2016年06月13日
睡眠時間は人種で違う! 黒人は睡眠不足?アジア人は?
大多数の人が同じ肌の色をしている日本では、睡眠不足になりやすいかどうかは「人による」という感覚でしかない。しかし、アメリカのような複数の人種が暮らす国では、人種によって睡眠時間に違いがあるようだ。
■様々な人種の中でも黒人は睡眠不足
アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、動脈硬化症の患者6000人の研究データを使って、人種ごとの睡眠時間の違いを調べた。
その結果、アメリカの黒人は、アメリカの白人に比べて、睡眠不足に悩む人が5倍も多いことが分かった。黒人は 平均6時間、もしくはそれより少ない睡眠しか取っていなかった。アメリカの国立睡眠財団は大人が必要な睡眠時間は7〜9時間としていて、6時間以下では少ないと判断している。
■なぜ人種によって違うのか 社会的ストレスが原因?
なぜ、黒人の方が睡眠不足に陥りやすいのだろうか。アメリカ社会では 、黒人は社会的にも環境的にも数多くの問題を経験している。「さまざまなストレスにさらされている人種だからではないか」と、研究チームのシャオリィ・チェン博士は考えている。
一般的にストレスは、仕事や家庭、経済的な問題が原因になることが多いが、チェン博士は「差別」もストレスの原因に挙げた。
■中国系、ヒスパニック系も睡眠不足に悩む
睡眠不足に悩むのは黒人だけではなかった。中国系アメリカ人は白人に比べて、2.3倍、ヒスパニック系は1.8倍も睡眠不足に悩んでいる人が多かった。
また、中国系アメリカ人は、39%の人が睡眠時に無呼吸になるという深刻な睡眠障害をかかえていることも分かった。一般的に、睡眠時に無呼吸の症状が出るのは肥満の人に多いが、中国系アメリカ人は肥満の人の割合が最も少ない人種だ。なぜ、このような症状が出たのだろうか。これらの多くは診断がついていないという。
睡眠の質は人種の違いだけで決まるのではなく、住んでいる場所、稼いでいる額、働いている場所でさえ影響を与える。十分な教育を受けていなかったり、失業したりしているなど社会的・経済的地位が低い人が睡眠時間が短く、睡眠の質も低い可能性が高いようだ。
■アジア人はぐっすり眠れる人種
ちなみに「アジア人」は「ぐっすり眠れる人種」のようだ。アメリカの国立睡眠財団が2010年に行ったアンケート調査で分かった。1週間のうち2〜3日以上、よく眠れる日があると答えている人が84%もいたという。逆に、「めったに」もしくは「一度も」よく眠れたことがないと答えた人は、アジア系ではたったの9%だった。これに対し、白人は20%もいて、黒人では18%、ヒスパニック系で14%だった。
日本人は質の高い睡眠ができているようだ。日本人の1人、アジア人の1人として、今夜も自信を持って布団に入っていただきたい。健やかな眠りが待っているはずだ。