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2019年10月09日

馬淵澄夫 共同会派参加に際して これからの野党の在り方を考える  





  毎日新聞プレミア 馬淵澄夫の「政治は術(アート)なり」


 これからの野党の在り方を考える  共同会派参加に際して

         〜馬淵澄夫・元国土交通相  2019年10月8日〜


     10-9-30.jpg



 共同会派参加

 9月30日、野党第1党の立憲民主党・同第2党の国民民主党・社会民主党・衆院会派の社会保障を立て直す国民会議による「立国社」為る「共同会派」が成立した。
 呼び名は所謂従来言われて居た「統一会派」と異なるが、単に3党1会派で「ドチラに統一されたのか?」に拘った末に折り合いを着けた結果としての「共同会派」と云う事だろう。 これで、衆院120人と第2次安倍内閣発足以来の最大野党会派が誕生した。

 そして私は、この度の共同会派成立の際に、立憲・国民両党からの参加要請を受け、これを受諾し参加を表明した。2月5日の繰り上げ当選以来、どの会派にも属さずに無所属での活動を続けて来たが、政党には所属せずに無所属の立場で、この度の会派に参加する事を決断した。

 私は、予て野党が一丸と為って与党と対峙(たいじ)する姿を見せ無い限り有権者の受け皿には為り得無いと主張し続けて来た。又その思いから、浪人の仲間と共に「一丸の会」を立ち上げ、既存政党に呼び掛けて来た処でもある。言わば今回の共同会派結成は我々の主張に沿ったものであり、先ずは次のステージへと踏み出す第一歩だと受け止める事が出来た事が一つの理由である。
 そして二つ目の理由として、今は未だ共同会派の構成に留まって居るが、間も無く衆院任期4年の折り返し点に達する事を考えると、衆院候補者の選挙区調整が焦眉の急と為る。従って会派入りして、一丸の会代表として、浪人の仲間の選挙区調整のテーブルに着き、各党と協議をする事も考え無ければ為ら無いとの思いがある。

 但し、政党に付いては、当然ながら理念・国家像・政策の一致無くしては参加が出来無い為、現時点では何れの政党にも所属すると云う事は考えて居ない。こうした事から、改めて無所属議員の立場で、会派「立国社」の一員として臨時国会に臨む次第である。







 2大政党制は幻想か

 今後、国会論戦を通じて、又、来る衆院選を睨んでの選挙区調整等を行いながら、一つの党へとまとまって行けるかどうかは未だ不透明である。勿論、それが望ましいとの思いは否定しない。私自身、1999年より2大政党制による政権交代可能な政治を目指して来たし、2009年には選挙によって2大政党間での政権交代を果たした。
 しかし、その後の下野並びに野党の変遷を見て、我が国において果たして2大政党が制度として定着する政治体制なのか疑問に思う様に為った。そして今、私は2大政党制と云う幻想を棄(す)て無ければ為ら無い時に来て居るのではないかとさえ思う様に為った。

 ソモソモ、2大政党制はイギリスやイギリスから独立した米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド等のアングロサクソン諸国で多く見られて来た。そして、現在、2大政党制を厳密な意味で実行し得て居るのは先進国の中でもアメリカだけである。
 カナダは1980年代までは自由党と保守党による2大政党制が機能して居たが、近年は新民主党の躍進等で2大政党制は揺らいで居る。

 又、2大政党制の典型と言われたイギリスでも、近年変質が指摘されて居る。先ず2010年代に入って2大政党が「勝ち切れ無い状態」が続いて居る。2017年総選挙では過半数を獲得した党は無く、2015年は保守党が過半数を獲得したが、過半数を僅か6議席上回るのみであった。
 2010年選挙では過半数を獲得した党は無かった。1950年代には保守・労働両党が絶対得票率で70%以上の支持を得て居たのが、21世紀に入ると40%台に低下してしまって居るのである。

 イギリスでは最早、有権者が2大政党のドチラかを支持し、交代で安定政権を作る2大政党制が成り立って居るとは言い切れ無い状況に変容してしまって居る。現在のボリス・ジョンソン政権も、2大政党以外の民主統一党の閣外協力を取り付けて発足した状況である。イギリス以外のヨーロッパに目を移すと、

 ⊡ドイツは多党制の下での連立政権が基本であり、メルケル政権は第1党キリスト教民主・社会同盟と第2党のドイツ社会民主党を中心とした大連立政権である。
 ⊡フランスも多党制で、各党が連合を組んで競い合う。直近の議会選挙では、マクロン大統領が立ち上げた新党共和国前進が大勝し、連立して与党を形成したが、野党も複数政党間の連合を作って居る。
 ⊡イタリアも多党制で、直近では与党と最大野党が合意し、大連立政権が発足した。また、
 ⊡オーストラリアも多党制で、自由党とオーストラリア国民党の連立である与党保守連合と野党労働党との2大勢力が争う。

 この様に世界の趨勢(すうせい)は多党連立での2大政治勢力による政権交代であり、2大政党間での争いでは無いのである。では、何故唯一アメリカでは定着して居るのか。それは、アメリカ独自の事情がある。アメリカの2大政党はイデオロギーによって成り立つものでは無く、単に選挙で勝利する為に作られた、地方組織と利益集団の連合体に過ぎ無い。

 アメリカはその国土の広大さから、中選挙区や大選挙区が発達せず、小選挙区で選挙が行われて来た。小選挙区で勝利する為には、夫々の利益集団が夫々の政党を作って居たのでは勝て無い。様々な利益集団を連結させ大きな政党としてコソ議席を得る事が出来る。
 こうして、アメリカの利益集団は個々に政党を作るのでは無く、2大政党夫々にロビー団体として影響力を行使する様に為った。又、アメリカには各州の選挙区毎に予備選挙や党員集会で候補者を選ぶ伝統があった為、強い自立性を持った地方組織が発達して居た。こうした自立した地方組織も、大統領選挙では一致協力しないと勝利出来無い。そこで、大統領選挙の様な場合には、地方組織が連合体としてまとまると云う傾向があった。

 その伝統として、アメリカは政党規律が極めて弱く、党議拘束が殆ど存在しない。連邦議会の議決で、党が示した政策方針に反して投票する議員は、共和、民主共1割程度は存在する。日本では多くの党で厳格な党議拘束が掛けられ、造反する議員が殆ど居らず、造反は離党や除名に繋がる事を考えると、政党の概念が根本から異なって居る。
 詰まり、アメリカの2大政党の本質は、党首が理念を掲げて綱領を作り、一枚岩の党として上から率いて行くと云う強固な政党組織では無く、党首も明確な党としての理念も存在しない、利益集団と地方組織の緩やかな連合体に過ぎ無いのである。

 よって、日本における政党の概念を保ったママ、アメリカ型の2大政党制を導入するのは聊か無理がある様に思える。寧ろ、今回の共同会派の様な、緩やかな連合体で政権を担う体制を築く方が、現実的ではないかと考える様に為ったのである。
 従って、我が国も、2大政党制による政権交代の幻想を捨てて多党連立政権構想を示して行く必要があるのではないか。事実、政権与党は自公の連立である。野党側も多党連立による政治勢力の結集を有権者に示し、細かな政策の一致は求めずに、大きな方針の旗の下に集うべきだと考える様に為った。
 現下の状況は、生活を守る・地域を活性化させると云った、極めて現実的な方針に付いて一致させて有権者に目指すべき社会の方向性を示すべきではないかと思う。







 総選挙に向けた統一名簿の幻想

 一方で、仮に多党連立型の政権構想であっても、解散総選挙の時には党がバラバラで比例名簿登載が一本化されて居ないと、重複立候補での議席獲得が困難に為るのではないかとの意見もある。
 確かに、選挙区を調整し住み分けしても比例票を食い合ってしまえば、結果、野党が多数を獲得する事が困難なのは好く判る。そんな中、衆院解散後に野党統一名簿為るもので一本化すべきだとの意見も耳にする。果たして、これは、可能なのだろうか。 実は、これが事実上不可能なのである。

 先ず、比例の統一名簿を作ると云う事は、新政党を作る事に為る。公職選挙法上、衆院比例代表選挙において、名簿を届け出る為には、
 @当該政党に所属する国会議員が5人以上か、又は、
 A名簿登載者数が選挙区定数の10分の2以上である必要がある。
 新政党が衆院比例代表選挙に候補者を立てる場合には、ドチラかの要件を満たさ無ければ為ら無い。

 処で、仮に、国会議員が選挙期日前に既存政党から新政党に所属を移した場合は、既存政党から離党した旨の移動届を提出し無ければ為ら無い。選挙後、新政党が政党届を提出する場合も、当選した国会議員は新政党のみの所属と為る。詰まり、法は国会議員の政党への二重所属を基本的に認めて居ないのである。

 もし仮に、それ等の規定に従わず、国会議員の二重所属の状態が発生した場合、所属する両政党共政党交付金の交付を受ける事が出来無く為り(政党助成法2条2項)、政治資金に関しては、企業・団体からの寄付を受ける事が出来無く為る等のペナルティーが課される。(政治資金規正法3条2項・3項)これ等のペナルティーは政治活動に取って致命的である。
 よって、衆院比例代表名簿に付いて、新政党が、複数の野党既存政党所属の議員を含めた統一名簿を作って無理やり提出する事は理屈の上では可能だが、事実上、困難だと言わざるを得無いのである。

 一方、参院通常選挙での比例代表選挙の場合は、比例名簿提出の際、新政党が「推薦する者」を名簿に登載して届け出する事が可能である。よって、既存政党の野党議員は、党を離党して新党に移る必要は無く、二重所属問題を回避出来る為、統一名簿を作る事が事実上可能であり、現実的な選挙戦術と為る。

 この様に、衆院と参院では選挙制度が違う為、参院で検討された野党統一名簿方式を、衆院では運用することは事実上不可能だ。


 




 政権交代への道筋

 では、どの様にすれば、政権交代が再び起き得るのか。一つは、先程、2大政党制は現実的では無いと申し上げたが、それでも1党へと収斂(しゅうれん)させる努力と研鑽(けんさん)を重ねて行くと云う道筋。繰り返しに為るが、これは、私は極めて険しい道だと思って居るが可能性としてはゼロでは無い。
 もう一つは、多党連立の中で、圧倒的な比例票を獲得出来る様な野党第1党を作って行くと云う道筋である。

 カリスマの登場なのか、ハタマタ戦略家によるものなのか、それは判ら無いが、多党が凌ぎを削りながら複数回の選挙を経て、比例票を獲得出来る野党に収斂して行きながら、それでも、繰り返し小党が発生する事も許容しつつ、粘り強く与党に挑み続けるしか無いのではないかと思っている。その様な状況に無い中で、無理ヤリに多党が合従連衡すれば、有権者の期待は一気に失われるだろう。
 一つの党には為ら無くても、一定程度比例票を得られる多党が連立しながら、議席を争って行くと云うのが、現実的な道筋ではないか。

 従って、我々は、国民本位の政党を作り、育み、野党第1党へと創り上げて行く事を地道にコツコツと積み重ねて行く以外に道は無いと思って居る。


            馬淵澄夫 元国土交通相

 1960年生まれ。2003年衆院初当選 国土交通相・民進党選対委員長等を歴任 政治団体「一丸の会」代表 衆院比例近畿 当選6回 無所属 耐震偽装事件の追及で知られ福島第1原発事故では首相補佐官として対応に当たった・・・

 Copyright THE MAINICHI NEWSPAPERS. All rights reserved.  以上


 【管理人のひとこと】

 本日10月10日の国会衆院予算委員会で、関電問題での馬淵澄夫氏の質問をTVで観て居る。他の野党議員に比して重みのある誠実な質問態度であり、信念を持った政治家としての立ち位置を明確に示すものだった。他の議員も模範とすべきものだと評して好いだろう。
 それは何処から来るのだろう・・・問題に対する確りした思いを持ち、入念な調査と俯瞰した思想が在っての事なのだろうか。今後の氏の活躍に期待したいものです。

 関電問題の政府の答弁は「一私企業(民間企業)の不祥事」として終わらせたいのだろうが、これは明らかに政府の原発政策から起こった歪から来たものだ。原発に関われば、美味しい思いを出来る・・・との現実を全国に撒き散らした政府のツケでもある。
 原発施設を作れば、地元は沢山の恩典が貰える「皆が嫌がるものものなのだから、ご褒美を期待する」これは本音なのだ。詰まり、原発は勧める側も勧められる側も、全てが利益・利権でしか動け無い・動か無いものだった・・・これが全てなのだ。
 確かに、電力の確保が絶対条件に在ったのだし、地元の繁栄を願っての事なのだが、詰まりは金でしか勧められ無かった訳だ。全ての電力会社は等しく同じものを背負って居るのだから、同様な問題を抱えて居ると断定しても好い。そして、全ては原発を勧める政府・政治家の基へと何れキックバックされて可笑しくは無い訳だ。



 




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日本は「MMT先進国」? 新たな〈日本化現象〉は起こるか




 日本は「MMT先進国」? 新たな〈日本化現象〉は起こるか


           〜ダイヤモンド・オンライン 10/9(水) 6:01配信〜


 




 世界的な超低金利時代 金融政策だけでは限界に

 グローバル金融市場は、再び金利が低下局面に入り、主要国の金融政策も緩和に再び舵が切られた。今年7月、米国は利下げに転じ、9月に追加利下げが行われた。欧州も9月に利下げに転じた。米国は、未だマイナス金利からは一線を画すものの、それでも発射台が従来に比べて低く、金利引き下げ余地に乏しい。
 欧州は今や日本を上回るマイナス金利状況であり、今後、マイナス金利が波及し、世界中がマイナス金利化する不安も生じて居る。従来「日本現象」とされた状況が欧米にも波及して居る。こうした中で財政政策への期待が高まるが、赤字財政を積極肯定する現代貨幣理論(MMT)の実践でも、日本がモデルに為る可能性がある。

 「負け組」は銀行と家計 政府が一番の恩恵受ける

 図表1は、日本を事例として、マイナス金利導入後の金利低下による部門別所得移転を示す。
 
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 2016年1月にマイナス金利が導入されて以降、2018年(第3四半期)迄の家計や企業等のプラスマイナスを出したものだ。単純化すれば「勝ち組」は政府と企業「負け組」は金融機関と家計だ。政府部門はマイナス金利導入による最大の勝ち組であり、国債利回りの低下に加えマイナス金利による超過収入(発行収入金と額面価格との差額)による恩恵もある。第二の勝ち組、事業会社(非金融法人企業)は財産収支が改善するメリットを享受する。

 一方、最大の負け組の銀行等の預金金融機関は、貸出金利の低下等による預貸金利回り差低下(利ざや縮小)の影響から大幅な損失超となる。次いで、保険、年金も運用利回り低下でマイナスが生じる。もう1つの負け組の家計に付いては、住宅ローン金利低下の効果が預金利息低下等の資産収益減少でホボ相殺され、全体ではマイナスになる。超金融緩和の継続で資産運用業に従事する金融機関と家計への副作用が累積的に生じる事に為る。

 図表1が語ることは、今のマイナス金利も含めた超低金利策は、金融機関や家計が、収益や所得を政府と企業に吸い上げられる構造に為って居る事だ。これは、無意識の内に金融機関や家計に税金が賦課され「隠れた税金」(Stealth Tax、ステレス タックス)と為って居る一方で、企業に補助金が支払われる様なものだ。
 それだけに、低金利の最大の恩恵を受ける政府が、財政支出で一定の資金を国民の為に使うべきと云う考えが生まれるのも自然な面はある。


 




 MMTで財政政策重視の潮流に 格差の観点からも期待高まる

 その象徴が、今、注目されて居る現代貨幣理論と云う財政政策を重視した考え方だ。過つて「異次元緩和」の効果に陰りが出て金融政策の限界が指摘され始めた2016年頃にも、財政政策への依存を重視する考え方が生じた。
 当時、財政を重視した物価水準の財政理論(FTPL)が脚光を浴び、ノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ教授の考えを、内閣府参与の浜田宏一氏が紹介した事が大きな話題になった。

 図表2は、2015〜16年当時と今日の比較である。

  10-9-28.jpg

 2015〜16年当時と今は、景気減速等による閉塞状況は似て居るが、2016年当時は、FTPLへの関心は日本に限られ、日本ではFTPLの考え方に沿う様に消費増税の2度目の延期が行われた。
 これに対し現在は「反緊縮」運動が広がる欧州や米国を含め、財政政策を重視する考え方はグローバルな広がりを持つ。MMTの理論自体は、伝統的な経済学派から異端の扱いを受けて居るが、世界的に財政政策への関心が生じて居る点は重要だ。
 金融緩和余地が限られて居る中で経済政策に対する閉塞感も生じて居るからだが、これは、金融危機以降、日本が世界に先駆けて対峙して来た問題であり、現在は世界的に「日本化現象」が広がって居るとも言える。

 中央銀行が国債を直接引き受けて資金を供給する、言わば中央銀行が打ち出の小づちの様に為るヘリコプターマネーは正当化し難いし、異次元の金融政策を飛び越え、際限無く財政を拡張して財政を実験台に使う様な事も避けるべきだ。
 但し、今回、MMTがグローバルにも広がりを持つ形で浮上したのは、日本同様、先進国の多くで長期停滞感が強まり改善への成長戦略が描き切れ無いで居る事が背景にある。同時に金融政策の効果に限界がある事への認識が広がった面がある。

 金融は緩和されたが、投資が増えると云うよりも、各国で資産価格が上昇し格差が拡大しただけで無く、マイナス金利等の超低利による事実上の課税負担が加わって居る。格差の観点からも財政政策への期待が浮上したと考えられる。


 




 赤字拡大でも国債は安定  国内でファイナンス

 財政赤字拡大が続けば、何れ国債が暴落するとの議論がこれ迄も行われて来たが、筆者は日本国債はそう簡単に暴落し無いとして来た。その際、次の例えを用いて説明して来た。
 それは、日本は、日本の「家」として借金は無い(経常収支は黒字だ)が「同じ家の中」で「お父さんがお母さんからお金を借りる」(財政赤字の存在)状態だと例えて来た。「お母さんが家から逃げ出す」(資本逃避が起きる)と大変な問題だが、日本と云う家では、お父さんとお母さんの信頼(愛)がある事で安定が確保されて来たと云える。ここでの「愛」と云うのは、政府が市場に対して財政規律を示す事を意味する。

 上の日本の「家」の話は、マクロ経済での「ISバランス論」では以下の様に為って居る。

 経常収支=(国内貯蓄−国内消費)+(税収−政府支出)= 国内貯蓄余剰(不足)+ 財政黒字(赤字)

 日本の場合、財政赤字でも、国内貯蓄の余剰で経常収支は黒字の状況であり、国内で財政赤字をファイナンス出来て居る状況だ。現在、日欧の主要先進国で経常収支が黒字である事を考えると、一定程度、財政を拡大する事が重要な課題に為る。
 しかも、先述の様に、マイナス金利に象徴される超低利の長期化で事実上の課税が拡大する様な状況では、その事が一層必要に為る。

 「日本版MMT」には「愛」がある 一定の財政規律を維持

 但し、MMTの問題は、次の2点にあった。そもそも(1)財政収支の均衡が重視されて居無い事であり(2)金融政策が「財政従属」し中央銀行の独立性が侵される事だ。これ等の点が、所謂主流派経済学から異端の扱いを受けて居る理由なのだが、日本の場合は、財政拡張政策が執られて居ると云う行為はMMTと類似して居ても、財政規律への信認は保った状態にあると考えられる。

 MMT理論をそのママ実践する事には先進各国でも受け入れ難いだろうが、日本が行って来た、一定の財政規律を維持しながら財政政策が金融政策と連携を執りながらマクロ政策の役割を果たすと言ったやり方は、今後、世界の潮流に為って行くのではないか。即ち「日本版MMT」は新たな「日本化現象」の一つと為る可能性がある。

 10月1日に消費増税が行われたが、それは、財政赤字が拡大する中で、財政規律の一定の「愛」の姿勢を示したものと評価される。景気減速が言われる中での増税には否定的な見方もあるが、消費増税は、財政を活用しつつも一定の財政規律を維持する「日本版MMT」を実践したとも言える。消費増税が実現出来た事は日本国債の格付けにもプラスに働き易い。


 




 超長期国債の活用を通じた連携 50年国債発行の検討を

 又「日本版MMT」の延長線上の考えの一つとして、超長期国債の活用を通じた財政と金融政策の連携も考えられる。現在の日本国債の最長期間は40年債だが、今年4月、三菱地所は50年債発行を発表して居り、超長期債への関心が今後高まる契機に為るかも知れない。
 日本でも何れ50年債の国債発行の検討が行われても好い。これだけの低金利の下では、少しでも金利の高い国債が市場に供給される事は意義があり、国債市場でベンチマークと為る超長期の国債が発行されれば、そうした年限も含む民間債発行の円滑化に繋がり易い。

 又、日銀が新たな超長期国債を買い入れの対象に含める事で、超長期市場の育成に繋がり、同時に財政と金融政策の連携を示す効果にも繋がる。


 みずほ総合研究所 副理事長 エグゼクティブエコノミスト 高田 創    以上


 



 











絶好調だった筈のインド経済が「史上最低」に迄落ち込んだ理由


 

 絶好調だった筈のインド経済が 「史上最低」に迄落ち込んだ理由

           〜クーリエ・ジャポン 10/9(水) 17:00配信〜


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 インド自動車最大手マルチ・スズキのショーウィンドーに佇む社員。インドの自動車業界も売り上げの低迷に苦しむ Photo: Dhiraj Singh / Bloomberg via Getty Images


 〜常に「急成長」を枕詞にして来たインド経済が失速して居る。一時期は8%台の成長率を記録して居たアジアの新興国に何が起きて居るのか? 共同通信ニューデリー特派員の佐藤大介氏が現状を鋭く分析する〜


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  2019年9月 景気後退と失業率の上昇に抗議するニューデリー市民 Photo Vipin Kumar / Hindustan Times / Getty Images







 インド経済に灯る10の危険信号

 インドが内外に示して来た「経済成長」の旗印に陰りが出て居る。8月30日にインド政府が発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比で5.0%増に留まり、四半期ベースでは2013年1〜3月期以来、およそ6年振りの低い伸び率と為った。
 2014年にモディ政権が発足して以降、一時期は四半期ベースで8%台の成長率を記録して居たが、今やその勢いにはブレーキが掛かって居る。今、インドの経済に何が起こって居るのだろうか。

 9月25日付のインド経済紙「ミント」に、興味深い記事が掲載されて居た。 「インド経済、10の危険信号」との見出しで、様々な経済指標が「Red Flag(危険信号)」の領域に入って居る事を記した内容だった。
 同紙は、乗用車の販売台数や鉄道貨物輸送量、平均賃金等、独自に選んだ16の経済指標の内10項目が、過去5年間の平均値を下回る「危険信号」と判断した。何れも公式に発表されて居る数字ではあるが、それを一覧にする事で、インド経済の低迷振りを如実に示す事と為った。

 経常収支は未だ危険信号に為って居ないものの、貿易収支の悪化や原油価格の上昇によって予断を許さ無い状態に在るとした上で、記事の最後を「インド経済の勢いは史上最低に迄減速したかも知れないが、底を打ったとする証拠は未だ無い」と結んで居る。  
 こうした低迷の主な要因に為って居るのが、GDPの過半数を占める個人消費の冷え込みだ。4〜6月期は前年同期比の3.1%増に留まって居り、前年同期が7.3%増だった事を見ればその落ち込み具合が判るだろう。

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 インドの乗用車市場は8月まで10ヵ月連続で前年割れが続き、リストラも増えて居るPhoto: Dhiraj Singh  Bloomberg  Getty Images







 失業率は過去最悪
 
 個人消費の冷え込みを最も反映して居るのが、自動車(新車)の販売台数だ。インド自動車工業会によると、8月の国内乗用車販売台数は前年同月比で31.6%減少し、10ヵ月連続で前年割れを記録する事態と為った。
 インド自動車最大手でスズキ子会社のマルチ・スズキは、同月の販売台数が36.1%減少。在庫調整の為、9月7日と9日の2日間、国内2工場の操業を停止する異例の事態に追い込まれて居る。

 自動車販売の不振は、部品製造業者や販売店等関連産業にも大きな影響を与え、100万人規模の失業者を生んで居るともされて居る。それは、モディ首相が就任当初に打ち出した製造業の強化政策「メーク・イン・インディア(インドで作ろう)」を骨抜きにすると共に、GDPの更なる低下を引き起こし兼ねない危険性をはらんで居るのだ。この背景を探って行くと、家計の悪化と貸し渋りと云う2つの要素が浮かんで来る。

 2018年の失業率は、都市部の男性が7.1%と為る等、統計を遡れる過去45年間で最悪の水準と為り、雇用問題が深刻化して居る。雇用が不安定に為れば、それだけ懐具合が苦しく為るのは当然の事だ。格付け大手CRISILによると、農家の平均世帯収入の伸び率は、2018年までの5年間が平均3.6%だったものの、18年はゼロと為った。
 インドの労働人口に占める農家の割合は半分以上。物価の上昇を考えると、実質的に収入はマイナスと為っており、当然ながら消費に回せるカネは少無く為る。そう為れば、自動車は元より、アラユル商品の売れ行きが低下する事に為り、経済の成長を阻害する事は明白だ。又、収入が少無く為る中で消費を維持しようとすれば、借金に頼らざるを得無く為って来る。

 だが、国営銀行は不良債権問題が深刻化し、リスク回避の為に貸し渋りの姿勢を執り、多くの借り手はノンバンクに向かう事と為った。しかし、ノンバンクは銀行に比べて金融システムが脆弱で、大手が破綻すれば直ぐに流動性が低下し、貸出の審査条件が突然厳格化する等不安定さを露呈する。結果として、市場全体に「買い控え」の空気が拡大する結果を生み出した。

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 メーク・イン・インディア政策の一環で建設されて居るムンバイ地下鉄の第一号車両の模型をお披露目するモディ首相(左)Photo  Kunal Patil  Hindustan Times  Getty Images







 「経済成長」と云う看板と「経済の低迷」と云う現実

 こうした状況に対し、インド政府は充分な対応を打てて居ない。自動車に関しては、インド政府は7月に、新車の登録費を600ルピー(約900円)から5000ルピーへ一気に8倍以上値上げする事を発表して居た。だが、販売不振に慌てたのか、8月に為って20年6月迄の延期を決定。政府の各部局に課して居た新車購入禁止令を撤廃する等、需要回復へのテコ入れ策を打ち出した。しかし、需要回復に向けた兆しは見え無いままだ。

 一方、自動車業界が求めて居る新車購入に関わる税率を28%から18%に引き下げる事は、税収確保の観点から難色を示し、実現に至って居ない。自動車業界からは「政府内での利害対立から意見の調整が進まず、最も効果的な減税策を行う事が出来て居ない。これでは、展望が開け無い」(マルチ・スズキの関係者)と言った不満の声も漏れて居る。
 インド政府は8月以降、法人税の減税や銀行の統合と云った経済政策を次々と発表して居る。法人税は実効税率を30%から約25%に引き下げる内容で、民間投資を促進する事を目的として居る。だが、これによって1兆4500億ルピーの税収が減少する見通しで、大規模な景気刺激策を打ち辛く為るというマイナス面も孕む。特に、人口が増加して居るこの時期に道路等のインフラの整備や、教育への投資を積極的に行わ無いと、将来に大きな禍根を残す事に為る。

 5月に発足した第2次モディ政権は、24年度までにGDPを5兆ドル迄に成長させる事を公約に掲げて居る。その為には少なくとも10%の成長率が必要で、現在のスピードでは到底手が届か無い。「経済成長」と云う看板と、経済の低迷と云う現実を前に、モディ政権の険しい舵取りが当面続く事に為る。


          Daisuke Sato  以上






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最低賃金引き上げ「よくある誤解」をぶった斬る




 最低賃金引き上げ 「好くある誤解」をブッた斬る

         〜東洋経済オンライン 10/9(水) 5:10配信〜

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  「最低賃金引き上げ」にまつわる数々の「誤解」を一気に解き解します(撮影 梅谷秀司)







 〜オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名を馳せたデービッド・アトキンソン氏。
 退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行って来た彼が、遂に辿り着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて9カ月。アトキンソン氏の「最低賃金を引き上げる事で生産性を高めるべき」と云う主張には、多くの賛同の声が上がって居る。一方、この主張に疑問を呈する声もある。そう云った疑問に、一気に答えて貰った〜



 最低賃金を引き上げるべき「3つの理由」

 この処、最低賃金引き上げに関する議論がヒートアップして居ます。私の記事や著書へのコメント、SNS等で様々な質問や指摘を頂き、考えさせられる事が増えて来ました。今回はそれ等の質問に対して、出来るだけ多くのエビデンスをもってお答えしたいと思います。

 私は日本経済を再生させるには、中小企業を合併させる等して規模を拡大させ、輸出を促進し、労働者と経営者のスキルアップを徹底して、生産性を向上させるしか方法は無いと思って居ます。そして、その為には最低賃金を継続的に引き上げる必要があると予て提言して居ます。何故、この政策を実施するべきか。この点について3点、強調して置きたいポイントがあります。

 1つ目は自然災害との関係です。日本の国土面積は世界の0.28%であり人口は1.9%と、世界全体からするとホンの僅かを占めて居るに過ぎません。

 しかし、2014年の『防災白書』によると、2003年から2013年の間に発生したマグニチュード6以上の地震のうち、実に18.5%が日本国内で発生したそうです。又、1984年から2013年の活火山の7%が日本に存在するとも在ります。
 詰まり、日本と云う国は、地震や火山に絡んだ極めて特殊なリスクを抱えて居る国なので、イザと云う時の為に、生産性を高めて国の財政を諸外国より健全な状況にして置か無くては為ら無いのです。この様な観点から、日本に取っての生産性の向上は国の死活問題だと私は真剣に考えて居ます。

 2つ目。今も述べた通り、生産性の向上は国の死活問題なので、出来るだけエビデンスに基づく議論を展開するべきです。感覚的な話、抽象的な話等、統計やデータを無視した議論は意味がありませんし、その類の議論をベースに物事を決めるのは極めて危険だと思います。

 3つ目。日本の場合、極めて急激なペースで人口が大きく減少すると云う、他国には無い事情がある事を、海外との比較の中で確りと理解して置く必要があります。

 アトキンソン氏が「10の疑問」に答える

 では、疑問へのお答えに移りましょう。







 疑問1 最低賃金を上げると、失業が増えるのではないですか?
 
 この件に関しては、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授が、以下の様にコメントして居ます。

 There's just no evidence that raising the minimum wage costs jobs, at least when the starting point is as low as it is in modern America.(少なくとも現代のアメリカの様に最低賃金が低い場合、それを上げる事が雇用に悪影響を及ぼすと云う証拠は存在し無い)
 
 又、今年の7月8日には、以下の様なコメントも残して居ます。.

 There is a diehard faction of economists who refuse to accept the overwhelming empirical evidence for very small employment effects of minimum wages.(最低賃金が雇用に及ぼす影響が極めて小さいと云う圧倒的な証拠を受け入れる事を拒否する、経済学者の頑固な一派が存在する)

 詰まり、最低賃金が低ければ低い程、引き上げによる雇用への影響は少なく、この件を立証する圧倒的な量のデータが存在するとおっしゃって居るのです。

 最低賃金引き上げの影響を否定的に捉える論文もあるにはあります。しかし、各国で行われた約20年間の検証の結果、データが揃って来た事もあり、雇用への影響はあってもその影響は以前考えられて居たより、大分小さいと考えられる様に為って来て居ます。
 170カ国以上が実施して居る最低賃金引き上げに関する分析は、ドイツ・フランス・アメリカ・中国・韓国等の他、途上国も含む様々な国で行われて居ます。

 又、最低賃金引き上げは現在雇用されて居る人には影響は無く、将来の雇用にのみ影響を及ぼす等、次第に論調が変化する傾向も認められます。日本はアメリカ同様に、最低賃金が極めて低く設定されて居ますので、クルーグマン教授のコメントを真摯に受け止めるべきでしょう。
 又、人口が増加して居る国に取っては、将来の雇用への影響を懸念する事も重要ですが、日本では今後人口が減少するので、事情が違う事も忘れるべきではありません。

 疑問2 イギリスで最低賃金引き上げが成功したと云うデータは、各国の最新の研究で否定されて居るのでは?
 
 この指摘をして来たコメントには「ここ1〜2年の研究では抽出方法の改良が進み、イギリスでの最低賃金引き上げの影響が肯定的であると云う説は否定され、アメリカ・スペイン・フランス・ドイツの直近の経済学者の研究では、失業の増加をもたらすと確認された。韓国は研究の結果を待つまでも無い」とあります。
 これが本当なら一大事ですので、一生懸命学会に発表された論文を探しましたが、この様な結論を展開している論文を見付ける事は出来ませんでした。一体、どの論文をご覧に為られたのか教えて頂きたいものです。少なくとも、確認出来る論文の中で特殊な例である事は間違いありません。

 イギリスはLow Pay Commission(低賃金委員会)が徹底的な分析に基づいて、政府に対して提言する仕組みを設けて居ます。この低賃金委員会が2019年4月2日に発表した286ページにも及ぶ報告書には、以下の様に記載されて居ます。

 Rather than destroy jobs, as was originally predicted, we now have record employment rates.(当初は雇用破壊が危惧されて居たが、就業率は過去最高を記録して居る)
 The overwhelming weight of evidence tells us that the minimum wage has achieved its aims of raising pay for the lowest paid without harming their job prospects.(最低賃金は、低所得者の雇用を破壊する事無く彼等の賃金を高めると云う目的を達成した。これには圧倒的な証拠が存在する)

 
 直近のデータでは、イギリスの労働参加率は76.1%と云う記録を更新して、失業率も3.9%と1974年以降の最低水準にあります。

 最低賃金を引き上げても失業率が上がら無い事は、このデータで証明されて居ます。ですから失業率が上がると主張する為らば、このイギリスの事実を否定する事に為りますが、厳然たる事実を否定する事等可能なのでしょうか。





 むしろ「イギリスの特殊性」から学ぶべき

 疑問3 イギリスのデータは特殊ではないのですか? 

 この指摘には一理あります。と云うのも、科学的な根拠に基づいて最低賃金の引き上げを実施して居る事が、イギリスの特徴の1つと言われて居るからです。
 イギリス政府は低賃金委員会に対して、雇用への影響の無い、ギリギリの線で最低賃金の引き上げを提言する使命を与えて居ます。雇用への影響が出無いのは偶然では無いのです。それに比べて、日本の最低賃金を決める中央最低賃金審議会の委員の専門性は相対的に低いと日本総研が報告して居ます。
 ここでの教訓は「ギリギリの線」を狙えば、雇用に影響を与える事無く賃金を高められると云う事です。イギリスで出来た事が日本で出来無いとは思えません。

 疑問4 若い人に大きな悪影響が出るのでは? 
 
 イギリスでは、若い人に影響が出無い様に、若い人の為の最低賃金を別に設定して居ます。場合によっては日本でも検討に値するでしょう。イギリスの現行の最低賃金は、25歳以上では8.21ポンドですが、21歳から24歳は7.7ポンド・18歳から20歳は6.15ポンド・18歳未満は4.35ポンドです。若い人が求職に困ら無い様に工夫して居ると言えます。

 疑問5 最低賃金を引き上げると格差が拡大するのでは? 
 
 真逆です。実は、最低賃金引き上げの最大の効果は、格差を縮小させる事です。イギリスでは、最低賃金を導入した1999年には、最下層の人達の所得は中央値に対して47.6%でしたが、2020年迄に中央値に対して60%迄引き上げる計画を実行して居ます。
 イギリスは1978年から1996年までの間、格差が一貫して拡大しましたが、最低賃金の引き上げによって、その間に開いた格差の半分が解消されました。アメリカの格差拡大要因の大半は、最低賃金の引き上げ低迷によると云う分析もあります。

 格差社会とは、最下位層と最上位層の所得格差が大きい社会のことですので、所得の中央値に対する最低賃金の比率が低く為れば為る程、この開きが拡大します。日本でワーキングプアの比率が高いのは、これが低いからに他なりません。
 最低賃金を引き上げて格差が拡大する唯一のケースは、失業者が大量に増えて再就職が出来無いケースですが、ソモソモそう為ら無い様に慎重に検証した上で引き上げるべきなので、そう云う事態は起こり得ないでしょう。と云うより、起こさ無い様にすれば好いのです。

 「生産性を高めると格差が広がる」は大間違い

 疑問6 アメリカやイギリスの様に、生産性を高めると貧困率も高くなるのでは? 
 
 このご指摘には、幾つかの事実誤認が含まれて居ます。2018年のデータを使うと、大手先進国23カ国の生産性と貧困率の相関係数は−0.529です。生産性が高く為れば為るほど、貧困率は低く為ります。
 生産性と、格差を測るジニ係数の相関係数は−0.513です。生産性が高く為れば為るほど格差が縮まるのは明らかです。確かに、アメリカは生産性が高いにも関わらず格差が大きく、貧困率が16.8%と大手先進国の中で高いのは事実です。但し、その理由は、アメリカの最低賃金が所得の中央値に対して著しく低いからです。

 詰まり、生産性の高いアメリカで貧困率も高いのは、アメリカが特殊な国だからです。この様に1つの特殊な例を取り出し、それが特殊な例かどうかも確認せずに一般化して議論をするのは、エビデンスの曲解に繋がるので注意が必要です。
 又、イギリスは生産性が高くはありませんし、貧困率も日本の16.1%より低い10.9%です。ご指摘には当たら無いと言わざるをえません。生産性が高い程貧困率が高く為ると云うエビデンスはありません。貧困率を下げたいなら、逆に、最低賃金を引き上げるべきなのです。







 「一部の事情」を一般化するのは危険

 疑問7 中小企業の生産性が低いのは、大企業に搾取されて居るからなのでは?
 
 こう云う指摘がされるのは、そう云う影響が考えられる業種があるからではないかと察します。建設業や製造業でしょうか。確かに調べてみると、大企業は中小企業が多数存在するのを好い事に、価格競争をさせて買い叩き、中小企業が創出した付加価値を自分のものとして計上している形跡が確認出来ます。それを示すエビデンスは存在します。
 しかし、360万社ある日本企業の中で、全ての中小企業が大企業の下請けと為って居る事実はありません。飲食業・宿泊業・美容室等も生産性が低い業種ですが、これ等の業種は大手企業に搾取されて居る訳ではありません。

 大手企業に搾取され生産性が低く為ってしまって居る事例があると言っても、そう云う企業が全体のどれ程の割合を占めて居るのか、キチンと把握して置かなくては議論に為りません。私は、約2割でないかと試算しておりますが、十分な統計が存在しないので正確な推計は出来ません。何れにせよ、100%では無い事は明らかです。

 疑問8 最低賃金を引き上げると、地方の企業は倒産するかリストラを進めるのでは?  

 最低賃金を引き上げると、大半の中小企業は余裕が無いので、廃業するかリストラして社員数を減らすしか無く為ると云うご指摘です。この主張を立証する為には、膨大な量のデータ分析が必要に為ります。地方と言っても経済状況は様々ですし、中小企業も数が多い分だけ実態は多様です。
 「地方の大半の中小企業は最低賃金に耐え得るだけの余裕が無い」と云うなら、そのエビデンスを出して頂きたいです。私が実際のデータを分析する限り、この主張には疑問を覚えます。

 例えば、2018年の最低賃金の水準は、小規模事業者の付加価値の52.6%と推計出来ます。県別で見ると、60%を超えて居るのは8県で、70%を超えて居る都道府県はありません。これは倒産が相次ぐと断言出来る水準では無いと分析して居ます。
 海外では、最低賃金の水準や労働分配率が日本より高いにも関わらず、最低賃金を引き上げて倒産・廃業・解雇が増加したと云う様な事実は確認されて居ません。何故他の国で出来て居る事が、日本では出来無いのか、科学的な根拠をベースにして説明をして欲しいと何時も思います。

 「数字では無く実態に注目するべきだ」と云う声を頂いた事もあります。しかし、実態を集めたものが統計なのですから、数字より実態と言われても、個人として把握出来る情報量に限りがある以上、その「実態」は特殊な事例を一般化する危険性を伴います。
 これからの日本では社会保障の負担が激増し危機的な状況を迎えるのです。この様な状況が目の前にある以上、「思う」「思わ無い」「余裕が無い」等と感覚に頼った主張をするより、人口減少対策の代案を示すべきです。

 「低スキル労働者が犠牲に為る」の5つの問題点

 質問9 低スキルの労働者が犠牲に為るのでは?
 
 生産性の低い企業で働いて居る人の多くは低スキルなので、最低賃金を引き上げて、その人がクビにされた場合、再就職が出来無いと云う事をおっしゃる人が居るのですが、この指摘には幾つか問題があります。ここでは、5つの視点から解説します。

 視点1 ソモソモ最低賃金を引き上げると失業が増えると云う仮説が前提とされて居ますが、この前提自体、多くの諸外国のエビデンスから判断すると正しいのか大変怪しいと思います。
 日本でも最低賃金をこの数年、毎年3%ずつ引き上げて来て居ます。しかし、倒産件数は減少し求人倍率は上がって居ます。この様な事実が存在するにも関わらず、何故「最低賃金を引き上げると、失業率が上がる」と主張されるのか、全くもって理解不能です。
 小規模事業者の付加価値に対する最低賃金の比率が危機的な水準に近づいて居ると云う分析結果も存在しないので、低スキル労働者が犠牲と為ると云う指摘の根拠は謎としか言い様がありません。

 視点2 「最低賃金で働いて居る人のスキルが低い」と云う前提自体にも疑問が残ります。イギリスとの比較では、日本人労働者の2018年の生産性(購買力調整済み)はイギリスの96.7%ですが、最低賃金(同)は69.3%です。日本人はイギリス人のスキルの7割しか無いのでしょうか。
 日本でも、最低賃金で働いて居る人の中で女性が占める割合が高いのです。最低賃金で働く人はスキルが低いと云う事は、女性のスキルが低いと云う事に為ります。只の偏見ではないでしょうか。特に、出産の為1度仕事を辞めて居る人は、仕事に戻ってから収入のレベルが大きく低下する傾向にあります。出産する前に比べて給料が減って居るから、スキルが大きく低下して居ると云うのは、飛んでも無い論理の飛躍です。

 視点3 先進国が最低賃金を引き上げて居る理由の1つに、或る不公正の是正があります。それは「企業は労働者のスキルと関係無く、女性・高齢者・若い人等の交渉力の弱さを悪用して、生産性に比べて不適切に低い給料を払って居る」と云う事です。
 各国政府は、格差社会の是正と個人消費の活性化、そしてこの不公正を是正する為に、最低賃金を引き上げて居ます。

 視点4 「中小企業は苦しいから、最低賃金の引き上げに耐えられ無い」「対応のしようが無い」「倒産するしか無い」と云う極論を展開するのであれば、中小企業の実態を正しく分析した上で、労働者が搾取されて居ると云う事実が存在し無い事を証明する必要があります。少なくとも私はそんな分析を見た事はありませんし、私自身の分析でもそんな実態は存在しません。
 「中小企業の経営は大変。最低賃金なんか上げたら、倒産しちゃいますよ」日本に限らず海外でも、実際に給料を払う事に為る経営者達は口を揃えてこう主張しますし、御用学者達も同様の発言をします。しかし、海外の例でも、毎年10%以下の最低賃金引き上げによって倒産が増加したと云う分析結果が出た事はありません。勿論統計的にそんな事が確認された事もありません。

 視点5 社会保障の負担が増える一方、担い手が激減する日本では、根拠無き感情論では無く、徹底した分析に基づく科学的根拠を揃えた上での議論を展開する事を強くお勧めしたいと思います。最低賃金を段階的に引き上げて行くと、勿論中小企業は大変です。しかし、生産性が上がら無いと、社会保障負担に国が耐えられ無いと云う現実の危機を乗り越える為の代案を示して頂か無いといけません。





 2年間で30%も引き上げた韓国と同一視は出来無い

 疑問10  韓国は最低賃金を上げて経済が崩壊して居ます。日本も、韓国の様に為ってしまうのではないですか?  

 韓国は、最低賃金を2年間で30%も引き上げて来ました。アメリカの或る分析によると、最低賃金を1年間で12%以上引き上げると、短期的に失業率が上がる恐れがあるとして居ます。日本ではもっと緩やかな引き上げが議論されて居ますので、比較する事自体に意味が無いと感じます。

 最低賃金の引き上げの効果を測るには、収入増加と失業率のバランスを天秤に掛けるべきです。残業の調整等も含めて、最低賃金が上がる事によるネットの所得増加によるプラスと、失業率が高まる事によるマイナスを両方見るべきです。失業率だけに注目する議論は視野が狭いと言わざるを得ません。
 韓国の失業率は、過去20年間の平均で3.7%でした。確かに2019年の1月には4.4%迄大きく上がりましたが、その後は落ち着き、直近の8月は2002年に更新された最低記録の3%に近い3.1%まで下がって居ます。倒産件数も落ち着いて居ます。

 若い人の失業率が高く長期的な影響は未だ見えず、失業率が低下して居るデータポイントが少無い為、韓国の最低賃金の直近の引き上げがどの位の失業に繋がったかは、専門家として判断するには時期尚早です。トレンドを冷静に見守る必要があります。
 韓国は2年間で最低賃金を30%も引き上げて居るにも関わらず、未だ言われる程の崩壊は現実に為って居ません。一方、日本では5%引き上げたら大変な事に為ると煽(あお)られて居る。韓国に比べて、日本経済が極めて貧弱であると云う指摘には、到底賛同出来ません。


    デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長   以上







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インドと比べればロシアも普通? 2つの新興大国の関係と比較




 インドと比べればロシアも普通? 2つの新興大国の関係と比較


             〜GLOBE+ 10/8(火) 12:03配信〜


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 BRICSは、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカと云う新興大国5カ国の協力枠組みで、それ等の頭文字を取って名付けられて居る。ロシアは、欧米への対抗姿勢もあり、BRICSを重視して居る。(撮影 服部倫卓)






 東方経済フォーラムで主役と為ったインド

 毎年恒例の「東方経済フォーラム」が、9月4〜6日と云う日程で、今年もロシア極東のウラジオストクで開催されました。プーチン政権肝入りの大イベントであり、ロシア及びアジア太平洋諸国の官民のVIPが一堂に会して、ロシアの東部地域の開発、ロシアとアジア太平洋諸国との関係拡大に付いて討議する舞台です。
 東方経済フォーラムには、アジア諸国の首脳クラスも駆け付けます。日本の安倍晋三総理は、同フォーラムに毎年参加すると表明して居り、本年も勿論出席しました。しかし、今年に限っては、インドのモディ首相が完全に主役でした。

 初めて東方経済フォーラムに出向いたモディ首相は、プーチン大統領との親密振りをアピールし、両国の経済協力を演出して見せました。その当たりに付いては、朝日新聞の「インド、何故ロシアに急接近?共通して居た警戒相手」と云う記事が的確に伝えて居ますのでご参照ください。
 筆者が取り分け注目したのは、モディ首相が、インドはロシア極東の経済発展の為に10億ドルの融資枠を設定し、それをインドの同地域への進出の足掛かりとすると表明した事です。沈滞が続く極東地域へのテコ入れは、プーチン政権が東方経済フォーラムに込めて居る主目的の一つであり、ロシア側はインドの申し出を「渡りに船」と受け止めたのではないでしょうか。

 インドはソ連時代からの友好国

 社会主義陣営の盟主だった過つてのソ連邦に取って、インドは重要な友好国でした。ワルシャワ条約機構や経済相互援助会議(コメコン)に属して居る様な社会主義の衛星諸国を除けば、インドが最大の友好国だったかも知れません。なお、当時はインドも社会主義的な経済建設路線を採って居ました。
 ソ連と中国は、社会主義と云う体制を同じくしながら、対立し合う時代が長く続きました。一方、インドも、チベット問題・国境問題・パキスタン問題を巡って中国と対立。過つてのソ連とインドの友好関係は、中国と云う共通の敵の存在に裏打ちされたものでした。

 ゴルバチョフ時代に、ソ連は中国との関係を修復。新生ロシアの時代と為ると、中国との関係が重要性を増して行きます。2014年に発生したウクライナ危機を背景に、欧米との関係が拗(こじ)れると、ロシアは中国との関係強化を軸とする「東方シフト」を発動。
 一方、冷戦体制の終結後、ロシアとインドの関係は希薄化しインドは米国と接近。過つての様に、中国と云う共通の敵の存在がロシアとインドを結び付けると云う事は一切無く為りました。それでも、現下のプーチン政権としても中国への過度の依存は避けたく、インドの側にも米トランプ政権の理不尽な遣り方を牽制したいとの狙いがあります。

 ロシア・インドの夫々の思惑が合致し、今回ウラジオストクで両国関係が大いにショーアップされたと云う訳です。なお、現在の処、露中の経済関係に比べれば、露印の経済関係は遥かに小規模です。貿易額に付いて見ると、中国はロシアの貿易相手国として不動の首位の座に有り、2018年にはロシアの輸出入総額の15.7%を占めました。
 それに対し、インドはロシアの貿易相手国として17位に過ぎず、ロシアの輸出入総額に占める比率は僅か1.6%です。参考までに日本は10位の3.1%です。

 インドの保有する武器の70%近くがロシア製と言われる様に、ロシア軍需産業の市場としてインドは極めて重要です。しかし、ロシアとインドが地理的に微妙に隔絶されて居る事もあり、武器以外の品目の貿易が、余り発展を見て居ません。
 今回プーチン大統領とモディ首相は、現状78億ドルに留まって居る往復の貿易額を、2025年までに300億ドルに迄伸ばすとの目標を掲げましたが、果たしてどう為りますでしょうか。


 




 ロシアの特殊性を強調し過ぎて居た点を反省

 筆者は、日本の研究者グループの一員として、昨年12月にインド最大の都市ムンバイでの現地調査に参加しました。ロシア・中国・インドと云ったユーラシアの新興大国を比較分析する研究プロジェクトがあり、その一環としてムンバイで現地調査を行ったものです。

 私に取ってインドへの訪問は初めてであり、見るもの聞くもの全て珍しく、大変に勉強に為りました。特に、個人的に一番強く感じたのは、これ迄私はロシアの事を調査・研究して居て、ロシアの特殊性を強調し過ぎて居たのではないか?
 所詮、日本とロシアの事位しか知ら無いので、日本との比較だけで、ロシアは特殊だと決め付けては居なかったか?と云う事でした。言い換えれば、もしかしたら、ロシア等普通?と思える程、インドは個性に溢れて居たのです。

 ビジネスに関連した事で言えば、例えば銀行業の認可の問題があります。ロシアでは、外国の銀行がロシアで銀行業を行う為には、支店開設だけでは駄目であり、必ず現地法人の銀行をロシアに設立し無ければ為りません。十数年前に、この問題がクローズアップされた際に、我々業界関係者は、ロシアは何と規制が厳しく不自由な国かと感じました。
 一方、インドでは、外国の銀行が銀行業務を行うに当たって、現地法人を設立する必要は無く、支店でOKだそうです。それだけを執れば、ロシアよりもインドの方が規制が緩やかでビジネスをし易いと云う事に為ります。しかし、インドはインドで、ビジネスの難題には事欠か無い様です。

 例えば「銀行がインド国内に支店を設ける際に、4店の内1店は農村部に出さ無ければ為ら無い」と云う厄介なルールがあるそうです。又、インドの銀行業で一番頭が痛いのは「優先分野貸付」と言って、農業・中小企業・輸出信用と云う3つの分野に一定比率を貸し付ける事が当局から義務付けられて居る点だそうです。
 外銀に取って農業や中小企業の貸出し先を見付けるのは至難であり、必然的に輸出信用に集中する事に為り、それを開拓するのが大変との事でした。理不尽な事の多いロシアでも、そんなヤヤコシイ話は聞いた事がありません。

 思うに、我々がロシアで困難やトラブルに遭遇した時に「飛んでも無い!」と過剰反応し勝ちなのは、ロシアが一応は広い意味での欧州に属して居り、欧米と同じ白人が主体の国で、無意識の内に先進国的な秩序を期待してしまうからなのかも知れません。インドで調査をしてみて、ロシアを研究する上でも、より多様な観点が必要だと云う事を痛感しました。
 一般的に、ロシアは貧富の格差が大きな国と言われ、成金が巨万の富を享受する一方、一般庶民は低所得に喘いで居ると云った事が指摘されます。しかし、インドでの見聞によれば、彼の国の貧富の格差は、ロシアの比では無い様です。

 ムンバイで、財閥の高層ビルやその総帥の邸宅等が威容を誇る直ぐ傍に、スラム街が広がって居る様なコントラストは極めて印象的でした。しかも、インドの場合は、貧富の格差がカースト、民族・宗教等の属性によって固定されて居る面があります。
 ロシアであれば、国民は遥かに同質的であり(30年程前迄は等しく倹(つま)しいソビエト人だった)低所得者も頑張れば上昇出来る余地が未だ有る様に思います。

 さて、インドで調査をしてみて、勿論ロシアとの違いだけで無く共通点も見て取れました。興味深い事に、インドは意外に生産コストが高く外国向けの輸出加工基地には為り得無いので、外国企業による現地生産は基本的に全てインド国内市場向けであると云う事でした。
 この点は、ロシアと全く同じなので「成程、ロシアだけでは無かったのか」と、思わず感慨に耽(ふけ)ってしまいました。但し、人口12億人のインドと異なり、人口1.5億人足らずのロシアは、国内市場だけを目当てに外資が現地生産に乗り出すギリギリの市場規模と言えるかも知れません。

 ロシアは石油価格によって経済が乱高下するので、それも外資泣かせです。成長力が弱く不安定なロシア経済は、過去10年間、常に年率5%以上の成長を遂げて居るインド経済と比べると大分見劣りします。


          服部倫卓    以上


 




 【関連記事】 ロシアの増税はどうしてスムーズ? 日本もプーチンに見習うべきか

         〜服部倫卓 迷宮ロシアをさまよう  2019.10.01〜


 日本の増税の日に寄せて

 様々な議論がありましたが、本日10月1日より、日本の消費税は8%から10%に引き上げられます。(酒類・外食を除く飲食料品および新聞定期購読には8%の軽減税率を適用)
 筆者自身の旗幟を鮮明にして置く為らば、私はゴリゴリの財政タカ派です。今回の消費税引き上げは当然の事であり寧ろ遅きに失したと考えて居ます。「今は経済状況が良く無い」とか「世界経済のリスクが」等と言って、増税の延期や中止を主張する論者も居ましたが、今後、日本経済が今より良く為ったり、世界経済のリスクが払拭されたりする保証等有るのでしょうか? 

 逆に悪く為る可能性だって充分にあります。今、増税をし無いと云うのは、財政再建の努力を永遠に放棄する事と同じだと思います。
 それにしても、日本で消費税を8%から10%に引き上げるだけでこれだけ苦労した事を考えると、大衆迎合化が加速する民主主義の中で、政治家が税率を決めるのはもう無理では無いかという気がして来ます。日本の消費税も、経済・財政状況に応じて自動的に税率をスライドさせるとか、イッソの事人工知能に税率を決めて貰うとかして、政治から切り離した方が好いのかも知れません。

 その点、一寸注目に値するのが、ロシアの事例です。実はロシアも本年初頭に増税を実施しました。日本の消費税に相当する「付加価値税」の標準税率を、18%から20%に引き上げたものです。にも関わらず、ロシアでは増税を巡って大きな混乱や論争は起きず、プーチン政権は比較的スムーズに税率の引き上げに成功したからです。果たして、ロシアにおける増税の進め方は、日本の模範に為るでしょうか?

 ロシアの付加価値税の概要

 先ず、ロシアの付加価値税の概要を整理して置く事にします。日本の消費税導入から遅れる事約3年、ロシアの付加価値税の歴史がスタートします。1991年暮れに社会主義のソ連邦が崩壊し、エリツィン大統領率いる新生ロシアでは、ガイダル首相代行率いる内閣が急進的な市場経済移行を目指しました。
 その改革の一環として、西欧諸国等で採用されて居る付加価値税を、ロシアも取り入れる事に為ったのです。1992年1月1日に導入された付加価値税の税率は、何と28%。流石は、ミスター・ショック療法のガイダル首相代行、遣る事が大胆でした。

 しかし、ロシアにおけるその後の付加価値税の歴史は、寧ろ負担軽減の連続でした。1992年2月には早くも、幾つかの基礎食品の税率を15%に引き下げ、1993年の年初からは、標準税率が20%に引き下げられると共に、本格的に軽減税率が導入されました。
 軽減税率は、基礎食料品と子供用品を対象に10%の優遇税率を適用するものです。更に、2004年の年初からは、標準税率が18%に引き下げられました。2019年の年初に標準税率が18%から20%に引き上げられたのが、実はロシアに取って初めての付加価値税増税だった訳です。

 さて、天下の大愚策として知られる軽減税率ですが、採用して居る国は可なり多く、ロシアでも1993年の導入以来、税率10%でズッと維持されて居ます。今日では、当初の基礎食料品・子供用品に加え、定期刊行物及び教育的な図書・医薬品・国内航空運賃もその対象と為って居ます。
 食品に関しては、軽減税率の対象は飽く迄も肉・卵・乳製品・油・砂糖・パン・野菜と云った基礎的なものだけで、加工食品等は対象外。なお、ロシアでは日本と違って、買った食品を持ち帰ろうがイートインしようが税率は同じです。ロシアで定期刊行物が軽減税率に為って居るのは、新聞が優遇策を勝ち取った日本と一寸似て居ますが、ロシアでは雑誌も対象であり、又店で一部だけ買っても軽減税率が適用されます。

 注目すべきことに、付加価値税はロシアで最も納税率の高い税種なのだそうです。即ち、現状で本来支払われるべき税額と、実際の税収との間の乖離が1%未満なのだとか。ロシア連邦税務局のミシュスチン長官は、「ヨーロッパではこの乖離はどんなに良くても10〜15%程度は有る」として、ロシアの執行率の高さに胸を張って居ます。
 ロシアでも以前は、還付制度を悪用した付加価値税の脱税が横行して居たのですが、2013年に「付加価値税還付監督自動システム」が導入されて以来、劇的にパフォーマンスが改善したと云う事です。

 ちなみに、ロシアの財政は直近で黒字であり、向こう3年間の見通しでも黒字が続く事に為って居ます。財政がピンチな訳でも無いのに、何故このタイミングで国民に負担増を強いたのでしょうか? 
 その答えは、本連載の「プーチンの『ロシア改造計画』は何処へ 人もコンクリートも重視の欲張りプロジェクト」で紹介した「ナショナルプロジェクト」に在ります。プーチン政権は、付加価値税の増税で得た追加歳入を、ナショナルプロジェクト実施の原資の一部にしようとして居る訳です。


 




 何故ロシア国民は怒ら無かったのか

 ロシア政府が付加価値税の税率を18%から20%に引き上げる方針を示したのは、2018年6月14日の事でした。この連載の「ワールドカップ成功の影でプーチン氏の支持率が落ちている」の回で解説したとおり、サッカー・ワールドカップの開幕戦にロシア国民の関心が集中して居る隙に、年金受給年齢の引き上げと付加価値税の増税をシレッと発表したものでしたが、その後国民のプーチン政権への支持率は可なり低下しました。

 筆者は当初「年金と増税は、同じ位国民の怒りを買うのではないか」とイメージして居たのですが、実際には年金問題と比べて、増税への反応は鈍かった様です。現地専門家によれば、平均的なロシア国民は増税と物価上昇の関係をキチンと見極める程のリテラシーを備えて居らず、2019年初頭の増税に余り注意を払わ無かったと言います。
 実際、付加価値税の事が余り意識されて居ない為か、ロシアでは増税前の駆け込み需要も、増税後の反動減も起きず、インフレ率が少し上昇した程度でした。

 2018年7月にロシアで実施されたアンケート調査によると、2019年から付加価値税が引き上げられると云うのを聞いた事があると云う回答者が65%でした。しかし、その時点での標準税率が18%であると云う事を正確に答えられた回答者は32%しかいませんでした。
 ロシア国民の付加価値税に付いての意識が概して低いと云うのは本当の様です。日本の国政選挙で消費税問題が可なり尖鋭な争点に為るのに対し、ロシアの選挙で付加価値税が争点に為ったと云う話は聞いた事がありません。従来は引き下げられる一方だったと云う事情もありますが。

 ロシア国民が付加価値税の負担を余り意識しないのには、それ為りに原因があると思います。ロシアの付加価値税は全て内税方式であり、商店の値札には税込み価格しか書いてありません。最も、西欧諸国等でもそれは同様だと思いますが。
 買い物を済ませて、レシートを貰うと、そこには支払金額のうち付加価値税の分がどれだけかが記されて居ます。例えば、筆者が9月にモスクワのスーパーで買い物をした際のレシートです。895.46ルーブルの支払いの内、税率20%で課税された付加価値税が105.41ルーブル、税率10%で課税された付加価値税が23.91ルーブルと確り明記されて居ます。「アシャン」と云う大手スーパーだけあって、このレシートは可なり丁寧で、良く見ると品目毎の税率も書かれて居ます。

 しかし、こうした全面的な内税方式では、支払った金額の内税金がどれだけだったのかと云う情報を、事後的に受け取るだけです。レシートの細かい文字をイチイチ読ま無い人や、老眼で読め無い人も多いでしょう。これでは、18%から20%に上がっても、気に留め無い人が沢山居そうです。
 税金を取る側には好都合ですけれど、取られる側の痛税感が薄れ、結果的に納税者としての権利意識も育まれ無い恐れがあります。なお、ロシアでは外食産業の事業者も付加価値税を納税しますが、技術的な理由から外食店のレシートには付加価値税額が明記されず、これもこの税種が国民から気付かれ難く為って居る一因かも知れません。

 と云う訳で、ロシアで2019年1月の増税が余り政治問題化せず、スムーズに運んだのは、ロシア国民の意識の低さにプーチン政権が付け込んだ様な形でした。幾ら財政健全化に資するものでも、日本として模範とすべきモデル等では無い事は明らかです。
 


  服部倫卓 一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所 副所長   以上




 【管理人のひとこと】

 服部倫卓氏に消費税・・・特に日本における消費税に対する知識が余りにも無さ過ぎる事に残念な思いがします。「れいわ新選組」の山本代表の消費税に対する考えを一度聞いて貰いたいと思います。
 日本の消費税は、単に一般家庭の消費者が日々の買い物するものに対して課税するのみでは無く、全ての企業間の取引について課税するものであり(時には後からバックするものもある)、日本のGDPの大部分に相当するものなのです。勿論、低所得者に集中する非公正・否社会性の高いものであり・・・所謂古代の「塩税」の様な、無ければ為ら無いものに課税する「血税」でもあるのです。その日本の根本的な消費税の税思想は、弱い者苛めの「悪税」と云って可笑しく無く、消費税に反対する人達は、その税に対する思想に問題があると主張して居るのです。確かに欧米の消費税率は高いのですが、その中味は全く異なります。詰まり生活の必需品は除き、贅沢品や嗜好品等への課税なのです。



 




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企業は設備投資をドブに捨てて居る様なもの 日本が成長出来無い本当の理由




 企業は設備投資をドブに捨てて居る様なもの 日本が成長出来無い本当の理由

           〜ニューズウィーク日本版 10/8(火) 18:54配信〜


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            シャープの液晶事業は巨額の損失をもたらした







 日本の設備投資は深刻な問題を抱えて居る

 〜平均名目成長率を寄与度で分解したグラフからは、興味深い事実が読み取れる。アメリカとドイツは経済構造と成長の実態が合って居り、詰まりこれは両国の設備投資は有効だと云う事。その一方で日本は〜

 前回の記事では、壮大な経済政策を打ち出さ無くても、個別の問題に付いて適切に対処するだけで、日本経済は十分に成長出来ると述べた。
 個別に対処すべき課題の中でも特に影響が大きいのが企業の設備投資である。日本企業の設備投資は極めて効率が悪く、これが全体の成長に深刻な影響を及ぼして居る。設備投資の内容を精査するだけで、日本経済の状況は一変する筈だ。

 経済成長において企業の設備投資が果たす役割は大きい。定義上、工場や店舗等に対する設備投資はGDP(国内総生産)にカウントされるので、設備投資が増えれば、その分だけ国民の所得も増え経済成長に貢献する。だが個人消費とは異なり、設備投資の役割はその年のGDPを増やす事だけでは無い。
 工場や店舗と云った設備は、5年〜10年先の収益を生み出す事業基盤であり、設備投資が多ければ多い程将来のGDPも増えると云うメカニズムが働く。エコノミスト等が設備投資の動向に注意を払って居るのはこうした理由からだ。

 だが、設備投資の増加で経済が成長すると云うメカニズムが働く為には一定の条件が必要と為る。それは、時代に合った適切な設備投資が実施される事である。幾ら設備投資が成長の原動力に為ると言っても、役に立た無い設備にばかり投資して居たのでは、それは消費(浪費)と同じであり、それに見合う成果が得られ無いのは当然である。
 設備投資を原動力に経済を成長させる為には、将来、生み出す収益が大きい設備に資金を投じ、投資効率を上げる必要がある。だが困った事に、日本の場合、設備投資の中身に深刻な問題を抱えて居る。
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 上図は日米独の過去7年間における平均名目成長率(自国通貨ベース)を寄与度で分解したものである。これを見れば、リーマンショック以降、各国が何を原動力に経済を成長させて来たのかが分かるのだが、グラフは興味深い事実を示して居る。

 米国は経済成長に対する個人消費の寄与度が高く、ドイツは個人消費の割合が低い代わりに輸出と設備投資の比率が高い。米国のGDPは個人消費が7割を占めて居るので、個人消費の伸びで経済を成長させると云う図式と整合性が取れて居る。
 ドイツは個人消費の比率が低く、製造業の輸出や設備投資が経済のエンジンと為って居る国なので、経済構造と成長の実態が合って居る。





 

 投資をしても、それが成長に繋がって居ない

 処が日本は両国とは全く様子が異なる。日本の成長率がソモソモ低いと云う話は取り敢えず横に置いておくが、個人消費の寄与度が低く成長の多くを設備投資そのもので実現して居る事が分かる。
 もし、設備投資が輸出産業によるものであれば、その分だけ輸出が増える事で成長を実現し無ければ為ら無いが、日本の成長における純輸出の寄与度はホボゼロ(実際は極わずかなマイナス)である。逆に店舗や物流施設等内需向けの投資であれば、個人消費が伸びる必要があるが、グラフからも分かる様に日本の個人消費は壊滅的な状況だ。

 日本は設備投資を積極果敢に行って居るものの、その年の所得にしか為って居らず、将来の収益に繋がって居ない。詰まり日本の設備投資は有効に活用されて居ないのだ。これはマクロ的なデータなので、個別企業の様子を示したものでは無いが、具体的なケースは容易に想像出来る。最初に頭に浮かぶのはシャープの様な事例だろう。
 シャープは元々、家電を得意とする消費者向けの電機メーカーだったが、本格的に液晶デバイス事業への転換を図り、液晶関連の生産ラインを大幅に拡大した。処が、液晶の価格破壊が一気に進んだ事から、同社は巨額の設備投資負担に耐えられ無く為り、巨額赤字を連続して計上。2015年3月期には累積の損失が1兆円近くに達し経営危機に陥った。

 液晶が最早コモディティ(汎用品)と為って居り、一気に価格破壊が進む事は業界の誰もが認識して居た筈だが、何故かシャープは設備投資に邁進し、大方の予想通り、液晶事業は巨額の損失をもたらした。
 シャープが行った数兆円の設備投資は、投資したその年に限っては、購入した資材や支払った人件費等を通じて経済に貢献したかも知れないが、十分な収益を生み出して居ない為、その後の経済成長に殆ど寄与して居ない。

 シャープの例は極端にしても、こうしたムダな設備投資がアチコチで行われて居るのだとすると、設備投資全体の効率は大きく低下する。日本はまさにこうした状況にあり、これが低成長の原因と為って居るのだ。

 有能な経営者をトップに据えるしか解決方法は無い

 安倍政権は、日本企業が設備投資に対して消極的である事が成長を阻害して居るとして、企業の内部留保を問題視。これを取り崩して設備投資を増やす様何度も経済界に要請して来た。これに加えてGDPの計算方法を変更し、中間生産としてGDPにカウントして居なかった研究開発費をGDPに参入する等、設備投資を重視する姿勢を鮮明にした。

 これまで計上して居なかった費用を設備投資に算入すればその分だけ名目上のGDPは増えるのは当たり前だが、既に投資して効果が得られ無かった費目を設備投資にカウントし直した処で、個人消費や輸出が増える訳では無い。設備投資の金額が大きく為った分、個人消費や輸出の割合が低下し、投資効率と云う点では寧ろ悪化すると云う皮肉な結果と為って居る。
 状況を整理すると、日本の設備投資は深刻な問題を抱えて居り、これが全体の成長を阻害して居るのだが、根本的な問題は「額」では無く「質」に有る。そうだとすると、内部留保課税や設備投資減税と云った施策を実施して投資総額を増やしても、ムダな投資が増えるだけで長期的な成長には寄与し無い。

 経済学の世界では常識的な話だが、どの設備投資に効果があるのか、政府が事前に予見する事は不可能である。これが実現可能なのかと云う学術的な議論は可なり以前から存在して居るが、予見は不可能と云う形で決着して居る。
 ソモソモ、国会議員や公務員にその様な資質が有る為らば、彼等に企業を経営させれば半永久的な成長が実現出来る筈だが、当然、その様な事は有り得無い。寧ろ彼等は最も企業経営に向いて居ない。

 効果的な設備投資を実現する唯一の手段は、適切な市場メカニズムを通じて、有能な経営者を企業のトップに据える事である。政府に出来る事が有るとすれば、ガバナンス改革を強化し国民の経済活動を貯蓄から投資にシフトさせる事で、企業の行動原理を変化させる事だ。
 その意味では、アベノミクスの中で唯一、効果を発揮して居るとも言えるガバナンス改革に付いては、もっと強力に推し進めて行く必要があるだろう。

 結局の処、日本経済を復活させるカギと為るのは、企業経営と云う個別の課題解決であり、その原動力と為るのは、最終的には国民一人ひとりの経済行動と云う事に為る。


            加谷珪一    以上



 【関連記事】関電金品問題 世耕弘成・前経産相にも元助役関連企業から献金

            〜デイリー新潮 10/8(火) 16:59配信〜


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                世耕弘成前経産相

 福井県高浜町の助役として辣腕(らつわん)を奮(ふる)い、高浜原発のドンとして君臨して居た森山栄治氏から関西電力幹部に約3億2000万円の金品が渡って居た問題は、目下、政界にも波及して居る。
 元助役の関連企業と繋がりの有った稲田朋美元防衛相や高木毅元復興相に続き、世耕弘成前経産相の名も浮上するのだ。

 稲田元防衛相は、森山氏が筆頭株主を務めて居た警備会社から献金を受け取り、高木元復興相は警備費を支払ったと報じられて居る。そして世耕前経産相には、プラント設備の「柳田産業」(兵庫県高砂市)からの献金。それは今回の騒動とは関係の無い形で、過去に「赤旗」が報じても居る。 〈原発設備会社5幹部、世耕官房副長官側に750万円/企業献金を個人で分散か 15年4月27日〉
 
 原発再稼働を進める安倍首相の側近たる世耕前経産相の資金管理団体が、関電の受注企業である「柳田産業」から、企業献金を受けて居たのでは無いかと云うのである。同社社長を含む幹部5名が、個人献金の上限150万円ずつを献金(15年迄に総額1200万円)その日付は妙な一致をして居り、そんな偶然は有り得無いと云う話である。
 この柳田産業は、森山氏が非常勤顧問を務め、原発関連で業績が急伸した企業だ。世耕前経産相に質すと、献金した5名の幹部との面識は認めつつ「森山氏に付いては、報道で初めて名前を知りました。献金は飽く迄ポケットマネーで、個人献金として遣って頂いたと認識して居ます」と答える。


 森山氏が采配して居た原発マネー、その行く先のリストに付いて、10月9日発売の週刊新潮で報じる。

「週刊新潮」2019年10月17日号 掲載 新潮社  以上 


 





 【管理人のひとこと】

 シャープや東芝に日立等・・・世界に名を売った往年の優等生は、夫々のトップの思惑違いで大きな損失を出し企業は痩せ細ってしまった。シャープは液晶事業の読み間違い。東芝・日立は原発産業への将来性の読み違いで挽回不可能な損失を被った。
 しかし、経営陣の根本的な改革は進まず、今現在も旧来の経営思想が罷り通って居り、何等改革も進んで居ない。それを端的に表すのが今回発覚した関西電力の問題だ。

 これは、究極的には原発マネーが還流し最後には、政策を作った政治家へと戻る一種のヤミ献金ルートの開発だった。莫大な原発マネーが政府から関電へ、そして関電から原発の施設される地方へ流れ、その一部がバックマージンとして関電経営陣と政治家へ流れた訳だ。
 政府の各種原発予算(税金)関西電力工事発注・現地企業を優先関西電力
                               中央の政治家

 この手のルートを開発した政治家は高く評価されるのは当たり前で、必ず政府の重職へと駆け上る。この様な凡庸で能力の無い経営者が揃って居るのが日本の現状なのだ。日産もそうだしその他の企業も何ら変ら無い。この様な体質で生産性が向上する筈も無く、斬新なイノベーションを生み出す企業体質への転換が出来る筈も無い。
 このレポートの示す通り、旧来の社長レースを繰り返す様な企業は自然と消滅する。トップを変え、清新な企業体質を構築する処から初めて新たなものが生まれるのだろう。関電バックマネーの政治家関与の問題も、モリ・カケ問題と同じく「マアマア」で終わるなら日本の将来は無い。小泉新環境大臣も将来の総理を目指すなら今が考え時かも知れ無い。



 




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