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2016年11月04日

キリスト教とその可能性‐キリスト教史リポート

5.jpg「教科書に載らない歴史」はここをクリック 高校で普段行っている授業の実践記録や日記集、研究など、教科書に載っている事だけを授業するなら教員なんていらない。誰も知らないことを授業で取り上げる事に意味がある。教科書では語れないことや取り扱って欲しい内容を取り揃える。教科書で語れない内容に真実や日本文化の素晴らしさが詰まっている。日本人としての心を取り戻す教育、その一部を紹介します。






キリスト教とその可能性‐キリスト教史リポート

現代の社会においてキリスト教は唯一絶対の真理ではなくなった。

それは、自然科学の発達によって、これまで教えられてきたキリスト教の教義や儀式、価値観が現実のものではなく、間違いである点がいくつかでてきたからである。


 例えば、ローマ・カトリック的キリスト教では、地球を中心に世界が廻っていることが信じられていた(天動説)。

しかし、科学は進歩して、人間は宇宙にまでその行動範囲を広めた。そうなると、現実では、地球は太陽の周りを廻る1惑星に過ぎないことが分かった(地動説)。

こうなると、それまで教えられてきたキリスト教の教えが間違いであることが判明した。


 その他、聖母マリアが処女でイエスを生む確立である。

もちろん、処女で妊娠する確立は0ではない。しかし、どんな場合でも、必ず精子と卵子の結合は必要で、けっして、精子と卵子の結合なしでは子供を宿すことは不可能である。

生物学の発達は処女マリア信仰を否定できるものとなった。


 その他、生物学の進歩によって、人は神がお造りになったというキリスト教の教えに疑問が出てきた。

この問題に関しては、現代の科学力でも科学的に100パーセントの確証は保証できないので、もしかしたら、キリスト教の教えが正しいのかもしれない。

しかし、人間の進化が、原生生物から海の生物、海の生物が陸に上がり、猿、人、という流れで、進化の過程をたどったとされるダーウィンの進化論、また、最近注目されているウイルスによって生物が進化していくウイルス進化論。

これらの理論は今現在の世の中で、一般的に知られ信じられている学説である。

科学的な裏づけがまったくない、人間は神がお造りになったというキリスト教の教えは現代人にとっては、単なる空想論なのかもしれない。


 理論だけの科学的根拠のない空想的な教えに対して、現代の人間は心を動かされにくくなっている。

人を納得させるためには理論だけでなく、科学的な裏付けが証拠として必要なのである。

科学的な裏付けのないキリスト教に対して現代人(特にキリスト教国とされるヨーロッパやアメリカ)のキリスト教離れが進んでいる。

もちろん、クリスマスや結婚式などの文化としてのキリスト教は廃れることはないが、しかし、キリスト教の教義や教え、毎週あるミサなどの宗教的な信仰としてのキリスト教は廃れつつある。


 しかし、他方で特にアフリカや韓国などではキリスト教が広まっている。

近代時代、アフリカではヨーロッパ列強の植民地支配政策の1つとして、半ば押しつけられた形でキリスト教の布教が行われた。

だが、植民地支配が終わった現代においても、アフリカではキリスト教が廃れるどころか、逆に広まりを見せている。

ここにキリスト教の新たな可能性を見る事ができる。

キリスト教ほど世界中に広まっている宗教は他には無い。

おそらく、キリスト教には地球に住む人々の心になにかしらの気持ちを訴えかける事ができる大きな力が秘められているのだと思う。


 また、キリスト教の可能性として、人々に共通の意識を持たせる力がある事である。

その成功例として、ヨーロッパ共同体(EU)がある。EUの統合が今のところ順調に進んでいるのはキリスト教の力が大きいのではと思われる。

かつて、ローマ帝国として同じ国で同じ宗教を信仰し、それ以後も、宗派の違いはあるけれども、同じ宗教を信仰してきたことは、ヨーロッパ人としての共同概念を育て、1つの共同意識となっているのではないだろうか。

この共同意識があるからこそ、ヨーロッパ共同体が存在できるのではと思う。

多様な人の心を1つにまとめる時に宗教という存在が大きな力となる例と言えるだろう。


 私自身がこのような世界を望んでいるわけではないが、もし、キリスト教が世界中に広まり信仰の対象となれば、世界の人々に共通の意識が生まれる。

そして、そこから世界中で共同意識が生まれてくるかもしれない。


 最後に、私が思うことは、今後のキリスト教の課題として、空想的な事柄をできるだけ強調することを止め、また、カトリック教会の権威付けのために作られた聖書の構成や教義を見直し、イエスの慈悲に満ちた言葉と生き様を正しく理解して広める必要があると思う。

そうすることによって、今後も世界中で愛される宗教になると思う。

(キリスト教2000年史 いのちのことば社 井上政己 参照)


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