主演は天知茂で新東宝時代は、ゲテモノ映画によく出ている。タイトルバックに流れる音楽からしておどろおどろしいが
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天知の役は、天草の乱のときに勝姫に仕えていた小姓が勝姫の血を吸って何百年と生きている吸血鬼の役だ。
ストーリーは記者の大木が婚約者の邸宅のパーティーで行方不明になっていた婚約者伊都子の母美和子が
昔の若さのままで突然現れたところから始まる。失踪から20年以上経っているのに、全く年をとらない美和子(三原
葉子)の姿にみんなが驚いたが、美和子は九州のある場所に監禁されていたのだった。
美和子を誘拐したのは竹中(天知茂)という謎の男だった。それからある日絵の展覧会で伊都子は母そっくりの
肖像画を見ていると後ろから黒メガネの怪しげな男に声をかけられた。男はどうやら絵の作者らしかった。
また美和子を監禁していたのもどうやらこの男だったようだ。
大木は謎の男の正体をつきとめ名前も竹中ということもわかったが、竹中はホテルの逗留中に女給に月の光を浴びて
吸血鬼に変身するところを見られてしまう。正体を見破られた竹中は、女給を噛み殺し町へ出て子分の小人と
大暴れして殺人を繰り返し帝都は恐怖のどん底にたたき落とされる。
しかし竹中と美和子の間には深い因縁があった。美和子の先祖は島原の乱で滅びた天草四郎の遺児の勝姫の
末裔だったのだ。
九州に逃げた竹中と警察の最後の死闘が始まったのだった。
製作は大倉貢でいかにも新東宝らしい見世物小屋的な因果物で懐かしい。いかにもこの胡散臭さが新東宝好きの
私からしたらいいのである。しかし今の若い人がみたら退屈するのではないか。原作は橘外男。
一寸法師の和久井勉がバーで暴れまくるシーンも印象に残る。
中川信夫らしい作品だが、天知のメークが怖い。しかし月の光を浴びて変身するのは狼男だと思うが・・・
そして題名は女吸血鬼だが天知以外吸血鬼は出てこない。このアバウトなところが新東宝である。