2016年02月02日
食べ物を落としたときの「3秒ルール」は正しいって本当?
落とした食べ物を拾うときに、呪文のように使われる「3秒ルール」。海外では少し長めの5秒ルールが一般的のようだが、どちらも安全に食べられるのだろうか?
アメリカの女子高生が実際に試し、「菌の少ない床なら大丈夫」と当たり前の結論を出したが、イギリスの大学でも同様の実験がおこなわれ、拾うまでの時間が長いほど多くの菌が付着することがわかった。確実に食べられるようにするなら、0.3秒ルールに短縮するのがよさそうだ。
■大学の床は意外とキレイ?
5秒ルールが本当なのかを実験したのは、アメリカの女子高生(当時)ジリアン・クラークさんだ。彼女はこの研究によって2004年のイグ・ノーベル衛生学賞を受賞している。結果は???な感じが残るものの、イグ・ノーベルにふさわしい研究テーマといえよう。
彼女はまず、大学の床がどれだけ汚いかを調べることから始め、結果、菌は非常に少なく予想よりもはるかに清潔であることを確認した。つまり、一見キタナそうな場所でも、5秒ルールは「あり得る」と判断したのである。
つぎに2種類のタイルを用意し、意図的に菌を付着させた後に食べ物を置いたところ、
・ザラザラのタイル … 食べ物に菌が付着した
・スベスベのタイル … ザラザラよりも多くの菌が付着した
という結果となり、量の多少はともかく、床の菌が食べ物にうつることがわかった。
タイルがザラザラのほうが少ないのは接触面積の差で、タイルに触れない部分が多いから、と考えるのが順当だろう。ただし、どちらか一方でも「菌が付着していなかった」なら別の考察が必要になるが、この結果は「床の汚れ具合」がカギであり、5秒という「時間」は意味を持っていない。つまり、このデータから結論を出すなら「5秒ルールは効果なし」としか表現できないのだ。
■落としてもすぐに拾えばコワくない
5秒ルールの効果がはっきりとあらわれた研究もある。イギリス・アストン大学のアンソニー教授は「なるべく短時間で拾うのが良い」と、時間ルールを肯定する結果を出した。
この実験では、拾い上げるまでの時間を3秒/30秒と変え、付着した菌の量との関連性を調べている。結果はシンプルで、30秒経ってからのほうは、3秒のときの10倍以上もの菌が付着することが分かった。つまり、なるべく短時間で拾い上げ、床に触れている時間を減らすことがルール成立のカギなのだ。
教授はこのほかに、
・クッキーなど乾燥した食品は、30秒でも菌はさほど増えない
・フローリングなど、固い床のほうが菌が多い
と挙げているので、「乾きもの」+「カーペット」ならさほど焦らなくてもOK、そのほかは全速力で拾うのが良いだろう。落ちている時間と付着する菌の量は「比例」と仮定すれば、0.3秒なら3秒の10分の1程度に抑えることができるので、時は金なりといったところだ。短時間で拾えば食べられる率は向上するが、「0.3秒ルール」ではケガ人が続出しそうなのでヤメにしておこう。
■まとめ
・落とした食べ物の「5秒ルール」が本当なのか、複数のひとが研究している
・床に落ちている時間が長いと、付着する菌も増える結果が出た
・3秒「未満」ルールなら、食べられる率は高くなる