アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2019年12月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
ヨリちゃんさんの画像
ヨリちゃん
プロフィール

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2019年12月23日

ブラック企業大賞 2年連続で「三菱電機」 電通とセブンが「特別賞」同時受賞




 ブラック企業大賞 2年連続で「三菱電機」 電通とセブンが「特別賞」同時受賞

           〜弁護士ドットコム 12/23(月) 20:20配信〜


      12-24-1.jpg

         ブラック企業大賞 授賞式のようす(2019年12月23日)

 「ブラック企業大賞2019」の発表・授賞式が12月23日、東京都内で行われて、三菱電機(メルコセミコンダクタエンジニアリング)が、史上初めて2年連続で大賞に選ばれた。長時間労働による40代社員の自殺が労災認定される等して居た。
 ウェブサイトや会場での投票数による「ウェブ投票賞」は、ネット大手の楽天(ウェブサイト1万303票 会場1票)が選ばれた。楽天は、男性社員が会議中に上司から暴行を受けて労災認定される事件が発生して居た。

 「特別賞」は、過去に大賞を受賞した事がある電通セブン‐イレブン・ジャパンの2社が受賞した。
 電通は、36協定違反で労基署から是正勧告を受ける等した。セブン‐イレブン・ジャパンは、フランチャイズ従業員に対する賃金不払いが発覚して居た。
 「#MeToo賞」は、長崎市だった。市幹部が2007年7月、女性記者に対して性暴力を振るう事件が起きた。女性が今年4月、市を相手取って損害賠償を求めて提訴した。

 過去に大賞を受賞して、今回もノミネートされたのは、セブンイレブンジャパン(2015年)電通(2016年)三菱電機(2018年)の3社。

 今年は、8社・1自治体が「ノミネート」されて居た

 今年は、KDDI、セブン-イレブン・ジャパン、電通、ロピア、長崎市、トヨタ自動車、三菱電機、吉本興業、楽天がノミネートされて居た(8社・1自治体)ノミネートの理由は、ブラック企業大賞のウェブページに掲載されて居る。

 「ブラック企業」の定義

 ブラック企業大賞は、弁護士やジャーナリストで作る実行委員会が、労働環境を改善する活動として、2012年から開催されて居り、今年で8回目だ。同委員会によるブラック企業の定義は次の様なものだ。
(1)労働法やその他の法令に抵触し、又はその可能性が有るグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いて居る企業
(2)パワーハラスメント等の暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人・社会福祉法人・官公庁や公営企業・医療機関等も含む)

 上記の定義に当たる企業の内、裁判において企業側の非が確定した案件や、行政処分が為された企業等、広く社会的に明白に問題があるとされた企業がノミネートされて居る。


         弁護士ドットコムニュース編集部    以上









 【関連記事】伊藤詩織さん 「自分が潰れてしまったら・・・」と耐えた日々
 
 「被害を話せる様な社会」を目指す為に


                〜弁護士ドットコム 出口絢〜

               12-24-3.jpg

                   伊藤詩織さん

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害に遭ったとして慰謝料等1100万円の損害賠償を求めた訴訟。7月8日に東京地裁に開かれた口頭弁論には、僅か30席の傍聴券を求めて168人が並んだ。
 8月1日に東京都内で裁判報告集会(主催・伊藤詩織さんの民事裁判を支える会Open the Black Box)が開かれ、伊藤さんと代理人弁護士等が登壇した。

 口頭弁論には原告・被告夫々が出廷。伊藤さんはアノ日から初めて山口さんと顔を合わせた。伊藤さんは「止めて、痛いと伝えても止めて呉れ無かった」と訴え、山口さんは「同意はあった」と話し、双方の主張は対立した。
 伊藤さんは「自分の目で彼の表情や証言を耳にする事は、とても貴重な事だった」と振り返り「結果はどう為るか判りませんが、今後も、判ら無い・話せ無いとされて居た事に、一緒に向き合って頂けたらと思います」と挨拶した。

 伊藤さん「私の選択で、此処で立って居ます」

 「何が足り無くて起訴出来無かったのか。今の法律や社会的サポートには何が足り無いのか。それを考える切っ掛けに為って欲しいと云う思いだった」伊藤さんは2017年5月に会見を開いた経緯に付いてこう振り返る。
 「私達に出来る事は、何が必要なのかと云う事を先ず考えて、個人個人で自分は何が出来るのかと考える事だと思う。その切っ掛けとして、このケースに向き合って頂いて居る事に感謝します」
 この日の会場には多くの支援者が詰め掛け、壁際に立ち見の人が溢れた。伊藤さんは「この場に要らしただけで凄く大きなサポートです」と繰り返し感謝を述べた。

 参加者から「『勇気が有るね』と言われる事に付いて、どう思うか」と尋ねられると、伊藤さんは「好く『詩織さんが強いから出来たんですよ』とか言われるんですけど、もう、全然強い部分ナンて本当に無くて。一つ一つ壁にブツカリ乍ら進めたのも、代理人弁護士や友人の支えがあったから」と言う。
 「『ヤッパリこう云う話をしたら咎(いじ)められるから、話さ無くて好いよね』と言われたく無かったので、前に出る時は背筋をピンとして『生きてます』って云うアピールをして来ました」
 又「話せる様な社会にしたいと思ったのに、自分が潰れてしまったら逆の例に為ってしまう。起き上がれ無く為ったり、サポートが必要に為ったりしましたね。それでも私の選択で、此処で立って居ます」と話すと、会場からは拍手が沸き起こった。








 匿名による告発の示す限界

 伊藤さんの代理人の一人である角田由紀子弁護士は、伊藤さんの告発に付いて「名前と顔を出して告発した事の意義をもう一度確認する必要がある」と話す。
 「被害者のAさんでは無く、名前と顔が有る人間として登場した事が世の中に与える影響は大きい。リアルの人間が持つ圧倒的な説得力。沈黙では事実が明らかに為ら無い。これは否定でも非難でも無いが、匿名による告発の示す限界を考えて見て好いと思う」

 実名で性暴力を告白することは「勇気が要る」と言われ、告発した人に対しては「勇気」と云う言葉が用いられる。これに対し、角田弁護士は「勇気が要ると言う事は、何ナンだろうか」と問い掛ける。角田弁護士も以前登壇した院内集会で「詩織さんの勇気にどう答えるか」と云う表題の講演があり、この表現に付いて考えたと云う。
 「強盗の被害者は、強盗に遭ったと告発する時『勇気』と言わ無い。何故性暴力だと言うのか。それはこの社会が、性暴力被害者をどの様に扱って来たのかと云う事。それは何故なのか。実名での告発を困難にして居る原因に向き合わ無い事が、何を齎して居るのか」

 名前を出して顔を出すと、バッシングが起こる。「怯(ひる)むのは可笑しく無い。皆で怯んで居たら、バッシングする勢力だけが広がって、何時までも被害者は隠れて居なきゃいけ無い。何も本当の事を話していけ無いと結果的に助長してしまう」 
 角田弁護士が「日本の社会が変わって行く画期的な出来事ではないか」と話すのが、3月に相次いで報道された性犯罪の無罪判決に抗議し、性暴力を許さ無いと声を挙げる「フラワーデモ」だ。7月のフラワーデモに参加した際、法的なアクセスも出来ず、何十年もそのママだったと云う被害者の声を聞いて「ショックだった」と振り返る。
 

 「匿名でしか告発出来無い現実を、どう崩して行けるか。こうした現実的な方策を知恵を出して考えて行か無ければいけ無い」と話した。

 裁判の詳細は以下の記事にマトメて居ます

 (1)伊藤詩織さん裁判詳報 「自分を守る事に必死だった」アノ日を振り返る
 (2)伊藤詩織さんに山口さん代理人「被害後に加害者を気遣う言葉、社会常識では有り得ない」
 (3)伊藤さんから積極的に誘って来た・・・山口敬之さん、伊藤詩織さんの主張に反論
 (4)元TBS記者の山口さん「宥(なだ)める様な気持ちで性行為に応じた」伊藤詩織さんの主張に反論


                  以上






低価格なのに高速・多機能・高セキュリティ
月額400円(税別)から最大容量100GB
WordPress専用高速サーバー Z.com WP







会費6千円「桜を見る会前夜祭」より高い首相懇談会の愚 共犯者にされたメディアに未来はあるのか?




 




 会費6千円「桜を見る会前夜祭」より高い首相懇談会の愚 

 共犯者にされたメディアに未来はあるのか?


             〜AERA dot. 12/23(月) 17:00配信〜


      12-23-24.png

               新聞労連委員長の南彰氏

 「鉄壁のガースー」遂に答弁破綻か・・・政府に取って不都合な質問をバッサリ切り捨て、封じ続けて来た菅義偉官房長官。
 しかし「桜を見る会」に関する答弁では、秘書官に助け船を求める場面が目立ち、チグハグな説明が続いて居る。今、この局面で問われるメディアの態度とは。
 官邸による東京新聞・望月衣塑子記者への質問制限・妨害の内情の全貌を描いた『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)を出版し、自身も朝日新聞の政治部記者として官房長官会見を取材して来た新聞労連委員長の南彰氏が特別に寄稿した。



       12-23-25.jpg

 官房長官の様子が一変した。国の税金を使った首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑に付いて、官房長官番の記者を中心に連日の様に追及が続いて居る。「首相枠等は無い」と云った虚偽答弁が明るみに出て、公文書の招待者名簿を破棄した問題等で苦しい答弁が続いて居る。説明が破綻し、秘書官のメモに頼って何度も中断して居る状況も報じられる様に為った。
 森友・加計学園問題の時には、疑惑を追及して居た東京新聞の望月衣塑子記者や筆者に対し「時間の浪費」等と攻撃する記事を量産して来た産経新聞まで「菅氏の鉄壁答弁崩れ」と報じて居る程だ。

 市民の疑問をキチんと問い但し、政府に真実を説明する様迫って行く・・・こうした本来の姿の記者会見への変化を後押ししたのは、確りとした質疑を行って居る記者をSNS上で評価し、エンパワーメントして来た上西充子・法政大教授等の存在が大きい。
 毎日新聞は、そうした変化を捉え、編集幹部自らがSNSで発信しながら「政治とメディア」「メディアと市民」の関係を変えて行くムーブメントを起こそうとして居る。しかし、残念ながら、そうした変化に対応出来無い人も居る。11月21日、私の基に次々と全国の記者からの連絡が押し寄せた。

 「疑惑の最中に呼び出されて飯とか喰ったら、飼い慣らされて居る様に見えるのが、何で社の上層部は判ん無いのか? ホント、フザケルな!」
 「オフレコの会食の誘いナンか断固拒否し『会見を開け』と要求するのがスジだ」 
 「現場の記者は、首相を取り巻く秘書官に睨まれながらも質問をブツケ、疑惑を説明させ様と必死に遣って居る時に、ヨリによってキャップが揃って懇談するナンて本当に泣けて来る」 
 「権力機構が腐って居る時に、ジャーナリズム迄信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかモウ遣り切れ無い」


 前夜、官邸記者クラブの各社キャップ(毎日新聞除く)と安倍晋三首相が中華料理店で会食をした事に対する遣り場の無い怒りの吐露だった。政治部記者からも有った。中には悔し涙を流して居る記者も居た。

 <この懇談は市民とメディアの間を又もや引き裂いた。市民に信頼される報道を目指して頑張って居る記者の心を折れさせて行くメディアの上層部の意識って何ナンだ>








 21日夜「#私たちこのままでいいんですか」とハッシュタグを付けて私がツイッターで呟くと瞬く間に広がった。この首相との懇談は会費制だ。会費は「桜を見る会前夜祭」よりも高い1人6000円。
 首相への日常的な質問の機会すら無く為る中、出席して取材したいと云う気持ちは判る。疑惑の渦中に居る首相がドンな表情で何を語るのか。同席する首相周辺の振る舞いも含めて観察対象としては興味深い場面だ。

 でも、実施の前提は、記者クラブとして首相が公式に市民の疑問に答える記者会見等の場を確り行う事である。それスラ出来て居ない状況で、非公式の懇談実施を先行させた事によって、市民からメディアは「共犯者たち」と映った。
 市民の不信感を利用してメディアの力を弱め様とする政権側の術中に嵌ってしまったと言わざるを得無い。大局的な判断が出来ず、キャップを懇談に参加させた幹部の罪は重いと思う。

 情報革命が進む中で既存メディアのモデルは崩れた

 一方で権力側は、官邸への一極集中を実現し、SNS等を駆使して市民に直接情報発信出来る様に為り、更にはメディアに対する統制も強めて居る。『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)で描いた実相だ。
 フェイクが氾濫し、民主主義が壊れて行く中、メディアが「権力の監視役」としての役割と力を取り戻す為には、市民との関係を再構築し無ければ為ら無い。変われるのかそのママ沈むのか。オリンピック・パラリンピックで日本社会に国際的な注目が集まる2020年は、メディアにとっても大きな岐路に立たされる年に為るだろう。
 新聞労連の合言葉は「ネクストジェネレーション」次世代が思い切ってジャーナリズムを全う出来る環境を作る為、勝負の年に為ると考えて居る。


           新聞労連委員長・南彰   以上







 【管理人のひとこと】

 新聞労連の委員長が、何故、殊更(ことさら)この様なペーパーを公表したのか・・・その様な事は誰に言われ無くとも判る社会常識の範疇(はんちゅう)だろう。
 メディアが時の権力と余りにも癒着すると、権力への監視・批判の精度が鈍化してしまうから、権力とは適度な距離感が必要だ。それでも深く取材するには或る程度の親密な付き合いも必要・・・この距離感がベテランに為るに連れ希薄して行く。TBSの元記者・山口氏(準強姦罪で300万の罰金刑を受けた)の例の様に、マルで身内に近い関係は、両者に取ってもマイナス面が大きく、社会悪へと繋がる事もある。

 市民との(信頼)関係を再構築し無ければ為ら無い・・・と反省するのは、何をか況(いわん)やだ。当たり前の事が出来て居らず、批判が起きたら「原則に立ち返って反省し謝罪する」と声明文を読み上げ無くては為らぬ程今のメディアは腐敗して居る・・・と自ら告げるに等しい。先進国最下位のメディアの自由度に値する文章だった。
 確りして呉れ・・・購読数が減少するのは、何もネットだけの所為では無い。NHKを初め、今のメディアに政権の腐敗を取材し、批判し公に公表し弾劾する意欲も意思も度胸も全て無いのでは無かろうか。一番の忖度の根っコは、メディア自身が招いた結果なのだと大いに考える事が必要だ。安倍政権が徒に永く続いた一因は、全てのメディアの所為でもある。
 メディアが忖度ばかりして居るから、率先して面白く政治問題を取り上げられ無いのが原因で、国政選挙では40代以下の投票率が悪く、真面目に投票するのは60代以上の老人だけで、合計しても50%前後に為ってしまう。更に小選挙区の為、惨敗率が高く為り歪な結果と為るのも「投票しない」一因だろう。







お子さまのお留守番を見守るかわいいロボット【まかせて!BOCCO】
















 
  

森達也監督に聞く『i -新聞記者ドキュメント-』で炙り出した忖度の正体





 




 森達也監督に聞く『i ー新聞記者ドキュメントー』で炙り出した 忖度の正体

            〜ハフポスト日本版 12/23(月) 10:40配信〜


       12-23-20.jpg

 1980年代前半からテレビのディレクターとして、報道・ドキュメンタリーのジャンルで活動して来た森達也さん

 森友・加計学園問題、普天間基地移設問題、そして現在の「桜を見る会」問題・・・7年続いて来た安倍政権は、幾度も大きな疑惑を抱えて来た。その際、記者会見で官邸の防波堤としてマスコミに対峙して来たのが菅義偉官房長官だ。
 そんな彼に敢然と立ち向かって注目されて来たのが、東京新聞社会部の望月衣塑子記者だ。記者クラブで時に政治部記者達が丁々発止に行う会見の雰囲気をブチ壊し、厳しい質問を菅にブツケテ来た。 彼女はリベラル陣営の新たなスターとして、持て囃(はや)される事も多かった。

       12-23-21.jpg

      『i ー新聞記者ドキュメントー』より 東京新聞社会部の望月衣塑子記者

 森達也監督の新作『i ー新聞記者ドキュメントー』は、その望月記者を追ったドキュメンタリー映画だ。この作品には、菅官房長官と望月記者のヤリ取りも多く収められて居る。 定例会見で厳しい質問を繰り返す望月を、菅は面倒臭そうにノラリクラリと処理する。そこには未だ「桜を見る会」問題で苦しい顔を見せる菅は居ない。国民の知る権利等知らんとバカリ、不遜な態度を隠さ無い。

 リベラル陣営に対する森監督の違和感

 『i ー新聞記者ドキュメントー』に先駆けて、望月をモデルとした劇映画の『新聞記者』が、今夏に公開されてスマッシュヒットした。両作とも河村光庸プロデューサーである事を踏まえると、劇映画の『新聞記者』とドキュメンタリーの『i』はワンセットの構図だ。
 結論から言ってしまえば『i』に劇映画版の様なシンプルさは無い。かと言って、決して判り難い内容に為って居る訳でも無い。

 劇映画版は観賞者のカタルシスを招く、判り易い構図の純朴なエンタテインメントに仕上がって居た。その彩度を抑えた冷たい映像の裏でリベラル陣営の熱い「エイエイオー!」が反響し、小規模公開ながら興行収入4億円を超えるスマッシュヒットと為った。
 それに対し、森のドキュメンタリー版は、鑑賞者に対して何とも優しく無い。そこにリベラル陣営に対する違和感があるのではないか、と森監督本人に振ると──

 「と、地の文で書いて下さい(笑)『森は、ニヤリと笑った』位にしといて。マァでも、そう云う事ですよ。勿論僕はシンパシー的にはソッチですけど、だからと云って何かチョット違うんじゃ無いの、ってのも有ったし」

 本作『i ー新聞記者ドキュメントー』で、森の違和感は何処まで伝わるか。

       12-23-22.jpg

                  森達也さん

 森達也のフィルモグラフィーを知る者に取って『i ー新聞記者ドキュメントー』はヤヤ異質なものに映る。それは被写体と為る望月衣塑子記者が、極めて真っ当な人物だからだ。これ迄森が描いて来た対象は、社会から排除されたり、その辺境に居たりする事を余儀無くされたアウトサイダーが目立つ。
 『「A」』シリーズでは、オウム真理教の荒木浩・『ミゼットプロレス伝説』では当時テレビから追い出されて居たミゼットレスラー・『職業欄はエスパー』では3人の超能力者・『FAKE』ではゴーストライター問題で猛バッシングされた音楽家・佐村河内守等々。

 森の方法論のひとつは、こうした「キワモノ」扱いされる人物を通して、日本社会の歪さを炙り出す事だった。観る者の「普通」「異常」の価値を転倒させ、従来の視座を混乱させる。
 こうした過去作の主人公に比べると、望月衣塑子は矢張り極めて真っ当だ。新聞社に勤務し、日々記者としての職務を真面目に熟す。アウトサイダーでも「キワモノ」でも何でも無い。勿論ジャーナリストとして彼女の中から湧き出る強い使命感も感じられるが、しかし人格的な過剰さは感じられ無い。何より佐村河内守の様な胡散臭さは全く無い。
 森さんらしく無いな・・・そう思いながら観て居た。実際、この企画自体が河村プロデューサーからのものだった。







 「キワモノ」は社会の歪さ照らす特殊なフィルター/span>

 「映画でこうしたオファーを受けると云った仕事は、もしかして初めてかも。『「A」』や『「A2」』は自主制作だし『FAKE』も僕から撮りたいと言ったから。望月さんはそれ以前から面識はあったけど、撮影を進めて見て余り印象は変わら無かった。裏表が無い人なので、誰に対しても同じ様に接するし、距離を作ら無い。最初から、好く喋って好く食べて好く動くってイメージは同じ。
 マァでもヤッパリ彼女は面白い。周囲と上手くコミュニケーションが取れ無いのは、一体何に由来して居るのか、色々面白い材料は有った」


 そして映像作家らしく、望月記者に対して、こう評価を付け加える。

 「撮って行く内に、思った以上にコケティッシュな処が有るなと思いました。ドキュメンタリーの被写体って、フォトジェニックで有る事が大事なんですよ。それは、ハンサムとか美人とかって意味じゃ無くて画に為る事。人としてドンなに面白くても、シチュエーション的にドンなに面白くても、フォトジェニックで無いとメインの被写体としては辛い。荒木浩さんも佐村河内さんも画に為るからね」

        12-23-23.jpg

              『i ー新聞記者ドキュメントー』より

 とは言え、矢張りひとつ気に為るのは、望月が真っ当過ぎる位真っ当な事だ。森作品において、荒木浩や佐村河内守は日本社会の歪さを照らす特殊なフィルターとして機能する。しかし望月は、彼女自身が日本社会の問題を直接追求して居る張本人だ。従来の森作品と異なった印象を受けるのは、ソモソモ被写体の質が違うからだ。

 「ドキュメンタリーって、如何に豊かなメタファーを紡ぐかが大事です。荒木さんや佐村河内さんを撮っても、彼ら自身がテーマだった訳じゃ無い。僕はこれ迄、彼らをメタファーにして社会とメディアを描いて来た積りです。
 只、今回は正しく望月さんそのものがメディアを体現してる訳ですから、彼女がメディアのメタファーには為ら無い。ジャア、更にもっと大きなものにするしか無いなと」


 モッと大きなモノ・・・それは、現在の政権であり日本と云う国家そのものだ。1999年の『放送禁止歌』で、森はテレビやラジオで一部の曲が「放送禁止」とされて居る状況を探った。
 そのオチは何とも拍子抜けするのと同時に、日本的なヤバさが立ち込めるものだった。実は放送禁止等、誰も決めては居なかった。単に放送局のスタッフが何かを畏(おそ)れて、放送して居なかっただけ。最近の言い方をすれば忖度によって「放送禁止」と云う現象が生じて居た。
 人々が自動忖度機と化す日本の怪現象は、今に始まった事では無い。森は随分前に、放送局を取材する過程でそれを知った。それから20年経った今、森は言う「アノ時よりも、事態は遥かに進んで居る・・・」







 日本に蔓延する忖度パンデミック、何故?

 森友・加計学園問題を初め、ここ数年、忖度が引き起こす不祥事が目立つ。強大化した権力と不安定な社会は、権力に対する忠誠に奔走する孤独な権威主義者を跋扈(ばっこ)させて来た。人々は流れに逆らう事無く、その先に何が待ち構えて居るか考えずに只管(ひたすら)同調する。

 「同調は人の本能だと思って居ます。だって人は群れるイキモノだから、それはモウ大前提。只日本は、チョットその度合いが強いんじゃないかと思います。これにはメリットも有って、過つてこの国は同調性が高いが故に、企業戦士を生み出して高度経済成長を成し遂げて来た」

 しかし、今はそのマイナス面が日本の至る所で噴出して居る。

 「同調圧力が過剰に働く時があります。何処に向かって居るのか、何の為に走って居るのか判ら無いママ、皆必死に走り出す。それが、結果として飛んでも無い事に為る時がある。例えば、戦争中は皇国兵士を生み出した。企業戦士とも共通するのは滅私奉公ですよね。
 自分を捨てて帰属する集団に奉仕する。キッと、安心出来るんでしょうね。歴史的に何度も起きて居るのに、又そう云う傾向に為って居る」


 放送局が自主規制をして居た状況が、現在、日本社会全体に蔓延(まんえん)して居る。マルで伝染病の様に。何故、これ程の忖度パンデミックは起きて居るのか。

 「セキュリティ意識だと思います。皆もう怖いんですよ。行政や展示会関係の人達は炎上が怖い訳です。そうすると、為るべくリスクを軽減したい。しかし、万が一を気にしてたら何も出来無く為る。車に絶対に轢(ひ)かれ無い為には家から出無い方が好いと云う話に為る。リスクは決してゼロに為ら無いのに」

 恐らく、ソコで忖度をしたり自粛をしたりする人は、責任を取らされるのを怖がって居るのではないか。

 「多分、そうですよね。今は万が一が余りにも強く為って『何か有ったら責任取るのか!』と言われると、何も言い返せ無く為って居る。『ガソリン携行缶を持って行く』と電話があっても、本気でそう考えて居れば電話ナンてして来ない。だからそんなのは相手にし無きゃ好いんだけど、でも万が一は有る。
 もし酷い事が起きたら、誰も責任の取り様が無い。 でも、そう云う社会に為っちゃったんですよネ。そうした状況の中で一番良いのは、リスクをゼロにする事。詰まり遣ら無きゃ好い。そして自主規制が起こる」
 

 同調圧力が、メリットよりもデメリットを軸に働く状況が強まって居る。

 「悪い部分が今ドンドン出て来てしまって居る。目的が無く為ったら暴走するばかりですから。今日本はそう云う処が悪いんじゃないかな。目的を失って居るから怖いし、同じ動きをする為に強いリーダーが欲しく為る」

 他人と同じ事をし他人と違う事をする・・・人間は、同調化と差異化を繰り返す。もう直ぐ終わろうとして居る2010年代は、世界的に人々の極端な志向が強まった時代だった。トランプ大統領もそうして誕生し、Twitterでは日々様々な陣営が感情を剥き出しにしてを攻撃して居る。そして若者達は、何かに付けて炎上リスクを口にする。
『i』は、ソンな時代に対しての処方箋だ。森の優しく無い「やさしさ」は、果たして何処まで届くか。


     編集 毛谷村真木 松谷創一郎     以上







■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

美容業界で話題のニュートロックスサンを2カプセル当たり250mg配合【BE-MAX the SUN】

https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35SIQM+CAYIUQ+3Q38+BXB8Z
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




WTOは死んだのか 軍靴の音が再び聞こえる・・・




 




 WTOは死んだのか 軍靴の音が再び聞こえる・・・

     〜日本ニュース時事能力検定協会認定講師 坂東太郎 12/22(日) 11:00〜

            12-23-2.jpg

 12月11日、世界貿易機関・WTOの紛争処理機能が停止してしまいました。貿易紛争の最終的な解決を図る上級委員会(委員は7人の専門家)で最低限必要な3人の内2人の任期が切れ、後任が選ばれ無かったからです。
 理由はアメリカが選任に反対したから。WTOは加盟164カ国・地域の全会一致が原則で1国(アメリカ)でも反対したら何も決まりません・・・と初っパナから小難しい話に為りましたが、この事態は貿易紛争のみ為らず戦火を交える本当の戦争への滑走路に為るかも知れ無いと申せば深刻さが判って頂けるでしょうか。以下に分析を試みてみます。

 ブロック経済に疎外された日本

 WTOの前身組織である「関税と貿易に関する一般協定」GATTが発足したのが1948年。先の大戦が1929年に端を発する大恐慌への対応として、主要国が特定の国だけを囲い込んで他を排除したブロック経済を敷いたのが、大きな要因とされたのを反省しての事でした。
 大恐慌の震源地アメリカのフーヴァー大統領は「スムート・ホーレー法」制定に走ります。高関税と国内産業保護で大不況を乗り切ろうと考えたのです。他の主要国も対抗して似た様な仕組み作りに邁進します。

 イギリスは、英連邦加盟国にだけ低い関税(特恵関税)を適用して他国の製品を排除しました。フランスも追随。日本も植民地だった台湾と朝鮮、更に軍事力で樹立した「満州国」等で円ブロックを構築するも、不十分で代わりに為る市場を東亜新秩序建設の名の下に、中国との戦争で獲得しようとしました。
 第1次世界大戦敗北で植民地を失ったドイツ国民は、ヒトラーの拡大政策を支持します。こうした角逐が何を齎(もたら)したかは云う迄もありません。







 世界全体の経済発展を図る国際組織

 そこでGATTは「自由・無差別」を理念に、排除の典型である関税率の引き下げ等を徐々に進めて、世界経済の自由化に務めて来ました。
 「無差別」は、2国間以上での交渉で相手国に認めた条件を、全ての加盟国に適用する最恵国待遇が基本。1955年に加盟した日本は、戦前に軍事力で捥ぎ取ろうとした市場と資源への自由なアクセス権を平和裏に得られたのです。こうしたGATTの有り方は結果的に英連邦特恵関税制度の様なブロックを無力化する役割も果たしました。

 その発展形が1995年に発足したWTO。「自由・無差別」の理念を継承しつつ、協定(条約)から国際機関へと強化されました。改組される根拠と為ったGATTウルグアイ・ラウンド(1994年妥結)にモノの貿易のみ為らず通信、金融、流通等のサービス分野や投資、知的財産権の保護も対象に加える組織と為り、 ジュネーヴ に常設の本部も置いたのです。
 決定を多数決で無く加盟国の全会一致で議決するとしたのは、不満を持つ国が脱退したら世界経済が分断されてしまう為。故に途上国の存在感は、他の国際機関に比して高い傾向が見られます。これも又大国の独り善(よ)がりを防ぐ効果を狙ったものでした。

 WTOの役割をザックリ表現すれば「貿易に関する国際(世界共通)ルールを定めて発展させ、為るべく偏り無く世界全体の経済発展を図る国際組織」と言えましょう。リカードの比較優位論が根本理論です。自由貿易の守護神として、全世界一律のルールで貿易すれば問題等何も起き無い・・・理屈の上ではそう為ります。







 ノッケから躓(つまづ)いたドーハ・ラウンド交渉

 只時代と共に様々な変化が生じるのも事実で、WTOではGATTと同じく「ラウンド」と称する、貿易の自由化ルールを討議する多角的貿易交渉を行って居ます。2001年からドーハ・ラウンドの交渉スタート。
 主なテーマは「開発」で途上国を含めた貿易ルールや何かと揉(も)め易い農業分野の自由化ルールを確立しようと試みます。「先進国と途上国」および「農業」はGATT時代も利害調整が難しいので先送りされて来たテーマです。具体的には途上国との経済格差を縮めツツ経済発展に繋がる方策を優先的に取り組んで、途上国もラウンドへ積極的に参加して貰うのを期待しました。

 誤算はこの「WTO最初の大仕事」が遅々として進ま無かった点。当初の最終期限は2006年でしたが、マトまらず凍結してしまいます。最大の懸案は農業分野。工業品等と異なり国土保全の役割や安全保障と云う観点から、経済合理性を見逃してでも維持して置きたい理由が生じ易いからです。
 例えば日本は、食糧自給率が低いので食糧安全保障を唱えて、コメ等の主要産品に特段の関税措置を認めて貰いたい立場と為ります。世界的な枠組みだと、欧州連合・EUや日本は、農産品を輸入する側なので国内農業を関税で守りたい。
 アメリカは、輸出国で有り続けるべく国内農業を補助金で維持したい。途上国の多くは最大の輸出物が農産品と云うケースが多い為、一般に先進国へ輸出したいから関税や補助金には反対です。加えてEUの一部の国は余剰農産品に補助金を付けてアメリカ市場と対抗するヤヤコシイ形が含まれます。

 2008年の蹉跌(さてつ)
 
 それでも2008年、アメリカは農業補助金を削減しEUも補助金撤廃で、ラウンドは折り合いそうに為りました。同年は世界経済を根底から破壊しかね無いリーマン・ショックが襲い掛かって居て「大恐慌の再来」すら予測されて居ました。
 日米欧何れも打つ手無しに迄追い込まれた処を救ったのが、11月の主要20カ国・地域G20首脳会議・金融サミットで、ブロック経済の様な保護貿易主義の排除を強調し、ラウンドの年内大筋合意が打ち出されたのも画期的でした。

 処が別の問題が顕在化して結果的に挫折してしまいます。途上国側でブラジル等農産品輸出国と、インド・中国等輸入国の立場が異なって分裂してしまったのです。
 特にG20で大きな役割を果たした中国が、市場開放を最小限に食い止めたいと主張し、アメリカと鋭く対立したのが致命的と為りました。2009年2月、アメリカは公共事業で使う鉄鋼等を自国で賄う「バイ・アメリカン」条項を含む景気対策法を成立させ保護主義的な政策をチラつかせるに至ります。

 結局、ドーハ・ラウンドは2011年、主要分野(農産品や鉱工業品)での合意を断念する事実上の「休止」宣言を出し、2013年には税関手続きのスピードアップや、途上国の農産品国内補助金を認める特例および後発発展途上国を支援する「開発」3分野の部分合意に、成功するに止まって居ます。
 2017年にはアメリカと中国等新興国の対立が鮮明と為り、閣僚会議としての宣言すら採択出来無かったのです。ラウンド開始から20年近く経っても解決しないので「WTOは既に死んで居る」と悲観的な見方が次第に広がって居ます。







 相対的に浮上した紛争処理能力と問題点

 そんな中、相対的に重きを為したのが「交渉」では無く「司法」的役割でした。少なくともウルグアイ・ラウンド迄のルールは確定して居るので、それに違反するかどうかを判定する紛争処理機能を指します。WTOが違反を認定すれば、被害国は加害国に制裁措置を発動出来るのです。
 貿易紛争を当事国同士で無く国際的に処理する場は、この仕組みしかありません。個人の揉め事と同じく当事者同士での話し合いは拗(こじ)れると延々と続くし、どうしても力の強い方が有利に展開し勝ちです。一応妥協が成立しても遺恨が残る恐れもありましょう。その点、WTOと云う公正な「裁判所」に委ねるメリットは大きいと言えます。

 「我が国はWTO協定に違反する不利益を受けた」との訴えがあれば、先ず「紛争処理小委員会(パネル)」に提訴します。パネルは報告書と云う形で判断をマトメ、それに不服であれば冒頭の「上級委員会」に申し立てます。此処が最終審判決に相当する報告書を公表するのです。
 例えば2012年、中国がレアメタル・希少金属の輸出を規制した際には、アメリカ・EU・メキシコが訴えて上級委員会が中国敗訴を判断。中国は関税撤廃で応じました。2014年には中国が環境保護を名目にレアアース・希土類輸出規制をして居るのは協定違反、と訴えて居た日・米・EUが勝って居るのです。

 アメリカ敗訴もあります。2013年、アメリカが中国の鉱物等の輸出品に不当廉売・反ダンピング関税を課したのを違反として、中国側が申し立てを行い2017年にアメリカ敗訴が確定しました。EUと争ったボーイング社への減税措置に関する申し立てでも敗れて居ます。
 多国間より2国間での取引を好み、自国第一を唱えるトランプ米政権に取って、特に中国との貿易摩擦を仕掛けてからWTOの司法的役割は鬱陶(うっとう)しい様です。通商法等国内法で気に入らぬ国への制裁をチラつかせつつ、事を有利に運びたいと考えると、意のママに為ら無い上級委員会に手足を縛られたく無いでしょう。
 又「交渉」頓挫と共に「司法」的役割が肥大して来たのも事実です。画(かく)してアメリカのNOで此方の機能も停止してしまいました。トランプ米大統領はWTO離脱すらし兼ねません。

 「改革」の方向性はバラバラ

 「交渉」も「紛争処理能力」もダメだとWTOはお仕舞いです。各国は「WTO改革をすべきだ」の一点でマトマッテ居るものの方向性がテンでバラバラ。アメリカは肥大化を問題視して上級委員会の機能を限定させたい方向なのに対し、中国はアメリカの保護主義的傾向から自由貿易を守る砦としての権限維持を主張。EUは上級委員会の機能不全だけは避けたくて、寧ろ強化策を提案して居ます。
 日本は近年、韓国の水産物禁輸問題で上級委員会に「逆転敗訴」を食らった苦い経験を持つので「強化」は嫌だけど自らが訴える場所が無く為るのも困ると云う立場です。

 EPAやFTAはブロック経済か

 今コソWTOの様な、自由貿易の世界共通ルールを決める組織を創設した原点に立ち戻るべきです。世界大戦の様な惨禍を経済面から二度と起こしては為ら無いと云う崇高な理念を。
 上級委員会の機能停止も大問題ですけど、それ以前から理念は揺らいで居ます。WTO協定が例外として認めて居るに過ぎ無い経済連携協定EPA自由貿易協定FTAが続々と結ばれて居るのが何よりの証左でしょう。日本も、環太平洋パートナーシップ協定TPP、日本・EU経済連携協定、日米貿易協定と、この処立て続けに大型の協定を結んで居ます。

 理由として、ラウンドが決着しないのでその外で交渉をマトメルしか無い、と云う現実主義が横たわって居るのは判るのですが、特定の国々とだけ協定(条約)を結んで域内の関税をゼロにすると云った仕組みは、ブロック経済以外の何ものでも無い、と云う批判をもう少し真剣に考えねば為りません。
 確かに戦前のブロック経済化・保護貿易化が必ずしも戦争を惹起した訳では無いと云う有力な反論は認められます。比較優位論も、それによって転職を余儀無くされる者が速やかに移行出来るとは限ら無いと云う弱点を抱えても居るのです。だとしても、WTOの理念を覆(くつがえ)し、新たな構想を具体的に打ち出さ無い限り「WTOは死んでも好い」とは為りません。

 トランプ米大統領の個人的傾向とも言い切れません。先述の「バイ・アメリカン」条項を含む景気対策法が成立した時はオバマ大統領でした。
 元来、建国以来のアメリカは孤立主義が原則で国際協調主義は例外。 後者に明確に属する時期は第1次世界大戦参戦(1917年)から国際連盟設立(20年)迄と第2次世界大戦参戦(1941年)から終戦(1945年)を挟んでソ連崩壊(1991年)辺りまで。
 戦後生まれの日本人は「たまたま」珍しい国際協調主義のアメリカに出食わしたに過ぎ無いのかも知れません。トランプ大統領は元々そうであった孤立主義的傾向を露骨に、判り易く表現して居るだけで、アメリカの本質は寧ろ今の方と云う可能性大。

 一方、戦後日本は間違い無くGATT体制に救われました。自由貿易による恩恵を最も受けた国の1つなのです。故にWTO問題はもっと真剣に捉える必要がありましょう。


           日本ニュース時事能力検定協会認定講師 坂東太郎

            12-23-1.jpg  

 毎日新聞記者等を経て現在、日本ニュース時事能力検定協会監事 十文字学園女子大学非常勤講師を務める 近著に『政治のしくみがイチからわかる本』『国際関係の基本がイチから分かる本』(何れも日本実業出版社刊)等










 


×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。