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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2020年03月08日

Only You


All I Do』五曲目、「Only You」です。シングル「All I Do」カップリングでもあるこの曲は、しっとりあっさりのバラードになっています。

アレンジはRandy Kerberさん、Wikipediaでみるとクラクラするくらい一流ミュージシャンです。格付けチェックに出たら(出ませんけど)ガクトさんが恐縮するだろうレベルの一流です。セレブのパーティーでワイングラスもちながら、腕利きのミュージシャンとして紹介されグラミー俳優とかと乾杯しているに違いありません。よくこんな人のスケジュールを押さえられたものです。キーボードは曲ごとのクレジットがありませんが、きっとKerberさんが弾いたことでしょう。このアレンジといったら!ビリー・ジョエルとかリッキー・マーティンを聴いているんじゃないかと思うくらいの洗練度です。

こんな曲を聴かせられたらさすがに、BAnaNAさえいれば日本でもレコーディングできたじゃん、というわけにはいきませんね。ハードロック・ポップテイストなChris Cameron、変な曲のBAnaNA、しっとりポップスのRandy Kerber、泣かせ担当の星さんと、役割分担ができていて、そりゃBAnaNAと星さんだけいればいいなら日本でやればいいんですけど、クリスやランディ、その他ミュージシャンやスタッフがレコーディングに参加できるとなると、選択肢はロスやロンドン近辺に限られてくるわけです。うーむ、なんと贅沢な……いや、クリスもランディもミュージシャンもスタッフも全員スケジュールを押さえて機材もみんな日本に運んできてレコーディングしたほうがずっと贅沢ですけど(笑)、さすがにバブル前夜の日本でもそんな無茶はできません。

さてこの曲、キーボード主体で作られたサウンドです。イントロは高く薄いストリングスをバックに、メインとオブリの鍵盤を絡めつつ、歌の世界へとわたしたちを誘ってゆきます。メインのキーボードに伴われ、玉置さんのボーカルがささやくように始まります。とぎれとぎれにベースを、ごくさりげなく入れながら、すぐに最初のサビに突入するのです。え?もう?なんという展開の速さ!

前曲の「Hong Kong」でもそうでしたけども、サビを覚えやすい曲名のフレーズにして、コーラスを入れて印象付けるというパターン、これ以前の安全地帯だとあまり多くないですよね。「じれったい」「Friend」「ど−だい」「悲しみにさよなら」「Lazy Daisy」「Happiness」……あとは『リメンバー・トゥ・リメンバー』にいくつか、くらいでしょうか。安全地帯の曲は「あーたぶんこの曲〇〇ってタイトルだよなー」と思えることがあまりないのです。そりゃ「じれったい」は、じつは「心を溶かして」というタイトルだったらコケちゃうくらい「じれったい」ですけど、「悲しみにさよなら」は「泣かないでひとりで」でもギリギリ通用する……すみません、書いててつらくなるくらいムリがあるかもしれません(笑)。要するに、よくある黄金パターンにとらわれずに作っているため、なかなか難しくて複雑なのだよフフン、とかそんな気分にあやうくなりかけましたが、玉置さんや安全地帯はよくある黄金パターンにとらわれていないがために、かえってその黄金パターンでもあまり気にせず使うことさえある、というほうが正確でしょう。

さて歌は二番に入りまして、ドラムが入ります。そしてストリングスもだんだん大きくなってきています。二回目のサビはもうすべての楽器が全開で入って曲を盛り上げるのです。うーん、アレンジもよくあるパターンなんだとは思うんですけども、こりゃ日本人には無理なんじゃないかな?と思えるくらいスッキリしているのです。日本人だともっと凝っちゃうような気がするんですね。シンプルさが無理というか。あ、いや、もちろん凝ってるんですけど、歌の魅力を引き立てる要素以外は極限まで削って、歌を前に出す効果のある要素はふんだんに盛り込む方面に凝っているというか……もちろん日本人のアレンジャーだって歌モノならそう思ってアレンジするんですけど、ものの考え方が違うように思えるのです。日本人アレンジャーが幕の内弁当だとするなら、ランディさんはステーキをメインにしたコース料理というか……相変わらずよくわからない喩えです。

そして歌に替わって物悲し気なホーンが主旋律を担う感想を挟み、曲は最後のサビに向かいます。最後のサビで、Only Youの意味が明らかになります。いや、はじめから明らかなんですけど、「この心にあなたがいるだけ」と日本語で歌いますので、いわば公式の翻訳が示されるわけです。この手法、かなり手垢の付いた手法なんですが、玉置さんが歌うとすごく新鮮ですね。「Rain 雨の街で〜」いや、それRainか雨かどっちか要らないじゃん、今日のゲストは内山田洋さんと、内山田洋とクールファイブのみなさんです、みたいな感じじゃん、あ、クールファイブなら内山田さんじゃなくて前川さんか、いやそれだって内山田洋とクールファイブの皆さんです、だけでいいじゃん!みたいな気持ちがムカムカムカとわいてくるのですが、この曲は別なんです、玉置さんと松井さんだから(笑)。

後奏も悲し気なホーンで、一瞬だけストリングスを入れるものの、基本的にはメインの鍵盤による伴奏だけでリードしていきます。鍵盤による最後の和音が消えていくなか、ストリングスが鳴っていたことに気づきます。うーんさみしい!恋をしてるんだから気分はルンルンハッピーじゃん!おじさんなんかすっかり枯れはててそんな気分になれないよ!老いらくの恋とかしたら「失うだけしかない」からさみしいかもしれないけど、そもそもそんな気にならないよ!とまあ、若いころの思い出はすっかりルンルンハッピーばかりだったような気がしてならないんですが、けっしてそうじゃないんですよね。若いころは若いころなりに悩んで苦しんで、たいした理由もなく「失うだけしかない」ような気がしたかもしれません。単純に横恋慕だったとか、浮気だったとか不倫だったとか、もしくは自分がへたれで声すらかけてないとか……ぜんぶロクでもない理由ばかりですが(笑)、それでも真剣だったような気がしなくもありません。そんなつもりはなくとも、思い出は美化されていくもの、正確にいえば、イヤなことを忘れていくものなんですね。

順序が前後しますが、歌詞の話をしますと、これは自分から声をかけられない類の失恋でないことは明らかです。「夢みてる」の夢は、赤い屋根の家でふたりで暮らそう的な夢ではありません。彼女の夢はアメリカでダンサーになることレベルの、叶うとふたりがバラバラになる類の夢でしょう。だから逢いたいんだけど、そして逢えたときはもう少しだけでいいから抱きしめさせていてほしいんだけど、二人とも忙しいのです。たのむからアメリカなんていかないで、ダンスなんかもうエエやろ、あきらめてワシんとこに嫁に来んかい!……とはもちろんなにひとついえなくて(笑)、せめて今だけの「恋」を満喫するしかできないのです。ああ切ない。

そうですねー、「失うだけしかない」理由は、おそらくですが、自分のサイドにもあるのでしょう。たとえ彼女がダンサーもアメリカもあきらめたとしても、自分の生き方が彼女と一緒にいることを許さないような……それこそ玉置さんレベルに売れっ子すぎて忙しいとか、不倫だったとか、あるいはその両方だとか(笑)、何かしらあやうい事情を抱えているのです。玉置さんはそんなのばっかりですから、すでに普通すぎていまさら驚きませんけど。もし安全地帯の世界を知らずにこの曲をふつうに美しいバラードだなーとしか思えないとしたら、それはソロ活動で新しいファンを獲得したということですから喜ばしいことではあるんですが、背後からわたくしみたいな邪悪な古参ファンがククク……はたしてそれだけかな?とか言いながら余計なお世話を焼きたくて忍び寄ってくるかもわかりませんので、ご注意が必要でしょう。

ALL I Do [ 玉置浩二 ]

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posted by toba2016 at 11:59| Comment(4) | TrackBack(0) | All I Do