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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2023年07月09日

『ONE NIGHT THEATER 1985』

横浜スタジアムライヴ〜ONE NIGHT THEATER 1985 [ 安全地帯 ]

価格:2,945円
(2023/7/8 10:59時点)
感想(3件)


安全地帯ライブアルバム『ONE NIGHT THEATER 1985』です。LDやVHSでのリリースはずいぶん前に行われていましたが、CDでのリリースは1998年8月、DVDは2000年12月でした。本記事はCDリリース時をなんとなく基準にしていましたもので、このタイミングでのご紹介とあいなりました。歌詞カードには横浜球場にて1985年8月31日9月1日にレコーディングが行われたとの記載があります。大洋ホエールズもこの間は遠征中だったのでしょう。確かこの年はいつものごとく夏場に調子を落とし、例年と違って秋に驚異的な上位いじめで四位に食い込んだ年でした。安全地帯の御利益か?なお2019年の阪神は三位でした。

ジュリー率いるタイガースが後楽園ライブを敢行して以降多くの名だたるミュージシャンがスタジアムライブを行ってきたのですが、渋谷公会堂等のホールクラスを制覇し武道館・大阪城ホール公演をも楽々と成し遂げた安全地帯も、とうとうその域に達したわけです。当時日本にはそれ以上の会場は基本的にありません。メンバー、スタッフその他関係者は万感の思いだったことでしょう。

さて、先行して発売されていたVHSおよびLDをもう失ってしまいましたので日付の詳しいことはわからないのですが、CD版とは若干収録されている音源が異なります。このことは、CD版にはMCが収録されているという点のみならず、Inst.#1のギター音、そしてドラムソロの音色が明らかに異なりますのでわかります。少なくともここだけは8/31と9/1の違いがあって、収録された音源が異なるわけです。ただもちろん買って聴いてみるまではそんなことはわかりませんでしたし、わたしからすればVHSでよく知っているライブであって収録曲にも変化はないようでしたので(なによりビンボーなので)、発売日に待ちかねて買うって感じではありませんでした。ただ、このCD二枚組リリースの衝撃は1998年当時でもそれなりのものでした。「最強のアンサンブル」「伝説のライブ」等々の触れ込みで、あれ安全地帯ってこんなに評価されてたっけとちょっと戸惑うくらいではありました。なにより安全地帯名義でのCDリリースはかなり久しぶりでしたのでうれしかったです。しかし実際に手に入れて音源の違いに気づいたのは(おもに金銭的な理由で)少し後のことになってしまいました。

さてCD版では、一曲目「Lazy Daisy」に最初「エンドレス」のSEがまるまる一曲入っていて、安全地帯に詳しい人でないとこれを「Lazy Daisy」だと勘違いしてしまうかもしれないというちょっとした不親切が起こります。映像だとスタジアムの照明が落とされていく光景から一気に「Lazy Daisy」ですからそんなことは起こらないんですけども。そして一気に「We're alive」と畳みかけ、CD版では「最近やってなかったんですけど」というMCが入って「萠黄色のスナップ」でひと段落という感じです。

そして「風」、映像だとほんとに風が強そうで、玉置さんのあの趣向のよくわからない衣装が風になびきます。いま微妙にクサした衣装ですけど(笑)、祭りの半纏のように見えます。この日の舞台は遊園地やお祭りの趣向で装飾されており、もしかして玉置さんの衣装もそれを反映させたものなのかもしれません。ほかのメンバーはそんなこと知ったこっちゃないよという感じの衣装でしたが。ライブは「Kissから」へと進み、相変わらずマーベラスな演奏です。渋谷公会堂や武道館の音源に比べて、野外ですからやはり音が拡散している印象はありますが、総じて録音状態は良好です。

ここで一息、矢萩さん作曲のインスト曲が二曲流れます。詳細は曲個別の記事に譲りますが、わたくしこれらがとても好きです。なんならしばらくこればっかり聴いていてもいいです(笑)。玉置さんの抜きのインストが収録されたのは少なくとも当時はこれだけでした。映像作品ですと、これまた趣向のよくわからないアニメが挿入されて驚きました。なんというか、少女趣味というか男が想像する少女の像というか、たぶん現代の若者がみたら軽くショックで一秒くらい呼吸が止まって真剣な顔をしたから星屑ロンリネスって感じになるんじゃないかと思います。まあ、当時は意味はよく分からんがなんだかロマンチックだ!詩的だ!くらいな感じではありました。そしてインスト二曲目終わりにも映像作品ですとまた演出がありまして、ここもビックリな小芝居が挿入されていましたが、それはまた今度の記事でということにさせていただきたいと思います。

さてその小芝居と大いに関連がある曲「ワインレッドの心」でライブは前半部クライマックスの盛り上がりを迎えます。ここに「ワインレッドの心」を投入してもよいくらい、当時の安全地帯には余裕があったのです。「Yのテンション」「瞳を閉じて」「エクスタシー」と『安全地帯III』の佳曲を惜しげもなく投入し、一枚目は終了しいつのまにか二枚目に入っています。偶然かどうかわかりませんけども、二枚目一曲目「エクスタシー」からBaNAnaがステージに登場したような気がするんで、一枚目は安全地帯のみ、二枚目はBaNAnaを入れた編成でのライブというように前後半を分けていたのかもしれません。

「ノーコメント」、これは「悲しみにさよなら」カップリングですが、玉置さんと石原さんのスキャンダルを執拗に追いかけるマスコミをからかうような曲で、安全地帯ストーリーの異様な熱気と盛り上がりを示すものでした。以前にもわたくし書いたのですが、当時安全地帯はとんでもないレベルの曲と演奏、歌、そしてスキャンダル、そのすべてを劇場的に展開する大きなノンフィクションラブストーリーのストーリーテラーだったのです。そのスケールはまさに空前絶後、後にも先にもこんなアーティストは現れていないと思います。スキャンダルうんぬんは本人たちが仕掛けたことではなかったでしょうけども、結果としてたんなるロックバンドの域をはるかに超えた芸術的表現を放っていたのです。それは、やはり意図的にそうなったわけではない玉置さんの復活物語とリンクする90年代の玉置ソロと構造的によく似ています。

そして曲は「彼女は何かを知っている」「マスカレード」「碧い瞳のエリス」とだんだん深刻な感じの曲、いやぜんぶ深刻なんですけど、恋愛のダウナーサイド方面を強調する曲が固めて演奏されます。「マスカレード」以降はもうほぼシングル曲ですから(「あなたに」を除く)、ヒットパレードの意味合いもあったことでしょう。「碧い瞳のエリス」から「恋の予感」「あなたに」とスロー気味な曲から、このあと「熱視線」「真夜中すぎの恋」「悲しみにさよなら」とアッパーサイド方面の曲をたて続けに演奏して会場をこれでもかと沸かせてライブは終わります。なお、「あなたに」には曲の後にオーケストレーションが流れ、ここでライブが終わりであったことを示唆しています。つまりこの後の曲はアンコール扱いになるわけですが、1985のライブで「悲しみにさよなら」を残したまま終わっちゃたまらないですから(笑)、もちろんこれは想定されたアンコールということになります。

「ありがとう!さよなら!」と玉置さんの挨拶、歓声、そしてまたもやSE「エンドレス」……この「エンドレス」にはひときわ歓声が大きくなる箇所があるのですが、よく聴くとここはボーカルが重ねられていますから、玉置さんが出てきて歌ったんじゃないかと思います。これはみなさん嬉しかったでしょうね。

収録曲は以下になります(SE「エンドレス」除く)

1.Lazy Daisy
2.We're alive
3.萠黄色のスナップ
4.
5.Kissから
6.Inst.#1
7.Inst.#2
8.ワインレッドの心
9.Yのテンション
10.瞳を閉じて
11.エクスタシー
12.ノーコメント
13.彼女は何かを知っている
14.マスカレード
15.碧い瞳のエリス
16.恋の予感
17.あなたに
18.熱視線
19.真夜中すぎの恋
20.悲しみにさよなら

では、次回以降、インスト二曲の記事を順にお届けしたいと思います。インストの記事書くの久しぶりなのでちょっと緊張しております。

ONE NIGHT THEATER〜横浜スタジアムライヴ〜 [ 安全地帯 ]

価格:3,439円
(2023/7/8 11:03時点)
感想(12件)



横浜スタジアムライヴ〜ONE NIGHT THEATER 1985 [ 安全地帯 ]

価格:2,945円
(2023/7/8 10:59時点)
感想(3件)



2022年10月02日

『安全地帯LIVE』

【中古】邦楽CD 安全地帯 /LIVE

価格:1,890円
(2022/10/2 13:41時点)
感想(0件)



安全地帯ライブアルバム『安全地帯LIVE』です。DVDは『To me 安全地帯LIVE』というタイトルでリリースされています。1987年4月20・21日武道館公演のライブを録音編集したDVDです、とユニヴァーサルの公式サイトには書いてあるのですが、CDブックレットのクレジットには21、24&25と書いてありましてすでに混乱が起こっています。さらにDVDには21&24と……なんだかわかんないですね。当時のことはわからないのですが、まとめると武道館で20&21の2days、さらに24&25の2daysのコンサートを行ったということなのでしょう。そして、DVDにある曲はすべて(CDにない「夢になれ」を含む)21日と24日に収録を行っている、CDにしか収録のない「シルエット」「海と少年」のうち少なくとも一方は25日に収録を行っている、これでいちおうブックレットにあるクレジットには矛盾がないことになりますが、ユニヴァーサル公式サイトが誤っているということになります。ユニヴァーサル公式サイトが正しいとすれば、実は20日のLIVE映像は用いられていないという……?ああ、なんだかわかんなくなってきました(笑)。たぶんですが、記録がそもそも混乱しているとか、SEの「パーティー」とかエンディングの「ゆびきり」に用いられた映像だけが20日で、これらはLIVEの映像ではないという解釈でそう言っているとか、どうにかこうにか……いや破綻してますよ。どこかでミスってるでしょ!(笑)。演奏が毎日ほぼ同じだったから何日の音源使っていても違いが判らない(ブックレットに記載されている内容は正しいと仮定した場合の話)、という可能性もあります。いろいろ編集しているうちにわかんなくなったというのが一番ありそうな話ではあります。が、まあ、べつに何日の映像や音でも構いません。安全地帯は演奏がほぼパーフェクトですから、衣装の違いとかそういう細かい点でしか違いがないんでしょうね。そんな記録や記憶のゴタゴタが起こるほどの完璧ライブだったわけです。

小音量の「パーティー」、これはSEでしょう、が流れ、DVDではサウンドチェックの様子や武道館外の様子などが映し出され、今夜は楽しみパーティーナイトだぜという趣向でこのアルバムははじまります。そして「ふたりで踊ろう」からが安全地帯登場、照明が全開、生演奏のテンションで大歓声、会場は一気に暖まります。ホーンセクションを率いた、これぞ大編成時代の安全地帯!と思い知らされる豪華な演奏です。たて続けに「銀色のピストル」「好きさ」と人気曲が演奏され、場内の空気は序盤からトゥーホット、そこへ「シルエット」「海と少年」「あのとき…」でしんみりと、緩急寒暖つけた流れはこれまでのライブアルバムと共通した流れです。

最新シングル「じれったい」で会場をわかせたあと、このライブ一番の聴きどころ、メドレー「こしゃくなTEL〜眠れない隣人〜熱視線」へとなだれ込みます。映像をみるとフロントマンみんなニコニコ、初期のおすましさんはどこへやら、大盛り上がりの武道館に笑顔の安全地帯に心が躍ります(武沢さんだけなぜかおすましさんのままですが、体調でも悪かったのではないかと心配になります)。そして「どーだい」、わたくしこのライブ音源を聴いて「どーだい」にハマったといっても過言ではありません。安全地帯はどの曲もそうなんですが、ライブのほうがいいということがしばしばあります。さらにいうと、いくつかある「どーだい」のライブ音源の中でもこれは最高だとわたくし思っております。ギターの音が好み過ぎます。わたくしメタル野郎なのに、いつでもこのオーバードライブを再現したくて何十年もギターをとっかえひっかえ、アンプやエフェクターをいじくりまわしているといってもいいくらいです。

終始ノリノリのBAnaNAの、ここはクールダウンのシンセ演奏で会場は急激にしんみりして、「Friend」のイントロが始まります。わき立つ会場、でもすぐに玉置さんの歌をしんみり聴こうと待ち構える客席、これは見事です。「日本のファンは違うんだ、アメリカのファンみたいにクレイジーに騒いでくれないから喜んでないと最初は思ってたんだよ、でも気づいたんだ、日本のファンは僕たちの演奏を聴こうとしてくれているんだ、ぼくたちをリスペクトしてくれているんだよ」と洋楽バンドの来日公演インタビュー記事でしばしば80−90年代にはみかけたのですが、あったりまえです。日本には安全地帯があるんです。安全地帯だけのおかげではさすがにないでしょうけども(笑)、日本には日本のアーティストが豊富にいて、中にはクジラかイルカしか内容を聴き取れないんじゃないかというくらいクレイジー高音の嬌声のみが響き渡るおバカなコンサートもないではないですが、きちんとコンサート文化ってものがあるんです。80年代にシーンを駆け抜けた絶頂期安全地帯の、この記録を見よ!という気分になります。

そして「Friend」パート2たる「ほゝえみ」、平原さんのアウトロの中盛装の玉置さんは一礼してステージを去るという演出があるのですが、それはCDではわかりません。いったんここで区切りです。ホーンセクション勢ぞろい、お着替えを済ませた玉置さんが「いくよー!」と声を上げ観客はふたたび大盛り上がり、「今夜はYES」が強烈に響き渡ります。DVDですと次に「夢になれ」が入ってノリがいい曲二連発なんですが、CDだと次がいきなり「To me」で超しんみりになります。玉置さんの「いくよー!」が何だったのか、こんなに早く行って帰ってきたのか!とちょっと趣向がよくわかりません(笑)。

そして「To me」、DVDだとタイトルナンバーですね。トレメンダスな演奏で、ほれぼれするような武沢さんのギターとコーラスに支えられて玉置さんが歌い切ります。ライブでこの演奏はまずいでしょう、スタジオアルバム売れなくなっちゃいますよと心配になるくらいの迫力です。すでにコンサートは最終盤、「悲しみにさよなら」で大合唱、アウトロに玉置さんが「ありがとー!気をつけて!さよなら!」と呼びかけ、大興奮の中でコンサートは終わります。

ピンスポットを浴びた玉置さんが「ゆびきり」を歌います。演奏はおそらく中西さんだと思うのですが、エレピだけです。メンバーは「ラーラララーラー」とコーラスを入れ、玉置さんが「さよなら さよなら またあえる」と歌を終え、SEの「ゆびきり」に切り替わります。「ありがとう!また会おうね!」と挨拶をして本当にこのコンサートは終わってゆきます。

1.パーティー
2.ふたりで踊ろう
3.銀色のピストル
4.好きさ
5.シルエット
6.海と少年
7.あのとき…
8.じれったい
9.こしゃくなTEL - 眠れない隣人 - 熱視線
10.どーだい
11.Friend
12.ほゝえみ
13.今夜はYES
14.To me
15.悲しみにさよなら
16.ゆびきり

DVDですと、「ゆびきり」にあわせて武道館を退場するお客さんたちの映像が流れるんですが、その中に階段をぴょんぴょん降りてゆく少女の映像があります。そして母娘で手を振るのですが、これがなんと「ゆびきり」のイメージに合うことか……なぜ手を振っていたのかは不明ですが、おそらく、スタッフの通路にあるドアを少し開けて玉置さんとカメラマンが手を振ったのではないかと思うのです。スタッフやカメラマンだけだとこの笑顔は少し考えにくいです。偶然録れた映像だったのだと思いますが、あの少女の笑顔は安全地帯が生んだちょっとした奇跡だといえるかもしれません。

大編成の安全地帯ライブアルバムは、もうひとつMIASSツアーのものがあるのですが、MIASSツアーのDVDは安全地帯が終わってゆくさみしさが不可避ですし(活動休止前のドキュメントですから)、CDは2005年にリリースされてまだわたくしそんなに馴染んでおりません(それでも17年もたったのか……それでもといまビックリしております)もので、絶頂時の明るい派手な安全地帯ライブという点ではこれが唯一無二のものとなっています。

DVD / 安全地帯 / To me 安全地帯LIVE / UMBK-1004

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(2022/10/2 11:46時点)
感想(0件)


2022年10月01日

『スターダスト・ランデヴー 井上陽水・安全地帯 LIVE at 神宮』

スターダスト・ランデヴー 井上陽水・安全地帯 LIVE at 神宮スタジアム [ 井上陽水・安全地帯 ]

価格:1,848円
(2022/10/1 15:21時点)
感想(4件)



井上陽水・安全地帯『スターダスト・ランデヴー 井上陽水・安全地帯 LIVE at 神宮』です。これもライブアルバムで、1986年8月、神宮球場で行われたジョイントライブです。NHKで放送されたそうですから、テレビでご覧になった方もあるかもしれません。

仕掛け人たる金子氏、「感動にむせいでいた」そうです(志田歩『幸せになるために生まれてきたんだから』より)。安全地帯を世に送り出すきっかけとなったバックバンド起用、そして「ワインレッドの心」「真夜中すぎの恋」「恋の予感」三部作の作詞と、陽水はお膳立てをパーフェクトにして安全地帯のブレイクを引き起こしたのです。その後安全地帯は押しも押されぬトップバンドの地位を手に入れて、いままた陽水とともにめぐり逢った……まさにランデヴー!スターダスト(星屑)に込められた意味は……曲たち、めぐり逢った人たち(星さんとか)、そしてファンの人たち、どれもこれもこのドラマを彩るキラ星のような存在なのでしょう。さらに感動的なことに、「夏の終りのハーモニー」はこのコンサートのために作られ、お披露目されたそうなのです。超人的な作曲能力、作詞能力、そして演奏力歌唱力をもつこのジョイントでなければ成し得ないほどの奇跡的な曲だといえるでしょう。玉置さん陽水さんがツインボーカルでレコーディングした曲は後にも先にも、この「夏の終りのハーモニー」と「俺はシャウト!」だけなのです(玉置さんがコーラスをやった曲はほかにも存在しますが、ツインボーカルという点で)。

まあ……感動的でしょうね。よくある笑っちゃうような「コラボ」じゃないんですよこの陽水と安全地帯というのは……わたくし的にはボンゾの息子がプラント、ペイジ、ジョンポールジョーンズの前でドラムを叩いた「天国への階段」に匹敵するかそれ以上の出来事です。なに?ボンゾって誰って?それはえーとえーと……ほかに適切な喩えがなくて説明できないくらいの衝撃だと思ってくだされば……と思います(笑)。

1.青空
2.デリカシー
3.エクスタシー
4.プルシアンブルーの肖像
5.帰れない二人
6.夕立
7.リバーサイドホテル
8.ジェニーMy Love
9.夏星屑
10.夢の中へ
11.飾りじゃないのよ涙は
12.夏の終りのハーモニー

DVDではオープニングSE的に「冬花」が流れ、北海道の大地的な背景をクロマキーして、映画で短くした髪が長くなりましたが髭面はそのままの玉置さんが「青空」を歌うという、なんか現代の感覚でいうと非常にイマイチな(笑)趣向になっています。音は、まあいいんじゃないですかって感じですかね……『安全地帯ライヴ ENDLESS』の出来を期待するとちょっと戸惑う音でしょう。スタジアムライブで音が抜けてしまっている感じはありますが、まあまあ音はちゃんと拾ってますねってところです。かえって開放的な感じがしてこっちのほうが好きってひとはいるでしょう。

「青空」でしんみり始まり、「デリカシー」「エクスタシー」の不穏すぎる曲コンビで淫靡な雰囲気バリバリ、そして最新シングル「プルシアンブルーの肖像」で一気に盛り上げたところで、CDだとすっぽり抜けていますが(理由は後述)陽水さんに交代です。陽水さんが「ワインレッドの心」の歌詞を間違うというオモシロミスをかましますが、大した問題ではなく陽水バンドはしっとりどっしりと「ワインレッドの心」「ミスキャスト」の二曲を演奏します。

そして「帰れない二人」、これはもともと清志郎さんと陽水さんの共作で、もうどっちがどこを作ったのかわからないというくらいのケミストリーが炸裂した超名曲です。日本初のミリオンセラーアルバム『氷の世界』に収められているシングル曲(「心もよう」のカップリング)です。わたくし『氷の世界』よりも先にこの『スターダスト・ランデヴー』を聴きましたもので、もう玉置さん陽水さんバージョン以外は違和感あると感じるくらいになってますが、もともとはこの二人の曲ではないわけです。なんだろこの曲メチャクチャいいな、と思っていたわたくし、現代のようにすぐ調べるツールがあるわけじゃなかったですし、金もそんなにありませんでしたから(笑)、『氷の世界』にたどり着くまでしばらく間があきました。このアルバムいちばんの聴きどころといってもいいかもしれません。

そんなわけで「夕立」、「リバーサイド・ホテル」、「ジェニーMy Love」、「夏星屑」と、「リバーサイド・ホテル」以外はとりたてて有名曲ってわけでもない渋い選曲が続きます(「夕立」はシングル曲ですけども)。「ジェニーMy Love」「夏星屑」は玉置さんがツインボーカルに入る感じですが、基本的に陽水さんがメインですね。演奏は当然安全地帯ですが、矢萩さんのソロがとりわけ目立って大きく録音されているんです。凄く目立ちます。ですが……違和感ぜんぜんないですね。全員もとバックバンドですから、もしかして当時はこういうサウンドバランスでやっていたのかもしれません。それに中西さんも川島さんももともと陽水チームに属していたんですから当然といや当然ですが、これほど違和感ないものか……陽水さんの声ってのはとんでもない声で、容易なことではバックはつとまらないと思うんですが、バシッとハマっています。これはこのアルバムのウリだと思います。

そして大ヒット曲「夢の中へ」、明菜ちゃんへの提供曲「飾りじゃないのよ涙は」、どちらも有名曲で会場の興奮も最高潮に達します。玉置さんもノリノリすぎて間奏の後ステージに戻るのが遅れるという大チョンボをかまします。陽水さんがビックリしつつも大笑いしている様子、玉置さんが大慌てで戻ってくる様子、何事もなかったようにド安定の演奏を続けるメンバー、とんでもないユニットです。バックバンド時代だったら終演後に呼び出しくらって大目玉ですが、もう一人前と認めてもらったであろう安全地帯、きっと打ち上げでいじられるくらいで済んだものと思います。ミスに厳しい玉置さんのことですから、きっと自分でじゅうぶん反省したことでしょう。そしてこのコンサートで初お披露目の共作「夏の終りのハーモニー」、もちろんお客さんは初めて聴く曲ですから、またあの二人が一緒に曲を作ったんだ!しかも一緒に歌っている!感動おおおお!とかそんなことはなく、いい曲だったな、あの曲なんだったんだろう?と思いながら帰宅して、あとから経緯を知って感動おおおおおになったのだと思います。

【追記】いろいろな情報筋によりますと、歌う前に陽水さんと玉置さんで「今日のためにふたりで作りました」的なことをアナウンスしていますね。そりゃそうだ。CDやDVDでそのMCがカットされてるだけです。失礼しました。

さて今回、クレジットをみますと、「演奏者」に陽水と安全地帯、そして中西さん川島さん(BAnaNA)しか書いていませんで。あり?と思いました。だって「ワインレッドの心」とか陽水バンドじゃん、パーカッションの人、これ斎藤ノブさんじゃないの(違ってたらすみません)?なんで名前載ってないの?と一瞬混乱しました。そしてちょっと考えて、ああそうか、だからCDには「ワインレッドの心」と「ミスキャスト」が収録されてないんだ!と納得しました。なお、「デリカシー」「リバーサイドホテル」「夏星屑」はCDのみです。あれ、こんなに違ったっけ……もう記憶がこんがらがって一体のものとなっています。なお、「デリカシー」のように『安全地帯IV』収録曲はライブ音源少ない印象ありますから、その意味ではCDは貴重なものであるように思われます。また、『安全地帯ライヴ ENDLESS』に収録のなかった「エクスタシー」もこのライヴアルバムでは聴くことができます。

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2022年09月24日

『安全地帯ライヴ ENDLESS』

ENDLESS [ 安全地帯 ]

価格:3,555円
(2022/9/20 10:13時点)
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今回はライブアルバム、安全地帯『安全地帯ライヴ ENDLESS』です。1985年2月12・13日(武道館)、17・18日(大阪城ホール)での録音から編集した二枚組で(どの曲がどっちで録音されたものかはわからないです)、『安全地帯II』『安全地帯III 抱きしめたい』の収録曲はほとんど収められた、初期安全地帯全曲集に近い大作になっています。発売は1985年4月、アルバム発表順に記事を書いてゆくという弊ブログの方針とは異なり、わたくしこんなに遅くなってからの上梓となってしまいました。方針を守ったなら『安全地帯III 抱きしめたい』と『安全地帯IV』の間に記事があったはずですが……。当時からライブアルバムの扱いをどうするべきか決めかねておりまして……だって収録曲はもう書いちゃったしなあ、などと悩んだ末にやっぱり書いておこう、ベストアルバムと同じ体裁で書けばいいやと決めたのがつい最近だったわけです。

さてこのライブアルバム、とんでもない出来上がりで、なにより演奏がマーベラスです。玉置さんが歌詞を間違った箇所(「ブルーに泣いてる」)はありますが、ミスらしいミスがほぼないのです。何十年も聴いていますが演奏が乱れた箇所を発見出来たためしがありません。これを聴いてしまうとスタジオアルバムが面白げに欠けるように思われてくるくらいです。なんなんだこのバケモノバンドは!と今なら思えますが、なによりわたくしライブアルバムというものをほぼ聴いたことがなかったので、どのミュージシャンもこれくらいはできると思ってしまったというある意味恐ろしいライブアルバムです。録音も素晴らしく、全員の音がハッキリ聴こえてきます。そりゃ現代のライブアルバムに比べたら音圧がどうとか明瞭度がどうとかいろいろ言えなくもありませんが、40年近く前の音源にそれはムリってもんです。

ところでこのENDLESSライブのわずか三年前にオフコースが10日間連続ライブを行っており、今年40周年でCDやDVDが大売り出し、これもいいライブです。鈴木康博ファンのわたくしとしては個人的にお気に入りです。さらにその10年前にはDEEP PURPLEが『LIVE IN JAPAN』、さらにその六年前にはビートルズが公演を行っておりまして、武道館が大動員のライブ会場として用いられるようになってから安全地帯がこのENDLESSライブを行うまで20年くらいたっていたのです。大動員といってもキャパは一万チョイですから、現代の感覚でいうとそんなに大きな会場でもないんですが、当時はさいたまスーパーアリーナとか東京ドームとかはなかったですから、武道館公演を行うことが大成功の象徴みたいなものだったのです。現代では音響機器が進化したというのか、ツマミさえひねればどれだけ大きな音でも出せるようになっていますから(エンジニアのきみたち全員南朝だろ、いや難聴だろと思うくらい)、数万人規模のライブもそんなに難しくないのかもわかりませんが、当時はこのENDLESSライブが技術的にはほぼ最高の動員と音だったといってもいいんじゃないでしょうか。

さてこのENDLESSライブアルバム、『REMEMBER TO REMEMBER』からは四曲、『安全地帯II』からは全十曲、『安全地帯III 抱きしめたい』からは「エクスタシー」を除く九曲、シングル関連から二曲、その他一曲の全26曲となっております。LPやカセットでは数曲省かれたり三枚組になっていたりと事情がやや異なりますが、ここではCD二枚組としてご紹介いたします。

Disc.1
1.Endless
2.マスカレード
3.真夏のマリア
4.Happiness
5.Kissから
6.ブルーに泣いてる
7.Big Joke
8.エイジ
9.つり下がったハート
10.あなたに
11.…ふたり…
12.アトリエ
13.

Disc.2
1.小さい秋みつけた
2.恋の予感
3.yのテンション
4.Lazy Daisy
5.ダンサー
6.真夜中すぎの恋
7.熱視線
8.ラスベガス・タイフーン
9.ワインレッドの心
10.La-La-La
11.眠れない隣人
12.We′re alive
13.瞳を閉じて

Disc 1は「Endless」のゆるやかな感じ(これはSEでしょう)から、大音量の「マスカレード」で一気に盛り上がり、つづけてミディアムテンポの「真夏のマリア」「Happiness」「Kissから」でノリを持続させます。「ブルーに泣いてる」でちょっと泣きを入れてから「Big Joke」の軽快なリズムを挟んで「エイジ」でまた泣かせます。ここからしんみりモードで「つり下がったハート」でちょっと不穏に気持ちにさせてから、大人気バラード「あなたに」で観客の狂喜!この耳をつんざく黄色い声はただごとではありません。本気で失禁・失神した人が出たんじゃないかというくらい興奮しています。ここからはアコギ路線で「…ふたり…」「アトリエ」「風」と、これもさぞや興奮と落ち着きが同居した不思議な幸福感を味わったものと思われます。

Disc 2に入りまして玉置さんの、おそらくは弾き語り「小さい秋みつけた」のほんわかしんみりから、大ヒット曲「恋の予感」で一気に盛り上げます。この歓声は「あなたに」を越える大きさ!なにせ当時最新シングル「熱視線」のわずか一枚前ですからまだまだ新曲、観客が大喜びするのもさもありなんです。そこからは「yのテンション」「Lazy Daisy」とニューアルバムから一曲目二曲目を繰り出し興奮を持続させます。ここで何やら効果音的なものがだんだん大音量になり途切れたかと思うと「ダンサー」が始まります。このあと「真夜中すぎの恋」ですからセカンドアルバムからの選曲になる気分モード転換に効果音を使ったのかもわかりません。そして最新シングル「熱視線」とシングル曲が続きます。このあたりで観客も喜びすぎて疲れたでしょうから次は「ラスベガス・タイフーン」、これもシングルなんですがおそらくは知名度の相対的に低かった曲で一休みという感じでしょう。ですがこの曲、かつてはメインの曲だっただけあってかなり強力な魅力を持っています。矢萩さんの超絶ロングアドリブソロが炸裂し、知らない曲だけどすごいねこれって感じで会場はいやがうえにも盛り上がっていきます。そして暖まりきった会場に「ワインレッドの心」が投下され、コンサートはクライマックスを迎えます。このあと「La-La-La」でメンバー紹介をしていったんコンサートは終わります。鳴りやまない拍手、終わらないアンコールを求める声、そして大歓声とともにメンバーが再登場し「眠れない隣人」でドカンと盛り上げます。そしてアンコールの定番「We're alive」で「みんなの顔を忘れはしない〜今日はほんとにどうもありがとう〜」と別れを告げ、コンサートは終わりになります。ふたたびアンコールを求める声が収録されており、それにこたえた形という体でラスト、エレピだけの伴奏で「瞳を閉じて」が歌われ、このライブアルバムは終わります。

うーこうして書いてみてもいいライブアルバムです。演奏はパーフェクトなのはもちろん、キッチリ流れがあります。わたくしがこれを聴きまくりすぎたせいで流れがあるように見えるだけかもわかりませんが(笑)。それを差し引いてもボリューム満点、いやーライブ聴いた!という気分になりますよ。安全地帯のライブアルバムで一番のおススメといってもいいくらいです。快進撃真っただ中の安全地帯がどれくらい凄かったか、よーくわかるライブアルバムです。

ENDLESS [ 安全地帯 ]

価格:3,555円
(2022/9/20 10:13時点)
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2022年01月15日

『安全地帯アナザー・コレクション』


『安全地帯アナザー・コレクション』(1994年9月)です。アルバム未収録曲集でして、シングルバージョンやシングルのカップリングでアルバムに収録されてこなかった曲だけを集めたアルバムになります。

いつものリンクがなくて(どうも廃盤で中古も見当たりませんでした)ジャケットをお見せできません。事態が変わったらあらためてリンクをしたいと思います。『安全地帯BEST』のときのポスター写真を、ポジネガ逆転させたんじゃないかと思うんですが、青っぽいジャケット写真になります。データで手に入れることはできると思いますので、気になったかたは音楽データ販売サイトなどで検索なさるとよろしいかと思います。

【追記】Appleのリンクを貼るようにしてみました。

さて、このアルバムは、安全地帯が終わったことをわたしに悟らせるとても寂しいアルバムでした。その一方で、とても全部のシングルにまでは手の回らなかったプアーな少年時代に手に入れそこなったままになっていたいくつかの曲を一気に聴くことのできるとても貴重な一枚でしたから、さみしいやらうれしいやらでした。だって、これ聴いたら終わっちゃうよ、全部聴いちゃったよ、もう聴くものないよ、もうレコード屋で安全地帯のCD探すことがなくなっちゃうんだよ半ば習慣化していたのに、と、わたしにとって少年期の終わったことを決定的に示すものだったからです。これで安全地帯は終わりか……深い深い喪失感がありました。まあ、速攻で買いましたけど!(笑)。

当時、ローソンで「きっかけのWink」が流れていたのを覚えています。たぶん、この『安全地帯アナザー・コレクション』のプロモーションだったのでしょう。「きっかけのWink」は当時からするとわずか七―八年前の曲でしたが、やけに昔のことに思えました。その七年八年がわたしにとって人生の転換期を含むものであったこと、そして日本のJ-POPやらJ-ROCKやらのアクが強すぎ質が低すぎで巷に流れる音楽にウンザリさせられていたイヤな時代であったこと等、時間を長く感じさせる要素はいくつかあったのですが、なにより安全地帯が終わったことこそが、この隔世の感を増幅していたものと思います。

さて、そんなわたくしにとって安全地帯とお別れするアルバムであったこの『安全地帯アナザー・コレクション』ですが、当然のことながらアルバムとしてのまとまり、物語性はほぼありません。しいていえばややライトな出来のもの(急いで作ったカップリング等)が多いために生まれたちょっとした統一感、安全地帯の歴史を時系列順にたどれるという物語性はあります。でもまあ、有名曲はほとんど入ってませんから(「じれったい」と「あの頃へ」は別格としても)まさか安全地帯のアルバムを初めて聴くよって人は、よほどの偶然がない限りこれを選ばないでしょう。いってみればマニア向けアルバムになっています。むかしはCDプレーヤーで聴いていましたからシングルをいちいち入れ替える面倒を省くためにお買いになったというケースや、わたくしのようにいくつか聴き逃していたシングルがあるプア―なマニアが一気に事態を解決するために買ったケースがほとんどでしょう。未発表音源は一曲もありません。そして、クオリティ的にもふつうのアルバムとして期待して聴くと肩透かしを食うことでしょう。

さて、一曲ずつの短いご紹介を。
1.一度だけ:「萠黄色のスナップ」カップリングのギターポップです。どっちがA面でもよかったんじゃないかな?と思います。

2.FIRST LOVE TWICE:「オン・マイ・ウェイ」カップリングのギターポップです。うーん、これは「オン・マイ・ウェイ」のハードロック志向時代より若干前に作られた曲じゃないかなと思います。趣が違います。

3.We're alive:「ワインレッドの心」カップリングです。ハードな曲で元気な曲で、ライブのアンコールによく用いられる有名曲でもあります。有名曲ですが、これもファーストアルバムとセカンドアルバムの狭間にある曲調で、これまでアルバム収録がありませんでした。

4.マスカレード (シングル・バージョン):「マスカレード」自体は『安全地帯II』に収録されていますけども、若干だけ構成の異なる曲になってシングルカットされました。

5.置き手紙:「マスカレード」のカップリングで、これまでに『WE'RE ALIVE』で演奏されてライブビデオに収録されていました。慟哭系の寂しいバラードです。

6.一秒一夜:「熱視線」のカップリングで、安全地帯の曲中唯一矢萩さん作曲(当時)、唯一矢萩さんボーカルの曲です。またこれが暗くて不思議系の曲になっています。

7.ノーコメント:「悲しみにさよなら」のカップリングで、これまでは『ONE NIGHT THEATER』で演奏されビデオに収録されていました。軽快なギターポップです。

8.チャイナ・ドレスでおいで:「プルシアンブルーの肖像」のカップリングで、なんともいえない新感覚の曲です。

9.俺はシャウト!:「夏の終りのハーモニー」カップリングっていうんですかね、陽水さんと歌った曲です。ノリノリのロックですね。陽水さんの『GOLDEN BAD』にも収録されています。

10.恋はDANCEではじめよう:「Friend」のカップリングで、なんか急いで作った感のあるノリ一発のポップです。

11.じれったい (シングル・バージョン):これもアルバム収録のものとは若干構成と、ミックスも若干違って聴こえます。このアルバム随一の有名曲ですね。

12.ひとりぼっちの虹:「じれったい」カップリングです。シンセとボーカルの小品バラードです。こういう歌詞は沁みる人には沁みます。

13.きっかけのWink:「Juliet」カップリングの軽快なポップスです。あんまり軽快なんでシリアスな『月に濡れたふたり』には入れられなかったんじゃないかと思います。

14.時計:「月に濡れたふたり」カップリングの、不思議系バラードです。

15.ナンセンスだらけ:「微笑みに乾杯」カップリングの、不思議系というか不可思議系というかのポップスです。これが安全地帯最後の曲なのか?と訝しくなるほどお別れ感はありません。逆にいうと、この曲で終わりなわけはないからきっと復活するだろうとは思えました。

16.地平線を見て育ちました。:「あの頃へ」カップリングの、牧歌的なポップス、合唱曲ですかね。

17.あの頃へ 〜'92日本武道館〜命〜「涙の祈り」:「ひとりぼっちのエール」カップリングのライブ音源です。もう新曲作る余裕もなかったのか……と寂しくなりますけど、演奏はマーベラスな出来です。

さて、次回以降、一曲ずつ語ってまいります。「マスカレード」「じれったい」「あの頃へ」はすでにご紹介させていただきましたので、上のリンクをご参照ください。何度も同じ話で恐縮ですが、安全地帯はこのアルバムをもって沈黙していましたので、このアルバムが終わるとしばらく玉置さんソロのみを扱う期間……たぶん今年と来年いっぱいくらいは……最短でも……になります。ですからあまり過去のことばかり思いだして寂しがってないで、張り切ってまいります!
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2021年09月17日

『安全地帯ベスト2 ひとりぼっちのエール』

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感想(2件)


『安全地帯ベスト2 ひとりぼっちのエール』です。1993年8月25日発売ですから、前回ベストから五年くらい経過していることになりますね。その間隔だけをみればまあそろそろもうひとつベストを出してもいい頃合いだといえるかもしれません。しかし、ですよ。前回ベストを出してからスタジオアルバムはまだ二枚しか出ていないのです。前回ベストはスタジオアルバムが六枚(『オリジナルサウンドトラック プルシアンブルーの肖像』を入れれば七枚)も存在しているなかでのベストというかシングル集でしたから、選りすぐり感が非常に高かったのです。どうするんだよ今回は!シングルだけだと何枚あるんですかね?前回ベストに入っていなかったものをあわせてシングルだけを書き出してみますと、

「萠黄色のスナップ」「オン・マイ・ウェイ」「ラスベガス・タイフーン」「真夜中すぎの恋」「マスカレード」「Juliet」「月に濡れたふたり」「情熱」「いつも君のそばに」「あの頃へ」「ひとりぼっちのエール」全十一曲!なんだ、これでいいじゃないか、曲数的には(笑)。でもこれだといまいちウリがないと判断したんでしょうかね、上の十一曲から「オン・マイ・ウェイ」「ラスベガス・タイフーン」の二曲を除き、「あなたに」や「銀色のピストル」、「あの夏を追いかけて」といったアルバム曲を入れるという戦略でこのベストアルバムは編集されたようです。

そしてそして、こうした編集方針にそぐわない曲が一曲!そう、「悲しみにさよなら」です。なぜこれを入れる!いまひとつ分かりません。あと一曲ぶん容量に余裕があるんですけど「ワインレッドの心」か「悲しみにさよなら」入れませんか、このアルバム大ヒット曲が少なすぎてこのままじゃそんなに売れないですよ、とかなんとか、そういうセールス的な意味合いで収録したのか、もしくは、時期的に空白となる期間を短くするために収録したか……『安全地帯II』からは三曲も入っているし、このうえ「ワインレッドの心」まで入れたら『安全地帯II』買ってくれた人に申し訳ないよね的な配慮だったか……それを言うなら『安全地帯III〜抱きしめたい〜』からは一曲も入ってないんですけど!なんだか、よくわかりません。「風」とか「ブルーに泣いてる」入れるよりは「悲しみにさよなら」入れたほうがセールス的には期待できるのはわからなくもないんですけども、昔からのファンを納得させるためには「風」とかのほうがよかったと思います。昔からのファンを納得させる必要なんてぜんぜんないといえばないんですけども。だって、安全地帯のアルバムを初めて買う人が「悲しみにさよなら」入っているからこれ買おうって思うかもしれないじゃないですか。そして、アルバム曲のよさに目覚めて『安全地帯II』とかも買うかもしれないじゃないですか。ファーストアルバムは完全になかったことになっているっぽいのがとても気になりますが(笑)、まあ、セールス的には仕方ないのかもしれません。なにせバブルはとっくに弾けていて、活動再開以来シングルが一曲もベストテン入りませんでしたし、『太陽』のセールスもコケて……それに、もしかしたらまだ残っていたのかもしれません、安全地帯として出さなければならないアルバム枚数の契約が。あるいは、安全地帯の音源である程度のセールスが見込めるうちに出さなければならないとレコード会社が判断したのかもしれません。いずれにせよ意思決定が必要なんですが、バンドはすっかり機能不全に陥っていました。ですから、おそらくはレコード会社主導で出さざるを得なかったのだとは思います。

そんなわけでして、当時のわたくし的には、あまり大きな意味を見いだすことのできないベストアルバムでした。アルバムだけ買っていますがシングルまでは手を出していません的なリスナーには、初収録の「萠黄色のスナップ」「あの頃へ」「ひとりぼっちのエール」三曲が初お目見えです。三曲で3000円か……買っちゃうかもな、それでも。わたくしのようにシングルもあるけどなぜかアルバムも買っちゃう人もいるわけですし。

さて、一曲ずつ短くご紹介していきます。例によって、すでにご紹介した曲はここでリンクを貼ることにしまして、一曲ずつのご紹介は重ねて行いません。ですから、次回以降一曲ずつのご紹介は「萠黄色のスナップ」「あの頃へ」「ひとりぼっちのエール」のみとなります。

1.萠黄色のスナップ:安全地帯デビューシングル、ギターポップです。
2.真夜中すぎの恋:『安全地帯II』収録のシングル曲、スピードあるロック曲です。
3.あなたに:『安全地帯II』収録、至高のバラード曲です。
4.マスカレード:『安全地帯II』収録のシングル曲、テクニカルギターポップです。
5.悲しみにさよなら:『安全地帯IV』収録のシングル曲、安全地帯第二の大ヒット曲です。
6.銀色のピストル:『安全地帯V』収録、ビッグバンド編成時代を代表するロック曲です。
7.Juliet:『安全地帯VI 月に濡れたふたり』収録のシングル曲、転調の多いこれまたテクニカル曲です。
8.月に濡れたふたり:『安全地帯VI 月に濡れたふたり』収録のシングル曲、ボサノバ調ポップです。
9.Too Late Too Late:『安全地帯VI 月に濡れたふたり』収録のシングルカップリング曲、バラードです。
10.あの夏を追いかけて:『安全地帯VII 夢の都』収録の爽快なギターロックです。
11.情熱:『安全地帯VII 夢の都』収録のシングル曲、重厚なギターロックです。
12.いつも君のそばに:『安全地帯VIII 太陽』収録のシングル曲、バラード的ギターポップです。
13.朝の陽ざしに君がいて:『安全地帯VIII 太陽』収録のアコギバラードです。
14.あの頃へ:シングル曲、胸が詰まりそうな望郷・回想バラード曲です。
15.ひとりぼっちのエール:活動休止前ラストシングル曲、これも胸の詰まるバラード的ギターポップです。

……全15曲、こうしてみると、セールスが優先された企画盤に近いものとばかりも言えないように思えます。もし完全にセールスを優先するなら「ワインレッドの心」は多少文句が出ても入れるべきだったでしょう。「銀色のピストル」や「あの夏を追いかけて」は入れずに、「Friend」や「好きさ」を入れるほうが得策だったでしょう。「あなたに」が入っているのも見過ごせません。この曲はいまでこそ有名曲ですが、当時はいちアルバム曲にすぎず、アルバムを買い集めるようなファンしか知らなかったような曲なのです。これが、はじめて安全地帯のアルバムを買うようなリスナーさんに与える衝撃は大きかったことと思います。いつか来るかもしれない安全地帯の復活を願ってその活動の下地となるファン層を拡大しておく(結果的にセールスもついてくるわけですが)にはうってつけの曲といえるでしょう。そのためにこそ、『I Love Youからはじめよう―安全地帯BEST』と併せて安全地帯の核となる要素を後世に残しておくという意味があったように思えてきました。

だからこそ、安全地帯がここでいったん終わるという事実を知っていた人たちが、安全地帯を愛すれば愛するほどに、涙ながらにその足跡を残しておこうとしたものであったのかもしれません。いつまでたっても安全地帯が再開する気配のなかった90年代中盤、わたしはこのアルバムのそうした意味をじわじわと理解していきます。それはつらい受容と理解の日々でした。

次回以降、未紹介の曲をご紹介してまいります。

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2021年03月20日

『安全地帯VIII 太陽』


長期活動休止前のラストアルバム、安全地帯八枚目『安全地帯VIII 太陽』です。

「心をこめた歌がたくさんできました。」

当時(1991年12月)の帯に書かれていた言葉です。わたくし今回一字一句正確に転記するために、帯をしまっておいたCDケースの内側を空けようとして、当時のケースを少し壊してしまいました(泣)。当時ものですからこのままにしておきますけど、これでしばらく帯も取り出すことはないでしょう。この言葉は、当時レコード店に貼られていたポスター(ジャケットと同じ写真)にも書かれていました。

心をこめた歌……安全地帯の歌はもちろんすべて心がこもっていますので、よく考えれば当たり前のことを言っているにすぎないんですけども、そう書くからには普段にもまして心がこもっているのかもしれないと、期待感がドカッと上がりました。キティレコードのコピーライターのせいです(笑)。

この白黒写真……安全地帯のジャケットはモノトーンかそれに近いものが多かったですから、違和感はありませんでした。むしろ『夢の都』がドッキリの派手さだったのです。

さらに前作からかわって、サポートメンバーにBAnaNAが復活しています。「太陽」だけですけども。のちに玉置ソロでよくお名前を見かける藤井丈二さんも同じく「太陽」でパーカッションを担当しています。ストリングスは金子飛鳥グループ、現在ではマレー飛鳥というお名前で活動されているバイオリニストのグループです。

わたくし、当時何かの事情で、たぶんバンドでチケットノルマとかにつぎ込んじゃったとかそんな理由なんだと思うんですが、1991年内に聴くことができず、年明けに購入した記憶があります。ポスター自体はまだ暑い時期から貼っていたと思います。お!金残しておかないと!と思ったけどもなかなか出ないので待ちきれなかったのでしょう。おかげで、「1991年からの警告」を1992年に聴く羽目になりました。

世の中がバブル崩壊(1991年)で、何かが起こったらしいということはなんとなく察していましたが、だから何なの?という気分でもありました。今までだって不景気はあっただろうし、二〜三年でまた持ち直すでしょ、というお気楽さがまだあったように思います。街は相変わらず元気でしたから、肌でその恐怖を感じることは不可能でした。

16.4万枚(Wikipediaより)、これが安全地帯にとっていかに厳しい数字であるかは明らかです。なにしろ前作から10万枚近くも落としています。事務所を設立し、新体制で臨んだこの渾身のアルバムは、ついにセールス的な成功をおさめることはありませんでした。体制の変化によって安全地帯の音楽性が上がるとか下がるとか技量に変化があるとかは考えにくいですので、とにかく時期が悪かったというほかはないのですが、それは30年も経ったいまだからこそ言えることで、その渦中にいた安全地帯にとってはこれがどれほど深刻だったか、察して余りあるものがあります。

もちろん、発売前からそんなに売れないとわかるわけはないですから、このアルバムにおさめられた曲たちが一種暗いイメージをまといがちであるのは、バブル崩壊とかセールス不調とかとは関係ないはずです。ですが、あの頃の薄い記憶と、このアルバムの印象とが相まって、90年代ってモノトーンの時代だったなー、と、わたくしにズシーンとした何やら重いイメージを抱かせるだけの、とんでもない影響力をもったアルバムだったのです。だって安全地帯このあと10年も活動しなかったんだもん!

では、一曲ずつの短いご紹介を。

1.「1991年からの警告:タイトルからもわかるバリバリの世紀末ソングです。
2.「太陽:タイトルナンバー、もの凄い迫力の、民族音楽、ワールドミュージック的な曲です。
3.「花咲く丘:静かで、やさしさが悲しく感じられるバラードです。
4.「いつも君のそばに:シングル曲です。キャッチーですが、派手でないです。
5.「俺はどこか狂っているのかもしれない:切れ味するどいロックですが、当時吐き捨てるような歌い方に驚きました。安全地帯新機軸でしょう。
6.「SEK'K'EN=GO:はやくも新機軸第二弾とでもいうべき切れ味ロック曲で、立て続けにきました。当時前曲とこれは馴染むのに時間がかかりました。
7.「エネルギー:これも切れ味ロック第三段ですが、最初に気に入ったのはこの曲でした。この曲がなければ、前二曲を理解できた自信がありません(笑)。
8.「ジョンがくれたGUITAR:アコギロックです。この格好良さ、望郷的な歌詞の寂しさに圧倒されます。
9.「朝の陽ざしに君がいて:問答無用の安全地帯ラブソングバラードです。初期のうちからいい曲!と感動できる曲だと思います。
10.「黄昏はまだ遠く:安全地帯が抱いた夢、この後の崩壊、そのすべてを表現するような壮大ロックバラードで、うっかり聴くと泣けてきます。「太陽」と並ぶ迫力があります。

前述したとおり、このアルバムは10年間強も安全地帯最新作であり続けました。それどころか、最終作だったんじゃないか、このまま安全地帯はなくなるんじゃないかと思わせる雰囲気バリバリの、悲愴なアルバムでした。わたしはこのアルバムが最高傑作と確信するに至るまで、このアルバムを10年も聴き続けたのです。そうして『安全地帯V』ころの派手さが、かえって悲しく感じられる段階に至ったのです。つらいつらい、忍耐と成長の10年間でした。

ともあれ、春頃にこのアルバムを扱うとコメントで申し上げておりましたので、間に合ってよかったとホッとしております(笑)。次回以降、一曲ずつの解説を始めてまいります。どうぞよろしくお願いします。


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2021年01月16日

『安全地帯VII 夢の都』


『安全地帯VII 夢の都』、安全地帯七枚目のオリジナルアルバムです。1990年7月下旬、北海道でもかなり熱い季節でした。それなのに冠雪をたたえた大雪山をバックに、青空のジャケット……いえ、当時はとても珍しい、箱仕様でした、青い箱がズラッと、レコード屋さんやレンタルCD屋さんに並びました。

ここでちょっと補足を入れておきますと、大雪山は標高2000m超の、北海道で一番高い旭岳を擁する大山系で、夏でもスキーができます。ですから夏に冠雪があるのもそんなに不自然でないといえばないんですけど、この写真のように麓からみてわかるくらい雪が残っていたかは、旭川によく出入りしていたわたくしにも、ちょっと記憶がありません。まあ、ふつうに春以降の写真だと思います。

レコード屋さんでは、とうとう安全地帯が復活した!という扱いでした。そのわりにセールスは、Wikipediaによれば26万枚程度、40万枚以上を売り上げた前作やベストよりも振るわない結果になってしまいました。それでも平成初期の基準でみると大ヒットですけども。

ちなみに、平成末期〜令和初期の現在と昭和末期〜平成初期のレコード・CDの総売り上げ(業界全体)はそんなに変わらないようです。平成中期が異常だっただけで、いまぐらいが普通なのかもしれません。もし現在、26万枚を売り上げるアルバムが登場したらすごいじゃないですか。オリコンのホームページによると、2020年に26万枚ですと、すとぷりStrawberry Prince推定累積売上数:266,132、Official髭男dism推定累積売上数:255,028 Traveler、の二枚に相当するようです。わたしからすると、すみません、よく知らないですけどって感じですけど(笑)、わたくしより世情に詳しい人ならけっこうなヒットだったとわかるでしょう。ちなみに、彼らのアルバムは秋に出てまだ半年くらいしか経ってないですから、まだもう少し売れると思います。

さて平成初期に戻りまして、1990年、バブル最高潮期とされた当時、街は元気でした。地下鉄駅とバスターミナルが一体となった駅舎はひっきりなしに道行く人を吸い込み、逆に頻繁に帰ってきた人たちを大量に吐き出し、その行き交う人々で溢れかえっていました。用もないのに幅をきかせるためだけにつるんで歩く不良少年たち、買い物に訪れる近隣住民たち、外食のためにオシャレしてきた家族たち、いろんな人々がいろいろな人生模様を見せながら、街を行き交っていました。わたしは、地下鉄駅とJR(当時はもう国鉄じゃなかったんです)駅の間をウロウロし、掘り出し物を求め楽器屋、レコード屋、本屋をハシゴする日々でした。元気ですね。

そんなとき、安全地帯が復活した!前年の、もしかしたら当年初期だったかもしれませんが、北海道新聞夕刊にユニバーシアードのテーマ曲をつくるために安全地帯が再集結した、という記事が大きく載りました。その記事には一曲(当時は曲名が決まっていなかったんですが、「この道は何処へ」でした)のことしか載っておらず、まさかアルバムやシングルまで出してくれるなんて思っていなかったのです。そうなってくれたらいいなあ、くらいで。ですが、安全地帯はそのままアルバムのレコーディングに取り掛かってくれました。「行かないで」とかですっかり超ブルーになっていたわたくしの、当時のよろこび具合といったら、ご想像いただけるでしょうか。

最初に田中に電話したら「ほんと?やろうよ!」、そしてみんなと一緒になったらアルバムも作ろうってことになったんだよね、とアルバム発売後の雑誌でインタビューに答えていた玉置さんの言葉は、よろこびにあふれていました。

『幸せになるために生まれてきたんだから』によると、かならず五人全員が一緒にスタジオ入りしてレコーディングを行った、外部ミュージシャンを入れずに極力五人だけで「バンドっぽく」音を作った、等々、いかにこのアルバムがそれ以前の安全地帯のそれと異なって画期的であったかがわかります。なんと玉置さんの盟友Bananaすらいないのです。ほとんど五人のメンバーと松井さんだけで作られた世界だといっていいでしょう。ストリングスのアレンジに星さんが入ってますけど、プロデュースは大きく「安全地帯」、共同プロデュースに星さん金子さんの名前が小さく載っています。エグゼクティブ・プロデューサーとして多賀さんが少し大きく記されていますが、この人は現場に顔を出したかどうかもあやしい程度でしょう。

なにより、「玉置浩二 Vocals & A.Guitar」と記されたのが、なんだかわたくしには嬉しかったです。わたしの覚えている限り、玉置さんのギターがクレジットされたのはこれが初めてなのです。

そんな五人だけのアルバム『夢の都』、いきなり「誰が叩いたんだよ」と思わせるダラブッカの音色とともに始まります。

1.「きみは眠る:ダラブッカで始まる不穏な曲です。ハードでありながらポップ、ポップでありながら強烈なメッセージ性、これは「遠くへ」からつづく世紀末ソングの系譜上にあります。
2.「情熱:のちにシングルカットされた爽快なロックです。「どーだい」「I Love Youからはじめよう」の路線を継承した曲といっていいでしょう。
3.「Lonely Far:「みんなSNSを楽しみすぎて〜」等、時代に合わせて歌い替えられます。世界では大変なことが起こっているのに僕たちは無力だという、「Shade Mind」を受け継ぐ曲といっていいでしょう。エレキギターがバリッバリのハードな曲です。
4.「Seaside Go Go:チャックベリーかよ!と思わせる、これもエレキギターバリッバリの勢いで駆け抜けていくロックンロールソングです。
5.「ともだち:うって変わってバラードです。従来の安全地帯ファンはようやく一息つけます。恋人とのラブソングでないのがニクイですね。
6.「あの夏を追いかけて:これはなんというか……すごくいいメロディーなんですが、ド直球すぎて形容しにくい曲です。しいていえば「情熱」と同じく爽快なロック、ですかね。
7.「…もしも:やっと恋人とのラブソングらしき暗いバラードです(笑)。さすが安全地帯!と唸らされるんですが、従来の暗いバラードにあったコマーシャル性が低めで、言及されることの稀な、隠れた名曲でしょう。
8.「Big Starの悲劇:あまりにかつての安全地帯らしい緻密さ繊細さが感じられず、一瞬狂ったのかと思いました(笑)。しかし異常にノリがよく、こんな曲もやるんだ……と驚かされるニュー・ロックンロールです。
9.「プラトニック>DANCE:これも「大丈夫かよ!」と思わず心配になった異次元ソングです。どのあたりに感動するのかわかりませんでしたが、何度も聴いているとこれがフォーマットになって、この曲の楽しさがわかってゆきます。
10.「この道は何処へ:きたきたきたー、これぞ安全地帯!と誰もが喜んだと思われる、壮麗なバラードです。これぞ安全地帯!なのに、出逢いとか熱愛とか抱擁とか不倫とか横恋慕とか、そういう要素がまるでありません(笑)。もうそういうのはいいや、だったんでしょうね。ユニバーシアードのテーマソング、安全地帯復活のきっかけとなった曲です。
11.「夢の都:ゆめーゆめーゆめーと、松井さん歌詞サボったんじゃないの?と最初は思いましたが、この繰り返しに必然性があったんだ……と気づかされる、せつない望郷ソングです。

全11曲!安全地帯のアルバムはたいてい10曲ですから、なんだか新しい時代が始まったという気が少しだけしたものです。まあ、『Remember to Remenber』も11曲ですし、『安全地帯V』なんて36曲ですから、べつに10曲と決まったわけでもなかったんですけど、すこし特別感があったものです。

かつでの安全地帯がまとっていたイメージである夜の街でなく、危ないアフェアーでもなく、右曲がりのダンディーでもありません(笑)。なぜこのようなアルバムになったか?『安全地帯VI 月に濡れたふたり』から十数万単位で売り上げを落とした、それは失ったリスナーの数でもあるんですが、このアルバムで安全地帯は何を成そうとしていたのか、次回から一曲ずつご紹介していく中で、そういったことをゆっくり考えていきたいと思います。

安全地帯7〜夢の都 [ 安全地帯 ]

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2021年01月09日

『I Love Youからはじめよう―安全地帯BEST』

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安全地帯の初ベストアルバム『I Love Youからはじめよう―安全地帯BEST』です。

1988年春に『安全地帯VI 月に濡れたふたり』、同年夏にシングル「微笑みに乾杯」をリリースした安全地帯は活動の休止を宣言し、秋に香港で最後の公演を行い、そして冬12月にこのベストアルバムをリリースします。

Wikipediaによりますと、セールスは36.2万枚、これは昭和末期〜平成初期としてはもちろん大ヒットですけども、これまでのアルバムに比べて特に売れたって程の数字ではありません。安全地帯のファンは、これに収録されているような曲の音源はすでに持っていたから、急いで買うようなものでもなかった、というのが当時のわたくしの印象ですけども、それにしてもすこし寂しさを感じさせる数字ではあります。その一方でレンタルは好調だったようで、どこのレンタルCD店でもズラリと並べられていました。これじゃないの?売り上げがイマイチ上がらなかった原因は?と思わなくもないんですけど、べつに責めるようなことでもないでしょう。

内容は、オリコンチャート上位を賑わせた曲ばかりです。とりわけ「熱視線」「微笑みに乾杯」はアルバム未収録でしたから、アルバムだけのコレクターだった人にはそこそこ強力な魅力があったといえます。

さて、当時のファンとしての感想ですが……

安全地帯がデビューして五年、オリジナルアルバムは6枚(『オリジナルサウンド・トラック プルシアンブルーの肖像』を入れると7枚)、シングルは19枚、けっこうな音源数があり、活動休止宣言で一区切りついてましたし、「微笑みに乾杯」が見事な「何かが終わった」感を醸し出していましたから、ベストアルバムが出ることは自然な状況には思えました。しかし、わたくしには、これが安全地帯最後のアルバムになってしまうのではないかという謎の危機感があり、辛く感じられたのです。

「ワインレッドの心」から始まるのも、とても自然に感じられた一方で、それ以前の活動がなかったこと扱いにされているような謎の被害妄想(笑)にも憑りつかれましたし、アルバムのタイトルナンバーであった「月に濡れたふたり」が収録されていないのも不思議に思われました。これは何かウラがある……!たぶんないんですけども(笑)、そういうへんな勘繰りも働いてしまって、なんというかこう、素直にこれがBESTだ!と思えない依怙地さを発揮していました。たんに安全地帯が終わってしまいそうで、さみしかったんだと思います。

あとから知りましたが、メンバーもこれで終わってしまうのか復活があるのか、ハッキリはわかっていなかったようで、のちに玉置さんが田中さんに電話をかけて「やろうよ」と再始動を呼び掛けたら、田中さんが喜んだというエピソードを雑誌で読んだ記憶があります。ですから、この当時安全地帯がこの先再始動するという保証はなく、終わってしまいそうな雰囲気はたしかにあったのです。

なお、そういうとき最初に玉置さんから電話がかかってくるのはたいてい田中さんだそうです。愛想がいいとか頼みを断らないとかいろんな理由があるんでしょうけど、きっと電話かけやすいんでしょうね。

さて、一曲ずつの解説ですが……すでに言及した曲ばかりですので、これまでのアルバム紹介とはやり方を変えまして、曲ごとに過去の記事へのリンクを貼ることにしたいと思います。

1.ワインレッドの心:安全地帯出世作にして最大のヒット曲です
2.恋の予感:陽水さん作詞三部作のラストです。
3.熱視線:ノリのよい曲なんですが妙に複雑でノリきれない安全地帯らしいロック曲です。
4.悲しみにさよなら:安全地帯人気を不動のものにした第二大ヒット曲です。
5.碧い瞳のエリス:重厚壮麗なポップバラードです。
6.プルシアンブルーの肖像:映画テーマ曲で哀愁ただようハードロック曲です。
7.夏の終りのハーモニー:陽水さんとのコラボレーション・共演曲です。
8.Friend:ひたすら切ない悲恋バラードです。
9.好きさ:ド直球の告白ロック曲です。
10.じれったい:これまた複雑で(当時の若者には)ノリきれないロック曲です。
11.I Love Youからはじめよう:メンバーの再結束を願う悲愴な王道ハードロック曲です。
12.微笑みに乾杯:タイトルとは裏腹にもうお別れ間近を予感させる悲しいラブソングです。

全12曲、どれもヒット曲ですから、きっと安全地帯が初めての人や現代の若い人が聴いても楽しめると思います。

ただ……わたくしにはちょっと辛い思い出のあるアルバムでもあります。安全地帯が終わってしまう危機感のあったときに、置き土産のようにリリースされたアルバムですから。そして何より、わたくしにとってほとんど初のベストアルバムだったのです。いや、もちろんビートルズとかサイモン&ガーファンクルとかカーペンターズとか、そういうレジェンド的な人たちのベストアルバムは聴いてましたけど、自分がリアルタイムで聴いていたアーティストが活動を休止し、ビートルズとかのいる「あちら側」になってしまうさみしさを味わった初の体験だったからです。二年後に裏切られますけど(笑)、それは当時のわたしにはわからなかったのです。ですから、強烈なさみしさの記憶とともに、このアルバムはラックに収められていたのです。

次回以降、これがアルバム初収録となった「熱視線」「微笑みに乾杯」を解説してゆきたいと思います。

I Love You からはじめよう/安全地帯BEST [ 安全地帯 ]

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2020年06月23日

『安全地帯VI 月に濡れたふたり』


『安全地帯VI 月に濡れたふたり』です。88年4月発売で、スタジオアルバムとしてはおおよそ一年半ぶりのリリースとなります。

このアルバムは、シングル曲四曲、カップリング一曲を抱え、実に収録曲の半数がシングル関連になっています。なんだそりゃ、ベストアルバムかよ、と思いますよね。しかも、非シングル関連のアルバム曲のみならず、収録されなかったカップリング曲さえも強力な曲ばかりで、掘り起こす楽しみに溢れたアルバムと言えるでしょう。このさい全部収録して二枚組にすればよかったのにと思わなくもないんですが、安全地帯は精選した十曲のみで新たな段階へと進むことを選んだのでしょう。

88年、まだ学研から『△○コース』、旺文社から『△○時代』という学年誌が売られていた頃、安全地帯もその中に掲載されたチャート情報の一員でした。光GENJIとか少年隊とか南野陽子とか浅香唯とか、そういう人たちの写真が大きめに掲載されるカラフルなページの中、安全地帯という漢字四文字だけのインパクトが静かに光っていたのです。「8位 月に濡れたふたり 安全地帯」みたいに。学年誌での扱いは、当然ですがジャニーズ二軍的扱いだったSMAPや平家派よりもはるかに低く、いかに安全地帯がオトナ向けであったかがよーくわかる誌面構成になっていました。

いま思えば平家派って、のちにトキオとかV6とかでジャニーズを支える人たちですよね。野口隆史くん(反町隆史くん)にしろ、カンコー学生服の宣伝に学生服を着て出ていた小学生の香取慎吾くんにしろ、みんなみんな、こののち20年とかにわたって日本の芸能界表街道を邁進していく人たちでした(光GENJI以外は)。

そんなアダルト向け安全地帯ですが、小銭持ってレコード屋をウロウロするしかできない中高生とは違っていくぶんカネのあるオトナたちに「I LOVE YOUからはじめよう」「Juliet」「じれったい」「月に濡れたふたり」を擁するこのアルバムは売れまくります。Wikipediaによると36万枚を売り上げたそうです。EPはEPでカップリングが欲しくて買っちゃいますから、LP2800円、EP700×4=2800円で、5600円もかかったわけです。うーんオトナ。

「じれったい」「Juliet」「月に濡れたふたり」が先行シングルで、「I LOVE YOUからはじめよう」はシングルカットです。それなのに、前三作のカップリングはアルバムに収録されず、シングルカットされたほうは二曲ともアルバムに収録されているという、なんだか納得のいかないセールス方法なんですが、「I LOVE YOUからはじめよう」のジャケットがやけに格好良くてうっかり買っちゃいそうなのが怖かったです。どっちも知ってる曲じゃん!あああでもこのジャケットはほしい!ちょうどこのころ音楽好きの間でCDプレイヤーが普及しきったころで、当然買うならCDなんですが、例によってジャケットが大きくて格好いいというだけの理由でEPレコードを買いそうになるのを何度もこらえた記憶があります。聴くのはCDアルバムで二曲とも聴けるから、観賞用にレコードを、と思ったんです。札幌地下街のレコード屋で手をプルプルさせながら悩み、地下街を端っこまで冷やかしてまた戻ってきて手をプルプルさせ、地上に上がりアーケード街を冷かしてはまた地下に潜ってプルプル……そんなに時間と体力を浪費するくらいなら、いっそ買っておけばよかったと心から思います。わたしにとって、若さとは馬鹿さなのでした。

このアルバムの後、安全地帯は活動休止を宣言し、「微笑みに乾杯」をリリース、『安全地帯BEST〜I LOVE YOUからはじめよう』を残して表舞台を去ります。二年後の『安全地帯VII〜夢の都』まで空白期間が生じますから、しばらくのあいだこの『安全地帯VI〜月に濡れたふたり』は最新スタジオアルバムだったのです。しばらくといってもたった二年ですけども、当時の世の中で二年はとても長かったです。わたしは渇きを癒すため『TOPGUN』のサントラやDEAD OR ALIVEの『NUDE』などに手を出すも、少しもハマれずレコード屋をまた徘徊することになります。ありもしない安全地帯の音源を求め、レンタル落ちした1480円の『安全地帯BEST』をみてはため息をつき……もはや廃人です(笑)。いま思い出しましたが、この時期にBON JOVIやMOTLEY CRUE、GUNS N' ROSESに手を出したんでした。わたしがハードロック馬鹿になったきっかけはこのように安全地帯によって与えられ、そして安全地帯の活動がすっかりなくなった90年代(『安全地帯VIII〜太陽』以降)に加速していったのでした。

さて、一曲ずつコメントしていきたいと思います。

1.I LOVE YOUからはじめよう
 爽快ハードロックナンバー、問答無用のカッコいいオープニングです。ここでのI LOVE YOUは女性を口説く文句じゃなくて、人生を応援することばなのです。
2.悲しきコヨーテ
 一気にダークな、これもハードロックなのですが、前曲とうってかわって恋愛方面に悩ましい曲です。
3.Juliet
 せつない失恋バラードです。ストリングスがエレガントで軽やかなのに、歌詞がこの上なく後ろ向きで物悲しいという、曲も歌詞も複雑なナンバーです。
4.じれったい
 タイトルナンバーよりも有名で人気もあるという、なんだかズルいヒット曲です。『安全地帯LIVE To me』に収録されているせいか、なんだか『安全地帯V』よりのイメージなんですけども、だんぜんこっちのアルバムのほうが居場所として似合っています。
5.星空に落ちた涙
 日航機123便の事故に遭われた坂本九さんに捧げられた、涙モノのバラードです。
6.夢のポケット
 安全地帯の子どものコーラス入り童謡、子守歌、卑怯なくらいハマっています。サビがあまりに気分が盛り上がりますので、子守歌に歌うと子どもがそこで起きます(笑)。
7.No Problem
 ベースが「ドゥドゥンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥン〜」と曲全体をリードする軽快なダンスナンバーです。安全地帯に期待されていたタイプの曲では決してないと思うのですが、いつのまにか引き込まれてゆくもの凄い吸引力を持つ曲です。
8.Shade Mind
 なぜかぜんぜん言及されることのないハードロックナンバーです。『夢の都』あたりのツアーで演奏されたことがあるらしく、「うれしい!」と叫んだ女性のエピソードを雑誌で読んだ記憶があります。カッコいいのに埋もれてしまっている感が高い曲です。
9.月に濡れたふたり
 タイトルナンバーの、ボサノバ調バラードです。玉置さんの変な踊り(笑)は、この当時からありましたが、最近でも踊ってますね。安全地帯が新たなサウンドに挑戦し続けるバンドであることを明確に示した名曲です。
10.Too Late Too Late
 レイ・チャールズがカバーした名バラードです。遠すぎてとどかないさよならは、この後二年にわたって私を苦しめたのでした(笑)。

では、次回より一曲ずつ語ってまいりたいと思います。このアルバム、ちょっと密度が濃すぎやしませんかね。いや、安全地帯のアルバムはみんなそうなんですけど、とりわけこのアルバムは何せ何十万枚も売れたシングルだらけですから、何十万人の思い出を汚してしまわないように心がけてまいりたいと思います。

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