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2019年09月10日

ギャンブル大国 日本 IRの光と影・・・NHK特集



 ギャンブル大国の日本  IRの光と影・・・NHK特集

         〜2018年3月19日 NHK特集記事〜


 




 〜海外でカジノに行った事の有る人も少無く無いと思います。筆者も、社会人3年目の夏、友人と韓国を旅行した際に「大人に為ったし、カジノに行ってみよう!」と足を運んだ事があります。しかし、そこは場末のゲームセンターの様な雰囲気で、怖気付いた私は、殆ど何もせずに帰って来てしまいました。
 今、このカジノを含む統合型のリゾート施設・IRを整備する為の法案の提出に向けた議論が進められて居ます。(当時、既に可決された)IRとは一体全体、何なのか?そして大きな議論と為って居るギャンブル依存症の実態に付いて調べると、議論すべき課題は他に有るのでは無いかと思えて来ました。IRの光と影、日本が抱える課題を報告します〜(政治部官邸クラブ 安田早織 記者)



 IRって何?

 IR・・・Integrated Resort(統合されたリゾート)の略で、カジノに加え、国際会議場やショッピングモール、レストラン、劇場等を一体的に整備した大規模リゾート施設の事です。
 世界各国で整備が進んで居て、大規模なものでは、実に東京ドームの10個分の広さに達するものもあります。IRに併設されるカジノの多くは、施設全体の数%から10%に満た無い面積に過ぎませんが、その収益が施設の運営費の大部分を賄うと言われ、政府は、カジノの収益で他の施設の採算性を担保出来るとして居ます。

 諸外国の財政施策等を調査する調査機関「自治体国際化協会」によりますと、IRが誕生したのはアメリカ・ネバダ州のラスベガスで、1966年、カジノに加えて豪華な宿泊施設やショーホール等を併設した施設が誕生し、大きな収益を上げた事から世界各地に広がって行ったと云う事です。

 世界のIR

 IRとは何かを知る為「先ずは海外のIRを現地取材したい!」と思いました。しかし、日々安倍総理大臣の動静を追い掛ける「総理番」の私に、その様な余裕は無く、許可も下りませんでした。そこでネットを駆使して諸外国のIRを調べてみました。


 ラスベガス

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 ラスベガス一帯には20以上のIRが点在して居て、その中でも世界最大級の敷地面積を誇るのが「マンダレイベイ」敷地面積はおよそ50万平方メートル。この内展示場だけで19万平方メートル有り、東京ドームのおよそ4倍の広さです。
 運営する「MGMリゾート」は、ラスベガスの9か所の他、デトロイトやアトランタ等、アメリカ国内で14のIRを運営して居て、昨年の売上高は合わせて年間83億2240万ドル。日本円に換算して8800億円余りに上っています。


 シンガポール


    9-10-23.jpg


 次に、シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」3つ並んだ57階建てホテルの屋上に、長さ300メートル、ジャンボジェット機4機が入る船の様な形の広場が設置されて居る、極めてユニークな外観の施設です。8年前の2010年に開業し、年間4500万人が訪れると云う事です。運営事業者によると去年1年間の売り上げは、31億5400万ドル。日本円に換算して3300億円余りです。

 ヨーロッパ各地にもIRは整備されて居て、フランス北西部のブルターニュ地方に在る郊外型のIRは、上の2例とは趣が異なり、大規模で国際展示場も備えるタイプでは無く、温泉や自然と海水を活用したスパで体を癒やしながらカジノも楽しめる施設だと云う事です。
 旧ポルトガル領で中国の南部に在るマカオにも30以上のIRが集積して居て、マカオ政府の発表によると、去年のマカオのカジノ全体の売り上げはおよそ2650億パタカ。日本円に換算して、およそ3兆5000億円に上ったと云う事です。


 




 何で日本にカジノ?

 日本では、カジノは法律で認められて居らず、導入に向けた議論は長く行われて居ませんでしたが、今、本格的な議論が進められて居ます。それは何故でしょうか。現在、IRの整備に向けた自民党のプロジェクトチームで座長を務める岩屋毅衆議院議員に話を聞きました。

 「日本では、小泉政権の頃から『カジノを作りたい』と云う声が地方自治体から出て居た。しかし、ギャンブルを禁止して居る刑法に風穴を開けるのはハードルが高く、政府は門前払いをして居た」

 岩屋さんによりますと、2000年代の初め頃、全国のおよそ20の自治体や団体から、小泉政権が打ち出していた構造改革特区の制度を使ってカジノを作りたいと云う声が上がって居たと云うことです。只政府の腰は重く、先ずは自民党内で「どの様な制度設計なら可能なのか考えよう」と意見が出て、党内の勉強会が立ち上がったと言います。
 そうした中、それ迄カジノを禁止して居たシンガポールで、国の財政難の打開策としてIRの整備を認められた事を切っ掛けに、2010年、当時の民主党政権時代に、与野党の有志の国会議員で構成する議員連盟が設立されたと云う事です。岩屋さんは、

 「当時は未だ観光が国の中心的政策では無かった。その後自民党が政権を奪還し、安倍政権に為って、成長戦略に『観光立国』が盛り込まれて以降、IRの実現を巡る議論が加速化した」
 
 と説明しました。その後、カジノを含むIRの整備を巡っては、推進する法案が国会に提出されるも廃案に為る等の経過を経て、2015年に自民党、当時の維新の党、それに次世代の党が共同で再提出。翌2016年12月、臨時国会の会期末を間近に控える中、自民党や日本維新の会等の賛成多数で成立。
 成立した法律では、政府に対して1年以内を目途に、カジノ事業者に対する規制やギャンブル依存症対策等、IRを整備する為の具体的な措置を盛り込んだ法整備を行う様規定して居て、これを受けて現在、政府与党内の議論が進められて居ます。


 




 IRの光と影

 IRを導入するメリットとデメリットはどう言った点にあるのでしょうか。先ずメリットとして挙げられるのは、主に経済波及効果と地方の振興です。大和総研は、北海道、横浜、大阪の3か所にIRが整備された場合、その経済波及効果は施設建設でおよそ5.1兆円、運営で年間およそ2兆円に上ると試算して居ます。
 与党内では、IRを都市部だけでは無く地方都市にも整備し、地域の特性を生かした施設を作る事で地方創生に繋がるとの意見が出て居て、実際に国内では北海道、和歌山、それに長崎等がIRの誘致に乗り出して居ます。

 メリットに注目して、ラスベガスに本社を置くホテルチェーンのシーザーズエンターテインメントは、既に日本でのビジネスモデルを具体的に構想して居ます。写真は、シーザーズエンターテインメントが日本にIRを都市部と地方都市に作った場合のイメージを描いた図です。


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 都市部の場合は東京・お台場に作り、家族でも楽しめる施設にする事を描いて居ます。地方都市の場合は北海道・苫小牧市に整備する事をイメージし、広大の自然を生かした施設を描いて居ます。


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 シーザーズのマーク・フリッソーラ最高経営責任者は取材に対して「日本はエンターテインメントやホスピタリティ等の分野に於いて世界有数の旅行先に為る素晴らしい可能性を秘めて居て、日本でのIR開発はこれ迄に無い素晴らしい事業機会だ。日本には、既に様々なエンターテインメントがあるがIRはそれを補完、強化するものに為る」と述べました。

 デメリットとしては、カジノの設置で暴力団等反社会的勢力との結び着きが生まれるのでは無いか、ギャンブル依存症患者が増加してしまうのでは無いかと云った懸念があります。カジノでは莫大な掛け金が動くだけに、収益が反社会的勢力の資金源に為ったり、犯罪で得た資金を合法的なものに見せ掛けるマネーロンダリングに利用されたりする恐れが付き纏います。

 ギャンブル依存症を巡っては、2011年、大王製紙の井川意高・元会長がグループ企業から巨額の資金を引き出し、海外のカジノで使ったとして特別背任の罪に問われ、懲役4年の実刑判決を受けた事件で世間を騒がせました。
 井川元会長は懺悔(ざんげ)録として出版した著書「熔ける」の中で、借金が4億円を超えてもカジノを辞められず、奇跡的に勝ちが出ると更に続けてしまい、結局又借金をする。「地上と天空を乱高下して居る様な高揚感に身を浸して居た」と記述して居ます。


 




 IRを巡る賛否

 整備推進法の成立を受け、政府は、今の国会への法案の提出を目指し、先月、自民・公明両党に対し、法案の取りマトメに向けた案を示しました。
 この中では、入場料を2000円とし、入場回数の上限を1週間で3回、4週間で10回等として居ます。又IRに占めるカジノの面積に付いて、上限を1万5000平方メートルにすると共に、施設全体の面積の3%を超え無い様にするとして居ます。全国で整備するIRの数に付いては、政治判断だとして、政府としての考え方は示されて居ません。
 これに付いて、自民党内からは「来場者を増やす為にも入場料が不要ではないか」と云う意見の他、地方創生に向けて整備するIRの数を増やす様求める意見が出て居ます。

 一方、公明党からは、ギャンブル依存症等への懸念から、入場料を更に高くする様求める意見の他、IRに占めるカジノの面積を更に小さくする様にすべきだと云った指摘も出て居て、与党内でもIRへのスタンスの違いが明確に為って居ます。
 この為自民・公明両党は、先週、作業チームを設置して、規制の在り方を巡る協議を始めました。これに対して、立憲民主党や共産党等は「依存症の増加や治安の悪化が懸念され、IRの整備は百害あって一理無し」等と批判して居ます。

 岩屋さんは「シンガポールでは、カジノを認める際にギャンブル依存症の対策も同時に強化して依存症患者を減らしたと云う実績もある。IRの法案自体にギャンブル依存症対策に当たる政策も盛り込む事に為って居り、十分議論しながら成立を目指したい」と話して居ました。

 ギャンブル大国、日本!

 「日本は既にギャンブル大国だ」と云う指摘があります。日本には、自治体等が運営する競馬や競輪、競艇、それにオートレースと云った公営ギャンブル場があり、収益は自治体の予算にも組み込まれて居ます。
しかし、理由は公営ギャンブルではありません。お判りの方も多いかとは思いますが、その理由はパチンコ、パチスロです。パチンコ、パチスロは、風俗営業適正化法で遊技と位置付けられ、刑法の賭博罪の対象からも除外されて居ます。
 一方、世界各国のギャンブル用の電子ゲーム機の台数等を調査している、オーストラリアのゲーム機械協会は、アメリカ等の「スロットマシン」イギリスの「フルーツ・マシン」オーストラリアの「ポキー・マシン」等と並んで、日本のパチンコやパチスロもギャンブル用の電子ゲーム機と位置づけて居ます。


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 この協会の最新の調査結果(2016年)では、日本には、ギャンブル用の電子ゲーム機はおよそ460万台あるとされて居ます。次いで多いのはアメリカでおよそ87万台、3位がイタリアでおよそ46万台。日本は2位のアメリカの5倍余りで群を抜いて居て、調査開始の2002年以来、トップの座を占めて居ます。

 日本のギャンブル依存症は?

 日本のギャンブル依存症の状況も楽観視出来ません。厚生労働省が、平成29年度に全国の男女1万人を対象に行った調査では、日本でこれ迄にギャンブル依存症が疑われる状態に為った事がある人は、成人の3.6%に当たるおよそ320万人居ると推定されて居ます。
 同じ指標で行われた海外の調査と比べると、最も高かったのがオランダで1.9%、次がフランスの1.2%でした。調査によって数値も大きく変わる事もあると云う事で、このデータで、日本には依存症患者が他の国と比べて多いとは言い切れませんが、他の国と同様に依存症に苦しむ患者が日本にも多数居るのは間違いありません。

 競艇で依存症と為り、祖父と父もパチンコで依存症と為った田中紀子さんに話を聞きました。田中さんは、NPO法人「ギャンブル依存症を考える会」の代表を務めて居ます。

 「パチンコ等がこれ程街に溢れて居る国は他に無い。なのに依存症に付いての理解は低く、対策も置き去りに為って来たのが日本の現状だ」

 田中さんは、依存症患者の数が海外に比べて日本は多いと観られる事に付いて「海外では、カジノを運営する事業者の売り上げの何割かを依存症対策に充てる事が義務づけられて居て、事業者と行政が連携した対策が進んで居る。日本は、『依存症は自己責任だ』と言われる傾向が在った。私達当事者は、対策が必要だと云う声すら上げられ無かった」と述べました。
 そして、カジノの整備の議論の前に、当事者やその家族の声も取り入れながら、パチンコや公営ギャンブルも含めた総合的な依存症対策を議論して貰いたいと訴えて居ました。


 




 ギャンブル対策の必要性

 政府は、自民・公明両党の意見も踏まえて、今後、IRを整備する為の法案を策定し、今の国会に提出することを目指して居ます。只IRを巡っては、自民・公明両党の間でも温度差がある他、野党には根強い反対論があり、法案が今の国会で成立するかどうかは今の段階では見通せません。
 一方、IRを整備するかどうかに関わらず、日本にもギャンブル依存症に苦しむ患者が多数居ます。又国内には、国際的にはギャンブル用の電子ゲーム機と認識されて居る、パチンコやパチスロが、世界的にも例を見無い程数多くあります。IRの整備に向けた議論を切っ掛けに、ギャンブル依存症対策の重要性も認識され、与野党双方が依存症対策の法案を国会に提出して居ます。

 IRの整備を巡っては、国会で与野党の激しい論戦が行われる事が予想されますが、依存症対策の重要性は与野党双方で共有されて居ます。世界屈指とも指摘される、ギャンブル大国の日本。実情を踏まえた抜本的な対策が求められて居る様に思います。



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 #IR  政治部記者安田 早織平成23年入局。富山局、名古屋局を経て政治部へ。現在、総理番。休日の楽しみはホットヨガで汗を描く事。

                  以上


 




 【管理人のひとこと】


 NHKらしく通り一遍のレポートです。決して政府に逆らわず、かと言って一応の現場観は踏まえつつ全体を素通りする遣り方が徹底して居る。観て居る方がイライラして来るのですが、これが公共放送・・・国民が求めて居る報道なのかは皆さんが判断する事。
 本当は「特集」と言うのなら、週刊誌的なモット掘り下げた取材が必要なのです。何故、政府や地方公共団体がIRに着目したのか・・・建設費や誘致への利権に繋がら無いのか、果たして莫大な投資をしてその施設の維持費や運営費をペイ出来るのか・・・地方財政に寄与出来るのかが目的なのですが・・・問題は色々あるのです。
 東京オリンピック後の日本の経済失速が既に始まって居ます。米中の経済戦争・日韓の紛争・世界的経済停滞・・・と、政府としては、その経済浮揚策としてIRや大阪万博に期待して居る様ですが・・・



 





パチンコで経験済 「日本にカジノ」の危険度は如何程(いかほど)か?




 パチンコで経験済 「日本にカジノ」の危険度は如何程(いかほど)か?


          〜幻冬舎ゴールドオンライン 9/10(火) 10:00配信〜



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 〜長らく「誘致検討は白紙」とのスタンスを取って来た神奈川県横浜市の林文子市長が、8月22日、カジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」の誘致を正式に表明した。2年前の市長選での公約に、カジノ誘致に関して「市民の意見を踏まえた上で方向性を決定する」として再選した経緯があり、支持者を中心に、それ等を反故にしたかに見えるこの表明に対し反発が起きて居る〜



 「統合型リゾート施設(IR)」誘致のメリット

 横浜のカジノ誘致に関しては、約7割の市民が反対して居るとされ、今後2022年前後とされる候補地の正式決定迄様々な議論が巻き起こる事は予想されて居た事。今回の「統合型リゾート施設(IR)」の誘致への正式に表明に関しては、政治的な思惑も絡み(綱引き)大きく取り上げられた経緯もある。
 2018年にIR実施法が成立した後、議論がより活発化・具体化して居る統合型リゾート施設(IR)誘致であるが、そのメリットとして挙げられて居るのが以下の5つである。

 1  外国人観光客増加による経済効果
 2  インフラ整備による地域の活性化
 3  地域雇用の創出
 4  税収アップによる財政健全化
 5  自治体サービスの向上



 




 今後、少子高齢化を迎える中で、国内の経済市場の需要縮小を見据え、現在のインバウンド景気の様に、この「統合型リゾート施設(IR)」誘致を沢山の外国人観光客を呼び込む為の起爆剤として、経済効果を考えた場合のメリットは多いとされて居る。
 特に、2の様に、誘致が決まれば、それに伴う交通網等のインフラ整備が必要と為り、特に建設関連の需要等が拡がる。更に、無事施設の稼働(営業)に漕ぎ着ける事が出来れば、今度は飲食店・周辺器機・警備会社等、各納入企業が参入し当然雇用の新たな創出は期待される。

 ソモソモ統合型リゾート(IR)と云うのは、議論されて居る様なカジノ施設は極一部(IR施設の延床面積の3%以下に制限)で、国際会議場や国際展示場等のMICE(マイス)施設・ショッピングモール・ホテルやレストランやスパ・体育施設・大劇場や映画館・アミューズメントパーク等を一カ所に集めた大規模施設の事を指して居る。「ギャンブル」と云う要素はその一部にしか過ぎ無いと云うのが、推進派の見解のひとつでもある。

 良い事尽くめで有る様に思える一方、想定され得る主なデメリットとして挙げられ、議論されて居るのが以下の3つである。

 A  ギャンブル依存症の増加
 B  治安の悪化
 C  マネーロンダリングの可能性


 統合型リゾートとされて居るにも関わらず、矢張り議論の的は「カジノ」部分に特化されて居る。Cに関しては、テロ組織や麻薬組織が違法な手口に依って手に入れた金がマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される可能性があるのではと云うのがその懸念。これに関しては、可能性を含めて日本では初体験と為る事項、対策に関しては更なる慎重な論議が必要と為る。
 しかし、A、Bに関しては、競馬や競輪と云った公営ギャンブル、そしてパチンコ・パチスロと云った「ギャンブル」では経験済(?)で、反対の立場を執る人々の最重要な懸念材料と為って居る。


 




 パチンコの遊技人口は1994年をピークに減少して居る

 過つて社会問題とも為った「パチンコ依存症」を例に取り上げて観よう。その射幸性の高さ故、サラリーマンから主婦迄が取り着かれた様にパチンコ・パチスロを打つ時代があった。1994〜2007年位に掛けては、町中に有るパチンコ店に於いて、一回で10万〜20万円、全盛期(?)には50万円〜100万円が勝つ可能性があったからだ。

 「今考えると凄い時代でしたよね。町の至る所に「鉄火場」が在ったんですから。連チャン機と呼ばれるパチンコから、これまた4号機と呼ばれるパチスロの爆裂機迄。今のパチンコ・パチスロ機とは比較に為ら無い位ギャンブルが高かった。
 一回でも当たりループに入れば自分の給料分かそれ以上、余裕で勝つ可能性がありましたから。ソリャ朝から仕事サボってパチンコ屋の前に並ぶのが普通です(笑)。当時は(並んで居る順番を無視して)場所を取った取ら無いでイザコザが常に起きる程殺気立って居ました。外回りの営業マンとかで道を踏み外した人間を何人も見て来ましたよ」(パチンコライターK氏)


 この射幸性の高さ故、当然所謂「依存症」に陥るプレイヤーは後を絶他無かった。消費者金融への多重債務者の問題(自己破産等)やパチンコ店の駐車場の車内で置き去りにされた子供が死亡した事故等の報道も目立って増えて来たのもこの頃である。

  「事態を重く見た上から(警察庁)の指導により、業界では遊技機の規則改正が行われました。更には総量規制により消費者金融の貸し出しに制限が掛かり、これにより、例えば夫に内緒で借金をして迄打って居た主婦も、お金を借りる事が出来無く為りました。これ等違う業界で在りながら、一連の動きは同時に起こりました。射幸性を抑える事により競技人口は一気に減って行った印象です」(同)

 パチンコの遊技人口は1994年の2930万人をピークに減少して居り、2013年には1000万人台を割り込み970万人、2017年は900万人に迄減少して居る(「レジャー白書2018」)。当然利用者の減少に伴い、パチンコ業界では不振が続き、2018年1月から10月に掛けてのパチンコホールの倒産は23件と為って居る(帝国データバンク)。因みに自己破産の件数も、2003年の約24万2000件から7万件と激減して居るのが現状だ。
 更に、この3月に発表されたパチンコに関する調査結果に依れば、現在パチンコをして居る人は全体(1万436件の回答中)7.7%と減少傾向にあり、遣った事が無いと答えた人は46.7%と年々増加して居ると云う(マイボスコム)。時代は変わり、「お金」と「時間」を使う先の選択肢が増えた結果であろうか。

 只、過激なギャンブル性が抑えられ、遊戯人口は減ったとは言え、例えば「生涯に於いて、ギャンブル等依存症が疑われる者」の割合は国内全体の3.6%(推計320万人)であるとされて居る。カジノ施設があるアメリカ、イタリア、フランス、ドイツで夫々1.9%、0.4 %、1.2%、0.2%と為って居り、日本の数値はマダマダ高い。(日本医療研究開発機構2017)
 これはどう云う事か言えば、パチンコ・パチスロのその気軽さ、ハードルの低さであろう。その殆どが駅前や郊外の国道沿い等の生活エリア内に設置されて居り、コンビニ感覚で寄る事が出来る「遊技場」と云う、極めて日本独自の感覚である。

 一方、先の統合型リゾート施設(IR)で言えば、全国の内「最大3カ所」に誘致、資金は原則的に「外国資本」主なターゲットは「外国人旅行者」と規定されて居る。勿論エリア外の住民は様々な交通手段でその施設へ向かう必要がある。又、ギャンブル依存症対策として、日本人は入場料6000円で1週間3回、月10回の回数制限有りと云う条件を設けて居る。短パンにサンダルで気軽に行ける場所では無いのだ。
 ソモソモ両者の狙って居るターゲットが大きく異なって居る故、前述の「過激なギャンブル性」でも無い限り、これだけのハードルを掻い潜って「ギャンブル依存症だらけ」に為るのかどうかは、もう少し冷静な議論の余地があるのでは無いだろうか。ソモソモ「遊戯機」として規定されて居るパチンコ・パチスロと、カジノを同じ「ギャンブル」として並べて議論するのはナンセンスと云う意見もある。


 




 前述した様に統合型リゾートの魅力はカジノ施設だけでは当然無い。例えばIRの元祖とも言えるアメリカのラスベガスでは、1990年代から家族で楽しめるファミリーリゾートへと変貌して居る。著名なミュージシャンやマジシャンのショーや、スーパースター同士のボクシングの世界タイトルマッチ等も連日行われる様に為り、そのイメージを変えた。
 シンガポールのマリーナベイ・サンズもその豪華な建物で、一躍中心部の象徴と為った。勿論リスクも充分に想定した上で、日本の「新たな名所」実現に向け、より建設的な議論が活発化する事を期待したい。


             GGO編集部 以上


  次は・・・ギャンブル大国の日本  IRの光と影・・・NHK特集



 



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古谷経衡さんが憂う有権者の劣化  日本の知性の底が抜けた


 

 注目の人  直撃インタビュー

 古谷経衡さんが憂う有権者の劣化  日本の知性の底が抜けた

     〜日刊現代デジタル 公開日 2019/08/26 06:00 更新日:2019/08/26 09:13〜


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                古谷経衡さん

 〜先月の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のワンイシューを掲げる「NHKから国民を守る党」(N国)が1議席獲得した理由を「日本人の知性の劣化」と喝破するのが、元「ネット右翼」で文筆家の古谷経衡さん(36歳)だ。自らがネトウヨから離れたワケ、そして今の時代に「極論」が支持される背景等に着いて歯に衣着せぬ言葉で鋭く語った〜


 




 「面白いから好いジャン」で投票する《政治的非常識層》が増えた
 
 ・・・参院選の一番の驚きは、N国が98万票を獲得し1議席獲得した事でした。

 N国が98万票取った時、同党首の立花孝志さんの知名度からして、数が合わ無いと直感的に思いました。10年近く前から立花さんを知って居ますが、今はユーチューバーを遣られて居ますね。コアなファンが5万人、最大で10万人居たら好い方でしょうが、約100万票も取って居る訳ですよ。

 ・・・その現状をどう分析して居ますか。

 朝日新聞の出口調査に依ると、N国に票を入れた人の内安倍政権下での憲法改正に「賛成」が54%「反対」が44%でした。ネット右翼、所謂ネトウヨは安倍政権下での憲法改正に反対とは絶対に言いません。と云う事は、N国に票を入れた人のホボ半分は、ネトウヨでも無ければ保守でも無い。
 NHKに不満のある人も居るでしょうが、それでも数が合わ無い。残りは、N国の政見放送がユーチューブに流れて「何これ。面白いね」って思って投票しただけのユーチューバー層なんですよ。

 ・・・ネット動画が投票行動に影響して居ると。

 立花さんは政見放送で「路上カーセックス」を連呼して居ましたが、政治的常識の有る人は、そう云う政見放送を見ても笑って受け流して他の政党に入れる。処が「面白いから好いジャん」と云う動機で投票する政治的非常識の有権者がココ3・4年で増えたんですよ。この国の知性の底が抜けてしまった印象です。

 ・・・国会議員の中にも政治的非常識の人が見受けられます。
 
 戦争遣っても好いんだとか、人権ナンて要ら無いんだとか、そう云う事を言う議員が居ますが、20年前だったら即刻アウトでした。北方領土へのビザ無し交流の時に「戦争発言」をした丸山穂高衆院議員に付いては、憲政史上初めて糾弾決議が出ましたが、未だに議員の座に居座って居る訳ですよね。
 国会議員には憲法順守義務があるにも関わらず、明らかに平和憲法の理念を踏み躙(にじ)って居る。「有権者の劣化=政治家の劣化」ですね。ドチラか一方が劣化したのでは無く両方劣化して居ます。

 ・・・原因は何でしょうか。

 新聞や雑誌、本も読まずに、ネット動画ばかり見て居るからでしょう。今の若者は漫画も読ま無い。「コマをどう追うのか分から無いから読め無い」と言うらしいです。ジャあ何を遣って居るかと云うと、ユーチューブ。精々長くて数十分の動画を見て、世の中の事が分かった気に為って居る。
 映画でもアニメでもドンドン短く為ってますね。この間TSUTAYAに行ったら、90分以下で見られる映画コーナーが在ってビックリしました。長時間座って何かを見ると云う集中力が無く為って居るのです。

 ・・・ネット右翼、所謂ネトウヨは「ネットが真実」だと思って居ます。

 インターネットが不自由だった時代を知ら無いからです。今の30歳過ぎから40代後半は、インターネットがナローバンドで画像1枚を読み込むのも大変だった事を知って居ます。動画を見る何て飛んでも無い事でした。当時出て来たネット掲示板「2ちゃんねる」は、書いて有る事の99%がウソ・0.5%が中立・0.5%が本当だと分かった上で楽しむのが当たり前でした。
 処が、今のネトウヨの主流である50代・60代ってそう云う経験をして居無いですよね。子供や孫が家に光ファイバーを導入した事で、超高画質の動画の世界が広がって居る事を行き成り知って「大新聞が伝え無い真実」為るものが広がって居るんだと勘違いしちゃうのです。

 ・・・ネット上には中国や韓国に対するヘイトが溢れて居ます。

 昔は、ネット上で他人を誹謗中傷したら、直ぐプロバイダーに通報されて退会処分でした。インターネット規制が現在議論されて居ますが、1990年代のインターネット黎明期、ナローバンド時代の方が規制は厳しかった。今の30代・40代の前後の世代、詰まり10代・20代の若者と50代以上のネットリテラシーが低く為って居ます。タチが悪いのは、ネットリテラシーが低いのに「右」に引き込まれる高齢者。飛んでも無い差別発言も普通に言いますからね。


 




 職能団体の弱体化と高速インターネットが「極論」を放出
 
 ・・・古谷さん自身は、どうしてネトウヨから離れたのでしょう。
 僕は基本的にタカ派でミリオタ(軍事オタク)なんです。所謂反米右翼です。2000年代後半にネトウヨ界の中心と為って居たメディアに出演する様に為ったのですが、自称保守の人達は何も勉強して居なかった事が分かって幻滅しました。
 只、韓国と中国に対する差別的な発言を繰り返して居るだけ。保守を唄って居るので、保守思想の父として知られるエドマンド・バークや保守派の文化人である福田恆存や小林秀雄をチヤんと読んで居る人ばかりだと思ったら何にも読んで居無い。僕は保守向けに本を書いて居たのですが「朝鮮人は・・・」を連呼して居る人達に向けて書くのがバカバカしいと思ったのです。

 ・・・「NHKをぶっ壊す!」や丸山議員の「戦争発言」等、極論が一部の有権者から熱狂的に支持されて居ます。

 背景に在るのは、職能団体の弱体化だと考えて居ます。過つて日本の政治は、職能単位で支持政党が決まって居ました。例えば、労働組合に属して居る正社員は社会党、医師会は自民党、繊維系労組は民社党、民主商工会は共産党、創価学会は公明党と云う風に。
 こうした職能団体は所属する有権者の意見を集約して政党に上げると同時に、極端な意見を排除する役割を担(にな)って居た。有権者と政党の間の緩衝材として機能して居たので、極論が存在しても世の中に出る事が無かったのです。
 処が、非正規雇用が労働者の4割を占める迄に為り、職能の力が落ちた事で極論を止める中間的存在の力が無く為った。そこにインターネットと云う拡散器がプラスされたので、ドンドン極論が世の中に出て来る様に為ったのです。

 ・・・有権者が極論を支持すると、国会議員も極論に走ってしまうと云う危機感があります。

 或る自民党議員は、極論を言う議員は比例区から出て来ると言って居ました。面白いのは、小選挙区から出馬すると、極端なネトウヨ議員がドンドン真面に為って行くと言って居た事です。小選挙区の有権者は精々20万〜50万人。狭いエリアを相手にするから、余り極端な事を言うと有権者が引いてしまう。
 結局、極端な事を言う人は、左も右も全人口の数%しか居無い訳で、その数%が全国区や比例ブロックだと1議席に為る。所謂、ドブ板選挙をする小選挙区では極論が通用し無いから、脱ネトウヨ化して行くと云うのです。

 ・・・選ぶ方も賢く為ら無いといけませんね。
 
 憲法の理念である基本的人権や平和主義、民主主義を守りましょうと言うと「パヨク」と言われてしまう世の中です。重度障害の有る「れいわ新選組」の舩後靖彦参院議員と木村英子参院議員の介助費用を参院が負担する事が問題と為りましたが、正当な選挙を通じて選ばれた代表者に必要な費用を議会が負担するのは当たり前です。
 基本的人権を尊重する事と同じで、議論の余地すらありません。歴史が教えて呉れて居る様に、当たり前の事だからと沈黙するのでは無くて、当たり前の事だからコソ何度も言わ無いといけ無いと思います。


 (聞き手 高月太樹 日刊ゲンダイ)

 ▽ふるや・つねひら
 1982年札幌市生まれ。立命館大文学部史学科卒業後、ライター・編集者として雑誌の出版に関わる。日本ペンクラブ正会員。「女政治家の通信簿」(小学館)「日本を蝕む『極論』の正体」(新潮社)「『意識高い系』の研究」(文藝春秋)など著書多数。
   
                 以上


 


 

 【関連報道】重用するテレビの不見識 武藤正敏・元駐韓大使は元徴用工訴訟の利害当事者


         〜日刊ゲンダイDIGITAL 9/10(火) 9:26配信〜



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       2012年迄2年間 駐韓大使を務めた武藤正敏氏(C)共同通信社


 相変わらずテレビは韓国叩き一色だ。そうした中、新聞労連が6日〈「嫌韓」煽り報道は辞め様〉と題する声明を発表。情報番組「ゴゴスマ」(TBS系)で放送された中部大教授の武田邦彦氏の「日本男子も韓国女性が入って来たら暴行しないとイカン」との発言や、週刊ポストの特集記事「韓国ナンて要ら無い」を例示し〈国籍や民族等の属性を一括りにして「病気」や「犯罪者」と云ったレッテルを貼る差別主義者に手を貸すのはもう辞め様〉等と訴えた。

 真面な声が上がる一方、嫌韓感情を煽り続けて居るのが元駐韓大使の武藤正敏氏だ。「元大使」の肩書でテレビに引っ張りダコなのだが、日韓対立の大きな火種と為った元徴用工判決の被告企業との関係は全く言及去れない。武藤氏は外務省を退職後の2013〜2017年、三菱重工業の顧問を務めて居たのだ。


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               高千穂大教授・五野井郁夫氏


 「武藤氏は元徴用工訴訟の利害当事者です。にも関わらず、テレビは経歴を紹介せずに専門家として呼び、反韓丸出しの偏った意見を垂れ流して居る。視聴者をミスリードさせ兼ねません。三菱重工はリスクマネジメントの一環で大使経験の有る武藤氏を顧問に迎え入れたのでしょうが、成果は上がら無かった。
 武藤氏は己の失敗を韓国に押し付ける為、蔑視発言を繰り返して居る印象すら有る。下品な言葉遣い、断定的な口調で悪(あ)し様(ざま)に隣国を罵(あなど)る様子は見るに堪えません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)


 「韓国の人は感情が高ブッた時に何をするか分から無い」「普通は事実を積み重ねて歴史とするが、韓国では理想的な歴史に合わせて事実を作って行く」と云った具合で、武藤氏の発言はヘイトそのものだ。
 識者の反発も広がって居る。文筆家の古谷経衡氏は、武藤氏の著書「韓国人に生まれなくてよかった」に触れ〈タイトルからしてモロ差別本〉〈元駐韓大使の武藤正敏が地上波に出る度に局のPは、この醜悪な本の存在を知って居るのか?と疑って居る〉等とツイートして居る。

 テレビは武藤氏と元徴用工訴訟の被告企業との深い関係やバッググラウンドを伝えるべきだ。


                 以上


 



 







 

日韓関係の険悪化は中国にもマイナス




 日韓関係の険悪化は中国にもマイナス


           〜日経ビジネス 9/9(月) 18:00配信〜


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   韓国と日米との不和は、中国に取って良い事ばかりでは無い(写真:新華社/アフロ)


 




 日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は日韓、延(ひ)いては日米韓の軍事協力を象徴する協定だ。安全保障上、この協定の持つ象徴的な意味は実体以上に遥かに大きい。国家の最重要課題は自国の安全と繁栄の確保にある。GSOMIAは、何よりも安全保障の観点からその可否が導き出されるべき性質の問題なのだ。北東アジアの安全保障環境をどう認識し、それにどう対処するかと云うのが可否を判断する基本だ。
 処が、韓国に於いてこの問題は簡単に日本問題、即ち歴史問題の中に放り込まれて仕舞い、感情の渦巻く内政問題と為ってしまう。日韓がこの協定を巡る交渉を始めて以来常にそうだった。今回も内政問題化し、結局政治的に利用された。安全保障の視点が消えてしまうのだ。

 軍事安全保障の世界は、先ず脅威認識が有り、それに対処する戦略が有り、戦略を実現する戦術が有る。常時見直す必要は有るが、この全ての根本である脅威認識は簡単には変わらず、戦略も戦術も基本的には安定して居る。
 この視点から眺めれば、GSOMIAを破棄する安全保障上の理由は無い。北朝鮮の脅威は寧ろ増大して居る。北朝鮮の核兵器にどう対処するかと云う挑戦はより一層深刻と為って居る。中国が軍拡路線を続ける限り、米国を含む近隣諸国に対する脅威と圧力は増大する。日本も韓国も単独でこの脅威の増大に対処する術は無い。日米韓3国の安全保障体制は必要であり不可欠なのだ。

 韓国の不幸は、安全保障の持つ重要性に関する国内コンセンサスが無い点に有る。大統領が代わり、政権党が代わる毎にそこが動揺する。日米韓3国の軍事協力体制を強化する事が韓国の絶対的国益だと云うコンセンサスが出来無ければ、韓国は結局、自国の安全保障を危うくしてしまう間違いを犯す。
 より多くの国民がこの事を認識し、政権交代が安全保障政策の動揺を齎(もたら)さ無い様に為る事を願う。ポピュリスト政治に対する最善の対抗策は、国民が確りする事なのだ。

 韓国によるGSOMIA破棄は、中国を喜ばせるだけとの見方が広まって居る。だが中国に取って、韓国のGSOMIA破棄が作り出した状況は決してプラスだけでは無い。マイナスも有る。複雑なのだ。
 軍事安全保障の観点から観れば、米国のミサイル防衛の重要な一角を担うTHAADミサイル(地上配備型ミサイル迎撃システム)の韓国配備の方が影響は遥かに大きい。中国の対米ミサイル攻撃能力に直接大きな影響を与えるからだ。だから中国は韓国に対し尋常為らざる圧力を掛けた。

 しかし中国は、日韓GSOMIAに象徴される日米韓の軍事協力の強化が、中国とロシアを押さえ込む米国の大きな戦略の一部だと見為して居る。これが破綻する事は中国に対する圧力がそれだけ低下する事を意味し、中国に取ってプラスと為る。


 




 日中韓で平和と経済発展を進める

 しかし物事は、そう簡単では無い。地域の安定化及び経済発展の視点から観れば、中国に取り日韓の関係悪化はマイナスだ。2016年以来、THAADミサイル配備を巡り中韓関係は悪化した。12年以来の日中関係の悪化は、中国にも大きな代償を払わせた。米中も地政学的・イデオロギー的対立関係に入り、17年にトランプ政権が誕生し摩擦は増大した。
 米中対立が構造的なものであり長期間続く事がハッキリして来るに連れて、安定した日中延いては日中韓の協力関係が必要に為って来た。これが実現する事で、平和と経済発展への扉を東アジアが自力で開く事が出来、米国の圧力に対する抵抗力が増すからだ。

 GSOMIAは軍事安全保障の話だが、それが日韓関係全体を更に悪化させ、日中韓3国の協力体制を弱めてしまう事は中国の対外政策に取りマイナスなのだ。8月末に韓国・仁川に於いて日中韓観光大臣会合が予定通り開催された背景に、中国側の強い意向があった事を感じる。

 米軍の韓国残留は、中国に「現状」を保証する

 米国と日韓との同盟関係及び米軍の存在がある種の重しとして機能して居り、中国に取って地域の安定要因に為って居る側面もある。韓国と日米との安全保障関係の軋(きし)みは、北朝鮮の動きと連動して北東アジアの不安定化要因に為り得る。その穴を埋める準備は、中国には未だ出来て居ない。現時点に於いては、事態が悪化し過ぎて地域が不安定化するのも困るのだ。その一つが北朝鮮問題だ。

 ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮に対する軍事圧力を強めた後、最後は金正恩(キム・ジョンウン)委員長との直接会談を実現した事で大きな動きが作り出され事態は流動化した。これ迄は米韓と北朝鮮の対立関係を基軸として、中ロが北朝鮮を支え日本が米韓を支援する構図であった。
 それが米朝の、それも首脳同士の直接対話が実現する事に頼、米朝関係が基軸と為り、その他の国々はそれに付随する関係と為った。米朝が直接対話する事で、可なりの事を決められる様に為ったのだ。

 それ迄、中朝関係は相当悪化し緊張して居た。その中での米朝直接対話の出現である。中国は、このプロセスから疎外される事を恐れ北朝鮮に強い圧力を掛け、プロセスから除外出来無くした。しかし北朝鮮に対する中国の不信は根強い。
 北朝鮮は自国の体制と国家の存続に全てを懸けて居る。しかも核兵器をホボ手中にした。勿論その全面廃棄の為の国際的努力は続くが、成功し無い可能性は常に有る。核を持った北朝鮮は中国の言う事を益々聞か無く為るだろう。

 北朝鮮の核の脅威を最も受けるのが中国だ。これ迄の単純な朝鮮半島の構図が複雑化し、米軍の撤退が中国に取り自動的に有利に為ると云う話では無く為った。米軍が韓国に残る事は、或る意味で現状の継続を保証する事にも為るのだ。
 この様にGSOMIAと中国の関係は複雑だ。しかも事態は日々動いて居る。その中でどう云う手を打つ事がトータルな自国の利益に最も合致するのかを考え、対策を考えるのが外交だ。そう云う外交が韓国から消えた。或は元々無かったのかも知れ無い。


           宮本 雄二    以上



 

 



 【管理人のひとこと】


 一度読んだ程度ではスッキリとしない内容のレポートである。確かに、中国の立場としては、どの様な変化でも直ぐに影響を受ける隣国の存在なのである。だから、日韓・韓朝に日朝、それに更に米中を含めると複雑で込み入った一筋縄では行かぬ状況なのは、何時の時代でも同じでは無かろうか。
 全てが利害と対立の関係にあり、米国⇔中国⇔韓国⇔日本⇔朝鮮⇔米国⇔韓国⇔朝鮮⇔米国・・・グルグル廻って、互いが自国の最善の道を歩むしか無いのが国際関係なのである。だから、このレポートが言わんとする、韓国の「GSOMIA」破棄に依る日本・韓国・アメリカの安全保障の弱体化が、中国に取ってもマイナスだと断定する根拠には弱いのでは無かろうか。



 




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戦後の日韓外交はカネありき これが後に大きな禍根を残した




 戦後の日韓外交はカネありき これが後に大きな禍根を残した


          〜NEWS ポストセブン 9/9(月) 7:00配信〜



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 日韓外相会談の冒頭、握手を交わす韓昇洲韓国外相(左)と河野洋平外相(写真・共同通信)


 




 54年前の1965年に日韓基本条約が締結されてからの数十年間、日本と韓国は現在とは見違える程の友好に満ちて居た。当時は慰安婦問題や首相の靖国神社参拝が紛争化する事は無く、日本からの経済協力で日本企業が韓国に進出し、韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げた。
 その後も両国の経済関係は蜜月が続き、親善窓口と為る日韓協力委員会や日韓議員連盟には与野党の国会議員が挙って参加した。日本では「親韓派」が、韓国では「親日派」の政治家が政権中枢に居た。そしてメディアも又、その友好を伝え続けた。
 だが、そうした時代から、現在の安倍晋三・首相や文在寅・大統領等「反韓」や「反日」を露わにする為政者登場の種は植え付けられて居た。
            
 日韓外交の在り方を考える材料として、戦後、日本と韓国夫々の政治家が外交の場でどう振る舞い、現在の日韓関係の混迷に至ったのかを辿った。浮かび上がって来たのは、両国の歴代の主要政治家達に依る「その場限りの利権や贖罪の為の友好」と云う「善隣外交(隣国との友好を深める為の外交政策)」とは似て非なる成り立ちだった事である。日韓の国交が始まってから54年。その間に「カネ」と「利権」の構図が現在まで繋がる形と為って居る。


 




 ◆「祖父と大叔父が深く関与」


     9-10-7.jpg 岸信介元首相


 現在の韓国に強硬姿勢を続ける安倍晋三首相と河野太郎外相だが、歴史を遡(さかのぼ)れば戦後の日韓の国交樹立は、彼等の祖父の功績だった。「昭和の妖怪」の異名を取る岸信介元首相と「竹島密約」の当事者とされる河野一郎元副総理である。
 戦後の日韓国交交渉(予備会談)は、朝鮮戦争最中の1951年に米国の斡旋で始まる。だが、佐藤栄作内閣で日韓基本条約が締結(1965年)に辿り着く迄に、日韓双方の主張は激しく対立し何度も中断された経緯がある。


      9-10-9.jpg 河野一郎元副総理


 それを大きく前進させたのが「アジア積極外交」を掲げて首相に就任した岸氏だった。日韓の裏面史に詳しい菅沼光弘・元公安調査庁第二部長が指摘する。


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 「戦後の日韓交渉は、岸氏や安倍首相の地元の山口県と深い関係がある。韓国の李承晩政権は、日本海で操業する漁船を次々に拿捕し、山口県在住者を多く含む日本人船員が韓国に抑留された。彼等を帰国させる為にも、岸氏は韓国との外交関係を急いで築か無ければ為ら無かった背景がある」

 拿捕された漁船は最終的に327隻、抑留船員は3911人に上った。首相兼外相の岸氏は、戦前に日本が韓国に残して居た資産の補償を求める請求権の主張を撤回。又、日本で罪を犯して強制退去処分を受けた韓国人を送還せずに日本に残る事を認める等、韓国に大幅譲歩する内容の日韓共同コミュニケ(1957年12月)を発表し、国交交渉の再開に道筋を着けた。
 背景には、朝鮮戦争の休戦(1953年)後、共産主義の防波堤と為って居る韓国と日本との関係回復を求める米国の要請が有ったとされる。岸氏は首相退陣後も日韓外交に深く関わり続けた。


        9-10-11.jpg 朴正煕大統領


 次の池田勇人内閣で日韓交渉は合意に向かう。軍事クーデターで政権の座に就いた朴正煕大統領は、日韓国交樹立に力を入れた。「危機的状態に在った韓国経済を立て直す為に、日本からの賠償金を得たいと云う事情があった」(前川惠司・元朝日新聞ソウル特派員)とされる。
 この時、最大の懸案と為ったのが竹島(韓国名・独島)の問題だった。『竹島とナショナリズム』等の著書がある在日コリアンのルポライター・姜誠氏が語る。

 「当時、日本側で交渉に当たったのは大野伴睦自民党副総裁だったが、亡く為った為に建設大臣だった河野一郎氏が引き継ぐ。そして河野氏は韓国の丁一権・首相との間で『(竹島は)解決せざるをもって解決したと見做(みな)す』と云う密約文書を交わした。
 河野派の若手議員だった宇野宗佑氏(後の首相)が密使と為って訪韓し、サイン入りの文書を丁首相に渡したとされて居ます。朴大統領も承認し、日韓基本条約では竹島に触れ無い事で合意した」



          9-10-12.jpg 竹島


 評論家の藤井厳喜氏が指摘する。

 「日韓基本条約の交渉の時が唯一、竹島を日本が取り戻すチャンスだったと言えるが『竹島密約』はそれを事実上放棄する結果を招いてしまった。河野氏等は基本条約の成立を優先した訳だが、その竹島が現在の日韓対立の材料の一つに為って居るのは皮肉としか言い様が無い」.

 日韓基本条約は岸元首相の実弟、佐藤栄作首相の下で調印された。安倍首相の大叔父に当たる。当時、韓国では基本条約反対デモが吹き荒れ政情不安が高まって居た。
     
            9-10-14.jpg 椎名悦三郎外相

 調印に先立って訪韓した岸派幹部の椎名悦三郎外相は金浦国際空港に到着するや「両国間の歴史に不幸な期間があった事は遺憾であり、深く反省して居る」と声明を発表。日本政府要人に依る初めての謝罪の言葉だった。
 椎名声明は韓国国民の反日感情を和らげ、経済危機で窮地に陥って居た朴大統領を救い、基本条約締結を決定付けたとされる。そうした経緯を安倍首相は、2015年に開かれた日韓国交正常化50周年記念式で「50年前の当時、私の祖父の岸信介や大叔父の佐藤栄作は、両国の国交正常化に深く関与しました」と総括して居る。


 




 ◆日韓政財界が「利益共同体」に.

 基本条約とそれに伴う日韓請求権協定が締結されると、日本から韓国に巨額の資金が流れ込む。韓国が日本に戦後賠償を求めたのに対し、日本は当時の韓国の国家予算の2倍に当たる5億ドル(無償3億ドル・有償2億ドル)の経済協力を行なう事で合意した。そこには「徴用工等への個人補償」も含まれて居た。
 この補償金が日韓の政治利権へと化して行く。日本からの経済協力は現金では無く、日本政府が日本企業から車両や重機や工作機械等を買い上げて韓国に渡したり、日本企業がインフラや製鉄所等を現地に建設したりすると云うスキームだった。
 商社やメーカーは、この資金で次々に韓国に進出する。援助を受けた韓国企業の中から財閥が生まれ、朝鮮戦争で打撃を受けた韓国経済は朴政権の下で「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる成長を遂げて行く。
 
 援助物資を日本企業から買い付けるのは日本の政治家、韓国でどの企業に配分するかを決めるのは韓国の政治家であり、日韓の政界と財界は国境を跨いだ利益共同体として結び付きを強めて行く。

 「この経済協力に強い影響力を持って居たのが日韓協力委員会で、日本側の会長は岸さん、椎名さんもメンバーでした。日本の経済協力には戦後賠償と云う意味に加え、親韓派の政治家達に依る補償金の利権化と云う狙いがあった。それが日韓の関係を歪めてしまったと言える」(前出・前川氏)

 岸氏は1987年に90歳で亡く為るまで日韓協力委員会の会長を務め、その後、会長は福田赳夫元首相、中曽根康弘元首相へと引き継がれた。現在は麻生太郎副総理が会長だ。そうした「カネありき」の日韓外交は大きな禍根を残す結果に為った。


       ※週刊ポスト2019年9月20・27日号  以上


 



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保守系キャスター 靖国神社集会で安倍政権を痛烈批判




 保守系キャスター 靖国神社集会で安倍政権を痛烈批判

      
             〜週刊金曜日 9/9(月) 17:58配信〜


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 「第5回 靖國の心を未来へ!感謝の心をつなぐ青年フォーラム」で話す我那覇真子氏。(撮影/本誌取材班)


 「日本滅亡グローバル化政策を強力に推し進めて居るのが、ナンと真正保守を謳われる安倍政権と云うのはどう云う訳でしょう。政権一代でこれ程日本を壊した例は他には有りません。空前絶後とはこの事でしょう」
 
 敗戦から74年を迎えた2019年8月15日、東京・千代田区の靖国神社内で行なわれた集会に登壇した、保守系のネットメディア「日本文化チャンネル桜」沖縄支局キャスターの我那覇真子氏は、冒頭の発言をした。
 8月15日、靖国神社では、大村益次郎像の横に特設テントが設けられ、午前に「日本会議」や「英霊にこたえる会」主催の「戦歿者追悼中央国民集会」が催されるのが恒例だ。2016年からは、午後に「感謝の心をつなぐ青年フォーラム」実行委員会に依る集会も催されて居る。

 沖縄出身の我那覇(がなは)氏と言えば、昨年にはジャーナリストの櫻井よしこ氏等と共に安倍晋三首相と座談会をした程の仲である人物の筈だが、一転。午後の集会で次々と批判の言葉を並べ、それ迄拍手に湧いて居た会場は静まり返った。
 我那覇氏は「私達は、国難の正体に目覚める」べきだとし「国難の正体は、保守の皮を被り、国を売る様な人々が国の中枢を握って居ると云う事」だとした。理由に挙げられたのはTPP・種子法廃止・改正入管法・アイヌ新法等で、同氏は「日本解体法」だと断じた。只、後半二つの法に付いては、多民族国家への懸念・先住民族の否定と云う排外的論理だ。

 更に、こうした「外圧にコントロールされるがママ」の日本を作った現与党は、党名を「日本グローバリズム党」に変えた方が好いとした。又「日本人の精神が戦後レジームに嵌め込まれて」居て、安倍政権は此処から脱却する処か、その「完成」を進めて居るとし「グローバリズム化政策が進めば、英霊の方々は二度死ぬ」と主張。「国難に勝利する事」を誓い演説を締め括った。

 午後の集会には、高須クリニック総院長の高須克弥氏も登壇「日本が攻められたら喜んで(戦いに)行きます。この英霊の皆さまの仲間に入れて頂いて、永遠に神として祀られたい」「戦うのは老人。老人は減って呉れれば日本の財政も好く為るし」等と話した。麗澤大学准教授で米国人のジェイソン・モーガン氏はA級戦犯は「英雄」だと発言した。


 




「積み残し」は憲法改正

 一方、午前の集会は、憲法改正に付いての話題が中心と為った。櫻井氏は「令和の時代の一番大きな課題として、国家の基盤である憲法をキチンと改正して参ります」と誓いの言葉を述べた。日本会議会長の田久保忠衛氏は、ホルムズ海峡付近で日本のタンカーが攻撃された事を挙げ「直ぐに自衛の為に立ち上がら無きゃ行けない時であるのに、日本の自衛隊はそんなポジションを与えられて居ない」とし「憲法を変え無いと、次の新しい時代にサバイブ出来無く為って居る」と話した。

 「英霊にこたえる会」会長の寺島泰三氏は「平成からの積み残しは、何と言っても憲法改正」と強調。安倍首相が自民党総裁任期である21年9月迄に憲法改正の為の国会発議と国民投票を「目指す」と表明した事に付いて「目指すので無く、実行に移して頂きたい」と焦燥感を滲ませた。
 15日夕方には「反靖国」等を掲げるデモが靖国通りを闊歩するのも恒例で(今年は「おわてんねっと」主催)今年も「在特会」や日本第一党等がこれに「抗議」すると云う立場で街宣を行なった。同党代表の桜井誠氏も姿を現し、罵倒を繰り返したが、台風の影響に依る強風と横殴りの雨に見舞われ、その声は掻き消された。
 (本誌取材班、2019年8月23日号)以上


 




【関連記事1】 靖国神社で南京大虐殺抗議の香港人 長期拘留の異常さ

     〜週刊金曜日オンライン 中村富美子 2019年8月23日11:35AM〜


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      左から笠原十九司、田中宏、和仁廉夫の各氏(3点とも撮影 中村富美子)


 2018年12月12日、靖国神社で「南京大虐殺を忘れるな!」と抗議した香港市民2人が逮捕・起訴された件は本誌でも取り上げて来た。横断幕を掲げ訴えた郭紹傑さんと、市民記者としてこれを撮影した巌敏華さんの罪名は「建造物侵入罪」誰でも入れる境内「外苑」での抗議の様子はユーチューブで見られるが、抑え込む警備員等の怒号の方が凄まじい。更に異常なのは、7カ月を超える勾留が続いて居る事だ。

 東京地裁で第6回公判が在った7月17日、報告会の席上でも長期勾留が問題にされた。弁護団に依れば旅行者である2人は逮捕に頼短期在留資格も剥奪(はくだつ)された為、度重なる保釈請求が却下されて来た。実務上はどうあれ法律上は出入国在留管理庁に依る強制送還の対象に為り得る為、裁判所は保釈に消極的だと云う。

 「為らば裁判闘争を続ける被告の強い意志を示し、裁判所も公判維持の為に入管に対して強制送還させ無い様措置を講ずべきだと、より踏み込んで保釈請求しては」と会場から声が上がり、弁護団の背を押す場面も在った。

 この報告会では、冒頭に笠原十九司さん(都留文科大学名誉教授)の講演が行なわれた。昨年末『増補 南京事件論争史』(平凡社ライブラリー)を上梓した笠原さんは、学問的には決着が着いて居る南京大虐殺が、政府に依って政治論争化して居る点を指摘。
 「安倍政権を、南京事件から見る」のテーマで「安倍政権が加害の歴史を捻じ曲げ、無かった事にしようとする使命感を持ったイデオロギー的政権である事、その核心に触れる抗議行動だったからコソ2人は逮捕・起訴され理不尽な勾留に遭って居る」と論じた。
 同時に、被害を受けた側が現政権をどう見て居るかを理解しようとせず、決定的に外からの視点を欠いたメディアを批判。「徴用工問題でも、テレビを点ければ韓国が悪いと言ってバッシング。どうしようも無い」と現状を憂えた。

 抗議文をゴミ扱いする外務省の非道

 笠原さんに続いて登壇したのは、この日の公判で弁護側証人と為った2人。最初に田中宏さん(一橋大学名誉教授)が、自身の経験から、現地で虐殺の歴史がどう受け継がれ記憶されて居るかを語った。
 田中さんが初めて南京を訪れたのは、未だ国交も無かった1964年。揚子江を見下ろす高台で、現地ガイドから「アノ川が真っ赤に為ったそうです。戦時中の事があるので、一人では街を歩か無い様に」と注意されたと云う。更に、日中両国の歴史認識の違いを象徴する出来事として、敗戦40周年に当たる1985年8月15日の中曽根康弘首相(当時)の靖国神社公式参拝を取り上げた。

 日本政府は法的な問題をクリアすべく準備に1年掛けたが、中国ではこの日に合わせ、南京大虐殺の記念館(侵華日軍南京大屠殺遭難同胞紀念館)と731部隊記念館(侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館)を開館すべく準備して居た。
 後年、田中さんは現地の教員から、こうした記念館建造の背景には1982年の「侵略」記述を巡る教科書問題が有ると教えられたと云う。同年に「歴史教科書」に関する宮澤喜一官房長官(当時)談話が発表され、事態は取り敢えず収拾したが、外務省はその意味をマルで判って居無かった事に為る。

 2人目の証人は、本誌でこの件を報道して来たジャーナリストの和仁廉夫さん。南京大虐殺の記念日に香港で長年行なわれて来たデモに対し、在香港日本国総領事館の対応が、第2次安倍内閣発足後に著しく後退した事を豊富な取材写真を基に法廷で証言したと報告。
 従来は受領して居た抗議文も拒否し、ゴミとして処理する等、安倍政権に依る戦後レジームの変更が、露骨に在外公館に表れて居ると警鐘を鳴らした。又法廷では裁判官が証拠写真を見ようともせず、聞く態度の無かった事に憤りを見せた。

 次回の第7回公判は8月28日。論告弁論と被告人の最終意見陳述で結審し、次々回の10月10日で判決と為る見込み。


  中村富美子・ジャーナリスト 2019年8月2日号       以上


 




 【関連記事2】 靖国で「南京大虐殺」抗議の香港人をカトリック枢機卿が激励


       〜週刊金曜日オンライン 和仁廉夫 2019年3月26日12:34PM〜


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      第1回公判後の記者会見に出席した陳日君枢機卿(左端)(提供 和仁康夫)

 昨2018年12月12日の早朝、東京都千代田区の靖国神社外苑で「南京大虐殺を忘れるな」「日本は南京大虐殺の犠牲者遺族に真摯に謝罪せよ」と、横断幕を掲げて抗議した香港人の郭紹傑さん(55歳)と、市民記者としてこれを撮影して全世界に報道した嚴敏華ーさん(26歳)の初公判が3月7日に東京地裁で開かれた。
 2人はその場で逮捕された後、12月26日に住居不法侵入容疑で起訴された。以来、3カ月もの長期勾留に、ゴーン日産自動車前CEOのケースと同様、人権侵害との声が挙がって居る。

 初公判の傍聴席最前列には、ローマ法王に次ぐ高位に当たる陳日君枢機卿(カトリック香港教区名誉司教)の姿が有った。1932年上海生まれの陳枢機卿は、香港で今や伝説と為った03年7月1日の国家安全条例(治安維持法)反対50万人デモの直前、集合場所のビクトリア公園でカトリックとプロテスタント合同の祈祷集会を行なった他、近年のバチカンと中国の和解に着いては「中国国内の地下教会の信徒を売り渡すもの」と厳しく非難して居る。
 今回は信徒の郭被告等を激励する為、87歳で心臓にペースメーカーを付ける身を押して6日早朝に単身夜行便で成田空港に到着。同日には東京拘置所で郭紹傑さんを慰問し、翌7日には第1回公判を最前列で傍聴のうえ、終了後には弁護士会館での報告集会、司法記者会での記者会見に臨んだ。
 その記者会見で陳枢機卿は「2人は私の兄弟姉妹で、平和を愛好する人物だ。そんな彼等を逮捕・起訴した日本は一寸可笑しく為って居るのではないか」と感想を述べた。

 初公判では検察側の起訴状朗読に続き2人の被告の冒頭陳述が行なわれ、両被告共憲法の保障する言論・表現の自由を根拠に無罪を主張した。次回公判は3月19日午前10時から東京地裁429法廷。傍聴券交付法廷になる見込みだ。


  和仁廉夫・ジャーナリスト 2019年3月15日号   以上

           最終更新:9/9(月) 18:02 週刊金曜日


 




 【管理人のひとこと】


 中央紙の購読を辞めて久しく為るのだが、この様な報道にお目に懸ったのに心から驚いた。詰まり、テレビ等では全く知らされずに居た事だったからだが、矢張り紙媒体の報道の何処かには掲載されて居た筈で(認出来無いが)恐らく有ったに違い無いと思うと、紙媒体の有難さを思い知った訳である。
 我が国の司法関係迄、政権への忖度に汚れてしまって居る事を端的に表して居るのだが、海外からの不法滞在人等に対する人権を無視した過酷な取り扱いや法的整備は、先進国から見ると随分と時代遅れの対応が続いて居る様だ。根本的に法の精神が明治時代とチットも変わって無い様だ。経済も2流なら政治・文化もおよそ先進国とは言えぬ体たらくなのである。海外に出掛けられた人々は、その国の人達からどの様な目で観られて居るのか・・・実に肩身の狭い思いをして居るので無かろうか。



 



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