アフィリエイト広告を利用しています

2016年02月29日

「血槍富士」内田吐夢、片岡知恵蔵

内田吐夢監督が、復員後戦後初めて撮った時代劇映画が「血槍富士」である。主演は東映時代劇の大御所片岡

知恵蔵で、藩命を受けて街道を行く武士とその家来の槍持たちの物語である。

槍持の権八(片岡知恵蔵)の主人小十郎(島田照夫)は人はいいのだが、酒乱の気があるのが玉に瑕で、面倒を見ている

権八は主人が酒で失敗しないかとハラハラしながら見守っいた。そんな街道を行く一行に、浮浪児の次郎が興味半分

でついてくる。権八の槍を見て少年は興味を持ち槍持になりたいと言い出した。権八もまんざらでなく少年に槍を持たせ

たり手伝いをさせたりしていつのまにか仲間になっていた。

血槍富士 [DVD]

新品価格
¥2,721から
(2016/2/29 20:46時点)




街道を行く旅人は、権八たちだけでなく、旅芸人のおすみの母娘、借金のかたに身売りされることが決まったおたねの

父娘、挙動不審な藤三郎(月形龍之介)や巡礼を装った大泥棒の風の六衛門などワケありの人々だった。

権八と主人の小十郎は、彼らのとの交流を通じて武家社会とは違う庶民の暮らしや自由さを知り、小十郎には


考えるところがあった。権八の相棒で小十郎の軽輩である源太は、一度主人を諌めることができず一緒に飲んだことか

ら酔いつぶれてこっぴどく権八に叱られたこともあった。

ほのぼのとした旅もそろそろ終焉に近づいたころ、小十郎は思うところあって源太を連れて酒屋に入った。

一度酒に失敗して権八に叱責されたことから源太(加藤大介)は固辞するが身分の差で断れるはずもなかった。

小十郎は今度の旅の経験で武家社会の矛盾に気づき嫌気がさしていたのだ。

源太にいろいろと愚痴を言っていると、そこへ侍の集団が入ってきた。集団は武士が下男と一緒に酒を飲むとは

何事かといいがかりをつけて斬りかかってきた。多勢に無勢で小十郎と源太は無残にも殺される。


主人の危機を聞いた権八は、早速槍を持ってかけつけるが、そこには二人の死体が転がっている。

怒りに燃えた権八は、悪鬼の形相で槍を振り回すのだった・・・

この映画の意外性は、前半ほのぼのとした人情劇で少しも血なまぐさいシーンなどなく、淡々と進むロードムービー

なのにラスト付近でガラリと展開が変わることだ。知恵蔵の大立ち回りは破天荒で映画史に残るものと言えよう。

全編武家社会の批判精神で貫かれていて、内田監督の軍国主義への批判ととも取れる映画だ。
posted by ハヤテ at 20:13| 時代劇

2016年02月28日

「幻の湖」南條玲子、橋本忍

東宝80周年記念として企画され、日本屈指の脚本家橋本忍が、渾身の思いで作った作品が「幻の湖」だ。

橋本忍は、黒沢作品の脚本を多く手がけこの映画公開当時は、「砂の器」や「八甲田山」「八つ墓村」の脚本も

担当し次々にヒットし飛ぶ鳥を落とす勢いだったのだ。

その勢いで脚本から監督まで手がけた「幻の湖」は橋本の代表作になるはずだったのだが・・・

主人公のトルコ嬢尾坂道子、源氏名お市は雄琴で働いていたが、マラソンが趣味で毎日愛犬シロと琵琶湖周辺を

走るのが趣味だった。

幻の湖[東宝DVD名作セレクション]

新品価格
¥1,863から
(2016/2/28 17:41時点)




お市(南條玲子)はトルコで働いたお金をこつこつと貯金して東洋銀行に預け数千万円の大金を持っていた。道子の夢


はトルコを引退して普通の奥さんになるという平凡なものだった。勤務先のトルコ「湖の城」では同僚の淀君(かたせ梨乃)

と対立しながら、また東洋銀行の倉田(長谷川初範)の淡い恋愛などを織り込みながら物語は進んでいくが、

ある日、愛犬シロが何者かに殺害され、琵琶湖のほとりに遺棄されていると道子のもとへ警察から連絡が入る。

道子は嘆き悲しみ犯人を突き止めようと奮闘する。犯人はあっさりと特定され琵琶湖に遊びにきていた芸能プロの


一行だということがわかる。そして実行犯は売れっ子の作曲家日夏圭介であることを知り東京の日夏の事務所へと


張り込む。しかし日夏は出てこず警備員に道子は追い返される。しかし東京でトルコ嬢を辞めたローザと再開し

ローザの尽力で日夏の顔と住所がわかった。ローザは実はCIAで雄琴へは工作のために潜入していたのだ。

日夏は毎日ジョギングの習慣があり、道子は日夏の家の前で出てくるのを待った。日夏の走りに合わせて搬送

する道子、シロの仇討が始まった・・・

マラソンとトルコ嬢という相反するものをテーマにしたのは斬新だったが、途中から戦国へシフトしたり最後は


幻の湖 (1982年) (集英社文庫)

中古価格
¥238から
(2016/2/28 17:42時点)




宇宙空間へ移動したりとだんだん整合性が取れなくなったのは痛かった。しかし世間の評判ほど駄作とは思わない。

それなりに楽しめるが時代が早すぎたのか。上映は2週間ほどで打ち切りとなり、橋本忍は事実上業界を追放された。

私は偶然にも劇場で鑑賞することができ、見終わったあとは奇妙な気持ちになったのを覚えている。

謎の笛吹男長尾に最近台湾で事件を起こした隆大介が扮し、主演の南條玲子はこの作品がデビュー作である。

とにかく走るシーンが多く、コーチにマラソンの宇佐美選手がついてトレーニングしたようだ。南條にとって相当負担

だったと思うがよく頑張った。しかし美形で品もあり努力家の南條が大成しなかったのはなぜだろう。

音楽に芥川也寸志は壮大なスコアを書いて本作を盛り上げている。よくも悪くもカルトの記念碑的作品だろう。



オリジナル・サウンド・トラック 幻の湖

新品価格
¥3,012から
(2016/2/28 17:42時点)




タグ:橋本忍、
posted by ハヤテ at 17:01| SF映画

2016年02月26日

「関の弥太っぺ」中村錦之助、山下耕作

長谷川伸原作の戯曲で、中村錦之助主演で映画化された「関の弥太っぺ」は股旅映画の名作である。

常陸の国、関本に生を受けた弥太郎こと弥太っぺは、若くして親と死に別れ唯一の肉親である妹と祭りの夜に

生き分かれて以来旅から旅への流浪の生活を送っていた。

関の彌太ッペ [DVD]

新品価格
¥2,724から
(2016/2/26 21:38時点)




ある日弥太っぺが、甲州街道の茶屋で一服していたところ幼い娘が川へ落ちて溺れかけていたのを見る。

弥太郎は自分の命も顧みずに川へ飛び込み娘を助け娘はなんとか命が助かったのだった。娘の名は小夜といい

手々親の和吉と親子ずれで旅をしいていたのだ。しかしほっとしたのも束の間、弥太郎が妹と再開したときに

婚礼の支度金に用意していた50両が跡形もなく消えていた。実は娘の手々親和吉は、胡麻の蝿で盗賊だったのであ

る。

そのころ和吉の虎の子の金を奪われた箱田の森介(木村功)が、和吉から金を取り返そうと追ってきた。

弥太郎は50両が戻れば命まで取る気はなかったのだが、怒り心頭の森介は和吉を惨殺してしまう。

今際のきわに和吉は小夜のことを弥太郎に託して息絶えた。


和吉が死ぬ前に小夜を届けるように言った先は、澤井屋という旅籠だった。澤井屋のおかみたちは縁もゆかりも

ない娘を押し付けられて迷惑がったが、実は深い因縁があったのである。


10年の時が流れ弥太郎は切った張ったの荒んだ生活をしていたのだが、運命のいたずらで美しく成長した

小夜と再開するが・・・

長谷川伸の名作を山下耕作が丁寧に演出し、錦之助が名演技を見せる。単なる股旅ものではなく、人間愛は根底


に流れている。「言わぬが花」という一昔前の日本人の美学を体現した作品である。木村功のチンピラ演技も


光っているが錦之助の演技の幅の広さには驚く。日本時代劇最後のスタアと言えよう。

劇画・長谷川 伸シリーズ 関の弥太ッぺ (イブニングコミックス)



posted by ハヤテ at 21:06| 時代劇

2016年02月25日

「エスパイ」藤岡弘、小松左京、草刈正雄

小松左京原作の「エスパイ」を映画化した1974年の藤岡弘主演の映画が、超能力を本格的に扱った作品としては

日本初だったと思う。

東欧の架空の国バルトニアの首相の来日をチャンスに暗殺して世界の破滅を目論む悪の超能力者ウルロフ(若山

富三郎)が率いる組織とそれを阻止して世界平和をめざす超能力者との対決を描くSF映画である。


エスパイ [東宝DVD名作セレクション]

新品価格
¥2,160から
(2016/2/25 17:39時点)



国連から委託を受けて悪と戦うグループのリーダーに加山雄三が扮し、藤岡はそのナンバーワン部下の田村という設


定である。由美かおる扮するマリアはその超能力者グループのメンバーである。プロのドライバーだったのが


その能力を認められてスカウトされるのが草刈正雄が演じる三木である。三木は最初は自分の力を制御できなかった

が訓練によって超能力を高めるのに成功する。しかし悪の組織に反撃して敵を殺害して苦悩するのだ。

ウルロフは加山扮する法条グループの弱点が女性のマリアにあると見て誘拐する。

田村はマリアを救出しようと敵のアジトに侵入するが、マリアは催淫剤によって忘我の状態になっていた。

しかし田村は敵の罠にはまり囚われの身となる。身動きが取れない田村の目の前でマリアは裸になり、黒人と

性行為に及ぼうとする。田村の怒りが極限に達したとき、念力で黒人の舌を引きちぎった。

のたうちまわる黒人。しかしウルロフはこんなことでは、世界制服の野望を諦めないのだ・・・


スパイと超能力という融合させた当時としては画期的な作品である。念力やテレパシー、テレポーテーションといった

なかなか証明できないテーマと人間愛を軸に作られている。

そして極悪人のウルロフにも悲しい過去があったことも描かれている。

若山は時代劇やヤクザ映画のイメージが強くSFは珍しいが快演技は注目である。

この映画の公開当時、日本は超能力ブームでテレビでは毎週のように取り上げていたのだが・・

主演の藤岡も仮面ライダーをはじめこの頃が脂が乗り切っていた。脇を固めるのが草刈や加山となかなか豪華

である。尾崎紀世彦のテーマ曲「愛こそすべて」は名曲である。

ラストシーンの迫力は迫力がある。監督は福田純


エスパイ (角川文庫)


posted by ハヤテ at 17:07| SF映画

2016年02月01日

「修羅がゆく7 四国烈死篇」哀川翔、永島敏行、清水健太郎

「修羅がゆく7」は、四国土佐の地元組織と本郷組が、伊能の息のかかった松山の鮫島(永島敏行)と岸田組連合との

死闘を描いている。

高知の土佐一家は、昔ながらの任侠であったが西瀬戸自動車道の建設利権をなんとか確保していた。

修羅がゆく 7 [DVD]

中古価格
¥4,000から
(2016/2/1 16:58時点)





しかし松山の鮫島は、伊能の後ろ盾があるのをいいことに高知へ出張ってきたのである。

土佐一家組長の桂(清水健太郎)は、度重なる鮫島の挑発にも乗らずじっと耐えていた。鮫島と背後の伊能の狙いが


西瀬戸の利権にあることは明白だったからだ。隙あれば言いがかりをつけて利権を横取りしようとしていたのだ。

しかし土佐一家幹部の大原(宇梶剛士)は、まんまとおびき出されて伊能たちの部下に暗殺されてしまう。


それでも耐える桂に若衆たちは、報復を願うが拒否する。桂の部下は実戦経験に乏しくとても岸田組や鮫島との

抗争に勝てそうもなかったのだ。

ちょうどそのころ、本郷は岸田組先代の三回忌に高知を訪れていたのだが、このことを知った伊能は土佐一家もろとも

本郷を抹殺しようと岸田組の兵隊を送り込んできたのだ・・・


この作品は永島敏行、清水健太郎、宇梶剛士と脇役陣が豪華でありなかなか楽しめるアクション作品となっている。
posted by ハヤテ at 16:36| 映画
最新記事
プロフィール
ハヤテさんの画像
ハヤテ
プロフィール
カテゴリアーカイブ
検索