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2017年09月23日

師のオロモウツ滞在記3(九月廿日)


その他の外国語 エトセトラ (ちくま文庫) [ 黒田 龍之助 ]





 その後、スロバキア語の夕食、ポーランド語の昼食、チェコ語の酒宴を経て、チェコ語での講演が行われる。その日本語訳も収録されているのがうれしい。チェコ語で講演するのに、日本語で書いたものをチェコ語に訳すのではなく、最初からチェコ語で書いたというのは、さらっと書いてあるけれども、実はすごいことなんじゃなかろうか。
 このブログの文章ぐらいだったら、最初からチェコ語で書くのもそんなに大変ではないけど、いや一部与謝野晶子について書いた文書とか、小右記について書いた文章とか、内容的に難しく、思う付いたままに垂れ流すのではなく、全体の見通しを考えながらかなければならなかった文章については、最初からチェコ語で書く自信はない。
 パラツキー大学での通訳についても講演も、全体を通して最初からチェコ語で書くのは大変だったろうなあと思わせる内容である。それだけでなく、面白い。大事な話の間に、くすぐりが出てきて、この辺チェコ人笑うだろうなあという場所が何か所もある。話す場合でも、文章を書く場合でも、こういう緩急をつけるというのは大事なのだ。

 講演では通訳をする際に気を付けなければならないことが、実例を交えながら説明されるのだが、学生時代にこんな話を母語で聞くことができたというのは幸せなことである。そのことに気づくのは、大学を卒業して日本語を使った仕事を始めてからになるかもしれないけど。個人的にもチェコ語を勉強して始めての通訳の仕事をする前に聞いて、いや読んでおきたかったと思う。
 注意すべき点の一つに、動物の名前、植物の名前は、訳しただけだと相手を満足させられないこともあるから、「〜の一種」とか「日本の〜」という表現を使ったほうがいいというのがある。これについては、以前、チェコに住む日本人と、チェコのČápと日本のコウノトリは本当に同じものなのかという話で盛り上がったこともあるので、その通りだと思っていた。同じ動物、植物だけど日本のとは見た目が微妙に違うとか、同じように見えるけど実はちょっと違う種類だとかいう例はいくらでもあるし、全く同じものだと言われても確信が持てないから、例えば「さくらんぼ」ではなく、「さくらんぼの一種」と言われた方が安心するという面があるのだ。

 それが、先日、この考えとは合わない体験をしてしまった。九月の初めに頼まれてツアーでオロモウツに来た人たちのガイドをした。このツアーは、普通の観光ツアーではなくて、山登りやトレッキングを目的としてチェコ、スロバキア、ポーランドをめぐるという特殊なツアーだったらしく、チェコの最高峰スニェシュカに登り、スロバキアとポーランドの国境にそびえるタトラ山地に向かう途中で、オロモウツに一泊したようだ。せっかくだからオロモウツの観光もということで、こちらにお鉢が回ってきたのである。
 ご本人達の言葉では、シルバー軍団だと言うのだけど、ただのシルバーではなく、元気なシルバー軍団で、アルプスなんかのヨーロッパの有名どころは大半歩いたので、穴場のチェコにやってきたという人が多かった。こういう方々を相手に、街中だけを回っても喜んでもらえないのではないかと考えて、八月の初めに知人を案内したコースから始めることにした。つまり最初に向かったのはオロモウツ城を、オロモウツの城壁を見上げることができる城下公園だった。
 黒や茶色のリスが走り回っているのはよかった。日本のリスとまったく同じものなのかはわからないけれども、いかにもリスだったしみなさんリスだということで納得していた。今思えば、ここで日本のリスと同じなのかなとならなかった時点でこの人たちが普通の観光客ではないことに気づくべきだったのかもしれない。

 その後、公園に生えている木の名前を聞かれたのだが、日本語でもチェコ語でもなんと言うかわからなかった。準備不足などというなかれ、事前に公園に出かけて生えている木の種類を確認する必要があるとは思いもしなかったし実際必要なかったのだ。
「あれ、これ姫リンゴだわ」
 質問された方が自分で葉っぱや生っている実を見て、何の木なのか気づいてしまわれた。日本だと盆栽にして小さく育てることが多いという話まで教えてもらってしまった。

 マロニエの実を拾った方は、
「これって栃のみなんだよね。ヨーロッパの奴は日本のとはちょっと違ってマロニエっていうことが多いけど」
 なんてことを教えてくれた。マロニエは知ってたけど、栃の実が近縁種だとは知らんかったぜ。やっぱり日本語でも言葉でしか、知識としてしか知らないものを、見ただけでそれが何かわかるというのは至難の業なのだよなあ。

 今回案内した方々は普段から山を歩いて自然に触れているから、その結果として自然に自然に対する観察眼もが鋭くなっているのだろう。そうなると、通訳やガイドには出る幕がない。
 だから、動植物の名前を訳すときには、「〜の一種」とか「日本の〜」という表現を使ったほうがいいというアドバイスには、ただし例外もあると付け加えさせてもらう。その例外は、ガイドされる人たちの方がガイドよりもはるかに動植物について詳しい場合である。その場合にはもう白旗をあげて任せてしまうしかない。かなり希少な例外にはなると思うけどね。

 本についてはほとんど書かないままこんなところまできてしまったので、この件、もう少し続く。このブログにまともな本の内容の紹介や、書評めいた文章を期待してはいけないのである。
2017年9月22日23時。



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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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