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2020年05月07日

【仏紙が分析】「春本には鞭打ちは有りません」 日本独自の性表現が花開いた「春本」の世界




 【仏紙が分析】 「春本には鞭打ちは有りません」 

 日本独自の性表現が花開いた 「春本」の世界


           〜クーリエ・ジャポン Ellis Tinios 5/7(木) 18:00配信〜      

 男女或いは同性同士の性的な場面を赤裸々に描き、江戸時代に人気を集めた「春本」この春本には西洋の所謂「エロティカ」(エロティック本)には無い、独自の性表現が見られると云う。英リーズ大学名誉准教授エリス・ティニオがその独特な世界を解説する。

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           英リーズ大学名誉准教授エリス・ティニオ氏

 大衆の為の性表現

 江戸時代(1603〜1868年)の日本では、正確に性行為を表現する事は重要な芸術ジャンルの一つだった。「春本」の登場以前には、位の高い武士や裕福な商人達は高名な画家に依頼して、エロティックな絵画の巻物を作らせて居た。しかし、17世紀半ばに商業出版が発展すると「春本」と云う挿絵本が登場し、性表現が広範な大衆にも手が届く様に為った。
 春本は1923年の関東大震災の時の大火災と第二次世界大戦終盤の空襲に依って多くが焼失してしまったが、およそ2,000部が現存して居る。春本は既に江戸末期の1680年には、画家・作家・版元・貸本屋等の可成り大きな収入源と為って居た。

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       喜多川歌麿『歌まくら』(1788年)Photo  Wikimedia Commons

 性表現のタブーが無かった日本

 春本は、浮世絵師達の独壇場だった。様々な興奮状態・交接状態に有る男女の性器を包み隠さず表現する事に於いて、彼等の作品は際立って居た。性器乃至性行為を表現する事に対する宗教的或いは倫理的な禁止は、日本には存在し無かった。
 儒教の影響の下で、エロティックな文章やイメージを出版し普及させる事に反対する武士階級の人々も少なからず存在したが、その事は画家達の障害とは為ら無かった。

 しかし、1722年に為ると幕政改革の広範な動きの中で、春本は「扇情的な書物」で有ると非難され、検閲を受ける様に為った。こうした禁令は江戸時代が終わる迄続いたが、実際の処、この禁令が春本の出版を差し止めて居たのは約20年の間の事に過ぎ無かった。
 更に、1791年・1804年・1843年には、検閲の強化する散発的な試みが為されたが、それ等も長期に渉って春本の出版を止める事は出来無かった。

 性は好いが、政治は駄目

 政府が主に不安視して居たのは先ず、多くの読者に向けられた印刷物が、法と徳川幕府の正当性に疑いを持たせるのでは無いかと云う事だった。そこで春本の著者達は春本を政治的目的に利用する事を避けた。
 江戸時代を通じて描かれた(或いは印刷された)エロティックなイメージは、愛の冗談から挿入・絶頂から性交後の充足へと至る・・・一連の独立した情景として創案されて居た。画家達はアラユル年齢の、アラユル社会状況のカップルをバラエティに富む場所や状況に於いて表現し、官能的な成り行きを描き出して居た。
 そして18世紀には、春本全体が、当時は負の烙印を押されてい無かった同性愛のテーマに特化して行った。能動的な成人男性と受動的な少年と云うのが、当時の文学と芸術に於ける基本的なモデルである。しかし1800年以降は、男性のカップルは稀にしか登場し無く為り、他の異性カップルと共に登場する様に為った。

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    歌川国貞『春夏秋冬 色の詠 冬の部』(1827年頃)Photo  Wikimedia Commons

 性とユーモアが緊密に結び付いて居た日本独自の性表現

 春本が、単独の個人やカップルの艶話だけに絞られた筋書きに基づく事は殆ど無かった。又同様に、西洋の「エロティック本」所謂「エロティカ」ではお馴染みのテーマがソコには不在である。春本に鞭打ちは無い。絶望の中で処女を守ろうとする少女も、暴力・拷問・殺人を含めたサディズムもそこには無く、辛うじて江戸末期に為って極少数の作品に於いて現れ始めるのみである。
 その一方で春本ではパロディーが重要な役割を果たして居る。仏教的な説話・歌舞伎・大衆小説・医学書・学習書等のエロティックでは無いテキストの多くがパロディーにされて居る。性とユーモアが緊密に絡み合った日本に於いては「書き換え」が興奮と楽しみをもたらして居たのである。
 春本はこの様にして、浮世絵師達に名声をもたらした。しかし、作品に自分の名字をサインして居た画家達は、1722年以降、偽名を用いる様に為る。例えば歌川国貞(1786〜1865)は「又平」と云う名を使って居た。追跡される可能性を残しながらも、偽名は作品の質の保証と為った。

 最大限の利益をもたらす消費財

 本の市場は非常に競争が激しく、他の木版の著作と同様に、春本は最大限の利益をもたらす消費財だった。春本は、江戸時代の極めて洗練された出版物の代表なのである。最も高価な顔料を用いた、その色彩のバリエーションは非常に豊かである。格別に精妙で高価な印刷の効果が見て取れるのも春本に於いては普通の事である。最も美しい紙・最も複雑な装丁・そして最も洗練された「表紙」の装飾等も当たり前の事だった。
 これ等の挿絵本は1800年から1868年迄豪華本の市場を支配して居た。恐らく、それ等の出版に至る迄には、1つ2つの出版元が手を組み、新作を発表して裕福な愛好家から予約金を取る事で前借資金を確保して居た事だろう。
 19世紀の多くの春本の最初と最後の頁には、貸本に特化して居た本屋の屋号が確認されて居る。貸本屋の経営者は、貸本に依って出資金が倍増する事が確実視出来たので、春本の在庫獲得に多額の資金を投資する事が出来た。取り分け19世紀に於いては、こうした本屋が、出版の資金面に於いて重要な役割を担って来た。

 国際化の中で排除された春本

 しかし、日本が国際的な市場へと強制的に開かれ、それに伴って政治経済に混乱が生じると、春本の出版は落ち込んで行った。その一方で春本が初めてヨーロッパに辿り着いた1860年代の終わりに、その出版は再び盛り上がりを見せたが、1870年代の初めには、外交官や外国商人の非難を受けて、当局は春本を陳列棚から排除し出版を制限した。
 その後、発展目覚ましい日本の指導者達は、外国人の目に汚らわしく見えそうなものを排除した。春本はその範疇へと落とされてしまったのである。


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 英リーズ大学名誉准教授エリス・ティニオ Ellis Tinios Honorary Lecturer, University of Leeds.

 Dr Ellis Tinios taught East Asian History in the School of History, University of Leeds, for 24 years. In those years, he served as curator for three exhibitions on Japanese art at the Leeds University Gallery. Since taking early retirement in 2002, he has pursued his interest in the illustrated books and prints produced in Japan between 1600 and 1900. His institution links include visiting researcher at the Art Research Center, Ritsumeikan University, and special assistant to the Japanese Section of the Department of Asia, British Museum. He teaches a course of Japanese illustrated books each year at the Freer-Sackler Gallery in Washington, D.C. under the auspices of the Rare Book School, University of Virginia. His most recent publication is Japanese Prints: Ukiyo-e in Edo, 1700-1900 (British Museum Press, 2010).

                   以上













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