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2019年08月17日

「森友問題」捜査終結 「最強の捜査機関」特捜部は今や影も形も無し


 


 「森友問題」捜査終結! 「最強の捜査機関」特捜部は今や影も形も無し



 



 
          〜ダイヤモンド・オンライン 8/17(土) 6:01配信〜



           8-17-5.jpg

      財務省の決裁文書改ざんヘルメット官僚 佐川宣寿元理財局長



 学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、有印公文書変造・同行使等の疑いで大阪第1検察審査会が「不起訴不当」と議決した佐川宣寿元理財局長(61)等10人を再捜査して居た大阪地検特捜部は、結局再び不起訴処分とした。

 3月の議決は、文書改ざんを「言語道断」と指弾し、背任容疑に付いても法廷で事実関係を解明する様求めて居た。問題の発覚から約2年半。大阪特捜は不起訴の理由を「立証・立件は困難」と説明するが、今回、国民が求めて居たのは「有罪・無罪」と云う判決の結果では無く、何が在ったのか「真実」を知りたいと云う事だった。
 しかし、大阪特捜は組織の論理を優先し、国民の負託に応える事無く捜査を終結した。(事件ジャーナリスト 戸田一法)



 




 国民を煙に巻く大阪特捜

 本稿では政局に付いての背景は一切排除し、飽く迄大阪特捜と今回の問題(事件に為ら無かったので「問題」と表記)に付いて絞って考察して行きたい。

 一般的に刑事裁判(公判)での有罪率が99.9%と言われるのは、検察が確実に有罪に出来ると判断した事件で無ければ起訴し無い(不起訴、若しくは起訴猶予)と云う背景が有るのは周知の事実だ。
 背任罪は「他人の為に事務を処理する者が自己若しくは第三者の利益を図り、又は本人に損害を加える目的で任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を与える」行為を指すが、背任容疑の対象と為った近畿財務局の元統括国有財産管理官等4人に「国に損害を与える」目的を持って居たかの立証が極めて困難だった事は理解出来る。

 一方、文書改ざんは既成事実化して居るにも関わらず、佐川氏等理財局幹部6人に付いても有印公文書変造・同行使の罪だけで起訴する事を躊躇ったのは、一般的に形式犯であり公判請求(起訴)する様な事件で無いと云う理由が考えられる。
 立件しても、略式起訴・略式命令(罰金刑)で済まされる可能性が高い。公判に為らず、5000万円もの退職金を貰った佐川氏等が罰金数十万円の幕引きで世論が納得するかどうか…。

 大阪特捜は、1992年に発覚した自民党元副総裁の故・金丸信氏を巡る5億円のヤミ献金事件(東京佐川急便事件)を想起したのかも知れ無い。東京地検特捜部は事情聴取の為出頭を求めたが、金丸氏は拒否し、政治資金規正法違反に付いて認める上申書を提出。東京地検特捜部は結局、聴取も逮捕もせずに略式起訴し、金丸氏は罰金20万円の略式命令を受けた。
 5億円もの〈賄賂〉疑惑に対する捜査の行方が注目されたのに、罰金20万円と云う決着に国民からは猛烈な批判が湧き起こり「検察庁」の表札に黄色のペンキがブチ撒けられる事件も起きた。

 大阪特捜は昨年5月、刑事告発された38人を何れも不起訴としたが、検審は10人を不起訴不当と議決した。しかし、強制起訴に繋がる「起訴相当」の議決とは違い、再捜査で不起訴と為った場合、検審は再度の審査は出来無い。だから9日の大阪特捜の決定は、有る意味で予想通りだったとは言える。
 「立証・立件が困難」と云う伝家の宝刀を繰り出し、再度の不起訴を決定。法的な知識の無い国民を煙に巻くと云う決着は、多少の法律的な知識の有る方なら分かり切った結末だったかも知れ無い。そう、冒頭にも書いた通り、大阪特捜は国民が知りたいと求めた真実より、自らのメンツと慣例を守る為に今回の判断をしたと言っても過言では無いのだ。


          8-17-7.jpg

               森友学園の現在の姿


 




 国民の負託に応え無い検察

 大阪特捜が集めた資料、関係者から聴取した供述、認定した事実、認定出来無かった事実…。有罪・無罪を問わず、積み重ねた証拠を公判で示し、何が事実で何が事実では無いのか、裁判官の審理を仰ぐと云う判断は出来た筈だ。
 国民の税金である捜査費を使い、国民が「知りたい」と求めた事実(捜査内容)を、メンツと慣例の為に一切を公開する事無く、闇に葬ってしまったのだ。これは「国民の負託に応える」処か、背信行為であろう。では、大阪特捜とは誰の為に存在する組織なのか。言う迄も無い、自分達が出世する為の組織であり、国民の事等考えて居ないのだ。

 その最たるものが「大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件」であり、読者の方々もご記憶と思う。自らの出世の為、無実の方を犯罪人に仕立て様とした事件だ。少なからず検察官と付き合いの在った筆者には、背筋の凍る様な思いをした事件だった。
 「秋霜烈日」秋霜は秋の冷たい霜。烈日は夏の激しい日差し。そんな環境でも、国民の為に頑張ると云う検察官のシンボルとされ、バッジに型取られるは、何処に行ったと嘆いた。

 筆者の後輩である全国紙社会部デスクに依ると、大阪特捜の小橋常和部長は「起訴に足りる証拠を収集出来無かった」と説明したと云う。これは、詭弁(きべん)である。鼻から収集しようとして居たのかさえも疑わしいが「確実に有罪に出来る証拠を収集出来無かった」が事実であろう。

 ここで、問題は一体何処に在ったのか、簡単にお浚(さら)いして置こう


            8-17-6.jpg

          安倍明恵氏(仮)安倍晋三記念小学校名誉校長


 2017年2月、森友学園が取得した大阪府豊中市の国有地が約8億円値引きされて居た事が発覚。そして、学園が建設を計画して居た小学校の名誉校長に、安倍晋三首相の妻・昭恵夫人が就任して居た事も明らかに為った。
 これ迄提出されて居た告発状に依ると、2017年2月〜4月、佐川氏等は権限が無いにも関わらず、14件の決裁文書で明恵夫人の名前や「特例的な内容」等とする記述を全て削除。「夫人の関与が明らかに為れば安倍首相の辞任に発展し兼ね無いと考え、事実を隠蔽しようとした」とされる。

 検審の議決も佐川氏に関し「『指示して居ない』との本人供述に信用性は無い」と一蹴。更に「文書を改ざんする行為は一般市民感覚からすると、如何なる理由があっても許され無い」と厳しく指摘した。
 問題が発覚してから約2年半。政権支持の方で在ったとしても、一連の事実が明るみに出るに連れて「忖度(そんたく)があったのでは?」と疑問を持たれたのでは無いだろうか。


 




 特捜に最早存在意義無し

 一連の問題を提起したのは1人の市議だった。問題の現場と為った国有地は、豊中市が国から借り受け公園として整備する計画だったが、買い取りを求められて断念して居た。その後、同市の木村真市議が現地を視察。「瑞穂の國記念小學院」と旧字体で記された幕や教育勅語を掲載したポスターを目にした。
 何か不審な雰囲気を感じ取った木村市議は、近畿財務局に貸付金額を問い合わせたが「言え無い」に終始。その後、売却されたと知り価格を情報公開請求したが、内容は黒く塗り潰されて居た。
 2017年2月には約8億円の値引きが発覚、問題は国会で取り上げられる様に。次々に明るみに出る近畿財務局の対応。その最中、文書改ざんが行われたとされる。


            8-17-8.jpg

                籠池泰典氏夫婦


 今回の不起訴処分を受け、詐欺罪等で起訴された森友学園元理事長・籠池泰典被告(66)は記者団に「役人はお咎め無しで、私達夫婦は口封じで約300日も拘留された。官に甘く民に厳しい国のヤリ方が露骨に出た」とコメントして居た。
 捜査の結果として「詐欺師」と認定(起訴)した人物から好き放題に言われ続け、更に官側を不起訴としたのであれば、世間から「矢張り、身内である官僚を庇ったのではないか」と疑われても仕方あるまい。

 検察官は元々転勤が多く、地方では仕事も公判維持や書類の決裁が中心だ。捜査と言っても、実態は警察から送られて来た資料(証拠)に法的な瑕疵(かし)が無いか確認する位だ。特捜の捜査手法も、警察官の様に現場に足を運んで聞き込みをしたりする地道なものでは無く、空調の効いた部屋で「ブツ読み」(資料の解読)や関係者を聴取すると云うのが主なものだ。

 プライドは高いが、永田町や霞が関の人間関係等裏の裏まで知る情報収集・捜査能力は、限られた検察官しか持ち合わせて居ない。付き合いの在った複数の検察官が自らそう話して居た。
 或る検察幹部は「昔の警察官は地元の中堅処の高校出身が多かったが、近年は地元国立大出身もノンキャリアで沢山採用されて居る。地元のネットワークと捜査能力があるのだから、(地方では)我々は指揮する側では無く、教えを乞う側だ」と話して居た。

 昨今、特捜は「巨悪」を挙げて居ない。「最強の捜査機関」と恐れられた特捜は、今や影も形も無い。能力も無い。国民の負託にも応えて居ない。「特捜なぞ、最早存在意義は無い」と批判されても、反論出来無いのでは無いだろうか…。


         戸田一法   以上



 



 





日韓関係の悪化は長期的には日本の敗北で終わる



 
 日韓関係の悪化 長期的には日本の敗北で終わる







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    〜古谷有希子  ジョージメイソン大学大学院社会学研究科博士課程 8/17(土) 7:49〜


 韓国は何故対日関係を悪化させる様な事をするのか?

 8月15日は日本では終戦忌念日として認識されて居るが、韓国では光復節、詰まり独立記念日である。韓国のアイドルグループBTSのメンバーが身に着けて居た光復節記念のTシャツに原爆のイメージがプリントされて居た事が日本で物議を醸したのは記憶に新しい。
 韓国の人々に取って、日本による植民地支配と云うのは「歴史」では無く、今も続く忌まわしい記憶であり、何時か又起こるかも知れ無い可能性の問題でもある。何時か又同じ屈辱を味わう羽目に為ら無い様に、過去を記憶し続け警戒し続け、少しでも問題があると考えれば早めにその芽を潰して置く、それが韓国の人々の大日本帝国による植民地支配への基本的な態度である。

 日本では韓国の人々のそうした態度や社会的雰囲気は、民族主義を押し出した国グルミの反日教育に依って為されて居ると考え勝ちだが、ソモソモこうした歴史観は政府主導で生み出されたものでは無い。
 日本で「反日」と考えられて居る*新日清算問題は、80年代以降の軍事独裁の終焉民主主義運動民主主義社会の醸成に依って、民衆やリベラル知識人達が真実を求める声として強まったものである。
 彼等は、独裁政権が「親日派」「親日行為」の問題を明らかにせず、日本に対する十分な責任追及をする事無く、国民に真実を隠した状態で植民地問題を「金で解決」した事そのものを問題視して来た。



 




 新日清算問題とは

 参照 三・一節100周年「親日清算」と云う文在寅演説の真意

   澤田克己(毎日新聞記者、元ソウル支局長)

 日本の植民地支配に抵抗する3・1独立運動から100年と云う記念式典での演説で、韓国の文在寅大統領は直接的な日本批判を避けた。
 1月の新年記者会見で徴用工問題に付いて「日本の政治指導者達が政治争点化し、問題を拡散するのは賢明な態度では無い」と述べたのとは対照的な抑制された発言だった。「これ以上の日韓関係悪化は望んで居ないと云う姿勢の表れだ」と云う解説が多かったが、その見方は妥当だろう。米朝首脳会談が物別れに終わったこともあり、余計な外交摩擦を避け様とするのは自然な判断である。

 歴史問題に付いて「被害者達の苦痛を実質的に癒やす時、韓国と日本は心が通じる真の友人に為る」とも語った。慰安婦問題や徴用工問題を念頭に置いて日本側に前向きな対応を取る様促したものだが、それ程大きな意味があるとは思え無い。
 歴代の大統領が好く口にして来た決まり文句の様な水準であり、具体性に欠けて居るからだ。「日韓関係の構造的変化を考える」として書いて来た3本のコラム(『韓国国会議長による「天皇謝罪」発言の裏側』他)で指摘した様に、今や「反日」で国をまとめるとか、政権の求心力を高める等と云う時代では無い。

「植民地時代の対日協力者」と言って呉れれば

 一連の報道を見て居て気に為ったのは「親日」「親日派」と云う言葉を説明無しに使う記事が散見されたことだ。韓国に於ける「親日」と云う言葉は「日本の植民地支配に協力した裏切り者」と云うネガティブなものだ。菅義偉官房長官はこの言葉に対して「日本語の親日とは意味が異なる」と述べたが、必ずしも日本でその事が広く知られて居るとは言え無い。
 事前知識無しに「親日残滓の清算は余りにも長い間、残されて来た課題です」(文氏の演説)等と言われたらドキッとするだろうし、例え知って居ても余り良い気分には為ら無いだろう。だから少なくとも、日韓で言葉の意味が違うと云う説明は必要だ。毎日新聞は3月1日夕刊の記事で説明が欠落してしまって居たので、2日付朝刊では説明を付け加えて貰った。

 この「親日派」と云う言葉の問題は、日韓両国が漢字文化圏に属して居る事に起因する。外国の支配者に協力した勢力が事後的に責任追及される事自体は珍しく無い。フランスを占領したナチスに協力したヴィシー政権関係者も後に責任追及されて居る。
 この場合、日本では「対独協力者」と云う言葉が使われる様だ。フランス語やドイツ語から翻訳するのならば、日本語で全く違う語感を持つ言葉が訳語とされる事は無い。韓国が漢字文化圏で無ければヴィシー政権と同じ様に「植民地時代の対日協力者」とでも為って居たかも知れ無い。

 韓国大統領が独立運動の記念式典で「植民地時代の対日協力者に対する責任追及が未だに為されて居ない。この問題をキチンと清算し無ければいけ無い」と述べたとしたら、日本人の受け止め方はどうだろうか。戦後70年以上も経って居るのにと感じる人は居るだろうが「親日派の清算」と言われた時の様な感情的反発は生ま無いのでは無いだろうか。
 それ為らば意訳しろよと言われるかも知れないが、漢字語の場合は難しいのである。敢えて別の言葉に訳すと翻訳する人の政治的立場や考えが反映されてしまい兼ねないからだ。だからこそ「親日」と云う言葉を使う際には簡単で好いから説明が必要なのだが、担当記者に取っては常識なので書き忘れてしまう事が起きる。何とも厄介な言葉である。

 同じ意味の漢字語でも翻訳には問題が…

 それだけでは無い。基本的には同じ意味で使われる漢字語にも、実は大きな問題がある。韓国語の単語は漢字語と固有語(日本語の「大和言葉」に相当する)に大別出来るのだが、日本語よりも漢字語の使用比率がズッと高い。
 日本語なら普通は大和言葉を使う様な場面で、韓国語では漢字語が選択される事が多い。結果として何が起きるかと云うと、韓国語での表現は日本人に実際よりも強く(きつく)イメージされてしまう事がある。

 歴史問題で好く出て来る「歪曲」と云う表現が典型的だ。韓国人は日常的にこの言葉を使うのだが、日本人はそれ程使わ無い。新聞のデータベースで昨年末迄の10年間を調べてみよう。
 毎日新聞で「歪曲(わい曲)」を検索すると172件で、その内33件は「韓国」と云う言葉も使われて居た。韓国とは無関係な記事で「歪曲」と云う言葉が使われたのは10年間で139件だ。一方で韓国の朝鮮日報では「歪曲」が4115件、その内「日本」も含まれるのが1197件だった。日本とは無関係な記事での「歪曲」使用は2918件と云う事に為る。

 朝鮮日報で「歪曲」と云う言葉が使われた回数は毎日新聞の20倍にも為る。使用頻度が高ければ言葉の意味合いは軽く為る。「日本は歴史を歪曲して居る」と云う同じ言葉を聞いても、日本と韓国では重みが違うのである。
 しかし意味は基本的に同じだから、翻訳する時に意訳するハードルは「親日派」より高く為る。意訳すると痛くも無い腹を探られる様な気がするし、言葉の意味が違うと云う注釈を付けるのも難しい。昔から違和感を持ち続けて居るものの、上手い解決策を見つけられ無いままだ。

 「親日派攻撃」は国内用、日本は眼中に無し

 文政権は当初から「積弊清算」を最優先課題として掲げて来た。そして実は「親日清算」の対象とされるのも基本的に同じ人々=保守派である。文政権の様な進歩派が保守派攻撃に使って来たのが「親日」と云うキーワードなのだ。
 この点に付いては、チョットした説明が必要かも知れない。「親日派」は結局、植民地支配下のエリート層を指す。日本の敗戦に依って朝鮮が解放された後には、こうした人々を排除した新しい国作りが行われるべきだと考えられた。庶民感情から言えば当然だろう。
 進歩派の人々はそうあるべきだったと考え、親日派を徹底的に排撃したと云う点に於いて北朝鮮を高く評価する。韓国ではそう為ら無かったからである。

 背景にあるのは、朝鮮半島南部に進駐した米軍政が既存の統治機構を使う間接統治を選択した事だ。米軍政から脱して韓国が独立した直後には「反民族行為特別調査委員会(反民特委)」が組織されて親日派追及を行ったが、米軍政下で力を温存したエリート層を相手にしたものだけに結局は腰砕けの結果と為った。
 その後、日本の陸軍士官学校を出た朴正煕大統領が日本との国交正常化を行い、日本から資金と技術を導入して経済開発を進めた。これを支えたのは日本との強い関係を持つエリート層で、財閥の多くも植民地時代に創業した企業だった。「産業化勢力」とも呼ばれる彼等は現在の保守派に繋がって居る。そうした利権とは縁遠かった進歩派は「独立したのに親日派が依然として上手い汁を吸って来た」と考えて居る。

 保守派主導の開発独裁下で弾圧されながらも、1987年に民主化を勝ち取ったのが「民主化勢力」と呼ばれる現在の進歩派だ。民主化を契機にそれ迄後回しにされて居た社会保障制度の拡充が行われる様に為り、福祉制度も整備されて行った。
 しかし、高度経済成長の果実を享受して来た保守派の力は依然として強い。特に1997年の通貨危機(IMF危機)を乗り切る為に新経済主義的な経済政策が取られて以降、格差拡大は更に深刻化した。

 こうした現状認識を背景に出て来るのが「親日残滓の清算」発言だと言える。だから韓国の記者や政治家と話しても、現在の日本は全く関係無いのだと口を揃える。但し「親日派」とされる人々は当然の事ながら日本と強い関係を持って居た。
 文政権は「親日派(の子孫達)である保守派を積弊だと問題にして居るだけで、現在の日本とは関係無い内政問題だ」と考えるものの、日本から見て居ると心穏やかでは無いと云う事に為る。全く困った状態なのだが、こうした構図を分かって居ると少しは落ち着けるかも知れ無い。


 参照 おわり (元の文章に戻ります・・・)


 




 民主化以降、韓国ではNGO・NPOに依る草の根市民運動が盛んに為り、市民社会の発展が目覚ましい。市民社会の発展は、人権・個人の権利・女性の権利等に対する意識の高まりを齎(もたら)した。こうした市民運動の広がりは、韓国社会に於ける植民地支配の再認識にも寄与した。
 一般市民に隠匿されて居た歴史の真実を求めると共に、植民地支配当時は強く認識される事の無かった事象を、ポストコロニアルな視点から再発見し「過去清算」する意識が韓国社会に根付いて行った。そして、人権の回復・履行を求めて、国内外の政府・企業・団体を相手取った裁判が頻繁に起こる様に為った。

 民主化の流れを汲んで「過去清算」を希求する新たな歴史認識の台頭は、植民地支配に付いて「日本が悪かった」と言った単純な理解から脱却し、何故植民地支配が起こったのか、植民地支配とはどの様なものだったのかを、政治・経済・社会・文化等様々な側面から分析し、過去を断ち切り民主社会韓国として新たな時代を迎え様と云う動きでもあった。端的に言って、韓国の人々に取って、民主化前と後では国家自体が全く異なる存在なのである。

 それは多くの日本人が、大日本帝国と戦後の日本を全く異なる存在として認識して居る感覚とも似て居る。或は、徳川幕府下の日本と明治以降の日本位違うと言っても好いかも知れ無い。この事を理解して居れば、何故現在の韓国政府が日韓基本条約締結以降、日韓政府の間の共通認識と為って来た請求権協定に対して、それを覆す様な態度を取る様に為ったのかも理解し易い。
 喩(たと)えるなら、日米修好通商条約が現在のアメリカと日本の間では全く無効であるのと似た様なものである。国民に依って選ばれ国民を代表する政府が取り交わした条約で無いものが、現在の民主国家としての韓国の人々に取って受け入れられ無いのも、感情としては当然と言えるだろう。

 更に、民主化によって新たな権利意識を持ち、植民地支配に付いてもより構造的な問題を扱う様に為った韓国社会が、軍事独裁化に国民の多くに真実を隠す形で締結された条約に違和感を持つのも自然な成り行きである。そして、民主主義国家である以上、社会・市民の変化が司法・行政・立法府に反映されるのも当然である。
 民主化運動を経て、民主主義に基づいた市民社会への歩みを進めた事で、歴史問題に対して歴史修正主義的態度を改めて来なかった日本に具体的な変化を求める様に為った結果、日本側から見れば「対日関係を悪化させる態度」を取る様に為ったのである。

 韓国は何故今に為って強気に出て居るのか?

 一方、韓国の民主化は1980年代に為されたもので、韓国政府の態度の変化によって2000年代後半から日韓関係が大きく変化する迄に20年もの時間が空いて居る。それ迄も歴史問題で軋轢のあった日韓両国だが、それが両国関係に深刻な影響を与える様に為ったのは2000年代に入ってからである。
 具体的には、韓国政府が個人請求権は消滅して居ないとの認識を示す様に為ったのが、2005年の廬武鉉政権下であった。韓国の態度の変化には、前述した韓国社会の民主化の他に、
 1)日本の重要性の低下
 2)日本の政府要人の度重なる歴史修正主義的発言・態度

 という二つの側面が影響して居る。

 民主化以降の20年の間に、韓国の国際競争力の上昇と日本の国際競争力の低下、そして韓国に取っての日本の相対的重要性が低下した。植民地化の朝鮮が日本経済と強く結び着き、解放後もその影響が強く残っていて居たのは当然の事だが、朝鮮戦争の停戦・日本との国交回復を経て、1960年代から1970年代の韓国に取って、日本は貿易対象国としても又国家の発展モデルとしても重要な存在であった。だが、韓国に取っての日本の重要性は時を経て徐々に下がって行く。

 1960年の貿易対象国の中では、日本は輸出の約6割を占めて居たが、1975年には25%、1985年には15%、そして2005年には8%にまで下がって居る。
 又、輸入に於いても日本は1960年には21%、その後1970年代は30%を維持するも、1980年代から1990年代までに20%台に下がり、2005年には19%を切って居る。(出典 吉岡英美 日韓経済関係の新展開 2000年代の構造変化を中心に 韓国語)
 又、韓国に対する外国人投資の推移に於いても、70年をピークに日本人(日本法人)による投資は徐々に下がり続けている。(同上) 2000年代以降は貿易相手国として中国の台頭が目覚ましく、日本の存在感は増々霞んで行った。

 日本の経済的重要性が低下しても、日本の政治家は一貫して歴史修正主義的な発言を繰り返して来た。侵略と植民地支配を肯定し、戦犯の祀られる靖国神社に参拝し、従軍慰安婦被害者を侮辱し、サンフランシスコ講和条約以降の国際秩序の土台を揺るがする様な発言を平然と口にする政府要人が後を絶た無い。
 幾ら公式談話で謝罪を口にしても、幾ら補償・賠償として金銭を提供しても、こうした発言・態度を示す政府要人(首相含め)が罰される事も無い日本を信用しろと、被害国であり被害者が生存して居る韓国に求める方が無理な話である。

 教科書問題、靖国参拝問題等、日本の政治家によって繰り返される歴史修正的な発言や態度について、当時の廬武鉉大統領は強い批判を行った。又、従軍慰安婦問題や徴用工問題等の植民地支配に於ける問題に付いては、人権派弁護士、草の根市民運動のバックグラウンドを持つが故に、人権問題としての側面からのアプローチに大きく舵を切った。
 現在の文在寅大統領も民主化運動、人権運動をバックグラウンドとする運動家であり、廬武鉉元大統領の側近であった。廬武鉉元大統領と同様に、人権派弁護士、民主化運動家として従軍慰安婦問題や徴用工問題を取り扱おうとして居る事は明白である。

 しかも、歴史問題で日本との軋轢を避ける為に司法に不当な介入をしたとされる朴槿恵元大統領、更にその前の李明博元大統領と、何れも不正によって逮捕された保守・右派の大統領の次を担うリベラル・左派大統領として市民の期待も大きい。
 人権派弁護士、市民運動家と云うバックグランドを持ち、それを前面に押し出してリベラル・左派大統領として選ばれた以上、人権問題としての従軍慰安婦問題や徴用工問題に於いて「正しい発言」「正しい態度」を取ら無い訳にはいか無い。 しかも、三権分立の制度下に於いて、司法の決定を行政が覆す事は不可能である。
司法が個人請求権を認めた以上、政府はその決定に従う他無い。


 




 日本の政府要人が繰り返す歴史修正主義的発言の裏にあるのは植民地主義的差別心

 戦後、日本の政府要人は歴史修正主義的発言や態度を繰り返して来た。韓国はその度に反発して来たが、2000年代以降韓国が日本に対して強気な態度を取る後押しと為って居るのは明らかに、韓国に取っての日本の重要性が低下した事、韓国自体が日本の競争相手として台頭して来た事(最早一人当たりGDPは3000ドル程度の僅差に迫って居る)、又ソフトパワーに於いては日本を凌ぐ世界的な存在感を示し始めて居る事等が挙げられる。

 日本政府はこの問題に付いては静観しつつ、政府要人が歴史修正主義的発言や態度を行って韓国をこれ以上刺激し無い様に注意深く静観し続けるのが正解だったのではないだろうか。 だが、繰り返される日本の政治家の歴史修正主義的発言の裏には、結局の処植民地主義丸出しの韓国・朝鮮(韓国人・朝鮮人)に対する差別意識がある。
 「韓国ゴトキ」「日本より格下」と言った意識があるからこそ、対等な相手として無用に刺激しては為ら無い相手としてでは無く「馬鹿にして好い相手」「何してもヤリ返せ無い相手」として扱い続けて来たのである。その認識を改め無い限り、日本は何時までも韓国を相手に歴史問題で先に進む事が出来無い。

 時代は移り、世界の中での韓国の地位が上がる一方で日本の地位が下がり、両国は対等に向き合うべき相手と為った。 例え貿易戦争で一時的に国民をスカッとさせる様な結果を得ても、歴史修正主義に立った「歴史戦」は日本の外から見れば明らかに日本の劣勢であり、長期的に見れば勝ち目の無い戦いである。
 韓国側に何も問題が無いとは言わ無いが、国民をスカッとさせるのが外交政策として罷り通るなら、それは民族主義に踊らされたポピュリズムに過ぎ無い。



            8-17-1.jpg

      古谷有希子氏 ジョージメイソン大学大学院社会学研究科博士課程

 経済社会学、グローバリゼーション論を軸に、社会階層、ジェンダー、職業教育、労働市場問題、移民政策の研究に従事。東京大学大学院総合文化研究科で東アジア外交史、朝鮮近代史を専攻したのち、ビジネスコーチとして勤務。2011年に渡米し、メリーランド大学公共政策大学院で社会政策、教育政策を修め、ジョージメイソン大学社会学研究科博士課程に在学中。


 



 












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