産業革命以来、海に放出される量が3倍にも及んでいるとされる水銀。これを水から取り出せる素材を作り出すことに成功したという発表が行われた。
偶然、赤くて柔らかい素材を開発
この開発に取り組んだのは、オーストラリアにあるフリンダース大学のMax Worthington氏とJustin Chalker博士などの研究者たち。彼らは廃棄されていく原料から、新しいプラスチックやポリマーを生み出そうとしていた。しかしその過程で、硫黄とミカンの皮に含まれるリモネンという化合物を反応させたところ、偶然赤くて柔らかいゴムのような素材を開発。しかも、それが水の中から水銀を吸収することが明らかとなった。
現在も水銀は化石燃料から放出される
世界の半分の水銀は火山噴火などで広がっているが、残りの半分は人間の活動によって生み出されているという。今でも化石燃料や鉱物を燃やす過程で、多くの水銀が放出されているそうだ。やがて水銀は海水に流れ込み、それを食べた魚を摂取することで人間にも被害を与え、環境にも大きな影響を及ぼしている。
廃棄物から製造できるため低コスト
今回の素材はイオウ・リモネン・ポリサルファイドと名付けられたが、これは水から水銀を取り出すだけでなく、素材自体が環境に害を及ぼさない。しかもChalker博士によれば素材の最も優れた点は、多くの廃棄されていく物質から製造できるため、非常にコストが安いことだという。実際に硫黄は石油業界で副産物として毎年7000万トン生み出され、揮発性のオレンジ・オイルの主要成分であるリモネンも、柑橘業界において年間7万トンも産出されている。研究者らはこの新素材の有効性が最終的に確認されれば、史上最悪と呼ばれる水銀汚染から、人類や野生動物を守ることにつながると考えているそうだ。
出典元:Flinders reseacher’s new material lays waste to mercury pollution - Flinders University(10/20)
http://irorio.jp/daikohkai/20151029/271533/
<コメント>
絶望的な環境汚染問題も、ある日突然”発明”や”発見”で解消される道筋が立ちます。
この世に不可能はないのです、絶望の裏には必ず希望があるのです。
『子供がセシウムを吸い込む”被ばく”イベントが福島で決行された!』
「復興の役に立ちたいから参加しました。”6国”がきれいになったら、除染作業員さんも作業しやすくなる。放射能? 私は気にしていません。積極的に参加してほしい」そう話すのは、10月10日に国道6号線沿いで実施された清掃活動に参加した、相馬東高校一年生の女子生徒。彼女は帰還困難区域となっている浪江町の出身だ。
「自宅には戻れないから家族で相馬市に避難しています」 そう言って目をうるませた。 『みんなでやっぺ! きれいな6国』と題したこの清掃イベントには、地元の中高校生ら約200人を含む千400人あまりが参加。しかし、6国といえば、昨年9月に全線が開通したものの、福島第一原発の間近を通るため、いまだ車内でも毎時10μsvを越える場所がある高汚染エリアだ。 前出の女子高生と話しをした「道の駅・相馬」も今回の清掃拠点のひとつ。取材班は地元で測定活動をする「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」の小澤洋一さん、深田和秀さんとともに近辺の土を調べてみた。 すると、なんと4万Bq(ベクレル/平米)で適用される、放射線管理区域の4倍以上、事故前の140倍以上(注1)もある16万4千Bq(ベクレル)/平米(注2)の放射性物質が検出された。 放射線管理区域とは、一般人は立ち入り禁止、放射線従事者でも10時間以上の滞在は禁止と法令(電離放射線障害防止規則・労働安全衛生法に基づく)で定められている場所。そんなところで子供に清掃活動させるのは違法行為では? だが、主催者のチラシを見て合点がいった。”後援”には、国土交通省や環境省、復興庁、地元自治体などの名がズラリ。”協賛”には、東京電力や東北電力までが名を連ねている。子供を使って、形だけでも「復興」をアピールしたい。このイベントから、なりふり構わぬ国の思惑が透けて見えた。 記者は事前に、主催のNPO法人ハッピーロードネット(福島県広野町)に「現場は安全なのか?」と問い合わせたところ、「留守番の者」と名乗る女性がこう答えた。 「帰還困難区域には入りませんし、放射線量の高い富岡町や浪江町などは、大人だけで清掃するので(子供の)安全は確保されています」続けて、「そういう問い合わせが多くて困っているんですよね」と、グチをこぼす始末。 子供の被ばくを案ずる全国の母親たちから、開催の見直しを求める電話やファクスが連日寄せられていたという。 さらに、開催の数日前には、市民団体「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト・郡山」が、全国66の賛同団体をつのり、開催中止を求める提案書を福島県と教育委員会に提出していた。が、結局どこも取り合わず、この危険極まりないイベントは予定通り決行されることになった。
■空間線量が低くても、土中には原発事故前の100倍以上の放射性物質があるんです
10月10日、朝9時。開会式の会場となった二つ沼公園(福島県広野町)には、地元住民や、中高生ら数百人が集まった。開会式のあいさつで主催の西本由美子理事長(62)は、清掃活動をするに至ったワケをこう説明した。 「相馬市の高校生が提案してくれたんです。『国道にゴミがたくさん捨てられているのは、ふるさとを大事にしていない大人がいるから。僕たちでできることをして、大人たちに示していこうよ』って」 「子供が清掃したいと言うから開催した」と言いたいらしい。寄せられた批判の隠れ蓑に子供を使おうというのか。 開会式後、記者は清掃に出発する子供たちにこのイベントに参加した理由を聞いた。 「所属しているサッカー部のみんなが参加するから。6国がキレイになったら、避難している人が帰ってきてくれるかなと思って。放射能の影響? 難しいからよくわからない。特に気にしていません」(ふたば未来学園高校一年・男子)「私は学校の美化委員だから参加しなくちゃいけなくて。放射能? とくに注意点などは聞いていません」(同一年・女子)
引率の先生の考えはどうか。
「ここは学校の通学路ですし、とくに放射性物質が集まりやすい側溝などに近づかなければ大丈夫でしょう。空間線量も下がってきていますから」 そう先生が話し終わらないうちに、近くの植え込みでピーピーという放射線を感知する音が。記者が駆けつけると、前出の深田さんが、生徒がゴミを見つけて拾った道路横の植え込みを測定していた。 空間線量は毎時0.37μsv。環境省の除染基準、毎時0.23 μsvを超えている。土中からは、放射線管理区域の4倍の15万9千Bq/平米もの放射性物質が検出された。 「空間線量が低くても、土中には原発事故前の100倍以上の放射性物質があるんです」 と小澤さんは指摘する。 後日、現場で拾った吸い殻や紙くずなどに付着している放射性物質を測定してもらうと、一般ゴミからは890Bq/kg、吸い殻からは600Bq/kg、小澤さんが測定時に利き手にはめていた軍手からは421Bq/kgという数値が出た。 「法令(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)に従えば、100Bq/kgを越える汚染物質は、ドラム缶に入れて厳重に管理しなければならない。なのに、それをはるかに越える汚染ゴミを、子供に拾わせるなんてどうかしています」(小澤さん) このあと取材班は、6号線を車で北上し、別の清掃エリアである「道の駅・南相馬」へ向かった。途中、清掃エリアに入っていないはずの富岡町検問所付近で清掃隊を見かけたので、車を降りて付近を測定すると、毎時5.92 μsvあった。土中からは、事故前の8千900倍近い1千40万Bq/平米が出た。それもそのはず。前方には、「ここから帰還困難区域」という看板が。ここから浪江町までの約6.5キロは、年間被曝量50ミリシーベルトを越えるエリアとして立ち入りが制限されている。二輪や自転車での通行は禁止、車外に出ることも禁止なのだ。だが、看板のむこうには、オレンジ色のTシャツを着た清掃隊の人々が、ゴミを拾いながらゆったり歩いている。 「汚染エリアに入ると放射性物質をあちこちに運んでしまうから危険です」(小澤さん) 実際に、この日、小澤さんが付けていた靴カバーを測定したところ、450Bq/kgの放射性物質が検出された。 しかし、さらに深刻な事実が明らかになる。当日、小澤さんが約5時間付けていたN95という防塵マスクから、なんと20.6Bq/kgの放射性物質が検出されたのだ。測定してくれたちくりん舎(NPO法人市民放射能監視センター)の青木一政さんは、次のように指摘する。 「N95のマスクは0.1〜0.3ミクロン程度の粒子まで吸着します。このマスクをしていなかったら、1ミクロン以下の粒子まで肺の奥に吸い込んでいた可能性があります」 この日、マスクや軍手を付けている子供はほとんどいなかった。 「放射性セシウムには水溶性と非水溶性のものがあり、非水溶性のものは、体内に取り込まれると4〜5年くらい排出されず、心臓にとどまって放射線を出し続けます。結果、若くても心筋梗塞などになるリスクが上がるのです」
と話すのは、呼吸器や放射線の専門医である松井英介氏。 「もっと心配なのは、ストロンチウム90です。こちらは測定すらされていませんが、セシウム10に対して1の割合で存在しています。特に原発周辺は多いと言われています。これは人間の血液を作っている骨にたまるので、白血病などのリスクが上がる。わざわざ子どもにリスクを押し付けるなんて犯罪的です」(松井氏) 松井先生によると、風邪予防のマスクでは取り込みを防げないという。汚染されたホコリを吸い込むリスクを子供に負わせてまで、このようなイベントを決行したのは、そもそもなんのためか? 主催NPOに何度も電話したがずっと留守だった。NPOのホームページには、「汚染水はコントロールされている」と、五輪誘致で世界に”放言”した安倍総理と満面の笑みの西本理事の写真が。彼女自身「聖火リレーを6号線に」と、再三インタビューで答えている。子供をリスクにさらす先に見えているのは、国家的規模のイベントなのか。
■国も福島県も調査しようともせず、あくまで国が立ち入りを制限しているエリア以外は「すべて安全」という立場を崩さない。 「原発が爆発しても、それでうるおっている人間がいるから、その理不尽さを払拭するために子供を利用している」
と指摘するのは経済学者で東京大学教授の安富歩さん。
「放射能がばらまかれた福島の子供が尻ぬぐいするなんて理不尽極まりない。本当は東電がやれって話し。でも、一度そういう理不尽なことを飲み込ませると、あとは言うことを何でも聞く都合のいい人間に育つ。国家としては、従順な人間を増やす目的もあるんでしょう」(安富さん) 清掃活動が終了した正午、「道の駅・相馬」の広場で閉会式に参加していた高一の男子生徒は、記者にこう言った。「放射能が危ないことも、ここが汚染されていることも知っています。だけど、僕はまだ学生だから自分の判断で動くことができない。母には、なるべく地元の食材は使わないで、と言っているけど」 彼はリスクを承知していながらも、「いろんな経験を積みたい」と、この清掃活動に参加した。将来の夢は看護師になることだ。進学に合わせて福島を離れるつもりだが、「中1の妹が心配だ」とも……。 後日、「後援」に名を連ねる環境省福島環境再生事務所に汚染の実態を知らせると、「清掃コースの放射線量は確認してないのでわからない。主催はハッピーロードネットなので」と無責任な答え。さらに福島県も、「立ち入り制限されているエリアには入らないと聞いているので安全なのでは? 吸い込みによる被曝リスクがあることは承知しているが、県から開催の見直しを求めることはできない。主催はハッピーロードネットだから」と、環境省に輪をかけた無責任ぶりを披露。 環境省も福島県も、あくまで国が立ち入りを制限しているエリア以外は「すべて安全」という立場を崩さない。調査しようともせず、「主催者の問題だから」と、NPOに責任をなすりつけてオワリなのだ。共催している東電も、「”復興”に関する事業には積極的に協力させていただいております!」との能天気な返答。西本理事に至っては、「子供の希望があれば来年も開催する」と他メディアの取材に答えていた。 国も東電も主催者も、見せかけの「復興」に邁進し、健康リスクは子供に押し付ける。こんな卑劣な行為を止めさせるために、大人たちの責任が改めて問われている。
※注1
09年度文部科学省「日本の環境放射能と放射線」の福島の土壌測定値18bq/kgを平米あたりに換算(65倍)したものと比較。
※注2
一般に放射能汚染を表す単位はBq/kgが用いられているが、土壌の汚染に関しては放射線管理区域の管理基準やチェルノブイリ原発事故との比較のため、Bq/平米に換算している。文中の放射性物質は、すべて測定時における放射性セシウム134と137の合算値。(取材・文/和田秀子)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151028-00010000-jisin-soci
<コメント>
国や大企業が決まりを守れないのでは本末転倒です。
矛盾を解消する努力をしてもらいたいものです。
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