プロジェクトFX 〜 投資家たち 〜 第2話
熊川 『跳ね返らなかったよぉ!抜けちゃったよぉ、日足の120MAを・・・』
横中 『えっ!本当に!?』
牛山 『さっきから、オーバーシュートで日足が確定したときには、下ヒゲだろうから大丈夫だって説得してるんだがな、熊川が動揺しっぱなしなんだよ。』
牛山は、相変わらず楽観的だった。
横中 『確かに、まだ、東京時間だし日足が確定していない。ヒゲで抜けただけのオーバーシュートになる可能性も十分にあるように思える。しかし、抜けてきているという事実がある。』
横中は、至って冷静だった。
熊川 『これはさあ、先週の3人で日足チャートを分析したときの結論は、120MAで跳ね返り、陽線になるだろうとの想定と違うよね。今現在、陽線ではなく陰線を作ってきてるよね。やばいんだよぉ!』
熊川は、動揺はしていたものの現状を把握したうえで意見を言っていた。
牛山 『だからさぁ、日足はまだ確定して無いじゃん。それに今の時間は、ネガティブ東京時間だぜ。東京時間なんて下落することが多いし、当てにはならないだろ。たとえ、121円を割ったとしても、その下には守護神、日足の200MAがあるんだぜ。』
牛山は、200MA信者のようだった。
横中 『確かに、この下落スピードでは、日足200MAを下抜けることは容易ではないと思う、ただ、現在10時の時点で120MAを抜けてきているという現状を見た場合、警戒する必要はある。もし、121円の節目を抜けて来たときはその動き方を注視しよう。』
熊川 『了解、121円を抜けるときは注視ね。』
牛山 『りょーかい。まぁ俺はこの下落スピードで121円を抜けてくるとは思わないけどね。』
牛山は、渋々納得したようだった。
それもそのはずである。このジリジリとした遅い下落スピードでは怖さは感じられない、まして東京時間である。ネガティブ東京と言われるように、東京時間では少し下落するという消極的な動きが多く、その日の流れを作ることは少ない。
また、その後の欧州やニューヨーク時間に東京時間の動きを全否定されるようなことも多いのである。
【11:40】
121円を10:30から1時間も下抜けはできない状態だった。
牛山 『なっ!言ったとおりだろ。121円を抜かれないぜ、121円を下抜けできないんじゃ、守護神にタッチすら出来ないぜ。』
横中 『確かに。』
熊川 『そうだね。』
と、3人がホッとしたときである。スルスルと121円を抜けてきた。
横中 『おい!抜けてきたぞ。』
牛山 『なにっ!抜けてきただと!しかし、守護神200MAが控えているから大丈夫のはず。』
熊川 『本当に大丈夫なの?』
熊川は不安そうだった。
120.73まで下落して止まった。牛山の言うとおり、200MAで止まった形だった。
牛山 『オー、やっぱり守護神が守ってくれた。でも、まさか200MAにタッチしてくるとは驚きだ。』
それからは、12時を過ぎても200MAを抜けることなく時間が過ぎていった。
横中 『あとは、東京オプションカットの15時を過ぎたときに、どう動くかが問題だな。』
牛山 『15時で相場の流れは変わりやすいからな。』
熊川 『欧州時間でこの流れを否定してくれればいいんだけど・・・』
15時を過ぎても、121円を境にもみあっていた。相場の流れは反転してないが、一応、下落は止まったとも見えなくはなかった。
牛山 『やっと、止まったかな。』
熊川 『止まったかは判らないけど、反転してないことは確かだから要注意だね。』
横中 『まだ、この時間では判断できない。夕方どうなるかだな。』
【16:40】
120.73 を下抜けてきたが、120.61 ですぐに止まった。
横中 『フランクフルト市場がオープンして、120.73を下抜けてもすぐに止まり、日足の200MAを抜けないということはやはり、相当強い抵抗線ということか。』
牛山 『そりゃあそうだろ。なんてたって守護神200MAだぜ!タッチするだけでも、たいした下攻めだよ。』
熊川 『守護神は偉大だね。あの下攻めを止めるなんて。』
そんな、会話をして間もなく事態は一転する。
【16:50】
一番最初に気づいたのは熊川だった。
熊川 『あぁー!守護神がぁー!』
熊川の悲鳴にも近い声で聞いて横中、牛山もチャートを確認する。
横中 『なんてことだ!日足の200MAを下抜けて来たぞ!』
牛山 『嘘だろ!おいっ!守護神が抜かれるなんて!』
・ ・ ・ 第3話へ つづく
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