2016年07月11日
あの教授が驚愕発表。ビデオゲームが子どもの脳をスカスカ・依存症に
あの川島教授の言うことなら間違いなさそうだ。「脳トレ」でおなじみの東北大学川島隆太教授らの発表によると、長時間のビデオゲームを行う習慣が子どもの脳の発達、特に言語知能に悪影響を与えている。
■ビデオゲームばかりしていると言語知能に悪影響
これまでにもビデオゲームやオンラインゲームが、記憶力や集中力を低下させることは指摘されてきた。今回の研究では、ゲームに費やす時間に焦点を当てて、言語知能との関連を調べた。
対象は5歳から18歳までの子ども達だ。参加者は、普段どれくらいビデオゲームを行っているかを申告し、知能検査とMRI撮像を行い、数年後に再び追跡調査を受けた。
その結果、ビデオゲームに費やす時間が長い子どもほど、低い言語知能と関連していた。また追跡調査の結果から、長時間ゲームをする習慣のある子どもでは、より一層の言語知能低下につながっていた。
■長時間のビデオゲームは脳をスカスカに…
さらにこの研究では「拡散テンソル画像解析」という方法で、脳のどの部分が影響を受けるかを調べている。脳はたくさんの領域に分けられ各々が異なる機能を持つが、この方法ではどの領域同士がつながっているのか、またはつながり具合はどうかなどが分かる。活発に活動している領域ほど細胞同士のつながりは密で、逆につながりが少ない領域では活動が少ないと考えられる。
画像解析の結果、ビデオゲームを長時間行う子どもの脳は神経細胞同士の連結が少ない、いわばスカスカな状態の領域が多かった。特に影響が大きかったのは「海馬」で、ここは記憶に関わる領域だ。また脳の前側にある「中前または下前頭回」という領域の左側の部分でも影響が見られたが、ここは短期記憶に関わっている。
■長時間のビデオゲームで「依存症」の恐れも
さらに依存性に関わる領域にも影響があった。長時間のビデオゲームでは「ドーパミン」と呼ばれる物質が多く分泌されるが、過剰に出ると細胞を傷つける。
ドーパミンは本来嬉しいときや楽しいときに分泌され、快感を生み出す物質だ。しかし快感を得たいがために、際限なくゲームを続けてしまうという「依存症」に陥り、その結果として脳の組織や細胞が傷つく恐れがあるようだ。
■脳トレの教授だからこそ、ゲーム文化に一石を投じる
任天堂DS「脳トレ」シリーズの大ヒットで知られる川島教授だが、後にその著書の中で「脳ブーム」の狂乱を苦々しく振り返っている。
教授が目指すものは単なるお金儲けではなく、人がより良く生きることができる社会だという。そのために研究成果を社会にフィードバックすることを常に真剣に考えているとのことだ。
今回のゲームに対するネガティブな論文の発表にも、そんな川島教授の研究者としての心意気を感じることができる。