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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2017年10月29日

夕暮れ


安全地帯V 好きさ』十二曲目、すなわちラストチューン、「夕暮れ」です。

ステキなギター・インストです。武沢さんの曲として、初めて収録された曲、ということになるでしょう。玉置さんのボーカルがないせいか、一見地味なのですが、耳を澄まして聴くととてもよく作り込まれた曲だということがわかります。

リズムですが……田中さんのドラムは、もしかしてバス・ドラと、イントロ、間奏のハイハットしか鳴らしていないんじゃないでしょうか。「ズン、カシャ、ンシャシャ……」の、ひたすら繰り返しなんですが、この「ズン」だけがバス・ドラで、あとの「カシャ、ンシャシャ」は……鈴、ですよね。あの、手に握る、鈴がいくつかついた、アレじゃないでしょうか。なんていう楽器かわかりませんので調べてみたら、そのまんま「鈴」でした。なんだよそれ!鈴のついたグリップだろー、「のついたグリップ」の部分は無視かい!とか怒っても全然仕方ないんですが、非常に釈然としない気分になってしまいました(笑)。

六土さんのベースは、正直、ストリングスが邪魔に感じるくらい、ムードを支配しています。ズシーン、ズシーンと低音ばかり弾いているかと思いきや、低音と高音の組み合わせでズシーン(低)、ズキューン(高)、ズシーン(低)、ズキューン(高)、ズシーン(低)、ズシーン(低)ズキューン(高)!ズキューン(高)!ズキューン(高)!ズキューン(高)!ズキュキュキュキュ〜と、容赦なく人の心を上下に揺さぶります。ああー、夕暮れの、太陽が雲間なり稜線なりに見え隠れしているあの感じだー!と、力ずくで思わせるかのような説得力の凄さです。

さらっと書きましたが、この曲、ストリングスは正直蛇足であるようにわたくしは感じています。いや、もちろん最高のアレンジですし、曲の盛り上げにたいへん貢献しているとは思うのですが、アコースティック・ギター二本の響きを前面に出したバージョンを聴きたいのです。オーケストラはちょっと聴き疲れたから弦楽四重奏で……ああ、ソースいっぱいのフランス料理は食べ飽きたから、最高のシャケ塩焼きに、漬物と茶漬けを出してくれ、というほうが近いでしょうか。これはわたくしの好みというか、時代の流行というか、そういった類の「水もの」ですので、聞き流すのがよろしいでしょう(笑)。

さて、お二人のギターですが、主旋律を担当するガット弦ギターと、伴奏を担当するスチール弦ギターの、二本のアコースティック・ギターがメインです。メインです、というか、わたくしの耳だとそれ以外があっても聴き取れないのに、まだ隠し要素があったときに気づいていなかったことがバレると恥ずかしいから予防線をはっているという、非常に潔くない態度です。この「〜がメインです」には、お役所から来る文書の「等」と同じような役割を担わせています(笑)。とかなんとか書いていたら、さっそく気づいてしまいました。サビ(?)で何度か響く「ギャイーン!」という武沢トーンのコードストロークは、さすがにこのお二人でも、重ね録りでないとムリでしょう。

この曲は、30周年ライブでも演奏されていましたが、映像を観ると、武沢さんがとても細かく指をふるわせているのが見て取れます。いわゆるビブラート奏法なんですが、武沢さんがやると、なぜかちょっと感動的です。おおーさすがギターの名手!って思うんですよ、クラシック・ギターの基本技術なんで、ご本人は当たり前に弾いているだけなのでしょうけども、もう手つきが名人肌すぎます。

矢萩さんはイントロのリフと、サビ(?)以外ではごく当たり前にアルペジオなんですが、ここは指で弾かれているのでしょうね。映像でははっきりわかりませんでしたが……おそらく、スチール弦を指で弾くことによって、この柔らかさを出しているのだと思われます。映像では、なんだかピックを親指と人差し指の隙間に挟んだまま、残りの三本指で指弾きしているようなフォームでしたもので、イントロのリフと、サビ(?)ではピック弾きしているのではないか……と思うのですが、これも定かではありません。わたくしならそうやって弾きますが、なにせ、これも名手の矢萩さんですから、油断はできません(笑)。

さて、ほのぼのとしたイントロ〜Aメロ、A´メロでは、歌詞カードに掲載されている広々とした草原で迎える夕暮れのような、なんだか暖かな気持ちになれるホンワカ曲です。

しかし、サビ(?)は、そうはいきません。ツェッペリン「天国への階段」中盤で聴かれるような、激しくも泣ける怒涛のギター曲になっています。そう、あの、ジミー・ペイジが、ダブルネックの12弦で弾いた、あのフレーズです。武沢さんからジミー・ペイジの影響を見てとるなんて畏れ多いことは、わたくし避けたいので(笑)、わたくしが勝手にそう感じただけということなんですけども、わたくしこの記事を書くにあたってツェッペリンのライブ映像を観なおし、そしてこの「夕暮れ」を聴き、泣けてきたという出来事だけはここに記しておきたいと思います。

この曲は、玉置さんの歌がないからツマラない曲、では断じてありません。安全地帯が、すべてのメンバーが超一流の演奏技術と作曲・アレンジ能力をもった凄腕集団であることを、まざまざと見せつける曲だといえるでしょう。

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2017年10月15日

声にならない

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安全地帯V 好きさ』十一曲目、「声にならない」です。

玉置さんの「ふん、ふん、ふーんふん」が先にあって、それに「No No Voices」をあてた、それを訳して声にならない、という題名をつけたのではないかと考えられますが、それは通常の発想だとそうなるというだけのことであって、天才コンビ玉置&松井のことですから、油断はなりません。もしかしたら雪景色をみた松井さんが「寒くて美しくて、声にならないね」なんて言ったところに玉置さんが「じゃあ、No No Voices〜だね」なんて感じで作ったのかもしれません。このアルバムの発売は冬ですから、普通に考えれば夏に作った曲なんだと思いますが、それでも油断がならないのがこの二人です(笑)。

さて、この曲、伴奏がギターとベースだけです。間奏にハーモニカらしき音が入りますが、基本的にはギターとベースだけです。もしかして田中さんがリムでリズムでも取っているかと耳を澄ましてみましたが、どうも入っていないようです。

それにしてもこの、ハープシコードのような美しいアコースティック・ギターの音!惚れ惚れします。ポール・サイモンのギターこそが最高と思っていたのですが、認識を改めざるをえません。矢萩さんと武沢さんの音がどちらか、なんて全然わかりません。あ、いや、レコーディングが見事なのも、その原因だとは思うのですが、なによりわたくしがアコギの音に疎いのが主な要因でしょう(笑)。

余談ですが、最近はエレクトリック・アコースティック・ギター(いわゆるエレアコ)がものすごく安くてよくなっています。ギターショップで三万円とかで並べられているやつでも、パッと見はおかしいものが全然見当たりません。もちろんショップさんが厳選して並べたのでしょうけども、それにしても「えー、三万でこれかい、むかし買った五万とかのやつは一体何だったの?」と思わされます。個人的恨みですが(笑)。アジア工場の頑張りによるのでしょう。こうなると、いずれアジアの人件費も上がってきますから、いまがチャンスかもしれません。

六土さんのベースは、最初へぼいスピーカーだと鳴っているのに気が付きませんでした。なんと控えめな!おそらくTONEを絞り気味にしているのでしょう。ヘッドホンで耳を凝らして聴けば、この曲でリズムと低音部を担当しているベースがないとこの曲はなんだか抜けた感じになるだろうと気が付きます。ベースの音作りにはあまり自信がない、というか、常にTONE全開TREBLEビンビンの音しか出していなかったわたくしですので、話は全然当てにならないのですが、「今夜はYES」からこの「声にならない」までだけでも、かなりのバリエーションで弾き分けられていることに驚かされます。六土さん、こんなに音を使い分けて、ライブのとき大丈夫ですか、と余計な心配をしたくなるほどです。

さて歌詞ですが……こんなに可愛らしい曲で、穏やかな雪での描写で、こんなに切ないのは芸術的といっていいでしょう。小林武史さんも、色々な制約がなければこういう表現をしたいに違いありません。この時代の安全地帯は技術的にも環境的にも、なにより時代的にも、小林さんがいま抱えているような制約がほぼない状況だったのでしょう。もう、暴れまくりです。ドラムでの盛り上げなし、君を見つけたとか雪で君がはしゃぐとか、そういうベタな描写なし、はっきりサビとわかる箇所なし、ボーカルの叫びなしなんて、ありえません。現代的な基準だとわかりにくすぎです。こんなに可愛らしい曲ですが、こんなにわかりづらくもある曲をメジャーでリリースできるバンドは、わたくしの見渡す限り現代日本にはありません。ああ、現代日本のバンドったって、わたくしほとんど(少しも)興味がありませんのでそんなに見渡してないです(笑)。だから、そんなにあてになる話じゃないです。

北海道で雪が降ると、静かなんです。雪が音を吸収するのでしょう。それなのに雪の上に雪が重なっていく音さえ聴こえるんじゃないかと思われる「サラ…サラ…」という感触があるんですね。空気の震えを触角が感じるのか、実際に微小な音として聴覚で感じるのか、はてまた単に寒すぎて自分の感覚がマヒしつつあるのか(笑)……あの感覚、ベチャベチャとアスファルトに溶けていく雪景色の下でのそれとは、まるで違います。空を見上げると、一面の雲が、雪が反射した地上の光に照らされて浮かんでいるのが見えます。そこから降ってくるのがわかるかのように、遠くから遠くから、次々と結晶が落ちてきます。

静かすぎて美しすぎて、恋人の微笑みが心に浮かんできます。

いやまて!いま、飛躍があったぞ(笑)。

そうなんです、浮かんでこないんですよ。浮かぶ人もあるのかもしれませんが、それはあくまで個人的経験の積み重ねによる、レスポンデント条件付けってやつでしょう。

あー、玉置さんが歌うと、そうそう、雪の降る夜に空を見上げると、恋人の微笑みが心に浮かんでくるよねー、と、あっというまに玉置時空に引きずり込まれますが(宇宙刑事ギャバン)、それは松井さんの詞と、玉置さんの歌の、とてつもない説得力により発生した亜空間なのです。

さみいー!つめたいー!うわー、さっさと帰ろう、こりゃー『まんが日本昔話』の爺さんの気分だね、ではなく、恋人の微笑みを思い出して、しあわせにしたいとか、夢をさがそうとか、そんなロマンチックな気分になるわけですから、時空のひずみはかなり大きいと思われます(笑)。わたくし、第二次性徴期の前にこの時空に引きずり込まれてしまったもので、どうもこのひずみが心身に溶け込んでしまっていけません。

ところでこの曲は、ノンストップで武沢さんの美しいギター・インスト曲「夕暮れ」へと続きます。この流れがあまりに見事で、「雪の降る夜」からいきなり夕方になった珍事に、あまり違和感を感じません。これも玉置時空の後遺症なのかもしれませんが、おそらく、この症状のない人が聴いても、ステキな連結だと感じられるとは思います。

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2017年10月01日

好きさ


安全地帯V 好きさ』十曲目、「好きさ」です。

アルバムタイトルナンバーであり、かつシングル曲でもあります。また、アニメ『めぞん一刻』の第二期オープニングテーマでもありました。安全地帯の曲で、アニメのテーマ曲って、これしかないような気がするのですが……まあーそうですね、安全地帯の曲を新たに知ってファンになる層と、アニメを楽しむ層とではずいぶん異なる人たちであるように思えますし、だいいち安全地帯のシングルカット級の曲が似合うアニメって、どんな修羅場アニメなんだろう、と少し心配になるくらい雰囲気が違います(笑)。

ただ、わたくしもAmazonプライムビデオで最近観てみましたが(当時は観てなかったのです。夕食後は家族で花札とかしてました(笑))、第二期オープニングのムービーは、とてもよく「好きさ」の雰囲気にマッチしているように思えます。五代くんが響子さんに抱く「好きさ」は、歌に直すとこんな感じだろうと思わせます。まあー、本編はほとんどコメディなんですが、それは現実世界に住む我々の「好きさ」が、けっして歌の世界ほどシリアスに決まらないのと同じ立ち位置にあるともいえるように思えるのです。

いきなり余談に余談を重ねますと、わたくし、この「好きさ」を歌ってほしいといわれて断ったことがございます。よりによってきみのために歌えないよこんなシリアスな曲!もう少し照れ隠しできそうな曲、そうたとえば「万里の河」とかをリクエストしてくれないかな、「万里の河」よく知らないけどさ(笑)。そう、あんまりストレートすぎる「好きさ」は、とても真顔で歌ってあげられないほどの豪速球曲なのです。「好き」という言葉をほぼ使わずに幾多のラブソングを生み出してきた安全地帯が、とうとう使った!これはたまらない!波長がうっかり合ってしまったら即死を免れないほどの、超ときめきドキドキラブソングといえるでしょう。

さきほど「シングルカット級」と書きましたが、この「好きさ」はシングルカットではなく、アルバムに微妙に(10日くらい)先行して発売されたシングルです。そしてアルバム発売の、実にほんの数日前に『めぞん一刻』でオープニングテーマとして初放映されています。アルバム『安全地帯V』を売るための、導火線としての役割を完璧にこなすに足る曲として投入されたであろうことは、想像に難くありません。もしわたくしが当時資力に余裕のある身分だったら、あと数日が待てなくて、シングルも買ってアルバムの発売を待ったことでしょう(笑)。だってこんなの聴かされちゃたまらないよ!『めぞん一刻』が次に放映されるのは一週間後だしさ!ラジオで流れるのを待てってか?そんなことやってられっか!(笑)。幸いなことにというか何というか、資力に余裕はなかったので、たまたま歌番組を録音できていたカセットテープを聴いて過ごすことに成功しました。

さてこの曲、いきなり六土さんに罠をかけられます。Aメロはどう聴いてもシンセベースにしか聴こえません。しかしBメロからサビはふつうのエレキベースに聴こえるような気がします。むむ、と思ってライブ映像を観るとふつうにエレキベースを弾いていますが、音も、やや、これはもしやあのシンセベースの音を出せるんじゃないか?と思えるくらいブリブリなのです。ああー、モヤモヤする(笑)。レコーディングではシンセベースをAメロだけ使ったと信じたいところですが、超人ベーシスト六土さんですから油断はなりません(笑)。コピーするならふつうにエレキベースで弾くにきまってますから、そんなことにこだわってどうするのと思わなくもないのですが、このこと、六土さんが時折聴かせるこの音色ははたしてシンセベースなのか?は、わたくしにとって積年の課題なのです。真相を知っている人がいたら、こっそり教えてください(笑)。

田中さんのドラムも、かなりシンセっぽい音を混ぜてきます。この「好きさ〜」後に聴かれる「ダダン!」は明らかにパッドを打っている様子がライブ映像に収められていますので、ああよかったと安心して聴いていられます(笑)。正体がわかると安心するのはとても分かりやすい態度ですが、実はそれは真相には決してたどり着けない態度でもあります。幽霊の正体が風になびく洗濯物だとわかってすっかり安心し、恋人が浮気相手の下着をひそかに洗濯していたことを見逃すようなものです(笑)。この音、ライブだとあからさまなシンセ音ですが、スタジオ盤でそれとハッキリわかるでしょうか……?わたくし、ちょっと自信がありません。アコースティックのタムでも出せそうな音に聴こえなくもないのです。長年ライブの音に慣れてしまい、すっかりシンセパッドだと思い込んで聴いているから、スタジオ盤でもそう聴こえてしまうだけなのかもしれません。イヤハヤ、怖いですねえ。

さて、ギターのお二人ですが、Aメロでは矢萩さんが五度コードの刻み、武沢さんがアルペジオという、安全地帯の黄金パターンです。これは贅沢!そしてBメロでは玉置さんの歌に合わせたツインでのオブリが見事に決まります。「ギャイーン!」と入るコード弾きは最高です。この音、のちの「君は眠る」でも同種の効果のために使われるのですが、どうやったらこんな残酷な音が出るのでしょう。ここで一気にギターもセッティングを変えて高音を多めにしたとしか思えません。ライブでは再現していませんので、おそらくここだけギターもアンプもセッティングを変えてパンチ・インしたのだと思いますが、このお二人のことですから、ライブでは出し惜しみしていただけという可能性がなくもありません(笑)。

さて、ソロ〜後奏ですが、スタジオ盤、『安全地帯LIVE』では、武沢さんがアオリ、矢萩さんがいつもの粘っこいオーバードライブサウンドで見事なソロを聴かせてくれます。これがまた、指版をダイナミックに移動しながら、アームや指先でのビブラートを全開に聴かせつつ、ハーモニクスや細かい速弾きを取りまぜたダイナミックなソロです。このソロはもはや安全地帯の十八番ともいえるほどに、主要な特徴となっています。こんなソロ、よそではめったに聴けるもんじゃありません。

その一方で、アコースティック・ライブでは、武沢さんがアコギで目いっぱい弾きまくりのソロを聴かせてくれます。うおー、なんじゃこれは!やめてください、マイケル・シェンカーですか、泣けるじゃないですか……。これがまた、いちいち心のヒダをひっかくようなソロなんです。お二人の、どちらのソロも信じがたい「泣き」のソロです。これは聴き比べするしかありません。というか、後奏の尺を二倍にして、お二人で交代で弾けばいいじゃないですか(笑)。でもまあ、そうすると、曲全体のバランスが変わって、シングル曲としての性格が失われるような気がしなくもないですから、まあー、フェイドアウトするスタジオ盤が当時は正解だとご判断されたのでしょう。

さて歌ですが……どうして「Friend」の次にこういう歌をリリースするのでしょう、この人たちは。もう、息が詰まります。あなた「Friend」でもう吹っ切ったんじゃないんですか。まだまだ辛いままじゃないですか。シングルの間隔でいうと「まあ、まだそんな気持ちになることもあるかもねえ」なんですが、アルバムで「どーだい」や「ほゝえみ」を通過してから聴くと、「ああ……やっぱりまだ辛いんだ、しかもこんなにも!」という気にさせられます。

「つめたいしぐさ」は、惚れた弱みで憎めないんですが、それが逢えない時期に効いてくる……

「別れ間際」は別れるより仕方ないですし、重々承知しているんですが、それでもどうしてもダメージがある……

「狂いそう」だから思いつめないようにしていても、何かの拍子に「思い」はさざ波のように後から後からやってきて、あらぬ方向へと思惟を運ぶ……

「好き」と言わずにラブソングを作り上げることを、ある種の美学にすることなんて、無意味に思われるほどの迫力で「好きさ」とはこういうことなんだと、何度も何度も繰り返します。そうなんです、ここでは、玉置さんも松井さんも、同じこと「好きさ」しか表現していないんです。同じことを、形を変えて、何度も何度も繰り返しているんです。だから玉置さんの歌は、ある意味で一本調子です。変える必要がありません。「きりがない!」という叫びや、「こわれそう」という告白は、「好きさ……」というつぶやき、ささやきと、同じものでできているからです。

わたくし、安全地帯の曲でサッカーのフォーメーションを組んだら、ワントップだろうとツートップだろうと、この曲がトップの一角を占めると思っております(笑)。これほどストレートで力強いラブソングはほかに知りません。こんなシュートをまともに打たれたら、キーパーは一歩も動けないでしょう。弱点といえば、男性の共感を得やすい一方で、女性が興ざめになりかねないほどに生々しいということでしょうか。玉置さんだからこそ、ドオーン!と決まる豪快シュートなんですね。これを他の歌手が歌うところを想像すると、心が渇いてたまりません(笑)。

すっかり忘れていましたが、この曲では川島さんのシンセによるリフがかなり効いていますよね。五人の力があんまり強いので、これほど目立つ音なのに言及するのを忘れてしまっていました。美しいメロディーとはしばしばシンプルなものなのだという基本を思わせます。玉置さんの「好きさ」に続き、それを繰り返すかのように響くその音は、ぐりぐりと脳天からつま先まで「ああやっぱり好きなんだ」と気づくことを強いてきます。もう、いやンなっちゃいますね、こんなにしつこいのに、なくなると寂しいに決まってるんです。それが「好きさ」という気持ちであるかのように。

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