が揃って参加した。日本の高度成長を支えた東海道新幹線の様に、インド版新幹線が新たな「成長の物語」をもたらす。多くの人達がそう思った筈だ。
 だが、起工式から1年半に為ろうとしても、物語が次の舞台に進む気配は無い。土地収用の遅れ等から本格的な工事は着手にすら至って居らず、グジャラート州バドダラで車両の運行や安全管理等を学ぶ研修センターの建設が開始された程度だ。

  「2023年全線開業」の看板が色褪せる中、日印両政府は開業時期を5年程遅らせる事で水面下での協議を続けて居る。年内に行われる日印首脳会談で正式決定される方針だが、新幹線等のインフラ輸出を成長戦略の柱に掲げて居る日本は、インドで早期に実績を示し、更なる海外展開に弾みを付けたかっただけに、その痛手は大きい。

 高速鉄道の建設に向けて、インド側は2018年中に建設予定地の土地収用を終わらせる計画で居た。だが、買い取り価格や代替地への不満等から土地売却に反対する地権者の農民らが相次ぎ計画は頓挫してしまう。政府職員による説明会を拒否し、反対集会を開いて警官隊と衝突する等の混乱も起き、これ迄の土地取得は約5割に留まって居る。
 2019年10月には、発着地のムンバイを抱えるマハラシュトラ州の議会選挙でモディ首相率いるインド人民党(BJP)が野党に転落。新たな州首相は、高速鉄道を含む州内のインフラ整備計画を見直す方針を示し、先行きの不透明感を増して居る。

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 高速鉄道の敷設エリアでは土地調査進められて居た。2018年撮影 Photo Praful Gangurde / Hindustan Times via Getty Images

 破格の条件で受注は勝ち取ったものの・・・

 高速鉄道建設を担うインドの高速鉄道公社等によると、計画は高架やトンネル建設、車両製造等約20分野に分かれて居る。工事の基盤と為る土木工事の入札が要約始まり、2020年中に着工する事が「日印双方での絶対目標」(日本政府関係者)と為って居る。
 それが実現出来たとしても、2023年開業に残された時間は3年程。東海道新幹線は着工から完成迄5年半を要して居る。高速鉄道公社の幹部は「東海道新幹線が建設されたのは半世紀以上も前の話。それから技術力は格段に向上して居る」とウソブクが、最早現実不可能な目標なのは誰の目にも明らかに為って居た。

 同公社は、日本側との正式な合意も無しに、開業時期を2023年から2022年へ前倒しし「独立記念日(8月15日)に部分開通したい」との見解も示して居た。2022年はインドが独立して75年と為る節目の年だ。
 ソコに標準を合わせる事で実績をアピールしようとする政治的意図がある事が、余りにも判り易過ぎて驚いてしまう程だ。

 最近、同公社の幹部に「2022年の部分開通はどう為ったのか」と尋ねると、聞いて欲しく無いと云う表情を露骨に見せた。開業時期の見直しに関する日印の協議では、インド側が部分開業に付いて触れる事は無く、日本側の関係者は「マルで無かったかの様に為って居る」と、その見通しの適当さに呆れる程だった。
 だが、そうしたインドでの高速鉄道計画に、日本は強い関心を示して事業に参入しようと躍起に為って居た。新幹線方式の採用に向けて、官民一体と為ってのトップセールスを展開して来たのだ。総事業費約9800億ルピー(約1兆5000億円)の内、土地収用に掛かる費用を除いた費用の約8割を日本が円借款で供与する。

 その条件は、利率が年0.1%で、15年の据え置き猶予期間と50年の償還期間と云う「民間では絶対に出来ない破格の厚遇」(日本の企業関係者)で、起工式で演説したモディ首相が「殆ど金利ゼロで日本は資金を提供して呉れた」と絶賛する程だった。
 更に、日本は技術研修等の人材育成も行い、信号システムと云った安全管理も高速鉄道に持ち込む等、正に至れり尽くせりの対応を執って居る。

 こうした日本の積極姿勢の裏には、中国に対する警戒心がある。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国は、高速鉄道システムをアジア諸国等へ輸出する事にも積極的だ。2015年にはインドネシア・ジャワ島の高速鉄道受注を巡り、当初は優勢と見られて居たものの、最終局面で中国に敗れてしまい、インドでの受注は日本政府に取っての最重要課題と為って居た。
 2017年に日印首脳会談が行われた当時、国交省幹部は「高速鉄道が開通すれば、新幹線の実力を世界にアピール出来る」と期待を込めて居た。だが、事業を進めて行くに従って顕著に為って行ったのが、安全面や工期に対する日本とインドの認識の差だった。

 開通延期で膨らむ総工費

 インドは鉄道の総延長が約6万6000kmに及び、開業も日本の1872年より先立つ1853年と古い歴史を持つ。だが、車両や線路等の設備は老朽化が進み、遅延や事故は日常茶飯事と為って居る。走行中の列車の屋根に乗って居て転落したり、線路を横切ろうとして跳ねられて死亡する人の数は、年間で2万人に達するとも言われている。
 気温が夏には50度を超える中、灼熱に晒されて歪んだ線路とそこを通過して行く列車を見て居ると、安全に対する感覚が根本から異為って居ると思わざるを得無い。開業時期の見直しでも、5年程の延期を主張する日本に対し、インドは「もっと速く開業出来る」と主張して居ると云う。

 開業時期を早め様とする一方で安全対策が疎かと為り、営業開始後に事故が発生すれば、これ迄事故を起こさずに安全性を最大の売り物として来た日本の新幹線に取って、ブランドイメージが大きく傷つく事に為る。
又、インドでは市民や労働者の権利意識の高さから用地取得や労務管理が難しく、工事の遅れは半ば常態化して居る。
 2015年度に中央省庁が関わった751の大型プロジェクトの4割以上が計画より遅れ、損失は1兆2000億ルピーに上ると云う、インド政府の公式調査結果が有る程だ。

 開通時期の延期によって、総工費は日本円で2兆円規模に膨らむ事も予想されて居る。日印双方は協議を進め、次回の日印首脳会談で、新たな開通時期を正式に発表する予定だ。だが、新たな時期が定まっても、その通りに進むかは全く分から無い。
 インドで「夢の超特急」が駆け抜ける日は何時なのか。一本のレールも敷かれて居ない状態で、その先行きはマダマダ見通す事が出来ない。


              Daisuke Sato    以上









 BUSINESS  5min2019.10.9

  「日本人が知ら無いインド経済」佐藤大介

 絶好調だった筈のインド経済が「史上最低」に迄落ち込んだ理由

                 Text by Daisuke Sato

 常に「急成長」を枕詞にして来たインド経済が失速して居る。一時期は8%台の成長率を記録して居たアジアの新興国に何が起きて居るのか? 共同通信ニューデリー特派員の佐藤大介氏が現状を鋭く分析する。

 インド経済に灯る10の危険信号

 インドが内外に示して来た「経済成長」の旗印に陰りが出て居る。8月30日にインド政府が発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比で5.0%増に留まり、四半期ベースでは2013年1〜3月期以来、およそ6年振りの低い伸び率と為った。
 2014年にモディ政権が発足して以降、一時期は四半期ベースで8%台の成長率を記録して居たが、今やその勢いにはブレーキが掛かって居る。今、インドの経済に何が起こって居るのだろうか。

 9月25日付のインド経済紙「ミント」に興味深い記事が掲載されて居た。「インド経済、10の危険信号」との見出しで、様々な経済指標が「Red Flag(危険信号)」の領域に入って居る事を記した内容だった。
 同紙は、乗用車の販売台数や鉄道貨物輸送量、平均賃金等、独自に選んだ16の経済指標の内10項目が、過去5年間の平均値を下回る「危険信号」と判断した。何れも公式に発表されて居る数字ではあるが、それを一覧にする事で、インド経済の低迷振りを如実に示す事と為った。

 経常収支は未だ危険信号に為って居ないものの、貿易収支の悪化や原油価格の上昇によって予断を許さ無い状態にあるとした上で、記事の最後を「インド経済の勢いは史上最低に迄減速したかも知れないが、底を打ったとする証拠は未だ無い」と結んで居る。  
 こうした低迷の主な要因に為って居るのが、GDPの過半数を占める個人消費の冷え込みだ。4〜6月期は前年同期比の3.1%増に留まって居り、前年同期が7.3%増だった事を見れば、その落ち込み具合が判るだろう。

 失業率は過去最悪
 
 個人消費の冷え込みを最も反映して居るのが、自動車(新車)の販売台数だ。インド自動車工業会によると、8月の国内乗用車販売台数は前年同月比で31.6%減少し、10ヵ月連続で前年割れを記録する事態と為った。インド自動車最大手でスズキ子会社のマルチ・スズキは、同月の販売台数が36.1%減少。在庫調整の為、9月7日と9日の2日間、国内2工場の操業を停止する異例の事態に追い込まれて居る。
 自動車販売の不振は、部品製造業者や販売店等関連産業にも大きな影響を与え、100万人規模の失業者を生んで居るともされて居る。それは、モディ首相が就任当初に打ち出した製造業の強化政策「メーク・イン・インディア(インドで作ろう)」を骨抜きにすると共に、GDPの更なる低下を引き起こしかねない危険性をはらんで居るのだ。

 この背景を探って行くと、家計の悪化と貸し渋りと云う2つの要素が浮かんで来る。2018年の失業率は、都市部の男性が7.1%と為る等、統計を遡れる過去45年間で最悪の水準と為り、雇用問題が深刻化して居る。
 雇用が不安定に為れば、それだけ懐具合が苦しく為るのは当然の事だ。格付け大手CRISILによると、農家の平均世帯収入の伸び率は、2018年迄の5年間が平均3.6%だったものの、2018年はゼロと為った。インドの労働人口に占める農家の割合は半分以上。
 物価の上昇を考えると、実質的に収入はマイナスと為って居り、当然ながら消費に回せるカネは少なく為る。そう為れば、自動車は元より、アラユル商品の売れ行きが低下する事に為り、経済の成長を阻害する事は明白だ。
 
 又、収入が少なく為る中で消費を維持しようとすれば、借金に頼らざるを得無く為って来る。だが、国営銀行は不良債権問題が深刻化し、リスク回避の為に貸し渋りの姿勢を執り、多くの借り手はノンバンクに向かう事と為った。しかし、ノンバンクは銀行に比べて金融システムが脆弱で、大手が破綻すれば直ぐに流動性が低下し、貸出の審査条件が突然厳格化する等、不安定さを露呈する。結果として、市場全体に「買い控え」の空気が拡大する結果を生み出した。

 「経済成長」と云う看板と「経済の低迷」と云う現実

 こうした状況に対し、インド政府は充分な対応を打てて居ない。自動車に関しては、インド政府は7月に、新車の登録費を600ルピー(約900円)から5000ルピーへ、一気に8倍以上値上げする事を発表して居た。だが、販売不振に慌てたのか、8月に為って20年6月迄の延期を決定。
 政府の各部局に課して居た新車購入禁止令を撤廃する等、需要回復へのテコ入れ策を打ち出した。しかし、需要回復に向けた兆しは見え無いママだ。一方、自動車業界が求めて居る新車購入に関わる税率を28%から18%に引き下げる事は、税収確保の観点から難色を示し、実現に至って居ない。
 自動車業界からは「政府内での利害対立から意見の調整が進まず、最も効果的な減税策を行う事が出来て居ない。これでは、展望が開け無い」(マルチ・スズキの関係者)と云った不満の声も漏れて居る。

 インド政府は8月以降、法人税の減税や銀行の統合と云った経済政策を次々と発表して居る。法人税は実効税率を30%から約25%に引き下げる内容で、民間投資を促進する事を目的として居る。
 だが、これによって1兆4500億ルピーの税収が減少する見通しで、大規模な景気刺激策を打ち辛く為ると云うマイナス面も孕む。特に、人口が増加して居るこの時期 に道路等のインフラの整備や、教育への投資を積極的に行わないと、将来に大きな禍根を残す事に為る。

 5月に発足した第2次モディ政権は、2024年度迄にGDPを5兆ドル迄に成長させる事を公約に掲げて居る。その為には少なくとも10%の成長率が必要で、現在のスピードでは到底手が届か無い。「経済成長」と云う看板と、経済の低迷と云う現実を前に、モディ政権の険しい舵取りが当面続く事に為る。


 PROFILE 佐藤大介 共同通信ニューデリー特派員。1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社入社。長野支局、社会部を経て2002年に共同通信社入社。2006年、外信部配属。2009年3月〜2011年末までソウル特派員。著書に『オーディション社会韓国』(新潮社)、『死刑に直面する人たち』(岩波書店)などがある。

                  以上

















「桜」追求の法律家の会を結成 3月目途に安倍首相の刑事告発目指す




  「桜」追求の法律家の会を結成 3月目途に安倍首相の刑事告発目指す

               〜毎日新聞 2/13(木) 17:25配信〜


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 安倍晋三首相の法的責任を問う「『桜を見る会』を追及する法律家の会」の結成集会で挨拶する泉沢章弁護士(右端)等 東京都千代田区永田町2の参院議員会館で2月13日正午頃 大場弘行撮影

 首相主催の「桜を見る会」の問題を巡り、約100人の弁護士が参加する「『桜を見る会』を追及する法律家の会」の結成集会が13日、東京都内で開かれた。3月を目途に、安倍晋三首相の刑事告発を目指すと云う。

 同会は「桜を見る会」の前日に首相後援会員向けに都内の高級ホテルで開かれた「前夜祭」を問題視。後援会が参加者を募集したにも関わらず、前夜祭の費用の収支が後援会の政治資金収支報告書に記載されて居ない点や、参加者の会費(飲食代)がホテルが公表して居る料金より安い点が、政治資金規正法の「不記載」や公職選挙法の「寄付行為」に当たる疑いがあると指摘した。
 又、内閣府が桜を見る会への推薦基準として示す「各界功績者」に当たら無い後援会員を招待し、持て成した行為も公選法の「寄付行為」や「事後買収」に為る恐れがあるとしている。

 同会は今後、資料分析や論点整理を進める一方、賛同する弁護士等を募る。呼び掛け人の泉沢章弁護士は「首相の違法行為を目の前にして、法律家として座して眺めて居る事は到底許され無い」と述べた。

 
           毎日新聞 大場弘行 以上









 社説 安倍首相の国会答弁 誰が聞いても可笑しい

              〜毎日新聞 2020年2月9日 東京朝刊〜

 衆院予算委員会の審議が本格化して居る。際立つのは「桜を見る会」を巡り、誰が聞いても不自然に感じる安倍晋三首相の答弁だ。後援会主催の前夜祭に関して、参加者一人一人が5000円を支払う「契約」をホテル側と毎年交わして来たと首相は説明した。
 首相の事務所はそれを仲介しただけで、事務所とホテルの間では金額や料理等の条件で「合意」したのに留まると主張した。しかし、昨年は東京都内の高級ホテルに支持者ら約800人を集めた程の大規模な政治集会だ。自分がホテルとの契約当事者だと認識して参加した人は先ず居ないだろう。

 首相は後援会のメンバーが焼き肉屋等で開く会費制の懇親会を引き合いに「好くあるのではないか」と述べた。内輪の小規模な会食と同列に論じるのは詭弁(きべん)である。 前夜祭を巡っては、会費の不足分を首相側が補塡(ほてん)したのではないかと野党が追及して居る。そうであれば公職選挙法の禁じる買収や寄付行為に当たる可能性がある。
 疑念を晴らしたければ領収書や明細書等を揃えて収支を公表すれば済む。無理な答弁を重ねて居るのは、公表したく無い不都合な事情があるからではないのか。

 事務所が契約主体であれば収支報告書に記載し無ければ為ら無い。しかし、参加者がホテルと契約した形にすれば記載義務は生じ無い。首相はそう主張したいのだろうがこの言い分は通ら無い。これが認められるなら、政治活動の収支報告を義務付けた政治資金規正法の抜け穴に為り兼ね無い。
 野党が「安倍方式」と名付けて批判したのに対し、首相は他の政治家が同様の政治活動の収支を報告しなくても「同じ方式であれば問題無い」と言い切った。これでは政府が脱法的な手法を推奨したに等しい。

 桜を見る会の参加者に付いて「幅広く募ったが募集はして居ない」との首相答弁も意味不明だ。最早説明出来なく為って居るのだろう。新型肺炎対策など重要な政策課題がある中、スキャンダル追及を続ける野党に批判的な声も聞く。だが、首相の繰り返す破綻した強弁が本来の国会論戦を妨げて居るのではないか。


                    以上






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楽天に怒りの鉄拳 公取委員長が「三木谷社長の横暴を許さ無い」ワケ




 楽天に怒りの鉄拳 公取委員長が 「三木谷社長の横暴を許さ無い」ワケ

               〜現代ビジネス 2/13(木) 6:31配信〜


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                  写真 現代ビジネス

 楽天VS公取委の構図

 公正取引委員会は、2月10日、インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天に対し、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで立ち入り検査に入った。強制調査権を持つ怖い役所ながら、普段はソフトな印象の公取委だが、楽天に対する判断は迅速、かつ積極的だ。背景には杉本和行委員長の「プラットフォーマーの横暴を許しては為ら無い」と云う強い意志が有る。

 楽天VS公取委の構図を読み取りたい。楽天が、3月18日から実施を公言している「3980円以上の送料無料」と云うプランの導入に対し、出店者の集まりである「楽天ユニオン」は、1月22日、独禁法違反の調査を求める署名を提出した。それを受けて公取委は、1月28日、出店者から事情を聞く等調査を開始した。だが、楽天は意に介さ無かった。
 翌29日、楽天の出店者等を集めた「楽天カンファレンス2020」で、三木谷浩史会長兼社長は「例え政府や公取委と対峙しようとも必ず実行する」と、ブチ上げた。公取委に対する挑戦状である。

 強行突破を図ると云う確信犯
 
 これに対し、2月5日の定例会見で杉本委員長は「疑いが有れば調査し、違反が有れば厳正に対処する」と述べたものの、三木谷氏の好戦的な態度に付いては「売り言葉に買い言葉と云う訳には行かない」と、述べるに留めた。だが、腹の中は別だった。
 楽天は「送料無料」が独禁法に抵触するかどうかを、昨年、公取委に打診、12月迄に「優越的地位の乱用の恐れがある」と云う回答を得て居た。だが、強行突破を図ると云う確信犯。違反行為を阻止する為には、早期着手で、実施迄に何らかの措置を講ずる必要があった。

 筆者は、楽天ユニオンの中核メンバーから話を聞き、本サイトで<傲慢な時代錯誤経営でアマゾンに勝てるか>と配信、三木谷氏を批判した。三木谷氏の未来を切り開くベンチャー・スピリットと、ネット通販を日本に根付かせ、IT社会を構築した功績を否定するものでは無い。
 既得権益層に反発、規制緩和を訴えて新経済連盟を立ちあげ「役人にビジネスの何が判る」と言って退けるのだから性根は据わって居る。

 プラットフォーマーへの警告

 だが、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される巨大プラットフォーマーが、二極化を進めて、世界の人々を追い詰めて居り、その対抗策が国家の役割で、国民(利用者)も反撃を始めて居ると云う時代認識に欠ける。
 杉本委員長は、昨年8月に上梓した『デジタル時代の競争政策』(日本経済新聞出版社)の中で、プラットフォーマーに次の様な警告を与えて居る。

 <プラットフォーマーが自らの支配的地位を濫用し、消費者や取引先事業者に不当な不利益を課す事により、公正な競争を歪めたり、自らの競争者と為る恐れのある新規参入者を不当に排除する等自由な競争を妨げる行為が見られる場合には、競争政策上看過出来無い事に為る>

 有無を云わさずに規約を変え、罰金制度を設け、楽天ペイを強要、アフィリエイト課金を最大8%に引き上げ、そして送料を、事実上、出店者の負担にする・・・その優越的地位の乱用に値を上げ「送料無料」が最後の一押しと為って楽天ユニオンは結成され、杉本委員長はその訴えを取り上げた。
 これは三木谷氏が暗示する「役所の横暴」では無いし、楽天が10日に発表した「法令上の問題は無いと考えて居る」と云うレベルの話では無い。モッと根源からの変化を促すものだ。

 パラサイトの時代は脱出不可能

 今年のアカデミー賞は、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、英語以外の作品としては、初めて作品賞を受賞した。全員失業中の半地下の家族と、高台の豪邸に住むIT企業社長の一家。監督賞も受賞したポン・ジュノ監督のテーマは、前作『スノーピアサー』も含めて、底辺の人々が直面する社会システムへの怒りとその破壊である。

 ユーモアを交えた格差社会への怒りが、観客の共感に繋がり、凄惨な結末を納得させる。それが世界共通の思いである事をアカデミー賞受賞は伝える。高台の豪邸と底辺の暮らしの二極化は、過つても映画のテーマであり、57年前には巨匠・黒澤明監督が『天国と地獄』で描いて居る。山崎努が演じる医学生は、谷底の街から高台に住む三船敏郎が演じる企業経営者を憎み、息子の誘拐に及ぶ。
 只、この時代の二極化は、その後の高度経済成長によって多くの中産階級を生み、大量消費時代と為って解消された。だが、パラサイトの時代は脱出のしようが無い。

 中でも、巨大プラットフォーマーは無料サービスの対価として得た個人情報を利用、電子商取引に生かすだけで無く、利用者に好みの衣食住環境を提供、銀行、証券、保険と云った金融サービスは勿論、医療、教育などアラユル分野をプラットフォーム上で賄える様にする。プラットフォーマーの持つ権力と影響力は国家並みに強大で、それに対抗出来るのは国家しか無い。
 だから世界が、GAFA対策に奔走、GAFAも過つての傲慢な姿勢を修正、日本でもアマゾンは、出店者の1%ポイント負担を撤回、売上高を国内法人に計上、日本での納税に切り替えた。

 三木谷氏はそうした動きに逆行、出店者に負担を強いて公取委にケンカを売った。それはオーナーでワンマンの三木谷氏の判断である。文句を着ける事は出来ないが「国家とのケンカ」は、顧客や民衆の賛同を得て、始めて勝利する過酷なものだ。
 国家に戦いを挑み、仮に勝利したとしても待ち構えるのは時価総額で100倍規模のアマゾン。5万の出店者の支持無しに、アマゾンと同じ土俵で戦って、どんな勝算があるのだろうか。


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             伊藤 博敏 ジャーナリスト   以上









  「送料無料」を「送料込み」に修正 楽天社長「反省して居る」 

              〜TBS News i 2/13(木) 17:41配信〜


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 ネット通販サイト「楽天市場」で一定額以上の買い物で送料を無料にする方針に付いて、楽天の三木谷社長は「送料無料」と云う表現を「送料込み」に修正する考えを明らかにしました。  

 「送料込みって言う方が正直だし、皆に分かり易いのではないかと云う事で、この様に名前を変更する様にさせて頂いて居ます」(楽天 三木谷浩史社長)
 
 楽天の三木谷社長は、ネット通販サイトの「楽天市場」で3980円以上の買い物で送料を無料にする方針に付いて、これ迄「送料無料」として居た表現を「送料込み」に修正する考えを明らかにしました。修正に付いて三木谷社長は「送料無料の言葉が一人歩きして居て、反省して居る」と述べました。

 楽天市場の送料無料化を巡っては、公正取引委員会が出店者側に送料を負担させるのは独占禁止法違反の疑いがあるとして、調査を行って居ます。
 これに付いて三木谷社長は、独占禁止法には違反しないとの認識を示した上で、送料込みの価格表示に付いては、予定通り3月18日から実施する考えを改めて示しました。一方で、退店する店舗に対しては、出店料の払い戻し等経済的な補填も含めて検討し、2月中に出店者に案内を送ると云う事です。
 (13日16:56)

        最終更新 2/13(木) 21:08  TBS系(JNN)    以上









 楽天 退店店舗に払い戻し 送料無料化めぐり

                〜ロイター 2/13(木) 17:40配信〜

 2月13日、インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天の三木谷浩史会長兼社長(写真)は決算会見で、3月中旬から予定する送料無料化の施策に関連し、送料無料の施策が原因で退店する店舗に対し、出店料を払い戻すとの方針を明らかにした。

 [東京 13日 ロイター]  インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天<4755.T>の三木谷浩史会長兼社長は13日の決算会見で、3月中旬から予定する送料無料化の施策に関連し、送料無料の施策が原因で退店する店舗に対し、出店料を払い戻すとの方針を明らかにした。

 三木谷社長は「店舗に中長期で大きな損失が出無い様小売価格を調整する様周知徹底しようとして居る。それでも退店する店舗に、どう云う補填が出来るか確り考える」と述べた。退店する店舗には、

 1)店舗が移転する場合、既存顧客に移転先の外部販売チャネルを案内する様支援
 2)楽天市場出店料の払い戻し

 
 ・・・をする考え。払い戻しの詳細は2月中に店舗に案内する。 楽天は、3980円(税込)以上の購入で沖縄と離島等を除く地域への送料を無料とする考えで、3月18日からの導入を予定して居る。日程は予定通りとし「これに向けて、何万と云う店舗が準備して居る。今更戻されても困ると云う声も多い」と説明した。
 楽天の送料無料化の施策を巡っては、一部の出店者は独占禁止法違反に当たるのではないかと反発。公正取引委員会は独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いで10日、立ち入り検査に入った。

 三木谷社長は会見の場で、送料無料化策に付いて「送料込みライン」と表現。これ迄は「送料無料ライン」として居た。背景として公取委の影響が「有ったか無いかと云えば有った」と述べた。三木谷社長は「送料無料の方が消費者には響きが好いが、送料込みの方が判りが好い」と述べた。

 三木谷社長は「我々の裁量で価格をコントロールして居ると云う積りは無い。店舗で(商品価格等で)調整して呉れと言って居る。優越的地位濫用には当たら無い」と主張した。3980円で実施すれば、少なくとも10%位店舗の流通が伸びるとの見方を示し理解を求めた。時代の流れは送料無料だとし「当局が消費者の行動迄正確に理解し、判断して居るかは疑問」とも述べた。


           ロイター 平田紀之   以上 







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<青い空白い雲>山本太郎は共産党の広告塔!と主張する「赤狩り」の面々〈サンデー毎日〉


 <青い空白い雲>山本太郎は共産党の広告塔!と主張する

 「赤狩り」の面々〈サンデー毎日〉


              〜mainichibooks.com 2/13(木) 12:03配信〜


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 ◇牧太郎の青い空白い雲755◇

 新型肺炎の情報が溢(あふ)れ、2月2日投票の京都市長選は殆ど全国ニュースに為ら無かった。でも、この地では、大袈裟(おおげさ)に言えば「応仁の乱」(室町時代11年続いた内乱)並みの異常な出来事が進行して居た。

 京都新聞に【大切な京都に共産党の市長は「NO」】【私達の京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません】と云う広告が載ったのだ。(1月26日朝刊)
 広告主は、4選を目指す門川大作候補(公明党・自民党京都府連・立憲民主党府連・国民民主党府連・社民党府連推薦)の支持母体「未来の京都をつくる会」可成りドギツい文句である。首長を選ぶ「戦い」である。政策絡みの主張は歓迎だが、高額な広告料を投じた「共産党が悪だ!」と云うネガティブキャンペーン。

 「1強」の安倍政権に対してNO!と云うのなら未だしも「5党相乗りで現職圧勝確実!」と言われるのに、一弱の共産党を狙い撃ちするナンて・・・「反共」の面々が新聞紙面を買った!と云う印象だったが・・・選挙結果は、現職の門川大作が21万640票を獲得し、共産党・れいわ新選組の推薦候補の福山和人(16万1618票)と無所属の村山祥栄(9万4859票)を制した。
 現職圧勝!と見るか、2人の新人善戦!と見るか、微妙だが、投票率は40%を久し振りに超え40・71%。(前回35・68%)共産党と「れいわ新選組」推薦候補が投票率を上げたのは間違い無い。

 昨今「赤狩り」を感じて為ら無い。冷戦初期の1948年頃から1950年代前半に掛けて、アメリカで起こった、共産党員・共産党シンパと見られる人々を排除した過激な運動。ニセの「共産主義者リスト」為るものまで登場し、偽証・自白強要は数知れず。権力による「赤狩り」は凄(すさ)まじかった。チャップリンを初め優れたハリウッドの人間も多数追放された。
 今回の京都市長選にも「赤狩り」を感じて為ら無い。「れいわ新選組」の山本太郎は共産党の広告塔!と云う意見がある。

 山本は「消費税で苦しんで居るのは中小企業」「消費税廃止の財源27兆円は、有る処から、法人税・所得税として取れば良い」と主張する。すると、反共の面々は「27兆円」を試算した税理士は民商・全商連と関係が深い人物民商は「税金を為るべく払わ無い」組織民商は共産党系の団体だから山本太郎は共産党の広告塔だ!と持論を展開する。

 でも早い話が財務省と経団連は結託して居る。経団連は「消費税を社会保障財源にするなら消費増税に賛成する。代わりに、法人税を減税して呉れ!」と主張し、その通りに為って居るじゃないか。
「共産党は暴力革命政党だ」と批判する向きもある。しかし、日本共産党は一貫して選挙と議会による改革を追求して居る。「反共」は時代遅れだ。

                   以上









 ヒーロー待望論に応える山本太郎は「尊皇ポピュリズム」だ!

           〜牧太郎の青い空白い雲753 2020年2月 9日号〜


 『文藝春秋』2月号のトップ記事は〈政策論文「消費税ゼロ」で日本は甦る 山本太郎〉だった。月刊『Hanada』程極右では無いが『文藝春秋』も可成り「右寄り」一部で「左派ポピュリズム」と批判される山本太郎に11ページも割くのは意外だった。

 内容は彼が何時も話している「貧困地獄を終わらせる為に、消費税廃止で財源27兆円を生み出す」と云う持論。反応は上々らしい。勘ぐれば、世の「ヒーロー待望論」に応え、売るが為に「山本太郎」を利用したのかも知れない。
 今の日本は切り捨てご免。ホームレスのオジサンに「自己責任だから、ハローワークに行け!」と命令する。そう言われても、彼等に「登録する住所」は無い。自己責任とは別に「政治の責任」がある筈だが、弱者切り捨てご免なのだ。でも、山本は「貧困・格差の現場の声」を汲み取る。

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 その為には、当然、財政出動が必要だ。貧乏人にカネ寄越せ!である。その意味では間違い無く「ポピュリズム」大衆迎合主義だろう。しかし、世間が言う様に「左派」では無い。彼は「尊皇ポピュリズム」なのだ。
 2013年の園遊会。参院議員だった山本は天皇に直接手紙を渡した。受け取った天皇は侍従長に渡したが、そこには「福島の子供達の被ばくや健康被害、原発の高線量エリアで働いて居る作業員達の健康や放射線管理があまりに杜撰だ!」と書かれて居た。
 当時、国会では特定秘密保護法案が審議されて居た。この法案が通って仕舞えば、福島第1原発事故を初め、権力者に取って「都合の悪い」事は隠されてしまう!と訴えた。

 どの時代にも「君側(くんそく)の奸(かん)」が存在する。「君主の側」に立ちながら、君主を思うママに操り、悪政を繰り返す「奸臣」が存在する。山本は天皇に「本当のこと」を伝えたい!と思った。「君側の奸」を排除し無ければ為らない。
 昭和維新運動を思い出した。天皇と国民の間に「君側の奸」が居るから、天皇の大御心が届か無い!と信じる人達が血盟団事件等のテロを起こした。多分、山本は左翼でも右翼でも無い。彼は皇室に敬意を持つ「正義の大衆政治家」なのだ。「れいわ新選組」と云うネーミングに「尊皇」の意志が表れて居るではないか!

 財界の味方をする「右翼」でも、労働組合の事ばかり考える「左翼」でも無い。武力や策略による「覇道」では無い。敢えて言えば、山本は「王道」を信じる「尊皇派」なのだ。だとすれば『文藝春秋』の編集方針も納得出来るのだが。


                    以上









 実況見分 天皇陛下に直接原発関連の手紙を渡した山本太郎議員に賛否両論

 2013年10月31日に赤坂御苑行われた秋の園遊会で山本太郎議員が、直接天皇陛下に手紙を渡すと云う事件が。山本氏によると手紙の内容は原発関連との事。直訴とも取れる行動にネットでは賛否両論の声が。前代未聞の山本氏の行動に付いてまとめました。

            〜更新日  2013年11月01日〜


 この記事は私がまとめました・・・monet333さん

 ・山本太郎参院議員が秋の園遊会で天皇陛下に直接手紙を渡す

 山本太郎参院議員(無所属)は10月31日、東京の赤坂御苑で同日に開かれた秋の園遊会で、天皇陛下に手紙を手渡した。
 午後2時半頃、山本太郎参議院議員が折り畳んだ白い手紙を取り出し、天皇陛下に直接手渡した。宮内庁によりますと、天皇陛下に直接、手紙を渡す行為は極めて異例。手紙は侍従長が預かったと云う。山本氏は内容は「原発問題」だとする。山本太郎参院議員は手紙を渡した事に付いて、同日記者会見し「原発労働者等の現状を陛下に伝えたかった」と述べた。
 山本氏は「原発事故での子供達の被曝や事故収束作業員の劣悪な労働環境の現状を知って欲しかった」と記者団に説明。一枚紙に筆で自ら認めたものだと云い「子供等の被曝問題」「収束作業に携わる労働者の被曝・搾取問題」に付いて前日に記したものだと云う。
 「常識的には失礼に当たるかも知れないと思ったが、禁じられて居るとは聞いて居なかった」と主張。その上で「陛下を政治利用した事には当たら無いが、どうレッテルを貼って貰っても結構だ」と強調。                

          以上






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ブレグジット 欧州の歴史を振り返る




  ブレグジット 欧州の歴史を振り返る

                〜JBpress 2/12(水) 6:01配信〜


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               英ドーバーにある白い壁

 ロンドン・ウェストミンスター宮殿前の議会広場に集まった離脱賛成派の人々。カウントダウンが始まる。3・2・1・・・1月31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)遂にブレグジットが現実と為る時が来た。但し今年一杯は「移行期間」詰めるべき問題は山積である。
 そんな歴史の大きな節目に居る今、EUの欧州の歩んで来た道を、映画で辿りながら、地域を世界を考え直してみたいと思う。1回目と為る今回は「島国」英国と「大陸ヨーロッパ」の境界・・・英仏海峡(イギリス海峡)

 関税問題や北アイルランド紛争への懸念からアイルランド共和国との陸の国境が議論の的と為ったが、島国である英国には、他にも海上に多くの国境がある。フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ・デンマーク・ノルウェー(海外領土は除く)・・・ノルウェー以外は何処もEU加盟国である。
 元々、グレートブリテン島は大陸と繋がって居り、最終氷期が終わり徐々に海面が上昇した事から、8000年程前、現在の北海で分断された過去があり、ソコに国境の多くの部分がある。そして、南方の「大陸ヨーロッパ」との間には、今、全長560キロ程の英仏海峡がある。その幅は西端で最も広く180キロ程、最狭のドーバー・カレー間では34キロしか無い。

 同様に島国に住む我々日本人には他国との「境」を意識する機会は余り無く「大陸」は遠い存在だが、この地には「大陸ヨーロッパ」との侵略と防衛の長い歴史があり「大陸」は決して遠い存在では無い。1910年『素晴らしきヒコーキ野郎』(1965)の航空機レース参加者達が、ドーバーの崖の上から、海、そしてその彼方の「大陸」を見て居る。

「対岸は随分と遠いな」
「アンタ(ヒコーキが落ちたら)泳げるか」
「フランスが見えるぞ」
「確かに。だけどその間の水が大問題」


 実際、晴れた日には対岸が見える。しかし、当時の航空機の能力では海峡を渡り切るのは難行。だから、ロンドンからパリへと向かうレースも、海峡の両岸のドーバーとカレーが中継地点と為って居る。映画はフィクションだが、ライト兄弟の初の「本格的有人飛行」が1903年末。ルイ・ブレリオが英仏海峡を航空機で初めて渡ったのが1909年7月の事である。
 ブレリオはデイリーメイル紙が懸けた1000ポンドの賞金を手にして居るが、映画ではそれを遥かに上回る「デイリーポスト紙」の1万ポンドの賞金と名誉を目指し、白い崖の上に建つドーバー城上空も海峡も頼り無げに飛ぶ航空機が映し出される。

 海峡最狭部「ドーバー海峡」は、常に侵略と防衛の舞台。その白亜(チョーク・未固結の堆積岩)の白色際立つ100メートルを超える断崖「ドーバーの白い崖・White Cliffs of Dover」は、英国防衛の象徴で有り続けた。しかし、ノルマンディ公国のウィリアムによる11世紀の「ノルマン・コンクエスト」を最後に、大陸からのグレートブリテン島侵略は成功して居ない。
 16世紀末のエリザベス1世統治の時代、制海権を握り「黄金の世紀」に有ったスペインとのアルマダの海戦の舞台と為って「無敵艦隊」を破った。

 海上を制する「大英帝国」たる19世紀初め、勢いに乗るナポレオンが対岸ブローニュ(カレー南西30キロ)の港に英国上陸部隊を多数集結させても「英国を亡国から救った英雄」ホレーショ・ネルソン提督の活躍でスペイン沖トラファルガーの海戦を圧勝、制海権を死守し本土占領作戦を封じて居る。
 それ等の戦いを描く『無敵艦隊』(1937)『美女ありき』(1941)は英国の勇気を讃えるが、ソコには、稀代のシェイクスピア役者ローレンス・オリヴィエと『風と共に去りぬ』(1939)の美人女優ヴィヴィアン・リーの映画史を彩るサイドストーリーもある。

 前者の最後結ばれる役柄での初共演から2人は所謂「W不倫」関係と為り、要約結婚した直後に歴史的に有名なW不倫関係を描く後者に出演したのである。そして20世紀『素晴らしきヒコーキ野郎』のレースの頃から間も無く始まる第1次世界大戦、更には第2次世界大戦でも海峡は多くの戦いの舞台と為る。

 ドーバーは英国入国のメインゲートでもあり、旅行者も白い崖を見ると英国に来た事を実感する。第2次世界大戦最中の1942年のロンドンの病院で、看護師スーザンが過去を振り返り始まる『ドーヴァーの白い崖』(1944)でも、1914年、英国を訪れた米国人旅行者である彼女が、船上から白い崖を見て英国や祖国を思い感傷的に為る。
 韻文としては異例の大ベストセラーと為った1940年発表のアリス・デュア・ミラーの韻文小説をベースとした物語は、ソコから、2つの世界大戦期の、男女の家族のそして英米の絆を歌い上げて行く。スーザンは英国人男性ジョンと恋に落ち結婚、英国に留まる事に為った。

 しかし、第1次世界大戦が勃発、出征した夫と束の間の幸せの時を北フランスの港町ディエップで過ごすが・・・ディエップには、スーザンは船で、ジョンは大陸の戦地から鉄道で遣って来る。英仏海峡の対岸ノルマンディ地方東部に位置するフランス有数の港町は、英国の芸術家達に愛されたリゾート地でもある。
 北フランスは、英国の歴史の一部でもあり英国人には身近な地。ノルマンディ公国のウィリアムがイングランドを征服してから1世紀半程後、フランスのフィリップ2世がノルマンディ公国を併合。百年戦争の時代にはイングランドが占領したものの、終戦後、再びノルマンディはフランス領、その一方で、カレーはその後100年程、イングランド領で有り続けた歴史がある。

 英国に戻ったスーザンは第一子ジョンを出産。 外で米軍が行進して居るのを見て、戦争は終わり夫も帰って来ると希望を持つが、終戦直前、夫は戦死・・・『ドーヴァーの白い崖』は1944年製作のロマンス劇だが、原作同様、戦意高揚作品としての色合いは濃く、スーザンは、戦後、米国への帰国を考えながらも英国に残り、英軍に入隊した息子は第2次世界大戦の戦地へと向かう。
 1939年9月、第2次世界大戦開戦、英仏はドイツに宣戦布告した。しかし、海上での通商破壊や北欧での戦い等はあっても、国境を接する独仏本国での本格的戦闘は無く「まやかしの戦争」状態にあった。

 処が1940年5月、突如、ドイツはベネルクス三国、そして北フランスへと攻め込む。そして、英仏を中心に連合軍40万人余りが、北フランスの地に追い詰められてしまう。クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(2017)は、冒頭、ベルギー国境に程近い港町ダンケルクのビーチに溢れ返る英仏兵士達の絶望的な姿を臨場感タップリに見せる。

 将校たちが話して居る「ココから見えるのにな」「何が?」「祖国だ」「フランスには何と?」
「チャーチル首相は表向き「共に撤退」と言って居る」「実の処・・・」「我が軍だけ救出する」
「どの位を考えて居るのだろうか」「首相は3万人、ラムゼイ提督は4万5000だと」「ビーチには40万居るのに・・・」


 そして、軍艦のみ為らず、多数駆り出された民間の漁船商船ヨット等が、英仏海峡の対岸へと向かい、兵士の英国への撤退作戦が遂行されるのである。民間船で「撤退」に「成功」グレートブリテン島を目前に、兵士が白い崖を見て言う。

 「ドーバーか」「嫌ドーセットです。でも故郷です」

 英国人には白い崖は祖国に帰った象徴でもある。兵士は呟く「ガッカリさせたんだろうな」結局10万人を超える仏兵を含む33万人以上が「撤退」に「成功」。そして、兵士の懸念とは逆に、英国民は「帰還兵」を熱烈に歓迎。結果的に国民の士気を高める事にも為った。しかし、飽く迄も現実は撤退、戦いに勝利した訳では無い。
 大陸では進撃を続けるドイツ軍の前に為す統べ無く、6月22日、独仏休戦協定が結ばれ、カレーやノルマンディを含む北フランスはドイツの占領地域と為る。

 ウェイガン将軍が「Battle of France」の終わりを告げた今「Battle of Britain」が始まろうとして居るる。破壊し尽くされたダンケルクの海岸を背景に、BBCラジオがチャーチル首相の議会での発言を伝え、軽快なマーチと共にメインタイトルが始まる『空軍大戦略』(1969)の原題は「Battle of Britain」

 英国サイドの目ではあるものの、独軍の描写もソコソコある戦争大作には、カレーの高級ホテルのビーチでのこんなシーンもある。ドイツ軍将校達がミルヒ元帥(監察長官)に望遠鏡で対岸の白い崖を覗かせる。

 「ドーバーか」「我々は英国攻撃を待ち望んでます」「考えて居るより早く実現するぞ」

 『素晴らしきヒコーキ野郎』の「ヒコーキ競争」から数年後始まった第1次世界大戦の中、飛躍的に進歩した航空機技術で、制海権から制空権の時代と為って居た。白い崖を背に飛び立つ英軍戦闘機 100機ものドイツ軍機も北へと飛んで行く 英仏海峡では激しい空中戦が繰り広げられる 指令室の英仏海峡の巨大地図に示される戦況は刻々変化 やがてロンドン空襲、そしてベルリン空爆

 第2次世界大戦で本土侵略の危機に立たされた英国の「Battle of Britain」を描くこの戦争大作で、英国を勝利に導くダウディング大将を演じて居るのが、前述の『無敵艦隊』『美女ありき』でも英国を救う英雄を演じた名優ローレンス・オリヴィエ。
 そして現実の「Battle of Britain」の頃、オリヴィエはヴィヴィアン・リーと結婚、米国で撮影に入りネルソン提督を演じた2人の共演作『美女ありき』には、ナポレオンをヒトラーに準える戦意高揚映画としての一面もあった。

 劣勢に立たされる英国はポーランド、チェコ、カナダ中隊でパイロット不足を補い、戦略も変え反撃に出る。へルマン・ゲーリング国家元帥は爆撃機に被害が急増し「決定的打撃」を受けた事を将校達に伝えられ激怒し言い放つ「制空権を握る迄上陸作戦は開始出来ん」「Battle of Britain」は終わり、ドイツ軍の本土上陸の危機は去った。とは云え、それは「自衛」の戦い。フランス北部のドイツ軍支配は堅固なママだった。

 2年後、ノルマンディ地方東部の港町ディエップに、早朝、英軍とカナダ軍中心の部隊が上陸しドイツ軍に急襲を掛ける。しかし、堅く守られた港のドイツ軍要塞から一斉射撃を受け、作戦参加者の半数以上が戦死・負傷・捕虜と為る大惨劇と為ってしまう。
 運び込まれた多くの重傷兵の中に息子ジョンも居る事を知るスーザン。 ジョンは自分がディエップで負傷した事を語る。スーザンもソコが過つて父と訪れた事がある街である事を語る。死に行くジョン。外では米軍が行進している・・・そんなドラマチックな米国製戦意高揚映画『ドーヴァーの白い崖』が米国で公開された翌月の1944年6月、連合軍はディエップの西方から大規模な上陸作戦を敢行する。

 今度は、2年前とは違い、諜報活動等で準備を整えた上での作戦。欧州の海岸線を要塞化したドイツの「大西洋の壁」の「穴」と判断しての事だった。「大西洋の壁」を強化しようとノルマンディの海岸で指示を出すエルヴィン・ロンメル元帥。将校達に語り掛ける「見て見たまえ、諸君。穏やかで平和だ。イングランドと大陸の間の、連合軍と我々の間の水」「しかしこの平和な水平線の彼方には怪物が待ち構えている。夥しい数の男達が、船が航空機がヤガテ遣って来る」「だが、一人の連合軍兵も上陸させん。水際で殲滅させて遣るのだ」「侵攻は最初の24時間が勝負。連合軍に取ってもドイツ軍に取っても「Der Längste Tag・The Longest Day」に為るだろう・・・」

 そして始まる「ノルマンディ上陸作戦」を壮大なスケールで描く『史上最大の作戦(原題「The Longest Day」)』(1962)は見覚えあるスターが次から次へと登場するオールスターキャストの戦争大作。
 実際、その日は多くの犠牲者を出す「長い1日」と為ったが作戦は成功、欧州戦線は転機を迎え、その後も決して楽な戦いでは無かったが、8月にはパリを解放する。そして、最後迄ダンケルクではドイツ軍が立て籠もったものの、翌年5月、ドイツ降伏・・・英国はフランスとの対立の歴史を、歴史的転回で同盟関係へと変えた。

 その一方で、独仏対立の歴史、特に1870年の普仏戦争以来の対立が、欧州大陸の火種と為り、20世紀前半の世界に途轍もない犠牲をもたらした。
 『ドーヴァーの白い崖』の物語は、第1次世界大戦の時も第2次世界大戦の時も、米国生まれの女性が、ドイツに攻め込まれたフランスの「大陸の戦い」で英軍の一員として戦った愛する者を失う。その繰り返しのプロットは、2つの世界大戦の流れそのものでもある。

 そんな世界に繰り返し悪夢をもたらした「欧州の内戦」の苦い過去が、戦後、戦争回避の仕組みの一面を持つECSC・欧州石炭鉄鋼共同体、そして現在のEUへと結実したことは言う迄も無い。
 航空機黎明期の『素晴らしきヒコーキ野郎』の男達は、鉄路に沿い25時間以上掛けて飛び、ロンドンからパリへと辿り着いた。その後航空機は時間距離を飛躍的に縮めたが、空を飛ば無くとも、その下の鉄路を、ドーバー海峡をも通り抜けるユーロスターに「乗れれば」2時間余りで、誰でも2つの古都を行き来出来る。

 ここで「乗れれば」と書いたのは「正式」には乗れ無い者達も居るからだ。英国民にブレグジットを決断させた大きな原因とも為った英国へ向かおうとする難民や移民達である。そんな英仏海峡の「いま」については、次回、改めて見て行く事にしたい。

 (本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画に付いての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)









 (再)91.素晴らしきヒコーキ野郎 Those magnificent men in their flying machines 1965年米国映画

 (監督)ケン・アナキン(出演)スチュアート・ホイットマン、サラ・マイルズ、ゲルト・フレーベ、石原裕次郎 (音楽)ロン・グッドウィン・・・航空機黎明期に開催されたロンドンからパリまでのレースを描くドタバタ劇。何時もながらの日本人の奇妙な描写には辟易するが、同時に米英仏独伊といった出場国のキャラクターもステレオタイプ化されているので、欧米人の考える各国人のイメージというものが見えて来る様で興味深い。


 1425.無敵艦隊 Fire over England 1937年英国映画

 (監督)ウィリアム・K・ハワード(出演)フローラ・ロブソン、レイモンド・マッセイ、ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー・・・エリザベス1世統治下の16世紀末、覇権をかけスペインと戦うイングランドを描く歴史劇。当時米国で無名だったヴィヴィアン・リーの演技を大物プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックがこの作品で見ており、リーを『風と共に去りぬ』(1939)のスカーレット・オハラ役にキャスティングするきっかけとなったことでも知られている。.

 1426.美女ありき That Lady Hamilton 1941年英国映画

 (監督)アレクサンダー・コルダ(出演)ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー・・・トラファルガーの海戦で「英国を亡国から救った英雄」ホレーショ・ネルソン提督のエマ・ハミルトンとのW不倫を『ヘンリー八世の私生活』(1933)などで知られるアレクサンダー・コルダ監督が描く歴史大作。.

 1427.ドーヴァーの白い崖 White Cliffs of Dover 1944年米国映画

 (監督)クラレンス・ブラウン(出演)アイリーン・ダン、アラン・マーシャル、ヴァン・ジョンソン・・・2つの世界大戦で愛する者を次々亡くす女性を『邂逅』(1939)のアイリーン・ダンが演じた『緑園の天使』(1945)『仔鹿物語』(1946)のクラレンス・ブラウン監督作。戦中期の幼馴染を演じる2人の名子役、のちの大女優エリザベス・テイラーと名脇役ロディ・マクドウォールは私生活でも生涯の親友だった。
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 1428.ダンケルク Dunkirk  2017年英国映画

 (監督)クリストファー・ノーラン(出演)フィン・ホワイトヘッド、マーク・ライランス、ジャック・ロウデン・・・北フランスのダンケルクに追い詰められた多数の兵士たちを英国へと「帰還」させる「ダイナモ作戦」の様子を『ダークナイト』(2008)『インターステラー』(2014)などのクリストファー・ノーラン監督が描くアカデミー賞8部門にノミネートされ編集賞など3部門で受賞した臨場感あふれる戦争大作。


 1429.空軍大戦略 Battle of Britain 1969年英国映画

 (監督)ガイ・ハミルトン(出演)ローレンス・オリヴィエ、トレヴァー・ハワード、クリストファー・プラマー、スザンナ・ヨーク(音楽)ロン・グッドウィン、ウィリアム・ウォルトン・・・1940年の夏から秋にかけドイツ軍の英国侵攻を防御すべく制空権をかけ戦った「Battle of Britain」の詳細をオールスターキャストで描く、007シリーズで知られるガイ・ハミルトン監督による戦争巨編。
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 1430.史上最大の作戦 The Longest Day  1962年米国映画

 (監督)ケン・アナキン、ベルンハルト・ヴィッキ、アンドリュー・マートン(出演)ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス、クリスチャン・マルカン・・・『遠すぎた橋』の原作でも知られるジャーナリスト、コーネリアス・ライアンのノンフィクションをもとに、第2次世界大戦の行方をきめた「D-デイ」、連合軍のノルマンディ上陸作戦を巨額の製作費を投じオールスターキャストで描く戦争巨編。  出演者の一人でもあるポール・アンカ作の主題曲は映画音楽のエバーグリーンと為って居る。


         竹野 敏貴   以上







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