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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2017年06月25日

どーだい

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安全地帯V 好きさ』一曲目、「どーだい」です。

やっと、この曲を語れるところまでたどり着きました……長かった……といっても当ブログを始めてからまだ一年強ほどですけども。ワタクシ的には、「どーだい」は、「エイジ」「風」などと並ぶ名曲なのです。「エレキギターバリバリ」系ではダントツに一位と言っていいでしょう。

ところが、待ちに待った「どーだい」をやっと書けるというのに、いざその時になると文章が浮かばなくて困ります。これはかなり重症の恋煩いに似た気持ちです。

気を取り直して、曲の最初から……何やら海岸沿いの喧騒のような、海水浴でもはじまるかのような、なんだかわからない演出があります。なんだかわからないんですけど、これからゴキゲンな爽快ソングが始まるぜ!感がいっぱいです。そして田中さんのスネア、玉置さんの掛け声で一気に曲に突入します。

武沢さんがリフを弾き、矢萩さんは刻みとソロを弾く、という組み合わせになっているのですが、これがまた見事なんです。矢萩さんなんてソロ以外はほとんどただ刻んでいるだけなのに、ベストタイミングで武沢さんのリフと絡み合い、これ以外ない!というコンビネーションを作り出しています。弾くことなかったからとりあえず刻んでみました感はゼロです。

そしてわずか四小節で爽快な前奏は終わり、玉置さんの歌が始まります。ライブですと、前奏は八小節ですね。八小節のほうが演奏していて気持ちがいい、というか、メンバーの腑に落ちる感が高かったのでしょう。わたしの聴いたライブ音源はすべて八小節、ついでにいうと一音下げです。これも玉置さんの高音がきつかったからというより、おそらくはそのほうがメンバーの腑に落ちたのでしょう。これにはいろいろな事情が絡み合って「こっちのほうがいいね」となるわけでしょうから、簡単にはわかりません。

そして、歌と同時に六土さんのベースが始まります。基本的にすべて八分刻みで、田中さんと同じく、ひたすらシンプルなリズムキープに徹します。おお、これは初心者でもコピーしやすいですね。スコアは売ってないですし、あってもレアな古本で高いでしょうから、耳コピになりますけど。まあ、コピーってのは本来ぜんぶ耳で聴き取ってあーでもないこーでもないといろいろ試してやるもんですから、市販のスコアなどに頼らないでコピーする練習にはうってつけの曲です。

そんな、初心者でもコピーできそうな、とにかくシンプルなアレンジで、この曲は組み立てられています。テクニカルで複雑なだけが安全地帯じゃないぜ!こういうシンプルでカッコいいロックも、俺たちの得意技なんだぜ!と、見せつけるかのようなカッコよさです。クニハラ派のみんな、見てる〜?あのときコップをスプーンでチンチン鳴らしてこれも音楽だとか言った人がいたよね〜確か〜?とか、そんなこと思うわけないんですけど(笑)。ともかく、安全地帯がこういう曲をやると、ものすごい説得力を発揮します。

この曲が、のちの「I Love Youからはじめよう」とか「情熱」とかの源流になったのではないか?というご意見が、ネット上ではちらほら見られます。たしかに、わたくしもそう思います。しかし、わたくし、「I Love Youからはじめよう」と「情熱」の二曲を、この「どーだい」ほどは好きではないのです。いや、もちろん好きなんですけど、「どーだい」が好きすぎて、のちの二曲はこれに及ばない地位なのです。「どーだい」が太政大臣なら、「I Love Youからはじめよう」とか「情熱」はせいぜい左大将右大将かなー、というくらいなのです。これは単にわたくしの偏った好みのせいなのか、はてまた「どーだい」には、他にない何かがあるのか……。何かがあると信じたいのです。シングル曲ではないこの曲が、シングル曲である他の二曲と同じく2010年の復活ツアーで演奏され、その後も演奏され続けるだけの何かがあるのです。きっと。

目の前でこの曲が演奏されたときの興奮は、今でも忘れません。ビデオの川島さんと同じ指のポーズを作って、大声で歌いました。他の観客もそうでしたので、そんなに迷惑ではなかったと思うんですけど、そのときは迷惑とかそんな気持ちもすっ飛んでしまいました。うう、一生の不覚です。いらっしゃらなかったとは思うのですが、もしわたくしの近辺にお座りになっていた方で、じっくり静かに観たかったのにわたくしめに邪魔されたという方がいらしたら、どれだけお詫びしてよいやらわかりません。本当に申し訳ありませんでした。

この曲から始まる『安全地帯V 好きさ』ですが、アルバムのオープニングとして、こんなに似つかわしい曲は滅多にないでしょう。昔のCMにあった「スカッとさわやか」そのものです。失恋の憂鬱を強く感じさせる『安全地帯V Friend』の印象を一気にひっくり返し、新しいアルバムが始まった!という確かな感触を与えてくれるのです。

「もうこれ以上」ひとりではない、失うものもない、みんな集まれ、思い切り楽しもう!どーだい!……こんなに明るい曲なのに、なぜ涙がこぼれるのでしょうか……もう、松井さんたら……(笑)。ペンタトニック一発に近い矢萩さんのソロが、玉置さんを励ますかのようで、やけに胸に沁みます。玉置さんの底抜けの笑顔での叫びが、つらい過去を振りほどこうとする絶叫に聴こえます。ライブでの武沢さんのコーラスが、玉置さんへの応援歌に聴こえます。田中さんと六土さんのリズムは、つとめて平静を保ち、玉置さんを動揺させないようにニコニコと笑顔を見せているように聴こえます。いったんそう思い始めると、もうそうとしか聴こえなくなります(笑)。

そして、三十年の時を経て、この曲はいまでもライブを盛り上げる曲として演奏されています。これを奇跡といわずとしてなんというべきでしょうか。この曲をこよなく愛するわたくしは、たのむから甲子園の応援とかでは使わないでくれ!趣旨がぜんぜん違うんだよおおおお!とか要らぬ心配をしているのですが、メンバーや松井さん的にはあっさり「え?どーぞどーぞ」なのかもしれませんね。わたくしだけがこの曲を変に神聖視しすぎているというオチがもっともありがちです。好みのアイドルが結婚すると知って悲嘆にくれるあまり、なぜか怒り出すファンのような心境なのかもしれません(笑)。

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2017年06月17日

記憶の森

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安全地帯V Friend』十三曲目、すなわちラストの曲、「記憶の森」です。

この流麗で美しいピアノをアレンジなさったのはトシヤ・タケザワさん、すなわち武沢豊さんのお兄さんの俊也さんだ、とのクレジットがあります。

メジャーデビューなさる前に、ツインギターでキメまくっていた武沢兄弟の兄、そしてこんな美しいピアノフレーズをお作りになる音楽人、武沢俊也さん、いったいどんな人物なんだ!そしてなぜ安全地帯を離れたのか!謎だ!伝説上の人物だ……このまま詳細を知らず伝説のままにしておくほうが神秘性があってよかろう……なんて思うんですが、ご本人はブログを開設されていたりして、勝手に伝説にしてすみませんでしたああああ!という気分になります。

聖飢魔II創始者のダミアン浜田陛下もわたくしにとってそのような人物でしたが、ご本人がビデオメッセージをDVDに載せたり、「サタン・オールスターズ」で共演したり、はてまたTwitterをおやりになったりと、わりと積極的に魔界からお顔をお出しになるものですから(多分にネタ的ですが)、もうそんな「伝説のメンバー」なんて言って楽しもうとすること自体がナンセンスなのかもしれないですね。勝手にわたくしが楽しがってるだけですし。リンゴ・スターの前任者のドラマーのことも、インターネットを駆使して調べればある程度のことが自宅に居ながらにしてわかってしまうことでしょう。意地でも調べませんが(笑)。

さてこの曲、「タタタタ」「(タタタ)(タタタ)」と、一小節の前半が八分音符×4、後半が八分三連×2のパターンでピアノの高音部が奏でられます。たったこれだけのことなんですが、なんと美しいのでしょう!もっと聴いていたいと思うのですが、たったの四小節で玉置さんが歌い始めてしまいます。ええー、ここはもう一回繰り返しで八小節でしょう?とか思うんですが、その歌がまた美しいため、違和感を表明する間もなく引き込まれてしまいます。

そしてそのままたっぷり16小節も聴かせて、曲は展開します。これまでアルペジオ主体だったピアノがコードストローク主体に切り替わります。おおー、ダイナミック!これまでの儚げなピアノが力強い響きへと変わりますので、大きく曲が展開した!感が大きいです。玉置さんの歌も「ゆめ」「まよ」と、二連発で弱起しますので、リズムが大きく変わった!感が強く感じられます。洋楽ですと、aとかtheとかの冠詞やら接頭辞やらがありますから、イチイチ弱起とか言わなくても弱起ばっかりになりがちなのですが、安全地帯の曲は日本語であるにもかかわらずこのように卓越した松井さんの作詞と、天下一品の歌い手である玉置さんの歌唱とが、見事に日本語ロックの壁をあっさり超えます。あっさりすぎて、本人たちは超えているという自覚すらないでしょう。この曲のこの部分は、それがよくわかる(わたくしがそれを思い出させられた、というのに過ぎませんが)箇所になっています。

曲はまたアルペジオ主体の箇所を繰り返します。そして、あのコードストローク主体の箇所もこのまま繰り返すかと思いきや、大音量のストリングスを従えて、曲は別の展開を見せます。これまでEmを中心にしたコード展開だったものが、Gを中心としたものに切り替わります。うおー!大展開!いや、ありがちといえばありがちな構築法なんですが、曲・アレンジのシリアスさと玉置さんの歌が陳腐さなどみじんも感じさせない迫力をかもし出しているので、聴くほうはただただ圧倒されるしかありません。ユベントスとかACミランがふつうにパスを回しているだけなのに蹴散らされ、なすすべもなく次々とゴールを決められてゆく弱小チームのような気分になります(笑)。

静寂な森を思わせる曲、アレンジ、そして歌詞……歌詞が示唆するのはもちろん「記憶の」森ですから、実際の森林を歌った曲ではないのは間違いないのですが、実際の森林に似合う曲であることもまた、間違いありません。もしこの曲がカラオケにあれば、ロケ地はきっと森林になることでしょう。深い霧が立ち込め、一本一本の木がよく見えないように、「記憶の森」のなかでも、かつての記憶がよく思い出せないわけです。ああ、黒沢監督並みに霧を待って、ロケ隊一週間待機、とかしないと撮れませんね(笑)。

これまでの恋物語は、この記憶の森を通過することによって、いわば「新しい世界・物語」へと章を進めるのです。「わかりはじめた」あなたを伴い、前世界のことは「やさしい声だけ」を胸に秘めるにとどめ、いざ新しい世界へ!実際は何もかも記憶に生々しく残っているにしても、それは忘れたことにするのがマナーってもんでしょうし、第一自分にケジメをつけた気分になれません。年をとると「別にそんなに肩ひじ張らなくてもいいんじゃない?過去が消せるわけじゃないし」とか、いささか無粋なことを考えてしまうのですが(笑)。

まだ若々しいふたりが新しい物語を始めるために、きっと思い切って飛び込んだ「記憶の森」で、この怒涛の三部作はその一部を終えます。次回からは『安全地帯V 好きさ』のご紹介にコマを進めたいと思います。

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2017年06月10日

想い出につつまれて

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安全地帯V Friend』十二曲目、「想い出につつまれて」です。シングル「好きさ」のB面、いまでいうカップリングの曲になります。

B面だし、かるーく作った曲だったかなー、なんて思いながら聴きなおしてみましたが、これがどうしてどうして、「夢のつづき」を彷彿とさせる力作ではありませんか。

冒頭に、ジミ・ヘンドリクスかいって思うくらい変なコード、いやGなんですけど、不協和音なんじゃないのって思うくらいへんなGが使われていて、ギターの弾き語りではわたくしいきなりお手上げです。しょうがないのでGでゴマかします(笑)。

これも有名な話だとは思うのですが、玉置さんはコードとかあんまり知らないとおっしゃるんですね。ギターもどんどん変則チューニングしてしまって、次に弾くときに自分で押さえ方が分からなくなってしまい、自分でコピーする羽目になるそうなんです。どれくらい天才なんですか玉置さん……。

ほとんどのギター弾きがそうなんだと思うんですが、まずコードありきで、いくつかのコードの押さえ方を覚えて、コード譜を見ながらジャカジャカかき鳴らしているうちに大体のコードを押さえられるようになり、おれってギター弾けるなあ、と思ったあたりで、車の教習でいう第一段階になります。まだまだ先は長いわけです。

そのうち流れている曲を聴いて、ああ、この曲はこのパターンだなあ、とコード譜なしでだいたい追って弾けるようになったあたりで第二段階なんですが、これだってコードとコード進行の知識や慣れをもとにしているわけで、コードありきには違いないのです。

ところが玉置さんはこの手のことを、どうも全てすっ飛ばし、いきなり「こういうふうに押さえたらギターはこういう音で鳴る」ということを体で覚えてしまったようなのです。これは英語の文法事項はさっぱり知らないのにパーフェクトな英語を話せて書けてしまう、に近いものがありますね。ああこれは過去完了だとかこれは仮定法だとかいちいち思い出しながら話したり書いたりしている人とは次元が違うのです。

やや、曲の解説もせずに、冒頭の変なコードだけにこだわりすぎてしまいました。まだぜんぜん曲は進んでいません。

冒頭からいきなりサビ……いや、この曲、大きく二部に分けられるんですが(間奏はそのうち一部とほぼ同じです)、どっちがサビとか、そんな歌謡曲的な分解や格付けを拒む曲のように思われます。曲作りの段階から、じゃあAメロから作ろうか、次はこういうBメロで、サビはこんな感じかな?みたいな、曲の構成ありきでそれにあてはめて曲を作るような、そんな曲作りをしていないんじゃないでしょうか。それはギターのコードなりコード進行なりを先に覚えなかった玉置さんの天衣無縫さとおそるべき才能の高さを示すことでもあります。

そんな話ばかりだと一向に曲が先に進まないので(笑)、じゃあ冒頭のメロディーをAパート、展開後のメロディーをBパートと便宜上呼ぶことにして、Aパートですが……

最初だけジャーン!とドラム・ベースがなり、しばらくはギターの伴奏……これも贅沢なツインギターによるものと思われますが……これも、聴けば聴くほどあの二人が弾いているギターじゃないのか?と思えてきただけで、当初はシンセだと思っていた音色です。ただ、和音がギターのそれに聴こえますし、クリーントーンの達人たる矢萩さん・武沢さんなら、これくらいのことはやりかねない!とわたくし常日頃から思っておりますもので、ギターにしか聞こえなくなってきたんですが、こういう伴奏がほしいときはシンセを第一に考えるでしょうし、シンセで済ますでしょう……安全地帯はギター・バンドなんだ!ということを、こういう曲でこそ感じられるようになってきました。『リメンバー・トゥ・リメンバー』の頃の、バリバリエレキで喜んでいた当ブログも、思えば遠くに来たものです(笑)。

そして繰り返しの冒頭から、田中さん六土さんが本格参入します。タメてタメて……落合の流し打ちのような老獪さで曲を展開させます。さらに重ねられる、ストリングスの音と、そして鳥の鳴き声のようなホーンの音、さすがにこれはギターではないでしょう(笑)によって、曲は一気にゴージャスになります。そのまま、曲は短いBパートに突入します。キーはGですから、展開後、C→D→Gのスリーコードを基本とするのがわたくしのような凡人ですが(笑)、玉置さんはCmをいきなり使います。これが、「こんなに好きでいたと」の箇所で感じる「うお!大きく展開したな!」感の正体でしょう。だいたいのコード進行はC→D→Gに沿っていますから、おおむねセオリー通りなんですけど、それは玉置さんが狙ってそうしたものではないわけです。

それにしてもこのBパート、玉置さんのファルセットによる高音ボーカルの、何と美しいことか!そこで歌われる歌詞の、なんとせつないことか!口笛によって奏でられる間奏をはさんで、このBパートは繰り返されます。季節が変わり人の心もうつろいゆくのは古今東西きっと同じなのですが、その理に身を委ねることにためらいを覚えるという歌詞も、古くから洋の東西を問わずにあったものです。しかし、このときの玉置さんにこれを歌わせるという選択は、松井さんの超ファインプレーといえるでしょう。陳腐さや使い古された感の皆無な、信じられないほどのリアリティの高さがそこにはあります。

シングル「好きさ」は「Friend」のわずか二か月後にリリースされ、安全地帯の物語が早くも第二章に入ったことを印象付けるのだったといえるでしょう。そこにこのカップリング「想い出につつまれて」は、「好きさ」の「動」に対して「静」の役割を負わされたものです。そしてアルバム『安全地帯V Friend』においては、「Friend」で終わった第一章を、第二章へと誘う静かな導入の任を与えられていたように思えるのです。

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2017年06月04日

約束

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安全地帯V Friend』十一曲目、「約束」です。

「Friend」後の、やや攻めすぎな感のある曲三連発とうって変わって、聴きやすいことこのうえないギターポップになっています。

ああ、ホーンの音が目立ちますんで、ブラスロックとかいったほうが世間のジャンル分けに近くなるとは思うんですが、当ブログ的には安全地帯の曲は九割がたギターロック、ギターポップということになります(笑)。この曲でも、武沢さんのものと思われるクリーントーンばっかり聴こえてしまうのだから、半ば病気かもしれません。すこし注意して聴けば、サビの箇所における、矢萩さんのものと思われるアルペジオや刻みも聴こえてきますし、それが効果的に鳴らされていることにも気づきます。これがまた抑制の効いた素晴らしい音で……とか、いつもの話になるのでこの辺にしておいて(笑)。

イントロとAメロBメロは、六土さんのベースがホーンとリズムを合わせ(逆か?)、田中さんがリムの音(カツ!カツ!という音)で全体のリズムを取りバスドラで六土さんのベースにおおむね歩調を合わせる、というリズム隊の基盤に乗せ、武沢さんがシャリシャリシャリーン!シャリシャリシャリーン!とクリーントーンで思う存分リズムギターを響かせる、そしてアオリはシンセとホーンに任せるという作戦ですね。この三人が奏でる軽やかなリズムの、なんと心地よいことか!

そしてサビでは、田中さんはこれまで我慢してたかのようにスネアをバシ!バシ!と叩きながらも、これまでのリムの音もコンビネーションに組み込んでリズムを豊かなものにします。そしてここが肝心なのですが、ハイハットをシャンシャン派手に鳴らします。しかしけっして目立つほどの音量では収録されていないという……これは実に渋いです。田中さんはきっと、ドラマーなら誰でも簡単に思いつくフレーズだけど……とか呆れ顔で言いそうですけど、わたくしのような勢いばっかりのロック馬鹿は、その細かい配慮が当たり前に行き届いた職人技にしびれるわけです。

さらにサビでは、そう、矢萩さんのものと思われるギターが、甘い音色で刻みと単音リフで玉置さんの歌に対するオブリガート兼アオリ的な役割を果たします。これがまた効いています。「トゥクトゥクトゥクトゥク……ウィウォーーン!」と、擬音で書くと滑稽になりかねませんが、こうとしか書きようのないこのフレーズ、ぜひ耳を澄ませて浸ってください!なんとカッコいいんでしょう。わたくし、自分のオリジナル曲でずいぶんマネしたものです。あ、それはパクったというのか(笑)。

さて、歌詞と歌ですが……

曲調はこんなにも爽やかなのが、なんと切ないことか!これは、失われた恋にとらわれ続けている心情を歌ったものです。なんでまた、こんな時期に!ああ、もちろんわざとなのでしょう(笑)。玉置さん、何もご自分の失恋をネタになさることはないでしょう、聴いているこちらは胸が詰まってしまうじゃないですか。ああ、もちろんそれを求めて聴いてるんですけども(笑)……とまあ、なんとも、玉置浩二という歌手がいかなる生き様を見せているかを、まざまざと見せつける曲であるといえるでしょう。

80年代中盤にはすでに、太田祐美さんがほんとうに木綿のハンカチーフをくださいと、故郷を離れた恋人に言ったとは誰も思えないような時代になってきていました。歌の世界は完全に作り事なんだということを中学生ですら理解してきたのです。そのご時勢で、玉置浩二は本当に自分のことを歌っているんだ!と大の大人にさえ思わせたこの迫力たるや、そんじょそこらの歌手にできることではありません。中森明菜さんが「難破船」を歌ったのがそれに近い迫力を感じさせましたけど、同時にあれは加藤登紀子さんの曲だということもみんな理解してましたから中森明菜さんの恋愛沙汰に関するリアリティはあんまり感じませんでしたし、いっぽう加藤登紀子さんの「難破船」はどう見てもマジでしたから(笑)、ロマンチックを通り越して恐怖に似た感覚さえあったものです。安全地帯の楽曲は、圧倒的な技量を駆使して、まさに絶妙のさじ加減で、ちょっと痛いくらいのロマンチックな恋物語を私たちに与えてくれたといえるでしょう。

歌詞中に織り込まれた、去った恋人あての手紙が届くとか戻ってくるとかのパターンはのちの「ひとりぼっちの虹」でも使われたものですね。恋と生活とが密接に関連したものであることを、恋愛のさなかにある人にふと思い出させる効果を抜群に発揮しています。そうなんです。恋はなんだか、二人だけのプラネタリウムみたいに非現時的な時間を私たちに与えてくれますが、実は、それは全部社会とか生活とかの一シーンの連続であって、間違いなく現実の出来事であるわけです。「ふたりの消息」を知らない差出人にとって、ふたりが別れたことなど、あずかりしらないことですので、あっさりと手紙を投函するでしょう。郵便局にとっては、それがだれそれの恋人あての手紙であるのか、税金督促状であるのかはまったくもってどうでもいいことですので、恋人に去られて傷心のさなかにある人にも、あっさりと手紙を配達してくれます。失恋の二次被害とでも呼ぶべきこれらの出来事は、じわじわと効くんです。

あなたと一緒に「夢」みたものを一人になってもまだ追いかけていて、まだ終わったと認めたくないけど終わってしまった「夏」を思い出し、そしてあなたと暮らしてきた生活の痕跡に囲まれて暮らす……ああ、恐ろしい(笑)。

つい先日、玉置さんがNHKのSONGSに出ていまして、どんなにつらいことがあっても、歌をやめたいと思っても、自分は「これも歌にしよう」とする歌手なんだ、といった旨のことをお話になってました。それで、わたくしの中でこの「約束」のリアリティがまた少し上がってしまいました(笑)。30年もたっているのに!しかもぜんぜん別のことを話していたのに!どうなっているんですか玉置さん!(完全に筋違いな賞賛)

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