会社や製品がひとめで識別できる「トレードマーク」。日本では商標(しょうひょう)と呼ばれ、商標登録できるようになったのはご存じだろうか?
従来は文字や図形、製品の形が対象だったが、今回の改正によってCMソングや包装紙の色など、いままで対象でなかった要素も保護されるようになった。ラッパが奏でる下痢止め薬のメロディやスーパーのロゴの色がすでに出願され、似たようなものがなければ商標権を得て、パクリやニセモノを排除できるようになる。ネットで話題になった「日焼けで有名な芸能人」色も、商標になる日が来るかもしれないのだ。
■世の中は「商標」だらけ
看板や商品パッケージの「ロゴ」や名称など、その商品やサービスがひとめでわかるものを識別標識と呼ぶ。他の製品と区別できるようにすれば消費者が間違わずに購入でき、メーカーにとっても都合が良い。逆に、似たようなロゴが出回ってしまうと、誤って違う製品を購入してしまうこともある。そこでほかのひとはそのロゴを使えない「商標制度」によって、登録者を保護しているのだ。
商標は知的財産権の一部である「商標権」として特許庁が管理し、OKが出ればコピーやパクリを排除することができるようになる。従来は、
・文字(製品名や会社名)
・デザイン
・図形(マークや記号)
が対象で、公共機関やすでに登録された商標とまぎらわしいもの、その製品や会社が特定できないものはNGとなる。
・〇〇赤十字株式会社 … 公共機関とまぎらわしい
・〇〇ビールという名の日本酒 … ビールか日本酒か、誤解が生じる
・アルミ缶 … どの製品か特定できない
このほかにも、全国の山田/佐藤さんには申し訳ないが、山田商店/佐藤商会などは「多すぎる」が理由で登録できない。登録済の商標があふれ、「名称」だけではオリジナリティを出しにくくなっているのが現状で、これを解消するために「音」「色」などマルチメディア化を図るのが、今回の改正の目的ともいえよう。
■「日焼け」の色も商標化できる?
この4月から登録できるようになった要素は、
・動き … 変化する文字や図形
・ホログラム … 角度によって見え方が変化する
・色 … デザインを問わない「色」だけ
・音 … 音楽、音声、自然音
・位置 … ロゴの貼り付け場所など
と幅広い。なかでもおもしろいのが「音」で、ラッパの音色がおなじみの下痢止め薬、CMで会社名を読み上げる際のジングルなどがすでに出願されている。パソコンの起動音も可能とされているので、かつて日本を席巻したパソコンの「ピポッ!」も商標化できる可能性が高い。
従来ルールでは「色」はデザインの一部として扱われていたが、新ルールでは「色自体」が商標として扱えるようになった。ただし「その製品やサービス」と区別できることが条件なので、跳ね馬マークの高級スポーツカーの「赤」ぐらい知名度が上がらないと却下されるだろう。
ひととき「日焼けがトレードマークの歌手」の色がネットで紹介され、確かに「あのひとの色!」と思わず吹き出してしまった。今回の改正を機にぜひ登録し「商標」になることを願う。
・会社の看板や製品のロゴなどを「商標」と呼ぶ
・登録すると商標権によって保護され、マネ/パクリを排除することができる
・音や色、動きも登録できるようになった
・「日焼けで有名な歌手」の色も「商標」になるかも