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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2017年03月28日

『安全地帯V』

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

価格:2,511円
(2021/4/17 17:16時点)
感想(2件)



安全地帯五枚目のアルバム、『安全地帯V』の紹介です。

みなさんご存知の通り、このアルバムは曲数36と、とんでもない大型アルバムです。アナログで三枚組(一枚目『Friend』、二枚目『好きさ』、三枚目『Harmony』)、CDで二枚組と、レコードがまだ高かった時代に、中高生泣かせの値段でした。6000円とかでしたね。アナログなら一枚ずつ買うこともできたそうですが、買う人がどれくらいいたんでしょうか。だって、あるならぜんぶ聴きたいじゃないですか……。

「三枚組のアルバムを作ろう!」と玉置さんはおっしゃったそうです(松井さんの『Friend』より)。

「二枚組っていうのはあっても、三枚組を出す人はいないだろうと思って」(志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』より)

わたくしの手元にあるものですと、ビートルズのホワイトアルバムが二枚組30曲収録で、これが『安全地帯V』に次ぐボリュームです。世の中には三枚組以上のアルバムもあるのかもしれませんが、少なくとも1986年当時にはなかったことでしょう。

さてさて、この『安全地帯V』、三枚組のものとして鑑賞するのが「正しい」という主張をなさる方がいらっしゃいます。カセットやMDにわざわざ三枚組に録音しなおしてお聴きになり、非常に腑に落ちる感触を得られたと聞きます。おお……それは確かにその通りでしょう。なんせ安全地帯は三枚組として出したのですから。CDは録音時間を長くすることができるので(節約のために?ケースが存在しなかったために?)渡りに船とばかりに、あるいはやむを得ず、二枚組にしたのであれば、二枚組として聴くのは安全地帯の意図する聴き方ではないということになります。

しかし、皆さんご存知の通り、一枚目最後の「ほゝえみ」、そして二枚目最後の「To me」、いずれもアルバムの締めくくり感がとても高い名バラードですし、そこに至るまでの曲の組み立てがクライマックス感の高いもので、二枚組として聴き上げる聴き方が本来の聴き方でないようにはとても思われないのです。「ほゝえみ」は、アナログ盤でいえばA面ラストの曲でしかないなんてちょっと信じにくいです。そしてB面が「今夜はYES」で始まると……。まあー、アナログ盤ではひっくり返す作業が必要になるところで、CDを入れ替えるだけなんですが。ちょっと不思議です。これはアナログ盤で聴きこめば当然に体験できることなんですが、針を一度も落とさずにジャケットをために眺めてニヤニヤしているだけでしたので、なかなか想像のつかない感触です。ああ、本気で当時の気分を再現するなら、CD-R六枚に分けて録音すればいいことなんですが(笑)。

では、せっかくですから、三枚組として語ってみたいと思います。

『Friend』
1. 遠くへ:核戦争後の地球、という80年代中盤によくあった世界描写(『北斗の拳』など)なんですが、わざとらしさのない歌・詞のシリアスさが心に沁みます。
2. Miss Miss Kiss:ミディアムテンポの軽快な曲です。「みすみすkiss」という言葉遊びがうれしい安全地帯節です。
3. パーティー:「ふたりで踊ろう」がラジオから流れてくるようなローファイで流れ、続けて歌本編が始まります。バラードと呼ぶべきか悩みますね。ジャンルレスな独特の玉置リズムが前面に出た可愛らしい曲です。
4. ふたりで踊ろう:アップテンポのオシャレなポップスです。これまでのアルバムにはみられない「楽しさ」「ノリ」を前面に出しています。
5. シルエット:これもジャンルレスなバラードライクのささやきソングです。こういう、力一杯歌う感じでない、新しいタイプの表現が魅力です。
6. Friend:シングル曲の、切なさ全開バラードです。玉置さんのプライベートな心情をそのまま表現したとしか思えない、壮大な失恋ソングです。

7. Friend (reprise):ここからB面になります。リプライズ、という言葉どおりの、オルゴールのような音色で前曲の思い出をフラッシュバックさせるインストゥルメンタルです。
8. チギルナイト:「Friend」の物悲しく美しいメロディーが「壊れ」て、カッコいいクリーントーンギターがリズムを刻みます。言葉遊びも絶好調なミディアムテンポのロックナンバーです。
9. こわれるしかない:ズシ、ズシ、ズシーンと重いリズムに載せて玉置さんの悲壮な叫びが効果的に染みる、これもミディアムテンポのロックナンバーです。油断してると前曲とのつなぎ目を聴き逃して「アレ?」となります。
10. 不思議な夜:タイトルが示すかのように、歌詞もアレンジも不思議な曲です。これはすごいですよ。のちに『All I Do』で炸裂する不思議ソングの先駆けと言えるでしょう。
11. 約束:もう、わざととしか思えない歌詞の(笑)、さわやかなミディアムテンポのポップスですね。
12. 想い出につつまれて:一転、スローテンポのバラードです。「シルエット」に似た恍惚系の歌詞が、超高音のボーカルで語られます。
13. 記憶の森:美しいピアノに彩られるバラードです。これだけピアノが前面に出た曲は安全地帯史上例がほとんどありません。

『好きさ』
1. どーだい:アルバムのトップにふさわしい、爽快なギターロックナンバーです。シングル化されていないのにライブを一気に盛り上げるという不思議な曲です。
2. パレードがやってくる:春が待ち遠しくなる曲なんですが、あの春は二度と来ないとわかってしまう寂しい曲でもあります。メロディーの美しさとリズムの軽快さがなんと悲しいことか!
3. 海と少年:サックスがもの悲しげに響くバラードです。個人的には鈴木康博さんの「遥かなる願い」を思い出させるんですが、よく考えたら「海と少年」のほうが発表が先な気がします(笑)。
4. 月の雫:これも「不思議な夜」なみの不思議ソングなんですが、陰鬱な夜の雰囲気の中、サビで一瞬目が覚めるような感覚があります。「隠された孤独」という言葉の鮮烈さにはいまだハッとさせられます。
5. 乱反射:アルバムの中盤でドカッと気分を盛り上げるようなリズムの強い曲です。二枚組でいえば、一枚目のラストに向かって真っ逆さま、という役割を見事に果たす「ガラスのささやき」的な曲でもあります。
6. ほゝえみ:これもわざととしか思えない失恋ソングです。美しすぎるメロディーと歌詞、アレンジが失恋気分をパーフェクトに演出する屈指の名バラードといえるでしょう。

7. 今夜はYES:ホーンセクションによる目の覚めるようなオープニングのキメがカッコいい賑やかな曲です。
8. あのとき…:一転、美しいバラードです。終わった恋を懐かしみつつ、細かいことを悔やむという、いかにも男らしい心情を歌い上げます。
9. まちかど:武沢さんのお兄さんが原曲をお作りになったのでしょうか。どこか原始安全地帯を思わせる美しいバラードです。
10. 好きさ:アニメ『めぞん一刻』に使われた、シングル曲です。切々と、好きさ、好きさと訴える、胸に迫る名曲です。
11. 声にならない:童謡のような可愛らしい曲なのに歌詞は切実という、なんとも切ない曲です。
12. 夕暮れ (Instrumental):武沢さん作曲の、美しい、牧歌的な、ギター曲です。アルバムの最後として考えると、ここまでのB面をしめくくるに似合ったインストゥルメンタルだと思います。「声にならない」の後ろというポジションは渋すぎです。V9巨人でいうと末次の次の黒江です。

『Harmony』
1. 銀色のピストル:長年ライブで演奏され続ける名曲です。女性がこんなこと言われたらキレると思うんですが、玉置さんだと許せちゃうかも(笑)。男の本音に迫る際どい歌です。
2. 涙をとめたまま:スタンダード・ナンバーを思わせるジャズ調のピアノが美しく玉置さんのボーカルをしっとりと聴かせます。夜の酒場で聴きたいですね。「ジャンゴ」とかそういう名前の店で。
3. 今夜ふたりで:「Night, Tonight」とノリのいいサビが、実は曲全体のリフになっていて、忘れられない一曲になっています。ドリフの「ニンニキニキニキ」なみに印象が強いですが、当然ドリフとは違ってかなりロマンチックです。
4. いますぐに恋:ハロー、マイガールと女性の心をやさしく包みますが、いますぐに恋に落ち、そしてすぐに失われそうな刹那の情を楽しむふうの、「ちょっと寄り道」感が、不吉なリズムとギターの音色で表現されています。
5. あのMusicから:かつての音楽仲間たちを偲ぶ曲なのでしょう。安全地帯の歴史と成功、そして失ったものを歌い上げます。
6. Jのブルース:サックスが渋すぎ!玉置さんの切々としたボーカル、巧すぎなブルースギター、安全地帯ってブルースもピカイチですね。

7. 夏の終りのハーモニー:井上陽水さんとのジョイントコンサートのために作られた曲です。シングルとして発売され、ベストにも収められました。
8. 天使のあくび:ガットギターで弾き語りされたかのような、可愛らしい曲です。しかしジャンルが全くわかりません。
9. 燃えつきるまで:一転、不穏なメロディー、リズムのミディアムテンポなロックナンバーです。ここからは一気にアルバム最後まで突っ走ります。
10. 夢になれ:クライマックス感タップリ!なミディアムテンポのロックナンバーです。シングル的でないのは明らかなのに、こんないい曲があるのが安全地帯の底知れなさですね。リズムがクセになります。
11. To me:この大作のラストをしめくくる、圧巻!の大バラードです。「あなたに」と対になったタイトルがいかにもふさわしい名曲ですね。

うーん、こうしてあらためてみると、とてつもないアルバムですね……よくぞこんなアルバムを出せたものです。いくら安全地帯が出したいと思っても、レコード会社がOKを出さないと出せませんが、安全地帯なら売れる!と判断してのことでしょう。当然に売れたわけですが。いかに安全地帯が人気絶頂にあったかがよくわかりますね。

レコード会社の契約は、おそらくですが、何年間に何枚のアルバムを出す、という形になっているものと思われますが、安全地帯はこれで三枚分の契約を履行したということになったのでしょうか。それはなんだかもったいないですので、ぜひ一枚分ということにしていただきたいものです(超絶に遅い期待)。

Amazon.co.jpのカスタマーレビューには、この超弩級アルバムを称えるものが見られるほか、いくらかは捨て曲があるという評価も見られます。うーん、安全地帯に捨て曲ナシ、の路線を貫く当サイトとしては、その評価を覆す使命があります。

松井さんが「それを壊さないと歌詞が作れなくなった」(志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』より)とおっしゃったように、『安全地帯IV』で完成されたスタイルを期待したリスナーにとっては、期待したものと違う!と感じるところが多かったことでしょう。何しろ、歌詞だけでなく、曲も一度「壊した」と思われるくらいにバラエティ豊かに、しかもジャンルの枠をはるかに超えたものになっているからです。一聴して「いい曲!」と誰もが思えるものは、これまでに聴いたことのある「いい曲」のパターンにどこか近いものになっている可能性があります。安全地帯がこのアルバムにあらん限りの力で詰め込んだ曲たちは、少なくとも日本のロック・ポップス界では前代未聞のものが多く含まれていたでしょうから、少なからぬ数の人にとって「いい曲」パターンにハマらなかったものが含まれていた可能性は大いにあるでしょう。その一方で、「いい曲」と一聴して思えることが多いであろうと思われる曲もまた、数多く含まれていたことも想像に難くありません。そのギャップが、「いい曲」と「捨て曲」の感覚を生み出すのではないでしょうか。

当時まだかなり若かったわたくしは、持っているCDも少なく、ロックやポップスの世界を全然知りませんでした。「いい曲」も「捨て曲」もなく、そういうものとして聴き込み、すべて「いい曲」と感じるに至りました。ですから、「いい曲」のパターンがほとんど自分のなかになかったころに、このアルバムは数多くの「いい曲」パターンを形成してくれたのです。そうした事情で、アーティストたるもの、安全地帯くらいやれて当たり前なのだと思っていました。それは大きな間違いでした。その後90年代に、つまり安全地帯がほとんど休止していた時代の「J-POP」とやらに、心の底から失望したのです。「ベタすぎる」「バタ臭すぎる」わけです。壁にポエム貼った店で頭にタオル巻いたおじさんが偉そうに作っているドロドロヌルヌルのラーメンのような感覚です(笑)。当時ティーンだった人には、こういう感覚を分かってくださる方がいらっしゃるのではないでしょうか。わたくしはヘビメタに心の安らぎを見いだすようになります。言ってみれば、「安全地帯ロス」をヘビメタで癒していたんですね。今わかりました(笑)。

さて次回以降、このアルバムを三つに分けて、いつも通り一曲ずつ語っていきたいと思います。これは頑張らなくては!……とはいえ、何しろ36曲ですから、当サイトの更新ペースでは半年以上はかかると見込まれます。重大な使命ではありますが、のんびり果たしてゆきたいものです。

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

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2017年03月15日

Bye Byeマーチからエンディング

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プルシアンブルーの肖像』九曲目、「Bye Byeマーチからエンディング」です。

「ゆびきり」をマーチ風にしたものが「Bye Byeマーチ」(歌入り)、その後のストリングスによるインストゥルメンタル部分が「エンディング」なのでしょう。歌詞カードにはインストゥルメンタルと書かれていますが、「Bye Byeマーチ」は歌モノといっていいと思います。

「Bye Byeマーチ」は、玉置さんと森の木合唱団が歌ったもので、玉置さんはかなり抑えて低音(子どもに比べて)を担当しています。さらに低音部として、バストロンボーン……だと思うんですが、の音が「ブン!バン!ブン!バン!」と響き、マーチ風味を演出しています。トランペット(クレジットには兼崎順一さん、白山文男さん、横山ヒトシさんの三人が挙げられています。豪華なメンバーですね)少年合唱、玉置さん、バストロンボーンと、見事な高音〜低音の層を成しています。

映画では、この箇所が序盤にあっさり流れてしまい、「エンディング」としての役割はありませんでした。しかもこの曲が流れたのは怪奇現象として流れたのです。歌詞カードにも、眼鏡をかけた女性教師(原田美枝子さん)がレコードを眺めている写真が掲載されていますね。これは怪奇現象を見てびっくりしているところなんですが、上がヘッドホンをかけてスティックを振るう田中さん、右が星さんを中心にミキサーの前に集まっているメンバーの写真ですので、このレコードの写真もうっかりスタジオの風景かと思ってしまいます(笑)。

さて、ストリングスによる「エンディング」ですが、玉置さん作曲のストリングス曲は、この「エンディング」と、のちの「あこがれ」「大切な時間」など数少ないわけです。これが、どれもこれも絶品ですよね。編曲は星さんなのかもしれませんが、なんだかクラシック作曲家による名曲を聴いているような錯覚に陥り、自分がポップスを聴いているということを忘れてしまいそうになります。

……と、このように、このアルバムに収められているインストゥルメンタルは、どれもこれも力作でいい曲ばかりなのですが、映画では「冬花」以外、ほぼ使われていないところが惜しいところです。とても残念です。映画に合わなくてボツになったか、あるいは映画に間に合わなかったかなのでしょう。殺人的スケジュールのなかで、よくぞこのようなアルバムをお作りになったものだと、本当に頭が下がります。ステキな音楽を残していただいて、そしてリリースしていただいて、ほんとうにアリガトウございますと。

そんなこんなで、安全地帯・玉置浩二の歴史のなかで、もっとも忘れられてゆきそうな位置にあるアルバムなのですが、この「Bye Byeマーチ」は玉置さんと少年合唱団の出会いの時期につくられた曲であり、「エンディング」は玉置さん初のオーケストレーション曲であるという、きわめて重大な(笑)節目の曲を合体させた曲なのです。

20年くらい前までは中古CD屋にひっそりと1000円くらいでこのアルバムが売られているのをよく見ましたので、数はそれなりに出たのでしょう。つまり、おそらくそれなりに多くの人がこの曲を聴いたはずですので、この曲のよさがもっと話題に上るべきではないか……と思っております。思っておりますので、せめてここに微力ながらこの文章を記しておきたいと思う次第であります。

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2017年03月11日

カズミ

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(2021/4/17 17:39時点)
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プルシアンブルーの肖像』八曲目、「カズミ」です。

六土さん作曲の、インストゥルメンタルです。このアルバムはつくづく、玉置さん以外のメンバーもタダものではないということがよくわかるアルバムなんですが、この曲もかなりカッコいいです。

ただ、怖いです(笑)。矢萩さんといい星さんといい……六土さんも、カズミちゃんを悪霊か何かだと勘違いしていないでしょうか。いやまて?もしかしてカズミちゃんを悪霊だと思っていないのは、もしかしてわたくしだけなのでしょうか?逆に心配になります。この怖さは、「カズミ」というより「六条の御息所」というほうがあたっているのではないか、と思われるほどのものです。

では、その怖い曲を勝手に四部に分けて語ってゆきたいと思います。メインテーマの第一部、ギターリフから始まる激しい第二部、ストリングスの第三部、再びメインテーマの第四部です。おお、こうして四つに分けると、なんだか交響曲みたいですね。

さて、ひとつひとつ語ってゆく前に、なんですが、第一部と第四部のベースの音のことを記しておこうと思います。このベースの音、「ズ!ズ!ズ!ズム!と、なんだか音色が、通常の四弦ベースじゃないように聴こえるのです。もっというと、シンセベースではないか?と思われます。どういう意図があったのかわかりかねますが、ベーシストの六土さんがご自分でベースを弾かない……いや、シンセベースですからご自分で鍵盤をお弾きになったのかもわかりませんが、ともかく通常の手法ではないことは確かでしょう。うーん、もしかしたら弾いてみたけど、他の音とミックスしたらいまいち合わなかった、そこでシンセベースで替えてみたらしっくりきた、といった事情だったのでしょうか……いやこれは普通のベースだよ、ちょっとあとからエフェクトかけて加工してあるけど、とかかもしれないですし、もしかしたら六土さんほどの凄腕ならピッキングの強弱などでシンセベースっぽい音を出すことができる、ということなのかもしれません。最新鋭の機材を使いこなす80年代のナウいミュージシャンなら、それらしく演奏技術のほうはもっとヘッポコであってほしいのですが(大偏見)、ニクいことに安全地帯は揃いもそろって腕も天下一品なのです。これほど音の正体をつかみにくいミュージシャンもなかなかいません。

さてさて第一部です。「シャッ!シャシャシャッ!シャ! シャッ!シャシャシャッ!シャ!」と、ざわめく風のような音が遠くから聴こえてきて、そこにピン!と張り詰めたピアノの音が、単音でメインテーマの旋律を繰り返し重ねてゆきます。そしてメインテーマが若干変化するタイミングでベース(シンセベース?)とドラム(これもシンセドラム?)が「ズ!ズズッズッズッ!(シュコーン!)ズ!ズズッズッズッ!(シュコーン!)」と加わり、だいぶ不穏な迫力あるアンサンブルになるのです。この箇所、ピアノがメイン旋律であるということはすっかり忘れて、リズムに心を奪われてしまい、もはやどちらが主役なのかわからなくなります。メタリカの「オライオン」に近い感覚ですね。ああ、そういや「オライオン」もベーシストのクリフが作った曲でした。たった二曲で語るのは噴飯ものであるのは承知しているのですが、もしかしたらベーシストの中にはこういう音楽観・アレンジ志向を持っている人がいるということなのかもしれませんね。

気を取り直して第二部です。ギターのやたらかっこいいリフ(武沢さんかしらん?)をリードに、ベース、ティンパニ、笑い声(後述)、ストリングス、を重ねて曲は一気に大音量、もっとも激しい箇所に突入します。ここは……カッコいいですよ!わたくしのようなハードロック好きにはたまらないです。ストリングスが神経を逆撫でするかのように高音域を鋭く切り取り、ベースとドラムが老獪なリズムを刻む、その隙間に、低音部の鍵盤を用いたピアノが主旋律と思われるメロディーを奏でます。おお……これは、そんじょそこらのロック馬鹿(わたくし等)には到底作り出せないカッコよさです。安全地帯のメンバーはみんなそうといえばそうなんですが、六土さんは、到底ベストテンとかトップテンなどにしょっちゅう顔を出している世界の住人じゃないように思えます。今剛さんが宇多田ヒカルのバックでテレビに出ていてビックリ!レベルの職人的なミュージシャンじゃないのか、と思えてなりません。

ところで第ニ部の終わりに、「キャキャキャキャ〜」と不気味な女の笑い声みたいな音が入っており、これはこれまでも曲調の変わり目でも用いられているのですが、なんでしょうこれ?怖いんですけど(笑)。まさかカズミちゃんの声をイメージして……いてほしくないです。うーん、おそらく、サンプリングして鍵盤にアサインしておき、ここぞというタイミングで川島さんが鍵盤を叩きまくった、ということなのでしょうか。とにかく怖いです。頼むからカズミちゃんを悪霊扱いしないでください(笑)。

第三部では、ストリングスがメインで、はじめは穏やかでやさしい、しかしどこか悲しげな旋律を奏でます。ホッとしたのもつかの間、いきなり恐ろしげなコーラスとともに大音量で驚かしてきます(笑)。ここがこの曲で一番迫力があって怖いところでしょうか。いかにもクライマックス感が爆発です。むりやり物語に当てはめるなら、カズミちゃんが落下するところでしょうか。そう考えると、第一部は雪の校庭、人気がなく、カズミと秋人だけの約束の場であり、第二部は旧校舎の中、「タダシ」君に会える会えないで緊迫する音楽室、駈けぬける廊下、そしてこの第三部が行き着いた時計塔、ということになるでしょうか。第四部は全てが終わった後、雪の降り続ける校庭に場面が戻ってくる……ああ!書きながら腑に落ちてしまいました。スミマセン悪霊扱いしたとか何とか生意気なことを申しまして(笑)。でもあの「笑い声」だけはご勘弁くださるとうれしいのですが……(諦めが悪い)。

さて第四部は、ピアノによるメインテーマ、(シンセ)ベース、(シンセ)ドラムで、第一部の繰り返しのようになっています。ただ、メインテーマが変化する前に、足音のような音が響き始め、足音だけを残して他の音はフェードアウトしてゆき、足音もやがては去ってゆきます。これはカズミちゃんの足音ではなく、時計塔の旧校舎を後にする秋人の足音である、と考えれば、辻褄が合います。ああ、わたくし、この記事を書くまで、この足音は、誰かを怪奇現象で驚かして(しかも笑い声をあげながら)去ってゆくカズミちゃんの足音だと思っておりました。それはいくらなんでも原作のイメージから逸脱しすぎだろう、と勝手に不満を感じていたのですが、この記事を書いて勝手に解決してしまいました。いやーよかったよかった。

例によって、わたくしが勝手に一人合点しているだけで、ぜんぜん解決などしていない可能性のほうが高いです(笑)。あれですね、完全に差別されたり抑圧されたりしている被害者が、加害者のことをなぜか好意的に解釈して勝手に有難がっているような感じかもしれません。そういう気の毒な人もいて、それを最大限利用する卑劣な人もいるのが人間の世の中なのでしょう。それはいつかなくすべき悲しい構図なのですが、音楽の世界でなら、今回のわたくしみたいに、勝手に解釈して勝手に満足するといういうことがあってもいいんじゃないのか……とちょっと思ってしまいました。

ああ、いかんいかん、このブログはマゾヒストのブログなどでは断じてございません(笑)。今後も頑張ってどこまでも自由に妄想してまいりたいと思います。

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2017年03月01日

冬花

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プルシアンブルーの肖像』七曲目、「冬花」です。

「夢」の記事で散々書いたことですが、これは「夢」のインストゥルメンタル版です。そして、玉置さんの歌がないぶん、とでもいうべきでしょうか、ごくわずかなシンバルの音が加えられ、リズムを刻んでいます。さらに、間奏が、ハーモニカ……と「夢」では書きましたが、わたくしあまり楽器に詳しくないもので(ダメじゃん)、ほんとうにハーモニカなのかは判じかねるのですが、ともかく郷愁をかきたてるような音色で奏でられています。

……と、「夢」の記事ですっかり調子に乗っていろいろ書いてしまったためにネタ切れを起こしているのがバレバレな記事なのですが、「夢」が「冬花」に対する「秋人」なんだ、と書いたのですから、その逆も書いてみたいと思います。

劇中では、この曲は冬花ちゃんと秋人が屋上で踊る曲として使われています。なに呑気なことしてるんだ人(仮面ライダーの役者さん)が死んでるのに!という野暮なツッコミをなしにすれば、緊迫感を増してゆく物語後半のなかで束の間訪れた平和なひと時といえるでしょう。

なぜ平和か……?それは、冬花ちゃんの「夢」の世界だからなのではないでしょうか。

冬花ちゃんにとって、屋上は逃避の場所です。そこはクラスメートからの理不尽な圧力から避難するための場所でもありますが、同時に、多分にメルヘン趣味な自らの想像力を発揮する場所でもあるのです。

わたくし他人になったことはございませんので(当たり前)、他人の心のなかがどうなっているのか、とんと知りませんから、冬花ちゃんのメルヘン趣味が他者に比して幼すぎるものなのか、その想像力は逞しすぎるものなのか、ほんとうのところはわかりません。

「えー、小六にもなって王子様とかいってるなんて信じられなーい!」

「『りぼん』とか『なかよし』はさすがに卒業してる時期でしょ、その頃なら『別冊マーガレット』くらいでないとバカバカしくて読んでられなくない?」

……うーん、これらの発言が、本当であるのか、それとも少女たちの目いっぱいの背伸びであるのか、他人には、本当にはわかりません。ですが、まあ、大勢は上の発言のような態度であるらしいです(笑)。それはそれは、冬花ちゃんには生きづらい学級環境であったことでしょう。

いっぽう、秋人は言葉を失っていますから、けっして冬花のことを傷つけることを言いません(言えません)。そして内心でも、冬花をバカにした様子は一切見せません。まあー、大のオトナからすれば、『りぼん』の世界も『別冊マーガレット』の世界も大差はありませんし、どうでもいいことですから、バカにする理由もないでしょう。何より、(原作では)冬花にはカズミの面影があって、秋人はそれに魅かれていますから、冬花にはひたすらやさしいです。これは、裏事情を知らない冬花にとっては王子様的に感じられる……ようになる要素がある……かもしれません。秋人が当初は変質者然としていたのでやや苦しいですが(笑)、秋人と、屋上で踊るというのは、冬花が自分の「夢」の世界を広げ、そこで遊ぶということだったのです。

そんなこんなで、この「冬花」と「夢」は、ただの同一曲に歌をのせたかインスト版にしたかだけの違いしかないのではなく、もしかして意図的につくりあげられた、対をなす曲なのではないか……と、妄想をたくましくすることで、以前とはすっかり違うことを考えるようになってしまいました(笑)。いや、きっかけは、ほんとうにわたくしが以前考えたように、「冬花」が先にあって、玉置さんが「歌を入れてみようか」と思っただけなのかもしれません。しかし、そこに松井さんの詞が加わって「夢」ができ、その詞があまりに秋人の心情を示唆するものであったがために、松井さんが意図的にこのような二曲の構図をつくろうとしたのではないか……と思えてきたわけです。

いつものごとく、松井さん本人が「え?全然そんなことないんだけど?」とおっしゃればそれで終了のお話です(笑)。まるで80年代に流行ったノストラダムス本のようです。どれもこれもノストラダムス本人が「それはただの詩だよ、何だよ預言って、そんなの知らないよ」と言えば終わる話ばかりでしたね。1999年7の月、外れたのはノストラダムスの「詩」ではなく、その「詩」をもとに好き勝手な解釈をして作り上げられた「預言」のほうだったのではないでしょうか。まあーいいかー面白かったし。

本ブログに書かれていることは、基本的に妄想ばかりです。本ブログの内部でしか通用しないことばかりですので、ご注意ください。信頼すべき情報である場合には、可能な限り第三者がチェック可能な方法でことわりを入れさせていただきます。いきなり何をとお思いになるかもしれませんが、わたくしいま、自分でノストラダムス本の話題を書いておきながら、一緒にされたくない気持ちでいっぱいなのです(笑)。

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