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2021年02月06日
ブルガリアの赤いバラ@ 【旅にインスピレーションを得た短編小説】
敵は、すぐ近くに迫っていた。
「シプカ峠は目の前だ。その先にエタルの同志が待っている。包囲さえ突破できれば…!」
青年が言い終わる前に、激しい銃撃音が辺りの空気を震わせた。モスクの扉から駆け込んできた男が、祭壇の前にいた男女に向かって怒鳴る。
「ヴァシル、ここはもうもたん!裏口から逃げるんだ!」
モスクの前では数名の同志が迫り来るトルコ兵に銃で応戦している。アルシアは、ヴァシルと呼ばれた青年の胸から自らの体を引き剥がして言った。
「私は峠越えの足手まといになるわ。早く逃げて!」
「アルシア、君を置いていけるわけがないだろう!」
「父さんと母さんが捕まっているのよ。見殺しにはできない!」
尚もアルシアの手を離そうとしないヴァシルの手を振り払うようにして、彼女は気丈にも笑顔を作った。
「大丈夫。私のことはセリクが助けると約束してくれた。だから早く行って!」
その言葉に、セリクがブルガリア人の味方だと信じて疑わないヴァシルは、後ろ髪を引かれながらも最後のキスを残して仲間と共にモスクの裏の出口へと消えていった。
数分後、勢いよく扉が蹴破られ、トルコ兵がモスクの隠し部屋に押し入って来た時、聖母マリアの絵が飾られた祭壇の前には、一心に祈りを捧げるアルシアの姿だけがあった。
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タグ:ブルガリア
2021年02月16日
世界一周の旅:北米篇G【アメリカ】とことんツイてない日
A voyage round the world : North America Edition G Thoroughly unlucky day【July 2011】
遅延に次ぐ遅延…
7月25日、北米旅最大の試練の日がやってきた。
その朝の時点で、次に北米に来る時は飛行機以外の乗り物は一切使いたくない、と思うほど乗るバス、鉄道のほとんどすべての遅れを経験していたが、この日はついに飛行機にまで裏切られることとなる。
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遅延に次ぐ遅延…
7月25日、北米旅最大の試練の日がやってきた。
その朝の時点で、次に北米に来る時は飛行機以外の乗り物は一切使いたくない、と思うほど乗るバス、鉄道のほとんどすべての遅れを経験していたが、この日はついに飛行機にまで裏切られることとなる。
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