お笑い芸人の「リズムネタ」やCMで使われる音楽が頭の中で繰り返し流れ、頭から離れないことがある。
ちなみに筆者の場合は、リズムネタは笑いユニット「エグスプロージョン」の踊る授業「本能寺の変」、CMなら「結果にコミットする」がうたい文句の「ライザップ」だ。といっても、不快と感じるどころか、むしろはつらつとした気持ちになれる。しかし、中には、煩わしいと感じる人もいるだろう。
なぜ、このように同じメロディーが何度も頭の中で繰り返されるのか。どんな時に起こるのか。そして、それを消す方法はあるのだろうか。
□頭の中で繰り返すメロディーは「イヤーワーム=耳の虫」
同じメロディーが繰り返して流れる現象を、科学者は「イヤーワーム=耳の虫」と呼んでいる。
なるほどとうなずけるネーミングだ。そして、さまざまな研究が行われている。中でも研究の中心になっているのが、ロンドン大学心理学部のローレン・スチュワート教授らの研究チームだ。
頭の中で聞こえてくるメロディーは、実際の曲にかなり近い傾向があることや、イヤーワームをよく経験する人は、感情処理の役割を担う脳の灰白質の量が多いことなどが明らかになっている。
□耳の虫、イヤーワームは簡単なことをしている時に鳴る
スチュワート教授によると、イヤーワームが聞こえてくるのは、「認知的負荷が少ない」時だという。要するに、何も考えずにできる簡単なことをしている時だ。例えば、お風呂に入っている時、着替えている時、歩いている時などがそうだ(※2)。
そして、イヤーワームは、最近、耳にした曲であることも分かっている。確かに、筆者のイヤーワームの「本能寺の変」や「ライザップ」は、1年以内に頻繁に耳にしている、しかも、家で子どもたちがしょっちゅう歌っているメロディーだ。
□複雑なことをして耳の虫を消す
イヤーワームは、なかなか頭から消えないという印象があるが、煩わしいと感じるようになったら、どうしたらいいのだろうか。実は、消す方法がある。
簡単な作業をしている時に聞こえてくることを先ほど説明したが、これを逆手に取ればいいのだ。よく考えなくてはならない複雑な行動をし始めると、イヤーワームは消える。例えば、クロスワードパズルをしてみたり、深く意味のある会話を誰かとしてみるといいだろう。
□耳の虫を消すためにはすべてメロディーを聞き切る
もう1つは、イヤーワームを「消えろ消えろ」と煩わしく思うのではなく、曲が終わるまで聞き切ることだ。そうすると、しばらくの間、不思議とメロディーが頭を流れることがなくなる。
イヤーワームを楽しんでいる人は、そのままで。イヤーワームはストレスを下げるとも言われているほどだ。煩わしい人は、ぜひ、これらの方法、お試しいただきたい。