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2020年05月09日

人が生み出した「想像の共同体」国民国家の本質




 人が生み出した 「想像の共同体」国民国家の本質

           〜東洋経済オンライン 出口 治明 5/9(土) 7:55配信〜


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         APU・立命館アジア太平洋大学・学長 出口 治明氏

 〜新型コロナウイルスの問題を初め、変化の全く読め無い時代を私達は生きて居ます。この様な有事にコソ、社会を生き抜く力を子供達に与える必要があり、それが教育の目的の一つでもあります。『「教える」ということ』の著者で立命館アジア太平洋大学・APU・学長・出口治明氏が「子供に与えるべき力」に付いて解説します〜

 前回の記事で「教育の2つの目的」に付いて、@自分の頭で考える力を養う、A社会の中で生きて行く為の最低限の知識(武器)を与える・・・と説明しました。今回はこの2つ目 A社会の中で生きて行く為の最低限の知識(武器)を与えるに付いてお話します。
 実社会に出た時に困ら無い様に「生きるための武器」詰り、社会を生き抜く為に必要な基礎的な知識を与える事が大切です。大人に為ってから自分ひとりで社会と(或いは人生と)戦う時、手ぶらのママでは、勝敗は明らかだからです。最低限、現在の民主主義社会の根幹を為す次の7つの知識を教えるのが教育だと僕は思います。

 【社会を生き抜くための7つの武器】

 @ 国家の基礎を知る
 A 政府の基礎を知る
 B 選挙の基礎を知る
 C 税金の基礎を知る
 D 社会保障の基礎を知る
 E お金の基礎を知る
 F 情報の真偽を確かめる基礎を知る

 民主主義社会とは、成熟した市民の存在を前提として居るので、成熟した市民(最低限7つの武器を身に着けた市民)が居なければ、民主政治は直ぐに衆愚政治に陥ってしまいます。判り難い政治や経済に付いても、ひとつずつ知識を積み重ねて思考を深めて行く事で、主体的に理解・選択が出来る様に為ります。此処で上記の7つの内、例として「国家」と「選挙」の基礎的な知識を解説して置きましょう。

 国家の本質とは何か
 
 国家と云えば、エンゲルスの名作『家族・私有財産・国家の起源』を思い出す人が居るかも知れません。好く国家の3要素として、領土(そこに住む) 人民(領土と人民に対する) 統治権・主権が挙げられますが、国家の本質は、警察や軍等の暴力手段を合法的に独占して居る事に尽きると思います。
 誰かがケンカをして殺されたとします。するとその一族は仇討ちを考えます。赤穂浪士の世界です。放置して置くと仇討ちの連鎖が止まら無く為ります。そこで個人の自力救済を禁じて国家が暴力を独占して裁くと云う訳です。

 暴力(≒筋力)に付いては男性の方が優れて居るので、国家の誕生が男尊女卑、詰り太古の女系社会から男系社会に道を開いたと云う見方もあります。
 国家の統治権は人民に対して生殺与奪の権利を持つ訳ですから、恣意的に権力を振るわれたら人民は堪ったモノではありません。ソコで法律を作り、三権分立(立法権・行政権・司法権を各々独立させる)を図る等して国家権力の乱用を防いで来たのが人間の歴史なのです。
 処で、現在の国家は国民国家(ネーション・ステート)です。これは、単純化して述べると、フランス革命に依って新しく成立した概念で、国家内部の人民をひとつのまとまった構成員として統合しようとするものです。フランス革命では国王ルイ16世が革命政府に依って処刑されました。

 当時のヨーロッパの国々は殆どが君主政で、何処の国にも王様が居ます。王様を平気で殺したフランスの革命政府を放置して置いたら大変な事に為る(次は我が身)と考えて、大挙してフランスに攻め込んで来ました(対仏大同盟)そこに現れたのがナポレオンでした。
 ナポレオンは新聞を使って次の様に語りかけました。 「100年戦争の後半期、イングランド王ヘンリー5世にパリを占拠され、フランスが滅びそうに為った事が在る。その時、ひとりの乙女(ジャンヌ・ダルク)が田舎から現れてフランスを救った。諸君はジャンヌの子孫で、偉大なフランス国民なのだ。フランスを守ろう」と。

 それ迄のフランス人には、フランス国民と云う意識は有りませんでした。「俺はプロヴァンス人」「私はガスコーニュ人」等と考えて居たのです。ナポレオンはメディア(新聞・宣伝ビラ)を駆使して、想像の共同体で在るフランス国民を創り出したのです。ソ連が解体した後に独立した新しい国々でも同様に「国民を創り出す」作業が行われました。例えばウズベキスタンでは、英雄ティムールの子孫で在ると云う事が大々的に喧伝されて居ます。

 では我が国はどうしたか。明治維新の際に国民国家のコアと為ったのは天皇制でした。明治政府は朱子学の力を借りて、天皇の赤子である日本国民を創り出したのです。同時に、朱子学の特徴である男尊女卑や家父長制も刷り込まれてしまったのです。
 こうして創り出された国民(意識)を維持する為、各国の政府は国旗や国歌や国民の祝日等を制定して、一体感の醸成に努めて居ると云う訳です。

 国民国家を理解する不朽の名著が、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』です。僕はこの本は高校で教えるべきだと思って居ます。尚明治政府の国民国家創出に付いては、小島毅の『天皇と儒教思想』という新書が判り易いと思います。国家とは想像の共同体に他為ら無いのです。

 何故日本は「先進国の中で投票率が低い」のか

 選挙は議員を選んで立法府を作るものですが、立法府が定めた法律で行政や司法が動いて行く訳ですから、政府を作るのは選挙で有ると云っても決して過言ではありません。この基本が腹落ちすれば、選挙で「何をすべきか」が好く判ります。
 政府は市民の手で作るものであり、その政府をより良く作り変える為の手段が選挙です。政府に任せっ放しにするのでは無く、個人個人が自分の頭で好く考え、友人や知人と議論した上で、その結果を示す行動が選挙です。ですから、選挙の仕組み、法規、衆議院・参議院の定数等と云った、試験問題に答える為の知識だけでは決定的に不十分で、

 「選挙の時、具体的にどう行動すべきか」
 「投票しないと云う選択を取る事は、どう云う事か」
 「政治家とは、何をする人なのか」


 等と云った本質的な問題に付いても教える事が大切です。北欧のスウェーデンは、若者の選挙・政治参加意識が高い事で知られて居ます。スウェーデンでは、政治や選挙に関する基礎教育が充実して居り、小学校で使われて居る社会科の教科書には、次の様に書かれています。

 「投票は自主的なものです。そして、それは独裁制の国に住む人々が持って居ない民主制の権利です。人々は、或る政党の主張の全てに賛成出来無くても、彼等が最も重要で有ると思う問題に付いて好い意見を持って居るとすれば、その政党に投票します」(引用『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』ヨーラン・スバネリッド 著、新評論)
 
 スウェーデンの子供達は、小学生の時から選挙や政党政治の利点・欠点を学び、選挙を「自分の意見を表明できる機会」として捉えて居るのです。

 「白票や棄権は、現在の政治を信任する事と同じ」

 日本は「先進国の中で投票率が最も低い国のひとつ」と云われて居ます(OECDの2016年の報告書では、国政選挙の投票率は加盟国平均が約66%ですが、日本は、スイス、ラトビアに続きワースト3位の約52%)。日本の投票率が低いのは、政治や選挙に関するリテラシーが低いからです。
 例えば、国政選挙の投票日に「選挙に行っても世の中が変わる感じがしない」「ロクな候補者がいないから、投票には行く気がしない」等と無関心を口にする人コソ、率先して選挙に行くべきです。何故なら「世の中が変わる感じがしない」と不満を抱くのは「今の政治は良く無い」と思って居るからです。「世の中が変わる感じがしない」のなら、そこで諦めるのでは無く、政府を作り直す努力をするべきです。

 日本のメディアは「棄権が増えるのは、政治不信が増して居るからです」と行った論調ですが、僕の考えは違います。過つてロンドンに住んで居た時、次の様な話を聞きました。題して「選挙の仕方」.

 @ 選挙では、必ず事前予想が出る・・・ロンドンっ子は、お金を賭けて居ますね
 A その予想通りで満足なら3つの方法がある。投票に行ってその名前を書く・白票を出す・棄権する・・・この3つの方法のドレを採っても結果は同じに為る
 B 事前予想に不満なら、貴方の意思表示の方法は足った1つしか無い。投票に行って違う名前を書くことである
 C 以上が、選挙の仕方の全てである

 僕は、こう行ったシンプルな知恵を子供達に学校で教えるべきだと思います。「ロクな候補者がいないから投票には行く気がしない」と考える人は、前提・・・候補者は立派な人ばかりで在る筈・・・が根本から間違って居ます。そもそも選挙は「より良い人」を選ぶ為の制度では有りません。100年以上前の話ですが、英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルが、次の様に明言しています。

 「自分を含めて選挙に立候補するのは、目立ちたがり屋やお金儲けをしたい人等、ロクでも無い人ばかりである。選挙と云うのは、こう云った信用の置けない人達の中から、相対的にマシな人を選ぶ忍耐の事である。従って、民主政は最低の政治形態で有る。但し、これ迄試されて来た王政や貴族政等過去の政治制度を除けば」
 
 こう云うリアリズムが理解出来れば投票は簡単です。女性議員が少ないのなら、女性の候補者に投票すれば好い。若い議員が少ないのなら、若い候補者に投票すれば好い。市民がすべきことは、忍耐を強いられながらも「100%満足は出来無いけれど、他の候補者に比べれば、多少はマシ」な政治家を選ぶ事です。これ等の事が判って居れば「良い候補者がいない」からと云って、白票を出したり、棄権したりすると云った誤った結論には至ら無いのです。
 政府と市民は、対立するものではありません。政府は市民が作るものなので、今の政府が気に入ら無ければ、選挙に行って政府をゼロから作り直せば好い。そして、新しいルールを作れば好い。政治を変えるのは自分達の1票であることを小学校や中学校で教える必要があるのです。

 今こそ必要になる「強い武器」  

 処で、新型コロナウイルスでは世界の指導者が全く同じ3つの課題に懸命に取り組んで居ます。

 1 命を守る他めの Stay home
 2 Stay homeを可能にする医療従事者ナどエッセンシャル・ワーカー(キー・ワーカー)への感謝と支援
 3 Stay homeは収入減をもたらすので、弱者への緊急の再分配政策の設計

 その様子はSNSで世界に同時に発信されます。それを見て居る市民の政治に対する関心は高まるのではないでしょうか。現に韓国では総選挙の投票率が10ポイント弱上がったと報道されて居ます。パンデミックは投票率を上げるかも知れません。
 人が生きて行く為には、自分の頭で社会の有り方を考える力が非常に大切です。だからコソ学校の現場で子供達に、社会に出れば直ぐにでも直面する基本的な問題に対する考え方や心構えを教えて、詰り、最低限の武器を与えて、リテラシーを育てて行く必要があるのです。

 強い武器を身に着け、そして武器の正しい使い方を教えられた子供達が、これからの世の中を変えて行くのです。


         050914.jpg

           政商?と云われる不届きな人と並ぶ筆者

 出口 治明 APU・立命館アジア太平洋大学・学長      以上



 ペットにもコロナ対策を!












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