2016年07月02日
寝る前の儀式「ルーティン」が子どもの睡眠、ひいては人生をも変える?
流行語大賞にノミネートこそされなかったものの、今や国民に広く知れ渡った「ルーティン」。このたびはスポーツ界で注目されたが、もともと「ルーティン」とは決められた一連の動き、動作といった意味で、ビジネスなど仕事に関して耳にすることが多かった。
今回のスポーツ界で注目された広い意味での「ルーティン」。心の平穏を保つにはもってこいの方法らしい。最近の報告によれば、お休み前のルーティンが快眠に有効であることが明らかになっている。
■安らかに眠りにつくには「ルーティン=寝前の儀式」が大事
寝る前にこれだけはしないと眠れないという、一種「儀式」めいたことをされる方は少なくないだろう。
パジャマに着替えるのはもちろんのこと、牛乳を1杯飲む、アロマオイルをたく、ぬいぐるみを並べる、哲学書を読む など、「今から寝るんだ」という合図を決めておくことで脳のスイッチも切り替わる。
朝起きたときに冷たい水で顔を洗ってスイッチを入れるのと同じように、毎晩同じ動作を行うことで1日の終わりにスイッチをオフにするのだ。
■子どもにとって 寝る前の儀式「ルーティン」は特に大切
この寝る前のルーティン、小学校入学前の子どもでは特に重要な意味があるらしい。
子どもの場合はルーティンといっても特別なことは何もなく、例えば親から本を読んでもらう、一緒に歌を歌う、寝床で今日の出来事をお話しするなど、ほんの少しの時間で済むものばかりだ。
日本を含む複数の国の0歳から5歳までの子どもを持つ1万人以上の母親を対象に調査した結果、お休み前のルーティンを行う頻度が高ければ高いほど、子どもの寝つきがよく、また昼間の行動にも問題が少ないことが分かった。
■子どもの睡眠不足が深刻化
睡眠不足はいまや大人だけでなく子どもにも広がっている。
環境省が10万人の子どもを対象に行っている「エコチル調査」の中間結果によると、午後10時以降に寝る1歳児は13%、3歳児は29%にも上るそうだ。また1日の睡眠時間が10時間以下の睡眠不足の子どもは1歳児で3%、3歳児で7%に上る。
幼児期からの睡眠習慣は小学校に入ってからも引きずりやすく、その結果として朝スッキリ目覚めることができない、学習に集中できない、キレやすい、または肥満になりやすいなど、さまざまな弊害を生み出している。
■寝る前の儀式「ルーティン」は快眠の秘訣
国を超えた大規模な調査によれば、毎晩ルーティンを行う子どもは就寝時間も早く、また睡眠時間も長くなる。
毎晩ではなくても、週の中でこのような寝かしつけの儀式の頻度が高ければ高いほど寝つきがよく、夜中に目が覚める回数が少なかった。これは眠ることに対する恐怖感や、親から離れることへの不安感が寝る前にコミュニケーションをとることで軽減されるためだと考えられる。
さらに寝る前の儀式の頻度が少ない子どもほど、落ち着きがないなど昼間の問題行動が多く見受けられることが分かった。
小学校入学前のお子さんで、昼間どうも落ち着きがなくて困るというのであれば、今夜からルーティンを取り入れてみてはいかがだろう。寝る前のほんの5分のコミュニケーションが、子どもの将来を変えるかもしれない。