2016年12月01日
精神にまで影響大。 睡眠の中断と睡眠不足どちらがツラい?
夜眠りたいのに眠れない不眠は、つらいものだ。しかし、眠れない不眠よりも、むしろ睡眠を中断されることの方が、より悪い気分につながる可能性が高いという研究が発表された。
研究によると、連日にわたって睡眠を中断されると、眠りが浅くなり、精神面にも影響を与えるという。ポジティブな気持ちでいるのが難しくなるようだ。
□睡眠の中断と睡眠不足の気持ちへの影響を調査
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学医学部で精神医学と行動科学の研究をしているパトリック・フィナン助教授たちは、睡眠が中断したときの影響について調査した。
実験は、62人の健康な男女に、3日間連泊してもらい、睡眠の状態を調査するというものである。参加者は睡眠条件の異なるいずれかのグループに無作為に割り当てられた。一つのグループは、故意に毎晩睡眠中に8回起こされ、睡眠を中断された。もう一方のグループは、就寝時間が遅く睡眠不足ではあったが、睡眠を中断されることなく眠ることができた。
各参加者の睡眠は、脳波、血中酸素濃度、呼吸、心拍数、目と足の動きを記録する睡眠ポリグラフを用いてモニターされ、毎晩の気分や正負の感情を報告するように指示された。
□睡眠時間が足りていれば良いわけではない
実験の結果、初日の夜はグループ間での気分の違いはなかったが、2日目以降は、就寝時間が遅いグループでポジティブな気分が12%減少し、睡眠中に起こされたグループはポジティブな気分が31%減少した。
睡眠を中断されると、浅い眠りが続くことになり、体を休めたり修復したりする深い眠りを得ることができないことも判明した。
この研究から、睡眠不足よりも睡眠を中断される方が、気持ちや睡眠に良くない影響があることが分かる。
睡眠は、何時間眠っているかという時間を目安に語られることが多い。しかし、時間よりも睡眠の質の方が大切なようだ。細切れに眠っても、体が休まらなかったり、気分が回復しなかったりする。中断されずにぐっすり、深く眠ることが大切なのだ。
□睡眠の中断で不眠や体調不良になることも
夜に何度も目覚めると、深く眠ることができなくなり、睡眠障害や体調不良、そしてうつ病にもなりかねない。眠れないことは、気分にも大きな影響を与えるのだ。
逆に考えると、睡眠の中断が原因でうつ病が引き起こされていることもあるのだろう。
睡眠が中断されるには、いろいろな状況が考えられる。消防士や産婦人科などの仕事で呼ばれる場合、赤ちゃんの授乳や高齢者介護のために起きる場合、病気の影響や不眠症で目が覚める場合、などだ。
□睡眠中断に病気の影? 睡眠を改善するために
特に理由がなく睡眠が中断して目が覚めてしまう場合には、病気が隠れていることもある。
睡眠中断を引き起こす症状が考えられるのは、睡眠時に短い呼吸停止が起こる睡眠時無呼吸症候群、睡眠中に脚が動いてしまうむずむず脚症候群、睡眠中に手足がけいれんする周期性四肢運動障害などだ。睡眠時無呼吸症候群はいびきを伴うこともある。
治療できれば、病気と睡眠の両方が解決できるので、心当たりがあれば専門医に相談しよう。
また、病気以外の要因、例えば赤ちゃんの授乳や高齢者の介護では、周りの理解がないと一人で抱え込んでしまい悩むことにもなりかねない。
睡眠の中断は体にも気持ちにも負担を掛けるものだということを知ることが、まず大切だ。周りの人は気持ちのサポートとともに、睡眠がとれるようなサポートすることで、負担を軽減することができるだろう。