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2019年02月17日

東京一極集中から地方へ! 道州制を含む地方分権に向けた提言を紹介する

 

 都市の在り方を考える上で、矢張り「東京一極集中から地方へ」を考えずには要られません。そこで、少子高齢化や過疎化対策を含めた新たな国土計画の為に、専門の官庁である「地方庁」設置を提言するレポートを取り上げます。かなり専門的で難解の為、内容を抜粋してありますのであしからず・・・



 道州制を含む地方分権に向けた国土形成計画の新たな役割と「地方庁」構想

 「日経ビジネスオンライン」2017年8月30日掲載(抜粋)



         2-17-3.jpg

          主任研究員 小黒 一正氏  2017.09.11 


 人口減少や少子高齢化が進み、政治の役割は「負の分配」に転換した。道州制を含む地方分権が政治的な調整コストの分散化や改革の原動力と為る。ここで、経済のグローバル化や人口減少・少子高齢化が進む中で、日本が直面している課題を簡潔に整理してみよう。日本が抱える大きな課題は3つある。


 1 人口減少と地方消滅と財政問題

 ❶急速に進む「人口減少」は「静かな有事」と言っても過言では無い。国立社会保障人口問題研究所の「将来人口推計」(平成29年版)によると、人口減少のスピードは今後勢いを増して行く。 
 2017年の人口減少率は年率0.24%に過ぎないが、2025年は0.50%、2040年は0.79%、2060年には1%と為る。この「減少率」で見ると大きな減少に見えないが「減少数」で把握すると印象が異なる。
 2025年の人口減少数は62万人、2040年は88万人、2060年は94万人と予云う測になって居る。62万人と云う減少数は現在の東京都江戸川区の人口に近く、94万人は現在の千葉県千葉市の人口・約96万人や東京都世田谷区・約90万人に近い。更に、時間の経過に伴い人口減少や労働人口減少の影響は大きく為る一方だ。第3次ベビー・ブームは結局起こら無かったと云う現実を直視する必要がある。

 ❷第2は、空間的な側面での「地方消滅」。国土交通省が2014年7月に公表した「国土のグランドデザイン2050〜対流促進型国土の形成〜」は、2050年の人口が2010年と比較して半分以下と為る地点が、現在の居住地域の約6割を占めること(内約2割が誰も住ま無い地域と為る可能性がある)を明らかにした。(図表1)

 これを「市区町村の人口規模別」に見ると、人口規模が小さい地域程人口減少率が大きく為り、現在の人口が1万人未満の市区町村は人口が約半分に減少する。だから、人口規模が小さい地方程財政基盤が危機に直面する可能性が高くなる。
 この関係では、日本創成会議(増田寛也元総務相が座長を務める)の人口減少問題検討分科会が、地方から都市への人口移動が継続する場合、市区町村の49.8%が「消滅する可能性がある」との試算を公表している。

 ❸第3は「財政問題」だ。高齢化の進展で社会保障費は膨張し日本の財政赤字は拡大する。2003 年度の社会保障給付費は約84 兆円だったが、高齢化の進展により2013 年度は約110 兆円と為った。これはGDPの約2 割に相当する。
 2016年度の社会保障給付費(予算ベース)は約118兆円であるものの、2003年度からの10年間に、年平均の社会保障給付費は2.6 兆円程度のスピードで膨張して来ている。
 団塊の世代が全て75 歳以上と為る2025 年に向けて、社会保障費増の圧力が一層強まる可能性が高い。増税を含む財政再建や社会保障の抜本改革を行う必要があるが、その政治的な調整コストが大きく、ナカナカ改革は進ま無い。


 図表1

 2-17-1.jpg

 (出所)国土交通省(2014)「国土のグランドデザイン2050」から抜粋



 2 政治・行政は「効率性」が不得意
 
 従来型の政治の役割は、格差に配慮しつつ成長と分配の狭間でその「重心」を探すことにあった。人口が増加し高成長の時代には、政治は、成長で増えた富の配分を担うことで大きな力を発揮した。人口減少で低成長の時代に突入して以降、政治の役割は「正の分配から負の分配」に急速に変わりつつあるのだが、それに対応出来ず機能不全に陥りつつある。
 この理由は何か。先ず、経済の中核を担う市場が「効率性」を得意な領域とするが、政治や行政は「公平性」を得意な領域とする違いからだ。

 例えば、人口増の経済では、都市が過密と為ってスプロール化しても、新たに発生した課題や利害調整を地域経済の果実で局所的に対応する事が出来る。が、人口減の経済では、低成長の為分配する原資も枯渇している。だから、その様な局所的に対応することは困難になる。
 又、人口が増加し高成長の時代は、効率性の視点から、国民所得倍増計画等で産業の適正配置を促進出来た。そして成長で増えた富の一部を分配の原資とし、公平性の視点から全国総合開発計画で後進地域に対する投資を重視する政治的な姿勢を示すことも出来た。こうした措置も人口が減少し低成長の現状では困難となる。

 「公平性vs効率性」から見ると、人口が増加する経済為らば、政治や行政は「公平性」を優先した政策や解決策を模索出来る。処が、人口が減少する経済では、部分最適を図るのが難しい為、全体最適のアプローチで柔軟な発想とスピード感を持ち選択と集中を行いながら「効率性」に重点を置いた政策や解決策が要求される。

 「公平性」は政治や行政が得意な領域だが「効率性」は不得意な領域だ。人口減の経済はそのリスクを真面に被るだけに改革が足踏みする。政治や行政が中長期的な視野で、効率性を追求出来る仕組みが求められる。
 しかも、人口増で高成長の時代為らば、視野が短期的なものに留まる等の原因でミスが起こっても、資源配分の失敗を取り戻す余力があるが、人口減で低成長の時代では政策決定のミスが致命的と為る。その代表が現下の厳しい財政である。社会保障費の急増や恒常化する財政赤字により、200%超にも及ぶ公的債務残高(対GDP)は今後も膨張する見込みである。



 3 地方分権と国土形成計画の新たな役割

 では、我々はどう対処すれば好いのか。選択と集中を行う為の枠組みを構築すること。道州制を含む地方分権を一段と強化するしか無い。

 急速な人口減少や少子高齢化が進む中、集権化と分権化の選別を行い、中央省庁が担う政治的な調整コストの一部を分散化し、地方分権を実現することが残された大きなテーマに為るだろう。にも関わらず、地方分権は常に「総論賛成・各論反対」で中途半端なものに終わってしまう。その理由は、体力の弱い自治体を含め、地方分権の受け皿と為る移行スキームや移行組織が存在し無いからだ。
 筆者は、そのカギを握るのが「国土形成計画」「広域地方計画」や「地方庁」(仮称)などではないかと考えている。以下、順番に説明しよう。

 先ず、(広域地方計画を含む)国土形成計画である。例えば「コンパクトシティ」「ネットワーク」と云う試みが存在する。この試みは、国土交通省「国土のグランドデザイン2050」に既に盛り込まれている。「地方都市においては、地域の活力を維持すると共に、医療・福祉・商業等の生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせる様、地域公共交通と連携してコンパクトな街づくりを進めることが重要」だと記載されている。「コンパクトシティ+ネットワーク」構想である。

 最も、この構想は集約エリアを指定するプロセスが不透明で、他の施策との整合性を欠いているとの指摘も多い。この為、政府は、各省庁の縦割りを排除すべく「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長・安倍総理、全閣僚参加)を2014年9月に立ち上げた。
 又、国土交通省は2014年、厚生労働省が進める地域包括ケアを視野に、都市計画で「立地適正化計画」を導入している。只、人口集約施策の総合調整を強化するには選択と集中を図る選別基準が不可欠だ。国土形成計画法を改正し「広域地方計画」(複数の都府県にまたがる広域ブロック毎に国と都府県等が相互に連携・協力して策定するもの)において、集約エリアを指定したり、選択と集中の数値目標を定めたりすることも重要だ。

 過つての国土政策は「国土の均衡ある発展」をスローガンとし、都市から地方への再分配を様々な形で実施して来た。その後、地域開発を主導するこれ等の法律はその役割を終了した。国土総合開発法は2005年、国土形成計画法に改正され、現在は国土形成計画が定める「全国計画」(2015年閣議決定)や「広域地方計画」により、数値目標が無い形で国土政策(2015〜25年までの計画)が進められている。

 急速に人口減少・超高齢化が進む今こそ、空間選択や時間軸の重要性が増しており、縮減時代の国土政策のあり方が問われている。即ち、人口集約施策の総合調整を強化し、集約エリアの指定や選択と集中の数値目標を定める為「国土形成計画」や「広域地方計画」を利用する試みが重要と為って来る。
 尚、人口が減少し消滅の危機に直面する自治体が多い状況では、全国の隅々までインフラを整備・維持しフルセットの行政サービスを提供すると云う発想は捨て無くては為ら無い。「基礎的自治体」(国の行政区画の最小単位である市町村)のスリム化を図ることが必要だ。
 又、今の自治体を念頭に置いた地方分権一辺倒で無く、道州制への移行も視野に置き、政策によっては中核都市・広域自治体や国に権限を集中させる試みも重要と為って来る。即ち、分権化と集権化の「重心」を探す必要がある。
 

 4 道州制移行の受け皿としての地方庁
 
 集約エリアの指定や選択と集中の数値目標をどの様に定めるのか。その決定や道州制移行の受け皿と為る機関が「地方庁」(仮称)。筆者の提案では、地方庁は、各エリアの地方自治体の他、各省庁の地方支分部局も束ねる機関で、企業で云うならば「持ち株会社」の様な存在として設置する。道州制への移行も視野として、不要な政治的混乱を回避する為の組織だ。
 地方庁はむしろ、今の「広域地方計画協議会」を拡充・機能強化するもので、各省庁の利害が対立するのを回避する為の基準も必要だ。
 

      図表2

     2-17-2.jpg  
              (出所)筆者作成

 地方庁は、道州制に移行する迄の暫定的な措置であり、最終的には地方の機関とする。一時的に指揮命令系統が二重と為る問題は地方庁の性質上ほぼ不可避的に発生する。但し、この問題は地方庁のみに発生する特別な問題では無い。
 現在の財務局は、財務省と金融庁の両者から指揮されている。よって、この問題の解決には、内閣府に各地方庁を指揮する特命担当大臣を設置する事も考えられる。先ずは各地方庁を内閣府の外局として位置づけることで対応可能と思われる。
 この問題は、広域連合で対処出来ないかとの指摘には、広域連合はその市町村などの構成団体から財政的に独立して居ないし責任の所在も不明確で、急速に進む人口減少や少子高齢化を乗り切る為に必要となる「選択と集中」を行う為の総合的な政策を打ち出すだけの権限も持って居ない。この問題を克服するには、地方庁を設置して各エリアにおける意思決定や政策の一元化を図る必要がある。


 5 地方交付税の分配権を地方庁に

 地方庁は、国の予算編成や規制改革等と連携しつつ、各エリアの規制改革や予算編成も同時に方向付けるものとし、その為、以下の政策についても推進する。

 先ず一つは、「地方交付税の分権化」を進める

 現在、地方交付税の配分基準は総務省が定めている。が、人口減少・少子高齢化のスピードは各エリアで異なり一律の基準で配分することには限界がある。又、2050年の人口が2010年と比較して半分以下と為る地点が現在の居住地域の約6割を占める状況では、明治維新後に廃藩置県で定めた「都道府県」と云う枠組みでも、中長期的に地域経済の活力を維持するのは期待し難い。

 この為、地方交付税の一定割合(例:30%)を人口比例等で地方庁に移譲し、各地方庁が独自の配分基準を作成し、各エリア版の地方交付税や広域地方計画に沿った一括交付金等として、各々のエリア内の地方自治体に配分する仕組みに改める。その際、地方交付税が交付され無い東京都の人口は、この配分基準から除くのが妥当であると思われる。

 なお、地方交付税の全てを地方庁に移譲し無い限り、制度上、総務省自治財政局が地方交付税を配分する一方、各地方庁も地方交付税相当を配分することに為る。その場合、例えば近畿地方庁がメリハリのある配分を行っても、総務省自治財政局が(特別交付税などを利用し)その効果を相殺する戦略を実行する可能性もある。その様な戦略を回避する為には、地方交付税の全てを移譲する必要があるかも知れない。
 

 もう一つは、「規制改革の分権化」も進める

 現在、国家戦略特区を初め、規制改革に伴う法改正等は中央省庁が主導している。各エリア内にしか法的効果が及ば無い形式のものについては、地方庁にも規制改革の法改正案を作成・提案する権限を付与し、当該法案は内閣府が地方庁の代理で法令協議を行った上で国会に提出出来る仕組みに改める。
 この様な分権化は、例えば社会保障の領域の内現物給付である医療保険の分野などで必要性が高まって居る。急速な人口減少や少子高齢化に対応する為、国保の都道府県単位化など、保険者機能の強化が2018年度から徐々に進む。

 こうした中で、リスク構造調整を進めつつ、各地域や各職域の保険者機能を一段と強化し、医療・介護等の資源の効果的かつ効率的な利用を促す観点から、診療報酬や介護報酬等の体系の一部について分権化を検討して行く事が望まれる。この時、オランダやドイツの管理競争が参考に為るだろう。
 診療・介護行為を全国一律に誘導するのでは無く、地域や保険者単位で報酬体系の決定プロセスや財源に関する責任を負える方向を目指す必要がある。具体的には、保険収載の対象範囲(=公的保険の適用範囲)、基礎的な医療と先進的なものとの役割分担、効率的かつ質の高い医療・介護サービスの供給やコスト節約などが、分権化の対象に為るだろう。

 処で、この様な取り組みと同時に、権限と財源の都道府県への委譲や移譲を検討する為、過つての地方分権改革推進委員会の様な組織を新たに設置する必要があるかも知れない。それが無い状況で、この様な改革を進めても、中央省庁間の代理戦争を地方庁が行う格好に為って上手く機能しない懸念が残るからだ。
 中央省庁を再編する際に内閣府などの機能を強化したものの、内閣府や内閣官房が十分な調整機能を発揮出来ず「ホチキス留め」の役割に留まる。又、過つての北海道庁と北海道開発局による二重行政の様なものが、より広範な地域で発生してしまう問題も回避し無ければならない。
 この為、地方庁が上手く機能する様環境を整備する観点から、自治体への権限と財源の委譲や移譲についても十分に検討を進める必要がある。


 6 マクロ的な資源配分を地方庁主導に改める

 地方庁が担う固有な機能は、各エリア内(都道府県を超えた空間的な単位)で、どの都市圏を存置させるのか、存置させる都市圏をどの程度の規模に誘導するのか、各都市圏をどの様なネットワークで結ぶのか等を決定し、その計画によって地方自治体や地方支分部局が担う公共財の供給を拘束することにある。
 つまり「国土形成計画⇒広域地方計画」の流れを逆転させ、広域地方計画の位置付けを強化し、これまで中央省庁主導であったマクロ的な資源配分を地方庁主導の形に改め、各エリア内において「選択と集中」の政治的な意思決定を行うことが最も大きな目的である。

 その際、中央省庁が主導する予算や政策立案の仕組みも一部改め、地方庁主導で各エリアの予算や政策を立案し、それを内閣府が取りまとめ、財務省や国土交通省を含む中央省庁と調整する仕組みを実験的に導入する試みも重要であろう(注:財務省の予算査定や各省庁との法令協議は行う)。
 予算措置や法改正等が必要なものについては、最終的に国会に提出出来る仕組みも必要だ。内閣府が地方庁に係る予算を取りまとめる際には、沖縄振興予算や北海道の開発関係予算、復興庁予算が採用する一括計上の仕組みが参考になる可能性がある。

 何れにせよ、各地方庁は、上記の分権化された地方交付税や規制改革を利用しながら、それと整合的な形と為る様、選択と集中を図る選別基準を含む「広域地方計画」を策定し、それに集約エリアの指定や選択と集中の数値目標を盛り込む。

 これが政治的に最も難しい。だが国が直接決定するよりも各エリアの地方庁が決定する方が政治的なコストは少なく出来る筈だ。政治の役割が「正の分配から負の分配」に転換し、例えば政治が100の「負の分配」を行う必要がある時、国が直接▲100の分配を行うよりも、10の地域(エリア)が▲10の分配を行う方が政治的な調整コストは少ない。又、特定のエリアで数値目標が盛り込め無いならば、そのエリアが他のエリアとの競争に敗れるだけである。


 7 試される日本の叡智

 選択と集中を行う際に、例えば公共投資を行う場合、2050年の人口が2010年と比較して半分以下と為る地点が現在の居住地域の6割以上と為る状況では、あらゆる空間に投資するのは非効率でリスクが高い。例えば、公共投資を効率的に行う為には、40年後の2050年も、12万人以上の人口規模を有する地域に投資するのが望ましい。

 「国土のグランドデザイン2050」参考資料によると、対家計サービスの内ショッピング・センターが立地する確率が80%以上と為る自治体の人口規模は約10万人以上だ。医療・福祉サービスの内一般病院が立地する確率が80%以上と為る自治体の人口規模は約3万人であるが、有料老人ホームが立地する確率が80%以上となる自治体の人口規模は約12万人である。

 更に、時間的な視野を考慮する場合、公共インフラ等の最適な供給量は一般的に人口増減率によって異なって来る。
 議論を単純化する為、人口1単位当たりの最適な供給量を1とし、人口が50年間で100から160まで増加するケースと、人口が50年間で100から40まで減少するケースを考えよう。この時、人口100の時点で100を供給しても、人口増加ケースでは、人口160の時点で160の供給が必要なことから、100の供給は無駄に為ら無い。しかし人口減少ケースでは、人口40の時点では40の供給しか必要で無い為、60の供給が無駄に為ってしまう。

 公共インフラなどの供給にあたっては、建物のライフサイクルコストも深く考慮する必要がある。例えば、建物(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数が60年としても、建物に付随する設備類の耐用年数は15〜30年程度と短く、建物の一生に最低2〜3回程度の設備更新が必要となる。
 この様な費用を含め、建物のライフサイクルコストを推計すると、一般的に設計・建設費は当該コストの20%に過ぎず、維持管理費が77%、解体などの廃棄費が3%を占めると考えられる。こうした人口減少のスピードや建物のライフサイクルコストと言った時間軸も含め、公共投資を選択することが望ましい。

 従来の様な地方交付税の仕組みでは、結局薄く広く財源を全国に配分し、立ち行か無い自治体の延命にしか為らない可能性が高い。急速な人口減少が見込まれる地域において必要と為るのは、いわばダウンサイジングを図る為の「撤退作戦」であり、その為の政策手段や合意形成の手法が求められている。
 何れにせよ、急速な人口減少・超高齢化がもたらす影響が顕在化し本格化するのはこれからが本番であり、その現実を直視し、果敢に選択と集中をしない限り日本に未来は無い。

 そのカギを握るのが国土形成計画(広域地方計画を含む)や地方庁(仮称)の創設だ。例えば2035年頃を目標に、道州制への移行を政治的にコミットメントする。地方庁はその行政府、コミッティーは内閣に相当するものに位置付け、新たに道州議会を設置するシナリオや工程表も同時に定めてはどうか。今日本の叡智が試されている。


 以上




 【管理人のひとこと】


 確かに省庁の縦割りや二重行政に対処するには大きな権限を持たせた「地方庁」の様な新たな組織が必要かも知れない。しかし、内閣府の管轄下の「庁」で好いのか、「省」にしてもっと大きな力が必要ではないかとの議論もあるだろう。
 東日本大震災後に出来た「復興庁」の様に、何となく単なる「調整庁」として終始することもママあるだろうから。震災やその後の災害に際して、原発被害以外の問題は全て解決したのかと云うと、そうでは無いだろう。仮設住居から未だに抜け出せない人達もいるのでは無いだろうか?これも統計の問題に為るだろうが、何処かでこの数字(災害復興に対する広域的なアンケート)を取って居るのだろうか?

 現在ある行政の最小単位である市・町・村自体にも、更に統合や選択・廃止の英断が必要な所もあるだろうし、明治以来の道・府・県の問題もである。例えば、東北の6つの県を東北州として、仙台に州都が置かれたとする。恐らく仙台は今以上に人と金が集まり繁栄するが、果たしてその他の都市はどうなるか?青森・盛岡・秋田・福島に山形は?過疎地の面積の広い少数の人口の単位の集落まで、行政のサービスが行き届くかはの問題の回答は「NO」だ。地方にはその様な原資は無い。

 現在人気のあるテレビ番組に「ポツンと一軒家」的なものがあり好く視聴する。日本中にこの様な条件の住まいが散在している。祖先が必死に開拓して何代かの家族が生活した大変に価値のあるものだが、この様な所に、電気や電話・上下水道・ガスなどを全て行政は面倒みられ無いのが現状だろう。
 住まいする人は何等かの目的があり、普段は街の中で暮らしそこへは通うことに為る。又は、冬は街で暮らし夏だけポツンと建つ一軒家へ住まいするのだろう。残念だが、人口減少と地方消滅とはこのことを指している。日本が少しずつ痩せ衰えて行き一極(東京)へと集中し、やがて東京自体も痩(や)せ衰える訳だ。

 この様なことに為らぬよう、政治家や学者は色々な提言を出しているし専門研究機関も多数ある。色々な提言の中で落ち着くのが「東京から地方へ・・・」人と金の流れを移すこと以外に考えられ無いだろう。
 レポートの中で指摘された、

 "「国土のグランドデザイン2050」参考資料によると、対家計サービスの内ショッピング・センターが立地する確率が80%以上と為る自治体の人口規模は約10万人以上だ。医療・福祉サービスの内一般病院が立地する確率が80%以上と為る自治体の人口規模は約3万人であるが、有料老人ホームが立地する確率が80%以上となる自治体の人口規模は約12万人である"

 との数字が斬新だ。10万人居ないとショッピングセンターは成り立たないし、病院は3万人が必要で有料老人ホームは12万人・・・果たして、12万人以上の行政単位は日本の何割位存在するのだろうか?
 矢張り、毛沢東では無いが「強制的に人員を都市から農村へ!」対策しか無いのかも知れない。日本では、先ずは中央省庁や国会・裁判所・学校・・・首都機能の移転で、諸々の大規模な公共組織や大企業等の組織の東京離れだろう。その組織が日本各地に散在しその地を潤すことに為れば好いのだが・・・これは、現在が最後の機会かも知れない。通信インフラが飛躍的な進歩した今、これは絵に描いた餅では無く現実に可能なことだろう。
 企業の製造現場以外の間接人員は、必ずしも会社に居なくとも仕事が出来るのであれば、在宅勤務を取り入れても好いだろうし、その時間的ロスも生産性を挙げられる。遠く離れた北海道や沖縄に住み、デザインしたり設計したり、生産計画を建てたり生産指示を出したり資材を発注したり・・・営業も、各地に存在する自宅を本拠として活動出来る。得意先への自宅からの直行直帰だ。

 道州制にコンパクトにまとめた行政組織は、各地域に在宅型のサービス機関(支部・支所・事業所・自宅)を持ち都度現場で活動する。もめ事も全て上部に報告し即決する意思の疎通の速さが住民の好評を得るだろう。地域の全ての情報は常時そのまま上部へと繋がって居るからだ。市町村の議会も全てオンラインで結ばれ、情報は行き渡って居るし議論も可能だし採決も早くなる。議長も市長も村長も在宅で仕事を熟せる。
 首長や議員の選挙活動もネットで半ばは可能と為り、選挙もネット投票でアッと言う間に済んでしまう。後は、不法なものはないか中味の精査だけだで済む。

 とマア、AIの進歩で問題点を洗い出し、その解決策の方法まで指摘され、行動基準や細かな施策まで提示されるかも知れない。この様な人達にこの様な設題でアンケートを取り、その回答によってこの様な政策を提言し・・・と細かく指示される。後は、それをどの様に実行するかの意思を決定するだけだ。都度、組織全員に賛否を問い承認を得れば実行される。
 結果は、個々の住民と決定した責任者のもので、全員で責任を取るしか無い。全員参加による直接民主制に近いものとなろう。出来ればね?



 
 




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