2016年07月04日
2060年の地球 熱波による「信じがたい蒸し暑さ」がやってくる?
熱帯ではない地域でスコールのように雨が降ったり、砂漠に花が咲いたり・・・。地球がなんとなく変だと日々の生活で感じる。とりわけ心配なのが真夏の暑さだ。これから地球の気温はどうなっていくのだろうか。
アメリカの名門、コロンビア大学が発表した、2060年の地球に関する恐ろしい論文を紹介したい。
■地球が熱波に襲われる
「今日も列島各地は猛暑日になりました。岐阜県多治見市では39度9分を観測し、今年の全国の最高気温を更新しました」
ここ数年、テレビのニュースで、7月後半から8月前半にかけて天気予報でよく聞く気象予報士の言葉だ。40度を超えることだって珍しくなくなってきた。
日本だけではない。世界各地が熱波に見舞われている。2015年7月、イランでは首都バグダッドで気温が52℃を記録した。イラン南西部の都市、バンダルマズハーでは気温が46度になり、湿度などを加味した体感温度は74度にも達した。同じころ、インドでは2000人余りが熱中症などで死亡した。
■2060年までに地球上で起こることは?
2015年12月、アメリカのコロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所の研究チームは、この先45年の間に、2億5000万人もの人が強烈な暑さによる影響を受けるだろうと発表した。
先のイランやインドで起こったような強烈な熱波が、今までよりも頻繁に起きるようなるという。地球の温度が上がると、湿度も上がる。暖かい空気は、さらに多くの水分を保持することができるようになるからだ。つまり、これからは単に暑いというだけでなく、湿度も相当高くなる。
■熱波により「信じがたい蒸し暑さ」に
研究チームは、2060年までに、250万人が”湿球温度”の33度に、750万人が”湿球温度”の32度にさらされることになる、と予測した。
33度や32度なら大したことじゃないではないかと思った方がほとんどだろう。とんでもない。湿球温度は、普段、私たちが「気温」として使っている乾球温度と違って、水の蒸発によって下がった温度を測定するものだ。従って、乾球温度よりも低い数字が表示される。
湿球温度で32度や33度というのは、「信じがたいほど蒸し暑い」ことを意味する。例えば、乾球温度が35.5度、湿度89%の場合、体感温度は65.5度にもなる。先述のイランの熱波に匹敵する体感温度だ。そして、この時の湿球温度は33.9度だ。
研究チームによると、湿球温度が35度以上になると、汗が蒸発しなくなり、人は自分自身を冷やすことができなくなる。熱中症になる人が続出する恐れがある温度だ。
■未来の地球では農業や建設業は夜間の仕事になる?
特に深刻な影響があるのは、インド、中東、西アフリカと考えられる。日本も全く影響がないわけでなない。覚悟は必要だ。
私たちは近い将来、今よりも蒸し暑い環境にさらされる。こうした自然環境に合わせた社会の仕組みが必要になる、と研究チームは訴える。例えば、農業や建設業など体を動かす体力勝負の仕事は、日中ではなく、涼しくなってからの夕方から夜間に作業をするのが普通ということになるのかもしれない。