以前まではひと口に油というと、肥満や高コレステロールが引き起こす様々な体への悪影響が心配されて、いかに摂取を控えるかが健康のカギとされていました。
しかし近年では、体の味方になる油はむしろ毎日取り入れるべきだという考えが浸透しています。
体の味方になる油と言えば、痩せてきれいになると人気のココナッツオイルをはじめ、体内のサビの元となる酸化が起きにくいオリーブオイル、そして脳の機能を向上させるオメガ3系の含有量が豊富な亜麻仁油もよく話題になります。
そしてこの亜麻仁油が、脳に良いだけでなく他にも身体に嬉しい事がたくさんあるというすごい油。特に女性にとって素晴らしい効能があるのです。
しかし亜麻仁油は、実は少し扱いづらいという特徴があります。間違った方法で摂取をすると、体に悪い油と変身し、せっかくの効能が台無しになるどころか逆効果となってしまいます。
そこで今回は、亜麻仁油の効能とその正しい摂取方法について紹介します。
この記事の目次
油の種類は実に様々。良い油と悪い油、摂取量が大切な油まで
亜麻仁油はそもそも何の油なの?珍しい植物の亜麻、実は身近な存在
脳に良い事で有名な亜麻仁油。他にもすごい効能がたくさん
女性にとって特別な効果。亜麻仁油の女性ホルモン調整作用
亜麻仁油の注意点 丁重に扱わないと悪い油に変身!?
亜麻仁油の正しい取り扱い方法 保管と調理は光と熱に気をつけて
摂取量の目安はぜひ守って。おすすめ摂取方法で毎日続けて
毎日の食生活に取り入れて。亜麻仁油は継続が大切
油の種類は実に様々。良い油と悪い油、摂取量が大切な油まで
亜麻仁油の紹介の前に、まず様々な油の種類について説明します。
脂肪には大きく2つに分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
飽和脂肪酸
牛肉や豚肉、乳製品など動物性の脂肪に多く含まれています。体内で元々合成できるため、必ずしも食物から摂取する必要ななく、むしろ近代の食生活では過剰に摂りすぎる傾向にあります。
不飽和脂肪酸
一方、不飽和脂肪酸は人間が体内で作る事ができない必須脂肪酸なので、必要な分は食品から摂取する必要があります。
さらに不飽和脂肪酸は以下のように分類され、体に良いもの(◎)と悪いもの(×)が存在します。
◎オメガ3
EPA、DHA、αリノレン酸が豊富な油。青魚の油やえごま油、チアシードオイル、亜麻仁油に多く含まれる。体に入るとDHA・EPAに変換され、細胞の機能を高め、血液中の脂質濃度を下げる働きがあります。コレステロール値の改善、動脈硬化の予防、認知症の予防など、様々な健康作用が期待できる健康オイルの代表格。
〇オメガ9
オレイン酸が豊富な油。オリーブオイルやキャノーラ油(なたね油)、アボガドオイルなどに多く含まれる。オレイン酸は、善玉コレステロールはそのまま保ち、悪玉コレステロールのみを下げるという作用があります。生活習慣病の予防につながり、便秘解消効果もある健康オイル。
△オメガ6
リノール酸が豊富な油。紅花油、グレープシードオイル、ひまわり油、コーン油、大豆油、サラダ油などに多く含まれる。オメガ3と共に細胞膜を作り、体の機能を調整する働きがあります。オメガ6は一部体内においてVリノレン酸に変換され、抗炎症に働く物質を作りますが、摂りすぎると逆に炎症が生じやすくなってしまいます。摂取量に注意が必要です。
米油、ゴマ油はオメガ9とオメガ6が約半々含まれている
×トランス脂肪酸
マーガリンやショートニングなどの加工油脂。別名「食べるプラスチック」「狂った油」とも呼ばれる。体に害しかないので、摂取はできるだけ控えましょう。マーガリンやショートニングの使用は止め、加工品の原材料にこれらやファットスプレッド、加工油脂などの表示があるものはなるべく避けましょう。
これらの油は、トランス脂肪酸以外はどれも体に必要な働きをします。しかし摂取量のバランスが大切です。
理想の摂取バランスは次のように言われています。
飽和脂肪酸が3:オメガ9が4:オメガ6と3が3
オメガ6とオメガ3の割合は4:1と言われており、オメガ6を多く摂ってよいの?と思うかもしれません。
しかし現代の食生活では、オメガ6とオメガ3の摂取比率は50:1くらいになってしまっているのが一般的だそうなので、オメガ6を控えめにしてオメガ3をより積極的に摂る必要があるのです。
とはいえ、普通の食生活をしているだけでは中々摂取が難しいオメガ3。毎日青魚を食べるのは現実的とは言えませんね。
そこで亜麻仁油の出番。亜麻仁油はオメガ3を豊富に含んでいるのです。
亜麻仁油はそもそも何の油なの?珍しい植物の亜麻、実は身近な存在
亜麻仁油は、成熟した亜麻という植物の種子を圧搾、または潰したものを溶媒で抽出することで得られる黄金色の油です。
日本では北海道でのみ栽培されているため、あまり馴染みのない植物かもしれませんが、茎の部分は繊維製品として活用されており、上質なリネン製品として衣類や寝具などになって私たちの身の回りに存在しています。
英語ではフラックスシードオイルとも呼ばれ、海外でもその健康効果は話題になっています。
脳に良い事で有名な亜麻仁油。他にもすごい効能がたくさん
そんな亜麻仁油には様々な効能が期待できます。
脳に良い。認知症の予防にも
亜麻仁油にはαリノレン酸というオメガ3系の脂肪酸が豊富に含まれていて、体内でDHAに変換されます。
DHAは脳に作用する働きがあるので、記憶力や学習能力のアップといった、
脳機能の向上
認知症の予防
につながると言われています。
血中の脂肪やコレステロール値を下げる
αリノレン酸には血中の脂肪やコレステロール値を下げる働きもあり、それは
動脈硬化や心筋梗塞などの心疾患
脳梗塞などの脳血管疾患
のリスクを軽減することにつながります。
アトピーやアレルギーの改善、予防
オメガ6に含まれるリノール酸を摂りすぎると、体内で炎症を引き起こしてアトピーやアレルギーの原因となります。
亜麻仁油のαリノレン酸は、リノール酸が炎症物質へと変換されるのを防ぐ働きをします。
アトピーの場合は直接皮膚に塗って、保湿剤として使用しても効果があります。
便秘改善
油は適度に摂取しないと、食べかすが腸内に張り付き便秘になってしまう上に腸壁が荒れてしまいます。
亜麻仁油に含まれるαリノレン酸の一種であるEPAは、便秘薬にも配合されており、腸内の炎症を抑えて善玉菌を増やし、血液の流れを良くして腸内環境を整える働きをします。
さらに亜麻仁油には水溶性食物繊維と難溶性食物繊維がどちらもバランスよく含まれているという性質もあって、便秘改善に効果的と言われています。
ダイエット効果
これは亜麻仁油の
血流促進効果
中性脂肪の代謝や合成を抑制する働き
便秘改善効果
によるものです。しかし、あくまで今まで過剰に摂取していたオメガ6を亜麻仁油へ置き換える事で期待できる効果となります。
オメガ6の摂取量をそのままに、亜麻仁油をプラスで摂取するとなるとカロリーオーバーになるので注意を。
女性にとって特別な効果。亜麻仁油の女性ホルモン調整作用
ここからは女性にとって特に素晴らしい効果を紹介します。亜麻仁油には、女性ホルモンを調整する作用があるのです。
どんな女性にも起こり得る。ホルモンバランスの乱れによる不調を改善
女性ホルモンのエストロゲンは、過剰になりすぎても不足しても女性の体に不調をきたします。エストロゲンのバランスの乱れが引き起こす影響についてまとめてみました。
エストロゲンが過剰で起こる体への影響
生理痛がひどくなる
無排卵・PMS
乳がんや子宮内膜がん、子宮筋腫などのリスクがたかまる(乳腺や子宮に負担がかかりやすくなるため)
エストロゲンが不足して起こる体への影響
生理不順、無月経、不妊などの生殖機能の低下
肌荒れ
脂質の代謝が鈍り、太りやすくなる
イライラする、精神的に不安定になる、鬱症状
このバランスの乱れは、本来ホルモンバランスが大きく変わる思春期や妊娠・出産後、更年期といったタイミングに起こりやすいものなのですが、現代社会においてはどんな女性にも起こるリスクがあります。
ホルモンバランスが乱れる主な要因として
睡眠不足
食生活の乱れ
冷え
ストレス
が挙げられます。
仕事に家事に、忙しく頑張っている女性にとっては全て当てはまる場合も多いのでは。つまりそれだけホルモンバランスは乱れやすいものと言えるのです。
亜麻仁油にはエストロゲン作用を持つリグナンというポリフェノールが含まれており、エストロゲンのバランスを調整する働きをしてくれるので、ホルモンバランスの乱れより起こる上記の症状を改善できると言われているのです。
ホルモンバランスを整えるので妊活の味方にも
生殖機能を高めることに繋がるので、最近では妊活の際には葉酸と合わせて摂取する女性が増えています。
更年期障害の改善効果も
更年期障害とは、主に閉経時期頃に卵巣機能が低下して、エストロゲンの分泌量が減少する事によって引き起こされる体の様々な不調の事を言います。
ホルモンバランスを整える事によって、更年期障害の改善効果も期待できます。
抗酸化作用でアンチエイジング効果も
リグナンには抗酸化作用もあります。細胞の老化を防ぐアンチエイジング効果も期待できますよ。
亜麻仁油の注意点 丁重に扱わないと悪い油に変身!?
これだけ体に良い効果がたくさんある亜麻仁油ですが、扱い方を誤ると体にとって悪い油へと変身してしまいます。
ここでは亜麻仁油の特徴を説明します。
非常に酸化がしやすい
空気に触れると非常に酸化がしやすいという特徴があります。
酸化の進んだ油には、活性酸素という体の酸化を進める有害物質が含まれています。
トランス脂肪酸にはもともと含まれていますが、体に良い油でも酸化が進んだり古いものはこの有害物質が生じて悪い油になってしまうので注意。
光に弱い
空気に触れるだけでなく、光にあたる事でも酸化がすすみます。
高温に弱い
高温で扱う際にも酸化が進みます。また、50度以上の温度ではαリノレン酸が変質してしまうという特徴もあります。
亜麻仁油の正しい取り扱い方法 保管と調理は光と熱に気をつけて
酸化を防ぐための正しい保管方法や調理方法を紹介します。
光のあたらない場所で保管
開封前も開封後も光のあたらない冷暗所で保管しましょう。瓶が透明で箱に入っていないものだと、流通の際に光に当たって酸化が進んでいる可能性もあります。
遮光瓶や箱に入って売られているもを選ぶのも大切なポイントです。
開封後は冷蔵庫保管で早めに使い切る
開封したら冷蔵庫で保管しましょう。
開封後1カ月までは空気に触れることによっておこる酸化の影響はないと言われています。したがって1カ月を目安に使いきるようにしましょう。
または冷凍庫保存がおすすめ。あらかじめ短期間で使い切れる分のみを冷蔵庫で保管し、残りは冷凍庫にて保管します。油は凍らないので大丈夫。
ただし、沈殿物が入っている際は底にたまってこの部分が固まって出てきづらくなります。
この沈殿物にリグナンが豊富に含まれているので、積極的に摂取したいもの。すぐに使う分を冷蔵庫にて保存するのはこのためです。
栄養豊富とはいえ、沈殿物は舌ざわりも匂いもあるので、気になって摂取したくないという場合は、最初からすべて冷凍保存でももちろん大丈夫です。
熱を加えて調理しない
炒め油など、加熱調理に使用してはいけません。40度以下で食べるようにすれば酸化の心配もαリノレン酸の変質も起こらず安心です。
また、油を圧搾する際に熱を加えているものもあります。必ず低温圧搾法(コールドプレス法)で圧搾されたものを選ぶようにしてください。
摂取量の目安はぜひ守って。おすすめ摂取方法で毎日続けて
体に良いとはいえど、摂取しすぎはエネルギー過多になります。摂取量の目安を知り、正しい量を摂取してください。
摂取量の目安は小さじスプーン1杯
オメガ3の摂取基準は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」で次のように定められています。
男性 女性
18〜29歳 2.0g 1.6g
30〜49歳 2.1g 1.6g
50〜69歳 2.4g 2.0g
70歳以上 2.2g 1.9g
亜麻仁油は小さじスプーン一杯(およそ5g約40キロカロリー)で、オメガ3リノレン酸が約2g含まれているので、このスプーン1杯(5g)がおおよその目安になります。
とはいえ商品によって含有量が異なることがあるので、記載されている使用量を確認するのがベストです。
亜麻仁油の摂取方法
ポイントは熱を加えない事だけ。料理に使う際には「最後に回しかける」ようにして。
そのまま食べる
サラダにかける
豆腐にかける
納豆にまぜる
パスタにかける
お味噌汁に入れる
スムージーに入れる
パスタやお味噌汁に加える際には温度に注意。人肌程度に冷ましたものに加えましょう。
毎日の食生活に取り入れて。亜麻仁油は継続が大切
ここまで亜麻仁油の素晴らしい効能について紹介してきました。しかし、大量に摂取することで気になる症状が劇的に改善するわけではありません。
オメガ3は毎日こつこつと摂取する事が大切です。
今まで体にとって不要な油を過剰に摂りすぎていた傾向にある人にとっては、摂取する油のバランスを見直す事も大切です。
トランス脂肪酸は避け、飽和脂肪酸とオメガ6は控えめにして亜麻仁油でオメガ3を摂る。
体に質のよいエネルギーや潤滑油を送りとどけることで、血管がきれいになって細胞が整っていきます。
そんな状態を想像しながら亜麻仁油を取り入れれば、きっと目に見えて体に良い変化が訪れる日も遠くないはずですよ。ぜひ毎日続けてください。
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<コメント>
野菜に亜麻仁油をかけるだけで、血液はサラサラで血液循環が良くなります。花粉症などのアレルギー症状にもお奨めです。
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