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2020年01月11日

ゴーン国外逃亡は我々に何を問うて居るのか 郷原信郎氏(弁護士)




 




 ゴーン国外逃亡は我々に何を問うて居るのか 郷原信郎氏(弁護士)

          〜ビデオニュース・ドットコム 1/11(土) 20:05配信〜


         1-11-18.jpg

 暮れも押し迫った2019年12月31日の早朝、日本の刑事司法史上前代未聞のショッキングなニュースが日本を駆け巡った。「ゴーン被告国外逃亡!」金融商品取引法違反や特別背任等の容疑に問われ保釈中だった元日産のカルロス・ゴーン会長が、何らかの方法で日本を密出国しレバノンのベイルートに到着したと云うニュースだった。世界中が注目する経済事件で保釈中だった刑事裁判の被告が、国外逃亡を図り見事に成功した瞬間だった。

 年明け早々からゴーン氏の逃亡のルートや方法等がメディアを賑わせ「プライベードジェット」や「元特殊部隊」「音響設備ボックス」等の見出しが躍った。そして1月8日、ゴーン氏が初めてメディアの前に姿を見せ、日本の刑事司法制度批判やメディア批判、日産、警察、政府による自身追い落としの為の陰謀論、自らの身の潔白等を2時間近くに及ぶ記者会見で一気に捲くし立てた。
 その間政府は、官房長官から法務大臣、延いては東京地検迄が総出で、ゴーン氏の逃亡が決して看過されるものでは無い事や、ゴーン氏が逃亡の理由として居る日本の刑事司法の問題点は逃亡を正当化する為の一方的な言い分であり、日本の刑事司法は正当かつ合法な制度が正常に機能して居る事等を繰り返し主張した。

 先ずは日本の出入国管理の態勢の見直し

 主権国家としては保釈中だった刑事被告人が裁判を逃れる為に国外逃亡する事が容認され無いのは当然だが、日本の出入国管理の態勢に欠陥がある事が明らかに為った以上、先ずはその点が問題にされ無ければ為ら無い事は言う迄も無い。
 ゴーン氏が何をしようが、そこサエ確りして居れば、今回の問題は起きて無いのだ。本当に元特殊部隊員だったのかどうかは定かでは無いが、海外の民間の業者が10日程の下見で、密出国の為の出国管理の穴が簡単に見付かってしまう程、日本の出入国管理が杜撰だった事は重大問題だ。

 密出国が出来ると云う事は密入国も可能だと云う事に為る。特に今回は空港から航空機による出国だった様だが、海岸線に囲まれて居る日本としては、他にも密かに出入国する方法が幾らでも考えられる。麻薬等違法物資の持ち込みの可能性等も含め、何を置いても先ず出入国管理の有り方を今一度検証する必要があるだろう。

 サテ、問題は日本の刑事司法制度だ。今回、ゴーン氏が脱走に成功した事で、政府は保釈基準の厳格化を再検討すると言ってみたり、密出国と云う違法行為を犯したゴーン氏が主張する日本の刑事司法制度の問題点は「一方的で根拠に乏しい」もので「日本の刑事司法制度は正当かつ正常に運営されて居る」等と必死で現在の刑事司法制度を擁護して居る。

 保釈基準に付いては、日本の保釈基準が国際標準と比べて緩いと云う事は決して無い。寧ろこれ迄の「否認をする限り保釈しない」方針が異常だった。
 問題はこれ迄人質司法が余りにも長く当たり前の様に続けられて来た為に、司法行政が保釈された刑事被告人を如何に適正に管理するかと云うマインドがマルで欠落して居た事だ。その為今回の様に国際世論に押される様な形で裁判所が保釈を認めてしまうと、抜け穴だらけの管理体勢の下に刑事被告人を置く事に為る。
 元より弁護人に、保釈された被告人の管理責任を全て負わせる事等不可能だ。保釈後の管理体勢の欠如は、刑事被告人を精神的に追い込み、自白を取る事によってノミ成り立って来た高い有罪率を誇る日本の「人質司法」の弱点がモロに露呈したと言えるだろう。








 何度もの国連の人権委員会や拷問禁止委員会等から改善勧告を受ける日本の司法制度

 又、日本の刑事司法がどれだけ問題を孕んで居様が、ゴーン氏の国外脱出が正当化され無い事は言う迄も無いが、同時に彼の言い分が国際社会では一定の支持を得て居る事を重く受け止める必要がある。
 詰まり、国際的に見ても有り得無い程の長期の起訴前勾留や、弁護士の立ち会いが認められ無い密室の中で行われる高圧的な取り調べと自白の強要証拠開示を義務付けられて居ない検察とメディアのリーク報道による被告人に対する社会的な制裁等々、先進国では到底有り得無い様な、明らかに正当性を欠いた刑事プロセスが今も当たり前の様に行われて居ると云う厳然たる事実は、ゴーン氏の脱走が有ろうが無かろうが、何れは日本が直視し無ければ為ら無い問題なのだ。

 更に問題なのは、それが「真実を明らかにする為の遣り過ぎ」と云うよりも、被疑者や被告人を精神的に追い込んで「落とす」詰まり抵抗力を奪った上で本人の自由意思によら無い自白を強要する事を目的とした、明らかに非人道的な制度と為って居る事だ。
 これは国際的には拷問と見做され、人権上も、制度の正当性と云う意味からも、とても言い訳が出来無いものに為って居る事は、既に日本の刑事司法制度が6度に渉り国連の人権委員会や拷問禁止委員会等から改善勧告を受けて居る事を見ても明らかだ。

 これを機会に、日本の刑事司法制度を真に世界に誇れるものに変えて行く努力

 しかも、この事は多少でも司法に通じた人間であれば誰でも知って居る事なのに、それが一向に改善され無い。刑事司法の問題は誰も手出しが出来ない「アンタッチャブル」に為って居る事だ。
 国を思う気持ちから、逃亡したゴーン氏が許せ無いと云う思いを持つ事は尊い事だが、日本政府も我々も、その思いをゴーン氏を攻撃する事ばかりに消費せずに、この際、日本の刑事司法制度を真に世界に誇れるものに変えて行く事に向けるべきではないだろうか。そうする事で、次に万が一、今回の様な脱走があった時に、「許せ無い」と云う我々の思いを世界中の人々に共有して貰える様な制度を作って行けば好いではないか。

 ゴーン氏に逃げられた事よりも、その主張に世界が耳を傾けて居る事を、我々はもっと悔しがる必要がある。当面心配なのは、今回ゴーン氏のカネに物を言わせた逃亡がマンマと成功し、それに対する政治の危機感や国民の怒りが盛り上がって居る現在の状態を、司法官僚達が自分達の権益強化の好機と捉え、その様な方向に世論を誘導しようとして居る事だ。報道する為に捜査機関から情報を頂か無ければ為ら無いマスメディアも、司法官僚にはカラッキシ弱い。

 先ずは出入国管理を再点検し、穴があれば確りと埋める事。そして、保釈に付いては今回の件で、殊更に保釈基準を厳格化する等して国際標準から更に遠ざかるのでは無く、より近代的な保釈管理の仕組みを構築する事で、国際標準に則った基準で被告人を保釈しても、簡単に逃げられる事が無い様にする事。
 そして最後に、違法に国外脱出した刑事被告人が脱出を正当化する為に展開して居る主張に、海外でも国内でも理解を示す人が一定数出てしまう様な事が無い様に、日本の刑事司法をより人道的でフェアな、少なくとも国連の人権委員会や拷問禁止委員会から勧告される事の無い様なレベルのものに変えて行く事が必要なのでは無いだろうか。


 今週のマル激はゴーン逃亡事件の背景とその教訓、そしてその事が我々に突き付けている問いは何なのかなどに付いて、自身が検察出身者で弁護士に転向してからは検察や日本の司法制度の問題を厳しく批判すると共に、ゴーン氏の事件にも独自の情報源を通じて様々な発信を行って居る郷原信郎氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

             1-11-19.jpg

 郷原 信郎(ごうはら のぶお)弁護士 1955年島根県生まれ 1977年東京大学理学部卒 三井鉱山勤務を経て1980年司法試験合格 1983年検事任官 東京地検検事 広島地検特別刑事部長 長崎地検次席検事 東京高検検事などを経て2006年退官 2008年郷原総合法律事務所(現郷原総合コンプライアンス法律事務所)を設立 2010年法務省「検察の在り方検討会議」委員 著書に『青年市長は司法の闇と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開』『告発の正義』『検察崩壊 失われた正義』など

 本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です 詳しくは当該番組をご覧ください

     ビデオニュース・ドットコム 最終更新 1/11(土) 20:29    以上














「解散総選挙」完全予測 自公83議席減で石原伸晃も落選









  「解散総選挙」完全予測 自公83議席減で石原伸晃も落選

              〜SmartFLASH 1/11(土) 6:31配信〜


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 「国民の信を問うべき時が来れば、躊躇無く解散の決断をしたい」

 2019年12月29日、テレビ番組に出演した安倍晋三首相(65)は、衆院解散の可能性を露骨にチラつかせた。年が明けてもなお、永田町の解散風は止んで居ない。想定される、最も早い解散総選挙のタイミングは、こうだ。1月20日に召集予定の通常国会で補正予算を成立させた直後に解散し、2月4日に公示2月16日に投開票。

 そこで本誌は、地方選挙から国政選挙まで多数の選挙に携わる、選挙プランナー・松田馨氏の協力の基、全選挙区の当落と比例ブロック別の獲得議席数を予測した。そうして弾き出されたのは、冒頭の表にもある通り衝撃の数字だ。自公は最大で83議席を失い、与党の過半数割れも有り得る・・・

  「直近の世論調査では、自民党支持層でも安倍政権を支持し無い人の割合が増えて居ます。閣僚2人の連続辞任や『桜を見る会』での稚拙な対応、そして統合型リゾート(IR)事業を巡って現職議員が逮捕され、確実に安倍政権への逆風が吹き始めて居ます。
 野党が候補者を一本化し、全ての選挙区で与野党一騎討ちの構図を作る事が出来れば、与党が大敗する事も有り得ます」(松田氏)


 自公の過半数割れは、安倍首相の「憲法改正の夢」が潰える事に他なら無い。2017年衆院選で自公が圧勝したのは、野党が候補者を乱立させたのが原因だった。その結果、選挙区で47.8%しか得票出来なかった自民党が74.4%もの議席を獲得
 逆に言えば、次期総選挙で野党が全ての選挙区で共闘出来れば、与党を過半数割れに追い込める可能性も出て来る。

 現在、立憲民主党と国民民主党・社会民主党・旧民主党系の無所属議員を軸に、連携へ向けた協議が山場を迎えて居る。国民民主党の玉木雄一郎代表(50)は「戦術的共闘 が必要だ」と強調する。
 「野党候補が複数出た時点で、当選確率は可成り下がる。野党側は、政策は多少違っても好いから、選挙区での候補者調整を遣らないと勝てません。自公だって政策が違うのに20年以上連立政権を組んで来ました。野党もそれを見習わ無いといけません」
 
 完全な野党共闘が実現した場合、注目選挙区は何処か。松田氏はこう解説する。

 「スキャンダルで辞任した河井克行前法相(広島3区)菅原一秀前経産相(東京9区)は、厳しい戦いを強いられます。竹本一科学技術担当相(大阪区)失言で辞任した櫻田義孝元五輪担当相(千葉8区)石原伸晃元経済再生担当相(東京8区)など、自民党大物議員でサエ、当選は厳しく為るでしょう。『魔の3回生』と云われる自民党の若手議員達も苦戦必至です」

 だが、道程は険しい。首都圏で云えば「千葉5区」「神奈川14区」「東京9区」「東京10区」等は、立憲・国民の候補が競合して居り、共産党も選挙区によっては独自候補を立てる構えを崩して居ない。更に「候補者を100人立てたい」とブチ上げた、山本太郎代表(45)率いる「れいわ新選組」が、台風の目 に為る可能性が高い。だが玉木氏は、共産党・れいわも含めた選挙区調整にも自信を見せる。

 「候補者の一本化は絶対に遣り遂げます。「れいわ新選組」の山本太郎代表が『消費税率5%』を掲げる事は理解出来ます。共産党とも、選挙での戦術的調整は有って好い。経済政策は、野党連携の一つの大義と為ります。国民・立憲が合流すれば120議席。2012年、政権交代前の自民党は110議席台でした。
 国民の期待を上手く集めれば、政権交代は十分可能です。少なくとも、170議席を取れれば、与党の横暴を食い止める事が出来る。衆院解散を、常に受けて立つ態勢で臨んで居ます」


                  以上








 【管理人のひとこと】

 敵失・・・与党が与えて呉れた絶好の機会なのに、野党は「政策・恩讐」を超えられず一つに為ろうと決断出来ない。何時まで経っても生徒会や学級委員会の小さな枠を飛び越せず、仲間内の違いも乗り越えられずに居る様だ。
 策士・小沢一郎氏が出て来ても話し合いが着かないなら、一体彼等に日本の将来を託して大丈夫なのかとの不安が頭を過ぎる。この様な体たらくで今後異常気象や天変地異が起きた際に、果たして国民を確りと導けられるのだろうか。もう、旧来の各党の指導者は若い人達に任せ、協議の場から退いたらどうか。枝野氏も旧民主党の政権の失策の責を負い、一旦は後方に退き次の世代の人にバトンダッチしたら・・・以外にスンナリと統合話が進むかも知れない。何れにせよ、何かを捨てて新たな目標へと向かわなくては、何時まで経っても同じだろう。








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大統領選前に知って置きたい 「アメリカの田舎」にまつわる5つの誤解




 




 大統領選前に知って置きたい 「アメリカの田舎」に纏(まつ)わる5つの誤解

             〜クーリエ・ジャポン 1/11(土) 6:30配信〜

 トランプ時代は、アメリカの田舎に対する新たな興味を引き起こした。2016年の選挙戦で、トランプ氏が必要として居た競争力を彼に授けたのは、アメリカの田舎・・・所謂「忘れられた」地域に住む、白人の、大学を出て居ない有権者達だった。
 世間の関心がドナルド・トランプに集中した事で、アメリカの田舎に住む人々と云えば、主にホボ白人で、保守的な共和党支持者達であると見做す言説が生まれた。田舎に住む人々が、人口密度の高い地域の人々よりもそうした傾向が強いと云う事は、生の数値データから或る程度は理解出来る。

 一方で、2016年からミネソタ北西部の農村に住むワシントン・ポスト紙のレポーターである私は、田舎に対するこうした見方が強く為るのをリアルタイムで目撃し、それ等を実情と比べる機会に恵まれた。2020年の選挙シーズンが本格的に始まるに当たって、アメリカの田舎に付いての一般化された話を聞く際に、気に留めて起きたい5つの誤解を紹介する。

 誤解@ 「田舎と云えば中西部のこと」

 中西部は人口が密集して居ない一地域に過ぎない。国勢調査局の定義によると、都市部や人口が集中して居る場所以外の全ての場所が「田舎」に該当し、その様な地域がアメリカ国土の90%以上を占めて居る。「田舎」は何処にでも在るのだ。
 アメリカの田舎は、ラストベルト(東部から中西部に広がる、脱工業化が進んで居る地帯の事)よりも遥かに広い範囲を指す。実際、ニューヨークやカリフォルニア、マサチューセッツ等、田舎とは真逆に位置付けられる様な大都市の傍に田舎が存在するのだ。

 誤解A 「田舎の住人は白人」

 2018年時点で、田舎とされる地域に住む約22%・延べ1000万人以上が白人では無い。そうした人々は、近所に住む白人達とは大きく異なる政治的考えを持って居る事が多い。選挙戦が非常に僅差で争われる場合、ペンシルヴァニアやウィスコンシンの様な激戦州において、田舎に住むマイノリティからの支持が状況を一変させる事も有り得る。
 こうした数字を見ると、次の様な疑問が湧いて来る。南東部の田舎に住む黒人の有権者達は、2020年の選挙戦で何を求めるのか? 中西部の激戦区に住むネイティブアメリカン達は、大統領への弾劾手続きをどう考えて居るのか? 西部の田舎に住むヒスパニック達は、民主党候補に何を求めるのか? 
 しかし私達は、これ等の問いに対する的を得た答えを持って居ない。何故なら、私達は田舎の白人に付いて語る事にばかり多くの時間を割いて来たから、と云うのが理由のひとつだ。

 誤解B 「田舎の人々は保守派である」

 2016年、非都市部の有権者の内、およそ3人に1人の有権者がヒラリー・クリントンに投票して居る。「非都市部」と云う表現は、正確には「田舎」と同義では無いが、人口統計の専門家等がこの2つの単語を殆ど同じ意味で使用して居る程に、これ等は重複して居る。全体では、アメリカの主要な都市部以外の地域に住む人々の内、600万以上がクリントン側に投票した。
 過つて地元のガソリンスタンドで、退役軍人と元農家達と話した際、驚いた事に彼等全員がクリントンを支持して居た。「田舎に住む民主党支持者」「田舎に住む進歩主義者」と云うカテゴリーは、今日の政治議論から大きく抜け落ちた存在だ。

 誤解C 「田舎の人々はニュースを気にしない」

 レポーターや政治家達は、田舎のアメリカ人を政治ニュースには無関心な人々である様に見做し勝ちだ。彼等の心配事と云えば、穀物価格や地元の税負担、小さな町の政治だと考えて居る。これは「小さな町の人々は、大都市の動きとは離れた簡素な生活を送る簡素な人々である」と云う有害なステレオタイプを強化して居る。
 しかし、田舎におけるニュースの視聴・閲覧に付いて、現実は大きく異なる。例えば、2012年にピュー研究所が調査した処とによると、田舎の地域に住む人々とそうで無い地域に住む人々がニュース視聴・閲覧する時間には殆ど差が無かった。 政治や犯罪、速報等の重要なトピックに対する関心度は、田舎とそうで無いコミュニティに住む人々の間で差が無いと云う事がこの調査から明らかに為って居る。

 誤解D 「田舎こそが本当のアメリカだ」

 これまで紹介した@〜Cの誤解によって作られた「アメリカの田舎暮らしは他の地域の暮らしより本物で、よりアメリカ的である」と云う物語が、最も有害な誤解かも知れない。
 この話の意図は、田舎の人々をアメリカの生活の模範例であり、理想であるかの様にする事だ。しかし、この様に単純化したイメージに固執する事は、実際には複雑で混沌とした彼等の人間性を否定する事に繋がる。その結果「白人保守層の利益ばかり推進する田舎」と云う大雑把な図を描き出してしまうのだ。


            Christopher Ingraham    以上







 

【関連報道】トランプ劇場に慣れた国民は 真面な大統領に満足し無い

    〜POLITICS  8min2020.1.2 クーリエ・ジャポン Text by Kenichi Ohmae〜


           1-11-16.jpg

                   大前研一氏

 大統領選の結果がどう為ろうとも、アメリカは最早元の姿には戻れ無い

 2020年はアメリカ大統領選の年だ。ドナルド・トランプが大統領に就任して、国際社会の政治、経済に多大な影響を与えた様に、選挙の結果がこれからの世界の行方を大きく決定付ける事は間違い無い。しかし『日本の論点2020〜21』の著者である大前研一氏によれば、この3年間でアメリカの民主主義は完全に破壊されてしまった為、もしトランプが再選され無かったとしても、その代償は非常に大きい様だ。

 異形の大統領に破壊されたアメリカの政治システム

 ヨーロッパの安定を支えて来たドイツやフランスの政治状況も真面とは言え無いが、今や世界で一番真面では無い国はアメリカだろう。考えてみれば、西部開拓の英雄デイビー・クロケットの時代からアメリカは真面な国では無かった訳で、民主主義や人権・自由や平等を旗印に掲げて居る内に、何時の間にやら世界のリーダーと為って、アメリカンデモクラシーを範とする価値観を世界に輸出して来た。
 処がドナルド・トランプと云う異形の大統領の出現によって、アメリカの伝統的な民主主義は音を立てて崩れた。最たるものが連邦議会である。アメリカの議会はトランプ大統領のツイッターで完全に形骸化してしまった。

 イギリスや日本の様な議院内閣制の国では、立法府である議会と行政府である政府の結び着きが強いが、アメリカでは大統領制の下、厳格な三権分立制度が採られて居る。立法、行政、司法が完全に分離して居て、互いに牽制したり抑制し合う事で、夫々の暴走を防いでいるのだ。
 行政府の長である大統領は、選挙で国民から直接選ばれるから、議会に対して責任を負う事無く職務を遂行出来る。議会の承認を得る事無く、行政機関に命令する「大統領令」が出せるのだ。但し、立法に関する権限は一切持って居ないので、立法府である議会が作った法律に従って行政権を行使するしか無い。但し、議会の法案に対しては拒否権を持って居る。

 この様にアメリカの大統領は強大な権限を持って居るが、議会との力関係によってはリーダーシップを存分に発揮出来無い事がある。そんな時には、記者会見やテレビ演説を利用して自らの政策を国民に語り掛け、世論の支持を得る事で議会を動かして行く、と云うのが歴代大統領のスタンダードな政治手法だった。
 しかし、トランプ大統領の遣り方は全く違う。自分が考えて居る事を、人事の発令や政策迄含めて全て、先ずツイッターで発信するのだ。

 メキシコ国境の壁の建設、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や気候変動に関する国際的な枠組みである「パリ協定」からの離脱、電撃的な米朝首脳会談、中国に対する制裁関税等、ドレもコレも重要な政策に関わらず、トランプ大統領はツイッターで発表した。
 そうした政策決定のプロセスに議会は殆どノータッチ。議会工作も何も無い。議会は蚊帳の外に置かれて来たのだ。

 議会を無視して「国家非常事態」を宣言

 例えば、メキシコ国境の壁を建設する為には予算が必要だ。予算を得るには議会の承認が必要に為る。しかし、予算の先議権を持つ下院は野党民主党が多数派を占めて居て、国境の壁の予算は下院で拒否された。そこでトランプ大統領は、民主党の反対で予算が十分に確保出来ないとして、2019年2月に「国家非常事態宣言」を発令。これによって国防費等を転用して計80億ドルの建設予算を捻出しようとしたのだ。

 行政府のトップが議会にも諮らずにツイッターだけで政策を発信し、政策実現の為に議会の立法機能を無視して「国家非常事態」迄宣言してしまう。議会は指を咥えて見て居るだけ・・・これが大統領制民主主義を200年以上も続けて来たアメリカの現実なのである。

 アメリカの民主主義の基盤である「厳格な三権分立」の危機的状況は、大統領と最高裁判所の関係性からも見て取れる。前述の国家非常事態宣言に基づいて国防費からメキシコ国境の壁の建設費を転用しようとした問題で、市民団体等が「議会の予算編成権を定めた憲法に違反する」として各地で壁の建設計画の差し止め訴訟を起こした。地裁、連邦高裁共に差し止め判決を下したが、政権側はこれを不服として上訴。
 連邦最高裁は一転、トランプ政権が議会の承認を得ずに国防総省の予算25億ドルを壁建設に転用する事を認める判決を下した。「市民団体に訴える法的権利が無い」とする政権側の主張が認められたのだが、9人の最高裁判事の内、保守派の判事5人全員が賛成に回ったと云う。5人の内2人はトランプ大統領が指名した判事だ。

 トランプ大統領が就任した当時の最高裁は保守派4人、リベラル派4人、中道派1人と云うバランスだった。しかし、判事の死去や引退に伴ってトランプ大統領は保守派の判事を指名して来た。それと共にトランプ大統領が勝訴するケースが増えて居るのだ。
 立法府の議会ばかりで無く、司法においても最高裁が保守化して、トランプ政権の暴走に歯止めを掛ける機能を失いつつある。









 メディアを無力化したツイッター民主主義

 「マスコミが本当の事を報じて呉れず、嘘を着くから仕方無くツイッターを利用して居る。本当はツイッターなんて使いたく無いんだ」

 トランプ大統領はこう語って居るが、マスコミを一切介さず、自分の言葉で直接、国民や世界の人々に向けて発信する効果・威力と云うのは凄まじいものがある。フォロワー数は5000万人を超えて居て、トランプ大統領の言葉は翻訳ツイッターによって各国の言葉でシェアされ世界中に拡散して行く。その浸透力・波及力は従来メディアの比では無い。
 マスコミ嫌いのトランプ大統領は記者会見を遣りたがら無いから、新聞も大統領のツイッターに基づいて記事を書くしか無い。新聞記者の仕事等全く役に立た無く為ってしまった。

 投資家からして見れば、そんな新聞に目を通すよりも、中国への制裁関税がどう為るのか、FRB(連邦準備制度)にどんな利下げ圧力を掛けるのか等々、トランプ大統領のツイッターやインスタグラムをチェックした方が余程価値ある「一次情報」を得られる。
 そう云う意味ではトランプ大統領のツイッター民主主義は三権分立のみ為らず、第4の権力であるジャーナリズム・マスコミにも破壊的なダメージを与えたと言えるだろう。

 マスコミに都合の悪い事を書かれても、ツイッターで「フェイクだ!」と即座に反論して、自分の主張を展開すれば、世界中の人々に届く。例えそれが嘘で塗り固められて居てもである。
 2016年の大統領選挙に干渉したロシアとトランプ陣営が共謀して居たのではないか、そして疑惑解明をトランプ大統領が邪魔した・・・詰まり司法妨害があったのではないかと云うロシア疑惑は、トランプ政権の致命傷に綯っても可笑しく無かった。疑惑の内容自体はニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を凌駕するインパクトがあったからだ。
 しかし、ロバート・モラー特別検察官が提出したロシア疑惑の捜査報告書「モラーレポート」は、政権のカスリ傷にも為ら無かった。

 400ページ以上に及ぶ同レポートは「この報告書は大統領が罪を犯した事を結論付け無いが、容疑を晴らすものでは無い」と云う灰色の結論で結んでいる。それでも司法長官からレポートの概要が発表されるや、トランプ大統領は「共謀は無く、司法妨害も無かった。ゲームオーバー。素晴らしい報告書だ」とツイートで勝利宣言。
 その後、レポートが全面開示されて疑惑に関する大統領の言動の詳細が明かされると、一転して「いかれた報告書だ」「デッチアゲで完全な誤りだ」と何時もの様に非難のツイートを連発した。そう遣って大統領が上げたり下げたりして居る間に、モラーレポートはスッカリ賞味期限切れに為ってしまった。その後のモラー特別検察官の議会証言も1日限りのニュースに終わった。
 ロシア疑惑程のスキャンダルと為れば、モラーレポートを詳細に分析したり、検証して問題点を探り当て、批判的な論陣を張るジャーナリストやオピニオンリーダーが出て来るものだが、骨っポイ言論は最早聞こえて来ない。

 トランプ政権の3年間は、「オピニオンリーダー」とか「識者」と呼ばれる様なインテリ層も破壊した。トランプ批判をしようものならツイッターで速射砲の様な反撃が来る。ケチョンケチョンに叩かれ、貶されるものだから、スッカリ腰砕けに為って、皆、口を閉ざしてしまった。誰も反論し無く為ったのである。

 「トランプ・ベノム」に侵されてしまった米国民

 毒蛇など生物の毒腺で作られる毒液を英語で「ベノム・Venom」と云う。ㇳランプ大統領がツイッターで繰り出すのは正に「トランプ・ベノム」で、咬み着いた相手を痺れさせて動け無くする。そしてトランプ批判と云う自分に向けられた「毒」を忽ち無毒化する解毒作用まである。
 「毒をもって毒を制す」で、北朝鮮との関係はステージアップしたかも知れない。しかし、TPP、パリ協定、イラン核合意、NAFTA(北米自由貿易協定)、NATO(北大西洋条約機構)、中東和平と云った国際協調・世界秩序の枠組みをトランプ・ベノムは破壊、或いは壊し掛け、米中の緊張関係をエスカレートさせて来た。

 トランプ大統領は日米安全保障条約の見直しも再三、言及して居て、今後、日米関係は未知の領域に踏み込んで行くかも知れない。
 国内においては、トランプ・ベノムによってアメリカの議会制民主主義が根底から破壊された。投票によって代表を決め、マジョリティによって政治を進めて行くと云う参加型の意思決定システムと云うものが、僅か一代のトランプ政権によって済崩(なしくず)しにされてしまったのだ。

 二大政党制も大きく揺らいだ。共和党は、トランプ批判をして来た主流派の議員迄大統領の選挙応援を仰ぐ様に為り、完全にトランプ党に成り下がった。2020年の大統領選挙に現職大統領の対抗馬に為り得る候補が出て来るかは疑問で、出て来てもトランプ大統領のツイッター攻撃で撃沈され兼ねない。
 一方、トランプ大統領の再選を食い止める立場の民主党は、候補の乱立が予想されて居るが、現状はリベラルに寄り過ぎて居て、財源の見通しも立た無いのにバラマキ公約をブチ上げる候補者が非常に目立つ。
 その中で比較的中道と見做されてトップを走って来たジョー・バイデン氏を、息子ハンターのウクライナ疑惑で撃ち落としてしまった返り血を浴びて居る、トランプ氏の弾劾裁判の調査が始まって居るので予断は許され無いが、トランプ氏は次々に目先の攻撃対象を変えて状況を変化させて行く事だろう。

 しかも、自分が共和党の候補に為るのは判り切って居るので、予備選を辞めて、行き成り2020年7月の党大会まで持って行こう、と云う検討を始めて居ると云うから半端じゃ無い。2020年の大統領選挙でトランプ大統領が再選され様とされまいと、アメリカはもう元に戻ら無いと私は思って居る。何故ならトランプ・ベノムに遣られて一番痺れてしまったのはアメリカ国民だからだ。
 例えオバマ前大統領の様な理性的なリーダーが出て来て議会と上手く遣ったとしても、トランプ劇場を見慣れた観客達には面白く無い。「自分の考えを説明せよ」「自分の言葉で発信せよ」とブーイングを浴びせる事に為るだろう。ドナルド・トランプと云う破壊者が残した爪痕は余りに深い。


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  ※ この記事は『大前研一 日本の論点2020~21』からの抜粋です  以上







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大阪が「在日の首都」と呼ばれた歴史的ルーツ




 




 大阪が「在日の首都」と呼ばれた歴史的ルーツ

             〜NEWS ポストセブン 1/11(土) 16:00配信〜


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            大阪の裏面史を辿る(時事通信フォト)

 「大阪は在日の首都である」そう表現したのは、過つて「戦後最大のフィクサー」と呼ばれた許永中だ。イトマン事件や石橋産業事件で逮捕された彼は、在日韓国人2世として大阪の中津に生まれ、この街をホームグラウンドにした。
 全国の在日韓国・朝鮮人50万人の内、大阪府には最も多い10万5000人余りが暮らす(2018年末)日本国籍を取得した在日も少無く無い為、実際には遥かに多い数の人々が朝鮮半島にルーツを持つと見られる。大阪市立大学教授で在日韓国人3世の朴一氏が、在日が大阪に集まった歴史的経緯を解説する。

 「江戸時代から商業の中心地だった大阪は、大正時代には『東洋のマンチェスター』と呼ばれるアジア随一の商工業都市と為り、朝鮮半島からも労働者が押し寄せた。取り分け、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった1922年に大阪と済州島を繋ぐ定期航路が開かれると、その流れが一気に加速しました」

 
 当時、済州島は「風と石だけ」と言われる程痩せた土地で、多くの人がこの船に乗って日本に渡ったとされる。慶尚南道等朝鮮半島本土からの移民も急増。1928年に3万5000人だった大阪市の朝鮮半島出身者の人口は、1935年に15万人1942年に31万人と終戦迄膨らみ続けた。
 1940年に日本が行なった国勢調査によると、朝鮮半島ではソウルに次ぐ都市だった平壌が28万人釜山が24万人。如何に多くの朝鮮半島出身者が大阪で生活して居たか分かる。中でもその多くが住み着いたのが、東成区から生野区に掛けての猪飼野(いかいの)地区だった。

 「当時、この地区には地場産業として零細ゴム工場が沢山あり、日本人に比べて賃金の安い朝鮮人は歓迎されました。ゴム工場で働く男子従業員の94%が朝鮮人だったと云う記録もあります」(朴教授)

 その多くは低賃金、長時間労働に苦しめられ、梁石日の小説『血と骨』宛(さなが)らの壮絶な生き様を余儀無くされた。終戦後の混乱期には、猪飼野の傍の鶴橋に闇市が形成され、朝鮮人達が次々に軒を構える様に為る。これが現在、国内外の観光客が集う鶴橋のコリアンタウンや国際市場のルーツとされる。

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                   鶴橋のコリアンタウン

 この鶴橋の闇市の「ドン」と呼ばれたのが、李煕健である。1930年代に慶尚北道から大阪へ渡った李は、鶴橋の闇市で自転車チューブの行商を始めて蓄財し、夜は子分を引き連れて賭博場を開き、市場の顔役へと伸し上がった。そして38歳で大阪興銀(後の関西興銀)の設立に関わる。.

 「終戦後も大阪に留まった在日コリアン達は、日本の労働市場から排除され、焼肉やパチンコ等、在日しか出来ないニッチなビジネスへと活路を求める人が多かった。その際にネックに為ったのは金融機関からの融資です。在日に対する偏見や差別から金融機関は法外な担保や日本人の連帯保証人を求める事が常態化していた。この金融機関の設立がそうした在日達を救い、在日企業の育成に大きな役割を果たした」(朴教授)

 在日が大阪に多く暮らす理由として「気質が合う」と云う点も見逃せ無い。朴教授はこう分析する。


 「東京は過つて武士が人口の5割も占め、建て前を重んじる武家社会の影響が今も色濃く残って居ます。一方、大阪は元々商人や職人の街。『オレと付き合うか、付き泡へ合わへんか、ハッキリせい!』と云う直球の性格が在日コリアンに合ったのでしょう」(文中一部敬称略)

 構成 竹中明洋(ジャーナリスト)※週刊ポスト2020年1月17・24日号   以上














江戸時代の経済成長 何故可能だったのか




 




 江戸時代の経済成長 何故可能だったのか

              〜JBpress 1/11(土) 6:00配信〜


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                東海道中膝栗毛

 過つては江戸時代の経済事情に付いて「低成長で、農民が領主に搾取された時代」と云った歴史観が私達の間で共有されて居ました。
 その遠因は、第二次世界大戦での敗戦にありました。日本が戦争に負けたのは、民主主義国では無く、欧米と比較して封建的だったからであり、その原因を遡(さかのぼ)れば江戸時代に鎖国をして開明的に為れ無かったからだ、と云う考えが戦後一般に広がったのです。

 しかし現在では、江戸時代にもそれ為りの経済成長があった事が判って居ます。ソモソモ産業革命を迎えたヨーロッパがそれ以降、急激に成長したと云う事であって、ヨーロッパと比べれば日本の経済成長率は相対的に低かったかも知れませんが、足下を見れば十分な成長を実現して居たと考えるべきなのです。では、江戸時代の経済成長とは、一体どう云うものだったのでしょうか。

 戦乱が無く為り官僚化した武士達
 
 戦国時代は全国で多数の戦いが繰り広げられて来ました。しかし江戸幕府が開かれると一転、日本は戦乱の無い時代に入ります。更には、国を閉じる「鎖国」を選びました。
 戦国時代の日本は、世界有数の軍事国家でした。1575年の長篠の合戦においては、過つては「3000丁もの鉄砲が使われた」とされて居ましたが、最近ではその数字は1000丁へと下方修正されて居ます。だとしても、長篠の合戦は世界的に観て最大規模の銃器が使用された戦争でした。

 処が江戸時代に為り戦争が無く為り、ヤガテ鎖国政策が執られる様に為ると、軍事産業が大きく縮小する事に為ります。朝鮮への侵略に失敗して居る事もあり、国外に新たな領土を求めて戦争を仕掛ける事も無く為ります。
 戦争が無く為ると、軍人としての武士は不要に為ります。江戸時代の武士は理念としては軍人でしたが、現実には官僚でした。彼等は、給料に当たる石高が固定されて居たので所得は増えません。しかも、官僚としての武士は多過ぎでした。

 そこで、一つの仕事が複数の武士によって分割される事に為ります。一種のワークシェアリンクです。例えば江戸町奉行は北町と南町に分けられ、毎月担当が変わりました。これは権力集中を排除する目的もありましたが、実は失業対策でもあったと考えられて居ます。
 武士とは対照的に、農民や商人の所得は増えました。公的には、江戸時代を通じて石高は一定でした。しかし現実には江戸時代最初の一世紀は、新田開発が奨励され、農地は増大します。更に各地で特産物も栽培される様に為ります。

 その上、江戸時代当初は「二公一民」収穫の3分の2が領主、3分の1が農民だった年貢が、1700年頃には、実質的に「一公二民」に為ります。年貢の負担が減った訳です。
 こうして農民は豊かに為り、彼等の可処分所得も増加しました。農民だけでは無く、職人や商人の所得水準も上昇し、消費財を購入出来る様に為りました。新田開発により食糧増産が実現すると、人口も爆発的に増えて行きます。江戸時代の初めに1700万人程だった人口も3000万人に達しました。

 しかし1700年頃には新田開発は抑制される様に為ると人口も増え無く為りました。江戸時代の人口成長は最初の1世紀でピークに達し、それ以降、余り成長し無く為ったのです。では、この様な状況は江戸の日本経済にどう云う変化をもたらしたのでしょうか。

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               江地庶民の暮らし 長屋

 江戸時代 幕府は海外事情に疎かったのか? 

 それを論じる前に、ココで江戸幕府の情報収集能力に付いて述べてみます。15世紀、独立国であった琉球は、ジャンク船を駆使して東南アジア諸国との貿易を積極的に行って居ました。そのルートを利用し、16世紀後半には日本人が東南アジアに進出し、各地に南洋日本町を作ります。
 詰まり戦国時代の日本人はアジアに積極的に出て行って居り、日本人は海外の情勢に付いて可成りの知識を持って居ました。

 それは江戸時代に為っても同じでした。「鎖国」状態に為りはしましたが、幕府は海外との公式ルートを僅かに残して居ました。そのルートとは、長崎の出島・対馬藩・琉球・蝦夷の松前藩の四つに限定し、此処を通じて海外諸国と遣り取りをしました。現代ではこれらの地を総称し「四つの口」と呼ばれて居ます。
 詰まり「鎖国」とは言いつつも、当時の日本の実態は完全に国を閉ざした訳では無く、当時のアジアで好く見られた様な「海禁政策」詰まり民間の自由な貿易を禁じ、国家が貿易を管理する体制だったと云うのが現在の学説です。江戸幕府は、これ等「四つの口」を通じて、外国の情報を入手して居ました。

 例えば朝鮮通信使は、江戸時代に日本を12回訪れて居ます。幕府は、彼等から海外の情報を入手して居ました。又対馬藩は、現在の釜山市に倭館を置き交易を行いました。更に幕府は、オランダ船が平戸に入港する度に「オランダ風説書」を提出させ、海外の情報を入手して居たのです。政策的には鎖国を続けましたが、だからと云って海外事情に疎い訳では無かった様です。







 銀の大量流出

 過つて、日本は、貴金属資源に富んだ国でした。マルコ・ポーロが、日本を「黄金の国」と呼んだ事は広く知られて居ます。貴金属の中でも最も重要だったのがで、当時の日本は主要な銀産出国でした。
 17世紀前半の日本の銀産出高は、世界の三分の一を占めて居たと云う説さえあります。この当時、南米の銀輸出量が可成り多かったのですが、日本の輸出量もそれと匹敵する程だったとされます。

 当時の日本の貿易収支は赤字でした。それを補填する為、日本は銀を輸出せざるを得ませんでした。その銀は、長崎、対馬、琉球のルートを通じて中国に輸出されます。中国では税制として地丁銀制が採用されて居ましたので、銀の需要が大きかったのです。
 日本の銀輸出に関する研究者として著名な小葉田淳氏は、日本からの銀輸出量を、毎年約2万キログラムと推計して居ます。

 17世紀の日本が銀と引き換えに中国から輸入して居たのは、綿、砂糖、生糸、茶などです。この貿易、日本に大量の銀がある内は問題無かったのですが、余りに大量の銀が流出するので、国内で使用する銀が不足する様に為って来ました。そこで、幕府は、銀の流出回避を検討します。
 しかし、有力な輸出商品を持た無い日本にそれは難しい相談でした。そこで、勘定奉行だった荻原重秀(1658〜1713)は、1695年、貨幣の純分を落とします。そうする事で、より多くの貨幣が鋳造出来る様に為ったので通貨供給量は増加しました。

 これは、生産量が増大して居た江戸の経済に取っては大きなプラスに為りました。経済成長に見合うだけの通貨を供給出来る様に為ったからです。しかしその一方で、アジアでの日本銀貨の評判は急落します。
 そこで新井白石(1657〜1725)は、再び銀貨の質を良くします。すると今度は通貨供給量が減り、デフレと為りました。但し、海外での日本銀貨の評判は上がります。しかし長期的に見れば、国内の金山や銀山の産出量は大きく減少し、1750年頃には、金や銀の海外流出は完全にストップします。この時、日本経済は大転換を余儀無くされました。

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                  幕末の飛脚

 銀の産出減が促した輸入代替産業の発展

 銀輸出が減少し、海外からの輸入が難しく為ると、日本は、中国から輸入されて居た綿、砂糖、生糸、茶、更に朝鮮から輸入されて居た朝鮮人参を国内で製造せざるを得無く為りました。即ち、輸入代替産業が発展したのです。
 只困った事に、鎖国の為、中国の技術者を招聘して直接製造方法を教わる事は出来ません。吉宗の時代(在位1716〜45)に外国書の輸入禁止が緩められたので、日本では中国から書物を輸入し、独学でこれ等の作物を栽培しようと云う機運が盛り上がります。

 しかし書物を頼りに技術を学ぶには多くの時間が必要です。しかも日本の気候も、これ等の商品の栽培には適して居ませんでした。それでも日本は徐々にではありますが、綿、砂糖、生糸、茶、朝鮮人参の国産化=輸入代替に成功して行きました。
 実際、朝鮮人参の国産化により、朝鮮との貿易は大きく減少します。日本は、朝鮮との貿易赤字は無く為って行ったものと推測されます。
 明治に為ると綿、砂糖、生糸、茶は、日本の主要な輸出品に為ります。江戸時代、銀産出量減少に伴い、止む無く国産化に取り組んだ事で、結果的に日本は重要な輸出品を獲得する事が出来たのです。








 江戸時代、武士の生活水準は上がらず、庶民は上昇して居た

 サテ江戸時代の庶民の暮らし振りですが、江戸時代初期には小作農は極めて貧しく、食うや食わずの生活をして居ました。明治維新の時点でも貧しかったのは事実ですが、生活水準は過つて比べれば随分上昇していました。
 これは前述の様に実質的な年貢が減少した事に加え、農業器具の改善により農業生産高が大きく上昇した事も関係して居ます。農業の転換点は1680年代から1710年代に掛けて、将軍で言えば五代将軍・綱吉から八代将軍・吉宗の治世に掛けての事でした。

 この頃農民は市場向けの新しい野菜を栽培し始める様に為ります。これにより市場経済の形成が強く促され、その為日本人の栄養状態は良く為ります。江戸時代終わり迄に平均寿命が5.6歳延びたのです。一方で、武士の生活水準は余り上昇しませんでした。武士の俸給は相変わらず固定されて居た為、彼等の可処分所得は余り増え無かったのです。
 処で、江戸時代には、享保・寛政・天保の三大改革がありました。その内成功したのは、吉宗の時代の享保の改革だけです。それは、享保の改革は殖産興業政策をしたのに対し、後の二つは質素倹約を押し付けたに過ぎ無かったからです。経済を成長させ様と云う意識が無かったことは致命的な問題でした。

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               佐渡鉱山のスケッチ 

 庶民の所得が増加すると、身分の高い人だけに許されて居た贅沢な衣類を低い人達も着る様に為ります。庶民は、より多くの消費財を購入する様に為りました。これも産業の振興を促しました。
 只、日本の経済成長は、手工業で生産される消費財に基盤を置いたものであり、ヨーロッパの様に蒸気を用いた機械によって消費財を大量に生産すると云う事はありませんでした。ここに、江戸時代の日本の経済成長の限界があった事は否定出来ません。

 ですが、江戸時代は、明治以降の経済成長の前提条件を作った事も事実です。綿、砂糖、生糸、茶を国内で生産する事が無かったら、明治を迎えた時の日本には外国に輸出出来る商品は殆ど在りませんでした。日本は江戸時代の内に、欧米経済に追い付く事が出来るだけの潜在力を付けて居た、と見る事も出来るのです。


              玉木 俊明     以上






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世界中で億万長者が増大して居る 2020年も世界経済の拡大は続く 橘玲




 




 [2020年の予想]

 国家主体の旧来の「世界経済」とは異なる巨大なグローバル市場により世界中で億万長者が増大して居る 2020年も世界経済の拡大は続く

          〜ダイヤモンド・ザイ 【橘玲の日々刻々】1/10(金) 21:00配信〜


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                   橘 玲 氏

 「今年はドンな年に為るのだろうか?」と云う予想を毎年書いて居る。去年の予想はその後『上級国民/下級国民』(小学館新書)としてマトメ、幸い多くの読者を得る事が出来た。
 米中の「貿易戦争」は1年以上前から懸念されて居り、昨年はそれが現実化したが、ニューヨーク株価は2万3500ドルから「史上最高値」の2万8500ドルへと20%上昇した。

 トランプが大統領に就任した2016年末は、1万9000万ドルだったから、3年間で50%近く株価が上がった事に為る。「コンなのが大統領に為ったら世界経済は崩壊する」と云う悲観論が間違って居た事は明らかで、楽観論に賭けた投資家は充分な果実を受け取った事に為る。
 とは言え、ここで指摘して置か無くては為ら無いのは、1980年のニューヨーク株価は1000ドルで、それが20年後の2000年に10倍の1万ドルに為った事だ。長期的には同じペースで株式市場が成長するとすれば、2020年の株価は10万ドルに為って居る筈だが、実際にはその3分の1にも届か無い。ローレンス・サマーズが「長期停滞論」を唱えて居る様に、株式の収益率は明らかに下がって来ている。

 だとしたら今年はどう為るのか?ココでは緊迫する中東情勢等個別の話は専門家に任せ「予想」の背景に有る世界認識に付いて書いてみたい。それは「トランプだから株価が上昇した」では無く「誰が大統領でも株価は上昇した」と云う話だ。








 専門家の予想はチンパンジーがダーツを投げるのと同じ位好い加減


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 スティーブン・ピンカーの話題作Enlightenment Now・今こそ啓蒙をが『21世紀の啓蒙 理性、科学、ヒューマニズム、進歩』(草思社)として昨年末に刊行されたが、その中で「当たる予測と外れる予測では何が違うのか? 」と云う興味深い研究が紹介されて居る。
 心理学者のフィリップ・テトロックは、1980年から2000年に掛けての20年間に様々な専門家の2万8000件近くの予測を集めた・・・どの質問も明確な結果と期限を設け、回答は発生確率等の数字で答えさせた。その結果はと云うと、専門家の成績はチンパンジーがダーツを投げるのと同じ位好い加減だった。

 専門家による経済予測や株価予測が当てズッポウと変わら無い事は繰り返し示されて居るから、これだけなら何も驚く事はない。但し専門家はこのファクトを簸(ひ)た隠しにして居るので、知ら無い人が居るかも知れないが。重要なのは、テトロックが心理学者のバーバラ・メラーズと組んで2011〜15年に掛けて行なった追加調査だ。
 ここで2人は、数千人(最終的には2万人)の自称・他称の専門家を募り、情報先端研究計画局・IARPAアメリカ国家情報長官室直属の研究組織が主催する予測トーナメントに参加して貰った。するとその中に、何れのトーナメントにおいても並外れた予測力を持つ「超予測者」が居る事を発見したのだ。

 この「超予測者」は、学識者は勿論機密情報にアクセス出来る諜報員・衆合知を集計する予測先物市場をも凌ぐ「理論上の最高レベルに迫る」結果を出した。
 と云っても、彼らの予測の効果は1年先迄で、5年先に為るとサルのダーツ投げと変わら無く為った。「超予測者」とは一体何者なのか?その話をする前に先ず「ダメ予測者」を見て置こう。この人達は「専門家」を名乗っては居るものの、その予測はダーツ投げをするサルにも劣ったのだ。

 当てズッポウより精度の低い予測しか出来ない「専門家」が居るなんて、信じ難いと思うだろう。何故こんな恥ずかしい事に為るかと云うと、彼等が「何等かの思想信条に固執し、それを見当違いの自信に結び付けて居る」からだった。日本でも、以下の記述に当て嵌まる専門家や知識人が何人も思い浮かぶのではないだだろうか。

 「彼等ダメ予測者は、複雑な問題に出会うと好みの因果関係の型に嵌め込もうとし、上手く嵌ら無ければ無関係で不要なものとして切り捨ててしまう。曖昧な答えに我慢が為らず、自分の分析を限界迄、或いはそれ以上に推し進めるし『さらに』『その上』と理由を重ねて、自分が正しく他の人々が間違って居る事を強調しようとする。その挙句、驚く程自信満々に為り『そんな事は有り得ない』とか『これは確実です』等と断言し勝ちに為る」

 「ダメ予測者」はメディアに好く登場し、ネットでも攻撃的な論説を展開する著名人だ。その結果「有名で有れば有る程、又内容が彼等の専門に近いもので有れば有る程予測精度が低かった」と云う悲惨な事に為ってしまうのだ。

 日本には過つて「リフレ派」と呼ばれる経済専門家が居て「デフレは日銀がマネーサプライを増やさ無いからだ」とか「大胆な金融緩和をすればマイルドなインフレが実現して日本経済は回復する」等自信満々で新奇な経済政策を説き、懐疑的な経済学者に罵詈雑言を浴びせて居た。
 処が黒田日銀が「2年・2倍・2%」の異次元金融緩和に踏み切ってから8年経っても物価は全く上がら無い。当初、マネタリーベースは2倍の260兆円を目標にしたが、現在はその更に倍の500兆円と云う異常な額に為って居る。極めて党派的な彼等の予測は見事に外れたが、それは正に「予測通り」と云う事に為る。







 「超予測者」は暗黙裡にベイズ推定を使う「ベイジアン」
 
 「超予測者」と云うのは、要するに「ダメ予測者」の逆の事をする人達だ。「彼等超予測者は、出来るだけ多くの情報源から出来るだけ多くの情報を集めた。そして考える時には『しかし・でも・とは言え・その一方』と云った転換語を使って頻繁に頭を切り替える。
 又確実性に付いては、可能性や確率に付いて語る。誰も「私が間違って居ました」とは云いたく無いものだが、彼等は他のグループより素直に間違いを認め考えを変えた」


 超予測者は天才では無く、IQ分布で云うと上位20%・偏差値60程度以内で、数学の達人と云う事も無い。但し性格には明らかな特徴があり、ビッグファイブ・パーソナリティを構成する5大要素の「経験への開放性」(知的好奇心が強く、変化を好む)が高く「認知欲求」(知的活動を楽しむ)が強く「統合的複雑性」(不確実性を受け入れ、物事を多角的に捉える)が高い。
 更に、最初の直感を信用せず、党派性が無く、常に「この推論に矛盾はないか」「もっと他の資料に当たるべきではないか」「誰かがこの意見を述べたら、自分は納得するだろうか」と自問して居る。

 テトロックは「超予測者」は暗黙裡にベイズ推定を使う「ベイジアン」だと云う。一般の統計学は標本の平均や分布を計算するが、ベイズ統計では、完全な標本が無い状況から確率を導いて行く。その為「主観的確率」とも言われる。
 ベイジアンが予測をする時は、客観的な標本が無いのだから「推測したい事象が全体的かつ長期的にどの程度の頻度で起こりそうか」の基準率を大雑把に主観的に決める。その上で、新たな証拠がその推計にどの様に影響かを与えるかに応じて基準率を微調整して行く。
 テトロックは「超予想者」の遣り方を、2015年1月7日にパリで起きたシャルリ・エブド襲撃事件を例に説明して居る。このテロを受けて「2015年1月21日から3月31日迄の間に、西ヨーロッパでイスラム過激派によるテロが起きるか」を予測するのが課題だ。

 私達は、記憶に強く残って居るもの程頻度や確率を高く見積もるバイアス(利用可能性・ヒューリスティック)に捕らわれて居る。評論家はテロに付いて強い関心を持って居る事を示す為に「その可能性は充分にある」等と答えるだろうし、政治家なら「2カ月以内にそんな事起きませんよ」と云って万が一テロが発生したら政治生命が終わってしまう。

 「超予測者・ベイジアン」はこうしたバイアスから自由なので、先ずはウィキペディアで過去5年間にヨーロッパで起きたイスラム過激派によるテロ事件を調べ、その件数を5で割って、1年当たり1.2件と云う数字を「基準率・主観的確率」とした。
 だが2011年の「アラブの春」で流れが変わったと思えたので、2010年を計算外にして1年当たり1.5件に微調整した。その上で、イスラム過激派に参加する新兵の増加(テロ発生率を上げる)と、セキュリティ対策の強化(テロ発生率を下げる)を勘案して確率を5分の1程度引き上げ、1年当たり1.8件と云う予測値を弾き出した。課題の予測対象期間は69日間なので、その間に新たなテロが起きる確率は34%と為った(1.8÷365×69)。
 こうした発想は「人類の歴史を偶然性や不確実性に満ちたものだと思って居て、必然や運命で考え様とし無い」事から生まれる。「超予測者」は、この世界が複雑系だと考えて居るのだ。

 「博学な知識人の意見や観念体系に基づく説明よりも、愚直に微調整した確率の方が遥かに高い精度で将来を予測出来る」「物事は一般的な法則や高尚な弁証法によってでは無く、無数の小さい力が可能性や度合いを高めたり低めたりする事によって決まる」 
 これが正しいとしたら(多分正しいだろう)、マクロ経済学の複雑な数式を組み合わせた理論や政治学のイデオロギー分析は何の役にも立た無い。世界を因果律で説明しようとする専門家の予測がサルのダーツ投げと同じに為るのは当たり前なのだ。
 ピンカーはテトロックによる予測の研究を「私達の歴史、政治、認識論、知的生活に対する見方を根本的に変えるものだ」と評している。







 「富の拡大によってスケール感を見失った世界

 誤解の無い様に断って置くと私は「超予測者」では無いし、様々なデータを取り込んでベイズ推計によって未来の確率を計算して居る訳でも無い。だがテトロックの研究は「誰の予測に耳を傾け、誰の予測を無視すれば好いか」に付いての有力な指針を与えて呉れるだろう。
 その上でココでは、最初の「基準値・主観的確率」として、私達がどの様な世界に生きて居るかの仮説を述べてみたい。それは「富の拡大によってスケール感を見失った世界」だ。

 先ずは以下のグラフを見て欲しい。クレディスイスが毎年発表して居る「世界の富裕層」レポートから、世界のミリオネア(億万長者)の国別人数を集計したもので、青が2000年オレンジが2019年を示して要る。金融資産や不動産資産等総資産から住宅ローン等の負債を差し引いた純資産を推計。全世界には4680万人のミリオネアが居り、この20年間で世界の富が爆発的に拡大した事が判るだろう。

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 アメリカのミリオネアは1900万人で、全て世帯主として概算すると、総世帯数1億2246万に対して15.5%・6〜7世帯に1世帯はミリオネアに為る。以下、主要先進国をミリオネア世帯比率で並べると、イギリス・ミリオネア250万人/世帯数2641万は9.5%で10世帯に1世帯、フランス・200万人/3000万が6.7%、日本・300万人/5075万が6%で15〜16世帯に1世帯、ドイツ・200万/4080万世帯が4.9%で20世帯に1世帯に為る。
 経済格差の拡大で貧困が社会問題に為って居るが、その一方で、億万長者が何処にでも居る世界に私達は生きて居る。

 もうひとつ目を引くのは、アメリカのミリオネアが2000年の750万人から1900万人へと2.5倍に為った様に、日本を除く全ての国でこの20年間にミリオネアが大きく増えて居る事だ。高度経済成長期に在る中国で億万長者が続々と誕生したのは当然としても、それ程経済成長率が高い訳でも無いヨーロッパ諸国でもミリオネアの伸び率は極めて高い。
 これがトマ・ピケティの云う「資産効果」で、株式・金融資産と不動産・実物資産の価値・・・取り分け主要都市のマイホームの評価額が大きく上がった事を示して居る。

 日本だけミリオネアの伸び率が低いのは、超低金利・株価低迷・不動産価格の下落によって富裕層が「資産効果」を享受出来無かったからだろう。その結果日本人は「貧困」にばかり目を奪われて、世界で起きて居る「富の爆発的拡大」と云うもうひとつの側面を上手く理解出来ないで居るのでは無いだろうか。

 マネーが奔流と為って金融市場と云う川に流れ込んで居る

 IMF・国際通貨基金の推計では、世界の経済規模・GDPの総計は2000年の33兆ドルから、2023年には3倍超の106兆ドルに拡大する。富裕層の人数だけで無く、株式の時価総額でも、グローバル市場に流通するマネーの量でも、アラユル指標が富の拡大を示して居る。これは、マネーが奔流と為って金融市場と云う川に流れ込んで居る様なものだ。

 これを陳腐な比喩だと思うかも知れないが、チャンと理由がある。川は平地に至ると支流に分かれ、デルタ・三角州)作りながら海へと流れ込んで行く。このデルタは、毛細血管の分岐等と同じく典型的な複雑系・フラクタルだ。
 世界の根本法則がフラクタル(べき分布)だと述べたのは、数学者のベノワ・マンデルブロで、植物の成長(ブロッコリー)、生き物の身体(脳のニューロン)、自然(海岸線)や宇宙(星雲の分布)に至るまで、アラユル処に複雑系の構造が見られる事を示した。マンデルブロは、先物市場の価格変動や個人資産の分布を分析して、金融市場や経済もフラクタルだと指摘して居る。

 フラクタル構造は、成長するに連れてテールが長く伸びて極端な事が起こり易く為る(ロングテール)と同時に、複雑性のレベルが上がって行く。川の水量が増えるに連れて、支流(水路)は複雑に為ってデルタが拡大する。
 日本では木曽川・長良川・揖斐川によって生まれた濃尾平野のデルタが有名だが、アマゾンの様な大河では遥かに巨大なデルタが作られる。ソコでは、木曽川や長良川と同じ水量の川は、多くの支流の一つに過ぎ無い。濃尾平野のデルタも過つては洪水に悩まされたが、上流にダムを作る等の治水工事によってホボ管理が可能に為った。

 その経験を覚えて居る人は、自分が何時の間にかアマゾンの支流に居るとしても、同じ様な治水工事で川の流れを管理出来ると思うかも知れない。その先には、途方も無い大河が流れて居ると云うのに。これが「スケール感を見失った世界」だ。

 グローバル市場は、濃尾平野の規模からアマゾンのデルタへと変貌して居る

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             アマゾンのデルタ地帯を宇宙から見る

 ここで提示する仮説は、グローバル市場は今では濃尾平野の規模からアマゾンのデルタへと変貌して居るのではないかと云うものだ。ソコには国家だけで無く、GAFAの様な巨大プラットフォーマーやジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツの様な超富裕層の富も流れ込み、国家主体の旧来の「世界経済」とは大きく異なる経済生態系が出来ている。
 処がスケール感を見失って居る為、経済政策は未だに国家単位で、目の前の支流の治水工事をして居るだけだ。日本経済はGDPで世界の6%、株式時価総額で8%の規模しか無い。この程度では中央銀行が何を遣った処で大きな流れは変えられ無いだろう。

 これはイギリスも同じで、ブレグジットが実現しても、EU離脱派が主張する様にイギリス経済が劇的に改善する事も無ければ、残留派が懸念する様な経済的な大惨事が起きる事も無いのではなかろうか。中東情勢への関心が薄れて居るのも、シェールガス・オイルの開発や温暖化問題等の要因でエネルギー構成が変わり、石油価格がグローバル経済に与える影響が低下して居るからだろう。

 大河の流れを変えられるとしたら、アメリカと中国の二大プレイヤーだが、貿易を規制しようとしても他の国を迂回するだけで、これでは新たな支流が出来るだけだ。それによって世界経済が逆に活性化したと考えれば「米中貿易戦争」にも関わらず世界の株価が上昇して居る理由が説明出来るだろう。
 グローバル資本主義は、今より豊かに為りたい、少しでも幸福に為りたいと云う70億人の欲望によって駆動されて居る。「地球環境の制約内で」と云う但し書きを着けなくては為らないが、この欲望に際限は無いから、今年も世界経済の拡大は続くと予想したい。それによって日本経済も多少は成長出来るだろう。

 国家単位の経済政策の有効性が失われつつあるのと同様に、政治(国家による国民の管理)も大きく変わりつつある。人々は益々自由と自己実現を重視する様に為って居り、最早全体主義(ファシズム)や独裁政治が復活する事は無く、生命の価値が途轍も無く高騰した事で、国家対国家の全面戦争を遂行する事も不可能に為ったのではないだろうか。
 しかし未だに、専門家を含む多くの人達が「スケールの違う世界」を理解出来ず、1920年代や1940年代(濃尾平野)を参照して現代(アマゾンのデルタ)を語って居る。「ポピュリズムが荒れ狂うヨーロッパの状況はヒトラー台頭前夜だ」とか「今の右傾化した日本は戦前と同じだ」等と云う人達の予測に耳を傾けるのは時間の無駄だろう。

 持ちロん川の水量が大きく増えたのだから、一端氾濫すれば被害は途方も無いものに為る可能性がある。その切っ掛けに為りそうなのは中国のバブル崩壊だが、その確率はベイジアンの中国専門家に任せたい。
 序にもう一つ言って置くと、万が一ブラックスワン・グローバル金融危機が起きたとしたら、その時コソ投資の絶好の機会に為るだろう。一端川の流れが堰き止められたとしても、大河はヤガテ滔々と流れ出すだろうから。


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 橘 玲(たちばな あきら) 作家 2002年金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット 著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)『幸福の「資本」論 あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊) 『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など 最新刊は『上級国民/下級国民』(小学館新書)

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