2019年09月29日
原子力発電をどうする? その4
原子力発電をどうする? その4
4 原発は熱効率が悪く地球をより温暖化する
アル・ゴア米国元副大統領の「不都合な真実」と云う映画で、CO2が地球温暖化の原因だと言われ、二酸化炭素の排出を減らすには化石燃料を燃やさ無い核発電が好いと云う説が、実(まこと)しやかに言われて居ます。
しかし二酸化炭素説は科学的に確定した話ではありません。因果関係は逆で、太陽等の活動によって地球が温暖化した事で、海中から二酸化炭素が放出されて増加したのだと云う説もあります。又、地球は寒冷化に向かって居ると云う説もあります。地球温暖化説や二酸化炭素説の真偽は別にして、実際は核発電は地球を加熱して居ます。
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上のグラフは18世紀から21世紀に掛けて、ボイラーやタービン等の熱機関が効率を改善して来た様子です。故馬野周二さんと云う工学の権威が発明した評価法です。
タテ軸は、利用されたエネルギーの量を利用されずに捨てられたエネルギーの量で割った値を、対数でプロットして居ます。例えば、最新の火力発電は熱効率が50%近くあり、利用されたエネルギーと捨てられたエネルギーがホボ等しいので、割った値は1に為ります。ヨコ軸は年です。そして、この様にグラフ化すると、熱機関の効率が過去300年間直線的に上昇して来た事が分かります。
処が核発電はその上昇ラインから外れて、効率が悪く人類のトレンドに乗って居ません。折角の核エネルギーで、只お湯を沸かして居るだけでは、利用方法としてセンスが無いのですが、その上、核燃料棒のジルコニウムの被膜が高温に耐えられ無い事から、核発電は300度C以下で運転されて居ます。
その為、熱効率は33%しか無く67%が捨てられて居ます。利用したエネルギー(33%)と捨てたエネルギー(67%)の比率は0.5に為ります。一方、新鋭火力発電所は500度C以上の高温で運転されて居ます。核発電は効率が悪いのです。
二酸化炭素説を認めたとしても、核発電は地球温暖化を抑止しては居ません。効率が悪いからです。核発電で100万kwを発電する為には、300万kw分の熱が必要で200万kwが海に捨てられます。新鋭火力発電なら200万kwの熱で100万kwの発電が出来、捨てるエネルギーは100万kwと半分で済みます。
又、核発電は消費地から遠い所に作られるので、送電ロスが大きく6%位に為りますから、都会で100万kwを得る為には発電所で106万kwを発電し無ければ為りません。しかも核発電は途中で止められず、電力需要が減る夜間でも夜通し運転し続け無ければ為らず、夜通し排熱を出して居ます。
又、海水温が上昇すると海水に溶けて居た二酸化炭素が放出されますから、余り二酸化炭素の削減にも為りません。核発電を増設して、電力需要の大きな部分を原発で賄うと云う日本政府の長年の政策目標は実現不能に為って居ます。
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先ず、これは世界の核発電建設の歴史です。1980年代迄は急増して来ましたが、スリーマイル島事故・チェルノブイリ事故でブレーキが掛かり、そのママ急降下して来ました。そして最近、二酸化炭素排出を減らす為に原発を再度推進しようと云う動きが在った中で、今回の福島の事故です。核発電への期待は一気に冷えました。
同時に、二酸化炭素が地球温暖化の主因だと云う説の怪しさも露呈されて来ました。このグラフを普通に見れば、世界的には、少なくとも先進国では核発電はもう終わって居ると云う事です。
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これ迄の40年間で日本では核発電設備が上図の黄色い棒グラフの様に建設されて来ました。その結果、合計の発電量は青い棒グラフの様に毎年大きく為って来て、2010年現在は図のピークの所に為っています。(この様な直線的な伸びは、自由経済では考え難い現象で、核発電が官僚主導の計画経済として推進されて来たことを物語って居ます)
その5につづく
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