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2019年12月02日

日本の劣化が止まら無い「所得格差」が人の心と社会を破壊する




 




 日本の劣化が止まら無い 「所得格差」が人の心と社会を破壊する


           〜ダイヤモンド・オンライン 12/2(月) 6:01配信〜


       12-2-5.jpg

 〜昨今日本でも、非人道的な暴力事件が目立つ事もあり、人の心や社会の状態が悪く為って居ると感じる人が多いと言います。確かにこうした劣化を示すデータは多くあります。
 その背景にあるのが格差の拡大です。格差は、人と社会の健康を蝕(むしば)みます。そして今世界各地で見られて居る様に社会の分断、暴動、革命、戦争に発展します。既に劣化の段階に入って居る日本・・・このファクトを認識し、格差是正に向けた国民的議論が期待されます〜


      Nagata Global Partners代表パートナー パリ第9大学非常勤講師 永田公彦


 所得格差の大きさと社会問題の発生は正比例する

 「所得格差」と「人と社会の健康状態」の相関関係を示した調査研究は多くあります。その中で本稿では、体系的且つ国際的なものとして、英国の経済学者で公衆衛生学者でもあるリチャード・ウィルキンソンの研究を示します。
 既にご存じの方も居ると思いますが、2009年に彼のチームが発表したデータで、横軸は所得格差で、右に行く程格差が大きい国。縦軸は人と社会の健康状態で、上に行く程悪く社会問題が深刻な国です。(枠線内の様々な指標を用い総合的に算出)
 これを見ると、「所得格差」と「社会問題」が見事に正比例していることがわかります。調査対象国中、最も格差が少なく人の健康も社会の状態も良いのが日本、その正反対にあるのがアメリカです・・・所得格差が大きく為る程、人の健康も社会問題も悪化する。

 小格差国から中格差国へ、そして超格差国の仲間入り?

 所得格差(横軸)を対象国別に並べると、上位20%の富裕層の平均所得を下位20%の貧困層の平均所得で割った所得倍率です。情報源は、国連開発計画・人間開発報告書で示された2003〜06年のデータです(ウィルキンソン氏に確認済み)
 そこで、筆者が同じ情報源にある最新データ(2010〜17年)を用いて、所得格差を国際比較した。日本は3.4倍から5.6倍と、10年足らずで格差が広がり、右側の高格差国に仲間入りして居る事が判ります。  

 格差拡大で日本の劣化が進んで居る

 ウィルキンソン氏の研究結果に従うと、日本では格差が拡大した分、人の健康も社会問題も悪化して居る筈です。これを同氏が当時使った統計データの最新版で確かめたい処です。しかし残念ながら継続的に採られて居ないデータも多く、変化を正しく捉えられ無い為、別のデータに目を向けてみる事にしましょう。
 すると、確かに昨今の日本の劣化を示すものは多くあります。例えば、精神疾患による患者数は、2002年の約258万人から2017年には419万人に(厚生労働省・患者調査)肥満率も、1997年の男性23.3%・女性20.9%から2017年には男性30.7%・女性21.9%と増えて居ます。(厚生労働省・国民健康栄養調査)

 ここ20年間(1996年〜2016年)の刑法犯の認知件数を見ると、戦後最多を記録した2002年以降は全般的に減少傾向にあるものの、犯罪別では悪化して居るものが多くあります。傷害は約1万8000件約2万4000件に、暴行は約6500件約3万2000件に、脅迫は約1000件約4000件に、強制わいせつが約4000件約6000件に、公務執行妨害が約1400件約2500件に、住居侵入が約1万2000件約1万6000件に、器物損壊が約4万件約10万件に夫々増加して居ます。

 又2013年辺りから振り込め詐欺の増加に伴い、詐欺事件が約3万8000件約4万3000件に増えて居ます。(法務省・犯罪白書)こうした犯罪の増加も影響してか、他人を信用する割合も、2000年の40%2010年には36%に低下して居ます。(World Values Survey)更に、日本人の国語力や数学力の低下を指摘する調査や文献も多く出て来て居ます。

 格差はやがて社会の分断、暴動、革命に発展

 格差の拡大は、人々の倫理観の低下を招き、犯罪、暴力やハラスメント事件を増やし、ストレスと心の病を持つ人を増やします。それに伴い、社会全体が他人を信用しない、冷たくギスギスしたものに為る事は前述した通りです。又、格差が人の幸福感を低くすると云う研究もあります。 (Alesina et al 2004, Tachibanaki & Sakoda 2016等)
 更に格差が、社会の分断、暴動や革命を引き起こす事を示す歴史上の事実は多くあります。例えばフランス革命です。国民の僅か2%の権力者(王室家系、高僧、貴族)が国の富と権力を握り続けた挙句に起きた、社会の在り方を大きく転換させた歴史的な出来事です。

 又所得格差が異なる宗教、民族、地域アイデンティティ、政治的イデオロギーと重なると更に厄介です。紛争が起きる可能性、そのパワーや社会へのインパクトが、一気に高まるからです。(オスロ国際平和研究所調査2017)
 例えば、今の香港はその典型例です。一昨年には過去45年間で格差が最大に広がって居ます(所得格差を表す指標の1つジニ係数が、アメリカの0.411を超え0.539まで拡大)これに、地域アイデンティティ(香港人と中国人)政治的イデオロギー(自由民主主義と一党独裁社会主義)と云う2つの要素が重なる為、問題が根深いのです。

 この点では、日本も他人事では居られません。個人間の格差は前述の通り短期間で拡がって居ます。又、「大都市圏と地方」「正規と非正規雇用者」等グループ間格差も顕著に為って居ます。もしこれが日本以外の国ならば、暴動や革命が起きても可笑しく無い状態です。
 今コソ、こうした格差と社会の劣化を客観的且つ真剣に捉え、国民的議論を起こすべきではないでしょうか。何故ならば、民主主義社会における変革は、国民的議論と意思表示が出発点に為るからです。

            永田公彦     以上







 【関連報道】非正規雇用140万人が7年後に職を失う 日本の格差拡大はこれからだ


       12-3-13.png 経済産業研究所 岩本晃一氏 

〜「デジタル経済の嘘とホント」岩本晃一 経済産業研究所 日本生産性本部 上席研究員 2019.2.12 5:00〜


 日本はバブル崩壊以降、新自由主義を導入し「勝ち組」と「負け組」に分かれ、過つての中間所得層が減少し、経済格差が開いて来たとされて居る。全国消費実態調査や国民生活基礎調査によると、税金等を差し引いた世帯の手取り収入(等価可処分所得)が、中央値の半分の水準の世帯の割合(相対的貧困率)は、夫々高まって居る。この事は、徐々にではあるが「貧困層」が増えて居る事を示す。
 又所得分配の不平等を示すジニ係数で、日本はOECD平均よりも格差が大きい事は、前回の記事「経済格差を巡る誤解、原因は移民や安い輸入品では無かった」(2019年1月9日付)で書いた。

 だから、日本で経済格差はこれ以上、拡大する事は無いだろうと思って居る人が多いのではないか。だが、そうでは無い。寧ろこれから一気に拡大する可能性が高いのだ。

 情報化投資が遅れて来た日本  RPA導入の加速で変化

 日本はこれまで様々な理由により情報化投資が遅れて来た。その結果として日本企業の労働生産性は先進国の中でビリに近い状態がズッと続いて居るものの、幸いにも米国の様な極端な経済格差のある社会には為って居ない。だが、今、日本では、職場にAIを導入し定型的な仕事であるルーティン(Routine)業務を機械化しようと云う動きが始まろうとして居る。
 その典型的な例が、人間が行って来た事務作業の一部をソフトウェアのロボット技術で自動化するRPA・Robotic Process Automationである。その結果、日本は米国の後を追って、これから活発な情報化投資により、経済格差が広がる事が予想される。

 しかもバブル崩壊以降の日本企業は、大規模なリストラ、労働分配率の低下、非正規の大量採用、人材育成投資の大幅削減と云う「人への投資の削減」「人を冷遇する」と云う経営を続けて来た。その為、RPAが広がるこれからは、経済格差が米国よりも速いスピードで、一気に、しかも大規模に拡大する、と云うのが私の予想である。

 米国では80年代から ルーティン業務の雇用が減少

 前回も紹介した米国MITのデイビッド・オーター・David H. Autor(1967年生まれ)教授の論文から、 米国でのルーティン業務の推移を見てみよう。米国におけるルーテイン業務及び非ルーテイン業務の作業(タスク)の割合から は、知識や経験を必要とする「ルーティン業務」(Routine Cognitive)は、米国では少なくとも1960年代は増えて 。従って、その業務を担う人間の数は増えて居たのだ。
 だが、1970年代に為ると増加スピードは減少し、1980年代半ばに為ると米国内のルーティン業務自体が減少に転じ、その後、減少のスピードはドンドン加速して居る。その一方で、人間を機械に代替する情報化投資は1970年代から増え始め、1980年代半以降一層加速して行った。

 では、ルーティン業務を担う労働力として、1960年代には雇用を増やして居た米国が、急に人間を機械に代替する程情報化投資に積極的に為って行った「境界線」は何処にあったのだろうか。
 IT関連機器投資の価格の1994年以降の傾向を示したものだが、情報化投資は急速にコストが減少する傾向を持つ。







 IT関連機器の投資の相対価格の推移

 このコスト低減傾向は1980年代以降にも見られた。その為、米国企業の経営者は、合理的な判断をして、人間を雇用するコストよりも情報化投資のコストの方が安く為った時点で、人間を雇用するのを止め、情報化投資に切り替えて行ったものと思われる。これが、米国における人間の機械への代替メカニズムである。
 
 コスト低減傾向を持つ情報化投資コストが労働コストを下回る「境界点」を超えると、人間が機械に代替され始める

 米国の労働コストは日本の非正規の労働コストよりも高く、情報化投資コストは日本よりも安いので、日本よりも早く「境界点」に到達する。だがヤガテ、日本でも米国に遅れるものの「境界点」に到達する。

 機械化しても雇用は維持 生産性や競争力の低下招く

 OECDでは、米国、EU、日本の3ヵ国に付いて、2002年から2014年迄、スキル別の職業毎の労働者比率の変化について計算して居る。
 例えば、米国における(高スキル労働者数)/(全労働者数)に付いて、2002年の値と2014年の値を比較すると、2014/2002=+7%増と為って居る事を示している。3ヵ国を比較すると、米国が最も変化が大きく、日本が最も変化が小さい。

 米国の企業は、2002年以降、中スキルのルーティン業務の労働者を解雇して来ただけで無く、中スキルの非ルーティン業務の労働者も解雇して来た。その一方で、高スキル者を自社内で養成したり、新規雇用を増やしたりする等、高スキル者の獲得に努めて来た。
 米国と比較した日本の特徴は、本来は機械化を進めて解雇出来た筈のルーティン業務の雇用者でも、殆ど解雇して居ない事だ。更に日本と米国との大きな違いは、日本企業は高スキル者の獲得や養成に殆ど無関心だった様に見える事だ。

 日本では、「ウィンドウズ95」が発売された95年が「インターネット元年」とされるが、これでは、その後日本が米国とのグローバル競争に負けて来た事も頷ける。日本企業は、雇用の現状維持の傾向が強く、技術進歩に伴って本来であれば機械で代替出来る部分で人間を働かせて居たり、高スキル人材を養成したりして居ない。順送り人事、過去と同じ業務の繰り返し、働き方の現状維持の結果と言える。
 詰まり、技術進歩に応じた雇用状態が合って居ない為、生産性低下、企業競争力低下を招いて居るものと思われる。技術進歩にも関わらず、雇用の現状維持を続ける事は、企業のイノベーションの足を引っ張り、生産性の低下、競争力低下に繋がるのだ。

 AI導入で機械への代替が一気に進む予兆

 前述で判る様に、日本での情報化投資は米国よりもコストが高い。雇用慣行や人事だけで無く、この事も、日本で情報化投資が遅れて来た背景だ。だが、情報化投資のコストは下がり続ける。日本でも何時かの時点で、多くの企業で人間を雇用するコストよりも情報化投資の方が安く為る境界点が到来する。その時、機械への代替化が一気に進むと予想される。
 実は、日本では現在、情報化投資が労働コストを下回る境界点に差し掛かって居るのではないかと云う予兆が見える。

 例えば、専門誌の特集「実践RPA」(日経コンピュータ、2018年10月28日増刊号)「まるわかりRPA」(日経コンピュータ、2017年12月30日増刊号)から主要な記事のタイトルを拾っただけでも、次の様な動きがある。

 「AIとRPAで帳票処理の8割を自動化、みずほ銀行が2019年春にも」
 「電通社長、メモ見て即決、目を付けたのはPC業務を自動化するRPAだった」
 「日本生命がRPA導入拡大、仕事を5倍速く15%少なく」
 「三井住友海上火災保険、18%効率化を目途にRPAを本格導入へ」
 「RPA導入を先行した金融機関、作業時間が10分の1に」


 又、地方自治体の中で先導的な役割を担って居るつくば市では、RPAの実証実験をして結果を以下の通り公開して居る。この実験は、2018年(1月〜4月)に、市民税課や市民窓口課の電子申告書の印刷や異動届受理の通知等、5業務をソフトウェアのロボットで遣る事で、作業時間等をどの程度、削減出来るかを実証したものだ。
 基幹系業務(対象6業務)のアクティビティ数比較集計結果を見ると、つくば市の基幹系6業務で、40の作業があったものの、その内32作業がRPAで代替出来、人間がし無くては為ら無い作業は17作業だった事を示して居る。これは、もし基幹系6業務に100人を充てて居たとすれば、そのうち32/(32+17)=65%、即ち65人は不要に為った事を示して居る。
 又銀行業界では、RPAにより人員を減らす動きが現れて居る。来春卒業の大学生の採用では、メガバンク3社は、一般職を合計900人の採用を減らすと云う。みずほフィナンシャルグループの場合、一般職は約7割減との事だ。(出典:朝日新聞2018年9月1日)

 又メガバンクは、今後、AI導入を進める事によって3社合計で約3万人規模のリストラをすると発表している。銀行業界は、RPAの導入を急速に進めて居り、ルーティン業務の機械への代替は一気に進みそうだ。
 RPA業界では、これからの最大市場は、銀行業界と地方自治体だとの噂がされて居る。この2業種は、殆ど大部分が帳票業務等の「ルーティン業務」だからだ。







 どれ位のスピードで雇用減や格差が広がるか

 日本でこれから、AI等に仕事や雇用がどの程度、代替され、経済格差が何処まで拡大するのだろうか。

 ▽日本で、IoT、AI等のデジタル技術の導入により、今後、機械への代替や雇用者数の減少はどう為るか。
 ▽その結果、日本では米国の後を追う形で、どの様なスピードで、そしてどの程度の規模で経済格差が発生するか。


 この2点に関しては、入手可能な数字等に基づき、或る程度の幅はあるものの、可なりの精度を持って予測する事が可能である。筆者の試算では、例えば、7年後の2025年を予測すれば、ルーティン業務量は今より7%程度減り、そうした業務を担う非正規雇用の約140万人程度が仕事を失う事が見込まれる。但し、この数字は可なり控え目に見た予測だ。


 経済産業研究所 日本生産性本部 上席研究員 岩本晃一    以上




















ノーベル賞経済学者が「日本とアメリカは似ている」と分析した理由




 

 


 ノーベル賞経済学者が 「日本とアメリカは似て居る」と分析した理由


          〜PHP Online 衆知(Voice)12/2(月) 11:51配信〜

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 〜ノーベル賞経済学者のフリードマン、その日本経済の分析は先見性に満ちたものだったと、経済学者の柿埜真吾氏は自著『ミルトン・フリードマンの日本経済論』にて語って居る。ノーベル経済学賞を受賞し、20世紀後半から21世紀初めに掛けて世界に燦然たる輝きを放ったアメリカの経済学者ミルトン・フリードマン。(1912〜2006)
 この「巨匠」が実は繰り返し日本に関する分析と発言を行為って来た事をご存知だろうか? 日本のバブル崩壊とデフレ不況を予見し、金融政策の誤りや貿易摩擦・構造問題を鋭く語ったフリードマンへの再評価が進んで居る〜



 日本のエコノミストから「市場原理主義者」のレッテルを貼られ誤解され勝ちなフリードマンの対日分析を行った書『ミルトン・フリードマンの日本経済論』同書より、フリードマンが「日本特殊論」に真っ向から反論し、驚くべき先見性を発揮して居た事を記した一節を紹介する。

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  ※本稿は柿埜真吾著『フリードマンの日本経済論』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです

 ローズ・フリードマン夫人「日本ではどの国よりも沢山旅をした」

 フリードマンが最初に日本を訪問したのは1955年の事である。インドへの船旅の途中、僅か1日の滞在だった。日本はフリードマンが訪れた最初のアジアの国と為った。敗戦の痛手から立ち直りつつあったものの、当時の日本は未だ貧しい途上国に過ぎ無かった。

 1963年、フリードマンは、世界の金融制度の研究の為1年間の研究休暇を取ったが、彼が重点的な研究対象に選んだ国は、ユーゴスラビア・イスラエル・ギリシャ・インドそして、日本であった。高度経済成長を遂げた日本は、最早貧しい農業国では無く為って居た。フリードマン夫妻の日本滞在は2カ月以上にも及んだ。
 これ以後、1988年に至る迄フリードマン夫妻は日本を何度も訪問する事に為る2。フリードマン夫妻は東京や大阪・京都だけで無く、倉敷の様な地方都市にも足を延ばした。

 日本の案内役を務めたのは、シカゴ大学で学びフリードマンの自由主義思想の好き理解者であった西山千明・立教大学教授(当時)だった。ローズ・フリードマン夫人は「私達は、日本では、私達が訪れたどの国よりも沢山の旅をしたものです」と回想して居る3

 1980年代には、米国でベストセラーと為ったフリードマン夫妻の著書『選択の自由』が西山千明教授により翻訳され日本でも一世を風靡した。
 1982年から1986年に掛けてフリードマンは、日銀の要請に応じ日銀金融研究所の初代顧問に就任して居り『貨幣の悪戯』(Friedman 1992)の終章は日銀金融研究所での講演が元と為って居る。
 1962年に出版された『資本主義と自由』(Friedman 1962)では、日本への言及は3カ所(5ページ)に過ぎ無いが、1980年の『選択の自由』(M.Friedman and R.Friedman 1980)では、日本への言及は22カ所(計32ページ)と飛躍的に増えて居る。円に対する言及〈重複を除く〉も含めると24カ所の計34ページ。

 日本が取り上げられる回数は米国・英国に次いで多い。フリードマンは、取り分け明治時代の日本の経済発展(自由貿易の成功例)と、1970年代の日本の金融政策(インフレの沈静化の成功例)に詳しく触れて居る。当時の多くの経済学者同様、フリードマンも日本経済の急成長に対して高い関心を持って居た事が判る。

 「日本特殊論」は正しかったのか?

 アジアの片隅の非欧米社会が何故、高度経済成長を遂げる事が出来たのか。当時も様々な仮説が唱えられたが、多くは日本社会の特殊性を強調したものだった。日本人の「生まれながらの集団主義」4と云った要因が有力候補に挙げられた。 何より注目されたのは、日本の通産省(MITI)を初めとする官庁による産業政策である。

 英国のEconomist誌は、日本を「今日、世界で最も巧みに行われて居る統制経済」と紹介し、米国商務省の報告も、政官財が一体化した「日本株式会社」は西洋と異なるルールに従うと論じて居た。この報告にはスタンズ商務長官(当時)が序文を寄せて居る5
 こうした見方の決定版はジョンソンである。ジョンソン[1982]によれば「通産省の歴史は近代日本の政治及び経済の歴史の中心である」6。日本は特殊な発展指向型国家(Developmental State)であり、西洋市場経済のルールには従わ無い。その経済発展はMITIの官僚達が巧みな経済計画で意識的に作り出したものであると云う。

 こうしたイメージは欧米で繰り返し紹介され、1980年代から1990年代前半に日米貿易摩擦が激化すると、日本の閉鎖的経済への批判は頂点に達した。ステレオタイプな日本像とは対照的に、フリードマンは、早くも1960年代に日本経済の成功を自由市場経済と結び付けて居た。
 フリードマンは、雇用を初めとする日本の制度の特殊性を認めながらも「日本人は、これ等の制度の枠内で、経済的諸力を活用させる方法を実に器用に見出して居る」と指摘した。具体的には「終身雇用とは別に臨時雇用を採用」して居り「臨時雇用は解雇や整理の対象と為る」事や「大企業はより柔軟性を得る為に大量の下請け企業を抱えて居る」事を挙げて居る7

 驚くべきフリードマンの先見性

 1966年の講演では、日米には文化等に違いがあるが、それ等は寧ろ表面的相違であり、両国の経済には多くの共通点があると分析、日本経済は先進国へとキャッチアップする過程に在る為、米国よりも高い経済成長率を達成出来ると指摘した。
 フリードマンによると、日本は統制経済の有効性を示す実例処か「自由な社会コソが発揮出来る幾つかの素晴らしい利点を、経済の面においても政治の面においても示して居る非常に好い実例」である9

 フリードマンが証拠として挙げたのは、日本の経済成長が自由市場・自由貿易の時代に加速し、身分社会だった江戸時代や太平洋戦争時の戦時統制経済の時代には停滞したと云う事実である。
 明治時代の日本は「自由貿易の効果を証明する顕著な実例」であり、戦後の経済成長も自由市場の成功を物語って居る。フリードマンは、日本を文化や制度は違っても、欧米と同じ自由市場経済だと見做して居た。今日から見ても、フリードマンの日本経済の理解は極めて的確である。

 当時、有力な経済学者の間でさえ「近代産業部門の雇用関係が米国や西洋経済のそれと全く異なって居る」日本は「極端に非競争的な社会」(トービン10)と云った見方が主流だった事を考えれば、フリードマンの先見性は注目に値するだろう。
 実際、高度成長期以降の日本経済の展開は、日本の官僚が特殊な能力を持ち、日本の経済成長を主導して居ると云った幻想をスッカリ吹き飛ばしてしまう程悲惨なものであった。

 今ではワザワザこうした議論を批判する迄も無いかも知れない。産業政策万能論や日本特殊論への優れた批判としては、原田[2007]三輪・ラムザイヤー[2007]大来[2010]等の優れた著作があり、日本経済の成長は産業政策によって齎されたのでは無く、寧ろ特振法等の産業政策が民間企業の抵抗で実施出来無かったからコソ成功した事を明らかにして居る。
 原田[2007]は、豊富な歴史的実例を挙げながら、日本の伝統は寧ろ自由主義的であり、戦前戦後を問わず、産業政策や軍国主義、戦時統制経済では無く自由市場が日本の繁栄を齎した事を実証的に明らかにして居る。


            柿埜真吾 経済学者      以上


 





 【関連報道】進む再評価 ノーベル賞経済学者・フリードマンと日本の「深い関係」


        〜柿埜真吾(かきのしんご経済学者)2019年11月28日 公開〜


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               ミルトン・フリードマン


 世界の経済学者から、ケインズに次ぐ人気を集めるフリードマン

 ミルトン・フリードマン(Milton Friedman 1912〜2006)は、20世紀を代表する経済学者である。フリードマンは自由市場経済の重要性を説いた経済思想家でもあり、英国のサッチャー政権や米国のレーガン政権の経済改革に大きな影響を与えた事で知られて居る。
 ソ連崩壊、東欧の民主化・市場経済化が進み、中国やインドも市場経済化を進める改革で経済成長を実現した20世紀後半から21世紀初めは、まさにフリードマンの時代と言って好いだろう。

 その死から今年で13年に為るが、世界ではフリードマンの人気は依然として衰えて居ない。米国の経済学者への大規模なアンケート調査を行ったKlein et al.[2013]によれば、フリードマンは政治的立場を問わず高い人気を誇り、最も好きな20世紀の経済学者を問う投票では僅差でJ・M・ケインズに次ぐ第2位であった。
 2017年はフリードマンのアメリカ経済学会会長講演から50周年を迎える年に当たって居たが『ジャーナル・オブ・エコノミック・パースペクティブ』誌の記念特集号には、米国を代表するマクロ経済学者グレッグ・マンキューやノーベル経済学賞受賞者のトーマス・サージェントを初めとする一流経済学者が論文を寄稿して居る。

 過去の経済学者の論文にこれ程注目が集まるのは珍しい。これは、マンキューとリカルド・レイスが述べる様に「フリードマンのアメリカ経済学会会長講演から50年が過ぎたが、驚くべき事に、そのテーマは今も景気循環理論と金融政策論の中心であり続けて居る」証拠だろう。フリードマンの理論や政策提言は決して過去のものでは無く、今も熱い注目を集めて居るのである。







 『21世紀の資本』トマ・ピケティもフリードマンの研究を高く評価

 フリードマンの影響は決して一部の「市場原理主義者」に限られるものでは無い。例えば『21世紀の資本』で話題と為ったトマ・ピケティはフリードマンとは対照的な政治思想を持つが、フリードマンの研究を高く評価し、次のように述べて居る。

 「ミルトン・フリードマンは単なるイデオローグでは無かった。……その経済分析に同意するにせよしないにせよ、フリードマンが本物の研究者だったのは間違い無い。……今日、1929年の危機と金融政策が果たした役割に関する論争は未だ決着が着いて居ないが、フリードマンの業績を無視する事は決して出来無い」

 米国の穏健リベラル派に取ってフリードマンがどんな存在なのかを知るには、クリントン政権で財務長官を務めた経済学者ローレンス・サマーズの言葉を引くのが一番だろう。

 「進歩的な経済学者の家庭で育った私に取ってミルトン・フリードマンは悪役だった。しかし、時が経ち、……私は嫌々ながら彼に敬意を払う様に為り、それから彼と彼の思想に敬服する様に為った」

 サマーズは「ケインズが20世紀前半の最も影響のある経済学者だったとすれば、ミルトン・フリードマンは20世紀後半の最も影響のある経済学者である」と言って憚ら無い。学術の世界だけで無く、政策の場でもフリードマンの提唱した教育改革や貧困対策のアイデアは政治的党派を超えて真剣に検討されて居り、既に実施して居る国もある。世界では、フリードマンの研究は今や経済学の共通の遺産と為って居るのである。

 これに対して、日本では概してフリードマンへの関心は乏しく、2012年の『選択の自由』の再版等の僅かな例外を除くと、フリードマンを再評価する目立った動きは殆ど無い。日本ではシバシバフリードマンの思想を嫌う余り、その業績を認め無い風潮さえある。
 フリードマンに市場原理主義者・弱者切り捨てと云ったレッテルを張ったセンセーショナルな書籍は巷に溢れて居るが、田中秀臣(ひでとみ)[2006・2008]の優れた研究が指摘する様に、その多くは事実誤認が少無くなく、信頼出来無いものばかりである。

 フリードマンが実際に何を言っていたのかは日本では殆ど知られて居ないのが現状である。日本とは縁遠い米国の過去の経済学者だ、と云うのが一般的なイメージだろう。だが、フリードマンと日本の繋がりは意外に深い。ノーベル経済学賞受賞でフリードマンの業績が世界的に評価されるのに先駆け、1963年に初めてフリードマンに名誉博士号を贈った大学は立教大学である。
 1981年にはフリードマン夫妻の回想録出版に先立ち、フリードマン夫人の回想録(ローズ・フリードマン1981)が日本語でノミ出版された。フリードマンの最後の論説は日本のバブル崩壊後の金融政策と1930年代、2000年代の米国の金融政策とを比較したものだった。

 フリードマンは1960年代から折に触れて日本経済に関する論文を発表して来たが、その分析は日本経済への深い理解に裏打ちされたものである。例えばフリードマンは、1970年代には固定相場制崩壊が不可避であることを警告し、1990年代にはデフレ不況の到来を予測し、デフレ脱却には量的緩和が不可欠である事を一早く指摘して居る。
 高度成長期から1990年代以降のデフレ期まで、内外のエコノミストの日本経済への評価は極端な礼賛から極端な悲観論へと揺れ動いたが、フリードマンは「日本経済の成功は政官財が一体化した『日本株式会社』によるものだ」と云ったステレオタイプな日本経済特殊論を実証的に批判し、日本の戦後の高度成長期から1990年代半ば以降のデフレ期迄の期間を一貫した統一的視点から的確に分析して居る。

 自由市場と安定した金融政策が日本の経済発展の鍵であり、1990年代以降の停滞の原因は金融政策の失敗によるデフレ不況にあるとするフリードマンの指摘には、今日でも学ぶべき処が少無くない。処が、フリードマンの日本経済分析に着いては、それが存在する事すら、世界の経済学者の間でも、分析対象に為って居る当の日本の経済学者や関係者の間でも、殆ど知られて居ない。

 最近のフリードマンを評価した優れた研究としては、金融政策を中心にフリードマンの学説全般を扱った吉野正和[2009]フリードマンの大恐慌研究を現代から評価した宮川重義[2014]フリードマンを歴史的なコンテクストで評価した若田部昌澄[2012]等があるが、これ等の研究もフリードマンと日本の関係に焦点を当てては居ない。筆者が知る限り、フリードマンの日本経済研究を体系的に評価した研究は未だ為されて居ない。

 フリードマンの思想は誤解され勝ちだが、彼の分析は現代日本の様々な経済問題を解く為の貴重な洞察に溢れて居る。


                  以上






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女性初のイージス艦長着任 京都・舞鶴基地




 




 女性初のイージス艦長着任 京都・舞鶴基地


             〜産経新聞 12/2(月) 11:16配信〜


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  イージス艦初の女性艦長として着任した大谷三穂1佐(中央)午前8時17分 京都府舞鶴市


 海上自衛隊でイージス艦初の女性艦長と為る大谷三穂1等海佐(48)の着任式が2日午前、京都府舞鶴市の海上自衛隊舞鶴基地で行われた。大谷1佐は弾道ミサイル防衛(BMD)を担うイージス艦「みょうこう」を指揮する。

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         「みょうこう」艦長に着任した大谷三穂1等海佐

 海自によると、大谷1佐は大阪府吹田市出身。女性1期生として平成8年に防衛大を卒業し、25年に練習艦「しまゆき」28年に護衛艦「やまぎり」で、初の女性艦長を務めた。
 大谷1佐は「重責ですが、与えられた任務を全うしたい。防衛省は女性の活躍に取り組んで居り、その一端を担えた事に感謝して居る。女性が結婚、出産を経て、いかに定着出来るかが課題だと思います」と話した。

 「みょうこう」は全長161メートル、排水量7250トンで、乗員約300人。10年8月には北朝鮮が発射したミサイル「テポドン」を探知し、その情報分析力が注目された。

                 以上


 




 【関連報道1】自衛隊の階級 16等級で22万7000人の秩序を保つ
  
 トップ「4つ桜」は4人 「5つ桜」は・・・

          〜産経新聞 【防衛最前線】 2017.6.7 10:51〜


 自衛隊の階級

 自衛隊は絶対的な階級社会だ。部隊の秩序を保つ為には、指揮命令系統を明確にして置く事が必要だからだ。その階級は16等級に分けられて居る。大別すると、上位8階級が「幹部」中間に「准尉」があり、下位7階級が「曹」と「士」だ。
 実際の人数で見ると(平成28年3月末現在)幹部は4万2478人・准尉4491人・曹13万7898人・士4万2472人。人数構成はピラミッド型に為って居らず、一寸アンバランスな形に為って居る。上位7階級の「幹部」は幹部自衛官とも呼ばれる。一般的な軍隊で云う「将校」に当たる。

 陸上自衛隊を例に階級の名称を挙げると、偉い順に、陸将・陸将補・1等陸佐・2等陸佐・3等陸佐・1等陸尉・2等陸尉・1等陸尉。海上自衛隊であれば「陸」が「海」に、航空自衛隊は「空」に為る。階級は制服の肩や襟等に付ける階級章で示される。階級章は日本らしく桜をイメージした「桜星」と線を組み合わせた図案に為って居る。
 幹部自衛官のうち、最も下の階級が「尉官」詰まり1尉・2尉・3尉だ。一般的な軍隊で言えば、大尉・中尉・少尉に当たる。防衛大等を卒業し、幹部候補生学校での教育を終えた新米の幹部自衛官は、3尉からスタートし、昇任の階段を上って行く事に為る。幹部自衛官の最下位とは言え、3尉と言えば数十人を率いる「小隊長」クラス。ベテランの曹等、自分よりズッと年上の部下を持つ事もある。

 尉官より一つ上の階級が「佐官」で、上から1佐・2佐・3佐。一般的な軍隊の階級で言えば大佐・中佐・少佐に該当する。1等陸佐であれば1000人規模の部隊を率いる「連隊長」1等海佐であれば、例えば海自最大の護衛艦である「いずも」と云った大型の護衛艦の艦長クラスに為る。
 以下、2等海佐なら通常の護衛艦の艦長、3等陸佐なら200人程度を率いる中隊長クラスだ。防衛大等を卒業した幹部自衛官であれば、定年迄に最低でも2佐迄は昇進する。

 佐官の上で、自衛隊組織のトップを構成するのが「将官」詰まり将と将補だ。最上級の階級である将は、桜星が3つの階級章を身に着ける。約22万7000人の自衛隊の中でも60人程しか居ない。将の中でも一段上の「4つ桜」の階級章を付ける自衛官が4人だけ居る。全制服自衛官のトップに当たる統合幕僚長と、各自衛隊トップの陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長だ。
 自衛隊では将官は2階級だけだが、海外の軍隊では「大将」「中将」「少将」の3階級に分かれて居る事が多い。国際的には、自衛隊の幕僚長は「大将」それ以外の将は「中将」と同格とされ、将補は「少将」と同格とされて居る。因みに、内閣総理大臣旗と防衛大臣旗には「5つ桜」が象(あし)らわれて居る。


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                  以上






    
 【関連歩道2】見えて来た次期国産戦闘機F-3 ここ迄出来ている

            
         〜産経新聞 【軍事ワールド】2019.1.8 09:20〜


 航空自衛隊の「次の主役」を担う新鋭戦闘機F-3の姿が見えて来た。米国や英国との共同開発案も囁かれる中、日本主導で開発出来るだけの技術力があるのか疑問を呈する声もある。しかし最も重要な大出力エンジンと高性能レーダー、そしてステルス技術の核心でもあるウエポン・ベイ等が既に完成の域に達して居る。だが、F-3誕生にはマだ難題が残されている。(岡田敏彦)

 国産エンジンの進化

 既に完成の域に達して居るのがエンジンだ。防衛装備庁ではIHI(旧石川島播磨重工業)と共に平成22年から戦闘機用の次世代エンジンの研究を行って来たが、ハードルは高かった。目標が「ステルス戦闘機にも使えるエンジン」だったからだ。
 レーダーに映ら無いステルス性能を戦闘機に盛り込む場合、エンジンのスリム化は欠かせ無い。相手レーダーが探索の縁(よすが)とする機体の正面面積(前面投影面積)を減らす、詰まり見付かり難くする為には、出来る限りエンジンを細くする必要がある。だが、細くすれば空気を取り入れる部分の面積が少無く為り、大推力を発生させるのが難しく為る。
 バランスを保ちながら究極までスリム化するのが困難。しかも日本が戦闘機用の、一線級のジェットエンジンを開発するのはこれが初めてで、これ迄戦闘機用エンジンは米国等外国製のライセンス生産に留まって居たからだ。

 日本は戦後の航空空白期を経て航空機開発に戻ったが、特に冶金(やきん)分野での先端技術で欧米との差が著しいとされて来た。中でも戦闘機エンジンは高温高圧に晒(さら)される為難易度は高かった。研究開始から8年後の30年にプロトタイプ「XF9」が完成した。過つて試作した推力5トン級のエンジン「XF5」を基礎に、推力を15トン級(何れも最大出力=アフターバーナー使用時)に上げた。
 XF-5はステルス研究の為製造された先進技術実証機「X-2」に搭載されたエンジンとしても知られる。技術上の主な違いはタービン翼にあり、XF-5では耐熱が1600度クラスだったが、XF-9では1800度級に性能がアップした。ニッケル超合金の採用で「世界最高の耐熱性」(同庁)と云う。
 現在、米軍や航空自衛隊が運用するF-15やF-16と云った戦闘機のエンジン(約13トン)を上回る数値を出して居る。防衛装備庁では31年度末に掛けて、更に詳細な試験を実施する計画だ。

 目と為るレーダー

 この新型エンジン開発に当たっては、スリム化と大出力化に加え、もう一つ必要な条件があった。それが「十分な電力供給」だ。高性能レーダーや火器管制装置等、最新の戦闘機は大電流を必要とする。敵より先に目標を見付ける高性能レーダーは、エンジン同様に戦闘機のコア技術だが、F-3搭載を視野に容れた新レーダーも開発が進んで居る。

 防衛装備庁では2018年11月に新AESAレーダー・アンテナを国際航空宇宙展(東京)で公開した。高出力のAESA(アクティブ電子走査アレイ式)レーダーで、半導体素子には高出力の窒化ガリウム(Ga N)素子を用いて居るとされる。
 この素子は航空自衛隊のF-2戦闘機や海上自衛隊のイージス艦を初め、現在日本が導入を検討して居るイージス・アショアのレーダーであるLMSSR(米ロッキード・マーティン社製)にも用いられて居る最新レーダー技術の一つだ。既に戦闘機に搭載出来る程小型化されて居り、今後性能試験が進む見込みだ。

 武装の内蔵

 もう一つ、ステルス機開発に欠かせナい要素として開発が進んで居るのが、ミサイル等を機内に格納する兵装庫(ウエポンベイ)に関する技術だ。従来の非ステルスの航空機は大小のミサイルや誘導爆弾等を翼や胴体の下に吊して居たが、こうした機外搭載物はレーダー波を盛大に反射し、位置を暴露してしまう危険性がある。そこでステルス機では胴体内に格納するのだが、このウエポンベイの開発も高度な技術が必要だ。

 高速飛行時や高機動時に畳よりも大きな扉を開け閉めするには、複雑な空気抵抗を把握し無ければ為ら無い。簡単に言えば、開けて居る途中に扉が吹き飛んで行ったり、逆に風圧に抑えられて中途半端にしか開か無い、と云う様なものでは失格だ。こうした強力な開閉装置が必要なのだ。
 更に格納して居るミサイル類を確実に機外へ押し出す発射装置(ランチャー)の技術も必要に為る。これも一つ開発ミスがあれば、ミサイルを機外に射出したものの尾翼等にブツかって機体は損傷、ミサイルも故障し不発と云った事態を生起させかね無い。同庁の航空装備研究所では、既にこの部分の実物大試作を完了し、性能の確認試験を本格的に始める。
 他にもステルスインテークダクトや機体構造軽量化技術等の研究が進められて居り、こうした技術が空自の次世代戦闘機F-3に用いられる事は確実だが、F-3誕生迄には未だ高い壁がある。

 未来の形は

 単純に言うなら「金」の問題も、その一つだ。1980年代に国産戦闘機開発を目指してプロジェクトが進行したF-2戦闘機では、主に日米貿易摩擦の影響から米国との共同開発とする様圧力が掛かり、米国製戦闘機(F-16)の改良版に留まった。
 今回のF-3では、トランプ政権下で貿易問題がクローズアップされては居るものの、日本が導入を予定して居る米国製ステルス戦闘機F‐35に付いて、予定して居た国内生産を大幅縮小し殆どを米国からの輸入とする事を決めた為、F‐2の時の様な圧力は相当減じられるとの見方がある。

 一方で、最新鋭戦闘機の1国独自開発には膨大な予算が必要で、今や時代遅れとの考え方もある。実際、1990年代以降に戦闘機を単独開発して居るのは米の他仏(ラファール)露(Su−57)スウェーデン(サーブ・グリペン)位。
 英独等はタイフーン戦闘機を共同開発し、昨夏には英国が次世代ステルス戦闘機テンペストの開発を表明したが、別の計画を進めて居る独仏を初め、スウェーデンや日本・トルコとの共同開発も視野に入れて居るとされる。こうした「単独か、共同か」との政治的、財政的な問題に加え、純粋に軍事的な問題もある。「将来の戦闘機像」がどうあるべきかとの問題だ。

 何れ見付かる?

 レーダーに映ら無いステルス機コソ目指すべき姿だとの回答は妥当だが、ステルス機は完全無欠では無い。同庁電子装備研究所では、ステルス機を探知する「MIMOレーダ」の研究を進めて居り、欧州でも類似の発想によるバイスタティック(或はマルチスタティック)レーダーの開発が進んで居る。
 又米軍事研究団体「米国海軍学会」では、UHF波によるステルス機探知の有効性を指摘。米航空宇宙専門誌アビエーション・ウィーク(電子版)ではステルス機探知に有効とされるVHF波レーダーをロシアが実用化して居ると報じて居る。こうした「別のタイプのレーダー」に加え、赤外線探知もステルス機の強敵だ。

 音速で飛ぶ戦闘機は、空気との摩擦により機体の表面温度が上がり、マッハ1・5で40度とされる。だが、高度1万メートルの気温はマイナス50度。この90度の差は、赤外線探知装置に取っては暗闇の中で灯台の光の様に目立つ。
 探知距離はレーダーより短いものの、こうした原理を利用した赤外線捜索追尾システム(IRST)がロシアを初め各国の戦闘機に搭載されて居り、演習でもドイツのIRST装備機(ユーロファイター)が米ステルス機を探知したとの現地報道もあった。欧米の専門家の間では、こうしたステルス対抗技術が進歩して居るのに対し、より見え無くしようとするステルス技術の進歩は遅れて居るとの指摘がある。

 この他、無人機を多数従えて飛ぶ有人機が主流と為るとの考えや、高性能ミサイルが戦闘機の性能を上回る「戦闘機不要論」迄、将来のあるべき戦闘機像は様々だ。F‐3がどの様な戦闘機を目指すべきか、未だ定まったとは言え無い。


                   以上


 



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逆に不安「英語民間試験」で露呈した文科省の余りの「無能ぶり」




 




 逆に不安「英語民間試験」で露呈した文科省の余りの「無能ぶり」


              〜現代ビジネス 12/1(日) 8:01配信〜

 完全なる天下りの温床

 所謂「英語民間試験」の導入について、議論が巻き起こって居る。2020年から大学入学共通テストに活用される予定だったが、高額な受験料の問題、地方だと受験が難しい等課題が山積し、文科省は導入の延期を中途半端な形で決定する事に為った。英語民間試験の導入を推進・主導して居るのは、一般財団法人進学基準研究機構(CEES)である。
 ホームページには「主に日本の青少年の英語力の向上と国際交流を促進し、グローバルな人材の育成を図ることにより我が国の教育分野の発展に寄与する」とあるが、気に掛かるのはこの機構に所属するメンバーである。理事長を務める佐藤禎一氏は元文部事務次官だ。又、理事には元財務事務次官である丹呉泰健氏が就いて居る。CEESも又、完全に天下りの温床と為って居るのだ。

 中途半端な決定しか出来無い組織には、かくも天下り官僚が巣くって居るのかと筆者は嘆息する。特に、日本人の英語教育と云う重要な分野においてもこのザマだ。

 文科官僚の筋違い

 事実、日本人の英語力は可なり低い。英語圏の大学・大学院へ留学する際に必要となる民間試験「TOEFL」の点数は、中国、韓国、香港などのアジア圏と比べて1〜2割程低い点数に為って居る。この為、文科省にも英語教育の改革が必要だとの認識は予てからあった。その為、民主党政権時の「大学改革実行プラン」には、大学入試にTOEFL等の民間試験を採用する方針が謳われて居た。

 安倍政権でも、その流れを踏襲した訳だが、実務手順に問題が無かったとは言え無い。英語試験の改革を掲げるのは政治家だが、実際の政策は官僚が設計する。慎重な官僚なら、英語試験の改革を行う際、スタートは出来るだけ小規模で行い、順次拡大して行く方法を取るだろう。
 処が、文科省は大学入試センター試験から大学入学共通テストへの移行と共に、行き成り英語の民間試験を全国的に導入すると云う。

 センター試験の前身である共通一次試験は、国公立大学の入試だけを対象として居た。この様に規模を絞る等して、共通テストの移行を確実なものにしてから、英語民間試験を導入するのが筋だ。若しくは、現在のセンター試験と併用して、小規模にTOEFLの様な英語民間試験を導入させ様子を見るべきだった。文科官僚が、一度に二つの事を上手く出来るとは思え無い。

 官僚の手に負えない

 国が動くと為れば、民間もソロバンを弾く。センター試験の受験者数はおよそ50万人。英語民間試験2回を2万円とすると100億円の市場だ。冒頭のCEESは、こうした市場で有利に取り計らって貰う為に、文科省と財務省の大物元次官を組織に取り入れたと考えられる。
 文科省は、元事務次官の前川喜平氏が謝罪に追い込まれた組織的な天下り斡旋の「前科」もある。システムが肥大化するに連れて、天下りも顕著に為って居たのだ。処が、余りに大風呂敷を広げ過ぎて、文科官僚の手に負え無いものも増えた。その一つが今回の英語民間試験である。文科省の不器用さと消え無い天下りの2点が露見した事案と為った。


 『週刊現代』2019年11月23・30日号より ドクター Z


 【関連報道】 「本質的な議論しなかった」 

 英語民間試験反対の東大元副学長が会見



             〜毎日新聞 12/3(火) 0:01配信〜


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 大学入学共通テストでの英語民間試験導入見送りに付いて「ギリギリ間に合って良かった」と話す南風原朝和・東大元副学長 東京都千代田区の日本記者クラブで 2019年12月2日午後3時54分成田有佳撮影

 2020年度から始まる大学入学共通テストで予定されて居た英語民間試験導入の見送り決定を受け、導入に反対の立場だった南風原(はえばら)朝和・東大元副学長が2日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。

 全国の国立大で作る「国立大学協会」が17年11月に共通テストと民間試験の両方を必須とする方針を示し、各国立大が追随した事に付いて「公平性や公正性を懸念しながら本質的な議論をしなかった」と批判した。
 テスト理論に詳しい南風原氏は、7種類の民間試験が導入され2回受験出来る事に為って居た当初の制度に付いても「同じ能力なら、ドノ回のドノ試験を受けても同じ成績が出ると云う・・・『標準化』が出来て居るか懸念があった」と指摘した。共通テストでの国語と数学で記述式問題の導入に対しては、採点の精度の問題等から「必ず混乱する」と中止を訴えた。

 南風原氏は2015〜16年、入試改革のあり方を議論する文部科学省の有識者会議「高大接続システム改革会議」の委員を務めた。同会議は16年に大学入試での英語4技能評価の推進を打ち出したが、民間試験に付いては「知見を活用」「各大学の判断で活用する事も有効」との提言に留めた。しかし、17年に文科省が示した実施方針には20年度からの民間試験活用が明記された。


【成田有佳】

                  以上


 




 【管理人のひとこと】

 管理人はこの様なレポートを読むのが大好きだ。色々な取材で疑問点を次々と挙げ、読者の興味を惹く。が最後は、何と無く通り一遍の有り触れた言葉で濁して終わる。「サア!次にお楽しみください・・・」と為る訳だ。
 私の様な愚かな読者は「何だ・・・」と落胆するが「次は何か決定的なものが?」とどうしても期待してしまう。しかし、昨今の週刊誌は芸能事でも政治関係にしても「ヒット」を好く飛ばすものだ。新聞・TVと異なるのは、週刊誌独特な記事の持って行き方だろう。何と無く「ドブ浚い」をする様な、隠されたものを暴露する「実は・・・」と耳の傍で教えられた様な「秘密めいた」ものに聞こえるから大したものだ。

           12-2-13.jpg 某 自称経済評論家

 サテ文科省を中心とする「教育改革」だが、面白いのは「当の学生」には全く無頓着で官僚・業者・関係者の都合と利益のみを協議する場「官僚の天下り・業者の利益・関係者の利益」を追求する場と化してしまった。彼等に任せるとこの様な事に為るのは目に見えて居るのだが、では誰が? 
 居ないのだ・・・残念ながらそんな奇特な人は日本には存在しない・・・誰がヤッテも竹中流の構造改革=利権構造へと進んでしまう。と云う事は、竹中氏の行った事は実に大きな悪例を生み出したものだと感心する。大悪人は決して滅び無い・・・最近も何処かのTVで相変わらずの「誤魔化し」を得意そうに喋って居たが何処ぞに聞く人でも居るのだろうか。







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山本太郎 ザ・ファイター By ジョナサン・ソーブル



 山本太郎 ザ・ファイター


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        〜By ジョナサン・ソーブル 2019年12月1日〜

 
 〜日本のバーニー・サンダーズとも言われる山本太郎は俳優から政治家に転じ、この程左派ポピュリズムの新政党「れいわ新選組」を作った。9月の終わり、日本全国を回る遊説ツアーを開始した山本を追って、元『ニューヨーク・タイムズ』紙記者でジャーナリストのジョナサン・ソーブルは北海道に飛んだ。カバー・ストーリーをお届けする〜



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 季節外れの温かさと為った北海道・旭川の明るい秋の午後、黒のライダーズジャケットに身を包んだ男がひとり、見知らぬ家のインターフォンを申し訳無さそうに鳴らして居た。
 失礼します、山本太郎です・・・44歳の山本は健康そのもので若々しく見え、計り知れ無い程のエネルギーを蓄えて居る。歩くのが速い。語る時はシバシバ感情が迸り、彼が熱心に取り組んで居る問題がテーマと為れば猶更だ・・・原子力・貧困そして、彼の見方では惨状と為って居る日本の政治状況。

 2011年に福島で核メルトダウンが起きた事を受けて本心を語り始める様に為るまで、山本は人気俳優だった。今、彼が示す見解の多くは議論を巻き起こす・・・原子力事故への杜撰な対処を理由として日本を「テロ国家」呼ばわりした事もあるが、そんな事は旭川では、誰も大して問題にはして居無かった様だ。
 ドライバー達はアチコチの交差点でクルマを停めて携帯電話で彼の写真を撮って居た。山本が各戸を訪れた平日の昼間、在宅だった人々は皆、有名人との遭遇に顔を綻ばせて居た。







 山本は北海道で声を上げた。左翼ポピュリスト新党とも言える「れいわ新選組」への支持を増やす為だ。新党を立ち上げたのは今年4月の事で、2013年に無所属で立候補して当選して居た参議院議員の任期6年の終わりも近い頃だった。
 7月に行われた参院選で、れいわは2議席を確保したが、山本自身は再選を果たせ無かった。今の彼は議員では無いものの、党においては代表でありスポークスマンであり、何でも熟す重心と為って居る。

 れいわには大きな野望が幾つもある。遅くとも2021年迄に実施の見込みで、更に早まる可能性もある次の総選挙に、山本は100人の候補者を擁立する事を望んで居る。
 これは今年7月の参院選で立てた候補者の10倍と為る。長らく日本の政治を主導して来た勢力である自民党は安倍晋三首相の下、新たに威勢を盛り返して来て居る。安倍は最近、在任期間が戦後最長の首相と為った。野党は弱く細分化されて居る。

 れいわは、困難な状況にある日本の左翼にカンフル剤を打つ事が出来ると、彼の支持者等は語る。現在の混乱を単に深める事に為るだけだと云う批判的な人も居る。どの様な結果が出るにせよ、彼等が日本に取ってリトマス試験紙の様なものに為るであろうことは間違い無い。
 世界中で反エスタブリッシュメント勢力が乱を起こして、米国から欧州・アジアに至る各国で政権を獲得して居る中、日本は引き続き、ポピュリズムの誘惑に免疫を保ち続けて来た。特に若年層は、3世代に渉る政治の名家の御曹司である安倍とエスタブリッシュメントの代名詞である自民党に諸事を託して置く事に満足して居る様だ。

 山本が事態を打開して道を開くには、次の2点を実証して見せる必要がある。一つは、時には芝居がかる事もある独立独歩の批判者と云う此処数年のポジションを捨てて、政治組織を立ち上げ運営する能力があると云う点。もう一つは、権力に対峙する国民と云うメッセージが受け入れられる豊かな素地が日本にあると云う点だ。

 この課題に取り組むに当たって山本はこれ迄の処、自らの最も大きな特徴でもある資質を活かして居る。それはカリスマ性と尽きる事の無いエネルギーだ。
 旭川では家から家へと歩みを急ぎ、住人と握手して支持を訴え、そして、ピンクの目立つ、れいわのキャンペーン・ポスターを外壁に貼らせて呉れる様求め続けた。れいわは既に4億円を超える個人献金を集め、7月の参院選では政党交付金を得る資格を確保して居る。
 だが、ライバル達と比べれば未だ貧弱だ。PR戦略の主軸は、ボランティア集団によって貼り出されるポスター「一番費用が掛から無くて、一番目に付く宣伝です」と山本は語る。「持って居る武器で勝たないと」

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 山本は兵庫県宝塚市で生まれた。1歳の時に父を亡くし、2人の姉と共に、ペルシャ絨毯の販売を手掛けて居た母親に育てられた。自身の言葉によれば、彼は手に負え無い子供だった。
 「私はズッと落ち着きの無い子供で、ドッチかと言ったら多動(症)だったんですよね」「学校の中で何かが起こったら、先ず最初に疑われるのは自分でしたから。マア、8割がそう(自分)でしたね」
 一家はカトリック信者であり、彼も小学5〜6年生の頃は多くの時間を教会で過ごした。「自分に取っては安全な場所でしたね、家から離れて居られるから」息子を手の内に置こうと奮闘する母親とは、好く衝突して居たのだ。

 「若い神父さんが居て、自分に付き合って呉れたナぁ。夕飯時に為っても未だ自分が居るもんだから、神父さんは2人分、料理しなくちゃいけ無く為ったり。小さな教会だったから、2人しか居ないと云う事も好くありました」

 特に信仰深かった時期と云うのは全く無いものの、輪廻転生と云う考え方に惹かれて最近は仏教にこれ迄より興味を感じて居ると云う。
 抑える事の出来無いエネルギーによって、彼はティーンエイジャーの内に有名人に為った。YouTubeでは今でも、ビートたけしの「天才・たけしの元気が出るテレビ」に出演した彼が赤いピチピチの水着と黄色いスイムキャップを身に着けて跳ね踊る動画を見る事が出来る。
 コミカルなダンスステップとボディービルダーを真似したポージングは、今見てもマニアックにして優雅、そして唖然とさせられるものだ。

 彼は16歳で高校を中退し、エンタテインメントの世界でキャリアを積む道を選んだ。語りより動きが目立つキャラクターだったが、予想に反してテレビドラマや映画で演技する機会が直ぐに増え、タフだが心優しい脇役を演じる事の多い役者と為った。安定した人気を持つスターに為るのに時間は掛から無かった。
 フクシマの後に起きたキャリアの転換に付いて彼は、こう語る「芸能人に取って一種の反面教師に為って居ますね・・・政治的な発言をすると、アイツみたいに為るぞ、最後は政治家に為るしか無く為るぞ、と云う」

 米国や欧州でもそうだが日本においては更に、政治を語る事はショウビジネスでのキャリアを壊す為に有効な手段だ。フクシマ後の議論を受けて芸能界のタブーを、他の有名人達の誰でも無く山本が破った理由は、説明するのが難しい。

 当人は、2011年以前は政治には殆ど興味が無かったと明かす。その数年前からサーフィンを始め、環境問題に興味を抱いて、ネットで情報を探す様には為って居た。巨大な津波が福島第一原発から電力を奪い去った時、思い出したのは、そうした事故で考えうる結果に付いてグリーンピースが発して居た警告だった・・・メルトダウンによって発電所の原子炉の封印が破れ、放射性物質が解き放たれる。
 彼は東京に居て何百万人もの人々と同様、原発事故の展開をテレビで注視して居た。大企業は社員を東京から避難させる準備をして居ると云う噂が流れると、彼は、生死に関わる重要な情報を国民の目に届かぬ様政府と東京電力が隠して居ると確信する。

 この思いをツイッターで世に問い、続いてメディアの取材でも明らかにした。2012年に政治の世界を目指すと決めた時には、俳優としての仕事は完全に無く為って居た(彼によれば、小心なプロデューサーやスポンサー達の仕業だ)最初の選挙と為った2012年の衆院選では落選したが、2013年の参院選では議席を獲得する。

 「これ迄の人生の中で打算的に動いた事は無かったんですよ」自らの転身は小さな、そして殆ど衝動的な一歩の積み重ねだったとしながら、彼は語る「今、自分に企みがあるとするなら、それは権力を取って遣ると云う事だけなんです」

 政治家として生きる事は山本に取ってフラストレーションの元だ。日本に原子力エネルギーを放棄させ様とする努力は無に帰した(気候変動とその危険性の兆しが高まって居るにも関わらず、彼は今なお原子力は化石燃料より大きな脅威だと考えて居る)
 他の野党は彼と云う存在をどう活用すれば善いのか判って居ない。既存の野党勢力との間には政策面で多くの共通点がある・・・例えば、自由貿易や軍事力強化への反対・・・にも関わらず、彼の戦術はより波紋を呼び、より対決を迫るものだ。2013年の園遊会では抑え切れ無い心の叫びを爆発させ、当時の明仁天皇に政府のフクシマ事故対策を批判する親書を手渡した。これは儀礼だけで無く、天皇と政治の分離を定めた憲法をも踏みにじる行為だった。

 「あの時は、アノ選択肢しか無かったと云う事なんです」山本は振り返る「アノ後の6年間の蓄積を持ったママ、アノ時に戻れると云う事なら、違う手段でのアプローチがあったかも知れません」 







 山本の個人生活も、予期せぬ展開を続けて来た。反原発運動を始めた2011年、プロサーファーと結婚したが、夫婦関係は3カ月後の離婚で終わった。現在、子供は1人居る様だが、慎重に大衆の目から遠ざけて居る。

 2014年、山本は政治の世界での歴戦の強者である戦略家・小沢一郎と手を結び、後に小沢率いる自由党(現在は国民民主党と合併)に入党した。それ迄避けて通って来た道筋だが、この経験が山本に取って、人が寄り集まった政党組織における、言わば見習い研修と為った。
 関心の対象は拡がり、特に興味を覚えたのが経済だった。専門性の高い分野に付いて勉強を進め、政府は徴税では無く紙幣の増刷によって公共サービスを賄えるとするMMT(現代貨幣理論)もその一つだった。貧困率と自殺に関する統計も頭に入れた。「人が死にたく為る様な社会は辞め様」は、決めゼリフの一つと為った。

 耳目を集める国会での発言においても、政治集会での演説においても、彼は怒りの言葉に雑学メイタ専門的なディテールを交える。主なターゲットは安倍首相と自民党だが、告発の対象は企業や官庁、メディアまで含んでいて幅広い。
 彼の語るところによれば、エリート達が一般的な日本人の生活を改善出来無いで居る事は、単に彼等の失敗であるだけで無く、彼等による陰謀メイタ何かだと云う事に為る。「目の前の生活だけで精一杯だと云う人達が多い程、コントロールは効きますから」と云う具合だ。

 「れいわ新選組」と云う名は、日本の新たな元号と、何世紀も続いて来た封建体制を護持する為、19世紀に身分の低い士族等を集めて結成された準軍事組織(同志間の殺戮も少無くなかった)とに由来して居る。進歩的な政党の名称としては奇妙な着想かも知れないが、幕末新撰組の蛮勇メイタ武勲や死ぬ迄戦い抜くと云う信条は今なお、れいわ新選組に義と冒険心のオーラを纏わり着かせて居る。2004年、山本は新選組の隊士をNHK大河ドラマで演じて居た。

 山本は政治の場で勝つ事を熱望して居るが、そのアプローチは進んで敗ける事を前提としたものだ。7月の参院選では身体に障がいを持つ候補者を2人、比例代表の特定枠候補として擁立した。日本のヤヤ複雑な比例代表選制度の下では、彼等が当選するチャンスは山本より大きく為る。
 実際に蓋を開けてみても、不人気な消費税を撤廃するとの公約を掲げたにも関わらず、れいわの得票率は4.5%のみに留まり、山本は当選に至ら無かった。







 右派のポピュリストはもう少し上手く遣った。反エスタブリッシュメント系保守グループとして最も知名度の高い日本維新の会は、れいわの2倍以上の票を集めて居る。NHKから国民を守る党も1議席を得た。左翼バイアスが掛かって居ると公共放送ネットワークを批判するこの奇妙な名称の新勢力の党首は「YouTube」に公開した対談で、発展途上国の人口過剰を抑制する手段として大量殺戮を推奨して批判を浴びて居る。

 世界規模でみると、ポピュリズムは保守ナショナリズムと手を携えるケースが多い。一方、日本に付いてはこれ迄、社会秩序維持を脅かす様な極端な貧富の差や移民人口の増加と云った、ポピュリスト革命が起きるのに必要な要素が欠けて居ると指摘されて来た。
 恐らくこれは本当だろう。だが、7月の参院選の結果が悲観論者に示唆して居るのは、もし日本でこうした革命が起きる様に為った時、そこで選ばれるのは山本による進歩的なヒューマニストの革命では無いかも知れない。

 選挙結果は落胆するものだったにも関わらず山本は、れいわの立ち上がりは政治勢力と為るのに充分な程力強いものであり、少なくとも政策に影響を与えられる力を備えたと語る。
 彼が手始めとして望んで居るのは、自民党との妥協に前向き過ぎると彼には感じられる野党勢力にプレッシャーを掛ける事だ。財政保守主義の来歴を持つ処もある他の野党を糾合して政府に消費税率を5%へと半減させることだ。
 より蓄積のある政党に対してれいわが持つアドバンテージに付いて山本は「一番強いのは捨て身です」と語る。「守るべきものがある相手には懐柔策もある。処が、捨てるものが無い相手とネゴするのは難しいですから」

 旭川での個別遊説を終えた後、山本は党のボランティア達とのミーティングに参加する為、札幌に向かう列車に乗った。れいわは緩い組織であり、有給の職員は僅か10名のみで、公式な支部も無ければ党員名簿も無い。ボランティア達が自発的に立ち上げた組織に、権限の大半は移譲されて居る。この構造は、山本個人の平等主義と党の限られた財務リソースの双方に適合するものだ。

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 札幌でのミーティングに参加したのは、大半が中年の坂を越えた男女20名程で、れいわの党勢交流に向けたアイディアがあると考えて居る人ばかりだった。
 中には、れいわが税制に焦点を絞って居る点に落胆を示す人も居た。革命の炎がもう少し燃え立つ様な何かを期待して居た為だ。多くの人達は、支援の拡大と党本部からの指示を求めた。

 ベージュのブレザーを羽織った白髪の男性は、他の左翼系政党には失望が強まるばかりだったとし、未だ何者か判ら無いれいわを支持するのも「勇気が要る事」だと明言した。政党としてもっと一般的な組織構造を構築する様山本に求め、それ無しではれいわは成長出来無いだろうと語った。山本は耳を傾け、説明し、そして柔らかに反論しつつ、ミーティングの予定終了時刻が過ぎても参加者の発言が尽きる迄その場に留まった。

 翌日、北海道を貫く列車に再び乗り込んだ彼は、東部の都市・帯広に向かった。遊説は日本全国を回り切るまで、或はそれより早く安倍が総選挙に踏み切るまで続ける計画だ。新たなリーダーシップの重みで疲れたり参ったりして居るとしても、そうした素振りは見せ無かった。
 「僕らは世界観を共有して居ます」まだ半ば固まった程度のファンや少額寄付者、ボランティア等の連合体に付いて、彼はこの様に語る。


 「問題はスピードです。進むのは一度に1歩か、それとも2歩・3歩か? 全てを一変に変えるのは凄い事だけれど、結局の処の問題は国民の支持です。先ずは自分達の遣って居る事が現実的で、ファンタジーでは無いと云う事を示す必要があります」 


 Words ジョナサン・ソーブル Jonathan Soble,Photos マチェイ・クーチャ Maciej Kucia@AVGVST,Styling 櫻井賢之 Masayuki Sakurai、水元章裕 Akihiro Mizumoto,Hair&Make-up 吉村 健 Ken Yoshimura@AVGVST,Translation 岡田浩之 Hiroyuki Okada

                 以上






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