2020年10月07日

ギャラ飲みアプリ

おすすめサイトBEST5
自殺の名所がある。
俺たちは窓越しに吹きすさぶ風に揺られる波を見ながら酒を飲んでいた。彼女は黙って盃を傾けている。人生で最後のお酒だ。あの世にお金は持って行けないのだから、最後くらいは贅沢をしてもいいだろう。店で一番高いお酒を出してもらった。斗瓶中取りの3年熟成。含んだだけで凡百の酒との違いが分かる高級品だ。
死のうと思っていた。人生は何もかも行き詰った。これから生きていても何もいいことはない。もしかすると、人生の大転換期が訪れるかもしれない。しかし、俺の心は訪れるかどうかの大転換期に期待するだけの余裕もなかった。
最後くらいは女の子と飲みたかった。思えば、女性には縁がない人生だった。出会い系サイトで知り合った女性と交際したことはある。だが、気づけば俺は単なる彼女の金づるであり、貯金はすっかりなくなっていた。
こんな俺の最後の夜に付き合ってくれる女性なぞいるのだろうか、と考えていたところにギャラ飲みアプリの存在を知った。お金を出せば食事やお酒に付き合ってくれる女性がいる場所だ。これは好都合だった。「○○で飲みたいのだけど付き合ってくれる方はいませんか?」とギャラ飲みアプリで投げかけると、地元の女性が名乗りを上げてくれた。
俺は今、その女性と最後の夜を過ごしている。彼女が口にしている盃の酒がなくなれば、俺たちの関係は終わりだ。俺にとっても現世での最後の思い出となり、彼女にとってもお金を払ってお別れなのだから、俺の最後に巻き込まれることはない。ありがたいことだった。
この世で一番美味い酒と、いい女に見守られて俺の人生は終わる。さようなら。
すると、飲み終えた彼女が徐に言った。
「この酒、ニセものだね」
熟成の味わいは残しているものの、実態は二級酒を混合させたもの。本物の熟成にこの酸味はありえないとのことだった。彼女は憤懣やるかたない様子で俺に提案してきた。
「偽装だよねー腹立つなー。本物のお酒出す店知ってるから、今度、一緒にそこ行かない?ギャラはいいからさ」
死ぬのはもうちょっと先にしてもいいかな?と俺は思った。
愛人契約の相場
お金持ちのパパ
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