2017年02月22日
日本人に多い過ち「眠れぬ夜に寝酒」が体を痛めつけている
夜に眠れないから、とお酒を飲む人は多いのではないだろうか。
いわゆる「寝酒」は、眠れないときの対処法として、日本人にも馴染みが深いものだ。しかし、寝酒は眠りを促すどころか、質の良い睡眠を妨げるのだ。
□寝酒には入眠効果があるのか
お酒を飲んだ夜に、いつの間にか寝てしまったが、すっきりとした目覚めを経験できた人は少ないだろう。
結論から言うと、寝酒は睡眠の質を下げるものだ。寝る前にアルコール分を摂取すると、酔いが回って眠りにつきやすくなるのは事実である。一見睡眠に役立ちそうな寝酒だが、どうして悪影響を与えるのだろうか。
□寝酒は睡眠のリズムを乱す
人間は寝ている間に、深い眠りと浅い眠りを一定のリズムで繰り返している。
アルコールを飲むと、最初の眠りが一時的に深くなる。しかし、血液中のアルコール濃度が下がると、今度は目覚めやすくなり、中途覚醒の原因になる。睡眠の途中で目が覚めることは、質の良い睡眠とは言えず、翌日の目覚めにも影響するだろう。
寝酒など眠る前のアルコールの飲酒は、本来の睡眠リズムを乱してしまうのだ。
□他にもある!寝酒が質の良い睡眠を妨げる理由
質の良い睡眠とは、単に寝ているというだけでなく、内臓も活動せずに休息するものだ。アルコールは体にとっては毒物であり、夜寝る前に酒を飲めば、眠っている間も肝臓はアルコールの処理に追われてしまう。
さらに、アルコール量が多ければ、処理が追い付かずに、翌日に頭痛や気分の不快などの「二日酔い」の症状が残るだろう。朝一番に体がこのような状態なら、1日のパフォーマンスが下がってしまうことは必至だ。
□晩酌をする人も要注意!今日から行える対策は
1日の終わりのご褒美として、毎日の晩酌を日課にしている人は多いと思う。国立精神・神経医療研究センター病院の医師で、睡眠の専門家でもある三島和夫氏は、帰宅が遅いときの晩酌は、本人にそのつもりがなくても、寝酒をしているのと同様であると警鐘を鳴らす。以下に、毎日の晩酌で気を付けてもらいたいポイントを挙げよう。
・1日のアルコール摂取量を守る
1日の適正な飲酒量は純アルコールに換算して20g以下と言われており、ビールなら中瓶1本分、ワインなら2杯弱分、清酒なら1合分に相当する。これ以上のアルコール量は、長い目で見て健康にも害を与えるので、控えるのが賢明だ。
・寝る前3時間はお酒を飲まない
人間は一時間に7gのアルコールを代謝できるとされており、上記の1日のアルコール摂取量を守れば、約3時間で代謝できることになる。晩酌をする人は、寝る3時間前には酒を飲み終えることが大切だ。
「もう何年も前から寝酒をしているがいたって健康!大丈夫大丈夫!」そんなふうに思われた方がいるかもしれない。しかし、寝酒をやめれば明日のパフォーマンスが劇的に変わるかもしれない。まだ見ぬ自分が発見できるかもしれない。こんなふうに考えてみることはできないだろうか。